前スレ
(少年「ボクが世界を変えてみせる」)
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―――あらすじ―――
人間によるホビットへの差別が当然のように行われる時代
人里を離れ、森の中で静かに暮らしていたホビットの親子がおりました。
母親の名はマリー。子供の名はカロル。
二人はささやかな幸せを願って、穏やかな日々を送っていました。
母は今の生活に満足していました。
もちろん森の中での生活は不自由で贅沢とは無縁なものでしたが多くを望まない母にとっては愛する我が子と生きていけるだけで幸せだったのです。
しかしカロルは違いました。
もちろん愛する母と生きるのに不満はなく、彼自身も多くを望もうとは考えません。
ですが彼にとって一つだけ足りないものがあったのです。
それは友達という存在でした。
幼心に自分たちの置かれた立場は分かっていたつもりでした。
人目を逃れて生きるホビットには仲間もなく、心を通わせる相手を見つけるのはとても難しいと。
それでも小さな身体に宿る希望は膨らむばかりです。
2: ◆WEmWDvOgzo:2013/11/24(日) 19:31:11 ID:ss79KI2Bic
あまり世間を知らない彼は密かに人間への憧れを募らせていました。
大勢で同じ場所に住み、同じ種族同士で助け合い、仲睦まじく暮らす姿が輝いて見えたのです。
友達を作ると決心した彼は好奇心の赴くままに積極的に人間と関わっていきました。
その中でたくさんの悲しみが生まれましたが良き理解者(宣教師)や同年代の友達(ルーボイとパッチ)に出会い、希望に沿った道を拓きます。
しかしそれも束の間の幸せでした。
ホビットと人間の関係は幼い考えには収まらない程に難しいもので。
ホビットを狙う組織(ヘマトバザール)、差別を促す教団、利用する王国、疑問に思わない人々
すでに出来上がっている仕組みは隔たりとなり、一時の繋がりはあっけなく引き剥がされてしまったのです。
失った繋がりを取り戻す為に教団の思惑を受け入れた親子は司祭の企みによって一つの真実を暴かれました。
それは息子のカロルが癒しの力を持っていた事です。
癒しの力とは教団の伝える伝承にも書かれており、ホビットが人間から奪ったとされる力
カロルが持っていた力は司祭の陰謀を加速させ、愛する母とも離ればなれにしてしまいました。
目に映らない所で崩れる友情。
一部の非情な人間の魔の手。
自分に向けられた野心と憎悪。
そして遠ざかる幸せな日々。
今、カロルは司祭にそそのかされ、王国へと連れられています。
はたしてホビットの親子に本当の幸せは訪れるのでしょうか?
小さな身体に宿る希望は未だ微かに残っています。
………………
3: ◆WEmWDvOgzo:2013/11/27(水) 11:23:33 ID:RCXCl5If6k
―――王国領(正門前)―――
馭者1「着きましたぞー!各々方!」ピシャリッ
馬「ひひーん!」ズザザッ
司祭「腰が痛いのう…。ようやっと着いたか…」スッ
アリアス「ダガの方の馬車がまだ着いていないようですが…」スッ
司祭「行き先は決まっておるのじゃから追ってくるじゃろうよ。わしらは先に行こう」
馭者1「あのーお連れさんが降りてくれないんですが…」
司祭「む?おい、はよう降りてこんか!」
シーン
アリアス「…ちょっと見てみます」スタスタ
カロル「くぅ…くぅ…」スヤスヤ
マルク「」グースカピー
アリアス「…寝ていますね」
司祭「叩き起こせ!!」
4: ◆WEmWDvOgzo:2013/11/27(水) 11:27:50 ID:RCXCl5If6k
―――城下町―――
カロル「わぁ……!」パチクリ
マルク「わふーん?」キョトン
カロル「ねぇ、見て!マルク!地面が石で出来てるよ!?」タタタン
マルク「うぅ〜」ムスッ
カロル「あ、硬くて歩きにくいの?」
マルク「くぅん…」ションボリ
カロル「大丈夫!ボクが抱っこしてあげるから!」エッヘン
マルク「わう!?」ビックリ
カロル「え?平気だよ。前はよくしてあげたじゃない?」
マルク「わっわんっ!?」ムリムリムリムリ!
カロル「ほら、おいで?足が痛くなっちゃうでしょ?」バッ
マルク「……」ハラハラドキドキ
カロル「う…!」ググッ
マルク「」ビクビク
カロル「あ…わ…わわっ!…あぁ!?」フラフラ
ドッスン!
マルク「きゃいんっ!」ドサッ
5: ◆WEmWDvOgzo:2013/11/27(水) 11:32:16 ID:RCXCl5If6k
アリアス「入国手続きが済んだのだけれど…あなた何をしてるの?」
司祭「そこは寝そべる場所ではないぞ」
カロル「あ…あはは」テレテレ
マルク「クゥーン…」ムギュ
6: ◆WEmWDvOgzo:2013/11/27(水) 11:34:37 ID:RCXCl5If6k
アリアス「あ、そうそう。大事なことを言い忘れてたわ?」
カロル「? どうしたの?」キョトン
マルク「?」キョトン
アリアス「あなた、靴を脱ぎなさい」
カロル「えっ」
7: ◆WEmWDvOgzo:2013/11/27(水) 11:49:26 ID:Zn..IGjcXM
―――城下町(大通り)―――
ワイワイガヤガヤ
アリアス「相変わらずの賑わいですね」スタスタ
司祭「ほっほっほ。さすが都は華やいでおる。田舎暮らしが長い年寄りの耳にはよく響くわい」スタスタ
カロル「うぅ…あ、足が痛いよー…」ペタペタ
司祭「我慢せい。王国本土に靴を履いて歩くホビットなぞおらん」
カロル「なんで靴を履いたらダメなんですか?」
司祭「ふむ…それはじゃな」
商人「ほら、どいたどいた!」ドンッ
カロル「わっ」ドサッ
商人「ちょいと!そこの神父様!」
司祭「む?わしのことかえ?」
商人「そうですとも!あなたですよ!まさしくあなた!」
アリアス「このお方は神父では……」
司祭「よいよい、気にするな」
アリアス「で、ですが仮にも司祭様に対して神父などと…」
商人「おっと、これは失礼!お付きの美人シスターさんにもご挨拶し忘れてましたね!」タハハ
アリアス「そ、そう?まぁ神父と司祭の違いなんて些細なことですわね。ふふふ!」
司祭「こやつ……」
8: ◆WEmWDvOgzo:2013/11/27(水) 12:00:47 ID:RCXCl5If6k
商人「ここで会えたのも神様のお導きによるものでしょう!いろいろ見てってくださいな!?」
司祭「悪いが先を急いでるんでな。またここを通った折にでもいくつか見せてもらうとしよう」
商人「そんなー!?ちょっとくらい、いいじゃないですか!?」
アリアス「あなたしつこいわね?司祭様は忙しいと……」
商人「そこをなんとか頼みますよぉ!ぴっちぴちなシスターのお姉さん!」ゴマスリスリスリ
アリアス「どうします?ここまで言ってますし何か見ていきますか?」
司祭「見ないと言っとろうが!口車に乗せられるな!」
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