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少年「ボクが世界を変えてみせる」
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1:🎄 名無しさん@読者の声:2012/12/23(日) 21:21:41 ID:apUuk9iOiY
むかしむかしのことです。
世界は深い緑が生い茂り、深い青が寄り添うように流れる清らかな一つの円でした。
穢れを知らず、怒りも悲しみもなく、渇くことのない喜びが波立てる大地は
争いを寡黙に、繋がりをおおらかにしました。


93:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2012/12/29(土) 10:45:47 ID:PHb2NYku.U
少年「あはは。負けちゃった」

子供2「じゃあ俺たち隠れるから1000秒数えろよ!」

子供3「数え過ぎだよ!?
10秒でいいからね?」

少年「えっ…そんないいよ、1000秒数えるルールなんでしょ?」

子供2「……」

子供3「あ、あはは。2くんの冗談だから大丈夫だよ?」

少年「そ、そうだったの?」カァァ

子供2「」キュンッ

子供3「どうしたの?」

子供2「な、なんでもねーよ!」

子供3「……?」
94:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2012/12/29(土) 10:47:44 ID:wJajIDVNMY
少年「はぁっ…はぁっ…」

子供3「つ、疲れたね…?」ゼェゼェ

子供2「お前らへばってんじゃねーよ!」

子供3「なんで2くんだけあんな元気なんだろ…?」

少年「わかんない…でもすごく楽しいや」

子供2「おーい、もっと遊ぼうぜ!」

子供3「えー!ちょっと休もうよ!」

子供2「なんでだよ!いいから遊ぼうぜー!」

少年「うん、遊ぼ?ボクももっと遊びたい!」ニコッ

子供2「」ドキッ

少年「どうしたの?」キョトン

子供2「う、うるせーよ!」

少年「え…」

子供2「ふんっ」プイッ

子供3「二人ともすごいや、ボクもうへとへとだよ…」
95:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2012/12/29(土) 10:50:32 ID:wJajIDVNMY
子供3「だめ…ほんとにもうむり…」バタッ

少年「はぁっ…ぼ、ボクも…疲れちゃったよ…」

子供2「次なにするー?」

子供3「ボクらの話聞いてた!?」

少年「ボク…もう戻らなきゃ」

子供2「えー!なんでだよー!?」

少年「だって…お母さまを待たせてるから」

子供2「いいじゃんか!遊ぼうぜ!」

少年「で、でも…」

子供3「まぁまぁ!しょうがないよ」

子供2「……」

少年「ごめんね…?」

子供2「お前なんか知らねー!帰っちゃえよ!」

少年「」ガーン

子供2「バーカ!ブース!」ダッ

少年「……」
96:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2012/12/29(土) 10:52:27 ID:wJajIDVNMY
子供3「気にしないでね、いつものことだから」

少年「…そうなの?」

子供3「そうだよ、好きな女の子にはああするんだ」

少年「す、好きな女の子…!?」カァァ

子供3「ボクらを教えてくれてる女の宣教師様にも、いつもああなんだ」

少年「そ、そうなんだ…」

子供3「うん、だから気にしないで?お母さん、待ってるんでしょ?」

少年「うん…」

子供2「おい!いつまでいんだよ!さっさと帰れよ!」

子供3「ふふ、素直じゃないんだから」

子供2「はぁ?意味わかんねーし!」

少年「」クスクス
97:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2012/12/29(土) 10:53:33 ID:wJajIDVNMY
子供2「なに笑ってんだよ!?」

少年「ううん…なんでもない」

子供2「ヘンな奴…」

少年「これ、友達の証だよ。受け取って?」つ【キャンディ】

子供2「」ドキッ

子供3「ありがとう」

少年「ううん、またね?」タタタッ

子供2「お、おう…」ドキドキ

子供3「どうしたの?」ニヤニヤ

子供2「うるせー!!」プンスカ
98:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2012/12/29(土) 10:54:45 ID:wJajIDVNMY
少年「待たせてごめんね」

母「あら、もういいの?」

少年「うん、お母さまを待たせてるもの」

母「もう…そんなの気にしなくていいのに」

少年「でも…」

母「あなたが子供たちと遊んでるのを見てるだけであたしは幸せよ?」

少年「……うん、ボクも楽しかった!」

母「うふふ、それは良かったわ!日も暮れてきたし行きましょうか?」

少年「そうだね、さっきまであんなに明るかったのに」

母「たくさん遊んだんだもの、しょうがないわ」

少年「楽しい時間は速く過ぎるんだね」

母「そうよ?だから大事にするの」

少年「そうだね…ボク、大事にするよ」

母「えぇ。そうなさい?」

少年「(また遊びたいな…)」
99:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2012/12/29(土) 10:56:09 ID:PHb2NYku.U
母「それにしても…あの子たちと遊んでるあなた、まるで違和感が無かったわよ?」スタスタ

少年「そうかな?」スタスタ

母「えぇ。誰も14歳の男の子だなんて思わなかったでしょうね」ニコニコ

少年「……そんな事ないもん」

母「あ、今は女の子だったかしら?」ニヤニヤ

少年「っ……!しらない!」

母「うふふ。ところで、どの辺りなの?」

少年「えっと、確か…あっ!あそこだよ!」

母「まぁ、ずいぶん立派な……」ピタッ

少年「お母さま?どうしたの?」

母「これは…教会…?」

少年「うん、そうだよ?」

母「坊や、帰りましょ」

少年「えっ」
100:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2012/12/29(土) 10:57:06 ID:PHb2NYku.U
少年「へ?な、なんで?」アセアセ

母「あなたも死んだおじいさまから聞いたでしょう?
教団の人間だけは、絶対にだめよ」

少年「で、でもボクを助けてくれた。いい人なんだよ?」

母「昨日はそうかもしれないけど今日はわからないでしょう?
お母さんはあなたを思って言ってるのよ」

少年「そ、そんな…急にどうして?」アタフタ

母「いいから帰るわよ、さぁ!」グイッ

少年「や、やめて!痛いよ?
それにあの人はそんな人じゃない!」

母「」キッ

少年「」ビクッ

母「ならいってらっしゃい!
行って教団の人間がどんなに酷いか知るといいわ!」

少年「……お母さま…」
101:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2012/12/29(土) 10:57:55 ID:wJajIDVNMY
母「お母さんは先に帰るわ。
一緒に帰るなら今のうちよ?」

少年「いい…」

母「そう。勝手になさい?」

少年「うん。勝手にする…」

母「……もう、知らない」スタスタ

少年「……ごめんなさい、お母さま」
102:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2012/12/29(土) 10:59:21 ID:PHb2NYku.U
ポツン

少年「どうして、こうなっちゃったんだろ…」

少年「さっきまであんなに楽しかったのに…」

少年「お母さま…」ウルッ

少年「……」グスッ

宣教師「どうしました?」

少年「!?」ビクッ
103:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2012/12/29(土) 18:19:12 ID:TlNdAXGC3g
少年「し、神父さま?」

宣教師「なっ…!?
失礼な事を言うんじゃありません!私は女です!」

少年「じゃ、じゃあシスター?」

宣教師「あ、いえ。それは少し近いのですが…違います」

少年「……?」

宣教師「コホン!私は神の教えを説き、広める者…宣教師です!」

少年「宣教師…さま?」

宣教師「はい、宣教師です!」ドヤァ

少年「……」

宣教師「(無反応…だと…!?)」ガーン
104:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2012/12/29(土) 18:20:09 ID:HcAMq1STVw
宣教師「コホン!あ、あなたはなぜ教会の前に?」

少年「えっ?ぼ、ボクは…えっと…」

宣教師「……?」

少年「せ、宣教師さまこそ、どうして?」

宣教師「どうしても何もここは私の教会ですが」

少年「あ、そうじゃなくて…」

宣教師「?」

少年「お日さまも沈んでる時間に帰って来たんだって思って…」

宣教師「あぁ…いつもはもう少し早いのですがね。
趣味で作っているお菓子の材料が切れまして、買いに行っていたのです」

少年「そ、そうです…か」

宣教師「あ、はい」
105:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2012/12/29(土) 18:23:57 ID:TlNdAXGC3g
少年「……」

宣教師「……」

少年「……」

宣教師「(き、気まずい…)」

少年「……」

宣教師「(な、なんでしょう?前にもこんな事があったような…?)」

少年「あの」

宣教師「は、はいっ」ビクッ

少年「ご、ごめんなさい」

宣教師「あ、いや…どうぞ」

少年「昨日のこと、覚えてますか?」

宣教師「ん?」
106:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2012/12/29(土) 18:24:53 ID:HcAMq1STVw
宣教師「昨日の…?」

少年「は、はい」

宣教師「失礼ですが、あなたのような女の子とお会いした事は無いかと…?」

少年「……」バッ

宣教師「か、カツラ…?」

少年「……」

宣教師「……!キミは、昨日の?」

少年「はい、宣教師さまに助けてもらったホビットです」

宣教師「っ……!」

ホビット「覚えて…ますか?」

宣教師「……!」ギュッ

宣教師「……なにを、言っているのですか?」

少年「えっ」
107:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2012/12/29(土) 18:26:33 ID:TlNdAXGC3g
宣教師「私はあなたを助けた覚えなどありません」

少年「で、でも手当てして寝かせてくれた…!」

宣教師「神の教えに従ったまでです。
本来であれば罪深きホビットなど捨て置くところですが、
道で死なれても困るので、しかたなく手当てして差し上げました」

少年「ビスケット…くれた」

宣教師「あれはあなたを追い返す為にあげたんですよ。
失敗作が残っていたので、ゴミを減らすにはちょうどいいと思いましてね」

少年「そんな…」

宣教師「そんな事で女装までして私に会いに来たのですか?
ずる賢いホビットの考えそうな事です」

少年「ボク…お礼がしたくて」

宣教師「結構です。元いた場所に帰りなさい。
ホビットなど目に映せば、穢れてしまいます」

少年「そんな…そんなのって……」
108:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2012/12/29(土) 18:28:11 ID:HcAMq1STVw
宣教師「あなたたちホビットは自分の罪を償う術を考えていればいいのです。
私があなたを受け入れると思っていたのですか?
人間に媚び、擦り寄ろうなど薄汚い種族にはお似合いかもしれませんが、笑えない話ですね」

少年「……」ポロポロ

宣教師「っ……!なにを泣いているのですか?
帰りなさいと言っているでしょう!」

少年「」スッ

宣教師「……なんのマネですか、この無駄に大きい花束は?」

少年「カリアムの花…花言葉は親愛の証って、お母さまが言ってました…」

宣教師「……」

少年「ごめんなさい…」ポロポロ

宣教師「……」

少年「ボク…帰ります」タタタッ

宣教師「……」
109:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2012/12/29(土) 18:30:00 ID:TlNdAXGC3g
宣教師「(ホビットは罪深き種族…)」

宣教師「(ホビットは罪深き種族…)」

宣教師「ホビットは……」ウルッ

宣教師「(本当に…これが正しいのでしょうか?)」

宣教師「神よ、お教えください…」

宣教師「ホビットは確かに罪を犯しました」

宣教師「しかし、いったい…いくつの罰を与えればよいのでしょうか?」

宣教師「いつの時代まで…我々は……」

宣教師「……私もまた、罪深いのでしょうか…?」

宣教師「神よ、答えてください…」ポロポロ

宣教師「心が…潰れてしまいそう…」ポロポロ
110:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2012/12/29(土) 18:35:37 ID:TlNdAXGC3g
>>106で少年の名前がホビットとなっていますが、ミスです。
もしも見ている方がいらっしゃいましたら申し訳ございませんm(__)m
111:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2012/12/30(日) 19:04:18 ID:8X2XsZkcTQ
――森の道――
母「(あの子は知らない…)」スタスタ

母「(あたしたちが教団のせいでどんな目に遭っているか…)」

母「"あなた"……」

母「"あなた"さえ、いてくれたら……」キュッ

母「ごめんなさい…今はあの子の幸せを願うべきなのに…」

母「やっぱり心配だわ、戻りましょう…」

モクモク モクモク

母「煙…?」

母「あれは…あたしたちの家の方角…!」

母「っ……!」ダッ
112:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2012/12/30(日) 19:06:07 ID:8X2XsZkcTQ
――森へ続く道――

少年「ふふ…友達、かぁ」

少年「そうだよね、助けてくれて、ビスケット貰ったからって、友達じゃないよね」

少年「ボク、なんにも分かってないや」

少年「遊んでくれた二人に、また笑われちゃうなぁ」

少年「……う、うぅ…」ブワァ

少年「うぇぇん……」ポロポロ

少年「……お母さまに、謝らなきゃ」グスッ
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