むかしむかしのことです。
世界は深い緑が生い茂り、深い青が寄り添うように流れる清らかな一つの円でした。
穢れを知らず、怒りも悲しみもなく、渇くことのない喜びが波立てる大地は
争いを寡黙に、繋がりをおおらかにしました。
410: ◆WEmWDvOgzo:2013/2/16(土) 20:10:55 ID:RKYfkzbfdU
神父「貴様と話している暇はない!消えろっ!」
ラム「あれ。いいの?僕もホビットだよ?」
神父「い、今なら見逃してやると言ってるんだ!」
ラム「じゃあ僕を連れて行って、その子を見逃してあげてよ」
神父「バカバカしい!いいから消え失せろ!」
ラム「ふーん」
カロル「ボク…連れていかれるんですか?」オソルオソル
神父「あぁ、そうだ。おとなしくしていろ!」
カロル「ど、どうして?」アセアセ
神父「貴様に話す筋合いはない!」
カロル「お母さまはどこですか…?」
神父「知るか!」
カロル「離してください!ボク帰ります!」
神父「笑わせるな!貴様に帰る場所などないだろう!?」
カロル「いやだ…。行きたくない!」ジタバタ
神父「足掻くな!往生際の悪い奴め!」ガシッ
カロル「やめてください!」バッ
411: ◆WEmWDvOgzo:2013/2/16(土) 20:12:27 ID:OEv/Nma8qg
神父「き、貴様ぁ!ホビットの分際で逆らうとは…!」ビシッ
カロル「っ…!」
神父「おとなしくしておけば手荒なマネはしないぞ!」バッ
カロル「」ビクッ
ラム「……」ジーッ
神父「貴様、まだいたのか!」
カロル「……?」
ラム「ねぇ。助けてほしい?」
カロル「……!」
神父「なんだと!?」
ラム「どうなの?」
神父「黙れ!」
カロル「……」コクリ
ラム「そっか。じゃあ助けてあげるね」ピョンッ ストッ
412: ◆WEmWDvOgzo:2013/2/16(土) 20:13:52 ID:OEv/Nma8qg
神父「ば、バカな!助けるだと!子供に何が出来ると言うのだ!?」
カロル「」オロオロ
ラム「」タッタッ
神父「く、来るな。穢らわしい!」
ラム「怯えなくていいよ。何もしないから?」
神父「信用出来るか!それ以上近付けば…」
ラム「近付けばどうするの?」ニヤリ
神父「近付けば…こいつを殺す!」
カロル「」ビクッ
ラム「殺してどうするの?」
神父「なっ…!こ、殺してどうするだと?」
ラム「うん。どうするの?」
神父「こ、殺して…それから…埋める?」
ラム「どこに埋めるの?」
神父「え、えーと…ちょうど人気も無いし、この辺かなー」
カロル「」ブルブル
ラム「じゃあそうしたら?」
神父「えっ」
カロル「えっ」
413: ◆WEmWDvOgzo:2013/2/16(土) 20:16:09 ID:OEv/Nma8qg
ラム「ほら、早く」
神父「い、いや。早くと言われてもだな…。その…心の準備もあるし」アタフタ
カロル「」ビクビク
ラム「……」スッ
神父「お、お前もまだ死にたくないだろう?」アタフタ
カロル「は、はい…」ビクビク
ラム「」グッ
神父「そ、そういう事だから、殺すのはまた今度……」
ヒュッ ザクッ
神父「えっ」
グチュッ
ラム「」グリグリ
神父「……あぁぁぁあぁあぁぁ!!?」バタッ
カロル「いたっ…!」ドサッ
ラム「あはは」
神父「め、目が…目がぁぁぁぁぁ!!!」ゴロンゴロン
カロル「な、に…?」
ラム「木の枝を刺しただけだよ」クスクス
カロル「ひっ…」ギョッ
神父「あぁぁあぁあ!!いてぇ!!いてぇよぉぉおぁぁあぁ!!!」ゴロンゴロン
ラム「行こ?」ギュッ
カロル「え、でも…」
ラム「行くよ」グイッ
カロル「わっ…」アセアセ
タタタッ
イテェエェェェ!!イテェェェェヨォォ!!
414: ◆WEmWDvOgzo:2013/2/19(火) 19:09:35 ID:VGq6gHEdG.
ラム「あー疲れた!」
カロル「…」
ラム「ここまで来れば安心だね」
カロル「う、うん…。ありがとう」
ラム「どういたしまして」ニコニコ
カロル「……」
ラム「僕はラム。改めてよろしく」
カロル「ボクは…カロル」
ラム「カロルくんって言うんだ!」
カロル「うん…」
ラム「カロルくんはホビットなんでしょ?」
カロル「そ、そう…だよ」オドオド
ラム「僕もホビットなんだ。仲間に会えて嬉しいよ!」ニコッ
カロル「うん…」
ラム「どうしたの?」
カロル「さっきの人間…平気かな?」
ラム「平気な訳ないじゃん。目を刺されたんだから?」
カロル「……」
ラム「もしかして…心配なの?」マジマジ
カロル「」コクリ
ラム「ふーん。変わってるね?」
カロル「え…」ガーン
415: ◆WEmWDvOgzo:2013/2/19(火) 19:11:00 ID:VGq6gHEdG.
カロル「…ラムくんはこの森に住んでるの?」
ラム「違うよ。最近来たんだ。知り合いの人間を追いかけて」
カロル「人間と友達なの?」パァァ
ラム「えー!なにそれ?」クスクス
カロル「へ?」
ラム「君って面白いこと言うんだね?
ホビットが人間と馴れ合う訳ないじゃないか」
カロル「そ、そう…?」
ラム「そうだよ。あんな薄汚い連中、顔を見ただけで吐き気がする…」
カロル「で、でも!優しい人間もいるよ?」
ラム「えっ」
カロル「えっ」
416: ◆WEmWDvOgzo:2013/2/19(火) 19:12:14 ID:oXJpTUulPQ
ラム「……」ジーッ
カロル「?」キョトン
ラム「本気で言ってるの?」
カロル「う、うん…」ドキドキ
ラム「……バカみたい」ボソッ
カロル「え?」ドキッ
ラム「なんで人間を庇うのさ?」
カロル「だって…優しい人間もいるから…」シドロモドロ
ラム「だから何?」
カロル「だからって……」
ラム「あいつらが僕たちにしてきた事を考えてみなよ?」
カロル「……」
ラム「なに?いい子ぶってんの?」
カロル「ち、ちが……」
ラム「ふざけんなよ!!」
カロル「」ビクッ
417: ◆WEmWDvOgzo:2013/2/19(火) 19:17:01 ID:VGq6gHEdG.
ラム「お前も知ってるだろ!?
あいつらがどれだけ僕らを苦しめたか…!」
カロル「」ビクビク
ラム「知らないなんて言わせないぞ…!
僕は忘れない…。あいつらから受けた屈辱を…!」
カロル「……なにがあったの?」ビクビク
ラム「なにがあっただって?君も分かるだろ?
今まで生きてきて当たり前に自由があったかい?
ホビットってだけで蔑まれて、傷付けられて…縛られてきたんじゃないの?」
カロル「……」
ラム「人間に差別されたから、こんな寒くて不衛生な森の中に住んでるんじゃないの!?」
カロル「……」
ラム「黙るって事はそうなんだろ!?」
カロル「そう…だね…」
ラム「……ほら、やっぱりそうじゃないか」
418: ◆WEmWDvOgzo:2013/2/19(火) 19:20:48 ID:oXJpTUulPQ
カロル「たくさん傷付けられたよ…。
どこにも住ませてもらえなくて…。ご飯もまともに食べれなくて…。
ボクらに関係ない事もボクらのせいにされて、ぶたれたり、お家を燃やされたり、お母さまも…傷付けられた」
ラム「人間なんて…そんなもんだよ。弱い所を探って奪うのが好きなんだ」
カロル「それでも、ボクは人間を憎みたくない…。
傷付け合うのは違うと思う……」
ラム「キレイな言葉だね。でも抑えられる?」
カロル「うん。憎しみに傷付けられる痛みは知ってるし、お母さまと約束したもの」
ラム「じゃあさっき僕が君を助けなかったら?」
カロル「え?」
ラム「人間に拐われてお母さんにも会えなくなったら君は耐えられる?」
カロル「」ドキッ
ラム「今は悲しくても共有出来る人がいるからいいよ。
でも人間はそれすら奪うんだ」
カロル「そんな……」
419: ◆WEmWDvOgzo:2013/2/19(火) 19:25:44 ID:VGq6gHEdG.
ラム「君はいいよね。僕だって誰かに縋りたいよ。
守られたいし、優しく包まれながら眠りたい」
カロル「ラムくん…」
ラム「怖い。怖いんだ。夜になると。
あといくつの朝を見れるんだろうって。独りが怖くて眠れないんだ」ブルブル
ラム「気を失うまで星を眺めて、ようやく眠りに就くと悪い夢を見て…。
忘れたい過去が僕を蝕むんだよ…」ブルブル
カロル「……」ダキッ
ラム「」ビクッ
カロル「」ギュッ
ラム「なに…?」フルフル
カロル「震えてる…」
ラム「やめろよ。同情なんて…」プイッ
カロル「抱き締められると暖かいよ?
眠れない時、ボクはお母さまに抱き締めてもらうの」
ラム「……別に寒くて震えてるんじゃないよ」
カロル「知ってるよ?」ニコッ
ラム「……」
420: ◆WEmWDvOgzo:2013/2/19(火) 19:32:38 ID:VGq6gHEdG.
ラム「……」ブルブル
カロル「さっきは無神経なこと言ってごめん…。
責めたんじゃないんだ…」
ラム「うん…。なんとなく分かるよ。君は僕より恵まれてるんだろうね…。
心に余裕があるから、誰にでも優しくするんだろ…」
カロル「……うん。ボクにはお母さまがいて、友達もいて、幸せなんだ」
ラム「…全部、僕にはもう無いものだ…」
カロル「無いなら作ろうよ?」
ラム「……どうやって」
カロル「ボクじゃダメかな?」
ラム「……君は人間が好きなんだろ?」
カロル「うん。でも人間だから好きなんじゃないよ?
人間もホビットも同じ。そう思うだけ」
ラム「僕は…好きになれないな」
カロル「……じゃあ、ボクが教えてあげる!人間のいいところ!」
ラム「……」
カロル「ダメ?」
ラム「ダメだなんて…。でも君はいいの?
僕は…とても汚れてるよ?君が想像できないほどに…」
カロル「いいに決まってるじゃない。ボクはキミと友達になりたいもの」
ラム「ほんとに…?」
カロル「それに汚れてたって洗えばいいよ!洗い物は得意なんだ!」
ラム「プッ…なにそれ?」クスクス
カロル「変かな?」ニコニコ
ラム「変だよ!」
アハハハハ!
421: ◆WEmWDvOgzo:2013/2/19(火) 19:36:33 ID:VGq6gHEdG.
ラム「ははは…!こんなに心から笑えるのっていつぶりだろう?」クスクス
カロル「ダメだよ。普段から笑わなきゃ?」ニコニコ
ラム「……うん。君が言うならそうしてみるよ!」ギュゥゥ
カロル「ちょ、ちょっと…苦しい…かも」ムギュ
ラム「あ、ごめん…」パッ
カロル「あ、あはは…。気にしないで?」ニコッ
ラム「…ありがとね。おかげで震えも止まった」ニコッ
カロル「よかった!」ニコニコ
ラム「誰かに抱き締めてもらうなんて…本当に久しぶりだなー」グスッ
カロル「……」
ラム「あ、涙だ…。ふふ。おかしいね?
たったこれだけのことなのに…」
カロル「涙は悲しみも痛みも流してくれるんだって?」
ラム「なにそれ?」グズッ
カロル「友達に教えてもらったんだ!」
ラム「そうなんだ…?」クスクス
422: ◆WEmWDvOgzo:2013/2/19(火) 19:38:00 ID:oXJpTUulPQ
カロル「ボクと一緒に行こう?
ラムくんと友達になったって、お母さまに教えたい!」
ラム「いいの…?」
カロル「うん!」
ラム「……君って不思議だなー。
会ったばっかりなのに自然と信頼できる…」
カロル「そ、そうかなー?」テレテレ
ラム「うん。ふしぎ…」
カロル「えへへ…。なんか恥ずかしいや…」テレテレ
ラム「今日、君に出会えて良かった」
カロル「え?」
ラム「君となら変えられそうな気がするんだ。
イビツで腐りかけた、この世界を…」
カロル「う、うん…?」
ラム「ふふ。君のお母さんに会いに行こう?」
カロル「うん…?」
カロル「(世界を変える…。どういうことだろ…?)」
423: ◆WEmWDvOgzo:2013/2/24(日) 08:22:49 ID:KqTJbdQyF2
――森(枯れた大木)――
母「……坊や?」
母「どこに行ったのかしら…。こんな早い時間に…」
母「坊や?坊やー?」
ガサッ
母「きゃっ!」ビクッ
カロル「おはよう!」
母「ぼ、坊や?もう…。驚かさないで?」
カロル「ふふ。ごめんなさい」ニコニコ
母「…あら、えらくご機嫌ね」ジト
カロル「うん。ちょっとね…」ニコニコ
母「何があったか知らないけど、勝手に出掛けたりしたらダメでしょ?」
カロル「えへへ…。ごめんなさい」
母「……へらへらしながら謝らないの。行儀が悪いわよ?
こんな朝早くからどこに行ってたの?」
カロル「その前に…ちょっといい?」
母「?」キョトン
ガサッ
ラム「」ペコリ
母「……え?」
424: ◆WEmWDvOgzo:2013/2/24(日) 08:25:08 ID:NrNVsrSms6
カロル「紹介するね。友達のラムくんだよ!」
母「(え…?なに?どういうことなの?)」アセアセ
ラム「はじめまして」ペコリ
母「は、はじめまして」オロオロ
ラム「ラムって言います」
母「ど、どうも。礼儀正しいのね?」ニコッ
ラム「いえ、そんな…」テレッ
母「ご、ごめんなさい。ちょっといい?」
ラム「あ、はい…?」
母「坊や…」コショコショ
カロル「?」キョトン
母「……何があったの?ちゃんと説明してちょうだい!」コショコショ
カロル「えっと…起きたら人間に捕まってて…」
母「なんですって!?」ビックリ
カロル「けど平気だよ。助けてもらったんだ!」
母「平気ってあなた…」
カロル「ラムくんが助けてくれたの」
母「あの子が…?」チラッ
ラム「……」
425: ◆WEmWDvOgzo:2013/2/24(日) 08:41:09 ID:KqTJbdQyF2
カロル「それでね。ラムくんもホビットなんだ」コショコショ
母「そうみたいね…」コショコショ
カロル「お話したら知ってる人間を追って旅をしてるって言ってたんだけど…」
母「旅?あの子、親御さんはいないの?
しっかりしてるみたいだけど、まだ一人で旅なんてできる年齢じゃないでしょう?」
カロル「いないんだって…。そう言ってた…」
母「……!そう…そうなの…」
カロル「人間が嫌いなんだって。
だからボク、友達になって人間もホビットも仲良くなれるって教えてあげたいんだ」
母「そうね。坊やは人間と友達になれたものね。
あの子も…ふれ合う喜びを知った方がいいと思う…」
カロル「うん…。あ、それでね。お母さまにお願いが…」
426: ◆WEmWDvOgzo:2013/2/24(日) 08:43:05 ID:NrNVsrSms6
ラム「あの…」
母「あ、ごめんなさい。こっちで話し込んじゃって…」
ラム「いえ、大丈夫です…」
母「坊やを助けてくれたのよね。ありがとう?
お礼が遅くなってしまったけど、気を悪くしないでね?」ナデリ
ラム「……!い、いえ…」ポッ
母「? どうしたの?顔が赤いみたいだけど、熱があるんじゃ…」
ラム「…な、なんでもないです」プイッ
母「あ…。ひょっとして触られるのは嫌いだったかしら?」
ラム「そ、そんなこと…ないです!」
母「そう…?」
ラム「(母さんにも、よく撫でてもらったっけ…)」
427: ◆WEmWDvOgzo:2013/2/24(日) 08:45:40 ID:NrNVsrSms6
カロル「えと…お母さま」
母「坊やもちゃんとお礼言ったの?」
ラム「はい。助けた時に言われました」
母「そう。それならよかった」ニコリ
カロル「ねぇ。お母さま、お願いがあるんだけど…」
母「なに?」
カロル「向こうにケガをしてる人間がいるんだ。助けてあげたい…」
母「…人間が?」
カロル「お母さましか頼れないんだ。ダメかな?」ジーッ
母「……困ってる人を放っておく訳にはいかないわね」ニコリ
カロル「……!ありがとう!」パァァ
ラム「ちょ、ちょっと待ってよ!?」
カロル「どうしたの?」
ラム「もしかして…さっきの人間を助けるの?」
カロル「うん。あのままにしておけないもの」
ラム「それじゃ僕が君を助けた意味がないじゃないか!
あの人間は君を浚おうとしたんだよ!?」
カロル「そうだけど…」
428: ◆WEmWDvOgzo:2013/2/24(日) 08:51:45 ID:KqTJbdQyF2
母「…人間のケガはあなたが負わせたの?」
ラム「え?だって…相手は人間ですから…」
母「他にも解決する方法はあったんじゃないかしら…」
ラム「そんなの…どうやって…」
母「…話せば分かるかもしれないし、隙を見て逃げてもよかったと思うの」
ラム「…僕を責めてるんですか?」
母「あ、いえ…そんなつもりじゃないのよ…。ごめんなさい」
ラム「……」
カロル「えと、ボクは助かったし、感謝してるよ…?」
ラム「そういう問題じゃないよ…」
カロル「じゃあ…何がいけないの?」
ラム「…もしかしたらあの人間は君を拐って、別の人間に売ったかもしれない。
そうなったらどんな目に合っていたか分からないんだよ?」
カロル「でもそうはならなかったでしょ?」
ラム「君が言ってるのは結果だろ!?」
カロル「……」
ラム「君は人間に抵抗が無いかもしれないけど、僕は違う!
僕は…人間なんて助けたくない…!」
429: ◆WEmWDvOgzo:2013/2/24(日) 08:56:44 ID:KqTJbdQyF2
カロル「…そっか。じゃあボクとお母さまで行くからラムくんはここで待ってていいよ」
ラム「どうしても行くのかい?助けたって…また連れ去ろうとするかもしれないよ?」
カロル「心配ないよ。そしたら逃げるから。こう見えて足は早いんだ?」ニコッ
ラム「……」
母「ラムくん。あなたの気持ちはとてもよく分かるのよ」
ラム「……」
母「今まで辛い事も多かったと思うわ?
でもね、許す事も必要よ?
たとえ傷付けられた相手でも、傷付けてしまった相手でも、どちらかが許してあげないと傷は癒されないもの」
母「その傷は一生残したままになるかもしれない。」
ラム「……」
母「傷付け合う関係なんて、お互いに悲しいでしょう?」
ラム「…僕たちは傷付けたりしないのに、人間は僕たちを傷付けた…」
母「そうね…。それでも許す心を否定しないであげて?」
ラム「……」
母「ね?」ニコリ
ラム「分かりました…」
母「…ありがとう?」イイコイイコ
ラム「いえ…」
カロル「……」ニコッ
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