高校生の馬鹿馬鹿しくて、
ちょっぴりセンチメンタルな
青春グラフィティ───開幕。
※登場人物が増える予定の為、名前を付けています。
824: ◆UTA.....5w:2012/6/7(木) 20:08:13 ID:Q6wGLV.EGQ
─────‐‥
篠原「ふう……鳴子ちゃん体力あるなあ……」
鈴木「」ビュン!
篠原「わっ!鈴木さん!?」
鈴木「捕まえた」ガシッ
鳴子「…っ離し──タックルのお姉さん!」
篠原「え?タックルのお姉さんって鈴木さんだったの?」
鈴木「どうも。タックル鈴木です」
篠原「止めてw真顔で変な芸名名乗らないでw」
825: ◆UTA.....5w:2012/6/7(木) 20:13:06 ID:A1edcwd.s6
鈴木「どうかしたの?鳴海くんにちゃんと会えた?」
鳴子「もういいの。ボク、帰るから……」
鈴木「……」
鳴子「」シュン
鈴木(女の子、だったの……)
鈴木(……ツインテール…僕っ娘……)
鈴木(なんて可愛らしい……)
篠原「鈴木さん?なんかプルプルしてるけど大丈夫?」
鈴木「ああ、問題ない」キリッ
826: ◆UTA.....5w:2012/6/7(木) 20:13:55 ID:A1edcwd.s6
清瀬「はあ、はぁ……す、鈴木さん、そない急いでどないし──…」
篠原「あ、清瀬さんだー」
清瀬「しっしし、篠原くんこんにちはどうもどうも!どうもです!」ペコペコ
鈴木「清瀬、落ち着いて」
清瀬「は、はひっ、ひっ……そうや、鈴木さん!と、」
清瀬「………鳴海くん?え?」
篠原「あはは、違う違う。鳴海の従妹なんだって。鳴子ちゃんって言うんだよー」
清瀬「ほえー、従妹さん……よう似てはりますね!」
鈴木(従妹だったの…なるほど……)
827: ◆UTA.....5w:2012/6/7(木) 20:15:08 ID:A1edcwd.s6
鳴子「今度は関西人、か。確かにこの学校は色んな人が居るんだね」
篠原「へへ。でしょー?」
鳴子「……あの、二人のどっちかが鳴兄の彼女か何かなの?」
清瀬「ええぇっ!?ち、違っ…うちらはそんな、鳴海くんとはそんな…!」カアァ
篠原「あはは、二人は鳴海の友達だよ。清瀬さんと、タックルのお姉さんの鈴木さん」
鳴子「何だ、違うの。見ず知らずのボクの事追い掛けて来たりするもんだから、てっきり彼女かと思った」
清瀬「う、うちは鈴木さんを追い掛けてっ」
鈴木「私は……」
828: ◆UTA.....5w:2012/6/7(木) 20:16:14 ID:Q6wGLV.EGQ
鳴子「ああ、彼女じゃないならいいんだ。ごめんなさい」
篠原「そもそも鳴海に彼女が居るなんて聞いた事ないよ?」
鳴子「そっか……居ないんだ……」
鈴木「……」ナデナデ
鳴子「……何?」
鈴木「何だか君、泣きそうな顔をしているから」
鳴子「泣きそうになんて、なってない。鳴兄が全然家に来なくなったって、あんな態度とられって全然平気なんだから」
鳴子「全然……」ポロポロ
鳴子「うわあああん!」
篠原「わー!鈴木さんが鳴子ちゃん泣かしたー!」
鈴木(ああ、どうしよう。困った……)
829: ◆UTA.....5w:2012/6/7(木) 20:24:59 ID:A1edcwd.s6
──────‐‥
清瀬「あの、鳴子ちゃん…?ジュース買って来たから、飲む?」
鳴子「ありがと……」グスン
篠原「落ち着いた?」
鳴子「へへ、格好悪いとこ見せちゃった。鳴兄には言わないでね」
篠原「勿論内緒にしますとも!ね、二人共!」
鈴木「大丈夫、言わないです(可愛い可愛い可愛らしい)」
清瀬(……鈴木さん、真顔すぎてなんか怖いんやけど)ビクビク
830: ◆UTA.....5w:2012/6/7(木) 20:26:22 ID:Q6wGLV.EGQ
篠原「鳴海と鳴子ちゃん、本当に仲良しなんだね」
鳴子「……そんな事ないよ。さっきも見たでしょ、鳴兄のあからさまな嫌がり方。いつも、ボクが一方的に懐いてばっかりだった」
篠原「うーん、そうかなぁ。そんな風には見えなかったけどなぁ」
鳴子「そりゃ昔はね、それなりに仲も良かったけどさ。中学生になってから、鳴兄はちょっと変わっちゃった」
鈴木「変わった…?」
鳴子「刺々しくなったっていうのかな。昔はもっと優しくて可愛かった」
鈴木「そう」
鈴木(今も結構、可愛らしいと思うんだけれど……)
831: ◆UTA.....5w:2012/6/7(木) 20:27:40 ID:Q6wGLV.EGQ
鳴子「そのくらいからあんまり家に来なくなって、高校生になってからは一度も家に来てなくてね」
鳴子「……彼女でも、出来たのかなーって。家に来るよりもずっと、此処に居る方が楽しいのかなーって」
篠原「それで、こっそり此処に来てみたんだ?」
鳴子「うん……」
鈴木「寂しかったんだね、君は」
鳴子「……鳴兄が離れてっちゃったのは、ボクにだって原因があったのに。なのに、八つ当たりで皆の事酷い言い方しちゃった」
832: 投下終了です! ◆UTA.....5w:2012/6/7(木) 20:28:58 ID:Q6wGLV.EGQ
篠原「気にしなくていいよ?鳴子ちゃんの言ってる事、あってるしね。特に俺とか、橘とか」クスクス
鳴子「ごめんなさい」シュン
篠原「わー、あの、だからもう泣かないでね?ね?」
鈴木(何の事だか話が見えないけど……)
鈴木「喧嘩でも、したの?鳴海くんと」
鳴子「鳴兄はね、ずっと悩んでたんだと思う。ボクはそれを知らなかったから、あの時──」
清瀬(誰も気付いてはらへんのかもやけど、昼休み終了のチャイム鳴ってますよ……)
キーン コーン カーン コーン…
833: 名無しさん@読者の声:2012/6/7(木) 23:08:49 ID:4dzm7WtJz6
wktkwktkwktk…
最近鈴木さんが可愛くて好きです
っCCCCC
834: 名無しさん@読者の声:2012/6/8(金) 13:00:03 ID:kg/8h/oV7Y
どのキャラも魅力的だわ
好きです
しえーん
835: 名無しさん@読者の声:2012/6/10(日) 23:16:04 ID:Wdv4tK5kXU
軽めの秘密でもワクワクすっぞなおれがいるww
し・え・ん☆
次回もたのしみに待ってるからねーノシ
836: 名無しさん@読者の声:2012/6/11(月) 00:58:03 ID:/1qOccaHaM
オラもワクワクすっぞ!
この4馬鹿達アニメ化してほしいものwww
837: ◆UTA.....5w:2012/6/12(火) 02:16:48 ID:IT.GT0QV0s
>>833
鈴木にも段々愛着が湧いてきたところだったので、そう言って頂けてとても嬉しいです!
引き続き833にwktkして頂けるますように…!
>>834
4馬鹿以外のキャラも見て下さっているなんて(´;ω;`)
私はそんな嬉しい事を言って下さる834さんが大好きです!
>>835
支援か・ん・しゃ☆
がっかりされないように、しっかり練りつつ仕上げますね!
これからも835さんにワクワクして頂けますように。ありがとうございます!
>>836
あれ、こんな所に人参さんがいらっしゃる…?
いつも脳内では動き回っているのですが、実際に映像化された4馬鹿も見てみたい気はしますw
支援感謝です。投下します。
838: ◆UTA.....5w:2012/6/12(火) 02:17:36 ID:IT.GT0QV0s
「待ってよっ……!」
少女の声を背に、少年は走りました。
唇を噛みしめて、今にも泣き出しそうな顔をして。
どれ程走った頃だったでしょう。
ふと、足を止めて後ろを振り返りました。
先程来た道には誰も居ません。自分を呼び止めた、少女の姿さえ。
がむしゃらに駆けた足はじんじんと痺れ、息をするのもやっとのこと。
何故、後ろを振り返る?
一体、何を期待している?
ぽたり、と汗の雫が頬を伝い、少年の顎からアスファルトへと落ちていきました。
「──何やってんだ、俺」
【鳴海少年の憂鬱】
839: ◆UTA.....5w:2012/6/12(火) 02:27:42 ID:IT.GT0QV0s
小学生の頃、先生がこんな事を言った。
「“将来の夢”について作文を書きましょう」
皆、各々の未来予想図に胸を膨らませて、花屋さんだのサッカー選手だの、ぼんやりとした夢を再生紙に描いた。
「鳴海くんは何て書いたのかな?」
髪を耳に掛けながら、先生が笑顔で覗き込む。迷いなく滑らされた鉛筆の、不恰好な字に視線を落とした。
『お父さんと、お母さんの、しごとを手つだう』
うーん、と小さく唸ると、俺の目線の高さまで屈んで首を傾ける。
困ったように眉を寄せた先生の顔は、とても優しい笑顔だった。
840: ◆UTA.....5w:2012/6/12(火) 02:36:45 ID:IT.GT0QV0s
「お父さんとお母さんのお手伝いをして、どんな風になりたいのかな?」
そんなの、お手伝いをするって言ってるじゃんか。
「じゃあ、どうしてお手伝いをしたいと思ったのかな?作文だから、鳴海くんが思ってる事を沢山書いて欲しいの」
お父さんとお母さんが、大きくなったら手伝ってねって、そう言ったから。
「あのね、鳴海くん。先生は鳴海くんが“自分がやりたい事”を書いて欲しいの。分かるかな」
分からないよ、先生。
だって俺は、大きくなったらお手伝いをするんだ。立派な大人になるんだよ。
「鳴海くん、それは──」
841: ◆UTA.....5w:2012/6/12(火) 02:46:36 ID:1GI25vtbK2
─────‐‥
「あ、鳴兄起きたー!」
まだ朧な意識の中、目を開けると自分とよく似た顔が其処にあった。
どうやら眠っていたらしい。畳の上で眠った所為か、体のあちこちが痛む。
「……寝起き早々からお前は本当にうるせぇな、鳴子」
溜め息混じりにそう言うと、鳴子はむっと口を尖らせた。
「鳴兄が寝てる間は静かにしてたもん」
「はいはい、そんな顔しても可愛くねぇから」
「むー」
よく似ているとはいえ、多少は俺の方が背も高いし、顔も違うんだけど。それでも、似たような顔で膨れっ面をされると、気持ち悪い事この上ない。
従妹である鳴子と俺は、その容姿の似ている事から、周りから双子かと訊かれる事もしばしば。(初見の方々とのお決まりの下り)
中途半端にしか髪を切らない所為で、お互いを間違われる事もしばしば。(かといって、俺は短髪が似合わない)
何度言っても女らしい口調をしない所為で、性別を間違われる事もしばしば。(そして否定もしない)
よって、俺は鳴子ちゃんの存在に困らされてるのだ。目の上の瘤のような、ちょっとした悩みの種なのだ。
842: ◆UTA.....5w:2012/6/12(火) 02:47:58 ID:1GI25vtbK2
「そういえばさー」
冷凍庫から取り出したアイスキャンディを俺に手渡して、鳴子は唐突に話しだした。
「高校受験、進路変えたんでしょ?伯母さんが言ってた」
噛み砕かれたアイスがシャクシャクと音を立てて口の中に広がる。
シャーベット状になったそれを飲み込むと、チクリと胸が冷たくなった。
「なんで変えたの?大分レベル落としたんでしょ?」
「……あんな学校、行ける訳ねぇだろ」
どうして?と鳴子が首を傾げる。
「お前に話したって分かんねぇよ」
そうだ、鳴子に話したって分かる筈がない。いくら似ていると言っても、鳴子は俺じゃないんだから。
母さんに話したって、きっと。
843: ◆UTA.....5w:2012/6/12(火) 03:01:17 ID:IT.GT0QV0s
俺の両親は若くしてブランドを立ち上げ、大成功とまでは言わずともある程度の知名度を確立させた、所謂成功者だ。
最近ではタレントの何とかとかいう人とコラボレーションしたり、若者を対象にした姉妹ブランドを立ち上げて軌道に乗ってきている……というのを雑誌で見掛けた。
雑誌に載せられた両親の笑顔は、よく見知ったものだけど何処か違っていて。幼い頃からいつかは俺も、この両親と肩を並べるのだと教えられていた。
中学こそ市立校に通わせて貰えたものの、高校は進学校にと勧められ、経済学やらマーケティングやらを学べと言われた。
此処まで聞くと、ありがちな金持ち一家に生まれた者の運命とでも思われるのだろうけど、案外そういったものでもなかったりする。
父さんも母さんも、強制的に自分達のステージへ俺を立たせる事はしていない。それに気付いたのは、高校受験を控えたこの年になってからだった訳だけど。
──つまりは二人共、自分達の息子に然して興味がないんだ。
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