むかしむかしのことです。
世界は深い緑が生い茂り、深い青が寄り添うように流れる清らかな一つの円でした。
穢れを知らず、怒りも悲しみもなく、渇くことのない喜びが波立てる大地は
争いを寡黙に、繋がりをおおらかにしました。
710:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/6/6(木) 19:22:45 ID:YhSVxlQFnk
アリアス「司祭様の望んでいたモノとは違う方向へ人は向かってしまったの」
宣教師「司祭様の望んでいたモノ?」
アリアス「司祭様は癒しの力をあるべき命に戻したかったとおっしゃられていた」
宣教師「そんなことが出来るのですか?」
アリアス「まず無理でしょうね」
宣教師「では一体なぜ…」
アリアス「ただ、一つの可能性を見つけたそうよ」
宣教師「可能性…?」
アリアス「」カチャカチャ
アリアス「」モグモグ
宣教師「可能性とはなんですか?」
アリアス「待って、水を飲みたいの」
宣教師「あ、すみません」
アリアス「」ゴクゴク
宣教師「それで可能性とは…」
アリアス「急かさないでくれる?食事の邪魔をするようでは品格に欠けるわよ?」
宣教師「」ムッ
711:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/6/6(木) 19:24:38 ID:lFqhfFxm2w
宣教師「それで可能性とはなん…」
アリアス「話は少し戻るけど、人は……というより王国はすでに理性を切らしてる」
宣教師「……?」
アリアス「本当のところは癒しの力なんてどうでもいいのよ」
宣教師「えっ」
アリアス「ただ奪うきっかけとして大義名分を翳しているの」
宣教師「そんな事が許されるのですか…!人として、王として国を治める方々が…!」ガタッ
アリアス「あなたって優秀だって聞いてたけど、案外かわいいのね?」クスクス
宣教師「はい?」キョトン
アリアス「まぁそうよね。司祭様が大事に育てた箱入り娘だもの」
アリアス「かわいいわ?とてもかわいらしくて素敵よ?」クスクス
宣教師「」ムッ
アリアス「怒らないで?本心から言ってるのよ?」
宣教師「バカにしないでください!」
アリアス「ムキになってしまう所もかわいい」ニコニコ
宣教師「なにがおかしいのです!」
アリアス「だって…あなたって世界を知らな過ぎるんですもの?」
宣教師「わ、私だって常に学んで…!」
アリアス「えぇ、えぇ。学んだんでしょうね?
何も訪れない平和な村の中で、過保護に囲われる大聖堂の中で、外から運ばれる文面を頼りにして…あなたなりに?」
宣教師「何が言いたいのです!」
712:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/6/6(木) 19:27:30 ID:YhSVxlQFnk
アリアス「その目で見ないと分からないモノよ?だって世界は広いのだし」
宣教師「……!」ググッ
アリアス「あなたが狭い籠に収まってエサを与えられている内に凄まじい速さで進み変わっていくの」
アリアス「都合の悪いモノと都合の良いモノを選別しながら慎重に、ね?」
アリアス「そして長年に渡る種族間の隔たりも所詮は選別されるモノの一つに過ぎない」
アリアス「生き残ったホビットも僅かな足場を奪い合いながらもがいているだけ。じきに絶えてしまうでしょうね」
宣教師「……」
アリアス「そうなれば絶えた命の持っていた実りはどこに行くと思う?」
宣教師「」ハッ
アリアス「それが私たち人間を潤してくれる。
フフ…付け入る隙を逃さない点では、人以上に長けた生き物っていないんじゃないかしら?」
宣教師「…その為に王国は司祭様の発見を利用していたのですね?」
アリアス「えぇ。でも、そんな王国の欲望を目覚めさせてしまったのは司祭様に他ならないでしょう?」
宣教師「それで私を…」
アリアス「王国によって人生を狂わされたあなたを見て自責の念に駈られたんじゃない?」
713:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/6/6(木) 19:29:46 ID:lFqhfFxm2w
宣教師「私に打ち明けてよかったのですか…?」
アリアス「別に他意はないけど、あなたが知りたがってたみたいだから?」ニコリ
宣教師「…ありがとうございます」
アリアス「フフ…あなたが知るにはまだ早すぎたかもね?」
宣教師「…正直、惑わされている心地です」
アリアス「惑わせるなんて心外ね?
でも悩むのはいい事よ。そこから得られるモノは無限にあるのだし?」
宣教師「もしアリアス様の話が本当だとして、私に何を望んでいるのですか?」
アリアス「そうね…。真実を見極める目を養ってほしいわ?」ニコリ
宣教師「」ジト
アリアス「……?」
宣教師「まだあなたの事を信じる気になれません」
アリアス「そう。ずいぶんはっきりと言うのね?」
宣教師「…すみません」
アリアス「……」
宣教師「部屋に戻ります」スクッ
アリアス「…付け加えて言うなら」
宣教師「結構です。これ以上は聞きたくありません」
アリアス「つれない娘ね。話し相手くらいしてくれたっていいじゃない?」
宣教師「口が寂しいのでしたら残りの冷めた料理で埋められてはいかがですか?」
アリアス「は…!?」ピクッ
宣教師「失礼します」スタスタ
スタスタ スタスタ……
714:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/6/6(木) 19:32:08 ID:YhSVxlQFnk
アリアス「…鋭い娘。ダガが疎ましがってたのも分かる気がする?」
アリアス「世間知らずな小娘がよく言ったものよね」
アリアス「まぁあんな小娘、私にかかれば取るに足らないけれど」
アリアス「せいぜい悩むことね」パクッ
アリアス「」カチャカチャ
アリアス「」モグモグ
アリアス「……」
アリアス「」シュン
アリアス「……(料理が冷たい)」
715:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/6/6(木) 19:38:26 ID:lFqhfFxm2w
すみません。>>709はミスです。脳内削除していただけるとありがたいですm(__)m
716:🎄 名無しさん@読者の声:2013/6/30(日) 23:35:58 ID:KQZ1ttse8M
ずっと支援してます 支援
717:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/7/1(月) 18:15:20 ID:i6iF4FIEZA
>>716
お気遣いいただき、ありがとうございます!
すみません。少し忙しくなりまして、書いてはいるのですが話をまとめられないので投稿出来ない状況ですorz
なるべく早く投稿出来るよう努力致しますので、時間を頂けたらと思います。
一言も無くスレを止めてしまい、申し訳ありませんでした。
支援ありがとうございました!
718:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/7/3(水) 20:47:00 ID:BuAGEhMwno
―――大聖堂(地下牢)―――
ジョー「あ〜あ、柵が曲がってるよ。こいつ一体どんな力出したんだ?」グッグッ
ダガ「ぐがぁ…ぐごごご…」グースカピー
ジョー「捕まったってのに呑気なもんだぜ…。ここに入ってくる奴らには緊張感ってものがねぇのかな?」
母「……」ブルブル
ジョー「ん?どうした?寒いのか?」
母「いえ…」ブルブル
ジョー「…なんか持ってくるよ。腹も空いてんだろ?」
母「結構です…今は喉を通りません」ブルブル
ジョー「まぁそう言うなって。あと何回、口に入るかも分からないんだ。食っとかなきゃ損だよ」
母「あたしはどうなったって……」
ジョー「それが分かってんならなおさら食っとけ。天に昇れば腹も減らなくなるんだからな」
母「坊や…うぅ……坊や……!」シクシク
ジョー「……」
719:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/7/3(水) 20:50:24 ID:8vmLCPxZ0w
――――――
ジョー「」カキカキ
ジョー「…こんなもんか。さて、報告書もまとめたし…うーん…!」ノビッ
母「グスッ…」
ジョー「まだ泣いてんのか?」
母「……」
ジョー「もう消灯時間だぜ?いい加減に寝たらどうなんだ?」
母「うぅ…!」ブワッ
ジョー「見てらんねぇな…ったく!燭台の灯りも消すからな?」
母「あぁぁぁぁ…!」メソメソ
ジョー「……」
ジョー「ふっ」フッ
カツンカツン カツンカツン
母「あぁぁ…!」メソメソ
ジョー「はぁ…さすがにあれじゃ寝られねぇな」スタスタ
ジョー「地下だから泣き声も響くし、ダガの筋肉親父もよくあんな中でグースカいびきをかけたもんだ」
ジョー「はぁ……今夜はタコ部屋に戻って雑魚寝するか」
ジョー「(母さんも俺が故郷を離れた後に…ああして泣いてくれたのかな)」
ジョー「……」
ジョー「…そんな訳ねぇか」
ジョー「さて、報告書を渡して寝るかな。アリアス様もまだ起きてんだろ」スタスタ
720:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/7/3(水) 20:52:34 ID:8vmLCPxZ0w
―――大聖堂(礼拝堂)―――
ジョー「…ん?」
アリアス「……」
司祭「ふむ」
ジョー「…こんな夜更けにどうしたんだ?」コソコソ
司祭「して…宣教師はどうしておる?」
アリアス「部屋に戻りました」
司祭「うむ…」
アリアス「こちらに信頼を寄せている風ではありませんでした。まだ懐疑的になっていますね」
司祭「おとなしくしておればよいがな…」
アリアス「どうでしょう?おそらく色々と探り始めるのではないでしょうか?」
司祭「…見張りを立てるか」
アリアス「始末されてはいかがです?」
ジョー「!?」ギョギョッ
司祭「…やめんか。滅多な事を言うでないわ」
アリアス「理解に苦しみます。なぜ彼女に固執なされるのです?」
司祭「…わしにも一角の親心があるのじゃよ」
アリアス「……」
ジョー「(なんなんだ、一体…?)」
721:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/7/3(水) 20:54:36 ID:BuAGEhMwno
アリアス「神父の報告にあった村の件はどうなされるおつもりで?」
司祭「確かめるまでもない。王国に伝え、様子を見よう」
アリアス「ですが…王国に伝われば村の存続が危ういかと」
司祭「だからなんじゃ?代わりなどいくらでもあろうて?」
アリアス「…かしこまりました」
司祭「せいぜい王国に労力を使わせろ。わしらがどうこうしてやる謂れはあるまい」
アリアス「しかし…あの程度の規模の村であれば大した分散にもならないと思われますが?」
司祭「むぅ…然るに大樹への道筋を辿るには弱かろうな」
アリアス「提案させていただいてもよろしいでしょうか?」
司祭「む?」
アリアス「大樹に着くまでに必ず検閲を受ける事になります。ホビットを通す事は不可能かと。
それならば敢えて癒しの力を持つホビットの存在を国王に知らせてはいかがでしょう?」
司祭「ほう?」
アリアス「王国は嬉々として大樹への道を開く筈です」
司祭「そんな事をすれば王国は間違いなく利用しようと手を尽くすじゃろう?
わしが過去に解読した伝承も奴らの醜い欲によって政を円滑に進める為の潤滑油とされたのじゃぞ?」
アリアス「歴史を繰り返す事になる、と?」
司祭「当然じゃ。今度こそ同じ轍は踏まん!
人間としての進化を捨て、目の前の果実にかぶり付いたケダモノの首を掻き切る為にもな!」
アリアス「あまり大きな声を発されては……」
司祭「構わんよ。聞かれて困る事もなかろう?」
アリアス「司祭様が思われている程…全ての者が妄信的という訳でもございません」
司祭「…どちらにせよ、ここにおるのはわしとお前の二人じゃ。心配はいらんよ」
アリアス「……」
ジョー「(なんの事だか分からないが…反乱でも起こす気なのか?)」
722:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/7/3(水) 20:57:40 ID:8vmLCPxZ0w
司祭「計画を成す為には、あのホビットの存在は必要不可欠じゃ」
アリアス「…私はこの目で確認していないのですが、癒しの力を扱えるというのは本当なのですか?」
司祭「うむ。わしも生涯の内に見られるとは思わなんだが事実、目に焼き付けた」
アリアス「神父と宣教師も確認したそうですが、そのままにしておいてよろしいのですか?」
司祭「構わぬわい。意識的にホビットは癒しの力を扱えるものと根付いておる。
まさか力を持つホビットが今までいなかったとは誰も考えまい」
アリアス「それもそうですね…。正直に申しますと私は今も疑わしく思いますが…」
司祭「これまで伝承を手掛かりに闇雲にホビットを集めておっただけじゃからな」
ジョー「(おいおい…)」
司祭「アントリア神官は二日後に来るのじゃったな?」
アントリア「えぇ。そのようにご連絡を頂いてます」
司祭「ほほほ。偶然の産物とはいえ、実に良き頃合いじゃ。
主も天より祝福を授けてくださったのじゃろう」
アリアス「(…そう上手くコトが進むかしら?)」
司祭「アントリア神官を迎えてから、再度計画を詰めるとしよう。下がってよいぞ」
アリアス「失礼します…」ペコリ
ジョー「(とんでもない話を聞いちまったな…)」スタスタ
723:🎄 722のアリアスがアントリアになっているのは誤植ですorz ◆WEmWDvOgzo:2013/7/3(水) 21:01:17 ID:8vmLCPxZ0w
アリアス「」スタスタ
アリアス「?」ピタッ
ジョー「……」
アリアス「あなたは…」
ジョー「夜分遅くに申し訳ない」ペコリ
アリアス「報告書を提出しに来たの?律儀なものね?」
ジョー「それもありますが…お願いしたい事がありましてね」
アリアス「休暇の話?残念だけれど二日以上は与えられない」
ジョー「そこをなんとかお願い出来ませんかね?」
アリアス「あなたもしつこい人ね。どうしても見舞いに行きたいのなら勝手になさい。
ここでの居場所を失ってもいいのならね」
ジョー「……」
アリアス「早く報告書を寄越しなさい。サインはこちらで書いておくから」
ジョー「…そういえば礼拝堂でおもしろい話を耳にしたんですが」
アリアス「!」ドキッ
724:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/7/3(水) 21:03:03 ID:BuAGEhMwno
ジョー「俺は貧乏農家の出だから頭は悪いが、さすがにあんたらの話は読めたぜ?」
アリアス「……」
ジョー「たいした計画だ。今まで親密な関係を築いていた王国に反乱を起こそうなんてな?」
アリアス「声を抑えなさい」
ジョー「おっと…」
アリアス「どこから?」
ジョー「へ?」
アリアス「どこから聞いていたの?」
ジョー「…さ、最初っからだよ」オドオド
アリアス「嘘ね」
ジョー「うっ」ギクッ
アリアス「素直に話してみなさい?」
ジョー「…ここで言っていいのか?夜中ったって便所に起きる奴がいるかも分からないぜ?」
アリアス「それもそうね」
ジョー「(ふぅ…なんとか誤魔化せたか)」ドキドキ
725:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/7/3(水) 21:07:45 ID:BuAGEhMwno
アリアス「本当の目的は何?まさか見舞いに行きたいだけではないのでしょう?」
ジョー「いや、ささやかな願いさ?」
アリアス「そう…それならあなたはきっと喜ぶわね」
ジョー「なんだ?」キョトン
アリアス「休暇は与えられないけど代わりにいい事を教えてあげる」
ジョー「へっ…!あんたのホクロの数か?悪いが年増の色気に気付くには俺はガキ過ぎるかもな?」ニヤリ
アリアス「」イラッ
ジョー「それにあんたみたいな冷血女は好みじゃないしな?」
アリアス「あまり調子に乗らないで。私はこれでも司祭様の付き人よ?」
ジョー「おいおい、この期に及んで立場でごり押しか?」ニヤニヤ
アリアス「」バッ ガシッ
ジョー「おっ?」グイッ
ズダァァァン!!
ジョー「〜〜〜〜〜!!」ズキズキ
アリアス「」グッ
ジョー「かっ…はぁ……!」プルプル
アリアス「大の男が女に投げられて転がるなんて情けないものね?」
ジョー「あっ…はぐっ!んぁ……」パクパク
アリアス「なんとか言ってみたら?」ニヤリ
ジョー「……!」パクパク
アリアス「あぁ…そういえば首を絞めていたんだったわ?何も言えないでしょうね?」ニヤニヤ
ジョー「」プルプル
アリアス「このままあなたを消すのもいいかもしれない」ニヤニヤ
ジョー「(た、助け……!)」パクパク
726:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/7/3(水) 21:11:07 ID:8vmLCPxZ0w
アリアス「でも…今回は許してあげる」パッ
ジョー「……うぇっほぉ!うぅ…うぇっほぉえほ!!」ゲホゲホ
アリアス「ふふ。口が軽いのも考えものよ?」ニヤリ
ジョー「おぇっ…うっ…ぶぼほぉっ」ゴホッゴホッ
アリアス「間違っても吐かないでね。神聖なる大聖堂の通路で」
ジョー「っ…!っ…!っ!」ズキズキ
アリアス「司祭様の付き人をしてる意味、分かってもらえた?」
ジョー「!」コクコク
アリアス「物分かりが良くて助かるわ?」ニコッ
ジョー「はぁっ…はぁっ…」
アリアス「ところで、まだ休暇が必要?」
ジョー「っ…!悪いがそれだけは譲れねぇ!」
アリアス「よほど痛い目に合いたいのかしら?」
ジョー「ひっ」ビクッ
アリアス「冗談よ?私もそこまで鬼ではないわ?」
ジョー「じゃあ…」
アリアス「礼拝堂で見た夢は忘れなさい。所詮は眠りこけて見たありもしない夢。
そんな話を現実に持ち込まれても迷惑なの」
ジョー「はぁ…」
アリアス「…それから休暇はあくまで二日が限度よ」
ジョー「えっ」
アリアス「代わりにいい事を教えてあげる」
ジョー「代わりもクソも……」
アリアス「品の無い言葉遣いね。いいから聞きなさい」
ジョー「……!」ギリッ
727:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/7/3(水) 21:13:22 ID:8vmLCPxZ0w
アリアス「あの手紙は全て嘘。最初から存在しない物なの」
ジョー「……は?」キョトン
アリアス「かわいそうだけれど諦めて」
ジョー「な…何がどうして…」
アリアス「ダガに頼まれたから仕方なく」
ジョー「ダガに?」
アリアス「宣教師にいいように言われたのが腹立たしかったらしくて。
私にまで当たってくるものだから軽く筋書きだけ提供したのよ。
そうしたら何を血迷ったのか勝手に合鍵を盗んで、あの騒ぎ。とんだ迷惑だと思わない?」
ジョー「」ポカーン
アリアス「そういう事だから休暇は必要ないでしょ?」
ジョー「ま、待てよ…」ワナワナ
アリアス「なに?」
ジョー「なに?じゃねぇだろうがァァぁあ!!?」
アリアス「大きな声を出さないで。みんな寝ているのよ?」
ジョー「あぁ!?」ムカッ
アリアス「また絞められたいのかしら?」
ジョー「く…く…くっ!」ヒクヒク
728:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/7/3(水) 21:15:29 ID:BuAGEhMwno
アリアス「なんなら二日の休暇でゆっくりして親に便りでも出したら?
それであなたの親御さんが危篤状態だったりしたら、その都度対応するわ」
ジョー「あ、あんたなぁ…!人がどんだけ悩んだと…!」ヒクヒク
アリアス「報告書を預かりましょうか」
ジョー「」ブチッ
ジョー「」プルプル
ジョー「〜〜〜!」つ【報告書】
アリアス「はい、ご苦労様」
ジョー「(この冷血オバタリアンぶっころしてやる…!)」イライラ
アリアス「あ、そうそう。くれぐれも夢のお話をしないように。
まぁ言ったところで誰も相手にしないでしょうけれど」
ジョー「……!」
アリアス「それじゃおやすみなさい」スタスタ
ジョー「……」
ジョー「冷血オバタリアン…」ボソッ
ダダダダダダダダッ!!
ジョー「」ビクッ
アリアス「」ピタッ
ジョー「うわっちょっ」アタフタ
アリアス「」ニコッ
ジョー「あ、あはは…?」ビクビク
アリアス「殺すわよ?」
ジョー「す、すんません!」
729:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/7/7(日) 12:18:55 ID:5qrvW4u.To
―――夢―――
「……おかあさま、おかあさま」ユサユサ
マリー「んぅ…どうしたの?坊や?」ウトウト
「おなか空いた…」グー
マリー「さっき食べたばかりでしょう?」
「…葉っぱと川の水だもん」
マリー「……」
「ねぇ。街に行こうよ?」
マリー「……!?」
「ボク知ってるんだ!近くに街があるって!
街に行ったらおいしい食べ物がいっぱい買えるよ?」
マリー「やめなさい。おじいさまが起きたらどうするの?」
「なんでダメなの?人間がいるから?」
マリー「そうよ。人間はあたし達をいじめるの。
街に入ったりすれば、とてもタダでは済まないわ?」
「そんな事ないよ!ねぇ、行ってみようよ!」
マリー「……」
祖父「駄目だ」
「…おじいさま」
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