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カロル「ボクが世界を変えてみせる」
[8] -25 -50 

1: ◆WEmWDvOgzo:2013/11/24(日) 19:26:09 ID:j5u3Ryt06o
前スレ
(少年「ボクが世界を変えてみせる」)
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/1-50


―――あらすじ―――

人間によるホビットへの差別が当然のように行われる時代
人里を離れ、森の中で静かに暮らしていたホビットの親子がおりました。
母親の名はマリー。子供の名はカロル。
二人はささやかな幸せを願って、穏やかな日々を送っていました。

母は今の生活に満足していました。
もちろん森の中での生活は不自由で贅沢とは無縁なものでしたが多くを望まない母にとっては愛する我が子と生きていけるだけで幸せだったのです。

しかしカロルは違いました。
もちろん愛する母と生きるのに不満はなく、彼自身も多くを望もうとは考えません。
ですが彼にとって一つだけ足りないものがあったのです。
それは友達という存在でした。

幼心に自分たちの置かれた立場は分かっていたつもりでした。
人目を逃れて生きるホビットには仲間もなく、心を通わせる相手を見つけるのはとても難しいと。
それでも小さな身体に宿る希望は膨らむばかりです。


958: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/31(日) 20:19:52 ID:2Wm5GCo/Zk
ラム「……」チラッ

カロル「…大丈夫!」ニコニコ

ラム「ぼ、僕は…人間を許せなかった。
だから…復讐したくて…カロルくんを利用したり、同族と力を合わせて戦った…」オドオド

ラム「今も…人間を許せるかって言われたら…許せない」

ラム「だけど…復讐に走れば走るほど、みんなが僕から離れてく…」

ラム「不安でたまらなくて…途中から復讐する理由も分からなくなってたんだ」

ラム「でもそう思った時には…もう僕の周りには誰もいなくて…止まることができなかった」

ラム「その時になって初めて後悔したんだ!
あの時、ああすれば…こうしてればって…そればっかり浮かんできて!」

ラム「考えるのをやめたかったんだと思う!
何も考えない、感じない…それが一番、楽だったから!」

ラム「復讐に生きよう!復讐に生きようって言い聞かして…無意識に心を壊そうとしてたんだ!」

ラム「僕の独りよがりな…どうしようもない!
本当にどうしようもないワガママだったけど!」

ラム「そんな僕を…見捨てなかった、ともだちがいる」ジッ

カロル「えへへ」テレテレ

ラム「何度もひどい言葉をぶつけた!何度も人間なんか信じるなって言った!
何度も拒絶して、何度も何度も困らせた!」

ラム「…僕はたぶん間違ってなかった。
でも…間違いを正しさに変える勇気が無かったんだ」

ラム「カロルくんのしたことはすごいと思う。普通だったら絶対ムリだよ」

ラム「人間のともだちを作って、僕らが差別を受けてるって知ってもらって…。
その人間たちがカロルくんに協力して、必死に助けようとしてる」
959: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/31(日) 20:22:45 ID:2Wm5GCo/Zk
ラム「僕なんかじゃ…ともだちを作る時点で挫折するよ」

カロル「そんなことない?」ギュッ

ラム「ううん。君はすごいよ。一人の人間と分かり合えるまでに何人に差別される?
理不尽なことが何回降りかかる?よっぽど心が強くないと挫けてしまうよ…」

宣教師「(…本当にその通りです)」ウンウン

カロル「ちがうよ?すごいのは信じてくれた人たちだよ!」

ラム「え?」

カロル「だって…ボクたちを信じると今度は同じ人間から差別される。
ただ仲良くしたいだけなのに…分かってもらえなくなるんだ」

カロル「それでも宣教師さまはボクを信じてくれた!
それに差別を無くそうとしてくれたんだよ!」

宣教師「わ、私…?」ビクッ

カロル「宣教師さまのおかげでルーボイくんとパッチくんっていう大切なともだちができた!」

ルーボイ「ま、まぁな!」エッヘン

カロル「宣教師さまが大聖堂に囚われていなかったらナラにも出会えなかった!」

ナラ「……!」ポッ

カロル「王都に連れてこられた時もツラいことがいっぱいあったけど、宣教師さまと歩いてたら王子さまに会えた!」

ヒメ「それはこじつけじゃないか!?」

カロル「…最初はボクを嫌ってた団長さんも宣教師さまが説得してくれたんだよね?」

団長「あぁ!王子の心が晴れたのを見るまでは信用出来なかったがな?」フフッ

カロル「…ね?ボクの力なんてちっぽけでしょ?」

ラム「……」
960: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/31(日) 20:26:42 ID:YmcwGKzrMY
カロル「ここにいるみんなが僕に関わって大事な物を無くしてる…」

カロル「それでもボクを信じて一緒に戦ってくれる」

カロル「もちろん間違ってることは間違ってるって言われるよ?」

カロル「でもそれはボクを嫌ってるんじゃなくて…ともだちだから言ってくれるんだ?」

カロル「ボクが頑張ってこれたのはみんながいてくれたから…」

カロル「きれいごとや偽善に聞こえるかもしれないけど、ホントなんだ?」

ラム「……」

カロル「数えきれない出会いがある、このまっさらな世界にはたくさんの希望が溢れてるよ?」

カロル「不幸せでも信じる心を持ってたら、ボクらの見る世界はキラキラする?」

ラム「…君の言うことは前向きなだけで中身がスカスカ?」

カロル「う……」ガーン

ラム「でも素敵だと思う?」ニコッ

カロル「…ありがとう!」パァァ

ラム「そうだね。一方的に信じても…一方的に裏切られる時だってある」

ラム「だから僕たちは分かり合えるように…お互いに理解する努力をしなきゃいけないんだ」クスッ

ラム「僕もがんばるよ。君みたいにはできないかもしれないけど信じてみる」

カロル「…ラムくん、すっかり元気になったね?」ニコニコ
961: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/31(日) 20:29:33 ID:2Wm5GCo/Zk
ラム「カロルくん、もう離していいよ」パッ

カロル「…うん!」パッ

ラム「」スタスタ ピタッ

ラム「ごめんなさい!」ペコッ

シーン

ラム「今さら謝って済む訳がないのは分かってます!だから…せめて僕に償う時間をください!」

ラム「罪を受け入れて反省します…。人間の皆さんが許してくれるまで何年でも!」

ラム「だから…お願いします!償わせてください!」

ザワザワ ザワザワ

信者's「」ジロジロ

教徒's「」ヒソヒソ

ラム「……!」グッ

カロル「ボクも!」スタスタ

ザワッ

カロル「人間と戦うって決めたのはボクです!ラムくんを許せないなら、ボクも一緒に償います!」ペコッ

ラム「か、カロルくん!君は僕に言われてしかたなく……」アタフタ

宣教師「そうはいきませんよ!」ザッ

カロル&ラム「えっ」

宣教師「今回の騒動が起こった原因は教団の陰謀の他に人間がホビットにツラく当たってきたからです!」

宣教師「キミたち二人が罪に問われると言うのなら、ホビットへの差別を促すような布教活動をしてきた私にも罪があります!」

カロル「宣教師さま…!」キラキラ
962: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/31(日) 20:31:31 ID:2Wm5GCo/Zk
ラム「…な、なんで…悪いのは僕……」オロオロ

ルーボイ「じゃあ俺もー!」ハイハーイ

ナラ「わたしも!」スッ

マルク「わんわん!」ピョンッ

ヒメ「オレもホビットを排他的に扱ってきた人間の王子だ!責任は免れないな!」スッ

団長「ならば当然、王子に仕えるワシにも責めが及ぶ!」スッ

ミシング「あたしも布教しちゃったから罪人だねー?
檻に入れられる前に結婚したかったなー…なんちゃって?」テヘペロ

ラム「…ど、どうして…僕なんかに…」

カロル「…もう知ってるじゃない?」

ラム「な、なにを?」オロオロ

カロル「ともだちでしょ?ボクたちみんな!」

ラム「……!」ウルッ

宣教師「皆さんはまだ許せませんか?」クルッ

団長「どうなのだ!?」カッ

パチパチ パチパチ

信者's「」パチパチ

教徒's「」パチパチ

近衛兵's「」パチパチ

ラム「……!」パァァ

カロル「…ふふ!一人じゃどうにもならないことっていっぱいあるけど、ああやって気持ちが伝わると…嬉しくてたまらないよね?」ニコッ

ラム「うん…!」
963: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/31(日) 20:34:49 ID:2Wm5GCo/Zk
宣教師「ラムくん」スッ

ラム「せ、宣教師…さん」タジッ

宣教師「償う必要なんてありません。ここにいる私達は…皆、キミと同じくらい道を踏み外してきたのですから?」

宣教師「過去の罪と、どう向き合うかはこれからの生き方次第。
今は思い悩むのはよして、共に歩む道を見つけられた喜びに感謝し、分かち合いましょう?」ニコッ

ラム「ひっ…ひぐっ…」グスンッ

宣教師「え、あ、いや、その…すみません!すみません!でも泣かせるような事、言いましたっけ!?」ビクッ

ラム「うっ…ふえっ!ち、ちが……」グシグシ

宣教師「?」

ラム「す…すごく…安心して…ずずっ」

宣教師「ふふふ、鼻出てますよ?」つ【ハンカチ】

ラム「あり…がと…ずずっ!」ズビー

ルーボイ「へへ!お前って泣き虫だったんだな!」

ナラ「そういうの…いわないの!」

ラム「あ…あの…ハンカチ…」オロオロ

宣教師「あ、そのままで大丈夫ですよ?」スッ ゴソゴソ

ルーボイ「うえっ!きったねー!」

ナラ「ルーボイ!」

宣教師「汚くなどありませんよ。
ちゃんと丁寧に包んでくれてますし、キミのように鼻かんですぐクシャクシャにしたりしませんしね?」

ルーボイ「な、なんだよ!別にクシャクシャでもいいじゃんかよー!」

宣教師「よくありませんよ!
どこに鼻水が付いてるのかよく分かりませんし、受け取る時になんかベタッとしてたんですからね!?」

ヒメ「ははは!庶民は不潔だな?」クスクス

ルーボイ「うるせぇ!文通王子!?」

ヒメ「誰が文通王子だ!?」

ナラ「もう!ふたりとも!?」
964: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/31(日) 20:39:05 ID:2Wm5GCo/Zk
ワイワイギャーギャー

ラム「ははははは…!」ケラケラ

カロル「見てるだけで楽しいよね?」ニコニコ

ラム「うん…楽しい」シュン

カロル「…どうしたの?」

ラム「僕は今まで…なんで信じられなかったんだろ。
こんなに…こんなに簡単に受け入れてもらえるなんて……」ウルッ

カロル「…しょうがないよ?」

ラム「シープとバンパに…謝りたい。僕が意地を張ってしまったから…二人は……」ブルッ

カロル「……」

ラム「会いたいよ…。あの二人にも教えてあげたい…。こんなに楽しい世界があるんだって……」

カロル「そうだね…」

ラム「この戦いが終わっても後悔しない自信があるって言ったのに…バカみたいだ!」ズズッ

カロル「…これからは大事にしないとね?」サスサス

ラム「…するよ!もう絶対に失わない!」ズビッ

カロル「……」サスサス
965: ◆WEmWDvOgzo:2014/8/31(日) 20:43:12 ID:2Wm5GCo/Zk
パァァァァァァァ……

オォォォォォォォォォオ

宣教師「おや?日の出ですね?」

ルーボイ「おわー!スッゲー!?」

ナラ「キレイ……」ポーッ

マルク「あぉーーん!」

近衛兵1「ははは!犬のクセに日の出と共に叫ぶなんて…まるで鶏だな!」

教徒1「うっ!ま、まぶしいですねぇ…。暗闇に目が慣れすぎたか…!」

団長「昨日の早朝から巡礼が始まり、日の出まで戦ってきた訳か…。長かったな」

ミシング「あーん!ミシングちゃん、動きっぱなしでもう眠たーい…。おじさまのたくましい腕枕が欲しいなー?なー?」チラチラ

ヒメ「言っとくが、こいつ妻子持ちだからな?」

ミシング「え!?そうだったの!?」

団長「…う…おっほん!」

カロル「…ふふ!お日さまも喜んでるよ!仲直りできてよかったねって?」

ラム「うん…!こんな風に迎えられる朝は初めてだよ!」パァァ

カロル「ボクも一晩中、起きてたの初めて!」

ラム「(きっと二度と…悪夢にうなされて起きる日は来ない…)」
966: ◆WEmWDvOgzo:2014/9/6(土) 21:03:53 ID:HMvXvjcyOI
―――舞台―――

ゾロゾロ ゾロゾロ

ルーボイ「なんか急に疲れたなぁ…」グータラ

ナラ「…ねむい」ゴシゴシ

ヒメ「…団長、寝室持ってこい」ボケー

団長「部屋ごとでござるか!?」ガーン

カロル「…ちょっと行ってくるね?」

ラム「どこに?」

カロル「お母さまを迎えに行ってくるの!」スタスタ

宣教師「そうですか。お気をつけて?」ニコッ

カロル「またね!」ダダーッ

宣教師「えぇ、また後ほど…」

ラム「……」

ダダダダダダダッ

宣教師「…朝まで動き倒して疲れてるでしょうに」

ラム「やっぱりマザコンだよね。カロルくんって?」

宣教師「…フォローできません」
967: ◆WEmWDvOgzo:2014/9/6(土) 21:05:02 ID:8oOAyDp4lU
団長「とりあえず君らも今日は休みなさい。
舞台の裏にあるテントと他国の方々に用意しておいた客人用のテントがあるぞ」

宣教師「帰らないのですか?」

団長「政務官と大臣は一足先に王都に戻り、壊滅状況を調べると共に攻めてきたであろう国を確かめ、交渉に赴くそうだ。
発端となったアントリアやアリアスも連行し、交渉材料に使うと話していた」

宣教師「王都はすでに…」

団長「王都に残っていた人間には悪いがどうにもなるまい」

宣教師「救えない話ですね…。果実は処分してくださるのでしょうか?」

団長「無論だ。あんな物があっては人の野心に火を灯すばかりだからな」

宣教師「それを聞いて安心しました」

団長「ワシらはこれから舞台の撤去や椅子の片付けをせねばならん。
教団の大人たちには死体の埋葬と供養を頼んだ。帰るのは、その作業が終わり次第だな」

宣教師「では私もお手伝いします。ラムくんは子供たちと休んでいていいですよ?」

ラム「カロルくんはいいのかい?」

宣教師「ふふ…あの親子は二人きりの方がいいんですよ?」ニコッ

ラム「……それもそうだね?」クスッ
968: ◆WEmWDvOgzo:2014/9/6(土) 21:07:14 ID:HMvXvjcyOI
宣教師「ん?あれは……」スタスタ

ミシング「えーん!えーん!聞いてよー!あたしってば弄ばれたのー!?」グスンッ

マルク「クゥン…」ペロッ

ミシング「あーん!あたしを慰めてくれるのはワンちゃんだけだよー!」ダキッ

マルク「」スリスリ

宣教師「…あなたも油を売ってないで手伝いなさい?」

ミシング「あぁー!宣教師!聞いてよー!」

宣教師「聞きません。ほら、行きますよ」ガシッ

ミシング「うえーん!冷たくなーい!?」

宣教師「相変わらずですね?ホントいろんな意味で?」

ミシング「宣教師が変わったんでしょー?聞いたよ?
ありとあらゆる男を誘惑して虜にしまくってたらしいじゃーん?」ニヤリ

宣教師「だ、誰から聞いたんですか!そんな出任せ!」

ミシング「えー…と、大臣とか教徒の人が言ってたよ!
神父と牢屋の見張りを誘惑したり、大臣とベッドですごかったって!」

宣教師「〜〜〜!や、やはり…あの毛無し豚(※大臣)だけは許せませんね…!」ワナワナ

ミシング「ねー?ねー?そんなにすごかったの?」

宣教師「お黙りなさい!?」ガァーッ

ミシング「」ビクッ

マルク「」ビクッ

宣教師「またそんなデタラメを鵜呑みにしたら…あなたを大臣に紹介しますからね!?」

ミシング「ひっ!絶対やだ!」

宣教師「まったく!たまったものではありませんよ!」イライラ

ミシング「ごめん、ごめーん!怒んないでよー?」スタスタ

マルク「あう?」キョトン
969: ◆WEmWDvOgzo:2014/9/6(土) 21:10:22 ID:8oOAyDp4lU
―――平原(荷車の仮置き場)―――

サァァァァァ サァァァァァ

母「風が吹くばかりで…なにも聴こえない…」ポツン

母「坊や…帰ってこない」

母「(今頃どうなってるのかしら…)」

母「(もしかしたら…同族も坊やも死……)」ゾォッ

母「あ、あぁはぁぁ…はぁはぁ」バックンバックン

母「いや…いや…いやぁぁぁ…」ガクッ

母「(それだけは考えないようにって思ってたのに…!)」ハァッハァッ

母「(あぁ…あたしのせい…あたしのせいで…あたしが戦うように言ってしまったから……)」アワアワ

母「(母親なのに…守るって誓ったのに…!)」ガタガタ

ガチャッ ギィィィ

母「きゃっ!まぶしい…!」ビクッ

カロル「お母さま!」ニコッ

母「坊や…!?」ハッ

カロル「ずっと待たせてごめんなさい…。もう心配ないからね!」ニコニコ

母「ぼう…や…!」ウルッ

カロル「ねぇ、お母さま!」ストッ

母「……?」ウルウル

カロル「ギュってして!」タタタッ

母「えっ」

カロル「」バッ ダキッ

母「きゃっ!?」ドサッ
970: ◆WEmWDvOgzo:2014/9/6(土) 21:11:55 ID:8oOAyDp4lU
カロル「えへへ!お母さま、大好き!」スリスリ

母「あらあら、会うなり甘えん坊さんね…?」グスッ

カロル「あ…そ、そうだよね。もう…あんまり甘えない方がいいよね…」シュン

母「あーら…じゃあ、お返しっ?」ガバッ

カロル「ひゃっ!?」ドサッ

母「お母さんが甘えちゃうんだから!」スリスリ

カロル「……あはは!」パァァ

母「帰ってきてくれてありがとう!わたしのかわいい坊や?」ギュッ

カロル「どういたしまして!」ギュッ
971: ◆WEmWDvOgzo:2014/9/6(土) 21:13:14 ID:8oOAyDp4lU
母「……!」ポロポロ

カロル「あ…れ?お、お母さま?」パチクリ

母「よかった…!坊やが無事で…本当によかったわぁ…!!」ポロポロ

カロル「……」

母「ごめんなさいね!戦わせたりして…!」ギュゥッ

カロル「心配かけちゃってごめんね?」ギュッ

母「ずっと…ずっと待ってたのよ?あなたがケガなく無事に帰ってくるのを…!」ポロポロ

カロル「うん、ありがとう」ナデナデ

母「…うぅぅ!よかったぁ…!」グシグシ

カロル「ふふふ。よかった!元気そうで?」

母「え…?」

カロル「お母さまが元気でいてくれるのがボクの幸せだもの?」ニコニコ

母「…坊や」ブワッ

母「坊やぁぁぁぁあ……」ポロポロ

カロル「えへへ…お母さまにたくさん甘えたかったのに…逆になっちゃった?」クスクス

母「あぁぁ…ぁぁぁん…!」スリスリ
972: ◆WEmWDvOgzo:2014/9/6(土) 21:14:35 ID:HMvXvjcyOI
母「…そ、それってつまり……和解したの?」

カロル「うん。仲直りしたの!もう誰もいじめたりしてこないよ?」ニコニコ

母「どうやって…?」

カロル「みんなで協力したんだ!もう差別しないって教団の人間たちも約束してくれたよ!」

母「……!」

カロル「お母さま?」

母「あ、ごめんなさい…。まさか本当に実現させるなんて…」

カロル「えへへ…ボクもあんまり実感できてないや。ホントは夢だったりして?」テレッ

母「……」ボーッ

『そう…ビスケット、もらったの?良かったわねぇ。お菓子なんてなかなか食べられないもの』
『そういう人間もいるのよね…。みんながみんな…あたし達を拒む訳じゃない』
『…だから憎しみに囚われてはいけないわ?あたし達にはあたし達の幸福がある』
『お父様は人間を敵として見てるけど…坊やにはそうなってほしくないの』
『…あたしと夫が結ばれたように。あなたはあなたの望む生き方をしなさい』
『お母さんも今のままでいる気はないから…二人で落ち着いて暮らせる場所を必ず見つけてみせるわ?』
『……この旅を終えてゆっくりする時間ができたら、自分のやりたい事を探してみて?』
『坊やが選んだことなら、お母さんは絶対に反対しない。だから一番したいことを常に考えておいて?』
『…うふふ。難しかった?』
『そうね。簡単なことじゃないわ?』
『でも目的は必要よ?何かを目指して進むと……どんな苦難にも負けない力を養えるの?』
『望む幸福は…坊やの目指した先にある?』
973: ◆WEmWDvOgzo:2014/9/6(土) 21:17:50 ID:HMvXvjcyOI
母「ふ…ふふ……ダメね、あたしって……」ブルッ

カロル「え?」

母「…あれだけ坊やにきれいごとを押し付けて最後は醜い復讐に走ったんだもの」ガクガク

母「しかも自分の手を汚さずに…最も汚いやり方で……」ワナワナ

カロル「…お母さま?」

母「うふ…ふ…ふふっ…ふふふ……」

母「アハハハハハハハ!!!!」ケラケラ

カロル「……!」ビクッ

母「アーッハッハッハッハッハッ!!!ハハハハハ!!!!」

母「アハハハ!アハ!アハハハハハ!」

カロル「大丈夫…大丈夫だから…帰ろう?みんなで…?」アセアセ

アハハハハ アハハハハ アハハハハ
974: ◆WEmWDvOgzo:2014/9/6(土) 21:21:13 ID:8oOAyDp4lU
………半年後………

―――辺境の孤児院―――

宣教師「」ズズッ

宣教師「……」コトンッ

ミシング「…なーに黄昏ちゃってんの!」ポンッ

宣教師「人の頭に手を置かない!」ピシャリッ

ミシング「ごめんごめん。あ、紅茶おいしそ!あたしもー!」スッ

宣教師「…淹れてきますから待ってなさい」スクッ

ミシング「にしし!悪いねー?」クスクス

宣教師「」カチャッ トポポポ

ミシング「とりあえず今、預かってる入居者をリストにまとめといたから後で目通しておいてね?」ピラッ

宣教師「ご苦労様です。はい?」コトンッ

ミシング「うーん!イイ香り?おやつがあったら、もっといいのに?」スンスン

宣教師「はいはい、お茶請けにどうぞ」カチャッ

ミシング「そうそう!やっぱりコレじゃないと?院長様のお手製ビスケット!」ルンルン

宣教師「院長、ですか。まだ慣れませんね」カタッ

ミシング「あむっ…まぁねー?まだ預かってる子供も少ないし、これからじゃない?」サクッサクッ

宣教師「…そうですね」ズズッ
975: ◆WEmWDvOgzo:2014/9/6(土) 21:23:17 ID:8oOAyDp4lU
―――辺境の孤児院(書斎)―――

孤児1「おねーちゃん!これ!」つ【絵本】

ナラ「いいよ?」パシッ

孤児1「わーい!」キャッキャッ

ナラ「むかしむかしあるところに……」ペラッ

孤児1「」ワクワク

ナラ「とてもわるいホビットが……っ」

孤児1「どうしたの?おねーちゃん?」

ナラ「ほかのに…しよっか?」ニコッ

孤児1「えー?やだやだ!それがいいのー!」

ナラ「これ…よくないの。うそがかいてあるの。ほかのにしよ?」

孤児1「やーだー!!!」ギャンギャン

宣教師「その通りですよ?」パッ

ナラ「あっ…いんちょうさま…」

孤児1「やだやだやだー!」ジダンダ

宣教師「…まだこんな物が残っていたなんて」マジマジ

ナラ「せんきょうしさまだったころの…?」

宣教師「えぇ、前に使っていた教会をそのまま孤児院にしてしまいましたから…昔の私物が残っていたようです。
処分しておきますから、何か別の絵本を読んであげてください?」

ナラ「うん…」

宣教師「」ガチャッ

バタンッ

ナラ「…カロル」ボソッ

孤児1「やーだー!やだやだやーだー!」ジタバタ
976: ◆WEmWDvOgzo:2014/9/6(土) 21:24:47 ID:HMvXvjcyOI
―――辺境の孤児院(庭)―――

ルーボイ「っしゃー!俺の勝ちー!」

孤児2「ずるいよ!おっきーんだから手加減してよ!」プンプン

ルーボイ「お前が足遅いのが悪いんだろー!べーっだ!」ベロベロバー

孤児2「うわーん!」ビエー

ルーボイ「あ、な、泣くなよ!泣いたってダメなんだぞ!」アタフタ

ミシング「あちゃー!ルーボイくんったら、また泣かしちゃったの!」スタスタ

ルーボイ「ち、ちげーよ!こいつ、かけっこ負けたからって泣いてんだよ!」

ミシング「はいはい、よしよしよしー!頑張ったんだから泣かないの〜?
勝っても負けても恨みっこなしでしょー?」ダキッ

孤児2「わぁぁん!」ギュッ

ミシング「ルーボイくんもお兄ちゃんなんだから勝ち負けくらい譲ってあげたらー?」ナデナデ

ルーボイ「やだ!男と男の真剣勝負なんだからな!」

ミシング「ちっちゃい子を相手にムキになんないの?はいはい、ミシングお姉ちゃんと遊ぼっか?」ポンポン

孤児2「ゔん…」グスッ

ミシング「あ、そだ!ルーボイくんはお勉強の時間じゃない?院長が呼んでたよー?」

ルーボイ「うえー!やりたくねー!」

ミシング「あはは!後で愚痴聞いたげるからいってらっしゃい?」ニコッ

ルーボイ「ちぇっ…」トボトボ
977: ◆WEmWDvOgzo:2014/9/6(土) 21:27:11 ID:8oOAyDp4lU
―――ミラルドの町―――

ごろつき1「ゲヒャヒャヒャヒャ!」ドカッ

ホビット1「ぎゃっ」ズダァンッ

ごろつき2「な〜にホビットが当たり前みてぇなツラして歩いてやがんだぁ?」ズシッ

ホビット2「いっ!」ジャリィッ

ホビット3「だ、誰か!どなたか助けてください!」

シーン

スタスタ スタスタ

ごろつき1「うるぁっ!」ブンッ

ホビット3「うあっ」バキッ

ごろつき2「だぁれも助けやしねぇよ!みぃんな素通りじゃねぇか!バーカ?」ニヤニヤ

ホビット1「わ、わたしたちは……和解したのではなかったのですか!」ピクピク

ごろつき1「知るか!教団が布教を撤回しただけだろうが?」

ごろつき2「王国のバカ王子が差別をやめさせるとかぁ決めたらしいがよ。
どうせあいつら王都以外は知らん顔すんだから関係ねぇよなぁ?」ニヤニヤ

「その辺にしたら?」

ごろつき1「ぅん?」クルッ

ごろつき2「なんだ、おめぇ?こいつらの仲間か!」ズイッ

ラム「種族で言えば、そうなるかな」
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名前:
sage:


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