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カロル「ボクが世界を変えてみせる」
[8] -25 -50 

1: ◆WEmWDvOgzo:2013/11/24(日) 19:26:09 ID:j5u3Ryt06o
前スレ
(少年「ボクが世界を変えてみせる」)
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/1-50


―――あらすじ―――

人間によるホビットへの差別が当然のように行われる時代
人里を離れ、森の中で静かに暮らしていたホビットの親子がおりました。
母親の名はマリー。子供の名はカロル。
二人はささやかな幸せを願って、穏やかな日々を送っていました。

母は今の生活に満足していました。
もちろん森の中での生活は不自由で贅沢とは無縁なものでしたが多くを望まない母にとっては愛する我が子と生きていけるだけで幸せだったのです。

しかしカロルは違いました。
もちろん愛する母と生きるのに不満はなく、彼自身も多くを望もうとは考えません。
ですが彼にとって一つだけ足りないものがあったのです。
それは友達という存在でした。

幼心に自分たちの置かれた立場は分かっていたつもりでした。
人目を逃れて生きるホビットには仲間もなく、心を通わせる相手を見つけるのはとても難しいと。
それでも小さな身体に宿る希望は膨らむばかりです。


722: ◆WEmWDvOgzo:2014/7/6(日) 21:15:03 ID:604BxdA6c.
大臣「んぅ〜!んぅ〜!」モガモガ

政務官「」ジタバタ

団長「なっ…!避難したのではなかったのか!?」

妃「ふぶ〜…ひゅ〜!!」シクシク

ヒメ「は、母上…おまえ達が拘束したのか!?」

信者6「ひぃっ!」

信者7「わ、私達は言われるがままに…!」

カロル「あれ…なに?」

ヒメ「え?あれ……!?」ビクッ

アントリア「クックッ!」ニヤニヤ

死体「」

ヒメ「ち、ちち…うえ…!?」

カロル「え!?」

団長「へ、陛下…!」

ヒメ「うわああああああああ!!!」ダッ

死体「」

ヒメ「父上!!父上ぇぇぇええ!!?」ガバッ
723: ◆WEmWDvOgzo:2014/7/6(日) 21:16:24 ID:604BxdA6c.
ヒメ「…ダメ…か?」ブルブル

カロル「……」ピトッ

死体「」

カロル「っ……」プイッ

ヒメ「…ダメ、なんだな?」ブルブル

カロル「…ごめん」シュン

ヒメ「あぁぁ…!あ……あああああああ!!!」ポロポロ

シーン

団長「…誰だ」ガシッ

信者1「ぐえっ」グイッ

団長「陛下に手をかけたのは誰だ!誰の仕業だぁ!?」ガッ

信者1「ち、違います!私じゃない!」ブンブンッ

団長「貴様か!?」ギロッ

信者2「ひっ!ち、違う!?」タジッ

団長「では誰なのだぁ!?」

信者3「そ、それは…」チラッ

団長「む!?」ギロッ

スタスタ スタスタ

団長「」ハッ

ヒメ「うっ…うえっ…!うわあああん!!」ガバッ

カロル「……」オロオロ

アントリア「」ジャキッ

団長「貴様ぁあああ!?」ダッ

アントリア「目を覚ましてあげようか…」ブンッ

カロル「へ?」クルッ

ズバッ!
724: ◆WEmWDvOgzo:2014/7/6(日) 21:19:16 ID:604BxdA6c.
ボトッ

カロル「えっ」プシャアアアアア

ヒメ「……!」

信者's「っ…!?」

大臣「んぅ〜!?」モガモガ

政務官「ううわぐぅぅぅあ…!」モガモガ

妃「むー!?」モガモガ

団長「…う、腕を…!」

カロル「あああ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!」ズダァッ

アントリア「さぁ、切り落とされた腕を治してみたまえ?」ジッ

カロル「いぃうっ!いたい…!いたいよぉ…!?」ゴロゴロ

アントリア「」ズシッ

カロル「ぎゃあああ゙あ゙あ゙!!?」ブシュゥッ

ヒメ「(うっ…切り落とされた右腕を踏んづけた…!?)」ビクビク

団長「うおおお!?」ドンッ

アントリア「がっ!?」ズサァッ

団長「陛下のみならず人とホビットの架け橋となる彼までも手にかけようと言うのか!この卑怯者め!!」ガシッ

アントリア「うっ…と、年寄りになんて事をするんだ、君は…?」グイッ

団長「だまれぇっ!?」ガッ
725: 724のヒメのセリフは(切り落とされた方の腕を踏んづけた)です。すみませんorz ◆WEmWDvOgzo:2014/7/6(日) 21:24:21 ID:604BxdA6c.
ギャアアアアアア!

団長「む!」クルッ

カロル「はぁっ…あっ…」ブルブル

ヒメ「……!?」

団長「おぉ、小童!大事ないか!?」ブンッ

アントリア「うぐっ…!」ドサッ

カロル「う、うん…びっくりしたけど…大丈夫」ムクッ

団長「そうか!それは何よりだ!腕も無事に……」ホッ

信者1「ば、化け物だぁ!?」ヒィィ

信者2「こ、殺せ!そのホビットは…やっぱり呪われてる!?」ビクビク

信者3「き、気味が悪い!なまんだぶなまんだぶ!」ブツブツ

団長「む…?なんだ、急に?」キョロキョロ

カロル「…わぁっ!?」ギョギョッ

ヒメ「い…い…ひぃぃ!」ズザザッ

団長「お、王子までどうされ……こ、これは!?」ピクッ

腕「」ゴロン

カロル「誰かの腕が落ちてるよ!?」

団長「き…貴様の腕じゃないのか!?」

ヒィィィィィィィイイイイ!
726: ◆WEmWDvOgzo:2014/7/6(日) 21:38:20 ID:604BxdA6c.
アントリア「」ムクッ

信者1「お、恐ろしい…!恐ろしい!?」ブルブル

アントリア「(王国軍と王子を味方に付けたのは想定外だったが…まぁこうなったか)」ジーッ

信者2「転がった腕が残っているのにあいつの腕は元通りだぁ!?」ヒィィ!

アントリア「(人間という生き物への認識が甘過ぎたのだよ…。ここにいる全員がね)」

団長「う、腕が落ちているのに腕がある…!つまり腕が三本ある!だが腕は二本しかないから、あの腕は偽物か!いやしかし腕を落とされたのは事実!つまり腕は四本あったんだなぁ!?」メダパニ

アントリア「(この場にいる誰もが…自分が我を忘れてる事にも気付かず、ただ目の前で起きた衝撃に対して素直な感想を述べている)」

大臣「あぅ…」ジョワー

アントリア「(取り乱す者もいれば、恐怖に負かされる者もいて…反応は様々だ)」

妃「」クラッ バタッ

アントリア「(…人間はか弱い)」

信者3「わああああ!!」ビュンッ

ビシッ

アントリア「(我先にと安全圏を求めて共通の敵を定め、大勢に紛れて石を投げつける…)」

ビュンッ ビュンッ ビュンッ

ビシッ ビシッ ビシッ

アントリア「(それを見ていたその他大勢が乗り遅れまいと必死に後を追っていく…)」

『呪われた種族!』 『化け物め!』 『気味が悪い!』

アントリア「(そしてまた差別が生まれる…。詰まる所はこの繰り返しだ…)」

アントリア「(人は理由にならない、説明できない事象を何より恐れる生き物だ…)」

アントリア「(漠然としていた意識を明瞭にさせれば…癒しの力という名前だけで納得できる代物ではないと理解する)」

アントリア「(雨降って地固まる等と言ったことわざもあるが…固まるまでの時は意外にも長く、湿った地面の泥濘に足を取られればもがいてやり場のない怒りに駈られるものだよ)」

アントリア「(要約すると人間は簡単に掌を返す…短絡的思考に左右される残酷な生き物だという事だ?)」ニヤリ
727: ◆WEmWDvOgzo:2014/7/9(水) 21:34:08 ID:1aH10lqnhU
ビュンッ ビュンッ ビュンッ

カロル「っ…!」ビシッ

団長「い、いかん!」ハッ

信者1「消えろ!薄汚いホビットめ!」ビュンッ

カロル「っ!」タラー

団長「や、やめ…やめないか。よってたかって…石を投げるのは…」

アントリア「そう思うのなら強い口調で止めたらどうだね?」パッパッ

団長「き、貴様に言われずとも…!」

アントリア「…本心では彼らに混じって石をぶつけたいのではないのかな?
この平原地帯なら、そこら中に落ちているよ?」

団長「だ、黙れ!そんな筈……」

アントリア「王子……貴方は今、どういった心境で?」

団長「そ、そうだ…!王子!彼らを止めましょう!」バッ

ヒメ「」ガクガク

アントリア「クックッ…まったく素晴らしい友情ですな?
大勢の攻撃を受けている友人を眺めて、ただ震えているとは?」

ヒメ「ち、ちが…う」ガクガク

団長「お、王子…」オロオロ

ヒメ「わか…てる…。分かってるけど…なぜか震えが止まらないんだよ…!」カタカタ

ワーワー ギャーギャー

アントリア「…少し離れようか。その方が落ち着くだろう?」

団長「……」
728: ◆WEmWDvOgzo:2014/7/9(水) 21:37:14 ID:1aH10lqnhU
――――――

ヒメ「」ブルブル

団長「お、王子!大丈夫ですか!」ハラハラ

アントリア「自分を騙してまで庇う事はないさ?一度に多く起こりすぎて混乱しているのだろう?」

ヒメ「な、なんとなく…分かる。腕が生えて…不気味ではあるけど、不自然な事じゃないんだ…」ブルブル

アントリア「だが…不気味さが勝れば疑念が沸く?
あの力はなんなのか?本当に癒しの力なのか?いや、そもそも癒しの力とはなんなのか?」

ヒメ「」ブルッ

アントリア「最終的に辿り着く答えは人の触れてはならない領域、人智を越えた何か…」

ヒメ「……」

アントリア「得体の知れない力を持った彼は…いずれ邪魔になるだろう?」

ヒメ「な、ならない…!」ブルブル

アントリア「貴方が信じていても民衆は、もう彼を敵と認めてしまった?」

ヒメ「せ、説得……」

アントリア「出来ないさ?今は友好的に見せかけているが…彼は一度、争いに身を投じたのだから?」

団長「それがどうした!?あの小童が戦いを挑んだのは仲間を想ってのことだ!!」

ヒメ「……団長」

団長「他のホビットにしても仲間想いで心優しい連中ばかりだ!
生死を分かつ戦場の中でさえ、仲間を庇って切られてみせた…あれはまさに武人の誉れだ!」

アントリア「…ではそれを信者に伝えてみてはいかがかな?」

団長「ぐっ…!」タジッ

アントリア「武人である前に貴方は役人だ?
この事態がそんな単純なものではない事も承知しているのだろう?」

団長「(…こいつの言う通りだ。あの薄気味悪い光景とホビットが反乱を起こした事実を目の当たりにしては…ますます民はホビットへの嫌悪感に囚われる!)」
729: ◆WEmWDvOgzo:2014/7/9(水) 21:39:13 ID:Xe.XD0XVww
アントリア「たとえ王子が強引にでも和睦を結び、彼らを迎え入れたとしてもだ?
今回の件で人の目は懐疑的になり、結果として差別は続く…」

ヒメ「(それじゃいけないんだ…。僕を信じて戦いをやめてくれたホビット達にとって…なにも変わらない事が最大の裏切りになる!)」

団長「ぬぅっ…!」ギリッ

アントリア「人とホビットの亀裂が残っている限り…またいつか反乱が起きる?
そうなった時、最初に消さなければならない危険因子は癒しの力を持つカロル君だ?」

ヒメ「そ、そんな事させるか!」

アントリア「そして決断を迫られるのは彼と友情を築き、和解を受け入れた王子……貴方自身なのだよ?」

ヒメ「なんだと…!?」

アントリア「ホビットとの絆を作っておきながら、自らの手で引き裂く結果になるだけではない?
向こうに転がる陛下と同様に責任を問われ、人望さえも失われる事でしょう?」

ヒメ「ち、父上…!」バッ

団長「はっ!そ、そうだった…陛下!?」

アントリア「先ほどはあの亡骸を抱いて涙まで流してみせたというのに…お二方は今の今まで忘れ去っていたのだね?」

ヒメ「ち、違う!違うんだ!」アタフタ

アントリア「認めたくないのはよく分かる?
肉親の死を掻き消してしまう程に…彼の不気味さに目を奪われていたのかもしれないね?」

ヒメ「…!」ガクガク

団長「そんな……バカな…!」ワナワナ
730: ◆WEmWDvOgzo:2014/7/9(水) 21:41:42 ID:Xe.XD0XVww
アントリア「破滅を招く存在だと分かっていて、それでもなお友情を大切にしたいと言うのなら……僕は迷わず身を引こう?」

ヒメ「あ…う……」グワングワン

アントリア「貴方の理想とする"皆の力で造り上げる国家"は…ホビットという異物が引き金になり、徐々に歪み…崩壊の一途を辿る?」クスッ

ヒメ「僕は…あいつを…」グワングワン

団長「王子!乗せられてはなりませぬぞ!」

アントリア「…なんせ君たちは初めからあてが外れていたのだよ?」

団長「なにをぉ!?種の隔たりを取り除き、真の平和を取り戻そうとする信念に…なんの間違いがある!?」

アントリア「では聞かせていただきたい?」

団長「む!?」

アントリア「同じ人間同士でさえ、満たされずに奪い合う中で…なぜホビットと穏やかに共存できると言うのだね?」

ヒメ「……!」ピシィッ

団長「ぐぬぬ!」ワナワナ
731: ◆WEmWDvOgzo:2014/7/9(水) 21:45:53 ID:1aH10lqnhU
アントリア「謂わば陛下の亡骸は一つの答えだ?人の無情さを物語っている?」

ヒメ「信者の…民の意思なのか…?」

アントリア「一部始終を聞かせようか?」

ヒメ「…聞きたくない」

アントリア「ハッハッハ!父君への信用が薄いようだな?」

ヒメ「わざわざ聞くまでもない…。父上は…決して慕われる存在じゃなかったからな」

団長「…くっ!」ググッ

ヒメ「民に見放されても…仕方がないのかもしれない」シュン

アントリア「…高官達も同様に処刑するつもりだ。国よりも己を尊重し、民から搾取してきた罪は重い?」

団長「き、貴様!教団になんの権限があって…!?」

アントリア「国王は死に…高官達もいなくなれば…残された民を守り育て、導いてやる存在が必要だろう?」

団長「全て貴様の仕業であろうが!ワシがこの手で裁きを下して……」

アントリア「我々がいなくなれば誰がこの国を導いていけるのか?」

団長「まだ王子がいらっしゃる!」

アントリア「…あぁ、言い忘れていた?その道は既に絶たれているのだ?」

団長「なにぃ!?」

アントリア「主力が出払って留守になった王国を他国の軍が攻め滅ぼしている。もう君たちの治める国はない?」

ヒメ「……!」

団長「な…なん…!」ワナワナ
732: ◆WEmWDvOgzo:2014/7/9(水) 21:50:41 ID:1aH10lqnhU
アントリア「この巡礼を許してしまった時点で君たちの敗北は決定していたのだ?」

ヒメ「なら…なんで…!」

アントリア「ん?」

ヒメ「なんで父上たちのように僕をすぐ始末しなかったんだ!?
どうせ手遅れなら…僕の話を聞く必要なんてなかったじゃないか!」

アントリア「…正直、カロル君が君たちを味方に付け、こちらに交渉を迫ったのは予想外だったのだ」

ヒメ「だからなんだ!同じ事だろ!?」

アントリア「それはつまり…王子自身が戦場を駆け、彼の所まで辿り着き、直接の対話を成功させた事になる?」

ヒメ「それがどうした!?」

アントリア「相当の覚悟と勇気が無ければ…そのような行為は不可能だ?君の父にはそれが出来なかったのだからね?」

ヒメ「……」

アントリア「…君はあの戦場で唯一、誰に頼る訳でもなく、自分の身を捨ててまで戦った」

ヒメ「なんだよ!さんざんどうしようもない現実を突き付けておいて…今度は持ち上げるのか!?」

アントリア「僕は君を王子としてではなく…一人の人として買っているのだ?」

ヒメ「全てをぶち壊しておいて、よくそんな事が言えるな!」

アントリア「……」

ヒメ「…なんとか言えよ!」

アントリア「先ほどの質問に答えようか」

ヒメ「はぁ!?」

アントリア「君の資質を見ておきたかった。だから始末を後回しにしたんだ?」

ヒメ「僕の…資質…?」

アントリア「君という人間が我々の創る国家に相応しいかどうか…」

ヒメ「……?」

団長「王子を振るいにかけるなど無礼千万…!」ギリッ

アントリア「…実に見事な演説だった?
分かりやすく具体性もあり、君の番が来ないまま王国を終わらせるのが惜しまれる程だ?」

ヒメ「…同情なんかいらない!始末するなら、さっさとやれ!」
733: ◆WEmWDvOgzo:2014/7/9(水) 21:55:28 ID:Xe.XD0XVww
アントリア「そこで…君に二つの選択肢を与えよう」

ヒメ「選択肢…!?」

アントリア「一つは高官達のように後で処刑されるか?」

ヒメ「……」

団長「ワシの命に代えても…王子に手出しはさせんぞ!」

アントリア「もう一つは我々と共に新しい時代を歩むか?」

ヒメ「っ…!ふざけるな!父上を殺しておいて!」

アントリア「もし我々と共に来てくれたら、君の母君は処刑させない?」

ヒメ「」ハッ

団長「…そ、そういえば妃様はまだ…」

アントリア「団長殿を含めた元王国兵も喜んで迎え入れようじゃないか?」

ヒメ「…そ、それだと…まるで人質じゃないか!」

アントリア「まるでじゃない?れっきとした人質だよ?」

団長「卑怯者め!」

ヒメ「…王国と心中するか、おまえらの操り人形になるかしか…ないのか」

団長「そうはいかん!舞台に待機している兵を呼び戻し、貴様らを殲滅してくれるわ!」

アントリア「物騒な話だ?」クスクス

団長「なにがおかしい!?」

ヒメ「ダメだ、団長…。それじゃ意味がないんだよ…!」ギリッ

団長「え!?」

ヒメ「ここで僕達が教団と戦っても…それは自国の民を削るだけだ。
たとえ勝っても、もう国としては成り立たない…」

アントリア「そして城を攻め落とされた今、王国は他国に心臓を握られている?」

団長「ぐっ…!」

アントリア「通常であれば現段階で息を吹き返す術はない?だが…我々は布石を投じておいた?」

団長「布石だと!?」
734: ◆WEmWDvOgzo:2014/7/9(水) 22:01:32 ID:Xe.XD0XVww
ヒメ「教団の威光を高める為に、わざわざ他国の有力者を招待して…大樹復活の奇跡を目の当たりにさせたんだ」

アントリア「その通り。理由にならず、説明出来ない…そういった物を恐れるのは人の本能だ?
しかし正しい使い道であれば、それらの事象は崇拝の念を産み出す?」

ヒメ「他国の意識を傾けるには王政を崩して宗教国家に生まれ変わるしか道はない…」

アントリア「あぁ…国ではなく一大宗教として見られれば、他国を取り込んで半永久的に安泰が見込める?」

団長「…ま、待たんか!それでは王国が教団になるだけではないのか!?」

アントリア「まぁそうなるが…」

団長「国が宗教に代わり、民が信者になるだけじゃないか!
それならわざわざ、こんな事をせずともこれまでの形態で良かった筈だ!?」

アントリア「……」

ヒメ「…だから!今回の奇跡を演出したことで大々的に宗教国家に生まれ変わるんだよ!」

団長「…つまりどういうことですかな?」

アントリア「今までの形態に加えて、他国を信者に抱き込める。
つまり同盟を破棄して宗教の名の下に統一された国家が生まれるのだ」

団長「そんな事が可能なのか!?」

ヒメ「それを可能にする為に…今回の件で集団的に洗脳したんだよ。教団は本物だとな」

アントリア「…これからは他国に守られ、積極的に援助を受けるだろう。神格化された我が国は悠久の平和を約束されるのだよ?」

団長「……!」

アントリア「さて…そろそろ返事を聞かせてくれないだろうか?」

ヒメ「……」
735: 名無しさん@読者の声:2014/7/17(木) 23:36:08 ID:fd5MhN5kZI
リアルが忙しいのかな?

支援
736: ◆WEmWDvOgzo:2014/7/18(金) 20:54:20 ID:Xe.XD0XVww
―――大樹の根元―――

司祭「くわぁ…ぁあああ」アクビ

アリアス「…休憩。さすがに疲れたわ?」スッ

宣教師「」ボロッ

司祭「や、大したものよ?意地も張り通せば立派、立派?」クツクツ

アリアス「よろしいのですか?あれだけ過保護になさってたのに?」クスッ

司祭「気付いたんじゃよ?子育てにも愛以外の情がいるとな?」ニヤリ

アリアス「それって…本当に親子の情ですか?」クスクス

司祭「はて?なんのことやらのう?」

アリアス「女の勘を侮られては…いずれ痛い目に遇いますわよ?」

司祭「くわばらくわばら…」
737: ◆WEmWDvOgzo:2014/7/18(金) 20:55:42 ID:Xe.XD0XVww
アリアス「…それにしてもダガはどこで道草食ってるのでしょうね?」

司祭「ふん…またもやあの母親に欲情してしまったのではないか?」

アリアス「…ありえなくもないですわね」シラー

司祭「しっかしこやつも強情じゃな?そんなにわしが嫌か?」ジロジロ

アリアス「気絶する寸前まで首を縦には振りませんでしたわね?」

司祭「事あるごとにカロル、カロルと忌々しい名を口にしよるしのう…」

アリアス「そういえば…あのマザコン、利用価値は十分にありそうでしたけれど本当によろしかったのですか?」

司祭「うむ。癒しの力があればアピシナの実を手っ取り早く栽培できそうなものじゃが……。
理解に及ばぬ力を支配下に置いておくのは何かと危険が付きまとうからの?」

アリアス「(ただの嫉妬にも見えるけれど…)」

司祭「さしあたって…実をわしらで等分し、種を残した上で研究するのが妥当じゃな?
食した後は無限の時が待っておる?急がず焦らず解明していこうぞ?」

アリアス「永遠の命…惚れ惚れしますわね?」ニヤリ

司祭「ほっほっほ!今の内に時間の使い道を考えたがええわ?なんせ有り余る?」
738: ◆WEmWDvOgzo:2014/7/18(金) 20:57:04 ID:Xe.XD0XVww
ガサッ

アリアス「」ピクッ

司祭「…どうした?」

アリアス「いえ…そこから物音がしたような…」

司祭「…ふむ?手入れされてない草が伸びきって小さな茂みになっておるが…小動物でも通ったか?」シゲシゲ

アリアス「……」ジーッ

ガサッ ガササッ

司祭「……何かが動いとるようじゃな」

アリアス「確かめて参りましょう」スタスタ

マルク「」ムクッ グググッ

司祭「む?」チラッ

アリアス「は?」クルッ

マルク「うぅ〜…ばうっ!」ブルブル

司祭「ほっほっほ?なんじゃ、ケダモノめ?おとなしく寝ていればいいものを…物音の正体はお前さんの好物かえ?」ニヤニヤ

アリアス「……」プイッ スタスタ

マルク「ぐぅるるる…!」ギッ

司祭「…威嚇するでないわ。折檻が足らんか?」

アリアス「……」ガサガサッ バササッ
739: ◆WEmWDvOgzo:2014/7/18(金) 20:59:56 ID:Xe.XD0XVww
アリアス「いましたわ?生意気そうな小動物が一匹……」

ルーボイ「う、うあっ…!」ズザサッ

アリアス「お前は確か…あのマザコンのお友だちだったわよね?」クスッ

司祭「む?なぜその小僧がそこにおる?」

ルーボイ「(道に迷ってたなんてダセーから言えねぇ…)」

アリアス「…修道子になったのね?空っぽの頭でよくなれたわね?」

ルーボイ「う、うるせぇ!司祭様達、こんなとこで何やってんだよ!?」

司祭「こやつも躾がなっとらんのう?」

マルク「きゃんっ!きゃんっ!」

ルーボイ「ひっ!……あ!?お前、カロルの!?」ハッ

アリアス「…いかがなさいます?」

司祭「始末せい。年長者に対する口の聞き方もなっとらんガキは神国に見合わん?」

アリアス「…仰せのままに」クスッ

ルーボイ「あぁー!?」タタタッ

アリアス「?」

ルーボイ「宣教師様!宣教師様じゃんか!?」ガバッ

宣教師「……」グッタリ

アリアス「」スッ

司祭「待て待て。やはり様子を見よう」

アリアス「…はっ!」ピタッ
740: ◆WEmWDvOgzo:2014/7/18(金) 21:01:26 ID:Xe.XD0XVww
ルーボイ「宣教師様!起きろよ!宣教師様!?」ユサユサ

宣教師「」ブランブラン

ルーボイ「だ、誰がやったんだよ…?宣教師様…ボロボロじゃんか…!」ワナワナ

マルク「うぅ…!わんっ!!」キッ

ルーボイ「え…!?」クルッ

アリアス「……」

司祭「ほっほっほ…」

ルーボイ「…し、司祭様達がやったのかよ!?」

アリアス「で?」

ルーボイ「でって……」

アリアス「だからなに?」

ルーボイ「……!なんでこんなことすんだよ!?」カッ

アリアス「答える義理はないのだけれど?」シラー

ルーボイ「〜〜〜!」プルプル
741: ◆WEmWDvOgzo:2014/7/18(金) 21:06:08 ID:Xe.XD0XVww
ルーボイ「やっぱりナラの言った通りだ!カロルの事も騙してたんだろ!?」

アリアス「ナラ?あぁ…あの出来損ないったら、またべらべらと余計な事を……お仕置きが必要ね?」

ルーボイ「っ…!?」タジッ

アリアス「まぁ騙したと言うより…あのマザコンが勝手に騙されてくれた、といった方が分かりやすいのじゃない?」

ルーボイ「はぁ!?嘘つくなよ!?お前らが騙したんだろ!?」

アリアス「そうよ?だったらどうなの?」

ルーボイ「開き直りじゃねぇか!?」

司祭「よせ、よせ?お前さんとて他人をどうこう言える立場かのう?」

ルーボイ「な、なにがだよ…」

司祭「むふふ。可哀想にのう?
あの小僧め…お前さんと別れた後、夜通し泣いておったわい?」ニヤニヤ

アリアス「そうでしたわねぇ?
しきりにお前とパッチとかいうガキの名前を呟いて…『ごめんね…ごめんね…』と意味もなく空虚な謝罪を繰り返していたのだっけ?」

ルーボイ「」ズキンッ

司祭「なにやらお前さんも、そこなる宣教師にそそのかされ、厚みのない友情に踊らされていたようじゃが…や、最後の大喧嘩は笑わせてもろうたわ?」ニヤニヤ

ルーボイ「か、関係ねーし!あいつに会ったら謝るし!」

アリアス「会えるといいわねぇ?」

司祭「会えたら…な?ほっほっほ!」ケタケタ

ルーボイ「……?」キョトン
1002.46 KBytes

名前:
sage:


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