むかしむかしのことです。
世界は深い緑が生い茂り、深い青が寄り添うように流れる清らかな一つの円でした。
穢れを知らず、怒りも悲しみもなく、渇くことのない喜びが波立てる大地は
争いを寡黙に、繋がりをおおらかにしました。
498:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/17(日) 02:56:43 ID:ddmBHiklZY
カロル「ねぇ。あれはなんだろう?」
肉塊「」
神父「む?なんだ、あれは…肉か?」
母「なんでしょうね…。お嬢さんはご存知ないんですか?」
村娘1「え?さぁ…?なにかしら…?
私は葉巻を吸わされてすぐに意識を無くしたから…」
カロル「……」
神父「安静にしていなさい。あとは私に任せてくれればよい」
村娘1「はい…。ありがとうございます」ペコリ
母「……神父さんに任せても、あんまりいい予感はしないわね」
神父「黙れっ!」プンスカ
カロル「(なんだろう…。あのお肉みたいなの。旅人の死体を見た時と似た感覚がする…)」
肉塊「」
499:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/17(日) 17:25:50 ID:DqwtwHeU8E
――村(村長の家)――
カロル「わぁ…!」
神父「なかなか大きな家だな。他の民家とは大違いだ」
母「……立派ねぇ」
神父「とは言え、以前私が布教を行った町では、このくらいの規模が当たり前だったがな」
母「贅沢ですわね。あたし達は住む所にも困っているのに…」
神父「む…。まあ当然の罰だな」
母「怒りますよ?」
神父「ふ!」ニヤリ
母「」イラッ
カロル「……ケンカしちゃダメだよ?
二人とも仲良くしなくちゃ?」
神父「ホビットなどと仲良く出来るか!?」
母「こっちからも願い下げよ!」
カロル「もう…。じゃあボクがノックするよ?」
神父「? 勝手にしろ。ノックなど一々確認するやつがあるか」
カロル「えへへ…。実は初めてだから、やってみたかったんです!」テレテレ
母「誰かの家を訪ねる機会なんて無かったものねぇ…」
神父「とことん変わった種族だな。たかだかノックごときで…」
500:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/17(日) 17:28:23 ID:qvo.LPcHN.
カロル「」ドキドキ
母「坊や!頑張って!」
カロル「」モジモジ
神父「さっさとせんか!」
カロル「う、うん…!」ソーッ
ガチャッ
カロル「」ビクッ ズザザ
村長の妻「何事ですか?騒がしいですけど、お客人?」
カロル「」ガーン
村長の妻「ん?」
カロル「」ションボリ
母「あ、えぇ。旅の者でして…。おほほ…」
神父「私は教団に仕える神父だ。明日からこの村の布教を担当するのでよろしく頼みますぞ」
村長の妻「」ビクッ
母「?」
村長の妻「き、教団の方ですか…。なるほど…どうぞ上がってください」
神父「うむ」スタスタ
母「(一瞬怯えていたけど、なんなのかしら…)」
カロル「ノック…したかった……」ショボショボ
母「ま、また今度出来るわよ!ね?」
カロル「……」ショボショボ
神父「どうした?入らんのか?」
母「さ、あたし達も上がりましょ?」
カロル「はい…」スタスタ
501:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/17(日) 17:30:58 ID:qvo.LPcHN.
村長の妻「出来合いの物しかありませんが…」コトン
神父「いえいえ、突然お邪魔してご相伴に預かってしまい、すみませんな」
村長の妻「おほほ。とんでもございませんわ?」
カロル「お母さま。これなぁに?」
母「これはクラクネスよ。坊やがよく遊んでた川にもいたでしょ?」
神父「む?」
カロル「えぇ!ウソだ?だってこれお魚の形してないよ?
頭と体が離れてるし、ぷにぷにしたお肉が短冊みたいになってる!」
母「坊やがいつも食べてたのは焼いた魚なの。
これはお刺身と言って生のお魚を捌いた物なのよ」
神父「お、おい…」
カロル「へー!だから黒くないんだね?
お母さまが作るのは炭みたいなのに。これはテカテカしてる!」
母「そうよ?焼いた魚はすべからず黒くなってしまうけど、お刺身は…」
神父「おい!作ってくださった方の前でべちゃくちゃ出された物の話をするな!行儀がなっとらんぞ!?」
カロル「え…ぁ…ごめ…なさい」シュン
母「すみません…」シュン
村長の妻「クスクス…。構いませんのよ?
クラクネスのお刺身でこんなに喜んでくれるお客さんは初めてですもの?」
カロル「あ、あはは…。は、恥ずかしいや…」
502:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/17(日) 17:33:49 ID:DqwtwHeU8E
村長の妻「私には子供がいませんから、坊やのようなかわいらしいお客さんは微笑ましいですわ?」
カロル「えへへ…」テレテレ
母「ありがとうございます。そう言っていただけると母親としても嬉しいです」ニコリ
村長の妻「うふふ…。ところで屋内ですから頭巾と色メガネは外していいんですよ?
置き場を気になさってるのなら預かっておきますが?」
カロル「」ビクッ
母「あ、その…こ、これは…」シドロモドロ
神父「あ、あぁ…!い、いいのだよ、奥さん。
これは彼女らの故郷の風習なのだ!」
村長の妻「そうなんですか?ならいいですけど…」
カロル&母「」ホッ
503:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/17(日) 17:35:32 ID:qvo.LPcHN.
カロル「」パクパク
神父「と、ところで村長はどうしたのですかな?
出来ればご挨拶しておきたいのだが…」
村長の妻「……。主人は今、外出してまして家におりませんの」
神父「外出と言うと、どこかへ行かれたのかな?」
村長の妻「さ、さぁ…。私は何も聞いてませんので…」ツツー
母「」ピクッ
カロル「」モグモグ
神父「そうか…。それは弱りましたな…」
村長の妻「申し訳ありません…」
神父「いやいや、奥さんが謝ることはない。突然押し掛けた我々が悪いのだ」
村長の妻「……」ツツー
母「奥様…失礼ですが、なにか隠してませんか?」
村長の妻「えっ」
504:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/17(日) 17:37:10 ID:qvo.LPcHN.
神父「なっ!お前なにを…!?」
母「さっきから目が泳いでますもの」
村長の妻「そ、んなこと…」
母「それに神父さんが教団の人間と名乗った時に怯えたご様子でしたわ…?
もしかすると何か後ろ暗い事でも…?」
村長の妻「っ…!」
神父「おい、失礼だぞ!」
母「えぇ。ですからちゃんと失礼ですがと断りを入れましたよ?」
神父「屁理屈を言うな!」
カロル「」ウマウマ
カロル「(こんなにおいしいお魚、初めて食べた…)」
505:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/17(日) 17:38:56 ID:qvo.LPcHN.
母「どうなんです?」
村長の妻「そ、それは…」
カロル「お母さま。お母さま。食べないの?すごくおいしいよ?」グイッ
母「あら。気に入ったの?ならお母さんの分も食べていいわよ?」
カロル「やったー!」パァァ
神父「おい、小僧。空気を読め」
カロル「へ…?」キョトン
神父「はぁ…。もういい。私の分もやるから静かにしていろ」
カロル「いいんですか?やったー!」ニコニコ
村長の妻「なんならおかわりも作りましょうか?」
カロル「え…でも…」チラッ
村長の妻「いいのよ。子供が遠慮なんてしてはいけないわ?」
カロル「じ、じゃあ…お願いします!」
村長の妻「うふふ。それじゃ私は洗い場に…」
母「おかわりを作ってくださるのはありがたいですけど、話を流そうとしてもそうはいきませんわよ?」
村長の妻「」ギクッ
506:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/17(日) 17:41:36 ID:qvo.LPcHN.
カロル「」モグモグウマウマ
村長の妻「ほ、本当に私は何も隠してませんよ…」アセアセ
母「…この際だから言ってしまいますけど、実は村の方からもう話は聞いてますよ?
なんでも旅の人に勧められてタイマを吸ってしまったとか…」
村長の妻「……すでにご存知でしたか…!」
神父「すまんな…。
我々はその件も含めて村長に話を聞きに来たのだ。
なにやら死人も出ているのだろう?
これはさすがに捨て置く訳にはいかん」
村長の妻「そこまで知られているのなら、もう観念するしか無さそうですわね…。
分かりました。すべてお話します。
お子様に聞かせられる内容では無いので奥の部屋へ案内しますわ…」
母「そうですね。坊やはそこにいなさい?
お母さん達は大事な話をするから」
カロル「モグモグ…。え?それならボク、ルーボイくんに会いに行っていい?」
母「いいけど…家が分からないんじゃない?」
507:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/17(日) 17:44:05 ID:qvo.LPcHN.
村長の妻「あら。君はメイキさんのお子さんと知り合いなの?」
カロル「おばさまはルーボイくんを知ってるの?」
村長の妻「えぇ。知ってるわよ?
わんぱくで手を焼かせるけど、自然と人を元気にしてくれる子。
この村であの子を知らない人間はいないわ?」
カロル「あはっ!ルーボイくんらしいなぁ!」
母「よかったじゃない。それなら家を教えてもらうといいわ。
あたし達が話してる間に遊んできなさい」
村長の妻「そうですね。
メイキさんもルーボイ君も色々あって気が滅入ってるでしょうし、いい気分転換になるかもしれないですわ?
今地図を書いてあげるから、少し待っててちょうだいね?」
カロル「ありがとうございます!」ペコリ
神父「おい。貴様ら、私が先ほど言った事を忘れたのか…?
これ以上、村の人間をたぶらかすなど許さんぞ…!」コショコショ
母「……」ツーン
神父「無視か!おい、無視なのか!?」
508:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/17(日) 17:46:20 ID:qvo.LPcHN.
村長の妻「…どうしたんです?」
神父「え…いや…そのですな…」
母「なんでもありませんよ?
この神父さん、少し落ち着きが無くて…」
神父「な、なんだと!」
村長の妻「まぁ…。目をケガなさってるようですし、安静にした方が…」
神父「あ、いや…ご心配なく。
だいぶ良くなりましたのでな。ははは…」
村長の妻「…そうですか。さあ坊や、書けましたよ?」
カロル「うん。ありがとう!」
509:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/17(日) 17:50:18 ID:DqwtwHeU8E
カロル「それじゃ行ってくるね!」
母「気をつけて行くのよ?」
村長の妻「村の人には声をかけないようになさいね。
効き目が切れずにおかしくなってしまった人もいるから?」
カロル「はーい!」
神父「」ムスッ
バタンッ タタタッ
母「…お話を聞かせてもらえますか?」
村長の妻「分かってます…」
神父「…何故村はこのような事になったのですかな?」
村長の妻「……順を追ってお話します…」
510:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/17(日) 19:34:42 ID:702jk76dIA
……(>>344-356)……
村長の妻「…という事がありましたの」
神父「ホビットと交わった者がいた訳か。
なるほど、それは確かにまずいが…何も司祭様とて鬼ではない。
包み隠さず正直に話せば赦しを得られたかもしれぬものを…」
母「……あの時の人間達ね…」ボソリ
村長の妻「村の子供がホビットにたぶらかされたのもありますし、宣教師様はホビットの味方をして…。
あの方は司祭様のお気に入りと聞いてましたから、主人はもしかしたら村の責任を問われるのではないかと危惧していたようです…」
神父「なるほど。いや、無理もない!心配されるだろうとも!」
村長の妻「それもこれも…ダンの一家がホビットなんかに関わるから…!」
神父「ふん。奴らは災いを招く忌まわしき種族ですからな。
今回のような例は何も初めてではない。"悲劇の町"の一件がいい例だ!」
母「(なによ、それ…。勝手にあたし達の住み処を奪って、坊やの前でいいように体を汚されて…。
それもこれも全てあたし達のせいだって言うの?)」
村長の妻「先ほど話に出たルーボイ君のお父さんも加担していたようで…。
…殺された二人の内の一人なのですが…」
神父「色々あったと言うのはその事か…」
村長の妻「はい…」
母「それでダンさんの一家はどうしたんですか?」
村長の妻「あ、そうですね。肝心なのはその後で…」
511:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/20(水) 20:26:18 ID:7tOMx1TQp2
――村(市場)――
カロル「」キョロキョロ
カロル「(前に来た時はにぎやかで人間もたくさんいたのに…なんだか寂しいな)」
村の大人4「はぁっ…はぁっ…」
カロル「(苦しそう…。顔色の悪い人間ばっかりだ…)」
カロル「(どうして旅人は村をこんなにしたんだろ…?)」
カロル「(ボクとお母さまが目的だったんじゃないの…?)」
村の大人4「げほっ!」
カロル「(…大丈夫かな?)」チラッ
村の大人4「はぁっ…」
カロル「(声をかけちゃいけないって言われたっけ…)」
カロル「」スタスタ
村の大人4「げほっ!ぅぇほっ!!」
カロル「」ズキッ
村の大人4「うぅ…」
カロル「……」ワナワナ
クルリ タタタッ
512:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/20(水) 20:29:36 ID:9Wlxga5cBI
カロル「あ、あの…」オズオズ
村の大人4「げほっ…!な、なんだい…?」
カロル「具合が悪そうだから…」オドオド
村の大人4「は、はは…。そうか。子供に心配されるとはね…」
カロル「ご、ごめ…なさ…」
村の大人4「いや、そういう意味じゃないんだ…。
言い方が悪かったね。でも…おじさんは大丈夫だから」
カロル「ほ、ホント…ですか?」
村の大人4「うん。今のところは…まだね」
カロル「そうですか…!よかったです!」ホッ
村の大人4「…ん?君はよく見たら村の人間じゃないね?」
カロル「」ハッ
村の大人4「も、もしかして…!」
カロル「」ビクッ
カロル「(き、気付かれたかな…!?)」
村の大人4「君は……」
カロル「」ダッ
村の大人4「あ、待って!待ってくれ!」
カロル「ごめんなさーい!!」タタタッ
村の大人4「あぁ…」
村の大人4「(旅人の知り合いだったら、あの葉巻が貰えたかもしれないのに…)」ガックリ
513:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/20(水) 20:33:55 ID:7tOMx1TQp2
――村(民家周辺)――
カロル「はっ…はっ…!」
カロル「あ、危なかったぁ…!」ゼーゼー
カロル「」チラッ
カロル「…よかった。追ってこないみたい」
カロル「このままルーボイくんの家に行こう」
カロル「えーと…」カサカサ
カロル「おばさまの書いてくれた地図には…あれ?」
カロル「ここかな?いつの間にか着いてたんだ!?」
扉「」
カロル「」ハッ
カロル「(と、扉だ…。ノックできる…!)」
カロル「……」ドキドキ
カロル「と、友達の家に遊びに行くのって…こんな感じなんだ…」ドキドキ
カロル「えへへ…!なんだかむず痒いや。
人間はいつも、こんな気持ちで友達と遊ぶのかな…?」
カロル「…羨ましいなぁ」
カロル「(でも大聖堂に行く前に…この気持ちを知れてよかった)」
扉「」
カロル「よ、よーし…!」ワナワナ
カロル「」コンコン
カロル「……!」ドキドキ
シーン
カロル「……あれ?」
514:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/20(水) 20:36:20 ID:9Wlxga5cBI
カロル「あ、そっか…。何も言わなかったから…」コンコン
カロル「すみません。ルーボイくん……」コンコン
「いい加減にしてって言ってるでしょ!?」
カロル「」ビクッ
「なんなのよ、さっきから!帰ってちょうだい!!」
カロル「あ、あの…違うんです!ボクはルーボイくんの友達で…!」
「……お友達?」
カロル「は、はい…」
ガチャッ
メイキ「パッチかい…?」
カロル「は、はじめまして」ペコリ
515:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/20(水) 20:37:34 ID:7tOMx1TQp2
メイキ「…あなた、誰?」
カロル「えと、その…ルーボイくんの…友達で…」シドロモドロ
メイキ「? どこの子だい?
悪いけどあなたのような子に見覚えはないよ?」
カロル「ぼ、ボク…村の人間じゃないんです」
メイキ「……あっ!分かったよ!とりあえずお入りなさいな!」
カロル「え…?いいんですか!」パァァ
メイキ「もちろん!今、あの子はケガをしてて元気がないんだけど…。
お嬢ちゃんの顔を見たらきっと少しは元気が戻るよ?」
カロル「お嬢ちゃん…?ボクは……」
メイキ「いいから、いいから!このあいだ村に遊びに来た子だろ?
ちょっと待ってておくれ?そこでくつろいでてくれていいからね!」
カロル「は、はい…?」
メイキ「あの子に聞いてくるわね」タタタッ
カロル「あ、すみません…。お邪魔します」
カロル「ひょっとしたらあの時(>>87-97)のことかな…?」
516:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/20(水) 20:40:08 ID:7tOMx1TQp2
ルーボイ「うぅ…い、いへぇよぉ…」
コンコン
「ルーボイ…?」
ルーボイ「う…?な、なんらよ…?」
「お友達が遊びに来たよ…?」
ルーボイ「とも…だち…?」
ルーボイ「(ぱ、パッチ…!?)」ムクリ
ルーボイ「今行く!!」
「え?ちょ、ちょっと…あんた動いちゃダメだよ?
ひどいケガを負ってるんだから!」
ルーボイ「大丈夫だよ!全然痛く…!」ズキッ
ルーボイ「うぐぅ…!」
「だから言ったじゃないか…。今、呼んでくるからおとなしくしてな?」
ルーボイ「うう…。分かったよ…」
「待たせてごめんね。お嬢ちゃん。入っていいわよ?」
「ありがとうございます!」
ルーボイ「……ん?お嬢ちゃんって…女?」ピクッ
517:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/20(水) 20:41:52 ID:7tOMx1TQp2
ガチャッ キィィ
メイキ「あたしはお茶菓子を用意しておくわね?」
カロル「すみません。ありがとうございます!」ペコリ
メイキ「いえいえ、ゆっくりしていってね」バタンッ
カロル「ルーボイくん!」
ルーボイ「え…」
カロル「あ、頭巾を取らないと分からないよね?」バッ ファサッ
ルーボイ「か、カロル!?」ギョギョッ
カロル「久しぶり!」ニコッ
ルーボイ「お、お前…なんで…?」
カロル「え?なんでって、約束したじゃない?」
ルーボイ「でも…どうやって入って来たんだよ?
宣教師様もお前の母ちゃんもいねーのか?」
カロル「……。ちょっと色々あって…?」ニコッ
ルーボイ「おい!」
カロル「え…な、なに…?」ビクッ
ルーボイ「またそうやってごまかすのかよ?」
カロル「そ、そうじゃないよ…。ホントに遊びに来ただけだから」
ルーボイ「嘘つけ!わざわざ危ないのに一人で来る奴がいるかよ!?」
カロル「……」
ルーボイ「いてて…!」ズキズキ
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