前スレ
(少年「ボクが世界を変えてみせる」)
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―――あらすじ―――
人間によるホビットへの差別が当然のように行われる時代
人里を離れ、森の中で静かに暮らしていたホビットの親子がおりました。
母親の名はマリー。子供の名はカロル。
二人はささやかな幸せを願って、穏やかな日々を送っていました。
母は今の生活に満足していました。
もちろん森の中での生活は不自由で贅沢とは無縁なものでしたが多くを望まない母にとっては愛する我が子と生きていけるだけで幸せだったのです。
しかしカロルは違いました。
もちろん愛する母と生きるのに不満はなく、彼自身も多くを望もうとは考えません。
ですが彼にとって一つだけ足りないものがあったのです。
それは友達という存在でした。
幼心に自分たちの置かれた立場は分かっていたつもりでした。
人目を逃れて生きるホビットには仲間もなく、心を通わせる相手を見つけるのはとても難しいと。
それでも小さな身体に宿る希望は膨らむばかりです。
973: ◆WEmWDvOgzo:2014/9/6(土) 21:17:50 ID:HMvXvjcyOI
母「ふ…ふふ……ダメね、あたしって……」ブルッ
カロル「え?」
母「…あれだけ坊やにきれいごとを押し付けて最後は醜い復讐に走ったんだもの」ガクガク
母「しかも自分の手を汚さずに…最も汚いやり方で……」ワナワナ
カロル「…お母さま?」
母「うふ…ふ…ふふっ…ふふふ……」
母「アハハハハハハハ!!!!」ケラケラ
カロル「……!」ビクッ
母「アーッハッハッハッハッハッ!!!ハハハハハ!!!!」
母「アハハハ!アハ!アハハハハハ!」
カロル「大丈夫…大丈夫だから…帰ろう?みんなで…?」アセアセ
アハハハハ アハハハハ アハハハハ
974: ◆WEmWDvOgzo:2014/9/6(土) 21:21:13 ID:8oOAyDp4lU
………半年後………
―――辺境の孤児院―――
宣教師「」ズズッ
宣教師「……」コトンッ
ミシング「…なーに黄昏ちゃってんの!」ポンッ
宣教師「人の頭に手を置かない!」ピシャリッ
ミシング「ごめんごめん。あ、紅茶おいしそ!あたしもー!」スッ
宣教師「…淹れてきますから待ってなさい」スクッ
ミシング「にしし!悪いねー?」クスクス
宣教師「」カチャッ トポポポ
ミシング「とりあえず今、預かってる入居者をリストにまとめといたから後で目通しておいてね?」ピラッ
宣教師「ご苦労様です。はい?」コトンッ
ミシング「うーん!イイ香り?おやつがあったら、もっといいのに?」スンスン
宣教師「はいはい、お茶請けにどうぞ」カチャッ
ミシング「そうそう!やっぱりコレじゃないと?院長様のお手製ビスケット!」ルンルン
宣教師「院長、ですか。まだ慣れませんね」カタッ
ミシング「あむっ…まぁねー?まだ預かってる子供も少ないし、これからじゃない?」サクッサクッ
宣教師「…そうですね」ズズッ
975: ◆WEmWDvOgzo:2014/9/6(土) 21:23:17 ID:8oOAyDp4lU
―――辺境の孤児院(書斎)―――
孤児1「おねーちゃん!これ!」つ【絵本】
ナラ「いいよ?」パシッ
孤児1「わーい!」キャッキャッ
ナラ「むかしむかしあるところに……」ペラッ
孤児1「」ワクワク
ナラ「とてもわるいホビットが……っ」
孤児1「どうしたの?おねーちゃん?」
ナラ「ほかのに…しよっか?」ニコッ
孤児1「えー?やだやだ!それがいいのー!」
ナラ「これ…よくないの。うそがかいてあるの。ほかのにしよ?」
孤児1「やーだー!!!」ギャンギャン
宣教師「その通りですよ?」パッ
ナラ「あっ…いんちょうさま…」
孤児1「やだやだやだー!」ジダンダ
宣教師「…まだこんな物が残っていたなんて」マジマジ
ナラ「せんきょうしさまだったころの…?」
宣教師「えぇ、前に使っていた教会をそのまま孤児院にしてしまいましたから…昔の私物が残っていたようです。
処分しておきますから、何か別の絵本を読んであげてください?」
ナラ「うん…」
宣教師「」ガチャッ
バタンッ
ナラ「…カロル」ボソッ
孤児1「やーだー!やだやだやーだー!」ジタバタ
976: ◆WEmWDvOgzo:2014/9/6(土) 21:24:47 ID:HMvXvjcyOI
―――辺境の孤児院(庭)―――
ルーボイ「っしゃー!俺の勝ちー!」
孤児2「ずるいよ!おっきーんだから手加減してよ!」プンプン
ルーボイ「お前が足遅いのが悪いんだろー!べーっだ!」ベロベロバー
孤児2「うわーん!」ビエー
ルーボイ「あ、な、泣くなよ!泣いたってダメなんだぞ!」アタフタ
ミシング「あちゃー!ルーボイくんったら、また泣かしちゃったの!」スタスタ
ルーボイ「ち、ちげーよ!こいつ、かけっこ負けたからって泣いてんだよ!」
ミシング「はいはい、よしよしよしー!頑張ったんだから泣かないの〜?
勝っても負けても恨みっこなしでしょー?」ダキッ
孤児2「わぁぁん!」ギュッ
ミシング「ルーボイくんもお兄ちゃんなんだから勝ち負けくらい譲ってあげたらー?」ナデナデ
ルーボイ「やだ!男と男の真剣勝負なんだからな!」
ミシング「ちっちゃい子を相手にムキになんないの?はいはい、ミシングお姉ちゃんと遊ぼっか?」ポンポン
孤児2「ゔん…」グスッ
ミシング「あ、そだ!ルーボイくんはお勉強の時間じゃない?院長が呼んでたよー?」
ルーボイ「うえー!やりたくねー!」
ミシング「あはは!後で愚痴聞いたげるからいってらっしゃい?」ニコッ
ルーボイ「ちぇっ…」トボトボ
977: ◆WEmWDvOgzo:2014/9/6(土) 21:27:11 ID:8oOAyDp4lU
―――ミラルドの町―――
ごろつき1「ゲヒャヒャヒャヒャ!」ドカッ
ホビット1「ぎゃっ」ズダァンッ
ごろつき2「な〜にホビットが当たり前みてぇなツラして歩いてやがんだぁ?」ズシッ
ホビット2「いっ!」ジャリィッ
ホビット3「だ、誰か!どなたか助けてください!」
シーン
スタスタ スタスタ
ごろつき1「うるぁっ!」ブンッ
ホビット3「うあっ」バキッ
ごろつき2「だぁれも助けやしねぇよ!みぃんな素通りじゃねぇか!バーカ?」ニヤニヤ
ホビット1「わ、わたしたちは……和解したのではなかったのですか!」ピクピク
ごろつき1「知るか!教団が布教を撤回しただけだろうが?」
ごろつき2「王国のバカ王子が差別をやめさせるとかぁ決めたらしいがよ。
どうせあいつら王都以外は知らん顔すんだから関係ねぇよなぁ?」ニヤニヤ
「その辺にしたら?」
ごろつき1「ぅん?」クルッ
ごろつき2「なんだ、おめぇ?こいつらの仲間か!」ズイッ
ラム「種族で言えば、そうなるかな」
978: ◆WEmWDvOgzo:2014/9/6(土) 21:28:23 ID:HMvXvjcyOI
ごろつき1「ゲヒャヒャ!てめぇも痛めつけてやるか!」
ごろつき2「おぉ!?こいつホビットのクセに野菜かごを持ってやがるぞ?」
ごろつき1「ちっ!誰だぁ?こんなションベンくせーのに大事な大事な食料を売りやがったバカ商人は?」キョロキョロ
ラム「君らは行っていいよ?」
ホビット1「は、はい!」ダッ
ホビット2「あ、ありがとうございました!」ダッ
ホビット3「ひええっ!」ダッ
ごろつき1「ああ?待ちやがれ!」
ラム「おじさんが待ちなよ?」
ごろつき1「あ!?」
ラム「…もう人間とホビットは和解したんだよ?人里に住むのも認められてる?」
ごろつき1「知るかぁ!?チビでナヨナヨしたてめぇらを見ると殴りたくなんだよぉ!?」
ラム「はぁ…お前らみたいなのがいるから種族間が縺れるんだよ。いい加減、気付いたら?」ジトー
ごろつき2「てんめぇ〜!!」ギリギリ
ごろつき1「ぶちのめしてやる!」ダッ
バキッ ガッ ドスッ ボコッ
979: ◆WEmWDvOgzo:2014/9/6(土) 21:29:45 ID:8oOAyDp4lU
ラム「う……ぐぅ…」ヨロヨロ
ラム「(せっかく買った野菜が……)」チラッ
スタスタ スタスタ
ラム「(…ほんとヘドの出る種族だよ。こんなにたくさん人が歩いてても…誰も止めようとしない)」ゼェゼェ
ホビット1「あ、あの…」
ラム「……?あぁ、さっきの?」
ホビット1「あ、ありがとう…助けてくれて…」
ラム「いいよ、気にしないで……」
ホビット1「だ、大丈夫?ひどいケガ……」
ラム「少し休めば治るから心配しないで…。
それより家に帰ったら?またあいつらにいじめられるよ?」
ホビット1「…わ、わたしたちは町を出ると決めました」
ラム「え…?」
ホビット1「ホビットと人間が和解したと聞いて活気溢れる町での生活を夢見ましたが…やはりわたしたちの居場所はここにはないようです」
ラム「……」
ホビット1「もしよかったら一緒に来ませんか?」
ラム「…僕はいいよ。帰る場所があるから」
ホビット1「そうですか…」シュン
ラム「……」
ホビット1「では…わたしはこれで…」スッ
ラム「待ちなよ」
ホビット1「はい?」クルッ
ラム「君らにうってつけの場所があるんだけど来てみない?」
ホビット1「わたし…たちに?」キョトン
980: ◆WEmWDvOgzo:2014/9/6(土) 21:32:35 ID:8oOAyDp4lU
―――辺境の孤児院―――
宣教師「はい、銅貨20枚分の林檎を4つ買いました。
銀貨一枚を支払った場合、お釣りはいくらになるでしょう?」
ルーボイ「えっと…き、金貨100枚?」
宣教師「支払った額より多いじゃないですか!?」
ガチャッ
ラム「ただいま…」ボロッ
宣教師「あ、おかえりな……そ、そのケガはどうしたんですか!?」
ルーボイ「わー!ラム、お前ケンカしたのか!?」
ラム「…院長、また3人くらい増えても平気?」
宣教師「え?にゅ、入居者ですか?それは構いませんが……」
ラム「だってさ?入ってきなよ?」
ホビット1「ど、どうも…」オズオズ
ホビット2「に、人間…!」ビクビク
ホビット3「ひぃぃ…」ガクガク
ラム「この人は他の人間とは違うから大丈夫さ?」
宣教師「……ようこそ、名も無き孤児院へ?」ニコッ
981: ◆WEmWDvOgzo:2014/9/6(土) 21:36:54 ID:HMvXvjcyOI
〜〜〜〜〜〜
宣教師「なるほど…町に馴染めなかったんですか。辛かったでしょうね…。
それにしてもラムくん、キミは勇敢ですね。感心しました!」ニコニコ
ラム「別に……」プイッ
宣教師「ふふ…」ニコニコ
ホビット1「あ、あいつら…酷いんです!」
宣教師「……」
ホビット2「わたしたちがホビットだからって暴力を振るったり、買い物すると相場より高く売り付けようとしたり、安い賃金で働かせたり!」
ホビット3「…どいつもこいつも蔑んだ目で見てきて耐えられない!」
宣教師「…愚かな人達ですね。この辺りが大聖堂のお膝元だったのもあるのでしょうが……」
ホビット1「悔しくて…!」ウルウル
宣教師「…ご安心ください?今日から私達があなた方を守ります?」
ホビット2「本当ですか…!」
宣教師「えぇ、お三方がちゃんと生活できる環境の整った場所を探しますから…。
それまでここにいてくださって構いませんよ?」ニコッ
ホビット3「あぁ!まるで聖母だ!なんて素晴らしい人!」グシッ
宣教師「せ、聖母…?ま、まぁとりあえず今日のところは暖かい湯に浸かって体を流されてはいかがでしょう?
もう少ししたら夕食を出しますから、今日の痛みと疲れを癒してくださいね…?」ニコニコ
ホビット1&2&3「はいっ!!」
ラム「……」クスッ
982: ◆WEmWDvOgzo:2014/9/6(土) 21:39:07 ID:8oOAyDp4lU
孤児1「いんちょー!だっこー?」バッ
宣教師「はーい、いいですよー?」ダッコ
孤児1「わーい!」ギュッ
宣教師「(ここに来て約4ヶ月になりますか…。徐々に人数も増えてきましたし、そろそろ教会では手狭になってきましたね…)」ユサユサ
孤児1「…ママはね、だっこしてくれないんだ」ボソッ
宣教師「」ズキンッ
宣教師「…お母さんに会えなくて寂しいですか?」シュン
孤児1「いんちょーがいるからさびしくない!」ニパァッ
宣教師「」キュンッ
宣教師「それは…よかった」ニコッ
孤児1「うーん…」ゴシゴシ
宣教師「さ、もう寝ましょうね?部屋まで連れていってあげますから?」ポンポン
孤児1「やーだー…」ムニャムニャ
宣教師「はいはい、行きますよ?」スタスタ
983: ◆WEmWDvOgzo:2014/9/6(土) 21:40:37 ID:8oOAyDp4lU
―――辺境の孤児院(共同部屋)―――
ナラ「…どうしてるかな」フカフカ
ルーボイ「ん…なにが?」ゴロゴロ
ナラ「カロル……」
ルーボイ「……しらねー」ピタッ
ラム「…お母さんを迎えに行ったきり、戻ってこなかったね」ゴロン
ナラ「おうじさまが…さがさせたけど、みつからなかった」
ルーボイ「しらねーよ!」ムスッ
ラム「…ズルいよ。僕には人間を信じてって言ったクセに…自分だけお母さんと消えちゃうなんてさ」
ナラ「うっ…うっ…」グスンッ
ルーボイ「もういいよ!あんなやつ!」
ラム「……」
ルーボイ「宣教師様の前であいつのこと話すなよ?」
ナラ「う…んっ」グスッ
ラム「分かってるよ…」
ガチャッ
ルーボイ&ナラ&ラム「」ビクッ
ミシング「みんなー!ちゃんと寝てるー?夜更かしする悪い子はくすぐりの刑だぞー?」コッソリ
ルーボイ&ナラ&ラム「」ドキドキ
ミシング「うんうん、よく眠ってる?おやすみ〜?」ニコッ
バタンッ
ルーボイ&ナラ&ラム「」ホッ
984: ◆WEmWDvOgzo:2014/9/6(土) 21:42:30 ID:8oOAyDp4lU
――――――
ミシング「…おチビちゃんたち寝たふりしてたよー。
お子ちゃまってバレバレのウソ付くからかわいいんだよね」
宣教師「灯りは消しておきましたから、じきに眠りますよ」
ミシング「みーんな心配してたよー?院長様が寂しがってるんじゃないかって?」
宣教師「……」
ミシング「なんでいなくなっちゃったんだろーね、あの親子?」
宣教師「…私に聞かれても分かりませんよ」
ミシング「そういえば王国から手紙が来てたよ。使者を寄越すから久しぶりに遊びに来いって?」
宣教師「ありがたいですが、ここを留守にはできませんしね…」
ミシング「あたしが留守番しとくから、ルーボイくん達と行ってきなよ?」
宣教師「いいのですか?」
ミシング「たまには思い切り息抜きしなきゃ?」
宣教師「…そうですね。あの子たちも王子に会いたがっていましたし」
ミシング「返事はいらないってさ?来週には迎えの馬車が来るらしいから?」
宣教師「…分かりました」
ミシング「じゃ、あたしも寝るね?おやすみ〜?」ガチャッ
宣教師「えぇ、おやすみなさい」
バタンッ
宣教師「(…カロルくん、お母様)」
宣教師「あの時…私が付いていけば……」グッ
985: ◆WEmWDvOgzo:2014/9/6(土) 21:44:28 ID:8oOAyDp4lU
………一週間後………
―――城(食堂)―――
給仕1「」カチャカチャ
給仕2「」トクトク
ズラァァァァァァ
ヒメ「よーし!全員の席に料理が並んだな?団長!」
団長「ははっ!では不肖、ワシめが乾杯の音頭を取らせていただきまする!
えー…この度は皆、遠い地から足を運んでいただき、あー…おかげでこうして懐かしい顔ぶれと、このように盛大な会を開けた事を感謝すると共に……」
ヒメ「話が長い!かんぱーい!」スッ
カンパーイ!
団長「そんな…!?」ガビーン
ヒメ「んっ…んっ…ぷはー!やっぱりイチゴは生搾りに限るな!」ゲフッ
団長「げ、ゲップするなどはしたのうございますぞ!」
ヒメ「それにしても…よく来てくれたな!ゆっくりしていけよ?」
宣教師「ご招待いただき、ありがとうございます」ペコリ
ルーボイ「つかお前が王様になっちゃうなんてなー」パクッ
ヒメ「まだ王子だけどな。実質的な采配はリルラ政務官に任せきりだよ」カチャカチャ
ナラ「…げんきそうでよかった?」ニコッ
ヒメ「大変だったけどな。色々と……」パクッ
宣教師「アントリアが王都を攻め滅ぼさせてると話していたのはハッタリだったのでしょう?」ズズッ
団長「正確にはアントリアが交渉を迫っていたのは事実だが、他国はあまり本気にしていなかったらしい」
ヒメ「勝手に交渉が成立したと思い込んで意気揚々と大樹に向かってたのさ。あの悪徳神官はな」モグモグ
宣教師「…間抜けな話ですね」ゴクッ
ヒメ「自国でさんざんラーダの圧力をひけらかしてきた分、他国にまで自分の力が通用すると傲ってたんだろ?」ゴックン
986: ◆WEmWDvOgzo:2014/9/6(土) 21:46:30 ID:8oOAyDp4lU
ヒメ「それよりおまえらはどうなんだ?ちゃんと孤児院をやっていけてるのか?」
宣教師「問題なく…。ですが人数が増えそうなので、まとまった土地が必要ですね」
ヒメ「そうか。じゃあ大臣に頼んどくよ」
宣教師「だ、大臣…!?」ゾワァッ
団長「大臣は大臣でも、あの豚ではないぞ?
あれはすでに領地と資産を没収し、裸一貫で追放しておいたからな」ズルズル
ラム「…あの神官はどうなったのさ?」ムシャッ
団長「奴とアリアスは禁固刑だ。一生、牢外には出さん」チュルリッ
ラム「ふーん…」ゴクゴク
ルーボイ「うんめぇ!ナラ!ステーキだぞ、ステーキ!」ウマウマ
ナラ「…パスタもおいしい!」パァァ
ヒメ「今の内に食っとけよ?庶民は味わえない料理ばっかりだからな!ハハハ!」
ルーボイ「うるせー!自慢すんな!全然ふつーだし!はぐっはふっうまっ」ムッシャムッシャ
ナラ「いじきたない…」シラー
987: ◆WEmWDvOgzo:2014/9/6(土) 21:48:25 ID:8oOAyDp4lU
ラム「ところで差別をやめさせるって言ってたけど、全然無くなってないよ?」
ヒメ「え…そ、そうなのか?教団の方で布教の訂正はしてあるんじゃ…?」
宣教師「すでに感覚として染み付いてる為、順応できないのだと思います」
ヒメ「…そ、そうか。でもあと少しの辛抱だ!」
宣教師「なにか対策を練ってらっしゃるのですか?」
ヒメ「あぁ、ホビットを国民として扱う法案を提示してるんだ。
これからは人間の法律を適用させて差別する人間を罰する事にした!」
団長「ワシも憲兵団の団長として民衆にホビットとの融和を勧めておる。
田舎町や細かな村々にも憲兵団の支部を設立し、精力的に活動していくつもりだ!」
宣教師「そうですか。きちんと考えてくださっていたようで安心しました」ニコッ
ヒメ「当たり前だ!あいつの為にも…約束を果たさないと……」
シーン
ルーボイ「あいつの話なんかすんなよ!俺たちに黙って勝手にいなくなった奴だぞ!」
ナラ「そんないいかたないよ!」
ルーボイ「だってそうじゃんか!」
宣教師「……」シュン
988: ◆WEmWDvOgzo:2014/9/6(土) 21:50:13 ID:HMvXvjcyOI
ヒメ「…ま、まぁ聞いてくれ。あいつは黙って消えるような奴じゃないだろ?」
ルーボイ「どうだかな!んむっ…むしゃっ!」ガツガツ
ヒメ「きっと何かあるんだ…。今は…会えないかもしれない」
ヒメ「でも…あいつがいつでも帰ってこれるようにしておきたいんだよ」
ヒメ「なんでいなくなったかなんて些末な問題だろ?
大事なのは…あいつが無事でいることだ」
ルーボイ「……」カチャッ
ラム「…たしかにね。もったいないよ。せっかく普通に暮らせる環境ができたのに……」
ナラ「あいたい…」
宣教師「……」
ヒメ「…頑張るよ。この国を変えて、あの親子の居場所を作ってやるんだ」
団長「…そうですな」
ルーボイ「ふん!」
宣教師「(カロルくん…お母様……)」
宣教師「(みんながあなた方の帰りを待っていますよ…。早く姿を見せてください…)」
989: ◆WEmWDvOgzo:2014/9/6(土) 21:51:27 ID:HMvXvjcyOI
………半年前………
―――平原(荷車の仮置き場)―――
カロル「…手、離しちゃイヤだよ?」ギュッ
母「もうあたしに構わないで…!」バッ
カロル「…お母さま」タジッ
母「つくづく分かったの…!あたしがどんなに醜い心の持ち主か…!」ガクッ
カロル「お母さまはキレイだよ!」
母「気休めはよして!もう疲れたの!
こんな不毛な悩みを抱えて…いつまで自分を責めたらいいのよ!?」ワシャッ
カロル「自分を責める必要なんてないじゃない!どうして悩むのさ!」
母「……」ワシャワシャ
カロル「…帰ろうよ。もう大丈夫だから」
母「そんなに帰りたいなら一人で帰りなさいよ!?」パシンッ
カロル「いたっ…!?」ヒリヒリ
母「……!あ、あぁ…!あぁぁぁ……」ブルブル
カロル「へ、平気だよ!痛くないから気にしないで?」アセアセ
母「あたし…あたし…最低……」ズーン
母「う、うあ…わぁぁぁぁん……」ズシャッ
カロル「おか…さま…」ピクッ
カロル「(…ボクがいない間、なにがあったの?)」
カロル「(そんなに疲れるくらい、悩み続けてたの?)」
カロル「(お母さまの為に戦って…やっとみんなを止めてきたのに…)」
カロル「(…もう、どうしたらいいのか分かんないよ)」シュン
990: ◆WEmWDvOgzo:2014/9/6(土) 21:53:21 ID:HMvXvjcyOI
母「うぅえぇぇ…えぇぇん……」グショグショ
カロル「」ピトッ
母「さわらないでっ!」ビシッ
カロル「ごめんなさい…」スッ
カロル「(やっぱり癒しの力でも…心の傷までは癒せないんだ)」
カロル「(この戦いでなんとなく分かった…。たぶんだけど、ボクに癒しの力があるのは人間とホビットの子だから)」
カロル「(人間とホビットが仲良くすれば癒しの力が生まれて…みんなの心を癒してくれるのかもって…そう思った)」
母「もうたくさんよ!こんな汚いあたしなんて…消えてなくなればいい!」ボロッ
カロル「(それでも一番、大切な人を癒せない…)」
『ボクは…誰かを幸せにできないのかな?
不安なんだ。このままだと…お母さまや宣教師さまも不幸にしそうで……。
もう誰とも離れたくない…。
そうじゃないと…きっと変わってしまうもの。
不幸でも…せめて一緒に不幸になれる距離にいたいよ…』
カロル「(そっか…。ボクの答えなんて…決まってたんだ)」ニコッ
991: ◆WEmWDvOgzo:2014/9/6(土) 21:57:31 ID:HMvXvjcyOI
母「誰にも顔向けできない!夫にも!お父様にも!力になってくれた…みんなにも!」クシャッ
母「みんなが坊やを幸せにしてあげようと頑張ってるのに……あたしが坊やに憎しみを背負わせたっ…!」ズリッ
母「最低よ…!あたしは…最低の母親よ…!?」ハァハァ
カロル「」ヒシッ
母「さわらないでって…言ってるでしょう!?」バッ
カロル「……」ジーッ
母「〜〜〜!」ガクガク
母「な、なんなの!なんなのよ!?そんな眼で見ないでちょうだい!?」
母「あたしが悪かったの!あの時……なんでああしてしまったのか!」
母「笑えるわよねぇ!?坊やの前ではいいお母さんでいようって…そればっかり考えて、人間を憎まないでなんて言い聞かせたクセに!」
母「最後の最後に出た本音が『もう我慢の限界だから、あたしの代わりに復讐して』よ!?あー笑っちゃう!?」ガシガシ
母「ムリだったのよ!最初から!ホビットのあたしが憎しみを捨てるなんて…できる筈がなかったのよ!?」
母「はは!ははは!アーッハハハハハハハハ!!!!」
カロル「……」ジーッ
母「ははは…は……」ピタッ
母「そんな眼で見るなって言うのが……分からないの!?」バチンッ
母「はぁ…はぁ…イヤでしょ?こんなお母さん…もう終わりね…!」ブルブル
カロル「……嫌わないよ」ジッ
母「っ……!か、帰りなさい!たくさん友達ができたんでしょう!?」
母「もういいじゃない!いつまでお母さんに甘えるつもり!?」
母「あなたが色んな人間に関わるから!騙されてもやめようとしないから!」
母「あたしばっかり悩んで……疲れるのよ!」バチンッ
カロル「っ…ごめ…なさい」ウルッ
母「謝るくらいなら行ってよ!あたしを独りにさせて!?」
カロル「イヤ…だ……」ポロッ
母「分からない子ね!?」バチンッ
992: ◆WEmWDvOgzo:2014/9/6(土) 22:02:07 ID:8oOAyDp4lU
カロル「……」ヒリヒリ
母「…お願いだから。分かって?あたし…こんな自分が大嫌いなの…!」ブワァッ
母「昔からそうだった…。フィズスの優しさに救われながら、フィズス以外の人間を心底憎んでて……」ポロポロ
母「でもフィズスにだけは嫌われたくなかったから…気にしてないふりして、性格のいい子を演じてた…?」ポロポロ
母「それが本当のあたし…だいたい、本気で人間に理解を示してたら…」
母「あなたが宣教師さまの教会を訪れた時に…あんな言葉を浴びせかけたりしないでしょう…?」ヘラッ
カロル「…もし、そうだとしても…ボクはお母さまが大好きなの」スタッ
母「来な…いで!?」バチンッ
カロル「っ…お母さまの子でいさせて…?」ヒリヒリ
母「あたしも…あなたが大好きよ!愛してる!愛しすぎるから…ツラいの!」
母「…穢れた心で触れたくないの!だからこのまま消えさせて!お願いよ!?」
カロル「(これはきっとお母さまの思い込みで…この話を聞いても…誰もお母さまを責めないんだろうなー…)」
カロル「(ホントはこのままみんなの所に戻れば…ボク達は幸せになれるのに)」
カロル「(…でもお母さまはボクのいない間、朝になるまでずっと自分を責め続けてたんだ)」
カロル「(少しでも目を離したら…お母さまはホントにいなくなる…)」
カロル「(それだけは絶対にイヤだ…。だったら…もうこうするしか……)」
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