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カロル「ボクが世界を変えてみせる」
[8] -25 -50 

1:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2013/11/24(日) 19:26:09 ID:j5u3Ryt06o
前スレ
(少年「ボクが世界を変えてみせる」)
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/1-50


―――あらすじ―――

人間によるホビットへの差別が当然のように行われる時代
人里を離れ、森の中で静かに暮らしていたホビットの親子がおりました。
母親の名はマリー。子供の名はカロル。
二人はささやかな幸せを願って、穏やかな日々を送っていました。

母は今の生活に満足していました。
もちろん森の中での生活は不自由で贅沢とは無縁なものでしたが多くを望まない母にとっては愛する我が子と生きていけるだけで幸せだったのです。

しかしカロルは違いました。
もちろん愛する母と生きるのに不満はなく、彼自身も多くを望もうとは考えません。
ですが彼にとって一つだけ足りないものがあったのです。
それは友達という存在でした。

幼心に自分たちの置かれた立場は分かっていたつもりでした。
人目を逃れて生きるホビットには仲間もなく、心を通わせる相手を見つけるのはとても難しいと。
それでも小さな身体に宿る希望は膨らむばかりです。


933:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2014/8/29(金) 20:09:49 ID:nDd6VU8Z3.
宣教師「彼が深めた多くの絆は今、確かな力となってあなたの前に立ちはだかっています。
この強力な絆に抗う術が今のあなたにありますか?」

アントリア「……」ガクガク

団長「……」

ミシング「あははっ!イイこと言う〜?」

信者's「」ジロジロ

教徒's「」ヒソヒソ

宣教師「私を含め、ここにいる皆があなたに踊らされてホビットを差別してきました…」

宣教師「ですが、そのホビットによって私達は目を覚まし…今こうしてあなたを追い詰めている」

宣教師「…絆なくして人は人を愛せない。絆を踏みにじってきたあなたを救おうとする人間は…ここには一人としていませんよ」

宣教師「罪を受け入れ、償いなさい!それがあなたに課せられた唯一の使命です!!」

アントリア「……し、し、し…うわあああああ!!!」ガクッ

カロル「……」

アントリア「お前なんかに…!僕の…40年を費やした計画がぁ……クソォォォォォ!!!?」ダンッ

団長「うむ!これで分かったな?ワシらはこれまで操られるがまま、憎しみに支配されてきた!
だがそれは作為的なものであってワシらの意思ではない!」

団長「これからやり直そうじゃないか!ホビットにぶつけてきた憎しみを捨て……共に歩める道を築こう!」

ミシング「はいはーい!あたしもおじさまに大さんせー!!」

オォォォォォォ!!!!

団長「…貴様だけは許さん?覚悟しておくんだな?」ガシッ

アントリア「くそっ…ぅあああああ!!!」

カロル「…宣教師さま」

宣教師「分かってますよ。まだ終わりではありません」

カロル「うん!ラムくんの憎しみもなくさなきゃ!」
934:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2014/8/29(金) 20:13:51 ID:vWnFtiNco.
ミシング「だーれだ?」ピトッ

宣教師「うわっ!え?え?」アワアワ

ミシング「惜しいっ!正解は大親友のミシングちゃんでしたー!」パッ

宣教師「ミシング!?あなたも来てたんですか!?」

ミシング「あれ?ルーボイくん達から聞かなかった?」

宣教師「あ…確かシスターのお姉さんも協力してくれてると?」

ミシング「あはは!お姉さんなんて照れるなー!ま、そゆこと!あなたが危ないって言うから心配してたんだよー?」

カロル「……」

ミシング「あ、君、君!お名前は?」

カロル「カロルって言います!はじめまして…えっと」ペコリ

ミシング「ふっふーん!美人シスターのミシングお姉さんだよん?
カロルくん、宣教師と仲良しなんだってー?」

カロル「うん!はじめてのともだちなの!」

ミシング「そっか、そっかー?お姉さん、妬けちゃうなー?」

宣教師「あのー…ミシング?積もる話もあるでしょうが……」

ミシング「っていうか、かわいい!頬っぺたツンツンしちゃお?」ツンツン

カロル「やっ!ちょっ!やめて!」プニプニ

ミシング「きゃー!嫌がり方に母性くすぐられちゃう!」ツンツンツンツン

宣教師「……!」イライラ
935:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2014/8/29(金) 20:15:45 ID:vWnFtiNco.
宣教師「……ミシング!!」ガァーッ

ミシング「あひょっ!?」ビクッ

宣教師「まったく!カロルくん、こんな痴女はほっといて行きましょう!」スタスタ

カロル「う、うん。ミシングさん、またね?」フリフリ

ミシング「あれれ?どこいくの?」

カロル「うん。ちょっとね」

団長「おい、君たち!」

宣教師「あ、団長さん。指定した通りに皆を集めてくださってありがとうございました。おかげさまでアントリア神官の悪事を暴けました」

団長「苦労したがな…。それより王子は?」

宣教師「後から来ますよ。団長さん達は神官の拘束と残りの兵の阻止に励むようにとの事でした」

団長「そうか。では王子の事は頼んだぞ!」

ミシング「おじさま!」ヒョコッ

団長「」ビクッ

ミシング「あたしもお手伝いしまーす!」

団長「あ、あぁ…よろしく頼む」

カロル「宣教師さま!」

宣教師「えぇ!」

タタタッ……

ミシング「…あの子、明るくなったなぁ」

団長「……?」

ミシング「ふふ。なんでもないです」

団長「実はな。王子もそうだった」

ミシング「王子様が?」

団長「あぁ、あの方も…よい出会いに恵まれた」

ミシング「絆…ですかね?」ニコッ

団長「うむ。かけがえのない絆だ…」ニコッ
936:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2014/8/30(土) 21:46:08 ID:50l4o5eNes
――――――

ラム「しつこいなぁ…。なんでそんなにがんばるワケ?」

ヒメ「お前を助けてやる為さ!」

ラム「…はぁ?」

ルーボイ「…あいつらが助ける助けるって聞かねぇんだよ!だからアントリアを先にしたんだ!」

ラム「助けるって…邪魔しないでくれた方が助かるんだけど?」

ナラ「しんかん…とめたら、さべつ…ほんとに、なくなる!」

ラム「あぁ、そう…」シラー

マルク「わんっ!わうん!」

ラム「ごめん、全然分かんない」

マルク「あうん」ガーン

ヒメ「おい!おまえらは下がってろ!ケガしてるだろ?」ザッ

ルーボイ「へへっ!お前だって腕、血ぃ出てんじゃねーか!」

ナラ「やくそくしたんだもん…。さんにんで、ひきとめるの!」

マルク「はうっ!?」ガガーン

ラム「もうどうでもいいんだけどなぁ…。差別とか」ボソッ

ラム「(あれ?そういえば…なんの為に…こんなこと……)」

ラム「うーん…どうでもいいや」ボーッ
937:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2014/8/30(土) 21:48:39 ID:50l4o5eNes
ラム「剣、抜かないの?」ブラブラ

ヒメ「…オレたちの役目は時間稼ぎだ。攻撃はしない!」

ラム「ふーん…」シュッ

ヒメ「おっと」サッ

ラム「……うまく避けるね?なんかやってんの?」

ヒメ「簡単な護身術さ。おまえにも今度、教えてやろうか?」

ラム「…馴れ馴れしいなぁ」スッ

ラム「(んー…いつもだったら…イラつくんだけどなぁ)」ボーッ

ヒメ「おい、下がったぞ?」

ルーボイ「逃がさねぇかんな!」バッ

ナラ「うしろは…まかせて?」バッ

マルク「くぅーん」イジイジ

ラム「(いい子ぶってる奴らが変にヤル気出して邪魔する…。こういうの…イラつくのになぁ)」ダッ

ナラ「」ビクッ

ルーボイ「ナラ!」ダッ

バッ ガシッ
938:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2014/8/30(土) 21:49:36 ID:zCiLP5rgZc
ナラ「…なに!するの!」ジタバタ

ラム「時間稼ぎでも構わないよ。僕には時間があるんだから」グイッ

ルーボイ「ナラの髪引っ張んな!」ガシッ

ラム「邪魔」ビュバッ

ルーボイ「うあっ!」ザシュッ

ラム「髪の毛、切られたら悲しい?女の子だもんね?」ガシッ グイッ

ナラ「あぃぃ…ったい!」ブチブチ

ヒメ「この…!」ダッ

マルク「わんっ!」バッ

ラム「邪魔だってば」ヒュッ シャッ

ザシュッ スパッ

ヒメ「いっ!」ピシュッ

マルク「キャンッ!」ブシュッ

ラム「…攻撃してみる?」グイッ

ヒメ「…しない!手を離せ!」キッ

ラム「あっそ」バッ ズバッ

バサッ バサバサ

ナラ「……!」ハラリ

ルーボイ「あぁー!?」

ヒメ「お、おまえ…!最低だぞ!?」
939:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2014/8/30(土) 21:51:51 ID:zCiLP5rgZc
ラム「前髪パッツンパッツンになっちゃったね。悲しい?」

ナラ「……!か、かなしくない!」キッ

ラム「うーん」ズシッ

クシャッ クシャクシャ

ナラ「」ズキッ

ラム「どう?悲しい?」ジッ

ナラ「かなじく…ない」ウルウル

ヒメ「女の子の毛を刈って踏みにじるなんて…おまえ最低だ!」カッ

ルーボイ「くっそー!やっぱりぶん殴ってやる!」

ナラ「まって!」

ルーボイ「ナラ…?」

ナラ「いいよ。わたしのかみ…じかんかせぎになってるから、いい」

ヒメ「じ、時間稼ぎって……」

ナラ「わたしがかみをのばしても、よろこんでくれる、おとこのこ…いないもん。だから、いいよ?」ニコッ

ヒメ「…な、ナラ」

ラム「へぇ…悲しくないんだ。君も…」ピタッ

ナラ「……?」

ルーボイ「そんなことねぇよ!お前が女の子らしくした方が喜ぶ男だっているんだぞ!」

ナラ「え…?」ドキンッ

ヒメ「な、なんだよ?急に愛の告白するのか?」アセアセ

ルーボイ「は、はぁ!?ちげーよ!そういうんじゃねーし!?」アタフタ

ラム「?」チラッ

ルーボイ「いや、ちげーから!ぜんぜん好きとかねーから!」アタフタ

ラム「この子がいなくなったら悲しい?」ギランッ

ナラ「」ビクッ

ルーボイ「!?」ビクッ
940:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2014/8/30(土) 21:54:11 ID:50l4o5eNes
ルーボイ「うおおお!」ガバッ

ナラ「きゃっ!」ドサッ

ヒメ「て、手も繋がない内から押し倒すなんてはしたない!み、淫らだ!爛れた関係だ!」カァァ

ルーボイ「うるせぇ!見てわかんねーのかよ!ナラが攻撃されないようにしてんだよ!」ギュッ

ナラ「る、ルーボイ…おもい…よ?」ドキドキ

ヒメ「だ、だからって…そういうのはちゃんと順序を守って…こ、告白…して…その…。
徐々に手を繋いだり、広場で一緒にイチゴのアイスキャンディー食べたり…お、お揃いの飾り物を贈ったり…うわあ!なに言ってるんだ、オレ……」モジモジ

ルーボイ「ウブかよ……」シラー

ナラ「」ドキドキ

ラム「…君らって感情が豊富だね?なんだか……見ていてふしぎだよ」

ルーボイ「はぁ!?お前だっていきなりキレたりすんじゃねーか!?」

ラム「うーん…それがさ。ないんだ、今のところ」

ルーボイ「ないって…?」

ラム「つまんないって言うのかな。さっきバラバラにされて再生した時なんかは…すごく苦しくて…たくさんの感情が沸いて…」

ルーボイ「バラバラ?」

ラム「なんだろ。どうでもよくなってきた…」ボーッ

ルーボイ「じゃ、じゃあ!」パッ

ナラ「やっと…どいて、くれた」ポッ

ラム「」シュッ スパッ

ルーボイ「ぎゃ!な、なに…すんだよ?」プシュッ

ラム「復讐はやめないよ。やることはやっておきたいから」ペロッ

ルーボイ「いっ…てぇな〜!どうでもいいんならいいじゃんか?」タラァー

ラム「うえ〜…まっず」ペッペッ

ルーボイ「じゃあ血なんか舐めるなよ!?」ズキズキ

ラム「味は感じる…。でもイヤじゃない。まずいんだけどなぁ」

ルーボイ「(なんだ、こいつ)」
941:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2014/8/30(土) 21:56:10 ID:50l4o5eNes
ナラ「…ルーボイ、へいき?」オロオロ

ルーボイ「ぜんぜん平気だし!
変態のおっさんに殴られたり大火傷したりして何度も死にかけてっから、こんぐらいへっちゃらだよ!」エッヘン

ラム「…感情なんてなくても目的があれば生きていける。時間は永遠で達成できるまでの道のりは膨大だ」ブツブツ

ラム「仲間なんていない。誰の為でもないけど、これを続けないと…目的がないと…」ブツブツ

ナラ「…ねぇ、ラムくん、へん…」

ルーボイ「…どうしたんだろうな」

ヒメ「や、やっぱりお付き合いするからにはお互いを大事にしないといけないし!
なんかこう…簡単に触れ合うのはふしだらだ…。まずは文通から始めるのが……」ブツブツ

ルーボイ「まだ言ってるのかよ!?目ぇ覚ませ!バカ王子!」

ヒメ「えあっ!?」ビクッ
942:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2014/8/30(土) 21:57:35 ID:zCiLP5rgZc
宣教師「」タタタッ

カロル「」タタタッ


マルク「…わんっ!」

カロル「マルク!平気だった?ケガしてない?」ダキッ

マルク「クゥン!」スリスリ

宣教師「ま、間に合いましたね!」

ルーボイ「宣教師様!」パァァ

ナラ「よかった…!」

ヒメ「遅かったな!そっちはうまくいったのか?」

宣教師「えぇ!皆さん、目を覚ましてくれました!」

カロル「みんなの傷も癒してあげるね?」スッ

フワッ フワッ フワッ

ラム「あ〜あ…また弱らせなきゃ」ボーッ

カロル「ラムくん!もう大丈夫だよ!みんなで帰ろう?」ニコッ

ラム「……」ボーッ

宣教師「様子がおかしいですね…」

ルーボイ「なんか途中からおかしいんだよ?」

ナラ「かんじょうが…ないって」

宣教師「感情が?」

ラム「」シュッ

ズンッ

カロル「っ…!」ブシュッ
943:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2014/8/30(土) 22:02:44 ID:zCiLP5rgZc
ルーボイ「あぁ!?なにしてんだよ、お前!?」ダッ

カロル「みんなは先に戻ってて!!」

ナラ「か、カロル…」

宣教師「そうですね…。これはホビットの二人の問題です」

ルーボイ「…こいつらの?」

ナラ「…わたしたち、なんにもできないの?」

宣教師「…立ち入ってはならない領域という物もあるのです。私達は先に戻りましょう」

ルーボイ「どうすんだよ!カロルが殺されたらどうすんだよ!?」ガシッ

宣教師「…大丈夫。彼は友達を残して死んだりしません」

ナラ「……ルーボイ、もどろ?」

ルーボイ「ナラまで何言ってんだよ!」

ナラ「ラムくん…わたしにかなしい?ってきいた」

宣教師「そ、その髪はどうしたんですか…!」ハッ

ヒメ「ラムがやったんだよ。しかも落ちた髪を踏みつけた。最低な奴だ」

ナラ「ちが…うよ。さいていじゃないの…。ラムくんはきっと…わからなくなってるだけ」

ヒメ「……?」

ナラ「かんじょうがうすくなって…きもちをおもいだせないんだよ」

宣教師「だからキミを悲しませて…感情を確かめようとした、と?」

ナラ「わかんない…。でも…このままだと、おもいだせなくなるのかも」

宣教師「(先ほどの腕や足の残骸を見る限り…力を使いすぎた為に無気力になっているのかもしれませんね)」

ヒメ「だが現に刺されてるんだ。あのまま二人きりにしておくと……」

宣教師「いざとなれば彼は傷を癒せます。むしろ私達がいて刺激してしまう方が悪影響かもしれません」

ルーボイ「…ちぇっ!俺たち、なんにもしてねーじゃん」

宣教師「そんなことはありません。キミたちが時間を作ってくれたからこそ、二人で話し合う時間が出来たのですから」

マルク「クゥン…」タッタッ

宣教師「さ、行きましょう。団長さん達のお手伝いもしなくてはいけませんから」スタスタ
944:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2014/8/30(土) 22:04:45 ID:zCiLP5rgZc
カロル「あ、はは……い、痛いよ、ラムくん?」ダラァー

ラム「そう…」ボーッ

カロル「どうし…ちゃったの?元気…ないよ?」プルプル

ラム「疲れないんだ。走っても動いても」グリィッ

カロル「そう…なのっ…?うっ…!」グチュッ

ラム「……」グリグリ

カロル「あぐっ…つあっ!い、いた…!ちょ、ちょっとだけ…抜いてくれない?」

ラム「やだ。治すから」グリグリ

カロル「あうっ!じゃ、じゃあグリグリだけ!おねがい!グリグリだけやめて!?」グチュッグチュッ

ラム「やめないよ」グリグリ

カロル「い、いったいよぉ〜!おねがい!」グチュッ

ラム「…イヤなら怒れば?」ピタッ

カロル「はぁぁ…痛いや…。でもちょっぴり楽になったよ…?えへへ?」ニコッ

ラム「……」グリィッ

カロル「いあっ!いたぁ!?」ビクンッ

ラム「…君も感情がないのかい?」ピタッ

カロル「か、感情…?」ヒクヒク

ラム「……」

カロル「感情はあるよ?笑ったり泣いたり、怒ったり悲しんだりするよ?」ニコニコ

ラム「お腹刺されても怒らない」ズボッ

カロル「うっ…うあ!や、やっと…抜いてくれた?」ブシュッ
945:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2014/8/30(土) 22:06:13 ID:50l4o5eNes
ラム「僕は君の顔を見るだけでイラつく…んだけどなぁ?なんでかなぁ?」ウーン

カロル「ふふ…なんでだろうね?」フワッ

ラム「あ、治した」

カロル「うん、治したよ。痛いもの?」ニコニコ

ラム「刺さないと」グッ

カロル「刺さなくていいよ!?」アタフタ

ラム「ダメだよ。君にも復讐するんだから」ジッ

カロル「ふ、復讐?」

ラム「だって君は僕から仲間を奪ったじゃないか」

カロル「う、奪ったんじゃなくて…みんなで仲直りしようって言ったんだよ?」

ラム「そうだったっけ。どうでもいいや」シュッ

カロル「あぐぅ!ま、また…!?」ズンッ

ラム「死ねばいいよ。君が死んでくれたら、一つ復讐が終わるから」

カロル「ら、ラムくんが…落ち着くなら、それでも…いいよ?このまま…話そう?」ニコッ

ラム「…話す必要ある?喋ってるだけだよ?」

カロル「え…?そう…なの?」ズキズキ

ラム「ただなんとなく喋ってる。なんにも思ってない。君が死んでも…たぶん、なんにも感じない」グリィッ

カロル「いっ…た…!」ビクンッ
946:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2014/8/30(土) 22:07:44 ID:50l4o5eNes
ラム「…君は感じる?」ジーッ

カロル「うっく…か、感じるよ?」ダラァ

ラム「……」

カロル「ラムくんが笑ってくれたら嬉しい。怒ってたら怖い…。
悲しんでたらツラいし、悩んでたらボクも一緒に悩みたい?」

ラム「……」

カロル「キミは大切なともだちだから…ボクはキミを大切にしたいんだ?」

ラム「イラつかないなぁ…。おかしいなぁ…」

カロル「ラムくんは感情を無くしたりしてないよ?」

ラム「?」

カロル「たくさん動いたから疲れてるんだよ?ゆっくり休んで疲れを取ろう?」

ラム「…疲れてない。疲れない。生きてる心地がしない」

カロル「……」

ラム「体が疲れないのは便利だよ。でも違和感だらけなんだ。なにも思わないのに…何かがムズムズするんだ」

カロル「それはラムくんが感じてる不安じゃないかな?
なんで?なんで?って思うのも…感情が動いてるからでしょ?」

ラム「……」

カロル「体の傷を治しても…心が弱っていくんだよ。キミの心は不安でたまらないはずだよ?」

ラム「」グリィッ

カロル「んきゃっ!?い、いたいってば!?」ガクッ

ラム「あ、今イラッときた」ハッ

カロル「よ、よかったね…?」ヒクヒク
947:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2014/8/30(土) 22:09:52 ID:50l4o5eNes
ラム「君にはどうしたって伝わらないさ。僕は苦しかったんだ」

カロル「うん…。分かるよ?苦しかったよね?」

ラム「裏切られたら、お腹がキュッてして…息苦しいくらい胸が締め付けられる」

カロル「そうだね…」

ラム「君が誰よりも僕に近い筈なのに…君が誰よりも僕の邪魔をする」

カロル「うん。ごめんなさい」

ラム「でもいいんだ。なんにもいらない。なんにもない僕には裏切られる相手もいない」

カロル「…シープくんもバンパさんもキミを裏切ったりしないよ?」

ラム「あの二人は死んだ」

カロル「……」

ラム「バンパが切られたってシープが言ってた」

カロル「会ったの…?」

ラム「会ったよ。シープは…僕が殺したから」

カロル「……!」

ラム「裏切ったクセに助けてとか都合よく言うから…イライラしたんだ」

カロル「シープくんもバンパさんも…ずっとラムくんを心配してたよ?
話し合いが終わったら、みんなで探しに行こうって言ってたんだよ?」

ラム「そう。どうでもいいや」

カロル「ラムくん…!」ガシッ

ラム「…なんにも思わない。やっぱり僕は……」

カロル「あるよ!感情ある!ラムくんは感情が無くなったって思い込んで逃げてるだけだよ!」ユサユサ
948:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2014/8/30(土) 22:22:52 ID:zCiLP5rgZc
ラム「…そんなに動いて痛くないの?」グラグラ

カロル「傷口が開いて痛いよ!痛くても…キミを助けたい!」ユサユサ

ラム「助ける?どうして?僕は助かってるよ?」グラグラ

カロル「ウソだよ!逃げちゃダメ!」ユサユサ

ラム「なんにも思わないし、なんにも感じない。疲れないし、元気にもならない」ブラブラ

カロル「そんなことない!勘違いだよ!」ユサユサ

ラム「復讐する理由もわからない。復讐したかった気がする。
それが生きる目的で…感情があったら僕は君を殺してる」グラグラ

カロル「うっ…!い、いたぁ…」ズキッ

ラム「だから言ったのに」ボーッ

カロル「気にしないで…!キミの話、全部聞くよ…?」タラァ

ラム「生きる目的もわからなくなった。あの感情が思い出せないんだ」

カロル「思い出せないんじゃない!思い出したくないんだ!だから…だから…」

ラム「ねぇ、カロルくん…僕は生きてるのかな?」

カロル「生きてるよ!だから…これからも生きていかなきゃ!」

ラム「…永遠の命をもらったのに…生きてる気がしないよ」ボーッ

カロル「ちゃんと生きてるよ!」

ラム「君を殺したら…殺したかった気持ち、思い出せるかな…」

カロル「ボクを殺したいなら殺してもいいよ!キミの生きる理由になるんなら、ボクを殺す為に生きればいいじゃない!」

ラム「…」チャキッ

カロル「い、い…いいよ!もう力は使わない!ボクを殺してよ!」

ラム「」ヒュッ

ドスッ
949:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2014/8/30(土) 22:25:02 ID:zCiLP5rgZc
カロル「……!」

ラム「いっ…たぁ…」グチュッ

カロル「な、なん…で!ボクは…うっ…ここにいるでしょ?」ゴフッ

ラム「……」ズボッ

ラム「」シュウウウウウ

ラム「ふぅ…」

カロル「……」

ラム「…痛みは感じる。でも虚しさの方が感じる」

カロル「やめなよ…。自分を傷付けるの」

ラム「殺してって懇願してくるような奴に言われたくない」

カロル「…言われたくないって思えるんじゃない…。イヤなことはイヤって言えるでしょ?」

ラム「……」

カロル「すぐ治る体に頼ってムチャするから…心が疲れてるんだよ…?」

ラム「……」

カロル「」クラッ

ラム「……」

カロル「あはは…血、出しすぎちゃったかな」ドロォ

ラム「力で治せばいいよ」

カロル「いいの?そんなことしたらボク死なないよ?」

ラム「君の方が僕よりムチャしてるよ。なのに君はなんともない。
裏切られた直後に信じるなんて僕にはできない。傷付けられた相手を許すなんてできない」

カロル「……」

ラム「なんにもないって言ったけど、なんにもないのも悪くないかもよ。
なんにもないから苦しまないし、なんにもないから余計な感情に支配されない」

カロル「ほら、やっぱり忘れたいんでしょ?」

ラム「かもね」
950:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2014/8/30(土) 22:28:44 ID:zCiLP5rgZc
ラム「シープが息絶える寸前まで泣きながら許しを乞う姿は…吐き気がした。
みじめでバカバカしいんだけど…同時に内心、許したくなった自分にも吐き気がした」

ラム「でも手遅れだった。僕は君と違って誰かを癒す力はないから。
ただ苦痛に耐えながら治るのを待つだけの力じゃ瀕死のシープを助けられない」

ラム「旅人に裏切られた時も…甘い言葉にあっさり騙された。
あの屈辱感は忘れられない筈だった。だけどもう他人事みたい」

ラム「両親を村から追い出したアルの連中も…ここが終わったら殺すつもりだった。それすらどうでもよくなった」

ラム「君を見つけたら真っ先に殺すって決めてた。でもどんどん薄れてく」

カロル「……」

ラム「…僕はどうすればよかったんだろう。憎くて憎くてたまらなくて…復讐がしたかっただけなのに…」

ラム「神なんて信じてないけど…もしいるんだとしたら、なんで僕から復讐さえ取り上げるのかな。
空っぽの心と死ねない体で復讐もできないまま、僕はボーッと生きていくのかな」ボーッ

カロル「……しっかりして?さっきはイラッとしたんでしょ?大丈夫だよ…!」

ラム「…もうほっといて」

カロル「ほっとけないよ!」

ラム「どうでもいい…どうでもいい…」クタァ

カロル「……!」カッ
951:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2014/8/30(土) 22:36:52 ID:zCiLP5rgZc
カロル「どうでもよくなんかないよ!」パシンッ

ラム「いたっ…!」ヒリヒリ

カロル「立って!」グイッ

ラム「…やめて。もういいって」ダラーン

カロル「ラムくんはズルいよ!自分ばっかり復讐とか憎しみに囚われてさ!
たくさんの人間とホビットが死んだのに!どうでもいいなんてダメだよ!」ググッ

ラム「……」カチンッ

カロル「最初は裏切られてきたのかもしれないけど…途中からただの分からず屋だったもん!」

ラム「腕…痛いんだけど…」イラッ

カロル「なら起きてよ!ボクだって血が止まらなくて苦しいんだからね!」グイッグイッ

ラム「癒せばいいだろ…」

カロル「イヤだ!ボクはラムくんみたいに力に甘えない!」

ラム「は…?」

カロル「忘れちゃったからいいやとか!感情ないからどうでもいいやとか!
自分のしてきたことが怖くなって逃げてるなんてラムくんらしくないよ!!」

ラム「はぁ!?」イライラ

カロル「ほら!怒ってる!感情あるんだよ!」

ラム「怒ってないけど!?」スクッ

カロル「立てるんじゃない!なんで座り込んだりするの!そんなに慰められるのがイヤだった!?」

ラム「疲れないからね!立てるよ!」

カロル「ひどい!ボクはホントに心配してたのに!?」

ラム「大きなお世話だね!誰も君に心配してほしいなんて言ってない!」
952:🎏 ◆WEmWDvOgzo:2014/8/30(土) 22:45:18 ID:zCiLP5rgZc
カロル「意地っ張り!」

ラム「君がね!」

カロル「う…分からず屋!」

ラム「君がね!」

カロル「あう…う……」

ラム「君がね!」

カロル「うわーん!なんにも言ってないじゃない!」シクシク

ラム「(……!いつもそうだ!気付いたらこいつのペースに……)」ギリッ

ラム「ぼ、僕は君みたいに感情をさらけ出す性格じゃないんだよ!」

カロル「……!」

ラム「なんでもきれいごとで済ませて…そういうところが嫌いなんだ!」

カロル「……」フラッ

バタッ

ラム「カロルくん!?」ガバッ

カロル「っ……!」ドロォ

ラム「…なにしてるのさ!力を使えばいいだろ!?」

カロル「ボクが…死んでも…っ…悲しくないでしょ?」ゴボッ

ラム「…か、悲しくないね!君なんか大嫌いだ!殺してやりたくてしょうがなかったよ!」

カロル「そ…か…」シュン
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うpろだ
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