むかしむかしのことです。
世界は深い緑が生い茂り、深い青が寄り添うように流れる清らかな一つの円でした。
穢れを知らず、怒りも悲しみもなく、渇くことのない喜びが波立てる大地は
争いを寡黙に、繋がりをおおらかにしました。
520:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/20(水) 21:25:54 ID:VTUPJwu2H6
カロル「でもなんで旅人はボクとお母さまじゃなくてパッチくんを探してたんだろう…?」
ルーボイ「知らねーよ。俺だって訳分かんなかったもん」
カロル「そっか…。でも関係ないルーボイくんまで傷付けるなんて…」
ルーボイ「……そういえばカロルは何も知らないんだよな」
カロル「へ…?う、うん?」
ルーボイ「父ちゃんが殺されたんだよ。旅人に…」
カロル「……!」
ルーボイ「パッチの父ちゃんと母ちゃんも殺したって言ってた…」
カロル「……ひどすぎるよ…」
ルーボイ「村のみんなもめちゃくちゃになって…もう…」
カロル「……」
〜〜〜〜〜〜
『ともだちを裏切るなんて、最低な奴だよ。君は』
『どうしようもなく卑怯で、傲慢で、欲深なクズだ』
『楽しい人生にするといい。ともだちを犠牲にしてね』
〜〜〜〜〜〜
ルーボイ「(パッチも…)」グッ
521:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/20(水) 21:30:00 ID:VTUPJwu2H6
ルーボイ「俺だけじゃない。みんな……。もうやだよ…。怖いんだ」
カロル「…ルーボイくん」
ルーボイ「またあの旅人が来たら…母ちゃんまで殺されたら…」
カロル「それは…大丈夫。もうあの旅人はいないから」
ルーボイ「……え…!?」バッ
カロル「教会で…死んでたんだ。誰がやったか分からないけど…」
ルーボイ「し、死ん…」
カロル「ここに来る途中、教会に行ったから…ホントだよ?」
ルーボイ「だ、だって教会にはお前らと宣教師様がいたじゃんか?」アセアセ
カロル「ううん。実はね。ボクらはあの後、教会に帰らなかったんだ」
ルーボイ「え…じゃあ宣教師様はどうしたんだよ?」
カロル「宣教師さまは…今はいないけど」
ルーボイ「ちょっと待てよ!宣教師様がいないってどういう事…!」ズキッ
ルーボイ「〜〜〜!」ズキズキ
カロル「ルーボイくん…。もしかして腕も…」
ルーボイ「…そんなの、どうだっていいだろ?
宣教師様がいないってなんなんだよ…!?」ズキズキ
522:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/20(水) 21:32:53 ID:VTUPJwu2H6
カロル「う、うん…。宣教師さまは教団っていう人たちに捕まってるんだって」
ルーボイ「知ってる…。教団って宣教師様のいたとこだろ?
なんで仲間の宣教師様が捕まるんだよ?」
カロル「それは…宣教師さまがボクたちホビットの事で司祭さまっていう人に逆らったから…」
ルーボイ「…司祭様が?嘘だ!司祭様はすごく優しい人だぞ!」
カロル「教団の神父さまが言ってたんだ…。
多分、ホントなんだと思う」
ルーボイ「…そ、それじゃ宣教師様はどうなるんだよ?」
カロル「ずっと閉じ込められるって言ってた…」
ルーボイ「宣教師さまが…閉じ込められる…。そしたら、もう会えないじゃんか!?」
カロル「……」
ルーボイ「それ…ホントかよ?」
カロル「うん…」
ルーボイ「なら、なんでお前はここにいんだよ!」
カロル「それは…これから教……」
ルーボイ「遊んでる場合かよ!!」
カロル「」ビクッ
523:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/20(水) 21:35:56 ID:VTUPJwu2H6
ルーボイ「だってそうだろ!?
お前らのために宣教師さまは捕まったんだろ!?」
カロル「ちょっと待っ……」
ルーボイ「なんかお前らが来てから変になった…!」
カロル「……!?」
ルーボイ「そういえばそうだよ!お前らが来てからだよ!
だってそれまで何もなかったんだぞ!?」
ルーボイ「この一週間ずっと変だよ!」
ルーボイ「大人たちはソワソワしてたし、宣教師様も来てくれなくなった!」
ルーボイ「お前が宣教師様を独り占めしたから!」
カロル「ち、違うよ。ボクらは…!」
ルーボイ「何が違うんだよ!?
お前が俺たちの村に来たからだろ!?」
カロル「お、落ち着いて!お願いだよ。ボクの話を聞いて!?」
ルーボイ「うっせー!お前のせいで父ちゃんも死んだんだぞ!
お前が村に来たから旅人も来たんだろ!」
カロル「そんなの…知らないっ…!ホントだよ、何も知らないんだ!」
ルーボイ「嘘つくな!旅人が言ってたんだぞ!
ホビットが欲しいから村に来て、俺の父ちゃんを…騙したって!」
カロル「……ち、ちが…ちがうよ…。だってそれは旅人が…」
524:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/20(水) 21:41:22 ID:b3J50V5QKY
ルーボイ「お前らがいたから、あの旅人が来てめちゃくちゃにされた!
パッチだって殺された!全部、お前のせいだ!!」
カロル「……!」
カロル「待って!どういう事?パッチくんは逃げたんじゃ…」
ルーボイ「」ハッ
ルーボイ「えっ…あっ…!」アタフタ
カロル「ルーボイくん、何か知ってるの?」
ルーボイ「う、うるせー!知らねーよ!!」
カロル「教えてよ。パッチくんはどうしたの?」
ルーボイ「お前になんか教えねーよ!」
カロル「どうして!心配じゃない…!?」
ルーボイ「うるさい!知らねーよ!全部お前のせいだ!!」
カロル「そんな…ひどいよ…?
ボクらは友達じゃなかったの…?」
ルーボイ「う…!」
カロル「ねぇ。答えてよ…?
キミが答えてくれないと、ボクには分からないよ…!」
ルーボイ「う…お前なんか……」
コンコン
ルーボイ「」ビクッ
「さっきから何を言い争ってるの?入るわよ?」
ガチャッ
カロル「あ……!」
525:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/25(月) 19:45:08 ID:QWKkgR91fw
キィィ
カロル「(どうしよう!開けられたらホビットって気付かれる…!)」
ルーボイ「母ちゃん!ちょっと待って!」
「へ…?」ピタッ
カロル「え…?」キョトン
ルーボイ「今こいつと大声対決してんだよ!」
「はぁ?あんた、何言ってんの?」
ルーボイ「っ…っわぁ〜!!
い、いいから!邪魔すんなよな!いつつ…!」ズキズキ
「あんた、ケガして口も腫れてんだから…あんまり騒いじゃダメだよ?」
ルーボイ「分かってるよ!とにかくまだ入るなよ!」
カロル「」ポカーン
ルーボイ「なにしてんだよ…!早くそれ被れよな…!」コショコショ
カロル「へっ?あっ…うんっ!」カブリカブリ
ルーボイ「…ったく!」
526:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/25(月) 19:47:57 ID:lymfDbihfs
「…じゃあ、お茶菓子だけ置いてくから開けるよ?」
ルーボイ「早くしろよー」
「早くしろって…あんたが待てって言ったんじゃないかさ?」ブツブツ
ガチャッ
メイキ「ありあわせの物で作ったおやつだから、外から来たお嬢ちゃんのお口に合うか分からないけど」
カロル「これ…なんですか?」マジマジ
メイキ「木苺のジャムだよ。この村から北の方角に出ると森があるだろ?
あの森はたくさんの恵みを授かってるからね。色んな実や魚、獣が取れるのさ」
カロル「知ってます!ボクもよくお母さまと採りに行きました!」
メイキ「おや、そうかい?あ、これはね。ジャムをパンに塗って食べるんだよ?」
カロル「へぇ!おいしそうですね…!」キラキラ
メイキ「嬉しいね。たんとお上がりよ?」
カロル「はい!」
ルーボイ「こいつなんでも食うからなー」
カロル「そ、そんなことないよ!」
メイキ「女の子に滅多なこと言うもんじゃないよ!
これだからあんたは……」ガミガミ
527:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/25(月) 19:50:37 ID:lymfDbihfs
ルーボイ「あーもう!うるさいな!母ちゃんはあっちに行ってろよ!」
メイキ「まっ!生意気な口の聞き方して!」
カロル「お母さんにそんな言い方したらダメだよ…?」アセアセ
メイキ「お嬢ちゃんはいい子ねぇ?」
ルーボイ「ふん!」
カロル「そ、そんなことないです!ルーボイくんの方がすごく優しいですよ!」アセアセ
メイキ「…ふふ。ありがとね。あんた、こんないい子と喧嘩しちゃダメじゃないか?」
ルーボイ「してねーよ!」プンスカ
カロル「……」
528:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/25(月) 19:51:58 ID:lymfDbihfs
メイキ「……ねぇ。お嬢ちゃん。一つ頼んでいいかい?」
カロル「へ?」
メイキ「この子の面倒を見ておいてもらえるかい?
おばさん、ちょっと出掛けなきゃいけないから」
カロル「え…」
ルーボイ「母ちゃん、どこ行くんだよ?」
メイキ「ちょっと教団の本部に行ってお医者様を呼ぼうと思ってね。
幸いお嬢ちゃんが来てからあんたも元気が戻ったみたいだから」
ルーボイ「別に一人で平気だよ!」
メイキ「うふふ。照れないの?
じゃあお嬢ちゃん。悪いけど頼んだわね?」
カロル「は、はい!」
529:🎄 名無しさん@読者の声:2013/3/25(月) 19:54:55 ID:QWKkgR91fw
ルーボイ「………」
カロル「………」
ルーボイ「………」
カロル「……」チラッ
ルーボイ「なんだよ?」ギロッ
カロル「う、ううん。なんでもないよ!ごめんね…」
ルーボイ「…食わねぇのかよ?」
カロル「あ、うん!これおいしそうだね?」パシッ
ルーボイ「……」
カロル「」ヌリヌリ パクッ
カロル「あまーい!パンもふわふわだー!」
ルーボイ「……」
カロル「」チラッ
ルーボイ「……」
カロル「はは…」
ルーボイ「…言いたい事があんなら言えよ?」
カロル「え、あ、うん…」
530:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/25(月) 19:57:33 ID:QWKkgR91fw
カロル「その…さっき、ありがとう…」
ルーボイ「…何がだよ?」
カロル「ボクがホビットって気付かれないようにしてくれたんでしょ…?」
ルーボイ「めんどくせぇからな」ツーン
カロル「……」
ルーボイ「それだけかよ?」
カロル「…ううん。もう一つ」
ルーボイ「……」
カロル「…全部ボクのせいって言ったよね?」
ルーボイ「……悪いかよ?だってそうだろ?」
カロル「悪くないよ?それに、その通りだと思う!
キミの気持ちも考えないで遊びに来て…ごめん!」ペコリ
ルーボイ「……」
カロル「でもね。最後になるかもしれないから、どうしてもキミとパッチくんに会いたかったんだ」
ルーボイ「さっきも言ってたな…。会えなくなるとか」
531:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/25(月) 20:01:27 ID:lymfDbihfs
カロル「ボクもこれから教団の本部に行くんだ。お母さまと一緒に!」
ルーボイ「……?」
カロル「宣教師さまを助けるには…ボクたちが行くしかないと思うから」
ルーボイ「宣教師様を助けられんのか…!?」バッ
カロル「うん!ボクたちが宣教師さまと関わるのをやめて、いなくればいいんだって!」
ルーボイ「はぁ!?なんだよ、それ!?」
カロル「その為には司祭さまっていう人間に説明しなきゃいけないんだ?
ボクと宣教師さまは友達じゃないって」
ルーボイ「どうして…!そんなのウソっぱちじゃんか!
宣教師様だってお前のこと、友達って言ってたぞ!」
カロル「……」
ルーボイ「なぁ…!やめろよ!そんな事しなくたって、他にもなんかあんだろ!」
カロル「……どうして?」
ルーボイ「え…?」
532:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/25(月) 20:03:07 ID:lymfDbihfs
カロル「キミもボクのせいだって言ったじゃない…?
なのに、なんで今さらそんな事言うの…?」
ルーボイ「う…。そ、そりゃ…」アタフタ
カロル「……」
ルーボイ「だって…」
カロル「だって…なに?」
ルーボイ「……」プルプル
カロル「……?」
ルーボイ「い、言ったら…絶対怒るだろ?」プルプル
カロル「え…。なんで?」
ルーボイ「そんな気がするだけだよ…」プルプル
カロル「大丈夫。怒ったりしないよ?」
ルーボイ「ホントか…?」
カロル「うん。ボクを信じて?」ニコッ
ルーボイ「…分かった」
533:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/25(月) 20:06:27 ID:lymfDbihfs
ルーボイ「ほ、ホントはさ…。俺、教えたんだ…」
カロル「教えたって…何を?」
ルーボイ「……」
カロル「…大丈夫だよ。勇気を出して言ってみて?」
ルーボイ「旅人に…パッチの居そうな所、教えた…んだ」
カロル「…そっか」
ルーボイ「……俺、自分のせいだって思いたくなくて…。
それでお前に八つ当たりして…」
カロル「うん…」
ルーボイ「最低だろ…?」
カロル「ううん。そんな事ないよ」
ルーボイ「……」
カロル「無理やり聞かれたんでしょ…?
大人の人間に暴力を振るわれたんだもの。怖かったよね…?」
ルーボイ「わざと優しくすんなよ…。ホントは最低だって思ってるんだろ…?」
カロル「思わないよ。キミは悪くないもの」
534:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/25(月) 20:13:43 ID:QWKkgR91fw
ルーボイ「…悪くないわけねーじゃん!俺は…あいつを……」
カロル「キミは悪くない…。
ルーボイくんが暴力を受けたのも、パッチくんが狙われたのも…村に迷惑をかけたのも…ボクのせいだから」
ルーボイ「……違う…!」
カロル「ごめんね。ルーボイくん…ごめんね。
ボク…最後まで自分の事しか考えてなかった。
こんなに迷惑かけておいて遊びたいなんて自分勝手だったよね…」
ルーボイ「やめろよ。謝るなよ…!」
カロル「ルーボイくんに言われるまで受け入れられなかったんだ。
きっと違うって。ボクのせいなんかじゃないって」
カロル「ありがとう。ボクも目が覚めた気がする?」ニコッ
ルーボイ「違う…。違うんだよ…」
カロル「何も違わないよ。キミは正しいじゃない」
ルーボイ「違うんだって!お前のせいなんかじゃ…!」スクッ
ルーボイ「うっ…!」ズキズキ
カロル「…ルーボイくん?」
ルーボイ「ぐぅ…あぅ…」ズキズキ
カロル「ルーボイくん!?」
535:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/4/1(月) 01:31:20 ID:xrFLp2O0Vk
ルーボイ「うぅ…!」
カロル「大丈夫!?」ヒシッ
ルーボイ「ぃ…いてぇ…!」
カロル「ひどいケガだもの。辛いよね…。
ボクがいなかったら…こんな事にならなかったのに」ナデナデ
ルーボイ「…だから…違うって…!」ズキズキ
カロル「……」ナデナデ
ルーボイ「うぅ…!」
カロル「ボク、お医者さまを探してくるよ」ナデナデ
ルーボイ「無理だよ…!この村に医者はいねーもん…!」
カロル「へ?お医者さまがいないって、どういうこと?」ナデナデ
ルーボイ「…今までケガしたら宣教師様が看てくれたんだよ…。
村の中じゃ医者の勉強もできないから…」
カロル「そうなんだ…。それならおばさまが帰ってくるまで何もできないね」ナデナデ
ルーボイ「そうだな…」
カロル「早く帰ってくるといいね」ナデナデ
ルーボイ「……」
ルーボイ「…さっきから頭、撫でてんじゃねーよ!?」
カロル「わっ」ビクッ
536:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/4/1(月) 01:33:38 ID:A5ygsn4Elg
カロル「…あれ?平気なの?」
ルーボイ「ん?そういえば急に痛くなくなったぞ?」
カロル「そう。よかった…!」ホッ
ルーボイ「いいから、もう離せよ」
カロル「あ、うん。ごめんね?」パッ
ルーボイ「……子供扱いすんなよな。歳も変わんねークセに」
カロル「そういえばルーボイくんっていくつなの?」
ルーボイ「俺?10歳だけど」
カロル「えぇっ!そうだったんだ?」
ルーボイ「なんでびっくりすんだよ?」
カロル「あはは…。ボクと同い年だと思ってたから」
ルーボイ「は?お前、俺より小さいの?」
カロル「ううん?ちょっぴり大きいよ」
ルーボイ「……え?」
カロル「ボク、14歳なんだ?」
ルーボイ「えぇぇ!?」
537:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/4/1(月) 01:37:49 ID:xrFLp2O0Vk
ルーボイ「こんなにちっちぇーのに!?」マジマジ
カロル「小さいって言ってもルーボイくんと、そんなに変わらないでしょ?」
ルーボイ「四つも違うのに変わらないっておかしいだろ!」
カロル「しょうがないよ。ボクはホビットだから、あんまり背が伸びないんだ」
ルーボイ「ふーん…。やっぱ俺たちと違うんだな…」ジロジロ
カロル「ふふ…。大人になる頃には見下ろされてるかも?」
ルーボイ「俺は大きくなるからなー?」ニヤリ
カロル「……大きくなったルーボイくんが見たかったなぁ」
ルーボイ「うっ…!そんなこと言うなよ!」
カロル「ごめん…」シュン
ルーボイ「んな心配しなくても…司祭様は優しいし、分かってくれるかもしんねーじゃん」
カロル「うん…。そうだといいな」
538:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/4/1(月) 01:40:59 ID:A5ygsn4Elg
ルーボイ「なぁ…。カロル?」
カロル「なに?」
ルーボイ「さっきごめんな。ひどい事言って…」
カロル「気にしてないよ?」
ルーボイ「…俺さ。前にもひどい事言ったよな。ホビットのクセにとか…」
カロル「気にしてないってば」
ルーボイ「お前が気にしなくても、俺は気にするよ。
なんか今までひどい事したり、言ったり、いっぱいあったもんな」
カロル「そんな事ないよ!」
ルーボイ「パッチにも昔からたくさんいじわるしてたなぁ…」
カロル「……」
ルーボイ「ホントは俺の事なんか嫌いだったのかなぁ…?」
カロル「パッチくんはキミを嫌ったりしないよ。あんなに仲良しだったんだから」
ルーボイ「そうかな…。もう会えないって思ったら、嫌なことばっかり考えちゃうんだよ…」
カロル「元気を出さなくちゃ…。キミらしくないよ?」
ルーボイ「……」
539:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/4/1(月) 01:46:28 ID:xrFLp2O0Vk
カロル「それに会えないって決まったわけじゃないでしょ?」
ルーボイ「…だってあいつ、村の外は教会しか知らないんだぞ…?
他に逃げたり、隠れたりする場所なんかないだろ?」
カロル「けど教会にはパッチくんはいなかったよ?」
ルーボイ「そうなのか!?」
カロル「うん。中までは見てないから分からないけど」
ルーボイ「っ…!それじゃ分かんないだろ!
もしかしたら中で…し、し…死ん…」
カロル「それはないよ。旅人は入り口で倒れてたから、中まで入ってないはずだもの」
ルーボイ「はぁ?どういうことだよ?」
カロル「教会の中に入ったなら入り口を開けた形で倒れてるのはおかしいからね。
多分、扉を開けてすぐに襲われたんだと思う」
ルーボイ「そ、そっか!よくわかんねーけど、そうなんだな?」チンプンカンプン
カロル「うん。だからボク、キミから話を聞いた時も少し安心してたんだ?」
ルーボイ「なんでだよ?」
カロル「今までの事が繋がったし、パッチくんは生きてるって分かったから。
もし殺されたりしたなら旅人は教会にはいなかったはずだよ」
ルーボイ「……?」
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