むかしむかしのことです。
世界は深い緑が生い茂り、深い青が寄り添うように流れる清らかな一つの円でした。
穢れを知らず、怒りも悲しみもなく、渇くことのない喜びが波立てる大地は
争いを寡黙に、繋がりをおおらかにしました。
541:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/4/1(月) 01:54:40 ID:xrFLp2O0Vk
ルーボイ「でも、それが本当ならパッチは生きてるんだよな?」
カロル「…うん。ボクの考えがホントだとしたら、だけどね」
ルーボイ「おー!す、スゲー!
お前って変な奴だと思ってたけど、スゲー頭いいんだな!」
カロル「は、はは…。それって素直に喜んでいいのかなぁ…?」タジタジ
ルーボイ「じゃあ、あいつは今どこにいるんだよ?」
カロル「えと…さすがにそこまでは分からないや」
ルーボイ「なんだよ!使えねーな!」
カロル「うぅ…ついさっきまで褒めてくれてたのに…」シュン
ルーボイ「…でもありがとな!パッチが生きてるって分かったら安心したぜ!」
カロル「あはは…。どういたしまして?」ニコッ
ルーボイ「やっぱお前、スゲーいい奴だよ!」
カロル「ほ、ホント…?それなら、許してくれる…?」
ルーボイ「おう!あったりめーだろ!ってか途中から怒ってなかったし!」
カロル「……!あ、ありがとう!」パァァ
ルーボイ「へへっ!俺の方こそ、八つ当たりしてごめんな?」
カロル「もう…!気にしてないったら!」
ルーボイ「ははっ!そっか!」
カロル「うん…!」ニコニコ
542:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/4/1(月) 01:56:48 ID:A5ygsn4Elg
ルーボイ「よっしゃ!そうと決まったら探しに行こうぜ!」スクッ
カロル「へ…?」キョトン
ルーボイ「? なに変な顔してんだよ?」
カロル「だって!ルーボイくん、ケガしてるじゃない!」アタフタ
ルーボイ「関係ねーよ!もう痛くねーし!」
カロル「だ、ダメだよ!キミのお母さまにも言われたんだから、じっとしてなくちゃ!」アセアセ
ルーボイ「……」
カロル「ね?パッチくんの事はボクがなんとかするから、おとなしくしよう?」
ルーボイ「ちぇっ!」ボフッ
カロル「」ホッ
543:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/4/1(月) 01:58:08 ID:A5ygsn4Elg
ルーボイ「早く母ちゃん来ねーかな…」
カロル「まだ来ないと思うよ?お家を出てから、そんなに経ってないもん」
ルーボイ「あー!もー!早くパッチに会いてぇ!」ジタバタ
カロル「あ、暴れたら危ないよ?腕も痛めてるんだし…」ドキドキ
ルーボイ「うるせー!くらえっ!」ブンッ
カロル「わっ」ボスッ
ルーボイ「へへっ!」ニヤリ
カロル「もう…。まくらは投げる物じゃないでしょ?」
ルーボイ「お前が生意気言うからだろー?」
カロル「生意気って…。ボクの方が年上なのに…」ブツブツ
ルーボイ「なんだよ?」ジロッ
カロル「」ビクッ
ルーボイ「なんか言ったか!?」
カロル「な、なんでもないよ?」ニコッ
ルーボイ「ふんっ!」
カロル「(まぁいっか…。元気になってくれたんだもの…)」ニコニコ
544:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/4/1(月) 17:33:27 ID:.tgHhz2SVw
――村(村長の家)――
村長の妻「……これで私の知る限りの事は全てお話しました」
神父「ふむ…」
母「……」
村長の妻「私は見ている事しか出来ずにいたんです…。
村人たちが狂っていくサマも、そしてダン夫婦を……!」ガクガク
神父「いや、なに。奥さんに罪はない…と、言いたいがな……」
村長の妻「……」カタカタ
神父「ここまでの事態に発展してしまった以上、ありのままに報告すれば…おそらくまずいだろうな」
村長の妻「やはり…そうですよね…」ブルブル
神父「ふぅ…。私には荷の重い役目だ。
騙されていたとはいえ、人殺しは許されん…」
村長の妻「うぅ…!なぜ…こんな事に…!今まではずっと穏やかだったのに…!」ドンッ
神父「……」
母「……」
村長の妻「あぁぁぁ…」ブワッ
村長の妻「あぁぁぁぁあぁぁぁ!!!」シクシク
545:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/4/1(月) 17:40:16 ID:.tgHhz2SVw
――村(市場)――
神父「恐ろしいものだ…。たった一つの異変が全てを変えてしまったとはな…」スタスタ
母「……」スタスタ
神父「まったく…。分からんものだよ」
母「…きっとあの奥さんは立ち直れないでしょうね」
神父「すぐには難しいだろうな。時間が必要だ。
念のため、悪いようにはしないと言っておいたが気休めになるかどうか…」
母「…あの旅人は何者だったのでしょう?」
神父「分からん。だが、この問題は想像以上に根が深そうだ…。
少なくとも司祭様の勘働きは外れたようだな」
母「と、言いますと?」
神父「司祭様はお前たちの手紙を見て、『旅人はホビットの存在を許さぬ正義感の強い人間』と評された。
実際は、とんだ悪人だった訳だがな」
母「そうですか…。やはりあたし達の言葉は信じてもらえていなかったのですね」
神父「ま、それが当然だろう…。
ホビットは人間を騙すからな」
母「…あたし達は騙したりしません」
神父「どうだかな…。私にはお前たちの考えが読めんよ。
何故、司祭様に会いたがるのか…。目的が掴めん」
546:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/4/1(月) 17:50:27 ID:4YUZHqrID.
母「それは坊やが望んだからですわ。あたしはあの子の意思を汲みたかっただけ…」
神父「宣教師のため、か?
ますます分からん。なぜ他の種族を助けようなどと思うのか…。
しかも人間とホビットという巨大な境を目の前にして…」
母「……あの子には友達がいなかったんです」
神父「……」
母「ずっと旅をしてましたから…」
神父「……」
母「一定の場所に留まる事も無く、ひっそりと怯えながら生きる道を歩んできた坊やには繋がりが大切なんです…」
神父「同じホビットの仲間はおらんのか?」
母「…あの子が生まれた村は王国によって滅ぼされました。
ただ、ホビットが暮らしているというだけで…」
神父「…まぁ。それもそうか。
となれば旅の中で出会う事も無かったのか?」
母「えぇ。不思議なことに…。
あたし達が出会ったのは神父さんも知る子と以前、住んでいた空き家の主だけです」
神父「あの小僧か…!くそっ!」
547:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/4/1(月) 17:53:27 ID:.tgHhz2SVw
母「…あの子ならホビットとして、人間と関わらず静かに生きる道を坊やに教えてくれたかもしれないわね。
出会うのが少し遅かったみたいですけど…」
神父「…あの憎みようを見る限り、共に人間に仇なす道でも選びそうだがな」
母「ふふ。そんな…。まだ子供ですから、そこまでは…」
神父「子供ながらにして私の目を躊躇いもなく、奪ったんだぞ?」
母「…ああした行動をさせてしまったのは…」
神父「人間のせいとでも言うつもりか?」
母「いえ…」
神父「ふん…。見誤るなよ?罪を犯したのは貴様らだ」
母「……」
神父「だが、まぁ…。こうした時代に生まれた事は哀れと取るべきかもしれんなぁ」
母「……!」パチクリ
神父「…勘違いするな。お前たちを理解する気など毛頭ないぞ!」
母「えぇ…。分かってます」ニコッ
548:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/4/1(月) 17:58:29 ID:4YUZHqrID.
神父「話に寄れば旅人はほぼ全員にタイマを寄越したらしいが、中には吸わなかった者もいるようだな」
母「そうですわね。
奥さんは少量と言ってましたし、吸わなかった人間たちは風に乗った煙の影響を受けたんでしょう」
神父「不幸中の幸いだな…。
タイマを求めて旅人を探す村人もいるが、意識を取り戻した者もいる…」
母「ルーボイ君の家族も影響は受けてないみたいですし。
遊びに行った坊やも心配する必要は無さそうですものね」
神父「…お前の子供など知ったことか。
とりあえずは逃げ延びた子供の安否を確かめねば…」
母「知ったことかって…。そういう言い方はないんじゃないですか?」ムスッ
549:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/4/1(月) 18:03:42 ID:4YUZHqrID.
神父「ふん…。まぁ十中八九、殺されているだろうな」
母「なんでそう言えるんです?」
神父「子供の足で逃げられる場所など限られているし、手口を聞く限り、旅人は相当な残虐性を持ち合わせていたようだ」
母「けど殺されたとは限りませんわ?」
神父「いや、殺されている可能性が高い。
いっそのこと探すのは後回しでもいいかも分からんな」
母「なぜです?生きていたら、今もどこかで不安な思いをしてるかもしれないじゃありませんか?」
神父「少なくともお前たちを大聖堂に連れて行くのが優先だ。
その際に報告すれば助力も得られるし、探すにも我々だけでは難しい」
母「でも…早く助けないと、森には獣もいますし…」
神父「…貴様の息子は逃げた子供と関わりがあるのだろう?」
母「はい。ですから坊やの為にも…」
神父「もし、無惨な姿だったらどうする?
そんな再会をしたら、傷は深いぞ…」
母「そ…それは……!」
550:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/4/1(月) 18:07:50 ID:4YUZHqrID.
神父「お前たちに配慮する訳ではないが、なんにしろ大聖堂に行った方がいい。
一目、宣教師に会える程度の情けなら受けられるかもしれんぞ?」
母「…どうしたんですか?」
神父「何がだ?」
母「いえ、先ほどとは打って変わった様子ですから」
神父「…疲れただけだ。もうさっさと、この件からは離れたい」
母「何を言ってるんですか?あなたはこの村の布教者でしょう?」
神父「バカを言うな。この村は終わりだ」
母「え…?」
神父「貴様も聞いただろう?
違法な薬物に手を出しただけならまだしも人の命を奪っている。
騙されたとはいえ、許される事ではない」
母「ですが…更正の道はないのですか?」
神父「更正するようであれば、それにこした事はないが…我が教団による援助は期待出来ん」
母「なっ…!あなた達は聖職者なのに…こういう時に手を差しのべないんですか!?」
神父「『与えられし試練に他の力を望むべからず』」
母「……はい?」
神父「神の教えだ。ゆえに我々は手助けはしない」
母「そんな…!助け合わない事を、あなた達の信じる神様は勧めるって言うの!?」
神父「無論、それだけではない。こんな教えもある」
551:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/4/1(月) 18:12:39 ID:4YUZHqrID.
『救いは両の腕に込めなさい』
『勇気は両の足に込めなさい』
『道徳は頭に携えなさい』
『体に全てを繋ぎ止めなさい』
『命はまことの導きに沿うのです』
552:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/4/1(月) 18:16:49 ID:4YUZHqrID.
母「…その言葉に従うなら助け合う必要があるんじゃないのかしら?」
神父「そうとも取れるが…我々の考える物とは違うな」
母「どういうこと…?」
神父「救いも勇気も道徳も人は当然に持ち合わせている物だ。
それらを体に繋ぎ止められぬ命は信仰に背いているとも言える」
母「……」
神父「…彼らは裁かれるべきだ。
自分の罪を受け止め、己の力で清算するのが何よりの罪滅ぼしとなる…」
母「間違いを犯してしまう弱さを認めようとは思わないのですか…!」
神父「…それはお前たちのように間違いを犯す者の意見だな。
『弱さ』などと言う言葉に置き換えたところで『罪』は『罪』でしかない」
母「あなたの信じる神様は…薄情ですね」
神父「なんとでも言え。しょせんホビットには分かるまいよ」
母「……」
神父「…王国へ伝わらないように最善は尽くす」
母「……?」
神父「王国に伝われば村ごと滅ぼされかねんが…。
我々の胸の内にしまえれば、援助は出来ずとも彼らの力で更正する時間は作れるだろうが?」
母「……まぁ!」
神父「あの娘さんにも安心しろと言ってしまったしな?」
母「神父さん、ちゃんと考えてらしたんですね…!見直しましたわ?」ニコッ
神父「…見直したは余計だ!」
553:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/4/5(金) 16:40:42 ID:pA07Cck1l6
神父「それにしても昼過ぎだと言うのに人が減っているな?」
母「気が付いた人たちは家に戻ったんじゃないかしら?」
神父「ふむ。体調を崩している者も多いようだしな」
母「…この村には医者がいないみたいですしね」
神父「あぁ、ご夫人が言っていたな?
司祭様も人が悪い。先に村の事情を詳しく聞かせて下さればよかったものを…」
母「……」
神父「とりあえずお前の息子を迎えに行くか」
母「えぇ。たしか、この先の民家の通りだと…」
「もし?」
神父「ん…?」クルリ
母「?」
554:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/4/5(金) 16:47:18 ID:3eh8rSa52E
メイキ「教団の方ですか?」
神父「いかにも。私は教団の神父をしている者だが?」
メイキ「ちょうど良かったですわ!」
神父「(教団の人間と分かって声をかけるところを見ると、昨日の記憶が無いのか?)」
メイキ「話を聞いてもらえますか?」
神父「あぁ。言ってみなさい」
メイキ「うちの息子が大ケガをしてまして。
これから教団に向かおうと思っていたところなんですよ!」
神父「ふむ…。息子さんがケガを、か」
メイキ「はい。すぐにでも看てもらいたいのですが?」
神父「申し訳ないが私は文学専門でしてな。医術は対象外だ」
メイキ「は…」
555:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/4/5(金) 16:49:21 ID:3eh8rSa52E
母「他に言い方はないんですか…。冷たく聞こえますよ…?」コショコショ
神父「仕方なかろうが…!事実、私にはなんとも出来んのだから…!」コショコショ
母「それにしたって…」
メイキ「」ワナワナ
神父「ご安心召されよ。我々も今から大聖堂へ向かうところだ。
その際に私から話を通して医術に長けた者をそちらに寄越しましょう」
メイキ「……」
神父「まぁそれまで息子さんには我慢してもらう事になるが…。
なぁに、1日や2日そこらで人間そうそう死ぬ事もあるまいよ」
母「ちょ、ちょっと!そんな言い方って……」
メイキ「ふざけんじゃないよ!!」ガッ
神父「」ビクッ
母「」ビクッ
556:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/4/5(金) 16:52:11 ID:pA07Cck1l6
メイキ「我慢しろだって!?
あんたは何様のつもりだい!?」
神父「ひぃっ!」ズザァ
メイキ「うちの子は今、苦しんでるんだ!あんたの都合じゃないんだよ!」
神父「す、すまなかった!分かったから一旦落ち着こうじゃないか!」
メイキ「元はと言えば、あんたんとこの宣教師がホビットなんかとつるんだから、こんな事になってんだよ!
責任の一つも感じてみたらどうなのさ!」
神父「う、うむ!気持ちは分かる!分かるが少し落ち着こう!」
メイキ「何が分かるってのさ!宣教師はここ数日、ホビットに構って村に顔も出さない!」
メイキ「さんざんあたし達や子供にホビットを許すな、なんて言っといてだよ!?」
メイキ「あの人が治療してくれりゃ解決するのにさ!」
神父「ま、待ってくれ!宣教師は今、本部にいるのだ!」
メイキ「なんだって?村が大変なのにほったらかして本部で何をしてるんだよ!?」
神父「いや、ホビットの件で罰を与えられておりましてな!
今は牢に閉じ込められているのだ!」
メイキ「はぁ!?こんな時に内輪揉めしてんじゃないよぉ!!」
神父「ひぃっ!申し訳ない!申し訳ない!」ペコペコ
母「」クスクス
557:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/4/5(金) 16:55:42 ID:pA07Cck1l6
メイキ「ったく!あんたら教団がしっかりしてないから、みんな混乱するんじゃないかさ!」
神父「し、しかしですな…」
メイキ「しかしもかかしもないよ!!」
神父「ひぃっ!」ビクッ
母「ふふ!」クスクス
メイキ「ん?何がおかしいんだい?」
母「あ、すみません。神父さんの反応がおかしくて、つい…」ニコニコ
神父「な、なにぃ!?」ムカッ
メイキ「…あんたも教団の人かい?」
母「いえ、あたしは旅の者で…。
村に用があったので教団の方に案内していただいてたんです」
メイキ「おや、そうかい…。そりゃみっともないところを見せちまったね?」
母「いえ、お気になさらないで?
奥さんのおっしゃる事も同じ母親として分かりますから」
メイキ「あら、あなたも子供がいるんですか?」
母「えぇ。14になる息子が一人…」
メイキ「はぁ〜!ずいぶん大きいんですね!」
母「そうですね…。大きくなりました…」ニコニコ
神父「(さっきまで喚き散らしといて母親同士になると井戸端会議か…。
これだから女はタチの悪い…)」
メイキ「あ、そうだ!話が終わってなかったわ!」
神父「」ビクッ
558:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/4/5(金) 16:58:15 ID:pA07Cck1l6
メイキ「あんた!さっさとうちの子を治しなさいよ!」
神父「む、無茶を言うな!私は施術など出来ん!」アセアセ
メイキ「それなら今すぐ医者を呼びなさいよ!」
神父「今すぐだとぉ!?」
メイキ「当たり前じゃないかさ!」
神父「無理に決まってるだろ!もう勘弁してくれー!」アセアセ
母「(肝っ玉の強い方ねぇ。そういえば誰かに似てるような…?)」
メイキ「んじゃ1秒でも早く本部に行きなさいよ!」
神父「だ、だからその前にだな!」
母「(…そうよ!どことなく彼に似てるわ!もしかして…)」
メイキ「その前になんだい!?
そりゃうちの子より大事な事なの!?」
神父「い、いや…。大事な事かと聞かれると別に…」アセアセ
メイキ「ならほっぽっときなさいよ!」
母「あの…」
メイキ「あら、どうしました?」
母「すみません。失礼ですが…もしかしてルーボイ君のお母さんですか?」
メイキ「まぁ!うちの子と知り合いですか!?」
神父「ふぅ…。助かった…」ボソリ
559:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/4/5(金) 17:01:36 ID:3eh8rSa52E
母「はい。以前、立ち寄らせていただいた時に息子が仲良くなりまして」
メイキ「あぁ、そうだったんですか!」
母「先ほど坊やがそちらにお邪魔したと思うのですが?」
メイキ「うちにですか?いいえ、知りませんよ?」
母「あら?ならどこへ行ったのかしら…?」
メイキ「男の子は知りませんが女の子なら、さっきうちに訪ねてきましたよ?」
母「…その女の子、頭巾を被ってました?」
メイキ「え…!か、被ってましたけど…!」ビックリ
母「その子です!うちの坊や、背格好からよく女の子に見られますの?」
メイキ「そうでしたの?
勘違いしてずっとお嬢ちゃんって呼んでたけど、悪いことしちまったねぇ?」
母「いえいえ、本人も慣れてますから気にしてませんよ?」
560:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/4/5(金) 17:03:25 ID:pA07Cck1l6
メイキ「それにしても14の男の子にしちゃ、背も低いし肌もベルメロのミルクみたいにまっしろで…。
いやぁ、とても見えなかったよ!」
母「ベルメロ…ですか?」
メイキ「あ、ごめんなさいね!牛なんかで例えちゃって!
旦那が農家に雇われてたから、ついクセが出ちまって?」
母「いえ、お気になさらず?」ニコニコ
メイキ「(おかしいわねぇ。何日か前に外の女の子と仲良くなったって聞いてたからてっきり…?)」
母「どうしました?」
メイキ「へ?あ、いえ…なんでもないですよ?」ニコッ
神父「お、おい?」
母「」コクリ
メイキ「……?」
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