むかしむかしのことです。
世界は深い緑が生い茂り、深い青が寄り添うように流れる清らかな一つの円でした。
穢れを知らず、怒りも悲しみもなく、渇くことのない喜びが波立てる大地は
争いを寡黙に、繋がりをおおらかにしました。
587: ◆WEmWDvOgzo:2013/4/15(月) 18:22:15 ID:6Oet8Id.lc
ラム「でも黙っていなくなった訳じゃないよ?
人間の臭いがする所にいたくなかっただけ」
バンパ「お前はいっつもそう言って、屋内で寝たがらないよな?」
ラム「逆に聞きたいね。なんであんなとこで寝れるんだい?」
バンパ「どこで寝ようが同じだろ。ちょうど人間もいなかったしな」
ラム「ふーん…」
バンパ「そういえばお前がいない間にシープがやってくれたぞ?」
ラム「何を?」
バンパ「ずっと追ってたクズ野郎を殺したんだよ!」
ラム「…ヘマトの人間?」
バンパ「おう。奴の方からのこのこ教会に来たらしい。
罠を張っておいて正解だったな!」
ラム「罠って言っても入り口に紐を張っただけだろ?」
バンパ「あぁ。だがそれが活きた!俺の作戦勝ちだな!」
ラム「なに言ってんのさ。どうせ何もしてないんだろ?」
バンパ「うっ…し、しょうがないだろ!俺は寝てたんだから!」
ラム「…いい大人が子供に見張り任せて寝てるんだもん。情けないよ」ヤレヤレ
バンパ「う、うるさいな!ちゃんと交代してんだからいいだろ!
それにお前がわがまま言わなきゃ3人で交代出来たから、1人が寝る時間も増えるんだぞ!」
ラム「それは悪かったね」
バンパ「シープの奴も始末した後、俺を置いてきぼりにしかけたし、お前らって俺に冷たいよな」ブツブツ
588: ◆WEmWDvOgzo:2013/4/15(月) 18:25:20 ID:/c7iUBA6B6
ラム「それで死体はどうしたの?」
バンパ「ん?そのままだよ。
人間なんか埋めてやる気も起きないしな」
ラム「ふーん。いいの?足がつくかもしれないけど?」
バンパ「別にいいだろ。どうせすぐに別のとこに行くんだから」
ラム「能天気だよね、ホント。あんまり目立ちたくないのにさ」
バンパ「お前に言われたくないよ。いつも真っ先に人間を襲うくせに」
ラム「僕は見境なくやってる訳じゃないし、場所と状況は弁えてるつもりだよ」
バンパ「よく言うぜ…」ハァ
589: ◆WEmWDvOgzo:2013/4/15(月) 18:29:35 ID:/c7iUBA6B6
バンパ「そういやさっき言ってた奴はどうしたんだ?
せっかく同族を見つけたのに連れて来なかったのか?」
ラム「ん…気が合わなかったから」プイッ
バンパ「おいおい、気が合わないって…。
俺たちの目的は同じように苦しんできた仲間を助ける事だろ?」
ラム「……」
バンパ「…大事な仲間を、そんな理由で見捨てるのか?」
ラム「…その子は同族より、人間の方が好きみたい」
バンパ「へ?な…な…あんだって?」キョトン
ラム「人間と友達だって。嬉しそうに話してたよ?」クスクス
バンパ「な、なんだそいつ…!そんな奴がホントにいるのか?」
ラム「バカな奴だよね。"傷付け合うのは間違ってる"だって?
綺麗事で自分をごまかしてる。たまたま少しうまくいってるだけなのに」
バンパ「…確かにな。バカだ」
ラム「それとなく連れてこようと思ったんだけど…やめといたよ」
バンパ「あぁ。それがいいよ。そんな奴は仲間じゃねぇ」
ラム「……」
バンパ「同族とは思えないな…。今もどこかで仲間が人間に苦しめられてるのによ…」
ラム「…ふふ。きっといつか気付くだろうけどね。
痛い目にあってから後悔したって遅いんだ…」
590: ◆WEmWDvOgzo:2013/4/15(月) 18:33:20 ID:/c7iUBA6B6
バンパ「それにしてもシープの奴、遅いな?どこまで行ったんだ?」
ラム「シープなら人間に見つかるような事は無さそうだけど心配だね」
バンパ「お前が勝手に歩き回るからだろ?迷ったんじゃないだろうな…」
ラム「……」
ガサッ
シープ「あー!ラムったらどこに行ってたの!?」
ラム「シープ!」
シープ「ずっと探してたんだから!心配したんだよ?」
ラム「ごめん。色々あってね」
バンパ「同族に会ったんだってよ?」
シープ「えー!ホント!?」
ラム「余計なこと言わないでよ?」
バンパ「まぁまぁ?俺たちの間で隠し事はなしだろ?」
ラム「そうだけどさ…」
シープ「どこにいるの!もちろん連れてきたんでしょ?」
バンパ「いや、訳あって仲間にはしなかった」
シープ「どうして?ボクも会いたいよ!」
ラム「その子は人間が好きなんだってさ。僕たちとは合わないだろ?」
バンパ「そういうことだ」
シープ「なにそれ?人間が好きって…本気なの?」
ラム「どうだろう?僕には嘘を言ってるようには見えなかったけど?」
シープ「…じゃあ仲間じゃないね」
591: ◆WEmWDvOgzo:2013/4/15(月) 18:36:45 ID:6Oet8Id.lc
バンパ「変わってるよな?俺もラムから聞いた時は驚いたぜ」
シープ「殺そうよ、そいつ」
バンパ「は?」
シープ「だって人間の仲間でしょ?」
バンパ「おいおい、簡単に言うなよ?」
シープ「いいじゃん。殺そうよ!」
ラム「……?」
シープ「今までだってそうだったじゃない?」
バンパ「そりゃ人間相手の話だろ?
しかもホビットを虐げる人間に限って、だ」
バンパ「生きる為に行商人や旅人を襲った事もあるけど、意味のないことはしてこなかったじゃないか」
シープ「…二人とも優しすぎるよ?人間はみんな敵でしょ?
そいつはボクらをいじめる人間の仲間なんだよ?」
バンパ「そうとは限らんだろ?
村の子供とか、俺たちにまだ偏見を持ってない人間と仲良くして勘違いしてるだけかもしれないしな」
シープ「同じだよ。ボクは生まれた村で同い年の人間の子供にたくさん、いじめられてきたもん」
ラム「……」
592: ◆WEmWDvOgzo:2013/4/15(月) 18:39:00 ID:/c7iUBA6B6
バンパ「だからって見境なく殺すのは人間と同じだぞ?
俺たちはあいつらとは違うだろ?」
シープ「どうして?昨日の夜にあいつを殺した時は褒めてくれたよね?」
バンパ「だから、それは状況がだな…」
シープ「ねぇ、聞いてよ。ラム!ボク昨日、初めて1人で人間を殺したんだよ?」
ラム「うん。さっきバンパから聞いた」
シープ「すっごく楽しかったんだ!
今までずっとあいつが怖かったのに、全然怖くなかった!」
ラム「……」
バンパ「待てよ。楽しいってのは間違ってるぞ?
俺たちは快楽の為に人殺しをしてる訳じゃないんだぞ?」
シープ「違うよ!そういうんじゃない!
悪い奴をやっつけるのって正義の味方みたいでかっこいいじゃん!」キラキラ
バンパ「おいおい…」
シープ「人間の数だけ悪い奴がいるんだ!みんなやっつけようよ!?」
バンパ「おとぎ話じゃないんだぞ?
悪い奴をやっつけたって解決しないし、世の中そんなに簡単じゃない」
シープ「なんでさ!」プンスカ
バンパ「お前はまだ小さいから分からないだろうな?」
シープ「むぅ…子供扱いしないでよ?」
バンパ「へっ!俺から見りゃガキだよーだ!」ケラケラ
シープ「なんだよ、もう!」
593: ◆WEmWDvOgzo:2013/4/15(月) 18:41:27 ID:6Oet8Id.lc
バンパ「ラムからもなんとか言ってやってくれよ?」
シープ「ラムなら分かってくれるよね!?」
ラム「…僕としては反対かな。そこまでする事ないよ」
シープ「えー?なんで?」
ラム「別にあの子が人間と仲良くしても僕らには関係ないしね」
シープ「ぅー…」ムスッ
バンパ「そういうこと!分かったら、さっさと出発するぞ?
だいぶ時間もくっちまったしな」
シープ「どこに行くの?」
バンパ「はぁ…前に言っただろ?」
シープ「覚えてない!」キッパリ
バンパ「……」
594: ◆WEmWDvOgzo:2013/4/15(月) 18:44:06 ID:6Oet8Id.lc
ラム「東に向かうんだ。エルマーっていうホビットの集落があるはずだからね」
シープ「あ、そうだった!」
バンパ「しっかりしてくれよ…。
エルマーに行けば仲間を集められるかもしれないんだぞ?」
シープ「ふーん!けど、今から行くの?」
バンパ「そうだよ。死体はあのままだし、人間達が追ってくるかもしれないからな」
シープ「ボク、くたくたなんだけど」ジト
バンパ「わがまま言うな!」
シープ「だってさっきまでラムを探しに行ってたんだよー?」
バンパ「くっ…別に歩けるだろうが!ちょっとの辛抱だ!」
シープ「やだー!歩きたくなーい!おんぶしてよー!」ジタバタ
バンパ「くっそー…!」イライラ
ラム「おぶってあげれば?」
バンパ「はぁ!?元はといえばお前のせいなんだから、お前がやれよ!」
ラム「やだね。僕も疲れるのは嫌いだもん」ツーン
バンパ「こ、こいつ…!」イライラ
シープ「バンパー!はやくー!」ジタバタ
バンパ「……!」イライラ
595: ◆WEmWDvOgzo:2013/4/15(月) 18:46:39 ID:6Oet8Id.lc
バンパ「分かったよ!おぶりゃいいんだろ!おぶりゃ!」シャガム
シープ「わーい!」ガバッ
ラム「さ、行こうか?」
バンパ「お、おう…!」ググッ
シープ「うん!」ギュッ
ラム「辛そうだね?」
バンパ「(そう思うなら変われっつの!)」
シープ「楽チン、楽チン!」ニコニコ
ラム「……」
ラム「(これで本当にお別れだね、カロル君…)」
バンパ「どうした?」
ラム「なんでもないよ。行こう」スタスタ
バンパ「おう!」スタスタ
シープ「レッツゴー!」ニコニコ
596: ◆WEmWDvOgzo:2013/4/16(火) 20:26:07 ID:88ff4WVCKM
―――大聖堂(書斎)―――
ドカッ!
ダガ「あんのガキぃ〜…!」イライラ
付き人2「……」ペラ
ダガ「があぁぁ!!」ドカッ
付き人2「静かにしてもらえない?
本に集中出来ないんですけど?」
ダガ「あぁ?」ギロッ
付き人2「ここは神聖なる書物が並ぶ書斎よ?
壁を蹴ってストレスを発散する場所じゃないの」
ダガ「うるせぇよ…」
付き人2「あなたって本当に単細胞よね?
分も場所も弁えられない。そんなだから出世も出来ないのよ」
ダガ「今なんつった!?」ガタンッ
付き人2「あら、何か聞こえまして?」ペラ
ダガ「お前まで俺を怒らせる気か…?」イライラ
付き人2「……」ペラ
ダガ「なんとか言ったらどうだ?おう?」
597: ◆WEmWDvOgzo:2013/4/16(火) 20:27:22 ID:88ff4WVCKM
付き人2「あなたって野蛮よね。
長い付き合いだけど、同じ教団員として理解しかねるわ?」
ダガ「なんだとぉ…?」ピキッ
付き人2「……」パタン
ダガ「なんだ。読書は終わりか…?」
付き人2「これ以上、当たられても困るから聞いてあげる」ジーッ
ダガ「当たられてもだぁ?俺がいつ当たった?」
付き人2「いいから話してごらんなさい?」
ダガ「ちっ!」
598: ◆WEmWDvOgzo:2013/4/16(火) 20:28:42 ID:lGG2TOSiaY
(>>478-482)
ダガ「って事があってよ…」
付き人2「どうせそんな事だろうと思ってたけど…」ハァ
ダガ「あのガキだけは許せねぇ…!」ググッ
付き人2「あなたも司祭様も、何が楽しくてあんな小娘に執着するの?」
ダガ「執着なんざしてねぇよ。気に入らねぇだけだ」
付き人2「ますます分からない。ほっとけばいいじゃないの?」
ダガ「ほっとけるか!あからさまに司祭様から贔屓されてやがるんだぞ!」
付き人2「要は嫉妬してるのね?」
ダガ「嫉妬じゃねぇ!あのガキみてぇな事を言ってんじゃねぇよ!」
599: ◆WEmWDvOgzo:2013/4/16(火) 20:30:13 ID:88ff4WVCKM
付き人2「それで、あなたはどうしたいわけ?」
ダガ「あのガキをぎゃふんと言わせて目の前に跪かせてやりてぇ…!」
付き人2「はぁ…まるで子供ね…」
ダガ「なに…!?」イラッ
付き人2「あの娘は牢に押し込められた立派な罪人よ?
今となっては躍進も望めない。その内いなくなるでしょう?」
ダガ「だが、司祭様に裁く意思は見られねぇ…」
付き人2「そうね…。少しお灸を据える程度に考えてらっしゃるでしょうね」
ダガ「気に入らねぇな…。奴はホビットの味方をした上に司祭様に歯向かいやがった…。
重い罰を与えてしかるべき罪だ…」
付き人2「それを決めるのは私達じゃない」
ダガ「くっ…」ギリッ
600: ◆WEmWDvOgzo:2013/4/16(火) 20:31:31 ID:88ff4WVCKM
ダガ「お前はなぜ納得できる?目障りだと思わねぇのか?」
付き人2「納得してる訳じゃないわ?司祭様のお考えに沿ってるだけよ」
ダガ「……」
付き人2「それに私はあなたと違って、ただの護衛じゃないの」
ダガ「ふ…。そりゃ失礼したな。補佐さんよ…?」
付き人2「腐らないでよ?別にあなたを見下したりはしてないわ?」
ダガ「どうだか…?」
付き人2「はぁ…。しょうがないわね…」
ダガ「あ…?」
付き人2「私に任せといて。同僚のよしみでなんとかしてあげる」
ダガ「? どうする気だ…?」
付き人2「ちょっと頭を使えば、あんな小娘を陥れるくらい簡単よ」ニヤリ
ダガ「……?」
601: ◆WEmWDvOgzo:2013/4/18(木) 19:29:48 ID:4YUZHqrID.
―――大聖堂(牢屋)―――
ジョー「…く…ぁぁ…」ノビッ
ジョー「(さすがに2日の見張りはキツいな…)」
ジョー「(俺に断りもなく逃げ出す心配はなさそうだし、休憩がてら広間の食事場で一服してもいいんだが…)」
ジョー「(一人で見張るって言っちまっただけに、ここを離れると誰もいなくなるしな…)」
ジョー「(そうなったら万が一、何かがあった時にまずい…)」
ジョー「」チラッ
宣教師「……」オロオロ
ジョー「牢屋ん中を動き回ってもなんにもならないぞ?」
宣教師「仕方ないでしょう。心配なのですから…!」ムッ
ジョー「神父がホビットを連れてくるのも間もなくだろうな。いい加減、諦めろって?」
宣教師「諦めるとか諦めないの問題ではありません!」
ジョー「そりゃあんたからしつこいくらい、たっぷりと話も聞いたし、悪い奴らじゃないんだろうけどさ」
宣教師「当たり前です!あの親子に責めるべき点などありません!」
ジョー「はぁ…何言ってもコレだ…」
宣教師「うまく逃げてくれていればいいのですが…」
602: ◆WEmWDvOgzo:2013/4/18(木) 19:34:00 ID:.tgHhz2SVw
ジョー「…2日も牢屋に籠ってるのに、よく不満も言わずにホビットの心配なんか出来るよな?」
宣教師「それは…ここでは暖かな食事にありつけますし、ジョーさんも良くしてくださいますから…」
ジョー「あぁ…そりゃそうかもな」
宣教師「何か含みがありそうな言い方ですね?」
ジョー「…まぁ言っても差し支えはないか」
宣教師「……?」
ジョー「司祭様にそうするよう言われたんだよ」
宣教師「司祭様が…ですか?」キョトン
ジョー「もちろん俺が見張りを一人で買って出たのは別だぜ?
でもまぁ飯と着替えは司祭様のお情けってやつだ」
宣教師「なぜです?」
ジョー「そりゃあんたがお気に入りだからだろ?」
宣教師「…それが分かりません。
確かに以前、ジョーさんがおっしゃったようにある程度の気遣いは頂いてたかもしれませんがお気に入りは大げさです」
ジョー「全然、自覚がねぇんだもんな…」ヤレヤレ
宣教師「自覚も何も…」
ジョー「たかだか1布教者である、あんたの為にわざわざ村まで足を運んでくださってたんだぞ?」
宣教師「たまたま身近な場所で布教をしていたので、足を運びやすかっただけでは…?」
ジョー「そんな訳があるかよ。司祭様の忙しさはあんたのがよく知ってるだろ?」
宣教師「……」
603: ◆WEmWDvOgzo:2013/4/18(木) 19:37:00 ID:4YUZHqrID.
ジョー「なんだかんだ言って今もあんたを心配してくださってるんだ。
あんたも本当のとこは分かってるんだろ?」
宣教師「……」
ジョー「分からないとは言わせないぞ?」
ジョー「あんたは俺に見てみぬふりをするなと言ったよな?」
ジョー「そのあんたが司祭様の思いやりから目を背けるのか?」
宣教師「……」
ジョー「まぁ…俺には関係ねぇけどさ」プイッ
カツンカツン カツンカツン
ジョー「ん?また誰か来たのか?ダガ様といい、今日は珍しいな」
宣教師「……」
604: ◆WEmWDvOgzo:2013/4/18(木) 19:38:32 ID:.tgHhz2SVw
トト「よう!」
ジョー「おう!なんだ、トトじゃねーか!」
トト「調子はどうだ?」
ジョー「別に変わらねーよ。お前こそ地下くんだりまで何しに来たんだ?
確かシスター達と一緒に雑用を任されてるはずだろ?」
トト「お前が見張りを一人で買って出たおかげでな!」
ジョー「はは!わるいわるい!」
トト「シスター達はダメだよ。あいつら、昨日神父が連れてきた犬に夢中でさ」
ジョー「あぁ。例のホビットの飼い犬か」
トト「女ってのはなんでああ犬が好きなんだろうね?
あきれちまってモノも言えねぇよ」
ジョー「犬に限らねーよ。かわいいモンが好きなんだろ」
トト「しまいにゃ神への信仰よりかわいいモンを取るんじゃないかって勢いだぜ?」ヘラヘラ
ジョー「はははは!」
605: ◆WEmWDvOgzo:2013/4/18(木) 19:40:13 ID:4YUZHqrID.
トト「この人が噂の宣教師か?」
ジョー「あぁ」
宣教師「……」ペコリ
トト「ほうほう…。結構キレイな人じゃねーか?」コショコショ
ジョー「そうか?あれで意外と気が強いんだぜ?」コショコショ
トト「お前が一人で見張りを買って出たのも分かる気がするよ」ニヤニヤ
ジョー「バカか!そんなんじゃねーよ!」
トト「おいおい、聞こえちゃうぞ?」ニヤニヤ
ジョー「くっ…!」チラッ
宣教師「……」
ジョー「」ホッ
トト「聞いてないな。考え事でもしてんのかな?」
ジョー「知らねーよ…」
トト「あーあ、つまんねーの」ムスッ
ジョー「お前なぁ…」ハァ
606: ◆WEmWDvOgzo:2013/4/18(木) 19:43:54 ID:.tgHhz2SVw
ジョー「結局お前は何しに来たんだよ?」
トト「おっと、忘れんとこだった!これこれ!」つ【手紙】
ジョー「なんだ?」キョトン
トト「お前のお袋さんからだってよ。さっきアリアス様から受け取ったんだ」
ジョー「アリアス様が?」
トト「おう。届いたはいいが手が空かなくて渡せそうにないからと、代わりに頼まれたんだよ」
ジョー「嫌な予感がするなぁ…。朝にダガ様と揉めたばっかだぜ?」
トト「そうなのか?」
ジョー「アリアス様はダガ様と共に司祭様の付き人をしてるだろ?
ダガ様に頼まれて嫌がらせしようとしてるとか…」
トト「アホか!そんな暇な人じゃねーだろ。
アリアス様はダガ様と違って、いろいろ任されてんだからよ!」
ジョー「うーん。それもそうか…」
トト「2日も地下に籠って疲れてんじゃねーの?」
ジョー「そうかもな…」
トト「なんなら今からでも見張りを代わってやろうか?」
ジョー「いや、いいよ。ありがとな!」
トト「ならいいけどよ。俺も雑務が残ってるから、もう行くぞ?」
ジョー「おう、すまなかったな!」
トト「気にすんなって!」
カツンカツン
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