前スレ
(少年「ボクが世界を変えてみせる」)
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―――あらすじ―――
人間によるホビットへの差別が当然のように行われる時代
人里を離れ、森の中で静かに暮らしていたホビットの親子がおりました。
母親の名はマリー。子供の名はカロル。
二人はささやかな幸せを願って、穏やかな日々を送っていました。
母は今の生活に満足していました。
もちろん森の中での生活は不自由で贅沢とは無縁なものでしたが多くを望まない母にとっては愛する我が子と生きていけるだけで幸せだったのです。
しかしカロルは違いました。
もちろん愛する母と生きるのに不満はなく、彼自身も多くを望もうとは考えません。
ですが彼にとって一つだけ足りないものがあったのです。
それは友達という存在でした。
幼心に自分たちの置かれた立場は分かっていたつもりでした。
人目を逃れて生きるホビットには仲間もなく、心を通わせる相手を見つけるのはとても難しいと。
それでも小さな身体に宿る希望は膨らむばかりです。
667: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/24(火) 21:10:27 ID:MLrZ7onf8Q
バンパ「ふぅっ…はぁっ…」ゼェゼェ
シープ「バンパが盾になってくれたの。で、ぼくが後ろから?」
ラム「な、なんで…そんなこと…」
黒装束1「大丈夫か!?」タタタッ
黒装束2「今、運んでやるからな!」ガシッ
バンパ「うぅぅ…わりーな?」ゼェゼェ
セッセッ セッセッ
ラム「バンパ…なにやってるんだよ」
シープ「『なにやってるんだよ』はラムの方でしょ?」キッ
ラム「え?」
シープ「ぼくらは生きたいから戦ってるんじゃん?」
ラム「……」
シープ「それなのに…どうしてラムは死ぬつもりで戦ってるの!?」プクー
ラム「…シープ」
シープ「勝って生き残ったってラムが死んじゃったらイヤだよ!ぼくらは仲間でしょ!?」
ラム「」ウルッ
シープ「それにぼく…バンパもラムも大好きだもん」
ラム「し、シー…!」ウルウル
団長「大した友情だ…」ググッ
ラム&シープ「」ビクッ
668: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/24(火) 21:13:46 ID:MLrZ7onf8Q
団長「身を呈して仲間を庇う…口にしてみればたやすいがなかなか出来ることではない」スクッ
団長「うむ、軽く表面を破られたが…童の細腕では急所には踏み込めなかったようだな…」パッパッ
シープ「なんで立てるの…!?」アワアワ
団長「中に鎖帷子を着込んでいてな…。首か後頭部を狙われていたら、まず立てなかった」ジャラジャラ
シープ「そ、そんな…!」
団長「と言っても、その背丈では上半身に届かせるのが精一杯か?」ジロジロ
ラム「バンパが命を駆けてくれたのに…!」ギリッ
団長「…うむ。敵ながら称賛に値する勇気だった」
シープ「ひ、ひどいよ…!それじゃバンパは切られておしまいじゃん!?」
団長「そんなことはなかろう?このワシに膝を着かせたのだからな?」
ラム「」チャキッ
団長「貴様らとて守りたい物があり、決死の覚悟で挑んだ戦いなのだろう」
団長「たかがホビットと軽んじる気はない…。いや、むしろ立派だと思っている?」
ラム「…人間に褒められたって嬉しくないね!」キッ
団長「…だからこそ偲ばれる。傲り高ぶった人間に利用されてきた貴様らを…ワシは切らねばならん?」ジャキッ
669: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/24(火) 21:21:06 ID:T8J8lxPkS6
ラム「は…?」ピクッ
団長「む?」
ラム「僕らに罪なんてないのを知ってて…?」
団長「ある幼いホビットと変わり者の宣教師が教えてくれたのだ…」
ラム「そうじゃないだろ…!」ワナワナ
団長「……」
シープ「ら、ラム…?」オロオロ
ラム「全部知ってて…なんで僕らを苦しめるんだよ!?」カッ
団長「…遅すぎたのだ。もはや手の尽くしようがない程にホビットと人間の関係性は出来上がってしまった」
ラム「そんなので納得できる訳ないだろ!」
団長「人間として生まれ、人間として生きてきた…。ワシも貴様らと同様に守らねばならぬ物が山ほどある」
ラム「お前なんかと一緒にするなぁっ!!」
団長「…恨んでくれていい。言い訳はせん」
ラム「はぁ…!?」イラッ
団長「だが…貴様らとて大勢の人間を殺めたのだ。その報いは受けてもらおう?」
ラム「今までたくさん最低な人間を見てきたけど…お前みたいな汚い人間は初めてだよ!」
団長「……容赦はしない。それがワシに出来る、せめてもの償いだ」ザッ
ラム「殺してやる!!」バッ
シープ「ら、ラム!?」アタフタ
670: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/27(金) 21:28:02 ID:HyvtXC.lJU
ワアアアアアアア!
団長「!?」ピタッ
ラム「!?」ピタッ
シープ「な、なに!?なに騒いでんの!?」アタフタ
近衛兵1「だ、団長!大変です!」タタタッ
団長「何事か!?」
「ラム君!シープ君!こっちへ!」
ラム「え?」
シープ「もー!なんなの!?」
近衛兵1「い、いつの間にやら王子が……」
「カロル君が壇上で敵を……」
団長「王子が?」
ラム「カロルくんが?」
近衛兵1「王子が人質に取られました!」
「カロル君が敵を人質に取ったんだ!」
団長「なんだとぉぉおおお!?」
ラム「えぇぇぇ!?」
シープ「ひとじち…?」ポカン
671: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/27(金) 21:29:16 ID:HyvtXC.lJU
―――舞台―――
カロル「」ガシッ
ヒメ「うわー!優雅に散歩してたら運悪くたまたま戦場に入ってしまって、あっさり敵に捕まったー!?」ボーヨミ
カロル「あ、あんまり動かないで?刺さったら危ないでしょ…?」ボソボソ
ヒメ「ぎゃー!なんて日だ!まさか王子の俺が敵に刃物を突きつけられてしまうとはー!?」ボーヨミ
カロル「説明しすぎじゃないかな…?なんか変に見えるよ?」ボソボソ
ヒメ「…さっきからうるさい。オレの完璧な演技で全員の目を釘付けにしてるんだ!黙って見てろ?」ボソボソ
カロル「釘付けになるかなー?」アセアセ
ワアァアアアァアアアア!
近衛兵7「お、王子!?」
近衛兵8「何故ここに!?」
近衛兵9「い、今お助け致します!」ダッ
近衛兵10「うおおお!ホビットぉ!?卑怯なりぃ!?」
カロル「あ、ホントだ!釘付けになってるよ?」パァァ
ヒメ「だから言っただろ?王族にかかれば不可能はないんだよ!」エッヘン
672: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/27(金) 21:30:40 ID:kg947O/4iY
近衛兵11「王子を救出するぞ!手の空いてる奴は壇上に上がれー!」
ゾロゾロ ゾロゾロ
カロル「ひゃっ!あ、上がってきちゃうよ!?」アタフタ
ヒメ「ナイフでオレの頬をピタピタ張れ?」ボソボソ
カロル「う、うん?こう?」ピタピタ
ヒメ「うわぁーーー!殺されるー!これ以上、近付いたら殺す気だ〜〜?お前ら下がれ、下がれー!」ボーヨミ
近衛兵11「うっ…ま、待て!一旦、下がれ!」ピタッ
ヒメ「えー?なんだってー?容姿端麗、眉目秀麗、才色兼備、王族の中の王族であらせられるヒメ王子を助けたかったら〜〜?」ボーヨミ
カロル「? ボクなんにも言ってないよ?」キョトン
ヒメ「お前がなんも言わないから代わりに言ってやってんだよ!バカ!ドジ!スカ!」ボソボソ
カロル「ご、ごめんなさい…」シュン
近衛兵10「さっさと要求を言え!」
ヒメ「はぁ!?お前、誰に向かって……!」カッ
近衛兵10「えっ」
近衛兵11「な、何故王子がお怒りに?」
ヒメ「……ってこいつが言ってる。な?」チラッ
近衛兵7「そうなのか、貴様!?」
カロル「は、はい。言いましたです…」モジモジ
近衛兵8「図に乗るなよぉ!身柄を取り返したら八つ裂きにしてくれるわぁ!!」
ギャーギャー
カロル「(なんにも言ってないのに…)」ガーン
673: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/27(金) 21:32:18 ID:kg947O/4iY
ヒメ「なになに〜〜?王子を助けたかったら全員ジッとしてろだと〜〜?」ボーヨミ
近衛兵8「で、できるかぁ!無抵抗になってやられてしまうではないか!」
ヒメ「くそ〜〜!従うしかないな!だって王子いなかったら困るもんな〜〜!」ボーヨミ
近衛兵9「そ、そうは参りません!」
ヒメ「え?なになに?その代わり、ホビットにも攻撃させない?ホビットは怪我人を連れて壇上に集まれだって?信用できないな〜〜?」ボーヨミ
近衛兵7「そ、そうだ!信用できるか!?」
ヒメ「でもまぁ従うしかないな〜〜?やっぱオレ王子だし?」ボーヨミ
近衛兵11「ぐぐっ!」ギリッ
近衛兵12「て、敵の言いなりになってたまるか!強行するぞ!?」
ヒメ「えっ」
近衛兵13「そ、そうだ!奴も人質を失ったら手が無くなる!かかるぞ!」
カロル「え?え?どうするの?来ちゃうよ?」アセアセ
ヒメ「ま、ま…!王子だよ?オレ王子だよ!?死んじゃったらどうすんの!?」
近衛兵13「立派な墓を建て、生涯悼み続けましょう!」
ヒメ「死ぬ前提なの!?」
カロル「あわわ!」ビクビク
ザッザッ ザッザッ
ヒメ「ば、バーカ!バーカ!バカバカバーカ!お前らもう少し自国の王子大切にしろよ!?」アタフタ
ヒメ「(ひ、人質になって呼び掛ければ治まると思ったのに!)」
674: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/27(金) 21:33:44 ID:HyvtXC.lJU
団長「全隊!止まれぇぇぇぇぇい!!!」クワッ
シーン
団長「王子の安全が最優先だ!愚か者共が!?」
近衛兵8「だ、団長…!」
近衛兵9「よいのですか!戦場で身動きを制限されるなど死活問題ですぞ!」
団長「…人質を取られる前に対処出来なかった我々の責任だ!こうなっては従う他ない!」
ヒメ「」ホッ
団長「」チラッ
ヒメ「」コクン
ヒメ「…カロル。お前の仲間を呼び戻せ?」ボソボソ
カロル「うん!みんな!こっちに来て!今なら回復できるよ!?」
オオオオオオ!
675: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/27(金) 21:34:49 ID:HyvtXC.lJU
カロル「はい?」パシッ
フワッ
バンパ「…はぁぁ!助かったぁ!もうダメかと思ったぜ?」
「これで反撃できるぞ!」
「仕切り直しだ!」
ラム「それにしても…どうやって敵の王子を人質にしたんだい?」
カロル「えへへ!実はね?ボク王子さまと友達なんだ!」
シープ「えー!?なんで、なんで!?」
カロル「一緒にアイスキャンディ食べたんだよ?ねー!」ニコニコ
ヒメ「ねー!じゃない!…人質と親しく話すな!」
カロル「あ、ごめんなさい!」パッ
ラム「アイスキャンディ?」
シープ「なにそれ?」
カロル「いろんな果物の味があって!甘くっておいしいの!しかも氷の棒なんだよ!?」
ラム「(何一つ伝わってこない)」
シープ「いいなー?食べてみたーい?」
バンパ「果物の味がする氷の棒?どういうことだ?」
黒装束1「わからないけどおいしそう」
黒装束2「氷って食べれるんだ?」
カロル「みんなにも食べさせてあげたいなー!王子さま、また一緒に食べに行こうよ!」
ヒメ「だからオレ人質なんだって?気安く話しかけるなよ?」
676: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/27(金) 21:36:07 ID:HyvtXC.lJU
近衛兵1「だ、団長…あいつら和気あいあいとしてますが…」
団長「うむ。してるな」
近衛兵1「ひょっとしたら隙だらけなのでは?今なら一気に攻めて取り返せるんじゃ…?」
団長「あれはわざと隙を見せて、こちらの攻撃を誘っているのだ」
近衛兵1「そうですかねぇ?試しに切り込んでみては……」
団長「今、攻撃を仕掛ければ我々は罠にはまり、あっという間に全滅するぞ?」
近衛兵1「え?それはいくらなんでもないですよ?」
団長「ワシの読みを信用しないのか?」ギロッ
近衛兵1「そ、そうじゃないですけど…」
団長「とりあえず今は他の兵が勝手な動きをしないように注意して見張るんだ。よいな?」
近衛兵1「お、仰せのままに」
677: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/27(金) 21:37:20 ID:HyvtXC.lJU
ラム「…じゃあ全員、回復したことだし始めよっか」
カロル「あ、待って!ラムくん、王子さまとも話したんだけど…」
ラム「関係ないね?人間はみんな殺すから?」
カロル「え…?」
ヒメ「は?」
ラム「その王子も人間だろ?人質として利用し終わったら殺さないとね?」
ヒメ「な、なんだと!」ムッ
ラム「なに?文句あるの?汚い人間のクセに?」
ヒメ「き、貴様…オレは協力してやってるんだぞ!?」
ラム「あ、そうだったの?ありがと?僕らに協力して死んでくれるなんて優しいね?」ニコッ
ヒメ「ふざけるなぁ!!」ガッ
バンパ「お、おい?やめろって!」ガシッ
シープ「ラムに触るな!」ガシッ
ラム「はぁ…汚いなぁ。人間の匂いが付いちゃう」パッパッ
ヒメ「くっ…!お前、本気で言ってるのか?」
ラム「…カロルくんの友達だかなんだか知らないけど、僕らは同族の為に戦ってるんだ。
勝って僕らだけの居場所を手に入れたら力を蓄えて人間なんか絶滅させてやる?」キッ
ヒメ「……!」ワナワナ
カロル「……」
ラム「そういうことだから?カロルくんも納得してくれるよね?」
パシンッ!
ラム「……」ヒリヒリ
カロル「……」キッ
678: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/27(金) 21:38:56 ID:HyvtXC.lJU
ラム「え?な、なにするのさ?痛いじゃないか?」
カロル「王子さまに謝って?」
ラム「謝る?なにを?」キョトン
カロル「…今の言葉、全部謝って!」
ラム「……は?」ピクッ
バンパ「な、なにやってんだ!お前ら!仲間割れしてどうすんだ!?」アタフタ
シープ「そうだよ?カロルお兄ちゃんもなに怒ってるの?」
ヒメ「……」
ザワザワ ザワザワ
カロル「…みんなもラムくんと同じ考えなの?」
「え?ま、まぁ…」
「人間だし…敵だし…」
カロル「……」
ラム「君だけだよ?人間と親しくして勝手に手を組んで…バカみたいに氷の棒を一緒に食べたとか自慢してるのは?」
ヒメ「バカはお前らだろ!なんで分からないんだよ!」
ラム「関係ないんだから引っ込んでなよ?君は敵の動きを封じる為の人質なんだから?」
バンパ「ま、まあまあ!カロル、こっからだから!あと一歩だし頑張ろうぜ!」
カロル「やだ。ボク戦うのやめる」
ラム「……!?」
バンパ「カロル!」
シープ「えー!ダメダメ!カロルお兄ちゃんいなかったらどうやって回復するの!?」
黒装束1「敵はまだいっぱいいる!」
黒装束2「カロルがいないと勝てない!」
679: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/27(金) 21:40:26 ID:HyvtXC.lJU
カロル「王子さま、行こ?」パシッ
ヒメ「あ、あぁ…?」グイッ
バンパ「待て待て!人質をどこに連れてくんだ!?」
カロル「兵隊さんに返してくるの」スタスタ
ヒメ「い、いいのか?そんなことしたらお前…」オロオロ
カロル「いいよ。もう知らない」スタスタ
ラム「やめろ!」ガシッ
ヒメ「ちょっ!何す……」グイッ
カロル「離してよ」グイッ
ラム「君はなに考えてるんだよ!人質を返したら敵が攻めてくるだろ!?」グイッ
ヒメ「イタタタタ!痛い!痛いから!腕伸びちゃうから!引っ張るな!」ギュゥゥゥ
ラム「君はホビットなのに人間の味方をするのかい!?今までの戦いはなんだったのさ!?」
カロル「…ボクが戦うのは人間に復讐したいからじゃないもの」
ラム「じゃあなんだよ!なんの為に戦ってるんだよ!?」
カロル「普通に暮らしたいだけだよ」
ラム「は?」
カロル「争いも差別もない場所でみんなと笑って過ごしたいから…ホントはイヤだけど戦ってた」
ラム「そ、それなら同族だけで暮らせば……」
カロル「どうして同族にこだわるのさ!ボクたちに偏見のない人間まで殺すことないじゃない!」
ラム「人間がいたら僕らに安らげる日は来ないよ!ここにいるみんなだって同じ気持ちだ!」
カロル「そうやって区別するから仲良くできないんじゃないの!?」
ラム「人間は何度でも繰り返すさ!そういう生き物じゃないか!」
680: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/27(金) 21:42:22 ID:kg947O/4iY
ギャーギャー ギャーギャー
近衛兵1「団長、隙だらけです。めちゃくちゃがら空きです。攻めましょう?」
団長「いやいや、そう焦るな?ああ見えて実はこちらの攻撃を狙ってるのだ?」
近衛兵1「ないですって!今なら絶対、王子助けられますって!」
団長「ところがどっこい、それが狙いなんだなぁ?まったく狡猾極まりない!」
近衛兵1「あれ仲間割れしてる空気ですもん!会話からしてそんな感じですもん!この機を逃したらまずいですよ!」
団長「うーむ。これは持久戦になるなぁ」
近衛兵1「聞いてます!?」
団長「聞いてる、聞いてる」
近衛兵1「っていうか、なんか王子も敵に協力してるような会話じゃなかったですか?」
団長「そう見せかけて脱出する機会を探ってるのであろう。さすが王子だ!」
近衛兵1「絶対違いますって!」
団長「(王子、なにかするならお早めに…!正直、誤魔化しきれませぬ!)」
681: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/29(日) 16:19:45 ID:imv0BbiqFU
ギャーギャー ギャーギャー
グイグイッ グイグイッ
ヒメ「痛いってもう!なんでオレを挟むんだよー!王子だぞ、王子!無礼だろー!」
カロル「は・な・し・て・よ〜!?」ググッ
ラム「君が離せばいいだろ!?」ググッ
カロル「ラムくんの…分からず屋!」ググッ
ラム「カロルくんこそ…わがままだ!」ググッ
カロル「王子さまに謝らないなら…離さないから!」ググッ
ラム「ごめんごめん。これでいい?」ググッ
カロル「ちゃんと…謝ってよ!」ググッ
ヒメ「ちぎれるちぎれる!ちぎれるって!?」ピーン
ラム「」パッ
カロル&ヒメ「えっ」ズルッ
すってんころりん!
カロル「いた…た…」ゴロリ
ヒメ「き、急に離すな!?」プンスカ
682: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/29(日) 16:20:55 ID:x2Uy2NZngQ
ラム「君はなんでそこまでして人間を庇うの?」
カロル「…ラムくんこそ協力してくれた王子さまにいじわるしないでよ」ムスッ
ラム「……」
カロル「人間もホビットもおんなじだもの。憎み合うのはよくないよ」ムクッ
ラム「でも君は戦うって決めたじゃないか?」
カロル「ボクたちを騙したり、いじめたりする人間とは戦うよ?」
ラム「そんな中途半端な気持ちでいるから騙されるんじゃないの?」
カロル「なんでも疑ってたら何もできないよ?信じてみてからでも遅くないでしょ?」
ラム「…信じて騙されてたら意味ないだろ」
カロル「王子さまは騙したりしないもの!」
ラム「証拠は?」
カロル「証拠?」キョトン
ラム「騙さない保証はあるか聞いてるんだよ」
カロル「あるよ!友達だもん!」
ラム「ふーん。言ってみなよ?どんな証拠?」
カロル「へ?だから…友達だよ?」
ラム「?」
カロル「友達は友達を裏切らない!そうでしょ?」ニコッ
ラム「…またきれいごと?いい加減聞き飽きたんだけど?」
カロル「違うもん!ホントなの!」
683: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/29(日) 16:22:29 ID:imv0BbiqFU
ラム「くだらないね?君はそうやって今までも周りを巻き込んできたんだろ?」
カロル「う…」グサッ
ヒメ「おい、お前!さっきから黙って聞いてれば!」
ラム「なに?」ジロッ
ヒメ「カロルはお前らの為に言ってるんだぞ!なんにも分かってないだろ!?」
ラム「違うね?カロルくんは頭が悪いだけさ?」
カロル「」グサッグサッ
ヒメ「オレが人質になってるのは何もお前らを回復させる為じゃない!人間とホビットの争いを止める為だ!」
ラム「……?」
バンパ「な、なんだって?」
シープ「止まる訳ないじゃん?」
ヒメ「オレを人質にして兵士たちと交渉する筈だったんだよ!」
ラム「……!」
ヒメ「それをお前があんなこと言うから台無しだ!」
ラム「そう…だったの?」
カロル「うん…。兵士さんたちも戦いたくない筈だもの。これ以上、命を賭けてもしょうがないじゃない…」ズーン
ラム「…悪いけど反対だね。僕は人間と和解したくない」
カロル「ラムくんの意地っ張り…?」イジイジ
ラム「…なおさら安心したよ。そんなの最初から願い下げだ」
684: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/29(日) 16:24:56 ID:x2Uy2NZngQ
ヒメ「ならどうするんだ?一人残らず命を落とすまで戦うのか?」
ラム「人間が…ね?」
ヒメ「確実に負けるぞ?」
ラム「それを決めるのは君じゃない」
ヒメ「最初にいた人数を知らないが…見た目どのくらい減ってる?」
カロル「……40人くらいかな」
ザワザワ ザワザワ
ヒィィィィィイイ!
ラム「…そ、それは」
「そ、そういえば…かなりいなくなってる!」
「さっき死体が転がってるの見たぞ!」
ザワザワ ザワザワ
カロル「ボク一人で回復させるのにも限界があるんだよ?」
ヒメ「当たり前だ!命を落とさない戦争なんてない!」
「あ…うああ…!」
「し、死にたくない!」
ヒメ「死にたくないなら和解しろ!もう十分だろ!?」
シープ「で、でも〜…」
バンパ「…痛いとこ突かれたな?ヘマトに捕まってた奴らは死に敏感だ?」
ラム「こいつは人間だよ?和解なんてさせると思うかい?」
ザワザワ ザワザワ
ラム「油断させようとしてるのさ?僕には分かるよ?みんなだって今まで甘い言葉に騙されてきただろ?」
「た、確かに…そうかもな」
「そ、そうだよ!人間はいつもそうだ!」
ヒメ「…お前らの命は僕が保証する!」
ホビット's「えっ」
685: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/29(日) 16:26:33 ID:imv0BbiqFU
ヒメ「僕は王子だ!将来は国を統べる立場にある!」
ラム「騙されるな!」
ヒメ「約束する!僕が国王に即位したらホビットへの価値観を見直して人間と共存できるようにしてみせる!」
ザワザワ ザワザワ
「し、信じていいのか…?」
「ま、まさか?嘘に決まってるって?」
ヒメ「嘘じゃない!僕を信じろ!」
カロル「ボクからもおねがい!王子さまを信じて!」
ラム「信じちゃダメだ!」
カロル「いつまでこんなことを続けるの?ボクたちは争う必要なんてないんだよ!?」
カロル「ホントに人間が憎いの!?命を奪わないと消えない憎しみなの!?」
カロル「もうやめようよ!こんなにたくさんの血を流して、まだ意地を張るの!?」
シーン
ラム「み、みんな…」
カロル「人間に怯えて隠れ暮らしてた毎日を思い出してよ?辛かったでしょ?」
カロル「人間から歩み寄ってくれたんだよ?あとはボクたちが一歩踏み出すだけでいいんだ!」
カロル「人間とかホビットとか気にするのはやめようよ!同じ命でしょう!?」
シーン
カロル「ずっとこのままでいいの!?ずっとずっと…ずっとこのままだよ!?」
686: ◆WEmWDvOgzo:2014/6/29(日) 16:28:47 ID:imv0BbiqFU
スタスタ スタスタ
カロル「!」
「お、おれ…和解したい」
「わたしも……」
「ほ、本当は戦いたくなかった…」
「…人間が改めてくれるなら」
ゾロゾロ ゾロゾロ
カロル「みんな…!」パァァ
ヒメ「ハハハ!やったな!」パァァ
ラム「……!」ギリッ
バンパ「あ〜あ…みんな向こう側に立っちまった」
シープ「…なんかぼくらだけ仲間外れみたいじゃない?」
黒装束1「」スタスタ
黒装束2「」スタスタ
ラム「」ジロッ
バンパ「お前らもか?」
黒装束1「悪いな」スタスタ
黒装束2「ラムの考えも分かるけどカロルの言い分も間違ってない」スタスタ
シープ「べーっだ!あっち行っちゃえ!」シッシッ
ヒメ「…意地張ってないで来いよ?」
ラム「お前らの口車には乗らない」
バンパ「ふん…」
シープ「…の、のらないぞー!」アセアセ
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