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少年「ボクが世界を変えてみせる」
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1:🎄 名無しさん@読者の声:2012/12/23(日) 21:21:41 ID:apUuk9iOiY
むかしむかしのことです。
世界は深い緑が生い茂り、深い青が寄り添うように流れる清らかな一つの円でした。
穢れを知らず、怒りも悲しみもなく、渇くことのない喜びが波立てる大地は
争いを寡黙に、繋がりをおおらかにしました。


609:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/4/18(木) 19:56:08 ID:4YUZHqrID.
ジョー「しかも帰って来てほしいんだとよ?ふざけやがって!」ビリッ

宣教師「」ビクッ

宣教師「何を…!?」

ジョー「こんな手紙、いらねぇよ!」ビリビリ

宣教師「……!」

ジョー「はぁっ…はぁっ…!」

宣教師「じょ、ジョーさん…」

ジョー「くそっ…」

宣教師「帰ってはあげないのですか…?」

ジョー「今の俺を見てお袋に会いたがってるように見えるか?」

宣教師「いえ…。ですが、今になって手紙が送られたという事は何かあったのでは…?」

ジョー「…病気だ。何年も前から患っていたんだと」

宣教師「……!それでしたら…」

ジョー「会ってやれってか?無責任なことを言うな!」

宣教師「しかしお母様はあなたに会いたがっているのでしょう?」

ジョー「知るか!都合のいいように使われるのはごめんだ!」

宣教師「なぜですか…!たとえ、わだかまりがあったとしても肉親なんですよ…!」

ジョー「さんざん身勝手にしてきた挙げ句に…最後くらい息子に看取られて逝きたいってか!?」

ジョー「あぁいいじゃねぇか!愛してる男もいて、息子への未練もスッパリ断ち切れて幸せかもな!?」

ジョー「けど俺はどうなんだ?」

ジョー「お袋を満足させる為に仕事をほったらかして、わざわざ痩せ細った姿を見て!和解して!」

ジョー「死んでいくのを眺めながら、知らねぇ男と一緒に涙ぐめってのか!?」

ジョー「他人から見る分には最高のお涙ちょうだい劇かもしれねぇな?」

ジョー「だが当人からすりゃ、ただの茶番だ!!」

宣教師「……」
610:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/4/18(木) 20:00:25 ID:.tgHhz2SVw
ジョー「それでもあんたは行けって言うのか…!」

宣教師「……」

ジョー「どうなんだよ?答えろよ!?」

宣教師「…また後悔したくはないでしょう?」

ジョー「……!?」

宣教師「あなたは過去にホビットの少女の命を奪って、これまで後悔の念に苦しみ続けてきたはずです…」

ジョー「っ…」

宣教師「同じ事をまた繰り返すつもりですか…?」

ジョー「だけど…!」グッ

宣教師「行くか、行かないかを決めるのはジョーさんです」

宣教師「ですが決められるのは今だけ…。選択をする機会は二度と戻りません」

ジョー「そんなの…分かってるよ…!」

宣教師「……」

ジョー「だけどな…。どういう顔をしたらいいんだ!?」

ジョー「俺はお袋を捨てた…!」

ジョー「たとえ和解出来ても、いつ来るか分からない別れに怯えなきゃならない!」

ジョー「そんな状況で…笑顔の一つも見せられそうにねぇよ…!」
611:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/4/18(木) 20:02:32 ID:4YUZHqrID.
宣教師「取り繕う必要はありませんよ。
ありのままのあなたでいいのです」

ジョー「いい訳がないだろ!俺は…俺は…!」ググッ

宣教師「お母様もきっと今まで通りのあなたを望んでいるはずです」

ジョー「…そんな事がなんであんたに分かるんだよ!?」

宣教師「もちろん分かっていません。分かってはいませんけど…」

ジョー「……?」

宣教師「…少なくとも他人に向けるような笑顔で接してくるあなたと会うより…」

宣教師「素直になれなくても親子として向き合おうとするあなたに会いたいのではないでしょうか?」

ジョー「っ…!」

宣教師「別れは確かに悲しいですが、最期の願いを聞き入れずにとどまったとしても、より強い後悔を残すだけだと思います」

宣教師「ジョーさんの決める事ですから、どうしても行かないとおっしゃるのなら、それでも構いません」

宣教師「……でも同時に傷付くあなたを、私は見たくありません…」

ジョー「くっ…!」

宣教師「…これ以上の事は言いません。余計な口出しをしてすみませんでした…」

ジョー「……」カツンカツン

宣教師「? どこへ?」

カツンカツン カツンカツン

宣教師「……」
612:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/4/19(金) 21:36:56 ID:hEL1ryUmTQ
―――大聖堂(通路)―――

ダガ「(あのガキを貶めるのは簡単だなんぞとアリアスは言いやがったが…)」

ダガ「あんなやり方でうまくいくもんなのか…?」ウーン

ジョー「」スタスタ

ダガ「!」ギョッ

ジョー「……」

ダガ「(ほ、本当に来やがった…!)」

ダガ「ふ…」ニヤリ

ジョー「……」

ダガ「おい、ジョー。俺の前を素通りはねぇんじゃねーか?」

ジョー「あっ…!」ビクッ

ダガ「なんだ、今さら気付いたのか?」

ジョー「い、いえ…挨拶が遅れて申し訳ない」ペコリ

ダガ「嫌な奴に会ったってぇツラだな?」

ジョー「そ、そんな事はありませんよ!」

ダガ「まぁいい…」

ジョー「で、では俺はこれで…」

ダガ「ところでお前、見張りはどうした?」

ジョー「」ギクッ
613:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/4/19(金) 21:39:52 ID:y3moFeW55g
ダガ「まさか一人でやるなぞと息巻いといて、サボってんじゃねぇだろうなぁ?」

ジョー「よ、用が終わったら、すぐに戻りますんで!」

ダガ「ほう…。なんだ?その用ってのは?」

ジョー「し、私用で司祭様の耳に入れたい事があるんスよ!」

ダガ「それなら俺が代わりに聞いてやるよ。
司祭様は今、司教様達と共に話し合いの場を開いておられるからな…」

ジョー「あ、いや…でもなぁ…?」アセアセ

ダガ「俺じゃ不服か?」

ジョー「ちがいます!ちがいます!」アタフタ

ダガ「ふ…。まぁいいぜ。俺で不満ならアリアスに言ったらどうだ?」

ジョー「アリアス様…!そうッスね!アリアス様なら…」

ダガ「……」

ジョー「あ、ちがいます!アリアス様ならっていうのはそういう意味じゃ…!」

ダガ「アリアスなら書斎にいるはずだ」

ジョー「へ…?」

ダガ「急ぎの用ならさっさと済ませろ。あいつは中々手が空かねぇからな…」

ジョー「…はっ!恩に着ます!」タタタッ

ダガ「……」

ダガ「ふ…ふふ…!本当にあいつの言う通りになりやがった…!」ニヤリ

ダガ「アリアスに頼って正解だったな…」ニヤニヤ
614:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/4/19(金) 21:41:55 ID:y3moFeW55g
ジョー「ここが書斎か…。俺には縁のないとこだと思ってたが…」ガチャッ

ジョー「」ソーッ キョロキョロ

ジョー「…いないな…ん?」

ジョー「あぁ、そういう事か」

ジョー「名簿に借りた本の題名と名前を入れて、指定した個室で自由に読むシステムなんだな」

ジョー「めんどくさいが名簿から探すか…」

ジョー「えー…アリアス…アリアス…と」

ジョー「2の読室か…」

ジョー「ふー…緊張するぜ」スーハースーハー
615:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/4/19(金) 21:46:01 ID:y3moFeW55g
コンコン

付き人2「…どうぞ」ペラ

ジョー「失礼」ガチャッ

付き人2「この書室は使用中よ。名簿に書いてなかった?」

ジョー「はっ!申し訳ございません!」

付き人2「……」ペラ

ジョー「…実はアリアス様にお願いしたい事がありまして…」

アリアス「お願いしたいこと…?」

ジョー「はい。先ほどトト越しに受け取った手紙なのですが…」

アリアス「あぁ…。あなたの母親の?ちゃんと届いたでしょう?」

ジョー「…えぇ。感謝します」ペコリ

アリアス「お礼ならいいわ。それより用件を言ってくれる?私は資料に目を通したいんだけど?」

ジョー「は、はい!申し訳ありません!」
616:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/4/19(金) 21:46:56 ID:hEL1ryUmTQ
アリアス「それで?」

ジョー「…しばらく休暇を頂きたいんです」

アリアス「……」

ジョー「許可をもらえないでしょうか?」

アリアス「理由を聞かない事には、なんとも言えないわね」

ジョー「母が病気を患って倒れているそうで…見舞ってやりたいんです」

アリアス「…そう。それはお気の毒ね」

ジョー「お気の毒…?」ピクッ

アリアス「ごめんなさい。言葉が悪かったわね」

ジョー「い、いえ…。そういう訳で休暇を頂けないでしょうか?」

アリアス「えぇ…構わないけど」

ジョー「あ!ありがとうございます!」ペコリ

アリアス「ただし二日よ」

ジョー「えっ」
617:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/4/19(金) 21:50:10 ID:y3moFeW55g
ジョー「ふ、二日…ですか?」

アリアス「そうよ」スッ

ジョー「お、お言葉ですが俺の故郷は西の領土にあるんです…」

アリアス「それで?」ペラ

ジョー「それでって…二日で見舞いに行ける距離じゃないでしょうが!」

アリアス「そうかしら?乗り物を使えば不可能ではないと思うけど?」

ジョー「乗り物なんかどこにあるんですか!?」

アリアス「村を越えた先を東に4時間も歩けばミラルドの町があるでしょ。
あそこでなら馬やベルメロを売ってくれる家畜商もいるわよ」

ジョー「馬…ましてやベルメロなんて一介の牢屋番じゃ手が届きませんよ!」

アリアス「貯金から切り崩せばいいじゃない?」

ジョー「そんな…!俺の貯金じゃ、とてもじゃないが無理だ!」

アリアス「計画性がないのね。なら諦めたら?」

ジョー「あ、諦めろだって!?」

アリアス「無理だと言ったのはあなたよ?諦めるしかないじゃない?」

ジョー「あ、あんたなぁ!こっちは親の死に目がかかってるんだぞ!?」

アリアス「……」ペラ

ジョー「おい!聞いてんのかよ!?」

アリアス「……」
618:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/4/19(金) 21:52:57 ID:y3moFeW55g
ジョー「本なんか読んでないで聞けよ!!」

アリアス「なぜ?話は終わったはずよ?」

ジョー「バカ言うな!いつ話が終わったんだよ!?」

アリアス「何が不満なの?
私はあなたの希望通り、休暇を与えたし、助言もしてあげたでしょ?」

ジョー「き、休暇はたったの二日!助言は何も役立ってないだろ!」

アリアス「…さっきから鼻息荒く喋ってるけど、あなたは誰に口を利いてるの?」

ジョー「へ…?」

アリアス「あなたは雇われの牢屋番、私は本部の重役よ?」

ジョー「う……」

アリアス「…こんな事は言いたくないけれど、あなたの態度は少し度が過ぎてる」

ジョー「す、すみません…」

アリアス「自分でも思い当たらない?」

ジョー「は、はい。あまりに失礼な振る舞いでした…」

アリアス「…まぁいいわ。この際だから色々と教えてあげる」

ジョー「は…?」
619:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/4/19(金) 21:54:42 ID:hEL1ryUmTQ
アリアス「まずあなたは組織に属してる事を知りなさい」

ジョー「……」

アリアス「組織とは大小や様々な系統はあれど、人と人が集まる場所」

アリアス「その中でそれぞれが自身の能力に合った働きをしている」

アリアス「そして足りない物を補う為に協力し合ってるの」

アリアス「当然、対人関係は大切になるわ?」

アリアス「あなたは対等の立場でない私に対して声を荒げたわよね?」

ジョー「はい…」

アリアス「つまり対人関係に気を配っていないと言えるわ」

ジョー「い、いえ…そんなつもりじゃ…」

アリアス「あなたにその気がなくても私にはそうとしか捉えられないの。分かる?」

ジョー「……」
620:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/4/19(金) 21:57:45 ID:y3moFeW55g
アリアス「更に付け加えて言うなら、組織に身を置く人間として責任を自覚なさい」

ジョー「なっ…責任は持ってますよ!」

アリアス「はたしてそうかしら?」

ジョー「……?」

アリアス「あなたは極めて個人的な理由で休暇を申し立てたにも関わらず、与えられた日数に不満を漏らしている」

ジョー「だって…」

アリアス「なに?」

ジョー「こ、個人的かもしれないけど…俺にとっては外せない。一生後悔するかもしれない事なんです…」

アリアス「気持ちは分かるわ。たった一人の親ですものね?」

ジョー「……」

アリアス「けどね。あなたの事情を汲んでも二日の休暇、それが限界よ」

ジョー「……!」

アリアス「…あなたの空いた穴を埋めるのは簡単よ?
けれど一人の個人的な事情で長期の休暇を許せば、全体に堕落した意識が根付くかもしれない」

アリアス「誰もが自由に持ち場を空けて休んでも許されるようなぬるい空気になられても困るの」

ジョー「大げさですよ…」

アリアス「大げさなくらいがいいのよ。宣教師のような例もあるのだし」

ジョー「……」
621:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/4/19(金) 22:01:44 ID:hEL1ryUmTQ
アリアス「そういう事だから、あなたにとって望ましい回答は出来ない」

アリアス「それでもまだ不満があるなら聞いてあげる」

アリアス「私は筋を通しているし、最大限に譲歩する努力はしたわ?」

アリアス「…さぁ何かある?
出来れば、これ以上の時間を奪われたくはないのだけれど?」

ジョー「いえ…」

アリアス「そう?納得してもらえてなによりね」

ジョー「……」

アリアス「出ていってくれる?
私はあなたと違って片付けなければならない事が山ほどあるの」

ジョー「はっ…」ガチャッ

バタンッ
622:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/4/19(金) 22:03:25 ID:hEL1ryUmTQ
ジョー「くっ…!」

ジョー「(ちくしょう…!)」グッ

ジョー「たった二日でどうしろって言うんだよ…」

ジョー「……」トボトボ

ダガ「おっ」

ジョー「」トボトボ

ダガ「ふ…。今にもくたばりそうなツラしてやがる…」
623:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/4/19(金) 22:04:31 ID:y3moFeW55g
ガチャッ

ダガ「……」

アリアス「ノックくらいしてくれる?」ペラ

ダガ「うまくやったみたいだな?」

アリアス「当然でしょ?」

ダガ「ジョーの野郎、ひどく沈んでたぜ…?」

アリアス「それは悪いことをしたわね」

ダガ「ふ…お前もなかなかえげつねぇなぁ?
母親の手紙を偽って寄越すとはよ」

アリアス「……」ペラ

ダガ「ありゃ全部でたらめなんだもんなぁ?」

アリアス「……」

ダガ「ふ…。しかしあんな手紙に本当に乗せられるとは思っちゃいなかったが…」

アリアス「あの小娘がいなければ成立しなかったでしょうね」

ダガ「ククク…。あぁ、あのガキのくだらねぇ正義感とおせっかいが役に立ったな…」

アリアス「あとはジョーの弱味をちらつかせて小娘を脅すだけね」ペラ

ダガ「…そこはどうなんだ?」

アリアス「問題ないわよ。あのタイプは自分より他人を優先するはず」

ダガ「…はっ?いわゆる偽善者って奴だ?」

アリアス「あら、偽善だなんて神に仕える者として相応しくない言葉よ?」

ダガ「…それもそうか」

アリアス「今の内に考えておきなさい。あの小娘に何をさせるか」ペラ

ダガ「ふ…ふふ…!ククク!」

アリアス「(疲れた…。こっちは仕事が残ってるって言うのに…)」

アリアス「(ま、これで気が済むでしょ。借りも一つ出来たし…)」ペラ
624:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/4/20(土) 17:21:53 ID:hjA9OHHsFc
―――大聖堂(牢屋)―――

ポツン

宣教師「………」

――――――

『そのあんたが司祭様の思いやりから目を背けるのか?』

――――――

宣教師「私が司祭様のお気に入り、か…」

宣教師「(思えば孤児として拾われた後も司祭様の優しさに幾度となく救われましたっけ…)」

宣教師「(懇切丁寧に教えを授けてくださり、学ぶ場所から生きる場所まで頂いた…)」

宣教師「それなのに…」

――――――

『…哀れな奴よな。こやつを地下牢に押し込めよ』

――――――

宣教師「半ば諦めている中で微かな希望を持っていた…」

宣教師「司祭様なら…きっと間違いに気付いてくださると…」

宣教師「一体どちらの側面が本当なのでしょう…?」

宣教師「私の目で見たカロルくん達は…薄汚れてなどいなかった」

宣教師「むしろそれまで神々しいほどに輝いていた司祭様が褪せて見えた…」

宣教師「私の目が濁っているというのなら、なぜ司祭様は何も教えてくださらないの…?」

宣教師「ずっと…信じていたのに…」

宣教師「父のように慕っていたのに…」

宣教師「とても……やりきれない…」ポロポロ
625:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/4/29(月) 20:23:16 ID:OlYbvURtok
―――大聖堂(通路)―――

ジョー「なぁ…頼むよ!」

トト「いや、ほんと悪い!」ペコリ

ジョー「なんでだよ!さっきまでは見張りを代わってもいいって言ってたじゃないか!?」

トト「それがさぁ…。ダガ様にいきなり頼まれちゃったんだよ」

ジョー「頼まれたって…何をだよ?」

トト「ミラルドの町まで行って酒を4樽買ってこいって言われたんだ。
なんでも三日後に来る客をもてなすんだとよ」

ジョー「なんでこんな時に…!」

トト「そんで客が来たらシスター達を手伝ってやんなきゃなんないから手が空かないんだよ」

ジョー「ちくしょう…」

トト「どうしたんだよ。さっきまでは平気だって言ってたじゃないか?」

ジョー「事情が変わったんだよ!」

トト「何があったんだ?」

ジョー「それは…」

トト「それは?」

ジョー「…いや、なんでもねぇよ」

トト「なんだよ。気になるじゃんか?最後まで言えよ?」

ジョー「…いいって。無理言って悪かったな」

トト「そうか…。力になれなくてごめんな」

ジョー「そんな事ねぇよ。お前はお前で色々あんだから」

トト「はは!雇われの身としちゃ上に逆らえねぇしな!」

ジョー「……」

トト「おっと、もう行かなきゃだ!悪いな!」

ジョー「あぁ…」
626:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/4/29(月) 20:25:12 ID:hf9q3Lf4C.
ジョー「どうすりゃいいんだよ…!」グッ

ジョー「すぐにでも行かなきゃ…」

ジョー「それどころか間に合うかすら分からないってのに…!」ガクッ

ジョー「俺はどうすりゃいいんだよおぉぉぉーー!!」

シスター「」ビクッ

神父2「」ビクッ

ジョー「うあぁぁぁぁぁーー!!」

ザワザワ ザワザワ
627:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/4/30(火) 20:02:01 ID:d4mo8KMAQc
―――大聖堂(正門)―――

神父「はぁ…はぁ…。つ、着いたぞ!」ズルズル

カロル「わー!この建物、すごい大きいね?」

母「そうね。とても立派な造りだわ?」

神父「はぁ…はぁ…」

カロル「おじさま、辛いの…?」

神父「黙れ…!さんざんケガ人を急かしおって!」

カロル「ごめんなさい…」シュン

母「なに言ってるんですか!
休憩だって何度もとりましたし、あたしも坊やも神父さんのペースに合わせて歩きましたよ?」

神父「ぐっ…」

母「順調に行けば夕方までには着くという話でしたけど、結局こんなに暗くなってしまいましたし…」クドクド

神父「ぎぎ…!」ギリッ

カロル「あ、あはは…。もういいじゃない。早く中に入って休ませてもらおうよ?」

母「…そうね。神父さん、開けてくださいな?」

神父「黙れ!言われんでもそうするわ!」
628:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/4/30(火) 20:06:05 ID:d4mo8KMAQc
ガチャッ

守衛「おや、神父さん。遅い帰りだったね」

神父「色々ゴタゴタがありましてな」

守衛「……?左目に布が巻かれてますがどうなさったんです?」

神父「久しぶりに吸った外の空気が合わなかったのか、見事に腫らしてしまいましてな」

守衛「まさにゴタゴタだった訳ですか」

神父「ははは。情けないザマをお見せしたようだ!」

カロル「」キョロキョロ

母「どうしたの?」

カロル「外から見たら大きかったのに中はそんなに広くないんだね?」

母「ふふ。この入り口はわざと個室にしてあるのよ?」

カロル「どうして?」

母「外から怪しい人間が入らないように二重に入り口を設けたのね。扉を抜ければもっと広い敷地に出るはずよ?」

カロル「へー!じゃあこの先にマルクも宣教師さまもいるの?」キラキラ

母「そうよ」ニコッ

守衛「神父さん。その方たちは?」

神父「司祭様が招いた客人です。リストを確認してもらえますかな?」

守衛「そうでしたか。ちょっと待ってくださいね」ペラッ

守衛「うんうん。確かに書いてありますよ」

神父「では通してもらえますか?」

守衛「リストにチェックを付けておきます。ちょっと待っててくださいね」カキカキ
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