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少年「ボクが世界を変えてみせる」
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1:🎄 名無しさん@読者の声:2012/12/23(日) 21:21:41 ID:apUuk9iOiY
むかしむかしのことです。
世界は深い緑が生い茂り、深い青が寄り添うように流れる清らかな一つの円でした。
穢れを知らず、怒りも悲しみもなく、渇くことのない喜びが波立てる大地は
争いを寡黙に、繋がりをおおらかにしました。


312:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/1/25(金) 23:50:49 ID:D9txi/yolg
>>298
支援ありがとうございますm(__)m
あまりに嬉しいお言葉で仕事の休憩中に何度も読み返してしまいました…。
見てくれてる方がいただけでなく、すごく好きだなんて感激の海に溺れそうです(笑)

展開としましては最初からえげつない方向で進める気でいました。
ほのぼのを期待させてしまったなら申し訳ありません…。
一応重すぎないようにほのぼの部分も含めて書くつもりです。

313:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/1/27(日) 00:34:20 ID:OVSWlYCIKk
――村(夜)――
パッチ「……もう帰ろうよ?」

ルーボイ「……」ボーッ

パッチ「ルーボイくん?」

ルーボイ「え?あ、あぁ…」

パッチ「心配なのは分かるけど…」

ルーボイ「…別に」

パッチ「大丈夫だよ。だって約束したじゃないか?」

ルーボイ「分かってるよ…」

パッチ「ほら、もう帰ろうよ?」

ルーボイ「……」スクッ
314:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/1/27(日) 00:36:13 ID:OVSWlYCIKk
パッチ「お父さんたち、きっとカンカンだろうなー?」

ルーボイ「あ…そういやそうだったな…!」ギクッ

パッチ「抜け出して遊びに行ったの忘れてたの?」

ルーボイ「わ、忘れてねーよ!」

パッチ「そっか。じゃあまた明日ね?」

ルーボイ「お、おい!」

パッチ「ん?なに?」キョトン

ルーボイ「もう帰るのかよ?」

パッチ「うん。これ以上遅くなったらまずいから」

ルーボイ「…まだいいだろ?」

パッチ「ルーボイくん…もしかして怒られるのが怖いの?」

ルーボイ「はぁ!?怖くねーし!」

パッチ「ならいいじゃん。ばいばい」スタスタ

ルーボイ「いや、待てよ!」ガシッ
315:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/1/27(日) 00:37:27 ID:.f1NH6m4X6
パッチ「もう…なんなのさ?」

ルーボイ「付いてきてくれよ…」

パッチ「えっ」

ルーボイ「家まで付いてきてくれって言ってんだよ!」

パッチ「な、なんでボクが…?」

ルーボイ「お前がいた方が父さんも怒らないかもしんないだろ?」

パッチ「なんだよ、やっぱり怖いんじゃないか!?」

ルーボイ「う、うるせー!いいから来いよ!」

パッチ「やだよ!ボクまで怒られるかもしれないだろ!?」

ルーボイ「なんだよ、いいじゃねーか!」

パッチ「ルーボイくんのお父さんに怒られて、また自分の家で怒られるなんてイヤに決まってるじゃんか!」

ルーボイ「あー!もう!いいから来いって!」ガッ

パッチ「な、なにすんだよ!」

ルーボイ「ほら!行くぞ!」グイッ

パッチ「うわっ!や、やめてよ!一人で怒られればいいじゃないかー!」ズルズル

村の青年「おい、お前ら何やってんだ!?」

ルーボイ&パッチ「」ビクッ
316:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/1/27(日) 00:42:03 ID:.f1NH6m4X6
ルーボイ「あ、なんだ。魚屋のテパ兄ちゃんか」

テパ「なんだってこたないだろ!?」ズルッ

パッチ「お父さんたちじゃなくてよかったね?」

ルーボイ「ホントだよ。びっくりしたっつの」プンプン

テパ「お前ら今までどこほっつき歩いてたんだ!?」

ルーボイ「なんだよ、兄ちゃんには関係ないだろ?」

テパ「バカ野郎!とにかく来い!!」グイッ

ルーボイ「お、おい!何すんだよ?」ズルズル

パッチ「わっ!ちょ、ちょっと…」ズルズル
317:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/1/27(日) 00:44:41 ID:OVSWlYCIKk
――村長の家――
テパ「村長!二人を見つけました!」

村長「おぉ。見つかったか!」

テパ「えぇ。公園にいたみたいで」

村のおばさん「あんたたち、無事で良かったねぇ?」

ルーボイ「な、なんなんだよ?」

パッチ「さぁ?なんでみんな集まってるんだろ?」

村の大人3「パッチ!!」

パッチ「あ、お父さん…」

村の大人3「おまえ…!」

パッチ「あ、えと、その…ご、ごめんなさい」ゴニョゴニョ

村の大人3「無事だったんだな!?」ダキッ

パッチ「わっ!?」ギョギョッ

村の大人3「怖かったろう?ケガはないか?」

パッチ「怒って…ないの?」パチクリ

村の大人3「あぁ。お前が無事ならそれで良い…」ギュッ

パッチ「ぶ、無事ならって…言ってることがわからないよ…?」

村の大人3「大丈夫だ。もう安心だからな?」

パッチ「お父さん…?」
318:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/1/27(日) 00:46:41 ID:OVSWlYCIKk
ルーボイ「…訳わかんねぇ」ポカーン

村長「ルーボイ君、今回の事は残念だったね…」

ルーボイ「え?なにが?」

村長「信じられないのも無理はない…。
受け入れるまで時間が掛かるだろうが心を強く持つんだぞ…?」

ルーボイ「待ってよ、おっちゃんの言ってる意味がわかんねぇよ」

村長「まさか君は何も知らないのか?」

テパ「…さっきまでパッチの奴とじゃれ合ってましたから、多分なにも知らないんだと思います」

村長「そんなはずは…彼らは教会に行っていたんじゃないのか?」

テパ「ダンさん(※大人3)の話だと、そう言ってましたが…」

ルーボイ「……なんだ?」キョトン

村長「ルーボイ君、信じられないかもしれないが、よく聞いておくれ?」

ルーボイ「う、うん」

村長「君のお父さんは殺されてしまったんだ…」

ルーボイ「えっ」
319:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/1/27(日) 00:48:49 ID:.f1NH6m4X6
ルーボイ「ウソ、だろ?」

村長「……」フイッ

ルーボイ「ウソだよね?なぁ、ウソなんだろ?」アセアセ

村長「………」

ルーボイ「おっちゃん…?」

テパ「本当だよ、ルーボイ」

ルーボイ「兄ちゃん…?」クルッ

テパ「大人2さんは殺されたんだ」

ルーボイ「……な、なんで…」ワナワナ

村のおばさん「森の中で大人1も大人2も死んでたのさ。
傷から見て、誰かに刺されたんだろうって話だよ…」

ルーボイ「……」フルフル

テパ「…気の毒だけど、全部本当なんだ」

ルーボイ「…母ちゃんは?」

テパ「家にいるよ。ショックが大きかったみたいだ…」

ルーボイ「じゃあ母ちゃんに聞いてくる」

テパ「聞いてくるって…何をだ?」

ルーボイ「へへっ!みんなして俺をからかってんだろ?
勝手に遊びに行ったから、驚かせようとしてんだ!
いたずら好きな父ちゃんの考えそうなことだぜ!」ニカッ

テパ「ルーボイ…」

村のおばさん「……」
320:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/1/27(日) 00:49:43 ID:.f1NH6m4X6
村長「ルーボイ君、悪いが…」

ルーボイ「俺帰るよ!パッチもまたな!」ダッ

パッチ「と、父さん。いい加減はなし……へ?」

ダン「はは。すまんすまん」スッ

テパ「あいつ……」

村長「やはり、言うべきではなかったか…」

村のおばさん「しかたないさね。どうせ嫌でも知る事になんだから…」

村長「それもそうだな…」

ダン「今は無理でも、あの子も徐々に分かるでしょう」

パッチ「ねえ?さっきからなんの話してるの?」

ダン「あの子の父親が殺されたのさ…」

パッチ「へっ…?」

ダン「あいつらは俺の古い友人でもあった。
俺は…殺した奴を絶対に許さないぞ」

テパ「そうっスね。許せませんよ…!」グッ

パッチ「(ルーボイくんのお父さんが…?)」
321:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/1/27(日) 00:50:51 ID:OVSWlYCIKk
――ルーボイの家――
ルーボイ「」ガチャッ

ルーボイ「ただいま…」

大人2の妻「…おかえり」

ルーボイ「…なぁ、母ちゃん」

大人2の妻「なに…?」

ルーボイ「ウソ…だよな…?」

大人2の妻「…聞いたのかい?」

ルーボイ「村長たちが言ってた…」

大人2の妻「そう…」

ルーボイ「…ホントなの?」

大人2の妻「そんな事、母ちゃんの口から言わせないでおくれ…」

ルーボイ「そんな…」ズーン
322:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/1/27(日) 00:51:46 ID:OVSWlYCIKk
大人2の妻「おまえだけでも無事で良かったよ…」ニコッ

ルーボイ「」ウルッ

大人2の妻「……」

ルーボイ「ぅ……」ブワァッ

大人2の妻「おいで、ルーボイ」

ルーボイ「ひっく…えぐ……」スタスタ

大人2の妻「これからは寂しい思いをするかもしれないけど、強く生きようね…?」ダキッ

ルーボイ「うぁぁ………」ポロポロ

大人2の妻「いっぱい泣きな。あたしはもう渇れちゃったから、泣いてあげられないんだよ…」ヒシッ

ルーボイ「なんでだよ…。父ちゃんの…ばかやろー!!」ポロポロ

大人2の妻「……」ナデナデ
323:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/1/27(日) 16:50:04 ID:TbIaTri9k.
――村長の家――
パッチ「ルーボイくんのお父さん、死んじゃったんですか…?」

村長「あぁ。その件なんだが、君たちは本当に何も知らないのか?」

パッチ「知りません。ボクらは遊びに行ってましたから…」

ダン「あれだけ言い聞かせたにも関わらず、な」

パッチ「……」シュン

村長「まぁいい。実は旅の人が教えてくださってね。
教会に用があって森を歩いてたところで、たまたま二人の骸に出くわしたらしい」

パッチ「旅の人って…?」

ガチャッ

旅人「俺のことさ」

パッチ「」ビクッ

旅人「ん?君はさっきの…」
324:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/1/27(日) 16:52:48 ID:NaSHqV57P6
旅人「奇遇だねぇ?」ニコッ

パッチ「あ、あぁ……」アタフタ

村長「どこかで会われたので?」

旅人「まぁ。教会に向かう道すがらね」

村長「なんと…やはり教会に行ってたのか?」

パッチ「違います!ボクは…」

旅人「森にカリアムの花を取りに行ってた。そうだろ?」

パッチ「は、はい…」

旅人「ところで君と一緒にいた少年は?」

パッチ「え?」

旅人「あの子だよ、ほら〜?頭巾を被った子がいただろ?」

パッチ「あ……」

パッチ「(カロルくんの事だ…)」
325:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/1/27(日) 16:55:38 ID:TbIaTri9k.
ダン「頭巾だと?まさか…!」

旅人「心当たりが?」

ダン「あぁ。おそらく村に忍び込んだ例のホビットだろう。
息子たちはそいつに騙されてんだ」

旅人「ほっほーう?なぁるほどねぇ?」ニヤリ

パッチ「ち、ちが…」

村長「それはどういう事だ!?」

パッチ「」ビクッ

ダン「……」

村長「子供とはいえ、村人までがホビットに毒されたなどと知れれば、いよいよタダでは済まんぞ!?」

ダン「だから…さっさと、あのホビットも宣教師も始末するべきだと言ったんだ!
それをあんたがモタモタやってるから…!」

村長「モタモタも何も話し合ったのは昨日の夜だろう!?
そんな早急に対応出来るか!」

ダン「し、しかし…!」

村長「…いつからだ?」

ダン「……昨日の朝です。あの宣教師に連れられて…」

村長「なるほどな。お前が焦っていたのも納得だ…」

ダン「申し訳ない…」
326:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/1/27(日) 16:59:03 ID:NaSHqV57P6
村長「……どうしたものか」

旅人「あぁ〜。もういいかな?」

村長「はっ!す、すみませんな。内々の話で止めてしまいまして…」

旅人「いやいや、結構結構クックドゥルドゥーですよ」

村長「は?」キョトン

シーン

旅人「あらま。ウケなかった?
結構結構コケコッコーと思わせてクックドゥルドゥーと言うジョークだったんですがね?」

村長「は、はぁ…?」

村のおばさん「お、おほ。おほほ…。お、おもしろいジョークですこと…」ヒクヒク

テパ「(なに言ってんだ、こいつ?)」
327:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/1/27(日) 17:02:51 ID:NaSHqV57P6
旅人「まぁジョークはこの辺にしておいて、パッチ君って言ったかな?」

パッチ「は、はい」ドキッ

旅人「君はなぜホビットの少年といたんだい?」

パッチ「そ、それは…」

旅人「それはって事は、やはりホビットだったのか」

パッチ「あ…ち、違います!」

旅人「今さら隠しても無駄だよ〜?」

ダン「正直に言うんだぞ?」

パッチ「ただの友達です…」

旅人「」ニヤリ

パッチ「」ゾクッ

旅人「ところで取りに行ったお花はどこにあるんだい?」

パッチ「」ハッ

旅人「手には持っていないみたいだし、ポッケの中かなー?」

パッチ「あ、歩いてて落としたみたいです…」ドキドキ

旅人「ホントにぃ?」ジロジロ

パッチ「は、はい」プイッ
328:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/1/27(日) 17:06:15 ID:TbIaTri9k.
旅人「ふーん。そういえばお父さん?」

ダン「なんだ?」

旅人「今日は何か特別なイベントはありますかな?たとえば誕生日とか…」

パッチ「」ギクッ

ダン「……いや、ないな?」

旅人「そりゃおかしいですな?
この子は確かに『父親の誕生日だから花を送る』と、そう話していたんですが?」

ダン「なんだって……?」

パッチ「……」フルフル

旅人「それから村長、カロルという名前の少年は村人の中にいますか?」

村長「はぁ?カロル…ですか?」

パッチ「」ハッ

――回想(>>262-266)――
パッチ「ボクたち、これから森に入ってカリアムの花を摘むんです」

旅人「カリアムの花?なんだね、それは?」

パッチ「親愛の花言葉がある桃色のキレイな花ですよ。
ボクらの村では感謝する人にカリアムの花を送るんです。
今日はお父さんの誕生日ですから。ね?カロルくん?」

カロル「う、うん?そうだよ?」

――――
329:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/1/27(日) 17:13:46 ID:NaSHqV57P6
パッチ「」ガタガタブルブル

旅人「どうなんです?」

村長「そんな子はいませんが…」

旅人「はっはーん!チェックメイトだ!」パチンッ

村長「どういう意味ですかな?」

旅人「この事件、なんとなく読めてきましたよ…」

村長「はい?」キョトン

旅人「まぁとりあえず今日は遅いんで、これくらいにしましょう」

村長「あ、はぁ。それもそうですな」

パッチ「」ブルブル

ダン「…パッチ。大丈夫か?」

パッチ「う、うん…だいじょうぶだよ…」フルフル

旅人「君も帰ってぐっすり寝なさい。よい子はおねむの時間だよ〜?」ニヤニヤ

パッチ「」ビクッ

ダン「…帰るぞ?」

パッチ「うん…」アセアセ

スタスタ ガチャッ バタンッ

330:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/1/27(日) 17:17:01 ID:NaSHqV57P6
旅人「明日の朝、全員を広場にでも集めといてくださいな」

村長「…分かりました」

村のおばさん「分かりましたって、村長。いいのかい?」ヒソヒソ

村長「仕方ないだろう。外の人間とはいえ、あの方以外に証人がおらんのだから」ヒソヒソ

村のおばさん「あたしゃ、あの旅人が怪しいと思うんだけどね…」ヒソヒソ

村長「犯人ならば、わざわざ知らせに来ないだろう?」ヒソヒソ

村のおばさん「そりゃそうだけど…」ヒソヒソ

旅人「まぁまぁ。ご心配なさらず?
必ず答えを見つけますから、じっちゃんの名にかけてね」

村長「(この人のキャラクターが掴めん…)」

旅人「それじゃおやすみなさいっと」ガチャッ

村長「あ、そこはわしの寝室……」

バタンッ

村長「……」

村のおばさん「あたしらも帰ろうかね?」

テパ「そうッスね。じゃあ村長、失礼しますね」

スタスタ ガチャッ バタンッ


村長「……客人とはいえ、妻と同じ寝間で寝かせていいものなんだろうか…?」ウーン
331:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/1/27(日) 17:20:17 ID:NaSHqV57P6
――森――

ビュービュー

カロル「」ブルブル

母「寒いの?」

カロル「ううん…平気…」ブルブル

母「もう…こんなに震えてるじゃない?」ギュッ

カロル「お母さま…?」フルフル

母「こうしてくっつくと、暖かいでしょ?」ニコッ

カロル「うん…ぽかぽかする…」ヌクヌク
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sage:


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