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3センチメンタル・ヤング・ピーポー
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1: :2012/1/28(土) 22:24:39 ID:kbMCzVk3I2

高校生の馬鹿馬鹿しくて、

ちょっぴりセンチメンタルな

青春グラフィティ───開幕。



※登場人物が増える予定の為、名前を付けています。




898: ◆UTA.....5w:2012/7/9(月) 19:02:20 ID:z/mT/Pp4T2

【鈴木さんの一日】


鈴木さんの一日は、母の声から始まります。


母「はい、おはよーう!!」

バサァッ!

鈴木「……おはよーう」


強制的に布団を剥ぎ取られ、


母「よし、顔洗って来い!朝ご飯が待ってますよ!」

鈴木「了解した」ゴソゴソ

母「パジャマに顔突っ込んで寝なーい!」

鈴木「これは寝てるんじゃなくて、ミノ虫の気持ちを理解しようとしてるだけだよ」

母「白々しい!」


渋々目を覚ますのです。



899: ◆UTA.....5w:2012/7/9(月) 19:12:48 ID:z/mT/Pp4T2

──リビング


父「おっ!お姫様のお目覚めだな」

鈴木「おはよう、お父さん」ボー

父「おはよう、涎垂れそうだぞ」

鈴木「うん、大丈夫」コックリコックリ

母「さっさと朝ご飯食べてシャキっとする!お父さんもゆっくりしてる時間ないでしょ!」

父「おー、怖い怖い。雷が落ちる前に逃げなきゃな」

鈴木「……」スピー

母「寝るなー!」

鈴木「了解」シャキッ


鈴木さんは朝が苦手です。



900: 祝!900突破! ◆UTA.....5w:2012/7/9(月) 19:13:36 ID:5LE0QM0brY

父「バス停まで一緒に行こうか」

鈴木「いいけど、お父さんゆっくりしてる時間ないんじゃないの?」

父「お前ももう出るだろう?」

鈴木「私はもう少しゆっくりして行くから、先に行っていいよ」

母「言っとくけど、ゆっくりする程時間ないからね。アンタも早く学校行きなさいこの寝坊助!」

父「…らしいぞ?」クスクス

鈴木「むぅ……支度してくる」

母「まったく、のんびりした所は貴方にそっくりね」

父「そんなにのんびりしてるかなぁ、俺」

母「してますとも。時間ないって人が教えてやってるのに新聞なんか読みやがって。ぶっ飛ばされたいのかしらね」ニコニコ

父「ねぇ!用意まだ?お母さんが怖いから早くして!」


鈴木さん家の両親は、とても仲良しです。



901: ◆UTA.....5w:2012/7/9(月) 19:18:11 ID:z/mT/Pp4T2

父「じゃあ、行ってきます」

鈴木「行ってきます」

母「行ってらっしゃい。気を付けてねー」


 ***


鈴木「ねぇ、お父さんはお母さんのどんな所を好きになったの?」

父「うーん、そうだなあ……素直じゃないけど可愛くて、元気な所かな。もう可愛いなんて年齢じゃなくなったけどな、はは」

鈴木「そう」

父「何だ、恋でもしてるのか?」クスクス

鈴木「……そう、かもしれない」

父「え!?そうなの!?誰!?どんな子!?」

鈴木「どんな……小さい男の子、かな」

父「よし、それは犯罪だから止めとこうか」


902: ◆UTA.....5w:2012/7/9(月) 19:18:45 ID:z/mT/Pp4T2

──学校、校門前


生徒「おはよー」

生徒「おはよ!昨日のドラマ見た?最後さー…」

キャッキャッ…

鈴木(……皆、朝から元気だなあ)


鈴木さんは、朝が苦手です。

だけど、


鈴木(若いって素晴らし……)

ドンッ!

鳴海「朝からテンション低いじゃん、鈴木さーん?」

鈴木「お早よう、鳴海くん」

バシッ!

鳴海「いってぇ!ちょっと背中叩いただけだろ!思いっ切りやり返すなよ!」


小さい男の子に会えると少し元気になります。

これが恋の力なのでしょうか。



903: ◆UTA.....5w:2012/7/9(月) 19:20:52 ID:z/mT/Pp4T2

──教室


鈴木さんには仲良しのお友達が居ます。


清瀬「あ、鈴木さん!おは、お早よう!」

鈴木「お早よう」

一年女子「鈴木さんおっはー!またしょんべん先輩と戯れあってたでしょー」

鈴木「叩かれたから、叩き返しただけだよ」

清瀬「け、喧嘩でもしたん?」おろおろ

一年女子「女の子に手を出すとか有り得なーい!あの女装趣味のしょんべんめ!」

一年女子「いやw鈴木さんめっちゃやり返してたよwwオラ目撃しちまったぞww」

鈴木(朝から元気だなあ、本当に)クス


彼女達と居ると、また少し元気になります。

恋の力は関係なかったのかも。



904: ◆UTA.....5w:2012/7/9(月) 19:23:49 ID:z/mT/Pp4T2

キーン コーン カーン コーン…


鈴木「清瀬、行こうか」

清瀬「あ、うん。あの、一年女子ちゃん達もたまには行こな!」

一年女子「はーい、行ってらっしゃーい」

清瀬「す、鈴木さん待ってー!早い早い!早いって!」

バタバタバタ…


一年女子「あの子達、食堂好きっすなww」

一年女子「一年生の教室は四階、食堂は一階。毎日は流石に体がしんどいわ」

一年女子「ばばあ乙www」


905: ◆UTA.....5w:2012/7/9(月) 19:26:33 ID:5LE0QM0brY

──食堂


鈴木さんはいつも食堂でお昼ご飯を食べます。

お弁当があっても、必ず。


ワイワイ ガヤガヤ…

清瀬「す、鈴木さん…ホンマに足速いね……」ハァハァ

鈴木「……」

清瀬「鈴木さん?どないしたん?」

鈴木「これ、買えたの」

清瀬「わ!プリンや!鈴木さん凄い!し、篠原くん…と、鳴海くん、悔しがるやろね」

鈴木「……うん、そうだね」


906: ◆UTA.....5w:2012/7/9(月) 19:29:41 ID:5LE0QM0brY

─────‐‥


鳴海「出た!売り切れ!」

篠原「もうやだー!なんで毎日通ってんのに買えないのー!」

おばちゃん「ごめんね兄ちゃん、また明日来ておくれ!」


清瀬「やっぱり今日も来はったみたいやね」

鈴木「そうだね」もぐもぐ

清瀬「プリン、凄い人気なんやね」

鈴木「そうだね」もぐもぐ

清瀬「あ、うちらに気付きはったみたい…!こ、こっち来る!」あわあわ

鈴木「そう」スッ


907: ◆UTA.....5w:2012/7/9(月) 19:34:43 ID:5LE0QM0brY

篠原「やっほー」

清瀬「や、ややや……こんちはどうも!」

鈴木「……やっほー」

清瀬「ぷ、プリンプリン買えんかったプリンですね!」

鳴海「落ち着けよ」

篠原「あはは、残念ながら今日もプリン買えなかったよ」

鳴海「まあ、卒業までまだ時間あるし、買うまで諦めてやんねぇけどな」フン

鈴木「プリン、買うまで諦めないの?」

鳴海「おう!売り切れる前に買いに来て、全部買い占めてやる!」

鈴木「そっか、頑張ってね」

鳴海「何笑ってんだよ。こいつ絶対馬鹿にしてやがる…!」


908: ◆UTA.....5w:2012/7/9(月) 19:40:49 ID:5LE0QM0brY

清瀬「あ、せや!プリンといえば、鈴木さんがっ…もがもが」

篠原「あはは、清瀬さん唐揚げ詰め過ぎ」

清瀬(ちゃうもん!鈴木さんに突っ込まれたんやもん!)もがもが

鈴木「卒業までに買えるといいね、プリン」

鳴海「ニヤニヤしながら言いやがって……買えたら自慢してやるから待っとけ!帰るぞ、篠原!」

篠原「はーい。またね、二人共」

清瀬「ふぁ、ふぁい!ひゃおーあら!」もがもが

鈴木「……またね、二人共」

清瀬「の、のみほえない!」もがもが

鈴木「ほら、お茶飲んで流せばいいよ」


909: ◆UTA.....5w:2012/7/9(月) 19:41:54 ID:z/mT/Pp4T2

清瀬「ップハー!もうっ、鈴木さん!い、いきなり唐揚げ三つも食べられへんよ!」

鈴木「ごめんね、唐揚げ食べたそうだったから」ゴソゴソ

清瀬「あ、プリン。そんなとこ隠してたんや」

鈴木「うん、あの子達にバレたら取られると思って」

清瀬「そんな事……て言いたいけど、有り得るかもしれへんね」クスクス


ひんやり冷えた、おばちゃんの手作りプリン。

鈴木さんの手の中で、その冷たさは失われ……。


鈴木「美味しいけど、温いね」

清瀬「うん。食べさせて貰といてアレやけど、ぬ、温い……」


910: 投下終了です ◆UTA.....5w:2012/7/9(月) 19:47:51 ID:5LE0QM0brY

清瀬「あの二人も卒業までに買えるとええね」

鈴木「それまでは毎日会えるね、篠原くんに」

清瀬「へっ!?お、同じ学校やから別に、別にっ…………嬉しい、けど」カアァ

鈴木(可愛らしいなあ)


鈴木さんはいつも食堂でお昼ご飯を食べます。

お弁当があっても、必ず。


鈴木(プリン、あげようと思ったけれど……)

鈴木(一つしかなかったし、仕方ないね)


少なくとも、あの子が毎日来る内は。



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