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少年「ボクが世界を変えてみせる」
[8] -25 -50 

1:🎄 名無しさん@読者の声:2012/12/23(日) 21:21:41 ID:apUuk9iOiY
むかしむかしのことです。
世界は深い緑が生い茂り、深い青が寄り添うように流れる清らかな一つの円でした。
穢れを知らず、怒りも悲しみもなく、渇くことのない喜びが波立てる大地は
争いを寡黙に、繋がりをおおらかにしました。


463:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/7(木) 08:07:21 ID:Ec3umLyQhs
神父「(こ、これは…まちがいなく…!)」ブルブル

オジサマー?

神父「(一体、誰が…?教会には誰もいなかったはずじゃ……)」

ドウシタンデスカー?

神父「(うっ…。それにしても…惨い有り様だ…)」ウプッ

タタタッ キャッ!?

神父「(とにかくここを離れなければ…ん?)」

イヤァァァァァア!!

神父「(そういえば…宣教師以外に教会を使っていたのは…?)」ブルブル

オカアサマ? ドウシタノ? アッ…!
ダメッ! ミテハダメヨ!!

神父「(手紙には……)」ブルブル
464:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/7(木) 08:09:40 ID:YGdwWja6oE
――手紙(>>382)――


きょうかいに かえったら だめです
せんきょうしさまも あぶないです

神父「(教会から遠ざけようとしたのは……これを、隠すため…?)」ブルブル

たびびとに おわれてます

神父「(ということはこの死体は……)」ブルブル

ぼくと おかあさまは もりの おおきな かれきの したに います

神父「(大きな枯れ木…人気の無い場所を…指定?)」ブルブル

まってます
ずっと まってます

神父「」ゾクッ

神父「(事実、あのラムとかいうホビットは…私の目を…奪った)」ブルブル

『おじさま。大丈夫ですか?』

『いい加減にしてちょうだい!
この子はあなたを助けたかっただけなのよ!?』

神父「(しかし、それならなぜ私を……?)」

『奴らは狡猾な種族。
奴らの言葉に信用を向ければ、たちまちの内に利用され、喰い物にされるだけじゃ』

神父「………」
465:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/9(土) 23:17:44 ID:1xCSy.MLpI
カロル「はっ…!はっ…!」ビクビク

母「(血の付いた石…砕かれた頭…。誰かが……でも、誰が…?)」ギュッ

カロル「」ビクビク

母「坊や。そのまま目を閉じてなさい?いいわね?」ナデナデ

カロル「う…うん…」ビクビク

母「神父さん…。平気ですか?」

神父「」ビクッ

母「早くここを離れましょう。ここにいたら危険ですわ…?」

神父「……」ブルブル

カロル「(錆びた臭いが…する。アレ…死んでるの?)」ビクビク

母「神父さん…?」スッ

神父「たし……るな」ブツブツ

母「へ…?」

神父「私に触るなぁ!!」

母「」ビクッ

カロル「(あの服…旅人にそっくりだった…)」ビクビク
466:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/9(土) 23:21:08 ID:1xCSy.MLpI
母「どうなさったんですか…?」

神父「ひっ」ズザザッ

母「神父さん…?」

神父「わ、分かってるな…?
私は教団の人間だ。手にかければ、もうただでは済まんぞ?」

母「まさか…疑ってるんですか?」

神父「い、今ならまだ間に合う!
己の罪をよく理解し、受け入れれば神もお前たちを赦してくださるだろう!」

母「誤解しないでください!あたし達は違います!」

神父「わ、分かっているとも!故意ではなかろうよ!
だが罪は罪だ!おとなしく……」

母「やめてください!!」

神父「……」

母「あたしと坊やは…一昨日から教会を発っています。
それはあなたも知ってるはずでしょう?」

神父「あ、あぁ…知ってるとも」

母「なら疑うようなまねはよしてください…。
あたしも坊やも…混乱してるんです」

神父「う、うむ…。すまなかった…」

母「いえ…とにかく行きましょう」

神父「そ、そうだな…」

神父「(そんなもの…殺した後に教会を離れたと考えれば、なんのアリバイにもならん…)」

神父「(だが刺激したらまずい…。ここは言う通りにしておくか)」
467:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/9(土) 23:29:27 ID:ddmBHiklZY
母「坊や…行くわよ?」

カロル「…はっ…はっ…」ブルブル

母「目は閉じたまま。さ、手を繋いで?」パシッ

カロル「」ギュッ

母「……」スタ

カロル「ま、待って…。お母さま」

母「なに?」

カロル「埋めてあげなくちゃ…そのままにしたら、かわいそう」

母「そ、それも…そうね」

神父「い、いや。このままでいい。下手に動かせば証拠を失いかねないからな」

カロル「はっ…はっ…。そっか」ブルブル

母「……もう大丈夫?」

カロル「あと…服…服が旅の人の服だった…」ブルブル

母「…!目を開けたらダメって…!」

カロル「開けてないよ…。目をつむる前に見えちゃったんだ…」

母「……(旅人…あの時の…?)」チラッ

死体「」

母「うっ…」クラッ

神父「知って…いるのか?」

母「は、はい…」

神父「では手紙に書いてあった旅人とは…」

母「お顔は判別が付きませんが、おそらく…」

神父「や、やはり…」

母「違いますからね?」

神父「…も、ももちろん…疑っておらんよ」ブルッ
468:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/9(土) 23:32:36 ID:1xCSy.MLpI
カロル「はっ…はっ…。
お母さま…。おじさま…。なにが起こってるの?」ブルブル

カロル「ボク…こわいよ」

母「心配しなくていいのよ…」ギュッ

神父「……(無関係を主張する為に演じているのか?
どこまでもずる賢い種族だ…)」

カロル「教えてよ…。不安なままじゃ苦しいよ…」

母「あたし達にも分からないの。今は離れるのが先よ?
お願いだから聞き分けてちょうだい?」

カロル「はっ…はい…」ブルッ

母「……」

神父「……」

死体「」プーン
469:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/9(土) 23:35:51 ID:1xCSy.MLpI
神父「」スタスタ

カロル「まだ…開けちゃダメ?」スタスタ

母「そうね、もう大丈夫よ?」スタスタ

神父「(はたしてこのホビット共を大聖堂に招き入れていいものか…)」チラッ

カロル「ねぇ…。旅の人、死んじゃったの…?」

母「…忘れなさい」

カロル「忘れられないよ。目を閉じてる時、浮かんできて、ずっと怖かった…」

母「…ごめんね。あたしが付いているのに辛い思いばかりさせて…」

カロル「……!」

母「…お母さん、頼りないよね…?」

カロル「そんなこと、ない…。
お母さまがいてくれるから、頼っちゃって…いつもわがまま言っちゃうけど…」

母「……」

カロル「もう、この話はしないから…。悲しまないで?」

母「気遣ってくれてありがとう…」

カロル「気遣ってなんかないよ。心から思ってるもの?」ニコリ

母「」ニコッ

神父「(今はうまく演じているが、いつ本性を表すとも限らん…。
さすがに自由に身動きのとれる状態で連れていくのはまずい…)」
470:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/9(土) 23:37:52 ID:1xCSy.MLpI
神父「な、なぁお前たち…」

母「なんです…?」

神父「村に寄っていいか?
もしかすれば村で何かしら手掛かりか掴めるかもしれない」

カロル「…!」

母「…そうですね。やはり通り過ぎてはいけない問題ですよね」

神父「い、いや…あ、あれだ。もし手掛かりを掴めればお前たちへのうた…ゲフンッゲフンッ!
…じゃなくて誤解が解けるかも分からんだろ?」

母「まだ疑ってらしたのね…?」ジト

神父「だ、断じて!断じて疑っておらんぞ!!」アタフタ

母「別に怒ってません…。襲ったりしないから、普通にしてください?」

神父「む…。り、了解した」

カロル「……」チラッ

母「…分かってるわよ。坊やも村へ行きたいんでしょう?」ニコッ

カロル「……!」パァァ

母「パッチ君とルーボイ君に会えるかは分からないけど、きっと二人も坊やを待ってるはずよ?」ニコニコ

カロル「えへへ…。約束したもんね?」ニッコリ

母「…坊や。耳を貸して?」

カロル「え?」キョトン
471:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/9(土) 23:39:41 ID:ddmBHiklZY
母「よく聞いて?」コショコショ

カロル「うん…?」

母「……大聖堂に行ったら二人にも、もう会えないかもしれない。それでもいいのね?」コショコショ

カロル「…知ってる」

母「…ほんとにいいの?大聖堂にはあたしが行って、坊やはここに残ってもいいのよ?」コショコショ

カロル「っ…!?」

母「ラム君と仲直りすれば、きっとあたしがいなくても生きていけるわ?
あの子はまだ子供だけど、生きていく知恵を持ってるから」コショコショ

カロル「ダメ!そんなのやだ!!」

母「え…」

神父「!?」ビクビクビクゥッ

カロル「お母さまと一緒にいられなくなるなんてやだよ!!」

母「ぼ、坊や…。声が大きいわ?」

カロル「友達を欲しがったのはボクだけど、お母さまがいないなら…いらない!!」

カロル「みんな大切だけど…お母さまとは違うもん!」

カロル「ボクが不幸になっても…お母さまが幸せならいいから…!」

母「……」

神父「」ドキドキ
472:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/9(土) 23:42:58 ID:ddmBHiklZY
母「坊や…。顔を上げて?」

カロル「……」スッ

母「あなたの気持ちはよく分かったわ?とても嬉しいの。
でもね。自分が不幸になってもいいなんて言葉を親に向けてはダメよ?」

カロル「……」シュン

母「親の役目は子供を幸せにすること。
子供の役目は幸せになること。
あなたが幸せじゃなくなったら、あたしは不幸になってしまうわ?」

カロル「でも…ボクはお母さまが…」

母「分かってる。坊やはあたしを思いやってくれてるものね?」

母「最近は人間と仲良くなって、短い間だけど経験を重ねてあなたは成長したわ?
あたしが不信感を持つと、諭してくれるほどに」

母「少しずつ親離れしてると思うと寂しいけれど、嬉しかった」

カロル「……」

母「……あたしもあなたが一番大事よ。坊や?
だけど、自分で望んだ繋がりをいらないなんて言わないで?」

母「"いらない"っていう言葉は、何よりも酷い言葉なの。
目の前にみんながいたら、坊やは同じように言える?」

カロル「……言えない。もしもボクが宣教師さまに言われたら傷付いてしまうもの」

母「…そうでしょ?どんなに心が乱れても、言ってはいけない言葉があるの。
一度の過ちですべて崩れ去ることもあるから」

カロル「はい…」ションボリ

母「本当にあたしの幸せを願ってくれるなら、曇りのないあなたでいて?」

カロル「お母さまが幸せになれるなら…がんばってみるね」ニコッ

母「えぇ。信じてるわね?」ニコニコ

神父「………」

神父「(疎外感が…)」ドキドキ
473:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/9(土) 23:47:30 ID:1xCSy.MLpI
神父「い、一体なんの話をしてたのだ?」

母「ふふ。なんでもありませんわ?」

カロル「おじさま。早く村に行こう?」

神父「……あ、あぁ?」

母「二人はまた広場で遊んでるかしら?」ニコニコ

カロル「そろそろ起きる時間だもんね?」ニコニコ

神父「くっ…!」ズキッ

カロル「あっ…。目が痛いの?」

神父「う、うむ…。今度は先ほど…よりも、辛いな…!」ズキズキ

母「傷は浅いですけど、箇所が箇所ですものね…。
枝から菌が入ってるといけませんし、早く村に行きましょう?」

神父「い、いや…それには及ばん…。小僧、先ほどのように癒しの力で…治してくれ」

カロル「へ?さ、さっきも話したけど、ボクは力なんて知らないよ…?」

神父「う、嘘を言うな…!一時的とはいえ、力無くして…痛みを抑えることなど出来るものか…!」

カロル「そ、そう言われても…」

母「…先ほどはどうやったら治まったんです?」

神父「ふ、触れた時だ…!
触れた時に、確かに痛みが和らいだ…!」

母「……」パシッ

神父「う、うぅぅ…」ズキズキ

母「どうです?痛みは和らぎましたか?」

神父「ぐむむ…。だ、ダメだ…!」ズキズキ

母「これで分かりましたか?ホビットに癒しの力なんてありません」

神父「そんな…バカな…!先ほどは確かに…!?」ズキズキ

母「きっと偶然ですよ。これ以上傷が開いてしまう前に行きましょう?」

神父「うぐぅ…!」ズキズキ

カロル「……」オロオロ
474:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/10(日) 17:49:04 ID:v12GvXB3vM
――村――

大人2の妻「あぁ…うぅ…」シクシク

ルーボイ「……ぐ…あぁ…!」

大人2の妻「いったい…どうなってるの…?」

大人2の妻「テパ君と出掛けて、帰って来ないかと思ったら…こんな大ケガして…!」

ルーボイ「……痛い…いはいよ。母ひゃん…」

大人2の妻「ごめんね…。村のみんなは倒れててお医者さんも呼べないのよ…」

ルーボイ「腕…熱ひんらよ…。なんほかひれよ…!」

大人2の妻「辛いよね…。ごめん…ごめんね…!」シクシク

ルーボイ「なんれらよ…。なんれらよぉ…!?」

大人2の妻「こんな時に…教団は何をしてるのよ…!
うちの息子がこんなに苦しんでるのに…。なにが救いよ…!なにが信仰よ!」

ルーボイ「うぅ…!」

大人2の妻「(みんな一晩中騒いだ挙げ句、朝になったら倒れてて…)」

バンッバンッ

大人2の妻「ひっ!」

バンッバンッ

大人2の妻「いい加減にしてよ!さっきからなんなの!?」

シーン

大人2の妻「(ああしておかしくなった人までいる…!)」

大人2の妻「昨日、なにがあったって言うのよぉ…。うぅ…」シクシク

ルーボイ「いへぇよぉ…!」グッタリ
475:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/10(日) 17:51:30 ID:3s89PAnmDA
――大聖堂(地下牢)――

宣教師「はぁ…」ズーン

ジョー「……」

宣教師「」ズーン

ジョー「……」イライラ

宣教師「ジョーさん…」

ジョー「無理だ」

宣教師「まだ何も言ってませんよ!?」

ジョー「どうせ出してくれって言うんだろう?」

宣教師「はい…」

ジョー「無理に決まってんだろう?
あんたを出せば俺はどうなる?
間違いなく厳罰を強いられるんだぞ?」

宣教師「出してくださらなくともよいのです!
鍵を置いて、少しの間よそ見していただければ…」

ジョー「ふざけるな!」

宣教師「どうしても…ダメですか?」ウルウル

ジョー「諦めろ」

宣教師「諦めたらそこで試合終了ですよ?」

ジョー「うるさい!!」
476:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/10(日) 17:53:56 ID:3s89PAnmDA
ジョー「そりゃあんたの気持ちは分かるぜ?
だからと言って俺がどうこう出来る問題じゃないんだ」

宣教師「分かってますけど…」

ジョー「ふぅ…。落ち込むのは分かるよ。けど他人の心配より自分の心配をしとけよ。
いつ司祭様が答えを出すかもわからないんだぞ?」

宣教師「…構いませんよ。司祭様が何をおっしゃっても…」プイッ

ジョー「なに言ってんだ!?
どんな状況でも、まずは自分だろ!」

宣教師「そう言いながらジョーさんは私の為に交代せず、ここにいてくれるじゃないですか…?」

ジョー「う、うるさい!交代しても暇だから付き合ってやってるだけだ!」カァァ

宣教師「ふふ…」ニコッ

ジョー「くっ!」タジタジ

宣教師「ジョーさんは優しいですね?」ニコニコ

ジョー「…ほっとけ!」
477:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/10(日) 17:57:36 ID:3s89PAnmDA
ジョー「それに心配しなくても、もうすぐ奴らに会えるさ」

宣教師「どういうことですか?」

ジョー「さっき聞いたんだよ。代わりの神父が昨日、村に行く途中でホビットの居場所が書かれた手紙を見つけたってな」

宣教師「手紙を…?」

ジョー「あぁ。その手紙はホビットが書いた物で、奴らの飼い犬が首に下げていたらしい」

宣教師「マルクくんですね!しかし、なぜ神父様が…」

ジョー「聞いた話だと神父はあんたの修道服を着てたんだとよ。
犬は匂いで勘違いして神父に手紙を託したそうだ」

宣教師「また使い回しですか…。ホントに司祭様は倹約家と言いますか、ケチと言いますか…」ブツブツ

ジョー「…やめろ。誰かに聞かれたらどうすんだ」

宣教師「う…すみません」

ジョー「ったく!それでだ。司祭様が神父に捕まえてくるよう言ったらしい」

宣教師「なんですって!?」
478:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/10(日) 17:59:58 ID:3s89PAnmDA
ジョー「あんたが足掻いたとこでどうにもならないんだよ。もう諦めたらどうだ?」

宣教師「困ります!そんな事…私が許しません!」

ジョー「はぁ…!?」

宣教師「あの親子は悪事など犯していません!
それなのに捕らえるなんて理不尽極まりない!」

ジョー「お、落ち着け!いいか?
ホビットは存在が罪だ。伝承にもあるだろ。人間に害を成した奴らだぞ?」

宣教師「そんなものは迷信です!」

ジョー「バカを言え!実際に奴らは人間よりも長く生きる。力を奪った証拠だ!」

宣教師「たとえ、そうだとしても…何千年も前の話でしょう!?」

ジョー「そりゃそうかもしれないけど…」

カツンカツン カツンカツン

ジョー「?」

付き人1「何事だ?」

ジョー「だ、ダガ様…!」

ダガ「やけに騒がしいな…。またこいつか?」ギロッ

宣教師「…私はこいつでは…!」キッ

ジョー「いえ、何事もなく!」
479:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/10(日) 18:02:19 ID:3s89PAnmDA
ジョー「地下だから響きやすいんでしょう。お騒がせして申し訳ない」

ダガ「はっ!どうだか…?
お前ら何か企んでんじゃないのか?」

ジョー「た、企んでなんかいませんよ!」

ダガ「その割りにゃ牢屋番を一人で買って出たらしいじゃないか?
トトの奴がぼやいてたぞ?ジョーが必死に頼むから譲ったが、おかげで雑用ばかりだってな」

ジョー「は、はぁ…」

ダガ「くれぐれもこいつをここから出すなよ?
もし逃がしでもすれば司祭様の判断を待たず、俺が制裁を下してやるよ?」

ジョー「」ブルッ

ダガ「」チラッ

宣教師「」ムスッ

ダガ「ちっ…。こんなガキのどこがいいんだか…?
司祭様も目が弱ったものだな」

宣教師「聞き捨てなりませんね」ムッ

ダガ「なんだぁ?」

宣教師「私はガキではありません」

ダガ「なんだと…?」

ジョー「お、おい!」アタフタ
480:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/10(日) 18:05:04 ID:v12GvXB3vM
ダガ「もう一度言ってみろよ?」

宣教師「何度でも言いますよ。私はガキではありません」

ダガ「ふ…。生意気な奴だぜ。俺から見ればまだまだ青いガキさ」

宣教師「…それはあなたが歳をとっているからでしょう。
世間的に見れば私は十分、大人です」

ダガ「減らず口を叩きやがって…」

宣教師「……」

ジョー「おい!やめとけ!これ以上なにも言うな!」

ダガ「目上の人間に対する礼儀もなってねぇときた…。
お前みたいな邪教徒を気に入る司祭様が分からんぜ」

宣教師「妬んでるのですか…?」クスリ

ダガ「あぁ?」ピクッ

ジョー「ば、ばか!やめとけって言ってるだろ!」

ダガ「」ギロッ

ジョー「え…」

ダガ「…黙ってろよ」

ジョー「す、すいません」ブルッ
481:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/10(日) 18:07:19 ID:v12GvXB3vM
ダガ「おい、今のはどういう意味だ?」

宣教師「司祭様の付き人と言えば聞こえはいいですが、実際は護衛でしかないですものね…。
人を従えられず発言力も無く、上に行く事も無いから先も望めない…」

宣教師「年老いて務められなくなれば書室の番にでも回され、書物の整理に余生を費やす事になるんじゃないですか?」

ダガ「……くっ」

宣教師「気に入られていたかは知りませんが、あなたの目から見て私は司祭様に期待されていたのでしょう。
司祭様が私ばかり目にかけるのを妬んでいたのでは?」

ダガ「……少しばかりお勉強が出来るだけで調子に乗るなよ?」

宣教師「そのようなつもりはありませんが?」

ダガ「司祭様はもうお前なんぞ見ちゃいねぇぞ…」

宣教師「……」

ダガ「ふふ…。そうだ…。なんなら俺が罰を提案しようか。
お前が最高に苦しむとっておきの罰をなぁ?」

宣教師「お好きなように。どれだけ罰を与えられようと、あなたにだけは屈しませんから」
482:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/3/10(日) 18:10:24 ID:v12GvXB3vM
ダガ「ふ…。楽しみにしてるんだな?」ニヤリ

宣教師「…あぁ。そういえば司祭様が以前、こんな事をおっしゃってました」

ダガ「?」

宣教師「私を本当の娘のように思ってくださっていると?」ニコッ

ダガ「……!」イラッ

宣教師「司祭様に愛していただけて私は幸せ者です」ニコニコ

ダガ「ふ…ふふ…。そうか。それなら後悔させてやるよ…。
司祭様に愛されたが為にお前は絶望を味わうんだ…」

宣教師「お手柔らかにお願いしますね。"おじさま"?」ニッコリ

ダガ「」ブチッ

ジョー「だ、ダガ様…?」

ダガ「……」ドンッ

ジョー「……!」ドテッ

宣教師「……」
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sage:


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