前スレ
(少年「ボクが世界を変えてみせる」)
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―――あらすじ―――
人間によるホビットへの差別が当然のように行われる時代
人里を離れ、森の中で静かに暮らしていたホビットの親子がおりました。
母親の名はマリー。子供の名はカロル。
二人はささやかな幸せを願って、穏やかな日々を送っていました。
母は今の生活に満足していました。
もちろん森の中での生活は不自由で贅沢とは無縁なものでしたが多くを望まない母にとっては愛する我が子と生きていけるだけで幸せだったのです。
しかしカロルは違いました。
もちろん愛する母と生きるのに不満はなく、彼自身も多くを望もうとは考えません。
ですが彼にとって一つだけ足りないものがあったのです。
それは友達という存在でした。
幼心に自分たちの置かれた立場は分かっていたつもりでした。
人目を逃れて生きるホビットには仲間もなく、心を通わせる相手を見つけるのはとても難しいと。
それでも小さな身体に宿る希望は膨らむばかりです。
743: ◆WEmWDvOgzo:2014/7/18(金) 21:11:34 ID:1aH10lqnhU
宣教師「か、カロル…くん」
ルーボイ「そうだよ!あいつ宣教師様も一緒だって言ってたぞ!?」
宣教師「うっ…えっ…えうっ…」ポロポロ
ルーボイ「な、なんで…なんで…もっと泣くんだよ…?」
アリアス「教えてあげたら?あなたのだぁい好きな"真実"を?」クスクス
宣教師「か…カロル…くんは…」ポロポロ
マルク「きゃんっ!」ブンブンッ
ルーボイ「ま、マル…ク……お前まで、どうしたんだよ?」ポロポロ
司祭「…たかだかホビット一匹風情にようそこまで浸れる感傷があったもんじゃな?」ジロジロ
宣教師「すみません…。マルクくんには…申し訳ないことをしました…」キュッ
マルク「クゥーン…」ションボリ
ルーボイ「あーもう!?意味わかんねーよ!?早く言えよ!?」ワシャワシャ
宣教師「私が…守ると誓ったのに…彼もお母様も……」グシッ
744: ◆WEmWDvOgzo:2014/7/18(金) 21:13:41 ID:1aH10lqnhU
ルーボイ「…う、うそだろ?」ポカーン
宣教師「ひっ…うっ…うぅ…」ポロポロ
マルク「……」ズーン
司祭「……」
アリアス「結論に至りましたし、そろそろ始末しますか?」
司祭「…ふむ。そうじゃな。頃合いか」
アリアス「……?どうかされましたか?」
司祭「なぁに…面白がって眺めていただけじゃ?犬もガキも殺れ?」クイッ
アリアス「はっ!」スタスタ
ルーボイ「(そっか…あいつ…死んじゃったんだ)」ボーゼン
ザッ
ルーボイ「(謝りたかったな…。あいつなら…笑って許してくれたかもしれないのに)」
宣教師「」ハッ
宣教師「ルーボイくん!!」ガバッ
ルーボイ「えっ」ザウッ
ズザァッ!
745: ◆WEmWDvOgzo:2014/7/18(金) 21:16:39 ID:1aH10lqnhU
ルーボイ「いっ…つつ…」ズキズキ
宣教師「だい…じょうぶ…ですか?」ハァッハァッ
ルーボイ「せ、宣教師様…なんで乗っかってんの?」キョトン
宣教師「キミを…守りたいからです!」ギュッ
ルーボイ「!?」ボッ
アリアス「…その重体でよく庇えたものね?」ジーッ
宣教師「私から大切な子達を…これ以上、奪わないでください!」ギュゥゥッ
ルーボイ「せ、せせせ…せん…きょうし…さま?」ドキドキ
アリアス「ダメよ〜?ダメダメ?」ジリッ…
宣教師「」ビクッ
アリアス「あなたの大切にしてる物…根こそぎ奪ってあげるわ?」ガシッ
宣教師「やめっ…は、離しなさい!」ググッ
アリアス「なにもかも奪われたあなたに残された宝物は…かつてあなたに無償の愛をくださった司祭様に他ならないわ?」グイッ
宣教師「きゃっ!」バウンッ
ズダァンッ
宣教師「ひっ…ぐっ…」ゴロン
ルーボイ「せ、せん…せんきょうしさま〜」フワァ〜
アリアス「…さすが経験豊富な宣教師様?おモテになりますこと?」クスッ
司祭「…あまり手荒に扱うでない?死んだらもとも子もなかろうが?」
746: ◆WEmWDvOgzo:2014/7/18(金) 21:20:02 ID:Xe.XD0XVww
マルク「がうっ!」バッ
アリアス「ふふ?」ヒュッ
バキッ
マルク「ぎゃんっ!」ズサァッ
アリアス「主人も守れない飼い犬が手を出すんじゃないわよ?」
ルーボイ「」ハッ
アリアス「夢からお目覚め?」ニコリ
ルーボイ「ゆ、許さねぇ!」ムクッ
ズシッ
ルーボイ「むぎゅっ!?」ダンッ
アリアス「誰が?誰を?」グリグリ
ルーボイ「ぶっ!ぶぐぐっ!?むぐぅぅ!?」ジタバタ
司祭「かっ…はぁ!?」ドサッ
アリアス「え?」クルッ
ズッ ブシュッ
ラム「ホビットが人間を…じゃないかな?」ダラァ
アリアス「……!?」ゾゾッ
747: ◆WEmWDvOgzo:2014/7/18(金) 21:24:39 ID:1aH10lqnhU
司祭「うぐ…」ピクピク
アリアス「司祭様ぁぁぁぁぁ!?」ダッ
ラム「あはは、あはは、あはははは」ケラケラ
アリアス「司祭様!司祭様!司祭様!司祭様!」ガバッ
司祭「ア……リア…」ハァッハァッ
アリアス「お気を確かに!軽傷ですわ!?」アタフタ
ラム「」ヒュンッ
アリアス「」パシッ
ラム「…あれ?掴まれちゃった?」グッグッ
アリアス「…お前、何者?どこから沸いてきたの…?」ギュゥゥッ
ラム「いっ…たぁ!おばさん、すごい力だね?」キュッ
アリアス「おばさん…!?」ビキィッ
ルーボイ「(あ、あいつ…!)」ハッ
748: ◆WEmWDvOgzo:2014/7/18(金) 21:27:36 ID:Xe.XD0XVww
アリアス「その濁った黄色い瞳…よく見るとホビットね?」ギリッ
ラム「その隠しきれてないシワの数…よく見なくてもおばさんだね?」クスッ
アリアス「はぁ!?」プッチン
ラム「離してくれる?痛いんだけど?」グッグッ
アリアス「離すと思う!?」ギュッ
ラム「あっそ!」シュッ
ドフッ
司祭「うがあっ!?」ビクンッ
アリアス「司祭様!」パッ
ラム「」ササッ
アリアス「き、傷付いた老人を蹴るなんて…どういう神経してるのよ…!?」ワナワナ
ラム「よっぽどそのおじいさんが大事なのかな?意外と簡単に離してくれたね?」
司祭「うっ…ぐうっ…」ズルッズルッ
アリアス「う、動いては…安静になさりませぬと!?」アタフタ
ラム「ミジメだね…芋虫みたい?」プッ
アリアス「……お前も芋虫になってみる?」ギロッ
ラム「おじいさんの背中を引き裂いたら、キレイな蝶々が出てくるかな?」クスッ
アリアス「ホビットらしい低俗な発想ね…!」イラッ
749: ◆WEmWDvOgzo:2014/7/18(金) 21:32:15 ID:Xe.XD0XVww
>>735
ノロマで申し訳ありません…。
もう少し早く更新できるようにがんばります…!
支援ありがとうございました!
750: ◆WEmWDvOgzo:2014/7/20(日) 21:56:43 ID:604BxdA6c.
アリアス「いいわよ…。その下品な感性ごと消し去ってやろうじゃない!」スクッ
ラム「僕を相手してていいのかい?おじいさん、死んじゃうかもよ?」クスクス
司祭「ぁうぅぅ…はぁぁ…!」ズルッズルッ
アリアス「…一瞬で終わらせて手当てすれば問題ないでしょう!?」ダッ
ラム「やあっ!」シュバッ
アリアス「ノロマね…?」サッ バッ
ラム「……!?」ピクッ
アリアス「捕まえた」ガシッ
ラム「(まず…!)」グッ
アリアス「」バウンッ
ズダァンッ
ラム「っ……っ…」ズシャッ
アリアス「」グイッ ギュッ
ラム「っ!?っ!?」パクパク
アリアス「このまま絞め殺してあげるわ?」ギュゥゥッ
ラム「〜〜〜!?」ジタバタ
アリアス「ふふ…紫色に腫れ上がってきた…?
知ってる?紫は高貴な色とされているのよ?お前には不相応よね?」ニヤリ
ラム「っ……!?」プルプル
アリアス「紫色に染まるのはつまり…行き場を失った血が一ヶ所に留まって破裂しようとしているの?
呼吸を止められた上に内部からブチブチと崩壊の音色が奏でられる恐怖を…とくと体感なさい?」ニヤニヤ
ルーボイ「やめろぉ!?」バッ
アリアス「!? さ、触んじゃないわよ!セクハラよ!セクハラ!?」ガッ
ルーボイ「いつっ!?うるせぇ!おばちゃんこそ、そいつ離せよな!」ググッ
751: ◆WEmWDvOgzo:2014/7/20(日) 22:00:20 ID:6JhPr.yEps
ルーボイ「この!」ガシッ
アリアス「っ…邪魔くさいわね!」バッ
ルーボイ「手ぇ離せよ!死んじゃうだろ!?」グイッ
アリアス「邪魔だって言ってんのよ!?」ドンッ
ルーボイ「わっ!」ズサァッ
マルク「わうっ!!」ダッ ドカッ
アリアス「きゃああ!?」ドサッ
ルーボイ「ま、マルク!サンキュー!」パァァ
マルク「うぅぅ…!」ヨロッヨロッ
ラム「うぇほっ!うぇほっ!」ゲホゲホ
アリアス「ガキとケダモノが大人に逆らうんじゃないわよぉ!?」ムクッ
マルク「」グラッ バタッ
ルーボイ「…マルクも休んでろよ!」ヒョイッ
アリアス「お前に何ができるワケ?」ズイッ
ルーボイ「うるせぇ!」キッ
752: ◆WEmWDvOgzo:2014/7/20(日) 22:03:12 ID:6JhPr.yEps
アリアス「あんたたち…後悔しても知らないわよ?」ギロッ
ルーボイ「っ!」グッ
アリアス「その棒切れで何する気?チャンバラごっこに付き合う気はないのだけれど?」クスッ
ルーボイ「うらあっ!」ブンッ
アリアス「」パシッ
ルーボイ「……!」ググッ
アリアス「」ポキッ
ルーボイ「うあっ」ズルッ バタッ
アリアス「バカ丸出し!きゃはははは!?」ゲラゲラ
ルーボイ「う、うる……」ムクッ
アリアス「きゃはははは!!」ビュンッ
ルーボイ「があっ!?」ズブッ
アリアス「おんなじ枝でも…使い手によっては殺人だってお手軽なのよ?」グンッ
ルーボイ「あぁうぁぅ…!て、手が…手がぁ…!?」ズブズブ
アリアス「…地べたに張り付いてなさい?おチビちゃん!」スクッ
ルーボイ「ぎゃああ!痛い!痛いよぉ!?」ジワァ
アリアス「…待たせたわね?あんたもちゃんと殺し……」クルッ
シーン
アリアス「え?どこに……」キョロキョロ
ギャアアアア
アリアス「」ビクッ
アリアス「司祭様!?」バッ
753: ◆WEmWDvOgzo:2014/7/20(日) 22:04:40 ID:604BxdA6c.
司祭「ぎ、ぎざまぁ〜!」ガクガク
ラム「ふぅ……疲れちゃった」ドフッ
司祭「お、降り…ろ!降りんかぁ!?」ジタバタ
アリアス「」ジリッ…
ラム「あ、来ちゃうの?それならおじいさん、殺すけどいいよね?」クルッ
アリアス「」ギクゥッ
ラム「試しに動いてみたら?」
アリアス「……」ピタリ
司祭「なぜ…なぜじゃ!ホビットは……ヘマトバザールが…!」
ラム「ヘマトバザール?あいつらなら、全員死んだよ?」
司祭「……なんじゃと…!?」ギョッ
アリアス「そんな筈…!?」
ラム「あ、動いた?口動かしたよね?」スルッ
アリアス「……!わ、分かったわ!もう動かない!だから……」アタフタ
ラム「気を付けた方がいいよ。僕、こう見えて…ギリギリなんだ」ギラッ
司祭「……!?」ビクビク
ラム「みーんな、きれいごとに引っ張られちゃってさ?おかげで僕は一人ぼっちだよ?」
ラム「人間も同族も大嫌いさ?悲惨な真実より都合のいい嘘を選ぶんだ?」
ラム「」ヒュッ
ザクッ
アリアス「!?」
ラム「そう思わない?おじいさん?」ズブッ
754: ◆WEmWDvOgzo:2014/7/20(日) 22:06:52 ID:604BxdA6c.
司祭「……!……!」ドキドキ
ラム「びっくりした?刺されたと思ったでしょ?」ニコッ
司祭「ぶはぁっはぁっ!」ゼッゼッ
アリアス「……!」バックンバックン
ラム「はぁ…なんで誰も分かってくれないのかなぁ?」ズボッ
司祭「な、何がしたいんじゃ!目的は…!?」ブルブル
ラム「」ヒュンッ
ズドッ
司祭「ひああ!?」ビクッ
ラム「う〜ん……目的はないけど?」ズボッ
司祭「し…心臓に…悪い……」ゼッゼッ
ラム「…爛れて、膿んで、蝕まれそうなんだ。焼け付く怨み辛みに?」
司祭「はぁっ…はぁっ…」
ラム「あぁ…どうすれば分かってくれるんだろうね?僕は間違ってない筈なのに?」
司祭「(い、意識が朦朧と…)」グワングワン
アリアス「(…傷は浅かったけれど、長時間の流血は体力的にも極めて危険…!どうにか隙を見て…!)」
ラム「そういえばさ」ズシッ
司祭「ぐわぁっ…!た、体重をかけるな…!」ヒクヒク
ラム「その木の実に向かって這ってたよね?なんで?」ビッ
司祭「……!」ドッキンチョ
ラム「傷を負った老人が最初にする事かなぁ?」フンフン
アリアス「(か、果実に興味を示した…!)」
755: ◆WEmWDvOgzo:2014/7/20(日) 22:08:14 ID:6JhPr.yEps
ラム「それともおじいさんが意地汚いだけ?」
司祭「……」グッ
アリアス「……」
ラム「…なに黙ってんの?聞いてんでしょ?」ギラッ
司祭「あひぇっ…!?」ビクッ
アリアス「や、やめ…」バッ
宣教師「やめなさい!!」
ラム「……?」ピタッ
宣教師「はぁっ…はぁっ…」ゼェゼェ
ラム「僕に指図してんの?」ジッ
宣教師「どの…ような理由が…うっ!あ、あるにせよ、人を殺めては…なりません」ヨロッ
ラム「きれいごと……」イラッ
アリアス「(奴の意識が宣教師に逸れてきた…)」ジャリッ
756: ◆WEmWDvOgzo:2014/7/20(日) 22:10:18 ID:6JhPr.yEps
宣教師「…キミがなぜ、人を恨むのかはだいたい察しが付きます…。
ですが、その憎しみを誰かにぶつければ…キミはその老人のように復讐に取り憑かれてしまいますよ」ゼェゼェ
ラム「きれいごとしか言えない奴に…分かったフリしてほしくない」
宣教師「言葉にするからには…意味があって言ってるんです。偽善と思われようと構いません…」
ラム「……」ジーッ
アリアス「(今なら…!)」ダッ
ズンッ!
司祭「ぶ……おおぉぉおおあぁぁあ!?」ズブッ
アリアス「え!?」ピタッ
宣教師「」ビクッ
ラム「」グッ
アリアス「な、なにする気…!?」ギョギョッ
ラム「ふふ!」グンッ
ズバァァァァァ!
司祭「はっぎゃああいぃぃぃいい!?」ブッシャアアアア
アリアス「わああああああ!?」ヒエー
宣教師「うっ…」プイッ
ラム「動くなって言ったじゃないか?なんで動いちゃうわけ?」ピシャッピシャッ
アリアス「あぁ〜……!」ヘナヘナ
司祭「がひゅぅぅ!?びあっぴゃ!?」バタバタ
ラム「…うーわ、気持ち悪?やっぱり背中を裂いても蝶々は出てこないか?」スッ
アリアス「あぁ〜……!」ヘナヘナ
757: アリアスが二回ヘナヘナしてるのは誤植です。すみません ◆WEmWDvOgzo:2014/7/20(日) 22:13:05 ID:604BxdA6c.
宣教師「……!」プルプル
ラム「」チラッ
宣教師「人の命をなんだと思ってるんですか!!」カッ
ラム「は?」キョトン
宣教師「たとえ悪人であろうと、どんな理由があろうと…他者の命を奪っていい道理などありません!!」スタスタ
ラム「……」
宣教師「その手を汚してしまう事が何より重い罪と知りなさい!」ブンッ
パシンッ
ラム「っ…」ヒリヒリ
宣教師「……!」フーッフーッ
ラム「」ブンッ
パシンッ
宣教師「っ…!?」ヒリヒリ
758: ◆WEmWDvOgzo:2014/7/20(日) 22:14:27 ID:604BxdA6c.
ラム「きれいごと…きれいごと…」ワナワナ
宣教師「……?」
ラム「きれいごとで何が変わるんだよ!?」ドカッ
宣教師「う!」ドサッ
ラム「お前のきれいごとは僕の心すら動かせない!」
宣教師「うっ…あぁ…はぁぁ…!」ギュッ
ラム「そんな薄っぺらい言葉で何か一つでも変わるなら…初めから不幸になんてならないんだよ!?」
宣教師「……!でしたら…なぜ…幸せになろうとしないのです!?」ググッ
ラム「……!?」
宣教師「…き、キミは…自ら不幸になろうとしている…!」
ラム「なろうとしてるんじゃない!不幸なんだよ!最初から幸せになんかなれないんだ!」
宣教師「なれますよ…。あなたは…自分が不幸せだと思い込んで…諦めているだけ……」
ラム「分かったフリをするなぁ!!」バッ
宣教師「私は…知っています。恵まれない環境に生まれながら…ささやかな出来事に感謝し、幸せに暮らしていた親子を…」
ラム「人間と一緒にするなよ…!」ワナワナ
宣教師「彼らは…人とホビットの…混血です」
ラム「」ピクッ
宣教師「彼らに出会えたから…私は過ちに気付けました…。キミも…自分を追い込まずに…」
ラム「気付いたって遅いんだよ…。してきた事は無くならない」
宣教師「…それも、そうですね」フッ
ラム「きれいごとは信じない…。自分をよく見せたいだけのクセに…!」ギリッ
宣教師「……」
759: ◆WEmWDvOgzo:2014/7/20(日) 22:16:17 ID:604BxdA6c.
ラム「たとえばさ?お前の好きなきれいごとでその傷がどうにかなる?
結局、無駄死にするなら好きに生きとけば良かったとは思わない?」
宣教師「はは…無茶言わないでください?
それに死ぬつもりなんて、これっぽっちもありませんよ…つつ!」ズキンッ
ラム「その状態で何ができるの?ぼろぼろじゃないか?」
ルーボイ「せ、宣教師様!!」ヨロッヨロッ
宣教師「ルーボイ…くん!そ、それは…!?」
ルーボイ「いってぇ〜!あのおばちゃんにやられたんだよ!」ズキズキ
宣教師「子供の両手を貫通させるなんて…とんでもないですね…!うっ!」ズキンッ
ラム「き、君は…」
ルーボイ「おう!久しぶりだな!早くこの枝抜いてくれよ!」スッ
ラム「え?」
ルーボイ「ほら!早く!両手重ねて刺されたから自分で抜けねぇの!」グイグイ
ラム「あ、うん…」グッ ギュポッ
ルーボイ「いっ…!も、もっと優しく抜けよな!?」ブシュッ
ラム「ご、ごめん…」
ルーボイ「よっしゃ!宣教師様、おんぶすんぞ!」ガバッ
宣教師「えっ…い、いや…私、その…お、重いですし…キミの体じゃ…それにケガもなさって…」タジタジ
ルーボイ「うっ…!ほ、ほんとだ…!宣教師様、おんもっ!痩せろよ!」ググッ
宣教師「…し、身長だってありますけどね?むしろ身長の問題の方が大きいと思いますけどね?」
ラム「……」
ルーボイ「なにボケッとしてんだよ!お前も肩持てよ!?」プルプル
ラム「えっ」
760: ◆WEmWDvOgzo:2014/7/20(日) 22:19:00 ID:6JhPr.yEps
ザッザッ ザッザッ
ラム「(なんで僕が……)」グッ
ルーボイ「ラム!」
ラム「…なに?」ジロッ
ルーボイ「助けてくれたサンキューな!宣教師様も俺も司祭様たちに殺されんとこだった!」ニカッ
ラム「」ドキッ
ルーボイ「お前ってひねくれてんけど、なんだかんだでいい奴だよな?」
ラム「べ、べつ…に…そんなこと、ない」プイッ
ルーボイ「照れんなし!」
ラム「…照れてないよ。あてもなく歩いてたら、たまたま人間を見つけたから…腹いせに殺してやろうと思っただけさ」
ルーボイ「はぁ?ウソじゃん?前もそんなん言って行商人のおっちゃん、殺してなかったじゃねぇか?」
ラム「あ、あの時は…!き、君を試したかったから!」アセアセ
ルーボイ「よくわかんねーけど試したって事は…お前ん中でまだ人間を許せる気持ち、あるんじゃねーの?」
ラム「……ありえないね」ムスッ
ルーボイ「なに拗ねてんだよ?」キョトン
ラム「別に…!」フンッ
761: ◆WEmWDvOgzo:2014/7/20(日) 22:20:19 ID:604BxdA6c.
宣教師「」ハァッハァッ
ルーボイ「大丈夫?宣教師様、顔が青いぞ?」グッ
宣教師「心配…いりません。それより…キミたちは顔見知りなのですか?」
ルーボイ「うん!迷子…じゃなくてパッチ探してた時に追い剥ぎしてたヤツ!」
宣教師「あぁ…一時期、噂になっていましたね…。行商人や旅人を襲って荷物を奪う…ホビット?」
ラム「生きる為ならなんだってするさ。悪い?」
宣教師「まぁ…なんとも言えませんが」
ルーボイ「マルク!大丈夫か!」
マルク「くぅ…クゥン!」ヨタヨタ
ルーボイ「よーし!えらいぞー!」
マルク「あんっ!」ピシッ
宣教師「…ルーボイくんはたしか…動物が苦手だったのでは?」
ルーボイ「大聖堂でナラと一緒にウサギの世話してたら慣れた!」
宣教師「ウサギ…?いましたっけ?」
ルーボイ「あっちのシスター達がマルクみたいなペット欲しいっつってミラルドの町まで行って買ってきたんだよ!」
宣教師「み、ミーハーですね…」
ルーボイ「ラム!しっかり肩持ってろよ!ナラたちと合流するまで落とすなよ!」
ラム「(なんか流されてる気がする…)」
ザッザッ ザッザッ
762: ◆WEmWDvOgzo:2014/7/27(日) 21:38:39 ID:Id45RKe/cY
アリアス「……」
アリアス「……司祭様が死んでしまったら、私達の理想郷、建国はどうなるの…!?」ワシャッ
アリアス「実の栽培にしたって…手掛かりは古文書だけ……解読出来るのは司祭様しかいない…!」ガシガシ
アリアス「神官は……おそらく司祭様の知ってる以上の事は知らない…」
アリアス「…これじゃ計画が台無しよ!
たとえ永遠の命だけ手に入れても…先の見込みがなかったら、そんなのは生き地獄でしかないわ…」ブルッ
アリアス「教団が繁栄して安寧と享楽を貪るには…神秘に包まれた永遠の国でなくてはならない…!
司祭という絶対的な存在が永遠に生き永らえ、認められた人間が永遠の命を授かる…!
この形が最も自然で揺るぎない説得力を産み出すのに……」ガリガリ
アリアス「こうなったら神官が司祭に……いや、神官はダメよ!あの方は何を考えてるのか分からない…!
今回にしてもお膳立てに徹して大した見返りも求めてない…。そういう奴が一番、ブキミなのよ!」
アリアス「かといって私じゃ司祭様の代わりはできない…。
司教や神官のように正式な位を持たないから、まず認めてはもらえないわ…!」
アリアス「あぁ!どうしたらいいのよ!土壇場で一体なにをやってるの!想定外もいいとこよ!?」ガリッ
アリアス「…今まで欲望を押し込めてまで付き従ってきたのは何の為…!?
40も後半に差し掛かって…女の寿命が間近にあっても堅苦しい規則に縛られて……!?」
アリアス「これからは好き放題に若い男をはべらして、宝飾品に囲まれて、高級な物だけを口に入れて、渋みのある二枚目の使用人を奴隷みたいにコキ使って…!
庭には専用の遊泳場!白馬が駆る馭者付きの馬車!おしゃれな椅子やテーブルを並べた開放的で優雅な食事場!
遊んで暮らして…貴族も羨むような豪遊生活を思い描いてきたのにぃ!?」ワシャワシャ
司祭「」ピクッピクッ
アリアス「」ビクッ
司祭「」ダラァァ
アリアス「ノワールさま!?」ガバッ ピトッ
アリアス「…まだ息がある!?」バッ
アリアス「……」
アリアス「だから何よ。どうしようもないじゃない…」フッ
アリアス「どうしようも……」
アリアス「……!」ハッ
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