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少年「ボクが世界を変えてみせる」
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1: 名無しさん@読者の声:2012/12/23(日) 21:21:41 ID:apUuk9iOiY
むかしむかしのことです。
世界は深い緑が生い茂り、深い青が寄り添うように流れる清らかな一つの円でした。
穢れを知らず、怒りも悲しみもなく、渇くことのない喜びが波立てる大地は
争いを寡黙に、繋がりをおおらかにしました。


112: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/30(日) 19:06:07 ID:8X2XsZkcTQ
――森へ続く道――

少年「ふふ…友達、かぁ」

少年「そうだよね、助けてくれて、ビスケット貰ったからって、友達じゃないよね」

少年「ボク、なんにも分かってないや」

少年「遊んでくれた二人に、また笑われちゃうなぁ」

少年「……う、うぅ…」ブワァ

少年「うぇぇん……」ポロポロ

少年「……お母さまに、謝らなきゃ」グスッ
113: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/30(日) 19:07:57 ID:S6udfti/Vo
母「……」タタタッ

母「……!」

メラメラ メラメラ

母「い、家が燃えてる…!?」

母「す、すぐに消し止めなきゃ!」

村の大人2「もう間に合わねぇよwww」

母「」ビクッ

村の大人1「ノコノコ戻って来やがるなんてな、バカなホビットだぜ」

母「な、なんでここが…?」

村の大人3「あぁ。あの旅人の言う通りだったな?」

村の大人2「おかげで薄汚いホビットを一掃できるぜwww」

母「(旅人?まさかあの時の…)」
114: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/30(日) 19:10:11 ID:8X2XsZkcTQ
母「この火はあなたたちが…?」

村の大人1「そうだよ、キレイに燃えてんだろ?」

村の大人2「まさか森に隠れているたぁな、ずる賢い奴らだぜ」

母「なぜ…あたしたちが何をしたって言うの?」

村の大人2「なに言ってんだ?
お前らは生きてるだけで罪なんだよwww」

村の大人1「宣教師様も火を放つべきだと言ってたからな。
教団の方々も喜んでくれんだろ?」

村の大人3「あぁ。何事も早め早めの内がいい」

母「(もう、おしまいね…)」

母「(せめて…あの子だけは…)」
115: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/30(日) 19:11:31 ID:8X2XsZkcTQ
村の大人2「おい!ガキはどうした!?」

母「なにを…言ってるの?
あたしに子供なんていないわ」

村の大人3「しらばっくれても無駄だ。
昨日ホビットのガキを捕まえて袋叩きにしてやったんだからな」

母「あなたたちの勘違いじゃないかしら?
あたしは独り身よ?子供なんていない」

村の大人1「てめぇ!!」バッ

村の大人3「まぁ落ち着け。ここで待ってりゃどの道ガキも現れる」

母「……!」

村の大人1「それもそうだな」
116: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/30(日) 19:13:44 ID:8X2XsZkcTQ
母「……いいわよ、好きなだけ待ってればいいじゃない?」

村の大人1「あ?」

母「待っていてもそんな子供は来ないわ。
せいぜい時間を無駄遣いするのね」ヒラヒラ

村の大人1「てめぇ…!」ギリッ

村の大人3「挑発に乗るな、ただの強がりだ」

村の大人1「……ちっ」

母「(大丈夫…あの子は教会にいるはず……)」

村の大人2「だがよ、ただ待ってるのもつまらねぇと思わねぇか?」

村の大人1「……?」

村の大人2「おいおい、分からねぇのかよ?
ホビットとはいえ女だぜ?」ニヤリ

母「あなた…なにを言って…?」
117: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/30(日) 19:14:54 ID:8X2XsZkcTQ
村の大人2「へっへっへ!ホビットは見た目だけは美しいからな。
大国のお偉いさんなんかは愛玩用に飼ってるって話だ」

村の大人3「そうだな、せっかくだしヤっとくか?」

母「なっ……!あなたたち、本気で言ってるの!?」

村の大人2「本気も本気www」

村の大人3「本気と書いてマジと読む」

村の大人1「おいおい、俺たちには妻も子供もいるんだぞ!?」

村の大人2「でもでもでもでも〜?」

村の大人3「関係ないから〜関係ないから〜」

村の大人2「Let's Party Night!Here We Go!」
118: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/30(日) 19:17:50 ID:8X2XsZkcTQ
母「」ダッ

村の大人3「おっと、逃がさねぇよ」グイッ

母「っ……!」

村の大人2「はいはい脱ぎ脱ぎしましょうねぇwww」バッ

母「最低よ…!」

村の大人3「ホビットに言われちゃおしまいだ」ニヤニヤ

村の大人1「おい、やめろ!そんなもん相手にしたら汚れちまうぞ!」

村の大人2「うるせぇなぁ。嫌ならお前はヤんなきゃいいじゃねぇか?」

村の大人1「……好きにしろ!」

村の大人3「ガキが戻って来たら見せつけてやるか?」

村の大人2「そりゃいいやwww」
119: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/30(日) 19:19:25 ID:S6udfti/Vo
母「あんたたち…こんな事して恥ずかしくないの!?」

村の大人2「バーカ!これからお前が恥ずかしい思いをすんだよwww」モゾモゾ

村の大人3「それにしても…うちの女房とは大違いだな」ゴクリ

村の大人2「おい、お前カミさんに言い付けんぞwww」

村の大人3「ははっ!勘弁してくれ」

母「(神様…どうか…)」

母「(あの子だけでも…)」
120: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/30(日) 19:20:39 ID:8X2XsZkcTQ
――森の道――
少年「」タタタッ

少年「家に帰らなきゃ…」

少年「お母さまに謝るんだ!」

少年「それで、また…」

少年「」ピタッ

少年「許して、くれるかな…」

イヤァァァァァァ!!!

少年「」ビクッ

少年「お母さま…?」

少年「……!」タタタッ
121: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/30(日) 19:21:50 ID:S6udfti/Vo
母「いやぁぁぁぁ!!!」ジタバタ

村の大人3「うるせぇ!!じたばたすんな!」バキッ

母「うっ……」

村の大人2「へへっ!にしてもこいつはいいや!
人間の女とは大違いだ!」パンッパンッ

母「お願い…もう、やめて…」

村の大人2「でもでもでもでも〜?」

村の大人3「関係ないから〜関係ないから〜」ベロンチョ

村の大人2「Oh!Let's Party Night!」パンッパンッ

母「ひっ……」

村の大人1「……こいつら、司祭様にバレたら大変だぞ」

ガサッ

村の大人1「」ビクッ
122: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/30(日) 19:23:42 ID:8X2XsZkcTQ
少年「お母…さま…?」

村の大人1「お、お前はあん時のガキ!?」

母「え…」

少年「お母さまに…何してるの?」ワナワナ

村の大人3「ようやく来たか」モミモミ

村の大人2「おいガキ!いいもん見せてやんからこっち来いよwww」パンッパンッ

母「だめっ!だめよ!逃げなさい、坊や!」

村の大人3「てめぇは黙ってろ!」ゴッ

母「きゃっ……」

少年「お、お母さまをいじめるな!」ダッ

村の大人1「おっと、待ったぁ!」パシッ

少年「は、離せ!離してよ!?」

母「坊や!あたしはいいから早く逃げ……」

村の大人3「黙れってのが分からねぇのか!」ドフッ

少年「やめろ!」グッ

村の大人1「暴れんじゃねぇよ!」ガンッ

少年「うぁっ…!」ドサッ

村の大人1「てめぇはここでおとなしく見てろ」ガシッ

少年「うっ……」
123: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/30(日) 19:26:09 ID:S6udfti/Vo
村の大人2「ほーれ、こっちも再開だwww」パンッパンッ

母「いやぁぁぁぁ!!」

少年「やめろ!やめろよ!?」

アッ イヤッ ギャハハハハ パンッパンッ
イヤァァァァァァ!!!

少年「お願い…だよ…」

村の大人1「黙って見てろよ、なかなか出来ねぇ体験だぜ?」ニヤニヤ

少年「こんなの…あんまりだ…」ポロポロ

少年「(ボクが…友達なんて欲しがったから……)」
124: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/30(日) 19:27:47 ID:8X2XsZkcTQ
――事後――
村の大人2「ふい〜…もうすっからかんだぜ」

村の大人3「てめぇは出し過ぎだ」

母「」グッタリ

少年「……」シクシク

村の大人1「終わったんなら、そろそろ連れてくか?」

母「……」

少年「お母…さま。大丈夫?」

母「だい…じょうぶよ…心配しないで…」ニコッ

少年「そんな…そんな筈ないよ…」

村の大人3「そうだな、あの旅人に引き渡すか」グイッ

母「ひっ…!」

少年「や、やめて!もうお母さまをいじめないで!」

村の大人2「バーカ!お前も行くんだよwww」

村の大人1「しっかしホビットを高値で買おうなんて、奇特な旅人もいたもんだ」

村の大人3「おおかた娼婦にでもするつもりだろう。
これだけの上玉だ、ホビットと言えどそこそこの値は付くはずだぜ」

村の大人2「世の中変態が多いんだなwww」

宣教師「待ちなさい!」

村の大人1&2&3「」ビクッ
125: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/30(日) 19:29:33 ID:8X2XsZkcTQ
村の大人1「せ、宣教師様…!」

少年「……宣教師さま、どうして?」

宣教師「あなたたち、何をしているのですか!?」

村の大人1「そ、それは…」

村の大人2「何と言われちゃー…。
ちょ、ちょいとナニをね…タハハ!」ヘラヘラ

村の大人1「バカ野郎!」ゴンッ

村の大人2「あたっ!」

宣教師「煙が上がっていたので来てみれば、なんという事を……!」

村の大人3「何か問題でも?」

村の大人1&2「えっ」
126: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/30(日) 19:30:57 ID:8X2XsZkcTQ
宣教師「問題…?あなたは自分のした事を分かっていないのですか!?」

村の大人3「我々はただ神の教えに従い、罪深きホビットに罰を与えていただけですが?」

宣教師「なんですって?
幼子の前で、親を犯すのが罰だと言うのですか!?」

村の大人3「これは宣教師様のお言葉とも思えませんな?
昨日の暴力を咎めないのなら、これもまたありなのでは?」

宣教師「……!」ギリッ

村の大人3「では我々は失礼します。おい、さっさと来い!」グイッ

母「いやっ!」

少年「せ、宣教師さま…!」ジッ
127: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/30(日) 19:33:22 ID:S6udfti/Vo
宣教師「分かりました」

村の大人3「さすが宣教師様、物分かりが良くて助かります。
ほら!来いっつったら来るんだ!」グイッ

母「や、やめて…!」

少年「そ、そんな…」

宣教師「ただしその親子は置いていきなさい」

村の大人3「なっ…」

宣教師「すでに十分な罰は与えたはずです」

村の大人3「バカなっ!こいつらはホビットだ!
罰に際限なんかあるか!?」

宣教師「私の言う事が聞けないのですか?」

村の大人3「あぁ。聞けねぇな!」

村の大人2「そ、そうでさぁ。こいつらは高値で売れるんだ!」

宣教師「あなたたちの事情は知りません。
私がホビットを管理すると言っているのです」

村の大人3「そんな事が…許されるわけ……」

宣教師「構いませんよ?
従えないと言うのなら司祭様に報告するまでです。
そうなれば我が教団によるこの村への援助は絶たれ、村長の怒りを買うのはあなた方でしょう」

村の大人1「うっ…」

宣教師「それでも一時の富を選ぶというのであればお好きになさい。
三等分した上で家族を養う事を考えれば雀の涙程度の額でしょうがね」

村の大人3「ち、ちくしょう…」スッ

宣教師「最初から言う通りにしていればいいのです」
128: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/30(日) 19:35:34 ID:8X2XsZkcTQ
村の大人3「あんた、タダで済むと思うなよ?」

宣教師「噂でもなんでも広めればいい。
心貧しき人間にはお似合いです」

村の大人3「くそっ!覚えてやがれ!」ダッ

村の大人2「あっおい!待てよ!?」ダッ

村の大人1「……宣教師様…俺は悲しいですよ」

宣教師「……」

村の大人1「もう今まで通り村にいられるとは思わない事ですね」ダッ

宣教師「………」
129: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/30(日) 19:37:04 ID:S6udfti/Vo
宣教師「」クルッ

母「」ビクッ

少年「宣教師さま…!」

宣教師「大丈夫ですか?」スッ

母「えっ」

宣教師「? どうしました?」

母「手を…差し伸べてくださるのですか?」

宣教師「えぇ。私は神に仕える者。
すべての命を平等に扱いますよ?」ニコッ

母「……あぁ…」ブワァ

少年「うっ…うぇぇ…」シクシク

宣教師「辛かったでしょう…。
今ある悲しみも、痛みも流してしまいなさい。
あなたたちの尊い涙を神は見てくださっています」

母「あぁぁぁぁ……!」ポロポロ

少年「うっ…うぇっ…」ポロポロ
130: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/30(日) 19:40:02 ID:8X2XsZkcTQ
少年「宣教師さま、ありがとうございました!」

宣教師「いえ、礼を言われるような事など…」

母「うぅ……」ポロポロ

少年「ほら!お母さまもお礼しなくちゃ!ね?」

母「そうね、ごめんなさい…。
ありがとうございます。本当に感謝しております…」

宣教師「いえ、お礼を言うのはこちらの方です。
そして同時に、あなたたち親子に謝らなければなりません」

母「そんな…とんでもありませんわ!」

少年「そうだよ!宣教師さまはボクとお母さまを助けてくれたんだ!」

宣教師「……先ほどはキミに酷い言葉をぶつけました。
それに…私は昨日、何もせずに見ていただけです」

母「……」
131: ◆WEmWDvOgzo:2012/12/30(日) 19:43:03 ID:S6udfti/Vo
宣教師「ここから上がる煙に私がいち早く気付いていれば、
キミのお母様も、キミもこんな目に遭わずに済んだかもしれません…」

少年「……」ギュッ

母「そんな…お気になさらないでください。
こうなったのは宣教師様のせいではなく、あたしの不注意ですから…」

宣教師「違う…私はこんな事が言いたいのでは…」

母「……?」

宣教師「とりあえず今日のところは私の教会へ泊まりなさい」

母「まぁ!そんな、いけませんわ!
教団の方があたしたちを招けば人々になんて言われるか…!」

宣教師「問題ありません。
教えに背いた私はどのみち破門になります。
そうなれば村人の目はあって無いようなもの」

母「そうなればあなたまで迫害を受けてしまいますわ!?」

宣教師「……それも、問題ありませんよ」

母「えっ?」

宣教師「さ、汚れてしまった衣服やお体を清めなければならないでしょう?
夜も深まりましたし、早く教会へ行きましょう」

母「……」ペコリ

少年「宣教師さま…ありがとう!」

宣教師「……!」

宣教師「いえ、気にしないでください」ニコッ
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名前:
sage:


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