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カロル「ボクが世界を変えてみせる」
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1: ◆WEmWDvOgzo:2013/11/24(日) 19:26:09 ID:j5u3Ryt06o
前スレ
(少年「ボクが世界を変えてみせる」)
http://llike-2ch.sakura.ne.jp/bbs/test/mread.cgi/2ch5/1356265301/1-50


―――あらすじ―――

人間によるホビットへの差別が当然のように行われる時代
人里を離れ、森の中で静かに暮らしていたホビットの親子がおりました。
母親の名はマリー。子供の名はカロル。
二人はささやかな幸せを願って、穏やかな日々を送っていました。

母は今の生活に満足していました。
もちろん森の中での生活は不自由で贅沢とは無縁なものでしたが多くを望まない母にとっては愛する我が子と生きていけるだけで幸せだったのです。

しかしカロルは違いました。
もちろん愛する母と生きるのに不満はなく、彼自身も多くを望もうとは考えません。
ですが彼にとって一つだけ足りないものがあったのです。
それは友達という存在でした。

幼心に自分たちの置かれた立場は分かっていたつもりでした。
人目を逃れて生きるホビットには仲間もなく、心を通わせる相手を見つけるのはとても難しいと。
それでも小さな身体に宿る希望は膨らむばかりです。


109: ◆WEmWDvOgzo:2014/1/2(木) 21:44:50 ID:/2BLhTPjUo
黒装束「おう。遅かったじゃねぇか。まぁ座れや?」

宣教師「失礼します。…昨晩と同じ格好なんですね?」ストッ

カロル「し、しつれいします」ストッ

黒装束「どこがだ?まるっきり変わってんだろうが?」

宣教師「(全身真っ黒でよく分からないんですが…)」

黒装束「てめぇらこそ、着替えねぇのか?」

宣教師「私たちは着替えがないんです。おかげで頂いた修道服もボロになってしまいましたし…」ボロッ

カロル「ボクも教団にもらった布地の服しかないです」

黒装束「はぁぁ?みすぼらしいなぁ、おい?俺のお下がりでもくれてやろうか?」

宣教師「いえ、結構です」キッパリ

黒装束「…可愛げのねぇ」

カロル「(スミだらけの服しか無さそう…)」
110: ◆WEmWDvOgzo:2014/1/2(木) 21:46:09 ID:/2BLhTPjUo
宣教師「それで…わざわざ呼び出してどういうつもりですか?」

黒装束「どういうつもりって喧嘩売ってんのか、おめぇは?
俺はお前らの命の恩人だぞ?なおかつ匿ってやってんだぞ?」

宣教師「…頼んだ覚えはありません。あなた達が勝手にした事です」

黒装束「…生意気なお嬢ちゃんだな?ブタの怒りを買う訳だ?」

宣教師「……」

カロル「? 宣教師さま、ブタに怒られたの?」キョトン

黒装束「なぁに言ってんだ?お前もブタにこっぴどくやられたんだろうよ?」

カロル「ボク知らないよ?ブタが怒るようなことしてないもの?」

宣教師「えーとですね…」

カロル「宣教師さま、ブタになにしたの?エサを取り上げちゃったの?」

宣教師「あ、いや…そうじゃないんですよ」

黒装束「だからブタってのは大臣だ。お前を買った奴だよ」

カロル「えっ」

黒装束「……?」

カロル「あのおじさま、人間じゃなくてブタだったの!?」

黒装束「もういい。話が進まねぇよ。お前らを呼び出したのはだな……」オホンッ

カロル「ねぇ、ブタって人間になれるの?」グイッ

宣教師「な、なれませんよ。ものの例えですから?ね?」アセアセ

カロル「えー!でもあの人、言ってたよ!」

黒装束「……聞けや」
111: ◆WEmWDvOgzo:2014/1/2(木) 21:47:45 ID:/2BLhTPjUo
宣教師「私達を…教会に?」キョトン

黒装束「おう。とりあえずこれに着替えろ」つ【修道服】

宣教師「……私、すでに着てるんですけど」

黒装束「そんなボロいの着たまま出歩けないだろうが?」

宣教師「というかなぜ教会なのです?」

黒装束「…教会の神官が会長と旧知の知り合いなんだとよ」

宣教師「アントリア神官が?」

カロル「じゃあボクらを助けたのはアントリアさんが頼んでくれたからなの?」

黒装束「…まあそうなるが」

宣教師「ふむふむ。神官が言ってたのはこの事だったんですね」

黒装束「てっきりガキをショーに使うと思ったんだがな…」

カロル「ショー?ボクが?」

黒装束「…おっと。なんでもねぇんだ。いいから早いとこ着替えな」

カロル「はーい」
112: ◆WEmWDvOgzo:2014/1/2(木) 21:49:30 ID:/2BLhTPjUo
宣教師「…久しぶりに着替えられたのに新鮮味がありません」

カロル「えへへ!宣教師さまとおそろいだね?」ニコニコ

宣教師「ふふふ!そうですね?」ニコッ

ウォルター「よーし!着替えたな?」

宣教師「どうしたんです?あなたまで修道服など…」

ウォルター「こうすりゃ教団の一行にしか見えねぇだろ?カモフラージュってぇやつだ!」

カロル「ボクだけ帽子が付いてる?」クイッ

ウォルター「フードだ、バカ。いいから被っとけ!」

カロル「う、うん。目を隠すんだよね?」ファサッ

ウォルター「目一杯深く被れ。憲兵に見つかったら終わりだからな」

宣教師「もう憲兵が動いてるんですか?」

ウォルター「決まってんだろ?大臣の屋敷に強盗に入ったんだぜ?」

宣教師「……」

ウォルター「むしろ昨日の内に踏み込まれててもおかしかぁねぇ?
強運に感謝しなくちゃぁなぁ?」

宣教師「昨夜は問題ないと自信満々におっしゃってたじゃないですか?」

ウォルター「ハッハー!知るか、そんなもん!人生なんざ時の運だ!どう転ぶか分かりゃしねぇよ?」

宣教師「そんな適当な…」
113: ◆WEmWDvOgzo:2014/1/3(金) 08:43:00 ID:nhkhr2ewlE
―――城下町―――

ワイワイガヤガヤ

ウォルター「はぐれんじゃねーぞ!」スタスタ

カロル「(フードで前がよく見えない…)」スタスタ

宣教師「はぐれないように手を繋いで歩きましょうか?」パシッ

カロル「うん!」ギュッ

ウォルター「絶対に目を見られんじゃねーぞ?騒ぎになりかねないからな?」

カロル「靴は脱がなくていいの?」

宣教師「なぜ脱ぐ必要があるんです?」

カロル「司祭さまが言ってたもの。ホビットは靴を履いたらダメって?」

ウォルター「あぁ…そりゃアレだな?
ホビットを人間と同じ扱いにする訳にはいかねーから奴隷とかにも靴を履かせねぇし、服も無地の長袖、長裾しか着せねぇ事になってんだ」

宣教師「…勝手なものですね」

カロル「そういえば奴隷って何をするお仕事なの?」

ウォルター「ん…まぁコキ使われるのが仕事だろうな?」

宣教師「私が読んだ文献では採掘場や巨大な建設物の急な製造などで労働力として集められるのが主だと…」

ウォルター「あいつら貴族はよく分からんぜ。
最近じゃ社交界で小綺麗なホビットを見せびらかすのが流行りだとかよ?」

宣教師「…もはや奴隷じゃない気がするんですが」

ウォルター「そういやてめぇは金貨200枚の値が付いたらしいぜ。良かったなぁ?」

カロル「喜んでいいのかな?」

宣教師「たぶん…」
114: ◆WEmWDvOgzo:2014/1/3(金) 08:44:35 ID:gvQ8CaIXqU
男の子「えーん!えーん!」ビエーン

カロル「?」ピタッ

宣教師「おや…泣いてますね?」

ウォルター「なにやってんだ!行くぞ?」

男の子「うあーん!」ビエーン

カロル「……」

宣教師「誰も声をかけないなんて薄情ですね…」

ウォルター「迷子にでもなったんじゃねぇか?いいから行くぞ?」

男の子「あーんあんあん!!うわーん!!」ビエーン

カロル「ねぇ、あのまんまじゃかわいそうだよ」

宣教師「うーん…ですが憲兵や人の目もありますし、あまり関わり合いにならない方が…」

ウォルター「ありゃ構ってもらいたいだけだな。うっとうしいクソガキだぜ」

男の子「うわーん!……うわーん!」チラッチラッ

宣教師「こっち見ましたね?」

ウォルター「なりふり構わなくなったな」

カロル「どうしたのか聞こうよ?」

ザワザワ ジロジロ

「かわいそうに…聞いてやれよ」

「教団のクセに泣いてる子供ほっとくのかよ。最低だな」

「神に仕える人がそれでいいんですかー?」

宣教師「…周りがざわつき始めましたね」

ウォルター「ちっ!目立っちまったな…。早いとこずらかって……」

カロル「ねぇ、キミ。なんで泣いてるの?」スタスタ

ウォルター「あぁ!?」

宣教師「(ふふふ。キミなら、そうすると思ってました)」クスリ
115: ◆WEmWDvOgzo:2014/1/3(金) 08:46:18 ID:gvQ8CaIXqU
カロル「大丈夫?どこか痛いの?」ナデナデ

男の子「グスッ…やっと声かけてくれた…」グシグシ

ウォルター「本音それか。やっぱり構ってもらいたかっただけじゃねぇか!」

男の子「だ、だって…あんなに泣いてる子供がいたら普通は誰かしら話しかけるじゃないか?それが人の道だろ?」

宣教師「したたかな子ですね…。声をかけて損した気がします」

カロル「あはは…まぁまぁ。泣いてたのはホントなんだから?」アセアセ

男の子「そうだそうだ!」アッカンベー

ウォルター「…こんなガキほっといて行こうや?」

宣教師「賛成です」

カロル「えっ」

男の子「うわーん!」ビエーン
116: ◆WEmWDvOgzo:2014/1/3(金) 08:47:52 ID:nhkhr2ewlE
男の子「あーん!神父さんたちが哀れな子羊を見捨てるー!?」ビエーン

カロル「あ、また泣かせちゃった…。大丈夫だよ、見捨てたりしないから?」ナデナデ

ウォルター「哀れな子羊たぁ傑作だ。ジンギスカン鍋にして食ってやろうか?」

宣教師「…わがままな子ですね。これが洗脳教育による民度の低下というものでしょうか」

カロル「二人ともいじわるしちゃダメ!」

男の子「そうだぞ、庶民が!」オシリペンペン

ウォルター「そのケツ、ハンマーでぶち砕いてやろうか?」イラッ

宣教師「庶民呼ばわりするならせめて上品に振る舞いなさい。下品ですよ?」

男の子「お兄ちゃーん!こいつらいじめるー!?」ダキッ

カロル「うんうん。普段は優しいんだよ?」ナデナデ

宣教師「キミはその子の態度に疑問を覚えないのですか?」ヒクヒク

カロル「シャイなんだよ?照れくさいんだもんね?」ニコニコ

男の子「そうそう」ホジホジ

ウォルター「人前で鼻くそほじるような野郎に恥じらいなんざあると思うか?」

男の子「黙れ、貧民。お兄ちゃん、なんとか言ってよー」ペタァッ

カロル「えっ?えっ?」ビクッ

宣教師「カロルくん!?」ビクビクビクゥッ

男の子「あ、ごめん。ハンカチ無かったからお兄ちゃんの服にくっつけちゃった」

カロル「い、い、いい…よ?はは…ははは…」ズーン
117: ◆WEmWDvOgzo:2014/1/3(金) 08:49:39 ID:gvQ8CaIXqU
ウォルター「もう十分だな。そのガキをメッタ刺しにするか行くか決めろや?」

宣教師「行きましょう」

カロル「新しい服…汚しちゃった」グスンッ

男の子「アイスキャンディ食いたい!買え!」

ウォルター「クソガキが」

宣教師「…邪念が沸々と湧いてきますね。この子の頬を張りたくて仕方ありません…」イライラ

男の子「やってみろよ。パパに言いつけるからな」シュッシュッ

ウォルター「連れてこいよ。親子共々串刺しにしてやらぁな?」

カロル「ボクの服…」ズーン
118: ◆WEmWDvOgzo:2014/1/3(金) 08:50:44 ID:nhkhr2ewlE
カロル「…ねぇ、そろそろ教えてよ。なんで泣いてたの?」

男の子「アイスキャンディ食べたいから」

ウォルター「ん?」

宣教師「はい?」

カロル「アイスキャンディ?」

男の子「あそこ。売ってるだろ?」ビシッ

カロル「あ、あの氷の棒のことかな?」

男の子「氷の棒って言うなよ!アイスキャンディおいしいんだぞ?」

宣教師「つまり…アイスキャンディ欲しさに道の真ん中で泣きわめいて…声をかけてきた人に買ってもらおうと?」

男の子「うん。すごい計画だろ!分かったら買え!イチゴ味だぞ!」

ウォルター「おーおー。ちょい待ってろ?今、俺が真っ赤なイチゴエキスをドバーッと……」ゴソゴソ

宣教師「おやめなさい。往来でナイフを取り出すんじゃありませんよ」

カロル「宣教師さま。宣教師さま」グイグイ

宣教師「どうしました?」

カロル「た、食べてみたい…です?」モジモジ

宣教師「えっ」

カロル「ダメ…ですか?」ウルッ

宣教師「」キュンッ
119: ◆WEmWDvOgzo:2014/1/3(金) 08:52:15 ID:nhkhr2ewlE
宣教師「ウォルターさん」

ウォルター「?」

宣教師「手持ちはありますか?」

ウォルター「…あぁ?」ジロッ

宣教師「残念ながら私、無一文なんですよ。持ち物は没収されてしまいましたから」

ウォルター「……何が言いたい?」

宣教師「この子たちにアイスキャンディを……」

ウォルター「却下だ」

宣教師「なぜです!?恵まれない子供たちに一筋の愛を…!」

ウォルター「初対面を庶民扱いするお坊っちゃんが恵まれてねぇと思うかよ?」

宣教師「な、ならせめてカロルくんだけでも!」

ウォルター「話が変わってんだろうが」

男の子「いいから買え、愚民」

ウォルター「とりあえず人気のない場所に連れてくぞ。話はそれからだ」

???「おい!貴様らぁ!?」

男の子「」ビクッ
120: ◆WEmWDvOgzo:2014/1/3(金) 08:53:41 ID:nhkhr2ewlE
憲兵「団長!いました!」

団長「貴様らぁ!そのお方に何をしているぅ!?」

宣教師「な、なんですか!あなた方は!?」

団長「すぐにそのお方から離れろぉ!?捕らえられたくなくばなぁ!?」

宣教師「何を言って…!?」

ウォルター「おとなしくしろ…」コショコショ

宣教師「え?」

ウォルター「そいつら憲兵団だ…。バレたらやべぇ…」コショコショ

宣教師「……!」

ウォルター「あちらさん、まだ気付いちゃねぇ…。適当にハイハイ言って見逃してもらうぞ…」コショコショ

宣教師「分かりました…」コクッ

団長「貴様らは旅の宣教師か?」

ウォルター「そうそう。そうなんですよ!このクソガ…お坊っちゃんとはなんら関係がないんで?」

宣教師「泣いてるのを見かけまして…泣き止ませようと声をかけただけなんです」

男の子「ウソつけ。ジンギスカン鍋にして食うだの、頬を張りたいだの言ったクセに」

団長「き、貴様ら!それはまことか!?」

ウォルター「ハハハ。ジェシー?この子は何を言い出すんだろうね?」HAHAHA

宣教師「誰がジェシーですか、誰が…」

団長「この方をどなたと心得る!?貴様らなどが気安く触れていいお方ではないのだぞ!?」

男の子「いいよ、いいよ。その通りだけど。庶民だからしょうがないよ」マァマァ

団長「いいえ、なりませぬ!」

ウォルター「いやーすみません。無知な庶民なんで大目に見てくださいな」

宣教師「(貴族の子息でしょうか…。妙に身形がいいとは思ってましたが)」
121: ◆WEmWDvOgzo:2014/1/3(金) 08:57:40 ID:nhkhr2ewlE
団長「この方はなぁ!国王様の第一子、ヒメ様だぁ!!」

宣教師「エェェェェェエ!!!?」

ザワザワ ザワザワ

ウォルター「お姫様だったのか!?」

ヒメ「王子だけど名前がヒメなんだよ。オレだって気にしてんだよ」

団長「さぁヒメ様!こちらへ!父君もご心配なされてますぞ!?」

ヒメ「あれ?もう一人は?」キョロキョロ

ウォルター「お?そういやぁ…いなくなってんな?」

宣教師「え…カロルくん?」キョロキョロ

団長「ヒメ様!聞いてます!?」
122: ◆WEmWDvOgzo:2014/1/3(金) 08:59:19 ID:nhkhr2ewlE
団長「ヒメ様!帰りますぞ!?」

ヒメ「やだね。オレはアイスキャンディを食べる任務の真っ最中だ。オレの計画に狂いはない」

団長「そんなもの!城に戻れば、もっとよいおやつがございます!?」

ヒメ「口を慎め、愚か者!アイスキャンディこそ至高!我が身に生命の息吹きを与えし鼓動なり!」

団長「ははーっ!申し訳ございません!」フカブカ

宣教師「(何を言ってるのかよく分からない)」

ウォルター「おーおー!いたぞ?」

宣教師「カロルくんですか?どこに?」

ウォルター「店の前でアイスキャンディ眺めてらぁ?なぁにやってんだか…」

ヒメ「あ、ズルいぞ!」ダダダッ

団長「ヒメ様ぁぁぁ!?追え!追えぇぇい!!」

憲兵「はっ!」ダッ

憲兵2「ヒメ!」ダッ

憲兵3「お待ちを!」

団長「誰だぁ!王子をヒメと呼び捨てた輩はぁ!?」

宣教師「(ややこしい…)」

ウォルター「とりあえずあいつを連れてずらかるか。めんどくせぇ」

宣教師「あ、カロルくんがこっちを見ましたよ!ここは私がジェスチャーで…」
123: ◆WEmWDvOgzo:2014/1/3(金) 09:00:44 ID:gvQ8CaIXqU
宣教師「に・げ・る!こっ・ち・き・て!」バッバッ

カロル「?」

宣教師「は・や・く!」バッバッ

カロル「」コクリ

宣教師「伝わりましたね!」

ウォルター「あのジェスチャーでかぁ?」ジロッ

カロル「」バッバッ

宣教師「……あれ?」

ウォルター「笑顔で手招きしてんな。分かりやすく『早くおいでよ』って口パクしてんぞーぅ」

宣教師「そんな…」ガクッ
124: ◆WEmWDvOgzo:2014/1/3(金) 09:03:44 ID:gvQ8CaIXqU
ヒメ「おい!おまえ!オレを差し置いて行くなよ!」

カロル「待ちきれないんだもの!」ニコニコ

団長「ヒメ様ぁぁぁ!」

ヒメ「団長うるさい。どっか行け」

団長「!?」

宣教師「はぁ…」トボトボ

ウォルター「」スタスタ

カロル「あっ!宣教師さまー!ウォルターさん!」ブンブン

ヒメ「遅いぞ、庶民A、B。アイスキャンディが溶けるだろうが」

宣教師「」イラッ

ウォルター「」ビキビキ
125: ◆WEmWDvOgzo:2014/1/3(金) 09:09:34 ID:gvQ8CaIXqU
店主「は、はははははひい!しょ、しょしょしょしょしょうお待ちおまちハマチイクラウニ」ガタガタブルブル

ヒメ「落ち着け、まだ何も言ってないし」

カロル「どの味にしよっかな!」ワクワク

ヒメ「イチゴとブドウとリンゴがあるぞ。オレはもちろんイチゴだ!」

カロル「へー!」

店主「苺と葡萄と林檎があります!味です!」ビクビク

ヒメ「言ったじゃん?」

カロル「じゃあボクはブドウにする!」

店主「かしこかしこまりましたかしこー!」パパッ

ヒメ「一回しか言わないから聞いとけよ。オレは……」

ヒメ「イチゴだ!!」ドンッ!

店主「ひいい!覇王色の覇気ぃぃ!?」

宣教師「(あ、何か今まで守り続けたモノが崩れたような…なんとも言えない感覚が…)」
126: ◆WEmWDvOgzo:2014/1/3(金) 09:13:30 ID:nhkhr2ewlE
店主「ど、どぞ」つ【アイスキャンディ×2】

カロル「ありがとうございます!」パシッ

ヒメ「苦しくないぞ!」パシッ

団長「それを言うなら苦しゅうないでございます。ヒメ様」

カロル「お姫さまなの?」

ヒメ「…勘違いさせるから名前で呼ぶのやめろ」

団長「はっ!失礼しました!」

カロル「おいしいね?」ペロペロ

ヒメ「うん。やっぱりイチゴこそ至高なりけり」ジュッポジュッポ

団長「王子、はしたのうございます」

ヒメ「うるさい。アイスキャンディはしゃぶるのがいいんだ!
溶けて垂れた甘い雫を丹念に舌で舐め取るのが甘美なんだ!」

団長「お言葉が更にはしたのうございます」

ヒメ「あーもう!好きに食わせろ!だからイヤなんだ!」

カロル「?」ペロペロ

店主「あのー…恐れながらお代を頂戴していないのですが?」

ヒメ「お代は庶民が出すよ。ねー?」

宣教師「…だそうですよ、庶民Bさん?」

ウォルター「ちっ!いくらだ?」

店主「銅貨10枚になります」

ウォルター「血税だけじゃ飽きたらずアイス代まで搾りやがって…まったく王族ってのは強欲だぜ」ジャラッ

店主「1、2…〜10枚、と。はい、まいどあり!」
127: ◆WEmWDvOgzo:2014/1/3(金) 09:17:49 ID:nhkhr2ewlE
―――城下町(広場)―――

ヒメ「」ジュッポジュッポ

カロル「すごいね。勢い」ペロペロ

ヒメ「王族と庶民では性能が違うのだよ。アイスキャンディをしゃぶるスピードでオレに敵うヤツはいない!」ジュッポジュッポ

カロル「…あ、溶けてきちゃった」ペロペロ

ヒメ「ゆっくり食べ過ぎだよ。もっと早く食わないと全部溶けちゃうぞ!」

カロル「う、うん」ペロペロ

ヒメ「アイスキャンディは時間が勝負だからな!」ジュッポジュッポ


団長「…すまんな。旅の宣教師一行よ。どうやらワシの勘違いだったらしい」

宣教師「いえいえ、お気になさらず。お立場を踏まえれば仕方ないですよ」

団長「む…そう言っていただけるとありがたい」

ウォルター「あの王子様はしょっちゅう城を脱け出すので?」

団長「いや…初めてだ。ワシも朝、脱け出したと聞いて腰が抜けたよ」

ウォルター「…その割りには違和感がねぇんですなぁ」

宣教師「確かに…身形はいいのに中身はわんぱくな普通の男の子ですよね」

団長「……」

ウォルター「どうされたので?」

団長「いや、ワシは憲兵団の団長であると同時に…城の近衛兵団の団長もしておってな…。
王子には剣術や礼儀作法等、御教授させていただいておるのだが……」
128: ◆WEmWDvOgzo:2014/1/3(金) 09:20:44 ID:gvQ8CaIXqU
ヒメ「ちぇっ。もう無くなったよ」ペロリ

カロル「あんなに急ぐんだもの?」ペロペロ

ヒメ「これ見よがしに…!」ギリッ

カロル「ふふ!おいしいなー?」ヘラヘラ

ヒメ「あっ!自慢したな!庶民のクセに!パパに言いつけるぞ!?」

カロル「あはっ!ごめん、ごめん。ヒメくんも食べる?」

ヒメ「庶民がべろべろ舐めたのなんか食わないよ!バッチぃな!」ムキーッ


団長「長年仕えておるが…あんな王子は初めて見た」

宣教師「……」

ウォルター「普段は違うんで?」

団長「うむ。第一に王子は笑わない、というよりも感情を表に出さない」

宣教師「あそこまで感情表現豊かな子…ではなく王子様が?」

団長「いつも物静かで…良く言えば落ち着いており、悪く言えば暗いお方だ」

ウォルター「ハッハ!人は見かけによらないもんだ!」

団長「国王からは早急に連れ戻すよう言われたが…」

宣教師「……」

団長「あの王子があんなにも楽しそうにしている…。ワシは…もう少しだけ見ていたい」

宣教師「」クスッ
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名前:
sage:


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うpろだ
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