むかしむかしのことです。
世界は深い緑が生い茂り、深い青が寄り添うように流れる清らかな一つの円でした。
穢れを知らず、怒りも悲しみもなく、渇くことのない喜びが波立てる大地は
争いを寡黙に、繋がりをおおらかにしました。
573: ◆WEmWDvOgzo:2013/4/7(日) 14:39:56 ID:zOFUY7O9qk
カロル「」ペラ
カロル「……」
カロル「」パタン
ルーボイ「読み終わったのか?」
カロル「うん…」
ルーボイ「それ、やるよ」
カロル「へ…?いいよ?悪いじゃない?」
ルーボイ「俺、もうそんなガキくせーの読まないからいらねーし」
カロル「でも…」アセアセ
ルーボイ「めんどくせーな!いいから持ってけっつーの!」グイグイ
カロル「わっ!」
ルーボイ「…さっきマルクの悪口言ったのも、それであいこだからな?」
カロル「そんな…もう気にしてないよ?」
ルーボイ「……」ムスッ
カロル「ありがとう?」ニコッ
ルーボイ「…ふん!」プイッ
574: ◆WEmWDvOgzo:2013/4/12(金) 20:11:35 ID:J./Ghkr/nw
カロル「この絵本、大事にするね!」ニコニコ
ルーボイ「別にいいっつの。どうせいらなかったし」
カロル「あ、ちょっと待ってて?」ゴソゴソ
ルーボイ「なんだよ?」
カロル「はい!」スッ
ルーボイ「アメか?」
カロル「お返しにあげる!」
ルーボイ「そういえば前にもくれたよな?」
カロル「えへへ。変装して来た時に貰ったんだ!」
ルーボイ「あー!お前が女のふりした時だろ!」
カロル「うん、あの時は恥ずかしかったなぁ…」テレテレ
ルーボイ「あん時は俺もパッチもお前がホビットなんて思わなかったぞ?」
カロル「そうだよね?
ボクも、あれから二人と友達になれるとは思わなかったもの」
ルーボイ「へへ!ほんとだな?」
575: ◆WEmWDvOgzo:2013/4/12(金) 20:13:27 ID:RneutkhE8s
ガチャッ
メイキ「……」
ルーボイ「母ちゃん、おかえり!早かったな!」
カロル「」ペコリ
メイキ「…あぁ、ただいま。ケガの具合はどうなんだい?」
ルーボイ「なんともないぜ!ほら、見てくれよ!」
メイキ「……!」キッ
ルーボイ「? どうしたんだよ、怖い顔して?」
カロル「?」キョトン
神父「奥さん、どうでしたかな?」スタスタ
メイキ「神父様の言った通りでした…」
神父「うーむ。やはりな…」
ルーボイ「なんだ…?ケガが治ったのにがっかりしてるぞ?」
カロル「どうしたんだろう…?」
576: ◆WEmWDvOgzo:2013/4/12(金) 20:18:35 ID:J./Ghkr/nw
ルーボイ「帰ってきてからしばらく話してたけど、なに話してたの?」
メイキ「なんでもいいだろ。それより…」ジロッ
カロル「?」キョトン
メイキ「…出ていっとくれ」
カロル「え?」ビクッ
メイキ「聞こえなかったかい?出ていけって言ったんだよ」
カロル「おばさま…?」
ルーボイ「なに言ってんだよ、母ちゃん!」
メイキ「……」ジロッ
カロル「(冷たい目…。今まで何度も見てきた目だ…!)」
カロル「そっか。そういうことなんだ…」ボソッ
神父「おい、行くぞ!」
カロル「はい…」スクッ
ルーボイ「はぁ!?待てよ!」ガシッ
カロル「……」クルッ
メイキ「うちの息子に触んじゃないよ!」バチンッ
カロル「いっ…!」ヒリヒリ
ルーボイ「何してんだよ!?」
神父「……」
577: ◆WEmWDvOgzo:2013/4/12(金) 20:20:32 ID:RneutkhE8s
メイキ「いいから!さっさと手を離しな!」
ルーボイ「意味分かんねーよ!母ちゃんまでおかしくなったのかよ!?」
カロル「やめて、ルーボイくん」
ルーボイ「へ?」
カロル「手、離して」
ルーボイ「お前までどうしたんだよ…?」
カロル「…離して」
ルーボイ「なっ…!」
カロル「ボク、行かなきゃいけないから、ね?」ニコッ
ルーボイ「…分かったよ。離せばいいんだろ?」パッ
カロル「ありがとう」ニコニコ
メイキ「外の井戸で手を洗ってきな!」
ルーボイ「な、なんでだよ?」
メイキ「汚いからに決まってるだろう!?」
ルーボイ「汚いってカロルのことかよ!?」
メイキ「いいからさっさと洗ってきちまいな!」
ルーボイ「ふざけんなよ!こいつは俺の友達だぞ!」
578: ◆WEmWDvOgzo:2013/4/12(金) 20:23:57 ID:J./Ghkr/nw
カロル「お母さんの言う通りにして?」
ルーボイ「……!?」
メイキ「あんたが息子に指図すんじゃないよ!!」
カロル「すみません…」
メイキ「私たちを騙して…腹ん中で笑ってたクセにさ!」
カロル「……」シュン
ルーボイ「な、なんなんだよ?さっきまで、そんな事言わなかったじゃんか!?」
メイキ「あんたが隠してたからだろ!」
ルーボイ「なにがだよ!?」
神父「まぁまぁ、奥さん。そう声を荒げてはいかん」
メイキ「…あぁ、すみません」
神父「…気持ちは分かりますが冷静になられよ。母親が子供に不安を与えてはもとも子もない」
メイキ「…えぇ」
神父「ルーボイ君と言ったか。君もお母さんに対して少し言い過ぎだ」
ルーボイ「」ムスッ
579: ◆WEmWDvOgzo:2013/4/12(金) 20:26:02 ID:RneutkhE8s
メイキ「もう…連れていってください」
神父「そうですな…」チラッ
カロル「分かってます」コクリ
ルーボイ「…カロル、どうしたんだよ?お前、なんか変だぞ?」
カロル「…なんでもないよ」
ルーボイ「……」
カロル「楽しかったよ!バイバイ?」フリフリ
ルーボイ「お、おう。またな…」
ガチャッ バタンッ
ルーボイ「」ポツン
メイキ「手、洗いなよ?」
ルーボイ「……」
580: ◆WEmWDvOgzo:2013/4/12(金) 20:27:38 ID:RneutkhE8s
――村(民家周辺)――
神父「…む?お前の母親がおらんな?」
カロル「……」
神父「ここで待ってるように言ったのだがな」
カロル「…ボクがホビットなの、おばさまに話したんですか?」
神父「」ギクゥッ
神父「……し、知らんよ」
カロル「話したんですね?」ジト
神父「うっ!いや、待て!私はだな…!」アタフタ
カロル「気にしなくていいです」
神父「おっ?」
カロル「…一つだけお願いしていいですか?」
神父「な、内容にもよるが…言ってみろ」
カロル「お母さまには内緒にしてください」
神父「先ほどの事を、か?」
カロル「はい。心配かけたくないから…」
神父「ま、まぁ構わんが…」タジタジ
581: ◆WEmWDvOgzo:2013/4/12(金) 20:29:25 ID:RneutkhE8s
スタスタ
母「あ、二人ともいたのね?」
カロル「お母さま!」
神父「……」
母「遅かったから、少し向こうで畑を見てたの。どれも立派に実って、素敵だったわ?」ニコニコ
カロル「そうだったんだ。待たせちゃってごめんなさい?」
母「いいのよ?それじゃ行きましょうか」
神父「うむ」
カロル「はーい!」
582: ◆WEmWDvOgzo:2013/4/12(金) 20:31:59 ID:J./Ghkr/nw
母「それにしてもずいぶん長かったんですのね?」スタスタ
神父「む?ま、まぁアレだな…」スタスタ
母「アレ?」
神父「いや、その…ま、まぁアレだ」
母「何かあったんですか?」ジロリ
神父「」ギクギクッ
カロル「ボクが帰りたくないって、わがまま言っちゃったんだ。
それでみんなを困らせちゃって…。えへへ」
母「そうなの?」
神父「あ、あぁ!そうだ、そうだ!まったく手を焼かせおって!」
カロル「あはは。ごめんなさい」ニコニコ
母「怪しいわね…」
神父「な、なにぃ!?」
母「だって様子が……」
「おーい!!」タタタッ
母「」ビクッ
神父「ひぃっ」ビクッ
カロル「……?」クルッ
583: ◆WEmWDvOgzo:2013/4/12(金) 20:33:48 ID:J./Ghkr/nw
ルーボイ「おい!カロル!」
カロル「ルーボイくん…?」
ルーボイ「母ちゃんの言ったこと、気にすんなよ!」
カロル「うん…」
母「……?」
ルーボイ「あ、カロルの母ちゃん!」
母「久しぶりね?元気だった?」ニコニコ
ルーボイ「おう!元気だぞ!」
母「そう?よかったわ?」ニコニコ
カロル「ルーボイくん、家に帰った方がいいよ。怒られるよ?」
ルーボイ「大丈夫だよ。手ぇ洗うっつってきたから!」
カロル「そうなんだ…」
ルーボイ「つーかお前、ひどいじゃんか!」
カロル「へ?」
ルーボイ「いきなりそっけなくしやがって!」
カロル「…ごめん。ああいう時はどうにもならないって知ってたから」
ルーボイ「ふん!ひでーよな。母ちゃんには後で言っとくよ!」
カロル「いいよ。しかたないことだもの」
ルーボイ「そんな訳にはいかねぇよ!」
カロル「それよりパッチくんを気にしてあげて?」
ルーボイ「……!」
カロル「ボクは宣教師さまを助けるから、ルーボイくんはパッチくんを、ね?」
ルーボイ「……よっしゃ!任せとけ!」グッ
カロル「お互いがんばろう!」グッ
母「」ニコニコ
神父「……」
584: ◆WEmWDvOgzo:2013/4/12(金) 20:38:08 ID:J./Ghkr/nw
カロル「じゃあ、そろそろ行くね?」
ルーボイ「おう!またな!」
カロル「うん!また!」スタスタ
母「」スタスタ
神父「」スタスタ
ルーボイ「……」
ルーボイ「カロル!」
カロル「?」クルッ
ルーボイ「前に約束したよな?また遊ぶって!」
カロル「うん!」
ルーボイ「今日のは無しだぞ!パッチも宣教師様もいなかったから!」
カロル「……?」キョトン
ルーボイ「もし、このまま会えなくなったら約束破りだからな!」
カロル「……」
ルーボイ「宣教師様と一緒に帰ってこいよ!
その時にはパッチも見つけとくから、遊ぼうぜ!」
カロル「…うん!!」
ルーボイ「約束破ったら許さないからな!」
カロル「守るよ!絶対!」
ルーボイ「へへっ!」ニカッ
カロル「えへへ!」ニコッ
585: ◆WEmWDvOgzo:2013/4/12(金) 20:39:37 ID:RneutkhE8s
タタタッ
母「行っちゃったわね」ニコニコ
神父「声のでかい子だ。さっきまで大ケガを負っていたとは思えん…」
カロル「ふふ!お母さま!神父さま!行こう?」タタタッ
母「あらあら、そんなに走って。転んでも知らないわよ?」ニコニコ
神父「急にはしゃぎおって…ケガ人を走らせる気か!」
カロル「ほら、はやくー!」
母「ふふふ!もう!しょうがない子ねぇ!」タタタッ
神父「だから!私はケガをしてると言っとろうが!」スタスタ
586: ◆WEmWDvOgzo:2013/4/15(月) 18:17:10 ID:xrFLp2O0Vk
―――森―――
スタスタ
???「あー!お前、どこ行ってたんだよ!?」
ラム「…バンパ」
バンパ「全然戻ってこないから心配したぞ!」
ラム「ごめんごめん。ちょっとね」
バンパ「朝にはここに戻ってくるはずだったろ。
もう夕方だぞ!何してたんだ?」
ラム「たまたま同族を見かけてね」
バンパ「同族?俺たち以外のホビットがいたのか?」
ラム「うん。この森に住んでるんだってさ」
バンパ「なんでこんな所に?
自然豊かな田舎じゃあるけど、教団のお膝元だぞ?」
ラム「さぁね。そんなのボクの知ったことじゃないよ」
バンパ「なんだそりゃ?会ったんじゃないのか?」
ラム「…そんな事よりさ。シープは?」
バンパ「バカ!お前を探しに行ったに決まってるだろ!」
ラム「一人で?シープはまだ子供だよ?
バンパが探しに行けばよかったじゃないか」
バンパ「交代で探してたんだよ!
それに黙っていなくなったお前が言う事じゃないだろ?」
ラム「…それもそうだね」
587: ◆WEmWDvOgzo:2013/4/15(月) 18:22:15 ID:6Oet8Id.lc
ラム「でも黙っていなくなった訳じゃないよ?
人間の臭いがする所にいたくなかっただけ」
バンパ「お前はいっつもそう言って、屋内で寝たがらないよな?」
ラム「逆に聞きたいね。なんであんなとこで寝れるんだい?」
バンパ「どこで寝ようが同じだろ。ちょうど人間もいなかったしな」
ラム「ふーん…」
バンパ「そういえばお前がいない間にシープがやってくれたぞ?」
ラム「何を?」
バンパ「ずっと追ってたクズ野郎を殺したんだよ!」
ラム「…ヘマトの人間?」
バンパ「おう。奴の方からのこのこ教会に来たらしい。
罠を張っておいて正解だったな!」
ラム「罠って言っても入り口に紐を張っただけだろ?」
バンパ「あぁ。だがそれが活きた!俺の作戦勝ちだな!」
ラム「なに言ってんのさ。どうせ何もしてないんだろ?」
バンパ「うっ…し、しょうがないだろ!俺は寝てたんだから!」
ラム「…いい大人が子供に見張り任せて寝てるんだもん。情けないよ」ヤレヤレ
バンパ「う、うるさいな!ちゃんと交代してんだからいいだろ!
それにお前がわがまま言わなきゃ3人で交代出来たから、1人が寝る時間も増えるんだぞ!」
ラム「それは悪かったね」
バンパ「シープの奴も始末した後、俺を置いてきぼりにしかけたし、お前らって俺に冷たいよな」ブツブツ
588: ◆WEmWDvOgzo:2013/4/15(月) 18:25:20 ID:/c7iUBA6B6
ラム「それで死体はどうしたの?」
バンパ「ん?そのままだよ。
人間なんか埋めてやる気も起きないしな」
ラム「ふーん。いいの?足がつくかもしれないけど?」
バンパ「別にいいだろ。どうせすぐに別のとこに行くんだから」
ラム「能天気だよね、ホント。あんまり目立ちたくないのにさ」
バンパ「お前に言われたくないよ。いつも真っ先に人間を襲うくせに」
ラム「僕は見境なくやってる訳じゃないし、場所と状況は弁えてるつもりだよ」
バンパ「よく言うぜ…」ハァ
589: ◆WEmWDvOgzo:2013/4/15(月) 18:29:35 ID:/c7iUBA6B6
バンパ「そういやさっき言ってた奴はどうしたんだ?
せっかく同族を見つけたのに連れて来なかったのか?」
ラム「ん…気が合わなかったから」プイッ
バンパ「おいおい、気が合わないって…。
俺たちの目的は同じように苦しんできた仲間を助ける事だろ?」
ラム「……」
バンパ「…大事な仲間を、そんな理由で見捨てるのか?」
ラム「…その子は同族より、人間の方が好きみたい」
バンパ「へ?な…な…あんだって?」キョトン
ラム「人間と友達だって。嬉しそうに話してたよ?」クスクス
バンパ「な、なんだそいつ…!そんな奴がホントにいるのか?」
ラム「バカな奴だよね。"傷付け合うのは間違ってる"だって?
綺麗事で自分をごまかしてる。たまたま少しうまくいってるだけなのに」
バンパ「…確かにな。バカだ」
ラム「それとなく連れてこようと思ったんだけど…やめといたよ」
バンパ「あぁ。それがいいよ。そんな奴は仲間じゃねぇ」
ラム「……」
バンパ「同族とは思えないな…。今もどこかで仲間が人間に苦しめられてるのによ…」
ラム「…ふふ。きっといつか気付くだろうけどね。
痛い目にあってから後悔したって遅いんだ…」
590: ◆WEmWDvOgzo:2013/4/15(月) 18:33:20 ID:/c7iUBA6B6
バンパ「それにしてもシープの奴、遅いな?どこまで行ったんだ?」
ラム「シープなら人間に見つかるような事は無さそうだけど心配だね」
バンパ「お前が勝手に歩き回るからだろ?迷ったんじゃないだろうな…」
ラム「……」
ガサッ
シープ「あー!ラムったらどこに行ってたの!?」
ラム「シープ!」
シープ「ずっと探してたんだから!心配したんだよ?」
ラム「ごめん。色々あってね」
バンパ「同族に会ったんだってよ?」
シープ「えー!ホント!?」
ラム「余計なこと言わないでよ?」
バンパ「まぁまぁ?俺たちの間で隠し事はなしだろ?」
ラム「そうだけどさ…」
シープ「どこにいるの!もちろん連れてきたんでしょ?」
バンパ「いや、訳あって仲間にはしなかった」
シープ「どうして?ボクも会いたいよ!」
ラム「その子は人間が好きなんだってさ。僕たちとは合わないだろ?」
バンパ「そういうことだ」
シープ「なにそれ?人間が好きって…本気なの?」
ラム「どうだろう?僕には嘘を言ってるようには見えなかったけど?」
シープ「…じゃあ仲間じゃないね」
591: ◆WEmWDvOgzo:2013/4/15(月) 18:36:45 ID:6Oet8Id.lc
バンパ「変わってるよな?俺もラムから聞いた時は驚いたぜ」
シープ「殺そうよ、そいつ」
バンパ「は?」
シープ「だって人間の仲間でしょ?」
バンパ「おいおい、簡単に言うなよ?」
シープ「いいじゃん。殺そうよ!」
ラム「……?」
シープ「今までだってそうだったじゃない?」
バンパ「そりゃ人間相手の話だろ?
しかもホビットを虐げる人間に限って、だ」
バンパ「生きる為に行商人や旅人を襲った事もあるけど、意味のないことはしてこなかったじゃないか」
シープ「…二人とも優しすぎるよ?人間はみんな敵でしょ?
そいつはボクらをいじめる人間の仲間なんだよ?」
バンパ「そうとは限らんだろ?
村の子供とか、俺たちにまだ偏見を持ってない人間と仲良くして勘違いしてるだけかもしれないしな」
シープ「同じだよ。ボクは生まれた村で同い年の人間の子供にたくさん、いじめられてきたもん」
ラム「……」
592: ◆WEmWDvOgzo:2013/4/15(月) 18:39:00 ID:/c7iUBA6B6
バンパ「だからって見境なく殺すのは人間と同じだぞ?
俺たちはあいつらとは違うだろ?」
シープ「どうして?昨日の夜にあいつを殺した時は褒めてくれたよね?」
バンパ「だから、それは状況がだな…」
シープ「ねぇ、聞いてよ。ラム!ボク昨日、初めて1人で人間を殺したんだよ?」
ラム「うん。さっきバンパから聞いた」
シープ「すっごく楽しかったんだ!
今までずっとあいつが怖かったのに、全然怖くなかった!」
ラム「……」
バンパ「待てよ。楽しいってのは間違ってるぞ?
俺たちは快楽の為に人殺しをしてる訳じゃないんだぞ?」
シープ「違うよ!そういうんじゃない!
悪い奴をやっつけるのって正義の味方みたいでかっこいいじゃん!」キラキラ
バンパ「おいおい…」
シープ「人間の数だけ悪い奴がいるんだ!みんなやっつけようよ!?」
バンパ「おとぎ話じゃないんだぞ?
悪い奴をやっつけたって解決しないし、世の中そんなに簡単じゃない」
シープ「なんでさ!」プンスカ
バンパ「お前はまだ小さいから分からないだろうな?」
シープ「むぅ…子供扱いしないでよ?」
バンパ「へっ!俺から見りゃガキだよーだ!」ケラケラ
シープ「なんだよ、もう!」
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