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3センチメンタル・ヤング・ピーポー
[8] -25 -50 

1: :2012/1/28(土) 22:24:39 ID:kbMCzVk3I2

高校生の馬鹿馬鹿しくて、

ちょっぴりセンチメンタルな

青春グラフィティ───開幕。



※登場人物が増える予定の為、名前を付けています。




934: ◆UTA.....5w:2012/7/13(金) 19:31:24 ID:ekiZWtbcuU

とある森の中に、それはそれは立派なお城がありました。

其処に住んでいるのは、二人の姉に虐められる可哀想な一人の少女。


一年女子「ちょっと、ちゃんと掃除してよねー!」

一年女子「今夜は舞踏会なんだぞww綺麗にしなきゃ怒っちゃうぞww」

清瀬(……何やこれ、夢?)

一年女子「早くしなよシンデレラ!」

清瀬「は、はいっ…!」


彼女の名前はシンデレラ。

真面目で大人しい、普通の女の子です。


【おとぎの国の清瀬さん】



935: ◆UTA.....5w:2012/7/13(金) 19:37:04 ID:5p4jzTnu52

清瀬(舞踏会かあ……)


今夜はお城で舞踏会。

イケメンと噂の王子様も出席するらしく、城の者達は挙って準備に取り掛かっていました。


清瀬(王子様、どんな人なんやろか)

清瀬(……会ってみたかったな)シュン


シンデレラは舞踏会に出席する事が出来ません。

何故なら、彼女には舞踏会に出る為のドレスがないからです。

嗚呼、可哀想なシンデレラ。



936: ◆UTA.....5w:2012/7/13(金) 19:37:47 ID:5p4jzTnu52

その時でした。


\ パアァァァ… /

清瀬「ひゃっ……眩し…!」


目映ゆい光に包まれて、誰かが目の前に現れたのです。

黒いローブに身を包んだ、すらりと背の高いロングヘアーの少女。

その姿は、まるで──


鈴木「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン」

清瀬「す、鈴木さん?どないしたん、魔女みたいな格好して」

鈴木「鈴木?私の名前は魔女でも鈴木でもないよ」

清瀬(どう見ても鈴木さんやのに……)


937: ◆UTA.....5w:2012/7/13(金) 19:41:32 ID:ekiZWtbcuU

鈴木「私は魔法使い。君に魔法を掛けてあげる」

清瀬「魔法使い……?」

鈴木「そう、魔法使い」


そう言いながら、魔法使いはステッキを一振りしました。

魔法使いの振るったステッキの先端からは虹色に輝く光の粒が溢れ、あっという間にシンデレラを包み込みました。

余りに目映ゆい明滅に目を閉じるシンデレラ。彼女が目を開けた時には、今までの薄汚れた姿は何処にもありませんでした。


清瀬「……な、何これ」

鈴木「何って、見たままだけど」


938: ◆UTA.....5w:2012/7/13(金) 19:43:20 ID:5p4jzTnu52

身に纏っていたのは、ケープの付いた赤いずきんと、エプロンドレス。

腕にはパンやぶどう酒が入ったバスケットがありました。


清瀬「あの、でもこれ……ドレスは……」

鈴木「ドレス?これをお祖母さんへ届けに行くんでしょう?」

清瀬「へ?うち、舞踏会に……」

鈴木「何言ってるの、赤ずきん。お祖母さんを見舞いに行くなら早くしなきゃ、日が暮れちゃうよ」


そうでした。彼女の名前は赤ずきん。

風邪を引いてしまったお祖母さんの、お見舞いに行くところだったのです。



939: ◆UTA.....5w:2012/7/13(金) 19:44:57 ID:5p4jzTnu52

清瀬「あわわ、どないしよ……すっかり忘れとった!魔法使いの鈴木さん、ありがとう!」タタタッ

鈴木「行ってらっしゃい、赤ずきん。狼さんに気を付けてね」


赤ずきんは魔法使いにお礼を言うと、お祖母さんの元へと急ぎました。

空の青色はすっかりオレンジ色に染まっています。

お腹を空かせて待っているだろうに、悪い事をしてしまった。後悔の念は、赤ずきんの足を速めました。


清瀬「お祖母ちゃん、遅くなってごめんなさい!」


赤ずきんがお祖母ちゃんの家に辿り着いたのは、お星様が薄らと輝きだした頃でした。

暗がりの部屋の中、お祖母さんはベッドに横になっていました。



940: ◆UTA.....5w:2012/7/13(金) 19:46:31 ID:ekiZWtbcuU

可哀想なお祖母さん、ベッドから起き上がる事も出来ないのでしょう。

鼻まで布団を被り、小さく手を振って赤ずきんに応えました。

だけど、何処か可笑しいのです。


清瀬「お、お祖母ちゃん……なんかいつもより、大きない?」

橘「心配するな。お前の気の所為だ」

清瀬「いつもより、声も低いんやけど……」

橘「馬鹿かお前。俺は風邪を引いてるんだぞ。喉くらい潰れるだろうが」

清瀬「お、俺?ちゅうか、どう見ても橘くん、なんやけど……」

橘「あー、もう!いちいち喧しいガキだな、お前は!この展開はどう考えても狼だろ!」ガバッ

清瀬「ひっ……ごめんなさい!」


なんと、ベッドから起き上がったのはお祖母さんではなく、狼でした。

悲鳴を上げる赤ずきん。
驚きの余り、腰を抜かしてしまいました。



941: ◆UTA.....5w:2012/7/13(金) 19:47:46 ID:5p4jzTnu52

橘「婆さんなんか知るか!俺は此処で赤ずきんを美味しく頂けと命じられただけだ!」

清瀬「お、美味しくって……うちの事、食べてまうんですか?」

橘「食べる、か……」


狼はまじまじと赤ずきんを見下ろしました。

もちもちとした柔らかい手足に、きめ細かい白い肌。

若い娘は狼の大好物です。

だけど……、


橘「ふむ、不合格だな」

清瀬「え?」

橘「聞こえなかったか?貴方は不合格です。どうぞお帰り下さい」ニッコリ

清瀬「…いや、あの……不合格て、一体何がでしょうか」

橘「ほう、俺に説明を求めるか。いいだろう、お前の何が不合格だったか説明してやる」


狼は赤ずきんを見下ろしたまま、指を差して大きく口を開きました。


橘「いいか、若くて健康なお前に圧倒的に足りない物……それは乳だ!!」


942: ◆UTA.....5w:2012/7/13(金) 19:48:42 ID:5p4jzTnu52

清瀬「ち、ちち……?」

橘「若けりゃ狼がホイホイ釣れるとでも思ったのか?否!狼にだって選ぶ権利というものがある!」

清瀬「うち、別に食べて欲しいやなんて……」

橘「赤ずきんは狼に食べられる。そんな常識も知らんのか」

清瀬「そ、そんな常識知りません!」

橘「いや、いい。別にお前の貧しい乳を責めてる訳じゃないんだ」

清瀬(何やろう、この悔しさは……)

橘「俺は何も豊満な乳が好きな訳ではない。その乳の形とバランスを一番に重視しているつもりだ。従って、お前の貧しい乳でも許容範囲ではある訳だ。
では、何がいけないか。バランスだ。バランスが悪いんだよ、お前は。
腰の括れからなる乳に掛けてのラインがまるでなっていない!ただの平坦な更地の様なものにこの俺が欲情するとでも思っ──…」



943: 投下終了です ◆UTA.....5w:2012/7/13(金) 19:49:58 ID:ekiZWtbcuU

\ ボフン! /

大きな音と共に狼の声は止み、その姿は何処にもありませんでした。

代わりに赤ずきんの前に立っていたのは、先程の黒いローブの少女──魔法使いでした。


清瀬「あ、あれ?橘く……狼さんは?」

鈴木「ごめん、キャストミスだった」

清瀬「ああ、うん……うち、もうお家に帰るな……」


心に深い傷を負った赤ずきんは、ふらふらと覚束ない足取りで帰路に就きました。

その先が、自分の家ではない事にも気付かずに。


鈴木「……魔女には十分ご注意を」


【後半へ続く…】


944: 名無しさん@読者の声:2012/7/14(土) 09:02:54 ID:5IrvKAGojw
ここ最近の楽しみがこのSSだったりするんだぜ!

CCCCCCC
945: 名無しさん@読者の声:2012/7/17(火) 08:48:21 ID:cYbHYCPh8g
まだかなまだかなー
しえーん
946: 名無しさん@読者の声:2012/7/17(火) 22:55:53 ID:NvUNuZVwhg
キートン山田で再生された『後半へ続く』ww


後半wktk支援なのねー!!
947: ◆UTA.....5w:2012/7/18(水) 18:12:29 ID:i4fPg2J7q6
>>944
そんな嬉しい事を言って頂いていいのでしょうか。もう、私の中に住み着いている小さいおっさんが踊り過ぎて大変です。
これからも頑張ります!本当にありがとうございます!

>>945
お待たせしてしまってばかりで申し訳ございません…orz
そして、こんなマイペースなSSを待っていて下さってありがとうございます!

>>946
何というまるちゃんw脳内再生余裕でしたw
もうキートン山田さんでしか再生されなくなってしまいました…!
946さんのwktkに応えられるように頑張りますね!


支援感謝です。投下します。


948: ◆UTA.....5w:2012/7/18(水) 18:13:45 ID:RKZRGBLt.Q

清瀬「……お腹空いたなあ」グゥ


すっかり日も暮れた夜の森を、赤ずきんは一人歩きます。

きっと、お母さんが心配しているに違いない。

そう思って、森の奥へと。


清瀬「あれ……?」


ふと、足を止めた赤ずきんは、大変な事に気付きました。


清瀬「お家、どっちやったやろか」


真っ暗な森の中、頼りはふんわり優しい月明かりだけ。

明るい内とは景色が違って見えたのでしょう。

赤ずきんは、道に迷ってしまったのでした。


949: ◆UTA.....5w:2012/7/18(水) 18:25:00 ID:RKZRGBLt.Q

清瀬「ど、どないしようっ……迷子になってしもた」


一人佇む赤ずきんに手を差し伸べてくれる人は、夜の森には誰も居ません。

このまま帰れなかったらどうしよう。
もしも悪い人に襲われたりしたら。

時折聞こえる虫の囀りや、梟のほうほうといった鳴き声が、途端に赤ずきんの不安を煽りました。


清瀬「だ、誰か居ませんか?誰か……」


涙で歪む視界の中、ほんのり見える小さな灯り。

家だ!

赤ずきんは、縋るような思いで駆け出しました。



950: ◆UTA.....5w:2012/7/18(水) 18:25:39 ID:i4fPg2J7q6

清瀬「あれ?なんか、あのお家……」


赤ずきんは目を凝らしながら、ゆっくりと近付いて行きました。

だけども不思議なそのお家。

近付いても近付いても、何だかとても小さいのです。


清瀬「うち、背ぇ伸びたんかな!」


嬉々として声を上げる赤ずきん。

いいえ、そうではありません。

ドアも、窓も、中を覗いて見えたテーブルも、赤ずきんの知っている物よりも随分小ぶりです。

背の低い赤ずきんでも屈まなければならない程、小さな家が建っていたのでした。


951: ◆UTA.....5w:2012/7/18(水) 18:26:52 ID:i4fPg2J7q6

清瀬「わあ、可愛い!」


こんな素敵な家に住んでいるのは、一体どんな人だろう。

兎さん?アライグマさん?
もしかすると、妖精さんかしら?

小さな家を目の前にして、赤ずきんは心が踊る思いでした。


清瀬「はしゃいでる場合やなかった……道を訊かへんと!」


ふう、と一息、赤ずきんはドアをノックします。


清瀬「ご、ごめん下さーい」


返事はありません。


清瀬「あの、す、すみません、何方か居てはりますか?」


やはり返事はありません。


清瀬「道を訊ねたくて……、え?」


そっとドアノブに触れてみると、あっさりとドアは開いてしまいました。


952: ◆UTA.....5w:2012/7/18(水) 18:27:53 ID:RKZRGBLt.Q

清瀬「こ、今晩はー…誰か居てはりますか?」


恐る恐る中を覗いてみたけれど、其処には誰も居ませんでした。

テーブルの上には小さなティーカップが七つ。

その周りにも、小さな椅子が七つ。

奥にはベッドが七つ見えます。


清瀬「お邪魔しても、ええやろか」


此処には居ない住人に挨拶をして、赤ずきんは家に入る事にしました。

外は真っ暗な夜の森。

それに、今日は駆け回ってばかりでくたくたでした。

だからでしょうか。


清瀬(七人家族なんやろか……)


そんな事を考えている内に、赤ずきんは眠ってしまったのでした。



953: ◆UTA.....5w:2012/7/18(水) 18:30:37 ID:i4fPg2J7q6

─────‐‥


誰かの声が聞こえます。

誰だこいつ。寝ているぞ。

少女を囲む七つの影、その中の一人が言いました。


鳴海「こいつ知ってる!白雪姫だ!」

清瀬「うひゃあ!?」


その声に驚いて飛び起きた少女。

彼女の名前は、白雪姫。

白い肌が若々しい、普通の女の子です。


清瀬「すすす、すみません!うち、寝てしもていつの間にか朝に……って、鳴海くん、が七人!?」

鳴海2「あ?鳴海?誰だそれ」

清瀬「しかも、なんかちっこい……」プププ

鳴海3「何だこいつ!失礼な奴だな!」

鳴海4「本当に白雪姫なのかよ」


954: ◆UTA.....5w:2012/7/18(水) 18:31:47 ID:RKZRGBLt.Q

清瀬「へ?し、白雪姫?うちは赤ずきん──…」

鳴海5「何言ってんだよ、お前白雪姫だろ。んで、俺達は七人の小人」

鳴海6「意地悪なババアから逃げて来たんだろ?」

鳴海7「心配すんなって、俺達が匿ってやるから」

清瀬「そうやったっけ……」


そうでした。

恐ろしい継母から逃れる為、白雪姫は森の中をを彷徨っていたのです。

嗚呼、可哀想な白雪姫。


鳴海1「んじゃ、オモテナシしなきゃな」

鳴海2「よっしゃー!狩りだー!」


955: ◆UTA.....5w:2012/7/18(水) 18:36:15 ID:RKZRGBLt.Q

鳴海3「留守番頼んだぞ、白雪姫さーん?」

鳴海4「材料は揃えるから、後で料理宜しくな!」

清瀬「あ、はい。分かりました」


小人達は意気揚々と家を後にしました。


鳴海5「あ、そうだ」

鳴海6「誰か来ても絶対に開けちゃ駄目だぞ?」

鳴海7「約束だからな」


そう、言い残して。


清瀬「開けたアカンて……なんでやろ?」キョト


956: ◆UTA.....5w:2012/7/18(水) 18:41:18 ID:i4fPg2J7q6

小人達が狩りに出掛けている間、白雪姫は掃除に取り掛かる事にしました。

お世話になっているお礼にと、ピカピカになるまで床を磨きます。


清瀬「ふう、大分綺麗になったかな」


白雪姫が一息吐いた頃、誰かがドアをノックしました。

\ トントン /


清瀬「は、はいっ、どちら様でしょうか!」


扉の向こうで声がします。

こんにちは、林檎は如何?

少し太い、何処かで聞いた事のある男性のような声でした。


957: ◆UTA.....5w:2012/7/18(水) 18:46:31 ID:i4fPg2J7q6

清瀬「えっと、でも、その……」


白雪姫は迷いました。

林檎は食べたいが、小人との約束がある。

このドアを開けていいものか、と。


桃山「あら、恐がらなくていいのよ?アタシはただの林檎売りなんだから」

清瀬「桃さん!?」バタン!

桃山「ぎゃっ!いきなり過ぎるわよ!」


林檎売りの声に反応した白雪姫は、約束も忘れてドアを開けてしまいました。

驚いた様子の林檎売りは、いつぞやの魔法使いによく似た黒いローブを身に纏ったオカマでした。


958: ◆UTA.....5w:2012/7/18(水) 18:52:28 ID:RKZRGBLt.Q

清瀬「やっぱり桃さんや!」

桃山「桃さんって誰よ、ちょっと可愛いじゃないの」

清瀬「も、桃さんまでそんな事言わはるんですか」

桃山「何処のプリティーボーイと間違えてるか知らないけれど、アタシはただの林檎売りですぅー」

清瀬(どう考えても桃さんやねんけどなあ……)

桃山「そんな事より、これ!アンタ可愛いから特別にタダであげちゃう!」


ずい、とオカマの林檎売りが差し出したのは、赤く光った一つの林檎。

ピカピカと太陽の光を反射して、とても甘くて美味しそう。



959: ◆UTA.....5w:2012/7/18(水) 18:55:28 ID:RKZRGBLt.Q

清瀬「これ、うちに…?」

桃山「ふふ、そうよ。可愛子ちゃんにプレゼント」

清瀬「えへへ、可愛子ちゃんやなんて」テレテレ


そう言って、白雪姫は林檎を受け取りました。


桃山「とっても甘くて美味しいのよ!食べてみて頂戴!」

清瀬「あの、ホンマに貰てもええんやろか……」

桃山「勿論よ。お友達のしるしに」ニコ

清瀬(友達…)

清瀬「ありがとうございます!」


白雪姫は涙を目に浮かべながら、貰った林檎を噛りました。

涙で歪んだ視界の先の、不適な笑みには気付かずに。



960: ◆UTA.....5w:2012/7/18(水) 18:57:51 ID:RKZRGBLt.Q

清瀬「うっ……!?」


林檎を飲み込んだその直後、白雪姫は喉を押さえて苦しみました。

苦しい、息が出来ない。

縋る思いでオカマの林檎売りに手を伸ばします。


清瀬「桃、さ……助けて……」

桃山「何度言ったら分かるのかしら。アタシは桃さんじゃないわよ、このちんちくりん!」

桃山「アタシは魔女。林檎売りでも何でもない、世界一美しい魔女様よ!」


何という事でしょう。

オカマの林檎売りは魔女だったのです。

真実を知らされ、ちんちくりんと罵られた白雪姫は、ぱたりと倒れてしまいました。



961: ◆UTA.....5w:2012/7/18(水) 19:00:32 ID:RKZRGBLt.Q

桃山「……ふふ、うふふふ、やったー!これでアタシが世界一の──…」

鳴海1「何してやがるこのオカマー!」


魔女の後ろから飛び蹴りを食らわせたのは、狩りから戻った小人達でした。


鳴海2「あー、やっべー…間に合わなかった」

鳴海3「マジで!?白雪姫死んだのかよ!」

鳴海4「嘘だろ、おい……」

鳴海5「だから開けるなって言ったのに」


白雪姫を取り囲み、悲しみに暮れる小人達。

皆が何を言っても、白雪姫からの返事はありません。

その時、小人達の背後から魔女の叫び声が聞こえてきました。



962: ◆UTA.....5w:2012/7/18(水) 19:01:28 ID:RKZRGBLt.Q

桃山「きゃー!イケメン!イケメンよー!」


魔女が指差す方に目をやると、其処にはイケメンと噂の王子様の姿がありました。


篠原「あはは、なんか楽しそうだねー」

鳴海6「王子じゃん!ナイスタイミング!」

鳴海7「あのさ、こいつ助けてやってくんね?」

篠原「ん?ちっこくて可愛い子だねー」ヘラッ


王子様が覗き込むと、白雪姫の指がぴくりと動きました。

だけど、誰もそれに気付いていません。

皆、白雪姫は死んでしまったと思い込んでいるのです。



963: ◆UTA.....5w:2012/7/18(水) 19:02:13 ID:RKZRGBLt.Q

清瀬(この声は、しし、し、篠原くん!?)

清瀬(どないしよう、林檎が喉に詰まって気絶してしもただけやなんて、今更……)


そんな白雪姫の事など露知らず、小人達は一斉に言いました。


鳴海1「王子が白雪姫にする事って言ったら、何か分かるよな?」

鳴海2「キース!キース!」

篠原「えぇー…でも、それはちょっと、白雪さんにも悪いし」

鳴海3「何言ってんだよ」

鳴海4「白雪姫といえば王子のキスだろ」

篠原「そっか、それもそうだね!」


小人達に囃し立てられながら、王子様は白雪姫に覆い被さってゆきました。

ゆっくり、ゆっくりと、吐息を感じる程、近く。


篠原「白雪姫……」




964: ◆UTA.....5w:2012/7/18(水) 19:05:25 ID:i4fPg2J7q6

──────‐‥


鈴木「そして白雪姫は──…」

清瀬「わーわーわー!ごめんなさいごめんなさいもう止めてー!」カァァ

鈴木「何をそんなに慌ててるの、清瀬」

清瀬「だだ、だってだってだって、そ、そんな事、うち……」

鈴木「単なる私の夢の話なのに」

一年女子「ていうか、なんであたし意地悪な姉役なのー?」

一年女子「しかもちょい役wwクッソちょい役ww」

鈴木「ごめんね、二人共モブだから」

一年女子「クッソwwクッソww」


めでたし、めでたし。


 おとぎの国の清瀬さん‐fin.



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