むかしむかしのことです。
世界は深い緑が生い茂り、深い青が寄り添うように流れる清らかな一つの円でした。
穢れを知らず、怒りも悲しみもなく、渇くことのない喜びが波立てる大地は
争いを寡黙に、繋がりをおおらかにしました。
780:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/7/28(日) 14:48:57 ID:yGLCYk4q6E
ルーボイ「そういえば、あの旅人だけどよ…」
パッチ「」ブルッ
ルーボイ「……」
パッチ「」ブルブル
ルーボイ「死んだってよ」
パッチ「えっ」
ルーボイ「カロルが言ってた。教会で死んでたって」
パッチ「ホント…?」
ルーボイ「なんで俺がウソつくんだよ?」
パッチ「そう…か。死んだんだ」
ルーボイ「だから帰ろうぜ。もう平気だよ」
パッチ「…やだ」ボソッ
ルーボイ「」ブチッ
ルーボイ「いい加減にしろよ!さっきからお前わがままだぞ!?」グイッ
パッチ「…るさいな」ボソッ
ルーボイ「はぁっ!?」
パッチ「うるさいな!!なんにも知らないくせに!!」バッ
ルーボイ「!?」
パッチ「そんなに帰りたかったら一人で帰れよ!ボクは絶対に帰らない!」
781:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/7/28(日) 14:53:33 ID:yGLCYk4q6E
ルーボイ「ふざけんな!なんで俺がここに来たと思ってんだよ!」
パッチ「関係ないよ!そっちが勝手に来たんだろ!?」
ルーボイ「てめぇ…!」イラッ
パッチ「もう…構わないでよ!」プイッ
ルーボイ「この…!」ガバッ
パッチ「うわっ」ズザァッ
ルーボイ「バカヤロー!」ボカッ
パッチ「いた…!」
ルーボイ「お前のために…来たんだぞ!」ビシッ
パッチ「や、やめ…やめろよ!」ジタバタ
ルーボイ「俺も…!カロルも…!心配してたのに!」ガッ
パッチ「いたい…いたいって!」ジタバタ
ルーボイ「お前なんか知らねーよ!」ゴッ
パッチ「あう…!」ヒリヒリ
ボカッ ゴッ バスッ ガツンッ
パッチ「(こわい…こわいよ…)」
『両親の悲鳴が…暴力の矯声が…艶かしく耳をなぞってくれる』
パッチ「(おとが…音がこわい…!)」ギュッ
782:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/7/28(日) 15:17:07 ID:myb4Deq0fM
パッチ「ひっ…ひっ…」ボロッ
ルーボイ「……」
パッチ「こわい…こわい…うぅ…ヒック…グスッ」ポロポロ
ルーボイ「ごめん。やりすぎた」
パッチ「ぇぐ…わあぁぁん…」ポロポロ
ルーボイ「でも…お前だって悪いんだからな」ムスッ
パッチ「…きらいだ」スクッ
ルーボイ「え?」
パッチ「みん…みんな…みんな…きらいだ」フラッ
ルーボイ「おい、どこ行くんだよ!」ガシッ
パッチ「離せよ!」ドンッ
ルーボイ「っ!」ドサッ
パッチ「」フラッフラッ
ルーボイ「待て…っ!」ズキン
ルーボイ「足が…!」ズキズキ
パッチ「」フラッフラッ
フラッフラッ フラッフラッ
ルーボイ「パッチ!パッチー!!」
ルーボイ「ちっ…!バーカ!そうやってずっといじけてろー!」
ルーボイ「バーカ……」
783:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/8/1(木) 20:05:28 ID:ViDpTILY5o
「おーい!!」
ルーボイ「…?」
行商人「よ、良かった!生きていたんだね!」
ルーボイ「さっきの…おっちゃん?」
行商人「遅くなってごめんよ!確かめるのが怖くて動けずにいたんだ!
待ってて!すぐに縄を下ろすから!」スッ
ルーボイ「……」
行商人「引き上げてやるから縄を掴むんだ!さぁ!」ダラン
ルーボイ「お、おう」パシッ
行商人「よ、よし!いくぞ!うんしょっ!」グイッ
ルーボイ「」ググッ
行商人「うおおおお…!」ギシッ
784:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/8/1(木) 20:06:38 ID:ViDpTILY5o
行商人「はぁ…はぁ…」ゼーゼー
ルーボイ「……」
行商人「無事でよかった…」ニコッ
ルーボイ「あんがと…」
行商人「いいんだよ。ちゃんと教えなかった私も悪い」ナデナデ
ルーボイ「…さっき、ひどいこと言ってごめん」
行商人「気にしなくていいよ。それより足をケガしてるじゃないか?
こんな森の中にいて菌が入ったらまずいから手当てしてあげよう」ゴソゴソ
ルーボイ「……」
行商人「少し染みるけど我慢するんだよ。お酒で消毒するから」キュッ ポンッ ドボドボ
ルーボイ「っ…」ピクッ
行商人「傷薬を塗って、と」ヌリヌリ
ルーボイ「……」ヒリヒリ
行商人「包帯を緩く巻いて」マキマキ
ルーボイ「おっちゃん、いろいろ持ってんな」
行商人「これくらいは旅をする人間ならみんな持ってるさ。はい、おしまい」ギュッ
ルーボイ「ありがとな!」
行商人「どういたしまして。ところで…さっきはなんで逃げたりしたんだい?」
ルーボイ「」ドキッ
行商人「もしよかったら聞かせてくれないか?」ニコッ
ルーボイ「……」
785:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/8/1(木) 20:10:38 ID:ViDpTILY5o
行商人「……んー。にわかには信じられないなぁ」
ルーボイ「ホントだぞ!」
行商人「見知らぬ旅人がやって来て村の人間を何人も殺した上に村人達をおかしくしたって言うのかい?」
ルーボイ「そうだよ。俺の父ちゃんも…殺された…!」
行商人「…でたらめを言ってる訳じゃなさそうだね」
ルーボイ「だからホントだって言ってるだろ!」
行商人「なら村に行っても商売にならないかもなぁ」
ルーボイ「…行かねぇ方がいいよ。さっき抜け出した時もぎゃーぎゃー喚いてて変だったもん」
行商人「それにしても煙草を吸わされたから半狂乱になるなんてあり得ないと思うけどなぁ」
ルーボイ「ウソじゃねーもん…」ムスッ
行商人「うん、分かってるよ。冗談でこんな事を言う子はいない」
ルーボイ「……」
786:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/8/1(木) 20:11:56 ID:ViDpTILY5o
行商人「それで落ちた時に行方が分からなかった友達も見つけたんだね?」
ルーボイ「おう。ケンカしちゃったけど…」
行商人「じゃあもう一回その子も探しに行こうか。仲直りして一緒に帰ろう、な?」ナデナデ
ルーボイ「」ジト
行商人「ん?なんだい、変な顔して?」
ルーボイ「なんでそんな優しくすんだよ?」
行商人「なんでって?」
ルーボイ「おっちゃんと俺は赤い人ってやつだぞ。変じゃんか!」
行商人「それを言うなら赤の他人だよ」
ルーボイ「どっちだっていいだろ!」
行商人「なんで、かぁ…。子供なのに難しいこと考えるんだなぁ?」
ルーボイ「いいから答えろよ!」
行商人「そんなこと言われてもなぁ…」ポリポリ
ルーボイ「おっちゃんだって、あの旅人みたいに騙すかもしんねーだろ!」
行商人「それを本人に言われても困るよ。しかも目の前で」
787:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/8/1(木) 20:26:11 ID:ViDpTILY5o
行商人「まぁ強いて言うなら…俺にも子供がいるんだ」
ルーボイ「子供?」
行商人「うん。今年で9歳になる」
ルーボイ「へっ!ガキじゃん!」
行商人「君もたいして変わらないだろう」ガビーン
ルーボイ「だからって助ける理由にはなんねーぞ!」
行商人「そうかもね。理由はないよ」
ルーボイ「ねーのかよ!」ガクッ
行商人「でも…君ぐらいの歳の子が助け合うのに理由を求めてはいけないよ」
ルーボイ「はぁ?」
行商人「君は知らない人が目の前でケガをして動けなかったらどうする?」
ルーボイ「え…声かけたり、大人を呼ぶかな」
行商人「それはなんでだい?」
ルーボイ「なんでって普通そうするだろ!」
行商人「そういうこと」
ルーボイ「いや、どういう事だよ!」
行商人「人を助けるのに理由なんていらない。そんなことばかり考えていたら寂しい大人になっちゃうよ」
ルーボイ「……!」
行商人「そうだろ?」ニカッ
ルーボイ「うん。そうだな!」
788:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/8/1(木) 20:32:55 ID:ViDpTILY5o
行商人「さて、さっき君が落ちた坂の下に来てみたけど」
ルーボイ「別の道があったんなら教えろよな。めちゃめちゃ痛かったじゃねーか」
行商人「(全然礼儀がなってないな…。この子の親の顔が見てみたい)」
行商人「君のお友達はどっちに行ったんだい?」
ルーボイ「あっち」ビシッ
行商人「じゃあそっちに行ってみようか」スタスタ
ルーボイ「」ピタッ
行商人「ん?どうしたの?」
ルーボイ「…俺、あいつの事殴った」
行商人「うん。聞いたよ」
ルーボイ「……」
行商人「早く見つけて仲直りしないとね?」ニカッ
ルーボイ「うん…」
789:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/8/1(木) 20:47:39 ID:ViDpTILY5o
行商人「結構深いとこまで来たな…」スタスタ
ルーボイ「あいつどこ行ったんだろ?」スタスタ
行商人「さぁ…この先の川を下って橋を渡ればミラルドの町だ。村からはかなり距離がある」
ルーボイ「……」
???「」グスッ
行商人「? 茂みから何か聞こえるね?」
???「ひっく…ひっく…」メソメソ
ルーボイ「パッチか!?」ダッ
行商人「あっちょっと」
ルーボイ「おい、パッチ!」ガサガサ
行商人「ま、待て!」ダッ
???「うえーん!」
ルーボイ「……あれ?」
790:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/8/1(木) 20:48:37 ID:ViDpTILY5o
???「うえーん!」
ルーボイ「お、おまえ誰?」オロオロ
行商人「ルーボイ君!勝手に走っちゃダメじゃないか!」タタタッ
ルーボイ「お、おっちゃん」アセアセ
行商人「ん?あの子が君のお友達かい?」
ルーボイ「違うっつの!」
???「グスッ…ぼく、シープ」
行商人「シープ君って言うのか。こんな森の中で何をしてるんだい?」
シープ「仲間とはぐれちゃって一人ぼっちなんだ」メソメソ
行商人「そうなのか…」
シープ「それにお腹も空いて…三日くらい何も食べてない」
行商人「それはかわいそうに…」
ルーボイ「おっちゃん、なんか食わせてやれよ!」
行商人「そうだね。売り物だがしょうがない。シープ君、顔を上げて。もう怖くないよ?」ゴソゴソ
シープ「ホント…?」ムクッ
行商人「」ビクッ
ルーボイ「おう。このおっちゃん優しいぞ!」
行商人「……!?」
791:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/8/1(木) 20:52:06 ID:J1qc8SjSd6
行商人「お、お、おま……」カタカタ
ルーボイ「どうしたんだ?」
シープ「ありがとう。人間のおじさん」ニコッ
行商人「こいつはホビットじゃないかぁ!?」
シープ「」キョトン
ルーボイ「あ、ホントだ。目が黄色だな」
行商人「は、離れろ!すぐに離れるんだ!」
ルーボイ「はぁ?」
行商人「消えろ!薄汚いホビットが!しっ!しっ!」シッシッ
シープ「……」
ルーボイ「お、おい…」
行商人「ホビットはいつも俺たちのかすみを食い漁る!
誰が食料なんか分けてやるか!勝手に野垂れ死んでろ!」
シープ「……」
行商人「ルーボイ君!行くよ!」
ルーボイ「なに言ってんだよ、こいつ助けてやれよ!」
シープ「?」
行商人「何を言ってるんだ!同じ空気を吸ったら呪われるぞ!」
ルーボイ「ホビットだからっていじわるすんなよな!さっき助けんのに理由はいらないって言っただろ!」
行商人「それとこれとじゃ話が全然違うじゃないか!」
ルーボイ「ホビットだって変わらねぇよ!」
行商人「だったら勝手にしたらいい!俺は知らないからな!」スタスタ
ルーボイ「おい、待てよ!」
792:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/8/1(木) 20:53:48 ID:J1qc8SjSd6
スタスタ スタスタ
ルーボイ「…何がダメなんだよ」
シープ「あ〜あ、行っちゃった!」ケロッ
ルーボイ「…ん?」
シープ「ねぇ。食べ物ある?」
ルーボイ「え…」
シープ「なんか出してよー!ねぇー!ねぇー!」グイグイ
ルーボイ「…おまえ元気じゃねーか!?」バッ
シープ「うん。元気だよ!お腹ペコペコだけど!」
ルーボイ「じゃあさっきのなんなんだよ!?」
シープ「うそっこでーす!」ピョンッ
ルーボイ「はぁ!?」
シープ「ビックリしたでしょー!」
ルーボイ「ウソだったのかよ!?」
シープ「うん!とびっきりのウソ!」キラキラ
ルーボイ「ふざけんなよ!心配しちまったじゃんか!」
シープ「あっ!ラムー!おかえりー!」フリフリ
ルーボイ「え?」
ラム「ただいま。シープ」スタスタ
バンパ「俺にもおかえりくらい言えよ!?」
シープ「あの行商人、食べ物持ってた!?」キラキラ
バンパ「おう。これなら1週間はしのげるぞ!」つ【袋】
シープ「わーい!」ピョンピョンッ
ルーボイ「わ、わけわかんねぇ…」
793:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/8/1(木) 20:58:03 ID:ViDpTILY5o
シープ「あ、こいつはどうするの?殺すの?」
ルーボイ「えっ」
ラム「その子は殺さないよ」
ルーボイ「な、なに…?」ドキドキ
シープ「ふーん」
バンパ「なんでもかんでも殺すとか言うんじゃない!」
シープ「いいじゃん!」
バンパ「これだからお子ちゃまは困るんだ。変な言葉を覚えたらそればっか言いたがる…」
シープ「むー!うるさい!」プクー
バンパ「うるさいってなんだ!」
シープ「ふーんだ!」プイッ
バンパ「…あぁもう!イライラさせる!」ガリガリ
ルーボイ「な、なんだよ…。なんなんだよ」ドキドキ
794:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/8/1(木) 20:59:44 ID:J1qc8SjSd6
ラム「怖がらせてごめんね」
ルーボイ「…は、はぁ?怖くねーし!」
ラム「あはは。そっか」ニコニコ
ルーボイ「…おっちゃんに何したんだよ?」
ラム「あの人間なら死んだよ」
ルーボイ「」ゾクッ
ラム「……」
ルーボイ「お前らがやったのかよ」
ラム「そうなるね」
ルーボイ「……!」
ラム「安心して。君には何もしないよ?」ニコリ
ルーボイ「」ボカッ
ラム「……!」ヒリヒリ
シープ「あぁっ!」
バンパ「何してんだ、ガキ!?」ズイッ
ルーボイ「うるせぇ!!」
バンパ「こんの…!」
ラム「バンパ!!」
バンパ「あぁ!?」
ラム「……」ジーッ
バンパ「う…わ、分かったよ」スッ
シープ「へいき?いたくない?」ナデナデ
ラム「平気だよ。シープ」ニコリ
795:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/8/1(木) 21:03:25 ID:ViDpTILY5o
ルーボイ「謝んねぇかんな!」プンスカ
ラム「いいよ。気にしてない」
ルーボイ「なんでおっちゃんを…」
ラム「殺してなんかいないよ。気絶させて、必要な物を貰っただけ」
ルーボイ「ま、またウソついたのかよ!」
ラム「ちょっとした遊び心。ううん、好奇心って言った方が正しいかな」
ルーボイ「はぁ?意味わかんねーぞ!」
バンパ「俺だって反対だったんだよ!こんなくだらない事に付き合わされんのは!」
ルーボイ「わかんねーよ!ちゃんと教えろっつの!」
シープ「はーい!ぼくが迷子のホビット役ー!」バッ
ルーボイ「えっ」
シープ「ぼくを助けてくれたらいい人間でー!助けてくれなかったら悪い人間!」
ルーボイ「?」
ラム「試したんだ。ここを通った人間でね」
ルーボイ「何がしたいんだよ!」
ラム「…森で会った同族が面白い事を言ってたんだ。差別しない優しい人間もいるってさ」
バンパ「それを確かめる為だけにラムのわがままで目的への足を止めてまで、こんな茶番劇をやらされたんだ!」
シープ「ぼくは楽しかった!」
ルーボイ「……!?」
ラム「君は合格。シープがホビットだって分かっても手のひらを返すようなまねはしなかったからね」
ルーボイ「……」
796:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/8/1(木) 21:06:39 ID:ViDpTILY5o
バンパ「もういいだろ。行こうぜ」スタスタ
シープ「バンパー!うそっこしたら疲れたー!」
バンパ「うるさい!しゃんとしろ!」スタスタ
シープ「ケチー!」タタタッ
ラム「じゃあそれだけだから、バイバイ」
ルーボイ「お前が言ってたのってカロルだろ…?」
ラム「……!」パチクリ
ルーボイ「なんとか言えよ」
ラム「」クスリ
ルーボイ「なに笑ってんだよ?」
ラム「…そんな気はしてたんだ」
ルーボイ「……?」
ラム「君はカロル君の友達なんだろ?」
ルーボイ「だったらなんだよ?」
ラム「カロル君を裏切らないであげてね」
ルーボイ「は…?」
ラム「あの子は…僕らとは違う。幸せになれる」
ルーボイ「…お前らは?」
ラム「」キョトン
ルーボイ「幸せになんねーのかよ?」
ラム「……」
797:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/8/1(木) 21:08:16 ID:J1qc8SjSd6
ナニヤッテンダー! ハヤクシロー!
ラム「今行くー!!」
ルーボイ「おい!どうなんだよ!?」
ラム「バイバイ!」タタタッ
ルーボイ「あっ!待てよ!」
タタタッ......
ルーボイ「……」
ルーボイ「なんだよ…。カロルのやつ!」
ルーボイ「ちゃんと友達いるじゃんか!」ニカッ
ルーボイ「よっし!俺もパッチを探すぞー!!」グッ
ルーボイ「おーい!パッチー!」タタタッ
798:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/8/7(水) 10:20:22 ID:uXqH8Y5qJ2
―――大聖堂(庭園)―――
ジョー「もう日暮れ時か…。二十歳を過ぎた頃から1日が早く感じる…」
ジョー「はぁ…なーんかジジクセェなぁ」
カツンカツン カツンカツン
ジョー「おっ」
宣教師「お待たせしました…」ズーン
ジョー「おう。お疲れ…さん?」
神父「たく…」ブツブツ
ジョー「二人ともどうしたんだ?」
神父「どうしたもこうしたもあるか!」
ジョー「な、なにがだよ?」
神父「教え子達がこいつを延々となじっていて私の教えを聞かなかったのだ!」
宣教師「ヘアヌード女、脱走女、ホビットの仲間と散々罵られて、筆記具を投げつけられて、誰も話を聞いてくれませんでした…」ガクリ
ジョー「ヘアヌードって…ほんとに子供が言ったのか、それ?」
神父「おかげで私までとばっちりを受けたのだ!」
宣教師「うぅ…せめてセミヌードと…」メソメソ
神父「そういう問題か!?」
ジョー「ガキんちょにまで広まってんのか…。まぁあんだけ派手に動いたんだ。しょうがねぇよ」
神父「それもこれも貴様が半裸でホビットと牢を抜け出したりしたからだ!」
宣教師「うぅ…ですがあの時は他に手立てが…」
ジョー「まぁまぁいいじゃねぇか。そんな事を言い合う為に集まった訳じゃないだろ?」
神父「ふん!」
宣教師「はい…」シクシク
ジョー「じゃあ3人集まった事だし、本題に入ろうぜ」
宣教師「本題と言っても…ジョーさんの話を聞かない事には始まりませんよ?」グスンッ
ジョー「あぁ、分かってる。全部話すよ」
799:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/8/7(水) 10:23:17 ID:uXqH8Y5qJ2
ジョー「(>>720-728)ってのを聞いちまってな」
神父「…本気で言っているのか?」
ジョー「あぁ、この耳ではっきり聞いたんだぜ。間違いない」
神父「…なぜだ。なぜ司祭様はそのような秘密を我々…。いや教徒全員に打ち明けて下さらなかったのだ!」
ジョー「…それじゃ秘密でもなんでもねぇだろうが」
宣教師「……」
ジョー「で、宣教師さん。あんたはどう思う?」
宣教師「大樹…癒しの力…王国…果実…」ブツブツ
ジョー「…心当たりでもあるのか?」
宣教師「確かではありませんが…まずは情報を探ってみましょうか」
ジョー「おっ!乗り気だな!」
宣教師「もう惑わされるのもうんざりですからね。こうなったら自分たちで真実を手繰り寄せるしかありません!」
ジョー「そうこなくっちゃな!」ニヤリ
宣教師「協力していただけますか?」
ジョー「当たり前だろ。俺はもうこんな組織には嫌気が差してんだ!
不透明で…無情で…人の心を弄びやがるやり方にな!」
宣教師「ありがとうございます」ニコッ
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