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少年「ボクが世界を変えてみせる」
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1:🎄 名無しさん@読者の声:2012/12/23(日) 21:21:41 ID:apUuk9iOiY
むかしむかしのことです。
世界は深い緑が生い茂り、深い青が寄り添うように流れる清らかな一つの円でした。
穢れを知らず、怒りも悲しみもなく、渇くことのない喜びが波立てる大地は
争いを寡黙に、繋がりをおおらかにしました。


151:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/1/1(火) 19:03:04 ID:PegmcYVJcA
あけましておめでとうございます。
あの…今さらなのですが、登場人物に名前を付けた方がいいでしょうか?
読みにくかったりしませんかね?
152:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/1/1(火) 23:24:01 ID:.cUSspOk4Q
――――
母「……」

少年「宣教師さま、早く帰って来ないかなぁ」

母「そうねぇ。どこに行かれたのかしら?」

少年「帰ってきたら今までちゃんとお話出来なかったから、たくさんお話したいな!」

母「うふふ。そうなさい。宣教師さまも喜ぶと思うわよ?」

少年「えへへ!楽しみ!」

母「」ニコニコ

少年「ねぇ、お母さま!」

母「ん?なぁに…っ…!」ズキッ

少年「お母さま…?」
153:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/1/1(火) 23:25:44 ID:.cUSspOk4Q
母「っ……!」ズキズキ

母「だ、大丈夫よ…どうしたの?」

少年「大丈夫じゃないでしょ!?
だって昨日……!」

母「平気だから…心配しないで?」ニコッ

少年「けど…」

母「あたしはあなたの方が心配よ?
一昨日も、昨日も人間に暴力を振るわれて…」

少年「ボクは平気だよ…」

母「嘘おっしゃい、お腹だってアザだらけで…」

少年「平気だってば。ボクは大丈夫だから…」

母「だめよ、服を捲ってごらんなさい?」

少年「もう…わかったよ」ペラッ

母「ほら、こんなに……え?」

少年「ん…もう、いい?」

母「え、えぇ……」

母「(アザが消えてる…?)」
154:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/1/1(火) 23:27:25 ID:.cUSspOk4Q
少年「ね?平気だったでしょ?」

母「(どういうこと?そういえば一昨日もケガは無かったわね…)」

少年「お母さま?」

母「えっ」

少年「どうしたの?」

母「あ、いや…なんでもないのよ。ごめんなさい」

少年「ボクのおなか、ヘンだったの?」

母「なに言ってるのよ、ヘンなわけないじゃない?」クスクス

少年「よかった!」ニコッ


母「(……あれは癒しの力?
いや、ありえないわよね。そんな力は存在しないはずだもの…。
きっと打ち所がよかったのよ、それともなければ村の人間たちが子供相手だから加減したのか…)」
155:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/1/1(火) 23:29:38 ID:7FwZM..EWU
少年「それにしてもおなか空いちゃったね」

母「…そうね、何か作りましょうか?」

少年「ううん、いいよ。人の物を勝手に使っちゃだめなんでしょ?」

母「うふふ。大丈夫よ?
宣教師様には使っていいと言われてるから」

少年「そうなの?」

母「えぇ。そういえばあなたにビスケットを焼いたって言ってたわよ?」

少年「え?やった!ボク、ビスケット大好き!」

母「うふふ。あなたはホントにビスケットが好きね?」

少年「うん、小さい時に行った町で女の子に貰ったんだ。
それからずっと好き!」
156:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/1/1(火) 23:33:06 ID:.cUSspOk4Q
母「そんな事もあったわね。
あの女の子、どうしてるかしら?」

少年「きっと元気だよ?約束したもん、またねって!」

母「ふふ。それもそうね…。
あの頃はおじいさまも生きてて、家も無くて転々としてたから長居出来なかったけど…」

少年「懐かしいなぁ。
おじいさまに叱られちゃうからあの子にビスケット貰ったのは内緒にしてたんだっけ」

少年「あの女の子とはそれだけだったけど…」

母「…元気だといいわね。
あ、ビスケットは白い棚の2段目にあるそうよ」

少年「わかったー!」タタタッ

母「屋内で走るんじゃないの!」

少年「ご、ごめんなさい…」ピタッ
157:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/1/1(火) 23:36:01 ID:.cUSspOk4Q
――村――
宣教師「……」スタスタ

村娘1「」スタスタ

宣教師「おや、村娘1さん。こんにちは」

村娘1「あっ…宣教師様…こ、こんにちは…」ペコリ スタスタ

宣教師「……?」

ザワザワ ザワザワ
158:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/1/1(火) 23:38:42 ID:.cUSspOk4Q
村のおばさん「聞いたかい?
宣教師様がホビットを匿ってるそうだよ?」

村の青年「えぇ!?そ、そりゃ大変じゃないか!」

村のおばさん「大変なんてもんじゃないわよ!
薄汚いホビットのことさ、家を空けたりしたら食料から家具から盗まれちまうよ!」

村の青年「あっ!そういえば俺、今朝に読もうと思った本が無くなってた!」

村のおばさん「そりゃあんた、ホビットの仕業に違いないよ!」

村の青年「くっそー!まだ読み終わってないのに…許せねぇ!」

宣教師「なんの話ですか?」

村のおばさん「」ビクッ

村の青年「せ、宣教師様…!」

宣教師「事情は知りませんが、勝手な憶測で妙な噂を立てるのはおやめなさい」

村のおばさん「す、すみません」

村の青年「……」

宣教師「いえ、では失礼します」スタスタ

村のおばさん「…聞いたかい!?」

村の青年「あぁ。ホビットを庇いやがった。
宣教師様もなに考えてんだか」

村のおばさん「なにか妖術でも使われて洗脳されちまったんじゃないのかい?」

村の青年「とにかくこりゃ村長に報告しなきゃな!」

村のおばさん「あぁ。ホビットなんかにうろつかれちゃ夜もおちおち寝られやしないよ!」
159:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/1/1(火) 23:42:01 ID:.cUSspOk4Q
宣教師「早速、ですか。これでは広場に行っても子供たちはいなさそうですね」スタスタ

村の大人4「宣教師様だ…」ヒソヒソ

村の大人5「あぁ。あの人ホビットの仲間なんだろ?」ヒソヒソ

村の大人4「迷惑な話だよな」ヒソヒソ

宣教師「(言いたい事があるならはっきり言えばいい。
わざわざこちらを見ながらひそひそと…)」

ヒュッ

宣教師「危ない!? 石…?」チラッ

村のお婆さん「で、でていけぇ!あくちょうめ!」

宣教師「はい…?」キョトン

村娘2「お、おばあちゃん!何してるの!?」

村のお婆さん「えぇい!出ていけ、でちぇいけぇ!」ブンッ

ガッ

宣教師「っ……!」

村娘2「やめなさいよ、おばあちゃん!
ご、ごめんなさい。ほら、行きましょ?」ズルズル

村のお婆さん「でちぇいけぇ!でちぇいけぇ!うすぎちゃないしゅじょくのてしためぇ!」ジタバタ

宣教師「……」

宣教師「」スタスタ
160:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/1/2(水) 00:24:19 ID:CtXxZyuyE.
――広場――
宣教師「さて、思った通り誰もいないみたいですね。
まぁ構いませんがね、これ以上の偏見を子供たちに植え付けるつもりもありませんし」

宣教師「……帰りますか」

村の子供2「宣教師様ー!」タタタッ

宣教師「?」

村の子供3「だ、だめだよ。2くん!お父さんに怒られちゃうよ!」

村の子供2「うるせー!」

宣教師「キミたち、なぜここに…?」

村の子供2「宣教師様、ホビットの仲間ってほんとなの!?」

宣教師「……」

村の子供2「どうなんだよ!?」
161:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/1/2(水) 00:26:34 ID:k4nZjE3vWE
村の子供3「や、やめなよ」アセアセ

村の子供2「お前には関係ねーだろ!」

村の子供3「でもさ…」オロオロ

宣教師「本当ですよ」

村の子供2&3「えっ」

宣教師「正確には仲間ではなく、友達だと思っています」

村の子供2「……」

村の子供3「や、やっぱり…」

宣教師「ですが、たとえホビットと友達だからと言って、キミたちも私の大切な教え子に変わりはありませんよ?」ニコッ

村の子供2「……」

村の子供3「せ、宣教師様……」

宣教師「ここに来たのは今日から聖書の読み聞かせをお休みすると伝える為です」
162:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/1/2(水) 00:29:19 ID:k4nZjE3vWE
村の子供2「な、なんでだよ…」

村の子供3「2くん?」

宣教師「どうしました?」

村の子供2「なんでホビットなんかと仲良くすんだよ!?
ホビットを信じるなって言ったのは宣教師様だろ!」

宣教師「……」

村の子供2「俺やだよ!宣教師様と会えなくなるなんてやだ!」

宣教師「2くん…」

村の子供2「ねぇ!ホビットなんかほっといていつもみたいに聞かせてよ!?
俺、もう話の邪魔したりしないから!」

宣教師「すみません。しかし私はもう布教活動はしないと決めたのです…」オロオロ
163:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/1/2(水) 00:32:06 ID:CtXxZyuyE.
村の子供2「〜〜〜!!」ワナワナ

村の子供3「もうやめなよ…」

村の子供2「なんだよ!お前だって宣教師様が好きだったじゃんか!
いなくなってもいいのかよ!」

村の子供3「ボクだってイヤだよ。けどしょうがないでしょ?」

村の子供2「しょうがないって…なんだよ…」プルプル

村の子供2「う、うぇぇん…うぁぁぁん…!」ブワァッ

村の子供3「……」

村の子供3「……」チラッ

村の子供3「」ギョッ

宣教師「………」ポロポロ

宣教師「き、キミたち…私の事をそんなに……!」ウルウル
164:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/1/2(水) 00:34:31 ID:CtXxZyuyE.
宣教師「わ、私は…私は感動してます…!」グスッ

村の子供2「ちくしょー…ホビットなんていなくなっちゃえばいいのに!」

宣教師「えっ」

村の子供2「だってそうじゃん!あいつらのせいで宣教師様がいなくなるんだろ!?
なんであいつらじゃなくて宣教師様なんだよ!?」

宣教師「べ、別に私には教会に来ればいつでも会えますから…。
彼らを責めるのはお門違いですよ?」アセアセ

村の子供2「ムリだよ!お父さんたちが言ってたんだ!
村人みんなで司祭様に言って布教する人を変えてもらうって!」

宣教師「それは本当ですか?」

村の子供3「うん、ボクのお父さんも言ってたよ…」

宣教師「なるほど、まあ遅かれ早かれこうなるとは思ってましたが、予想以上に対応が早かったですね」

村の子供2「そうなったらもう会えないだろ!?」

宣教師「そうですね、村を離れなければいけませんからしばらくは会えないでしょう」
165:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/1/2(水) 00:37:59 ID:CtXxZyuyE.
宣教師「それでも一生会えなくなるわけではありません」ニコッ

村の子供2「……やっぱり!宣教師様は俺たちなんてどうでもいいんだ!」

宣教師「なっ!なぜそうなるんですか!?」

村の子供2「さっきから普通じゃんか!」

宣教師「ふ、普通…ですか?」キョトン

村の子供3「た、多分落ち着いてるからって意味だと思う」

宣教師「あ、なるほど」ポンッ
166:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/1/2(水) 00:40:12 ID:CtXxZyuyE.
村の子供2「俺、宣教師様とお別れしたくない!
でも宣教師様はいいんだ!へっちゃらなんだろ!?」

村の子供2「俺のことなんて、めんどくさいって思ってたんだ!」

村の子供2「……どうせ…!」ポロポロ

宣教師「…ハンカチを貸しますから、とりあえず拭きなさい」スッ

村の子供2「いらない!」バッ

宣教師「安心なさい。ちゃんと洗ってますし、まだ使ってませんから」

村の子供2「そうじゃない!」

宣教師「え、違うのですか?」キョトン

村の子供2「違うよ!!」プンスカ

村の子供3「あ、あはは……宣教師様ってこういうとこあるよね…」
167:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/1/2(水) 00:42:11 ID:CtXxZyuyE.
宣教師「とにかく涙と鼻水でお顔がぐちゃぐちゃですからお拭きなさい」フキフキ

村の子供2「や、やめろよ!」バッ

宣教師「なら自分で拭きなさい。ほら」スッ

村の子供2「うぅ…わかったよ」フキフキ チーン

宣教師「それでいいのです」ウンウン

村の子供2「んっ!」つ【使用済みハンカチ】

宣教師「ど、どうも……」

村の子供3「うわぁ……」
168:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/1/2(水) 00:45:22 ID:k4nZjE3vWE
宣教師「コホン!一つ言っておきましょう!
先ほども言いましたが私はキミたちを大切な教え子だと思っています!」

村の子供2「嘘っぱちだ…ほんとはどうでもいいクセに」ジト

宣教師「むっ」カチンッ

村の子供2「ビスケットだって、いっつも俺にはくれなかった」

宣教師「あ、あれはキミがお話の邪魔をするから…」

村の子供2「神のご加護、神のご加護って言って手を合わせて祈るだけだったし……」

宣教師「ぐっ…ぐぬぬ!」イラッ

村の子供2「もういいよ、宣教師様なんかどっかいっちゃえ」プイッ

宣教師「や、やっかましぃぃぃ!!!」

村の子供2「」ビクッ

村の子供3「」ビクッ

宣教師「いいから私の話を聞きなさい!!」

村の子供2「は、はい!」ドキドキ

村の子供3「はい…」ドキドキ

宣教師「(司祭様の見よう見まねですが効果バツグンですね…)」
169:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/1/2(水) 00:48:56 ID:CtXxZyuyE.
宣教師「コホン!とにかく先ほどから!何度も!言いますが私はキミたちが大切です!」

村の子供2「じゃ、じゃあどうして…」

宣教師「話は最後まで聞きなさい」

村の子供2「はい…」

宣教師「今からキミたちに最後の教えを説きます」

村の子供2「うん…」

村の子供3「……」

宣教師「今までの私の教えはすべて忘れなさい」

村の子供2&3「えっ」

宣教師「私の教えは忘れた上で、これから教会に来なさい」

村の子供2「な、なんでだよ?」

宣教師「そこに答えはあります。付いてくれば分かりますよ」

村の子供3「ど、どうしよう?」オロオロ

村の子供2「わかった。俺、行くよ」

村の子供3「え、いいの?だって教会にはホビットが…」

村の子供2「いい、ホビットなんか怖くねーもん。
それに宣教師様は今まで教えたこと、忘れろって言った」

宣教師「」ニコッ

村の子供3「で、でも…」タジタジ

村の子供2「イヤなら来んなよ、俺だけ行くから」

村の子供3「わ、わかったよ…ボクも行くよ」

宣教師「ふふ。では行きましょうか」

「ちょっと待ったぁ!!」

宣教師「……?」
170:🎄 ◆WEmWDvOgzo:2013/1/2(水) 23:10:03 ID:TbIaTri9k.
村の大人3「うちの子たちを連れてどこに行くつもりですか?」

宣教師「……」

村の大人3「まさか教会に連れていくつもりじゃないでしょうね?」

村の子供3「お、お父さん…」

村の子供2「……!」

村の大人3「困りますなぁ?勝手なことをされては…」

宣教師「……」

村の大人3「お前たちもこんな所にいないで帰るぞ。
あれほど宣教師様には近付くなと言っただろうが」

村の子供3「う、うん…ごめん…」

村の子供2「……」

村の子供3「2くん?」
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名前:
sage:


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