むかしむかしのことです。
世界は深い緑が生い茂り、深い青が寄り添うように流れる清らかな一つの円でした。
穢れを知らず、怒りも悲しみもなく、渇くことのない喜びが波立てる大地は
争いを寡黙に、繋がりをおおらかにしました。
482:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/10(日) 18:10:24 ID:v12GvXB3vM
ダガ「ふ…。楽しみにしてるんだな?」ニヤリ
宣教師「…あぁ。そういえば司祭様が以前、こんな事をおっしゃってました」
ダガ「?」
宣教師「私を本当の娘のように思ってくださっていると?」ニコッ
ダガ「……!」イラッ
宣教師「司祭様に愛していただけて私は幸せ者です」ニコニコ
ダガ「ふ…ふふ…。そうか。それなら後悔させてやるよ…。
司祭様に愛されたが為にお前は絶望を味わうんだ…」
宣教師「お手柔らかにお願いしますね。"おじさま"?」ニッコリ
ダガ「」ブチッ
ジョー「だ、ダガ様…?」
ダガ「……」ドンッ
ジョー「……!」ドテッ
宣教師「……」
483:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/10(日) 18:13:23 ID:3s89PAnmDA
カツンカツン
ジョー「ふぅ…。行ったか…!」
宣教師「……」
ジョー「なぁ。あんたなに考えてんだよ?」
宣教師「……」
ジョー「さっきのはまずいぜ…?」
宣教師「……」
ジョー「……」
宣教師「……」
ジョー「なんとか言えよ!?」
宣教師「」ビクッ
宣教師「お、大きな声を出さないでください!?
もう少しで鼓動が落ち着きそうなのですから!」
ジョー「はぁ?さっきまで普通だったじゃないか?」
宣教師「…あんな風に言われたら、誰だってムッとするじゃありませんか?」
ジョー「そりゃそうだけどさ…。あんたらしくなかったぜ?」
宣教師「あの方とは昔から犬猿の仲なんです。
今回のようにあからさまに衝突した事はなかったですけど…」
ジョー「へー…」
484:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/10(日) 18:14:34 ID:3s89PAnmDA
ジョー「にしてもなんであの人があんたに嫉妬するんだ?
そもそも役目が違うんだから、競う事もないだろう?」
宣教師「あの方も元は宣教師だったそうです。
まぁあまり布教に向いた人柄で無いとされて、任を降ろされたようですが…」
ジョー「司祭様に見限られた訳か。納得だな。
あんなガチムチに教えなんか受けたって入ってこねぇよ」
宣教師「まぁそれはそれとしてジョーさん。相談があるのですが…」
ジョー「不可能だ」
宣教師「まだなにも…!?」
ジョー「どうせまた出せって言うんだろ!
こっちはさっき脅されたばっかだぞ!?」
宣教師「そこをなんとか!」ウルウル
ジョー「ダメなもんはダメだ!おとなしくしてろ!」
宣教師「グスンッ…。そんなひどい…」メソメソ
ジョー「はぁ…。どうなるか知れねぇってのに気楽なもんだよ…」
485:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/17(日) 02:17:12 ID:ddmBHiklZY
――村――
母「目は色メガネで隠したし、問題無さそうね。坊やは大丈夫?」
カロル「うん。頭巾を被ったから平気だよ」
神父「ぐ…うぅ…」
母「神父さんもちゃんと付いて来てくださいね」
神父「あ、あぁ…」
カロル「早くお医者さまに行かなきゃ!」
母「その為にもまずは村の人に話を聞かなきゃね。
お医者さんがどこにいるか分からない内は動きようがないわ?」
神父「わ、私も…まだこの村には司祭様のお供で数回来た程度で…よく知らん…。
と、とにかく…この痛みだけでも抑えなければ…!」ズキズキ
母「……」
母「(さっきまで本当にどうなっていたのかしら…。こんな深い傷…そうそう治りはしないはずなのに…)」
カロル「あ、村の人だよ!」
村の大人5「くく…うひひ…」
母「…様子がおかしいわね?」
神父「な、なんでもいい…!今は医者の場所を聞くのが先決だ!」
母「…そうですね。あたしが話を聞いてきます。
二人はここで待っていてください」
神父「う、うむ…」
カロル「おじさま。もう少しの辛抱だから、がんばってくださいね?」
神父「あぁ…」
486:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/17(日) 02:20:16 ID:ddmBHiklZY
村の大人5「へへへ…」ニヤニヤ
母「あの…旅の者なんですが、お話よろしいですか?」
村の大人5「あは…?」ニヤニヤ
母「…この村にお医者様はいますでしょうか?
道中で会った教団の方がケガをなさってまして…」
村の大人5「教団?」ピクッ
母「あ、はい」
村の大人5「ひ…!お、おらぁなんも知らねぇよ!」
母「この村の方ですよね。知らないんですか?」
村の大人5「ひっ!ひえー!」ダッ
母「あっ…」
母「なに…?なにかまずい事言ったかしら?」
神父「ど、どうしたのだ?」
カロル「逃げてたね…。お母さまは人間のカッコをしてるのに…」
神父「くっ…!見破られたんじゃないのか?
こっちは激痛を堪えとるというに…」
カロル「……」
母「なんだったのかしら?突然逃げてしまわれたけど」スタスタ
神父「お、おい!お前あの村人になんと言ったんだ?」
母「普通に接しましたよ?
教団の方がケガをなさってるからお医者様の所へ案内してほしいと」
神父「それであんな怯え惑う訳があるまい!?
バレたんじゃないのか!?」
母「そう言われても…。特別気付かれた様子でもありませんでしたよ?」
神父「くっ!と、とにかくここにいても何にもならん。他の人間に聞きに行くぞ!」
母「はぁ…」
487:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/17(日) 02:23:58 ID:1xCSy.MLpI
ヒエー! ウワー!
神父「な、なんだなんだ?さっきから私たちを見た村人が逃げていくぞ?」
母「おかしいですわね…。前に来た時と様子も違いますし…」
カロル「それに変な匂いがするね?」
神父「なんだと言うのだ…。まったく」ベチャッ
神父「ん?べちゃ?」チラッ
母「」ギョギョッ
カロル「あ……」
神父「わわわっ!な、な、なんじゃこりゃぁ!?
なぜ道端に吐瀉物がぶちまけられとるのだぁ!?」アタフタ
母「ひっ!こ、こっちに来ないでください!」
神父「くそ…。驚きのあまり痛みが和らいだが、今度は精神的な激痛が…!」
カロル「見て。あちこちに同じのがあるよ?」
神父「な、なにぃ?この村にはゲロをぶちまける催しでもあるのか?」
母「そんな催しはどこに行ったってないですよ…」
カロル「…逃げた人たちも具合が悪そうだった。
病が風に乗ってきたのかもしれないね」
神父「流行り病に悩まされとると言うのか?
それならばなおの事、我々に頼る筈だ。
教団の人間は医学に精通しとる者も多いからな」
488:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/17(日) 02:27:19 ID:ddmBHiklZY
母「あら。それなら自分で傷を看られないのですか?」
神父「同じ教団の人間でも私は文学専門だ」
カロル「ねぇ。おじさま。それならなんで大聖堂に行かないで村に寄ったんですか?
大聖堂に行けば手当ても受けられるし、村よりいいお医者さまもいるんでしょ?」
神父「え…あ…。ま、まぁあれだ。
死体の件についてはどのみち報告せねばならんし、先に調べておいて損はないだろう」
カロル「…おじさまってやっぱりいい人間だね?」ニコッ
神父「はぁ?」
カロル「自分のケガより誰かを優先してるもの?
ボク、ちょっとだけ尊敬しちゃうな」
神父「う…ほ、ホビットの分際で知ったような口を聞くな!」カァァ
母「どうかしらね。もしかしたら村の人に協力してもらって拘束しようとでも考えてるかもしれないわよ?
あたし達を自由な状態で連れていくのはまずいでしょうから」
神父「」ドキッ
カロル「そんなことないよ。ボクたちは何もしないもん」
母「そうね。何もしてないのに…いつも…」
神父「ま、まままぁあれだな!とりあえず痛みも和らいだし、死体について聞いていくとするか!」ドキドキ
カロル「はーい!」
489:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/17(日) 02:30:23 ID:1xCSy.MLpI
母「…そうは言っても話を聞けそうな状態にありませんしねぇ…」
神父「それもそうだな。しかし一体何に怯えているやら…」
カロル「広場に行ってみようよ。ルーボイくん達がいたら、話を聞いてくれると思う」
母「そうね。今はそれしか無さそうね」
神父「さっきから誰だ?そのルーボイとかパッチとか言うのは?」
母「村の子供です。坊やとお友達でして」
神父「な、なにぃ!貴様ら村の人間までたぶらかしたのか!」
母「たぶらかしてなんかいません。お友達になっただけですわ?」
神父「同じことだ!いいか。お前達は災いを招く種族だ!
むやみやたらと人間に近付こうとするな!」
カロル「……」
母「勝手に悲劇を産むのはあなた方じゃありませんか…。
あたし達は何もしていません」
神父「な、なにをっ!?」
母「」プイッ
神父「……ちっ!忌まわしき種族めが!」
カロル「行こっか。今はこんな事してる場合じゃないよ」ニコッ
神父「……」
490:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/17(日) 02:33:14 ID:1xCSy.MLpI
――村(広場)――
神父「うっ…。匂いが強くなったな…」
母「えぇ。まるで油のような…」
カロル「……」
神父「だが不思議だ。気持ちの悪い匂いなのになぜだか心地よい…」
カロル「誰かいるよ?」
神父「む?そうだな…。痛みも無くなってきたし、私が声をかけよう」
村娘1「……」
神父「あぁ…っと、そこな娘さん?ちょっと伺いたいのだが…」
村娘1「」フラフラ
神父「む?ど、どうした?ふらついてるが大丈夫かね?」
村娘1「」バタッ
神父「なっ!お、おい!」ビクッ
母「大丈夫ですか!?」
カロル「おねえさん、どうしたの!?」
村娘1「」ブクブク
神父「あ、泡を吹いとる…。やはりおかしいぞ。
この村にも何かあったのかもしれん!」
母「あの旅人と関係があるのかしら…」
「おーい!あんたら何してんの?」
カロル「?」クルリ
491:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/17(日) 02:34:44 ID:ddmBHiklZY
テパ「よそ者かい?」
神父「おぉ!この村の人間か!君はまともなようだな?」
テパ「なに言ってんですか。みんなまともですよ!ねぇみんな?」
神父「…?」
カロル「お兄さん。そっちには誰もいないですよ?」
テパ「えー!えー!なに言ってんの?見えないの?
いるじゃん?ほら、みんないるよ?ねぇみんな!?」
母「し、神父さん…もしかして…?」
神父「あ、あぁ。こいつもおかしいな…」
テパ「ってかさ。あんたらよそ者?旅の人?
くれよ、アレ!最高にバッチリさ!」
カロル「お兄さん。なに言ってるの?」キョトン
神父「お、おい…。大丈夫か?」
テパ「なんでだよ!?出せよ!?」
カロル「」ビクッ
492:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/17(日) 02:36:49 ID:ddmBHiklZY
神父「ま、待て。君の言ってる事はめちゃくちゃだぞ?
筋道立てて順序よく話してくれないか?」
テパ「いいから出せよ!知ってんだぞ!」
母「知ってるって何をですの?」
テパ「よそ者は気持ちいい葉巻を持ってんだ!ベリーだ!ベリー!」
母「葉巻?ベリー?」
テパ「気持ちいいのさ!イクぜっ!うぉぉ!」ピョンッ
カロル「お母さま…。なんだか怖い…」ブルブル
母「……坊やはあたしの後ろにいなさい」
神父「葉巻…ベリー…。ま、まさかこいつ…!」
母「何か知ってるんですか?」
神父「こいつが言ってるのはおそらく…タイマの事だ」
母「タイマって…まさか?」
神父「あぁ。違法とされる薬物の一種だ。
しかしなぜ村の人間がタイマを…。こんな田舎では入手は困難なはずだ…」
493:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/17(日) 02:40:25 ID:ddmBHiklZY
カロル「よそ者って言ってたから…あの旅人が渡したのかも」
神父「な、なに?ではやはり…!」
神父「(私の思った通り、罪を犯して逃げ回る危険な旅人だったか…)」
テパ「そうだよ!ワルドさんがくれた!
もっと欲しい!でもワルドさんがいない!ワイルドだろ〜?」ジタバタ
母「村の人の様子がおかしかったのも、変な匂いも…それなら納得がいくわね」
神父「道理で痛みが和らいだ訳だ…。異国では鎮痛剤代わりに重宝されるような代物だからな」
カロル「でも他の人間はこんなに変じゃなかったよ?」
神父「過剰に煙を吸ったのだろう…。その証拠に目が真っ赤だ…」
テパ「」ガバッ
神父「うおっ!?」ビクッ
テパ「ヨコセ!ハマキヨコセ!」ググッ
494:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/17(日) 02:43:22 ID:ddmBHiklZY
神父「は、離せ!私はタイマなど持っておらん!」ジタバタ
テパ「ヨコセ!!」ユサユサ
神父「いっ…!」ズキッ
カロル「やめて!おじさまはケガをしてるんだ!」アセアセ
テパ「ウルサイ!ヨコセ!」ガッ
神父「(す、すごい力だ…!)」ググッ
母「やめなさい!」ガッ
テパ「あぁぁだぁぁぁ!!」ユサユサ
神父「ひぃっ」グラグラッ
母「は、離れないわね…!」ググッ
テパ「ヨコセ!」
カロル「あ…あっちにタイマがあるよ!?」ビシィッ
テパ「ドコだ!?」バッ
神父「っ…!(た、助かった…)」ホッ
カロル「ほ、ほら!ボクが指差してる方!ずっと向こうだよ!」アセアセ
テパ「アッタァァァァァ!!」ダダダダッ
カロル「」ドキドキ
ダダダダッ
495:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/17(日) 02:45:52 ID:ddmBHiklZY
母「行ったわね…?」
カロル「ふぅ…。怖かった」
神父「お、恐ろしいな…。噂以上の効き目だ…」
母「助けてもらったんですから、安心する前にお礼くらい言ったらどうです?」
神父「なにぃ?」
カロル「い、いいよ。お母さま。
おじさまも気にしないでね?」オロオロ
母「坊やは謙虚でいい子ね?どこかの神父様と違って」
カロル「そ、そんなことないってば」アセアセ
神父「ふん!」ムスッ
カロル「あ、あはは…」
496:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/17(日) 02:48:29 ID:1xCSy.MLpI
村娘1「う、うぅ…」ムクリ
神父「む?あぁ。娘さん。気が付きなさったか?」
村娘1「す、すみません…。お見苦しいところを…」
神父「なんと…!意識があったのかね?」
村娘1「えぇ…。朦朧とはしてますが、なんとか…」
母「一体なにがあったんですか?」
村娘1「実は一昨日に村の人間が二人殺されまして…」
神父「なに!こ、ここでも殺人があったのか…!」
村娘1「はい、それで昨日の朝…犯人が分かったと村長の家でお世話になっていた旅人がみんなを集めたんです…」
母「旅人が?」
村娘1「はい。なんでも二人の死体を発見したのもその方だそうで…。
それで集まったみんなに犯人はホビットと…」
母「なっ!じ、冗談じゃないわ!なぜあたし達が疑われるの!?」
村娘1「へ?」
カロル「お、お母さま!」アワアワ
母「あ、いえ…。なんでもありませんのよ?」アセアセ
神父「……」シラー
497:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/17(日) 02:52:00 ID:1xCSy.MLpI
村娘1「それで…話している内に一騒動ありまして…。
その時に旅人が私たちに葉巻を配って…勧め…たんです」
村娘1「うぅ…!頭が…!」ズキズキ
カロル「だ、大丈夫ですか?」
村娘1「と、とにかく…村長に聞いてみてください!
私も…詳しい事情は知りませんので…」
神父「村長はどこにいるのだね?」
村娘1「市場を抜けて…左手の道をまっすぐ歩けば大きな家があります…。村長はそこにいる筈です…」
神父「あい分かった!
話を聞き次第、本部に戻って手勢を集めてすぐに手当てするからな。気を確かに持つのだぞ?」
村娘1「…私達は裁かれませんか?」
神父「違法と知らずに旅の者にそそのかされたのであろう?
安心したまえ。娘さん達に罪など無い。私が司祭様にしっかりと報告しておくよ」
村娘1「よかった…。それなら村長達は何に怯えていたのかしら…」
498:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/17(日) 02:56:43 ID:ddmBHiklZY
カロル「ねぇ。あれはなんだろう?」
肉塊「」
神父「む?なんだ、あれは…肉か?」
母「なんでしょうね…。お嬢さんはご存知ないんですか?」
村娘1「え?さぁ…?なにかしら…?
私は葉巻を吸わされてすぐに意識を無くしたから…」
カロル「……」
神父「安静にしていなさい。あとは私に任せてくれればよい」
村娘1「はい…。ありがとうございます」ペコリ
母「……神父さんに任せても、あんまりいい予感はしないわね」
神父「黙れっ!」プンスカ
カロル「(なんだろう…。あのお肉みたいなの。旅人の死体を見た時と似た感覚がする…)」
肉塊「」
499:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/17(日) 17:25:50 ID:DqwtwHeU8E
――村(村長の家)――
カロル「わぁ…!」
神父「なかなか大きな家だな。他の民家とは大違いだ」
母「……立派ねぇ」
神父「とは言え、以前私が布教を行った町では、このくらいの規模が当たり前だったがな」
母「贅沢ですわね。あたし達は住む所にも困っているのに…」
神父「む…。まあ当然の罰だな」
母「怒りますよ?」
神父「ふ!」ニヤリ
母「」イラッ
カロル「……ケンカしちゃダメだよ?
二人とも仲良くしなくちゃ?」
神父「ホビットなどと仲良く出来るか!?」
母「こっちからも願い下げよ!」
カロル「もう…。じゃあボクがノックするよ?」
神父「? 勝手にしろ。ノックなど一々確認するやつがあるか」
カロル「えへへ…。実は初めてだから、やってみたかったんです!」テレテレ
母「誰かの家を訪ねる機会なんて無かったものねぇ…」
神父「とことん変わった種族だな。たかだかノックごときで…」
500:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/17(日) 17:28:23 ID:qvo.LPcHN.
カロル「」ドキドキ
母「坊や!頑張って!」
カロル「」モジモジ
神父「さっさとせんか!」
カロル「う、うん…!」ソーッ
ガチャッ
カロル「」ビクッ ズザザ
村長の妻「何事ですか?騒がしいですけど、お客人?」
カロル「」ガーン
村長の妻「ん?」
カロル「」ションボリ
母「あ、えぇ。旅の者でして…。おほほ…」
神父「私は教団に仕える神父だ。明日からこの村の布教を担当するのでよろしく頼みますぞ」
村長の妻「」ビクッ
母「?」
村長の妻「き、教団の方ですか…。なるほど…どうぞ上がってください」
神父「うむ」スタスタ
母「(一瞬怯えていたけど、なんなのかしら…)」
カロル「ノック…したかった……」ショボショボ
母「ま、また今度出来るわよ!ね?」
カロル「……」ショボショボ
神父「どうした?入らんのか?」
母「さ、あたし達も上がりましょ?」
カロル「はい…」スタスタ
501:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/17(日) 17:30:58 ID:qvo.LPcHN.
村長の妻「出来合いの物しかありませんが…」コトン
神父「いえいえ、突然お邪魔してご相伴に預かってしまい、すみませんな」
村長の妻「おほほ。とんでもございませんわ?」
カロル「お母さま。これなぁに?」
母「これはクラクネスよ。坊やがよく遊んでた川にもいたでしょ?」
神父「む?」
カロル「えぇ!ウソだ?だってこれお魚の形してないよ?
頭と体が離れてるし、ぷにぷにしたお肉が短冊みたいになってる!」
母「坊やがいつも食べてたのは焼いた魚なの。
これはお刺身と言って生のお魚を捌いた物なのよ」
神父「お、おい…」
カロル「へー!だから黒くないんだね?
お母さまが作るのは炭みたいなのに。これはテカテカしてる!」
母「そうよ?焼いた魚はすべからず黒くなってしまうけど、お刺身は…」
神父「おい!作ってくださった方の前でべちゃくちゃ出された物の話をするな!行儀がなっとらんぞ!?」
カロル「え…ぁ…ごめ…なさい」シュン
母「すみません…」シュン
村長の妻「クスクス…。構いませんのよ?
クラクネスのお刺身でこんなに喜んでくれるお客さんは初めてですもの?」
カロル「あ、あはは…。は、恥ずかしいや…」
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