むかしむかしのことです。
世界は深い緑が生い茂り、深い青が寄り添うように流れる清らかな一つの円でした。
穢れを知らず、怒りも悲しみもなく、渇くことのない喜びが波立てる大地は
争いを寡黙に、繋がりをおおらかにしました。
950:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/11/13(水) 15:16:17 ID:5VD59INVTw
旅人「ここがラムの家か?ウサギ小屋かと思ったよ」キョロキョロ
ラム「じゃあ帰れば?人間はウサギ小屋には入らないだろ?」
旅人「たまにはかわいいウサギちゃんと添い寝するのも悪くはないな」
ラム「気色悪いからやめてよ…」ゾワッ
旅人「さて、お宅拝見といきますか」ガチャッ
ラム「勝手に入るな!」
951:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/11/13(水) 15:20:10 ID:sEfoXHz.V2
旅人「…ふーん。質素な家だねぇ。家具も置かずに生活してるのか?」
ラム「悪かったね、貧乏で」ムスッ
旅人「いやいや、それより家族はもう寝たのかな?」
ラム「いないよ」
旅人「いない?こんな時間に出かけてるのか?」
ラム「…そのままの意味だよ。家族はいないんだ」
旅人「……」
ラム「村人達が…僕の両親を村から追い出したんだ」
旅人「追い出した?」
ラム「ホビットは汚い種族だから村に置いておけないって…」
旅人「君は追い出されなかったのか?」
ラム「僕はまだ小さかったから…。両親がお金を渡して村に預けてくれたんだ」
旅人「なるほど、地獄の沙汰も金次第って言うしねぇ。君の両親は懸命だよ」
ラム「僕は残りたくなんかなかった…!」ググッ
旅人「気持ちは分かるがね。子供を連れてあてのない旅をするのは大変だよ」
ラム「お母さんもお父さんも…僕が邪魔だったから捨てたって言うの?」
旅人「そうじゃない。きっと事情があったのさ」
ラム「事情ってなんだよ!僕より大切な事情だったの!?」
旅人「…両親なりに考えたんじゃないかねぇ。
のたれ死ぬと分かって連れて行った方が幸せか、迫害されると分かって残した方が幸せか…」
ラム「……!」
旅人「…ラムはどう思うね?」
ラム「…僕の幸せを考えるなら、飢えて死んだっていいから一緒に行きたかった!」
旅人「…そうだろうなぁ。難しいよ、親子ってのは」
952:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/11/13(水) 15:25:04 ID:5VD59INVTw
旅人「ま、なんにせよクヨクヨしたって始まらないぞ〜?」
ラム「別にしてない…」
旅人「ふぅ〜」
ラム「なに?そのわざとらしいため息は?」
旅人「分からないか?」
ラム「……?」キョトン
旅人「さっきから君はお客さんに茶の一つも出さないのかね?」
ラム「呼んだつもりはないし、勝手にズカズカ入り込んでくる人間をお客さんとは思えない」
旅人「悲しいなぁ〜?」
ラム「…水でよかったら出してあげてもいいけど」
旅人「水?おいおい、ジョークがうまいじゃないか?」
ラム「村の人間は茶葉も食料も売ってくれないから、雨が降った日には水を溜めてる。それでいいなら出すけど?」
旅人「手厳しいなぁ〜?それじゃ飯はどうしてるんだい?」
ラム「1日に一回、家のドアの前に村人が置いてる」
旅人「なんだ、意外に大事にされてるんだねぇ?」
ラム「そうかな…。僕は地面に落ちてる食べかけの料理を見て、大事にされてると思った事は一度もないよ」
旅人「…こりゃ失敬」
953:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/11/13(水) 15:27:54 ID:5VD59INVTw
旅人「なぁ、ラム君。一つ訪ねてもいいかい?」
ラム「…なに?」
旅人「外の世界に興味はあるかね?」
ラム「ないけど」キッパリ
旅人「…そんなにきっぱり言われるとは思わなんだなぁ」ポリポリ
ラム「…でも、ずっとここにいるなら…外に出てみるのもいいかな」
旅人「素直じゃないねぇ?」クスクス
ラム「…どうしてそんなこと聞くのさ?」
旅人「なぁに、ただの気まぐれだよ?」
ラム「あっそ…」プイッ
旅人「もしラム君さえよかったらおじさんが素晴らしい世界へ案内しようか?」
ラム「素晴らしい世界って?」
旅人「こんな村にいたら味わえない幸せがこの世にはたくさんあるって事さ」
ラム「……」
旅人「どうだい?子供の君ならわくわくしないか?」
ラム「なんで僕に優しくするの?」
旅人「ん?」
954:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/11/13(水) 15:37:46 ID:5VD59INVTw
ラム「僕を騙してからかう気なんだろ?」
旅人「なぜそう言える?おじさんは見ての通り、優しくて頼れる力持ちだよ〜ん?」
ラム「…今日だってそうだった」
旅人「ん〜?」
ラム「みんなから遊ぼうって誘われて…行ったら石を投げられた」
旅人「あぁ…そういえばあの家でそんな話をしてたっけなぁ」ポリポリ
ラム「いつもそうさ…。嘘だって分かってるのに…!」ググッ
旅人「そいつは可哀想に。心から同情するよ」ナデナデ
ラム「それでも信じたくなるんだ…。そんな自分が情けなくて…悔しくて…どうしていいか分からないよ」
旅人「悪循環でしかないなぁ?そんな環境にいたら君はダメになる」
ラム「」ウルウル
旅人「おんやぁ?キレイな瞳に水溜まりが出来てるぞ?」
ラム「大人たちは…汚く濁った黄色い目だってバカにする…」
旅人「そうか?おじさんはそうは思わないがね?」
ラム「そんなの…誰も言ってくれない」
旅人「俺は言うさ?君の瞳は濁っちゃ〜いない!磨いた石ころ程度には輝いてるさ!」
ラム「なにそれ…」クスッ
旅人「」ニヤリ
955:🎄 改行ミス…orz ◆WEmWDvOgzo:2013/11/13(水) 15:40:02 ID:sEfoXHz.V2
旅人「また明日、必ず遊びに行くよ。約束だ?」
ラム「別に来なくていい…」
旅人「素直じゃないなぁ〜?」ニヤニヤ
ラム「…うるさい」
旅人「いい子にしてろよ?」ナデナデ
ラム「やめろって言ってるだろ…!」バッ
旅人「おやすみ、ラム君?」フリフリ
ラム「……」
バタンッ
ラム「おやすみ、おじさん…」ボソッ
ガチャッ
ラム「」ビクッ
旅人「あぁ、そうだ!さっきの話、考えといてくれよ?」
ラム「う、うん。わかっ…た…」
旅人「…それからおやすみの挨拶はもっと大きな声でした方がいい?」ニヤリ
ラム「……!?」カァァァ
バタンッ
ラム「くっ…」ギリッ
956:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/11/15(金) 20:18:41 ID:Ou70Vp7aU.
…………………
―――東の領土―――
「…きろ……ラム…!」
ラム「……?」ボヤァ
バンパ「起きろって!」ユサユサ
ラム「うぅん…揺すらないでよ」ゴシゴシ
バンパ「いつまで寝てんだ!出発するぞ!?」
ラム「はいはい…」スクッ
シープ「珍しいねー!ラムが寝坊するなんて!」
バンパ「ったく!俺に見張らせといてのんきなもんだぜ!」
ラム「ふあぁ〜…ちょっと懐かしい夢を見ててね」ノビッ
バンパ「ちっ…聞いちゃいねぇ!」
シープ「どんな夢だったの?」
ラム「…すごく嫌な夢。思い出したくなかったんだけどなぁ」
シープ「へー!じゃあ起こしてもらってよかったね?」ニッコリ
ラム「うん。バンパもたまにはいいことするよね」ニコッ
バンパ「たまにはってなんだ!?」
ラム「さ、行こうか。早く仲間に会いたいし」
バンパ「待たせといて行こうかじゃねぇだろ!?」
シープ「れっつらごー!」ピョンッ
957:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/11/15(金) 20:20:05 ID:2f6ATVrpfk
シープ「あとどれくらいで着くのかなー?」スタスタ
バンパ「歩いてりゃその内着くよ」スタスタ
シープ「ちゃんと答えてよ!」
バンパ「あぁはいはい。分かったからこれでも食ってろ」つ【饅頭】
シープ「なにこれ?」
バンパ「行商人からぶん盗った荷物に入ってたんだよ。うまいかは知らん」
シープ「へー!ラムー!はんぶっこしよー!」チギリチギリ
ラム「ありがとう」パシッ
バンパ「(俺にも分けるって発想はないんだな…)」シミジミ
シープ「モグモグ…これ…おいモグモグしいね…!」モゴモゴ
ラム「パクッ…うん」モグモグ
バンパ「食いながら喋るな。だらしねーぞ」
シープ「バンパってお母さんみたい?いちいちうるさいしー!」
バンパ「誰がお母さんだ!?せめて兄貴って言えよ!?」
ラム「まぁ歳は離れてるから立ち位置は保護者に近いかもね」
バンパ「お前らみたいな年中反抗期のガキを育てられる甲斐性なんかねーよ!」
シープ「こっちだってやだよーだ!」アッカンベー
バンパ「(このクソガキ…!)」イライラ
958:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/11/15(金) 20:21:46 ID:Ou70Vp7aU.
ラム「お母さん、かぁ。そういえばカロル君のお母さんは綺麗で優しかったっけ」
バンパ「あ?またそいつの話か?飽きねぇな、お前も?」
ラム「まぁね。ちょっと気になるんだ」
ラム「誰かを助けたいからって教団の人間に付いていっちゃったけど、結局どうしたんだろ」
バンパ「けっ!ホビットは罪深いだの触れ回ってんのはあいつらだ。無事に済むわきゃねぇだろ」
シープ「そんなに心配なら止めてあげればよかったのに?」
ラム「もちろん止めたよ。だけど聞かなかったから…」
バンパ「分からないな。お前も言ってたじゃないか?そいつとは気が合わないってよ」
ラム「気が合う訳じゃないけど…気に入らない訳でもない」
バンパ「なんだ、そりゃ…」
シープ「ぼくはキライ!人間も!人間と仲良くするヤツも!」
バンパ「同感だな。絶対ダチにはなれねぇ」
ラム「……」
バンパ「俺が人間の奴隷だったのは知ってるだろ?
おかげでイヤってほど踏みにじられてきたんだ!
あんな奴らと仲良くなれるなんて信じたくもねぇ!」
シープ「ぼくだって!」
ラム「うん…。そうだね」
ラム「でも…あの子の気持ちも少しだけ理解できるかな」
バンパ「…え?」
ラム「……なんでもない。それより前から馬車が来てるよ。隠れよう」
バンパ「え、あ、ほんとだ!」アタフタ
シープ「大きな木があるよ!あそこの木陰にしよう?」タタタッ
バンパ「お、おう!」タタタッ
ラム「」タタタッ
ラム「(カロル君の気持ちは理解できる。僕も一度信じてしまったから…)」
ラム「(けど騙された…。人間は平気で嘘をつく生き物だから)」
959:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/11/15(金) 20:23:39 ID:2f6ATVrpfk
パカラッパカラッ パカラッパカラッ
ラム「…行ったよ」ヒョコッ
バンパ「けっ!なんであんな奴らにビクビクしなきゃなんねぇんだ!」スタスタ
シープ「捕まったらまたあそこに入れられちゃうよー?」
バンパ「うっ…あ、あそこだけは死んでも入りたくねぇ…!」
シープ「そうだよ。せっかく自由になれたんだから!」
ラム「…あそこで未だに苦しめられてる仲間もいるしね」
シープ「仲間を集めたらみんなみんな助けてあげよー!」エイッ エイッ オー!
ラム「ふふ」クスッ
バンパ「エルマーの仲間を説得したら世界中から同族を集めるんだ!きっと凄いコトになるぜ?」
シープ「そしたら人間なんて目じゃないよね!」
ラム「うん。ヘマトも教団も王国も全部、全部潰してやろう」
バンパ「そうだな!」ニカッ
シープ「うん!」ニッコリ
960:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/11/15(金) 20:26:04 ID:2f6ATVrpfk
バンパ「やっと獣道を抜けたな」ザッザッ
シープ「ね、ねぇねぇ?いつまで歩くの?ぼく疲れちゃったよ」ゼーゼー
ラム「あと少しだから頑張って?」
バンパ「…見えたぞ!」
シープ「えっ!どこ?どこ!?」キョロキョロ
バンパ「あの丘の先に旗が見えるだろ!アレは俺達の種族を表す"青い実"の刻印だ!」
シープ「ホントだー!」キラキラ
ラム「……」
バンパ「行こうぜ!早く!」タタタッ
シープ「オッケー!」タタタッ
ラム「あ、二人とも…」
バンパ「チンタラしてたら置いてくぞー!」タタタッ
シープ「ラムも早く来なよー!」タタタッ
ラム「(おかしい。何かが…)」
ラム「(エルマーはホビットが隠れて暮らす集落の筈なのに…わざわざあんなに目立つ旗を付けるのかな)」
ラム「……」
ラム「」タタタッ
961:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/11/15(金) 20:27:33 ID:2f6ATVrpfk
―――エルマー?―――
バンパ「お!入り口に誰か立ってるぞ?」
シープ「…人間?」
バンパ「いや、あれは同族だよ。説明して入れてもらおうぜ」スタスタ
シープ「…ぼくたち、ホントにここまで来たんだねー!やっと仲間に会えるんだ!」スタスタ
門番「」ビクッ
バンパ「そう警戒すんな!見ての通り同族だ!」
門番「……」
バンパ「どうした?」
門番「」ボソッ
バンパ「なんだって?聞こえないぞ?」
シープ「様子が変だよ?」
ラム「二人とも!」タタタッ
バンパ「ん?あぁ、やっと来たか!見ろよ、ちゃんと同族がいるぜ!」
ラム「…あ、ホントだ。僕の勘違いだったのかな」
シープ「ねぇ、通してよ?ぼくらは仲間でしょ?」
門番「誰から聞いてここに来た…!?」ボソボソ
バンパ「誰からって…同族から聞いたんだ。ここがホビットの集落だって」
シープ「あのお爺さん、一人で旅をしてたよね?今も元気かなー?」
門番「…げろ!…やく!」ボソボソ
シープ「え?なに?」キョトン
ギィィ バンッ
門番「」ビクッ
962:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/11/15(金) 20:29:51 ID:Ou70Vp7aU.
バンパ「お、門が開いたぞ!」
ラム「待ちなよ。誰かいる…」
???「ようこそ、愛すべき同胞達!心から歓迎致します!」ニコニコ
門番「た、タワンテさん!」アセアセ
タワンテ「何をしてるんですか、ティラーナ!アナタの仕事は門を守るコト!
人間なら追い返し!同族なら受け入れる!違いますカ!?」
門番「……」
タワンテ「見なサイ。愛すべき同胞達がとても困ってル!」
ラム「……」
タワンテ「失礼しまシタ。どうぞお入りくだサイ!」
バンパ「それじゃ入ろうぜ?」
シープ「うん!」トコトコ
ラム「……」スタスタ
タワンテ「ティラーナ!門を閉じておきなサイ!アナタの役割をわすれないように!ネ!」
門番「…わかり…ました」
ギィィ バタンッ
963:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/11/15(金) 20:31:23 ID:2f6ATVrpfk
タワンテ「ワタシが案内しますからネ!付いてってくだサイ!」スタスタ
ラム「案内?」スタスタ
タワンテ「皆にもアナタ達を紹介したいのデス!同胞がやって来るのは珍しいので!」
ラム「珍しいって…どうしてです?同族なら、まずここを目指すんじゃ…」
バンパ「たどり着けないんじゃねーか?俺らだって1年以上掛かったし危ない橋も渡ってきたろ?」
タワンテ「かもしれません」
シープ「あんまり家もないし…誰も歩いてない?」キョロキョロ
ラム「うん…。僕も気になってた」
タワンテ「そういうものデス」
バンパ「まさかほとんど誰も住んでないってんじゃないだろうな?」
シープ「タワンテさん、どうなの?」
タワンテ「心配はいりません。すぐに同胞に会えますから」
964:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/11/15(金) 20:33:27 ID:Ou70Vp7aU.
タワンテ「…着きましたよ」
バンパ「着きましたって…何にもないじゃないか?」
タワンテ「……」
シープ「冗談やめてよ!ぼく、もうクタクタなんだから!」
ラム「え…?」ピクッ
ゾロゾロ ゾロゾロ
黒装束「ハッハー!ようこそ、愚かなホビット達よ!」ガサッ
ラム「……」
バンパ「は…!?」
シープ「ちょ、ちょっと!なにこれ…!?」アタフタ
黒装束「野郎共!このマヌケな3匹を捕らえな!」バッ
手下1「」ジリジリ
バンパ「うおっ!ふ、ふざけんな!」ダッ
ラム「シープ!走れるかい!?」ダッ
シープ「う、うん」タッタッ
手下2「逃げ場なんかねぇよ!おとなしく捕まりやがれ!」パシッ
シープ「ひっ!」ググッ
バンパ「シープを離せ!」バキッ
手下2「あうっ!?」ドカッ
バンパ「チャッチャと走れ!捕まるぞ!?」ガシッ タタタッ
シープ「わっ!ひ、引っ張らないでよ!」タタタッ
965:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/11/15(金) 20:37:02 ID:2f6ATVrpfk
黒装束「おとなしく捕まっておけば痛い目に遭う必要もないんだがなぁ?」
タワンテ「諦めきれないんでしょう。せっかく手に入れた自由を」
黒装束「ハッハッハ!そういうモンか!?お前らホビットは好きだもんなぁ?無駄な努力が…!」
――――――
手下3「へぇっへっへ!追い詰めちゃったぞぉ〜?」ジリジリ
ラム「…うるさい。デブ」トンッ
手下4「後ろは壁。前にはナイフを持った俺達。さぁどうする?」
ラム「」スッ
手下3「おぅっ!おぅっ!?ひざまづいたぞぉ!?泣いて許しを乞うつもりかぁ〜!?」ブヒヒ
ラム「誰がお前らなんかに…」
手下4「素直にしとけば加減してやらんでもなかったが…バカな奴だ」ダッ シュバッ
ラム「」サッ バウッ
手下4「ぐあっ…目が…!このガキ…砂を…!」ギュッ ゴシゴシ
ラム「」タタタッ
手下3「ほーい!逃がさないよーん!」バッ
ラム「」バウッ
手下3「おっと、同じ手を喰うか!」サッ
ラム「」シュッ ガツンッ
手下3「ごぼほぉっ!?」ズルッ バタッ
ラム「潰れちゃった?」クスリ
手下3「(こ、このガキぃ…!き、きき…た…玉ぁぁ…蹴りやがったぁ!?)」アガアガ
ラム「バイバイ」タッタッ
966:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/11/15(金) 20:39:22 ID:Ou70Vp7aU.
ラム「(バンパ達と合流しなきゃ)」タタタッ
???「逃がしませんよ」ヒュッ
ザクッ!
ラム「えっ…!?」ドサッ
タワンテ「諦めなサイ。ナイフが太ももに突き刺さってます。もうその足は使えませんヨ」スタスタ
ラム「た、タワン…テ?」ドクドク
タワンテ「こうしないとワタシがお仕置きされるんデス」ガッ グイッ
ラム「あっ…ぐっ!」ブチブチ
タワンテ「スミマセン。愛すべき同胞…許してください」
ラム「離せっ…!離せよ…!」ジタバタ
手下4「味な真似を…!」ゴシゴシ
手下3「うぐぅ…ゆ、ゆるさねぇ!こいつの玉、握り潰してやるぅ!」エグッ グシッ
タワンテ「…とりあえずウォルター様に報告しましょう」
手下3「ちぃっ」
手下4「それもそうだな?さっさと持ってくぞ」
タワンテ「ハイ」ズルズル
ラム「うあっ!ぐぅ!」ズズズ
967:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/11/15(金) 20:43:46 ID:2f6ATVrpfk
―――エルマー?(門前)―――
バンパ「おい!開けろ、開けろよ!?」バンッバンッ
バンパ「っ…ダメだ!押しても引いてもビクともしないし門番も反応しねぇ!」
シープ「あいつらが来たよ!?」
手下1「へっ」スタスタ
手下2「言ったよな?逃げ場なんかねぇと?」スタスタ
バンパ「うぅ…くそがっ!こうなったら俺が時間を稼ぐ!シープ、お前は壁をよじ登って出るんだ!」
シープ「む、ムリだよー!あんな高い壁…!」
バンパ「じゃあどうすんだ!?ここまで来て、また自由を手放すのか!?」
シープ「」ビクッ ブルブル
バンパ「それが嫌なら死ぬ気で逃げろ!!無理でも壁から這い上がれ!!」
シープ「……!」ダッ ガッ ヨジヨジ
バンパ「けっ!」ダッ
手下1「お、あちらさんから向かってくるぞ?」
手下2「手間が省けていいや!やっちまえ!」
968:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/11/15(金) 20:48:23 ID:Ou70Vp7aU.
バンパ「おらっ!」ビュッ
手下1「ぎゃっ!?」ドスンッ
手下2「な、なんだ、こいつ…!」
バンパ「(大したことねぇな…。これならラムの奴も逃げれてんだろ)」
黒装束「おーおー手こずってんなぁ?」スタスタ
手下2「ウォルターさん!」
バンパ「(親玉はあいつだな…。ならあいつさえ倒しちまえば…)」
黒装束「狩人が獲物に狩られてちゃ世話ねぇよ」
手下2「す、すんません」
黒装束「指、小指でいいから」クイッ
手下2「へ?あ、いや…でも…!」アタフタ
黒装束「ん?耳がいいのか?勇気のある奴だな?」
手下2「……!ゆ、指で…お願いします!」スッ
黒装束「」ヒュンッ ビシュッ
手下2「あっ…あっ!あうぅぅぅ……!」ブシュー
黒装束「おーしおし、止血なんかすんじゃねーぞ?骨を剥き出しにしてよーく風に当てとくんだ?」
手下2「は、はい…!」プルプル
黒装束「後で剥き出しになった指の骨をヤスリで削ってやるからなぁ?楽しみだなぁ?」
手下2「あ、あぁふぅぅ」ジョー
969:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/11/15(金) 20:51:15 ID:Ou70Vp7aU.
黒装束「そんじゃ遊ぶか?」ニヤリ
バンパ「狂ってやがんな…」
黒装束「狂ってるくらいがマトモなんだよ。俺達の仕事はな」
バンパ「胸くそ悪い野郎だぜ…!」ダッ ブンッ
黒装束「お?なんだ、こりゃ?メガトンパンチか?」パシッ
バンパ「な、なにぃ!?」グイッ グイッ
黒装束「ハッハー!」ブンッ
バンパ「ぐは…!」バキッ
黒装束「運がいい時に来たなぁ、お前ら?」
バンパ「あぁ…!?」ヨロッ
黒装束「本当ならちょっとばかし遊んでから組織に持って帰るんだが…なんでも今度行うショーはでかいようでな?
最高の催しを届ける為に綺麗なままのホビットを集める事になってんだ」
バンパ「お前…!まさかヘマトか!?」
黒装束「なんだ?俺達の組織を知ってんのか?」
バンパ「……」
黒装束「あぁ?さてはお前ら脱走しやがったんだな?」
バンパ「だったらどうした!?」
黒装束「どうしたもこうしたもあるか。もったいないから再利用するだけだ。
せいぜい自分の出る演目に期待してな?主役を張りたきゃ悲痛な叫びを客に聴かせてやるこった?」
バンパ「なにが演目だ…!あんなモン、ただの虐殺じゃねぇか…!」
黒装束「価値観の相違ってやつか?まぁいいわな?」
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