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3センチメンタル・ヤング・ピーポー
[8] -25 -50 

1: :2012/1/28(土) 22:24:39 ID:kbMCzVk3I2

高校生の馬鹿馬鹿しくて、

ちょっぴりセンチメンタルな

青春グラフィティ───開幕。



※登場人物が増える予定の為、名前を付けています。




651: ◆UTA.....5w:2012/5/2(水) 15:28:31 ID:8asKCdS6D2

「お兄ちゃん、いつもご苦労様です」

「いえ、宜しくお願いします。それでは」

子供達の声で賑わう園内で交わされるお決まりの挨拶。

妹達を預けているこの保育園の教諭達は、気さくでなかなか印象がいい。何より、腐る程見てきた哀れんだ目で俺を見ない。
妹達に影響が少ないのは、有難い環境だと言える。

「……ん?」

園内の奥へと入って行く二人を見送って踵を返すと、靴箱の隅で誰かが座り込んでいるのが見えた。
妹と同じくらいだろうか。膝を抱えて泣いている様子の男の子は、何処か昔の俺に雰囲気が似ているように思えた。


652: ◆UTA.....5w:2012/5/2(水) 15:29:19 ID:xwHNq4GmIw

そんな事を考えた所為だろうか。一回り大きい背中が朧気に浮かんで、男の子と重なった。
やがてそれは鮮明となり、俺の前に姿を現す。

「──あ、」

その後ろ姿は、俺だった。
ガキだった頃の俺が、まるでいじけているかのように膝を抱えて泣いている。

「………」

それをぼんやりと眺めながら、俺はただ立ち尽くしていた。

幼い自分の後ろ姿。あの時から、俺は何も変われていないのではないか。
自分の事を悲観して、その原因を他人の所為にする。

自分は何も悪くない、そう言って一番哀れんでいるのは俺自身なのではないか。


653: ◆UTA.....5w:2012/5/2(水) 15:29:58 ID:xwHNq4GmIw

今の俺に言えるのだろうか。
お前は子供なのだと。妹や弟と変わりない、子供なのだと。

──今の俺が、手を差し伸べられるのだろうか。

ふと、掛ける言葉を考えあぐねている俺の背後から、バタバタと駆け寄る音が耳を突いた。

「う、おっ…!?」

ドスリ、と背中に衝撃を食らう。
振り返ると、其処にはつい今し方見送った妹と弟の姿があった。

「お兄ちゃん、行ってらっしゃい」

「しゃーい!」

言い忘れてた。そう言って、頬を赤らめた二人が満足気な笑みを浮かべて俺を見上げた。


654: ◆UTA.....5w:2012/5/2(水) 15:30:44 ID:8asKCdS6D2

「あれ?どうしたの?」

泣いている男の子に気付いた妹が、弟と二人で歩み寄る。

「お、おかっ…お母さんのとこに行きたいぃっ!」

ひくひくとしゃくり上げながら男の子が言った。
お母さん、お母さんと繰り返し泣く男の子に、妹が手を差し出す。

「私達がいるから、さみしくないよ。遊んでる内にお迎えの時間になっちゃうもん」

男の子は鼻を啜りながら振り返り、不安げに瞳を揺らした。
瞬きをする度に涙が零れ、寂しい、寂しいと訴えかけている。


655: ◆UTA.....5w:2012/5/2(水) 15:31:22 ID:8asKCdS6D2

「本当、に…?」

「うん。本当だよ。弟もそうだよね?」

「あい!」

ほら、と言わんばかりに差し出された妹の手に、男の子の手が重なった。
しっかりと握られた小さな手は、座り込む男の子を立ち上がらせる。

「一緒に行こ」

「うん…!」

子供とは本当に単純なものだ。そう思えど、これではっきりと分かってしまった。
「私達がいるから」
この言葉で幾分か胸が軽くなった俺も、まだまだ単純な子供のようだ。

そして──


656: ◆UTA.....5w:2012/5/2(水) 15:33:06 ID:xwHNq4GmIw

「行ってらっしゃい!」

妹と弟に手を繋がれた、幼い自分が笑っている。
ぐちゃぐちゃに濡れた顔で、少し照れ臭そうに頬を染めて。

「──…行って、きます」

どうやら、救われたのは今の俺だけではないらしい。

子供達は手を繋いだまま、保育園の奥へと駆けて行く。
いつの間にか、小さな俺の姿は消えていた。


657: ◆UTA.....5w:2012/5/2(水) 15:33:42 ID:xwHNq4GmIw

──小さな俺が泣いている。


寂しい、寂しいと訴えて。

素直になれない、男の子。


手を差し伸べているのは誰だ?

俺の手を掴んでくれたのは──



  橘少年の憂鬱‐fin.



658: ◆UTA.....5w:2012/5/2(水) 15:39:35 ID:8asKCdS6D2

本当はもっと色々と書いていたのですが、余りにも長くなってしまうので割愛しました。
無理矢理感が否めませんが、これにて投下終了します。
次からは通常営業に戻ります。読んで下さった皆さんに感謝です!

>>639
ちょw泣いちゃいますやんw
皆さんの優しさに甘えてしまいがちですが、そう言って頂けるのは本当に嬉しいです。
応援して下さってありがとうございます!今晩は639さんの愛を抱き締めながら眠りますw


659: 名無しさん@読者の声:2012/5/2(水) 18:26:09 ID:3cviQqCynY
お帰り!
もうメガネも1も大好き!

つCCCCC
660: 名無しさん@読者の声:2012/5/2(水) 20:23:18 ID:WAglpR/xbg
よし、支援だ
続けろ下さい
661: 名無しさん@読者の声:2012/5/2(水) 20:42:45 ID:8bHY3xTgo2
待ってたよぉぉぉ☆

でも、>>1のペースでいいからね♪嫁、頑張り過ぎてキュ〜っときたw

つCCCCC
662: 名無しさん@読者の声:2012/5/4(金) 03:29:28 ID:0StBuOE6ag
橘になら掘られても構わない
割りとマジで
663: ◆UTA.....5w:2012/5/4(金) 16:39:45 ID:vGpekRe9Xc

>>659
お待たせしてしまって申し訳ございません。ただいまです!
メガネのみならず私まで…私も659さん大好きです!

>>660
ありがとうございます!
続行させて頂きます(`・ω・´)

>>661
待っていて下さってありがとうございます!甘えてばかりで申し訳ございません…orz
もう少し嫁のターンですw

>>662
メガネなら、もしかするとやりかねないかもしれません。割とガチで。
後方には十分ご注意下さい。


支援ありがとうございます!
投下します。


664: ◆UTA.....5w:2012/5/4(金) 16:41:13 ID:iVVTlb76UY

────‐‥


橘「………ん、」パチ

橘「いつの間に寝たんだ?……お陰で、懐かしい夢を見てしまった」

橘「しかし、何だか体が重い!苦しい!」


橘妹「Zzz...」スヤスヤ

橘弟「Zzz...」スピースピー


橘「こいつら…病人の上で寝やがって………ん?」パサッ

橘「濡れた、タオル……取り替えてくれてたのか」


665: ◆UTA.....5w:2012/5/4(金) 16:52:37 ID:vGpekRe9Xc

橘「………」

妹&弟「Zzz...」ギュウ

橘「ご丁寧に手まで繋いでくれちゃって。一丁前に、看病してくれていたんだな」

橘「そうか。俺の手を掴んでくれたのは、お前らだったのか…」

橘「……って、だから重い!」

橘(とりあえずベッドに寝かせておくか)

橘「」ゴソゴソ


666: ◆UTA.....5w:2012/5/4(金) 17:01:12 ID:iVVTlb76UY

──リビング


橘(そういえば、馬鹿共が揃って上がり込んでいたような…)

ガチャ


鳴海「Zzz...」クカー

桃山「Zzz...」スヤスヤ

篠原「Zzz...」スピー


橘「全員寝てるのかよ!」

橘「ったく、どいつもこいつ、も……」


667: ◆UTA.....5w:2012/5/4(金) 17:09:42 ID:vGpekRe9Xc

橘「…片付いてる」

橘「無法地帯と化していたリビングが片付いている…!」

橘「ゴミもちゃんと分別されている」

橘「……何という事でしょう。あの荒れ果てていたリビングが、見違える程綺麗に、過ごしやすくなりました」

橘「割れたお皿はビニールに包んでゴミ箱の中へ。子供達が怪我をしないようにと、匠の優しさ溢れる仕上がりに」

橘「砂漠のように撒き散らされた小麦粉は綺麗になくなり、卸したてのようなフローリングが輝きを放つようになりました」

橘「……」

橘「驚きの余り、ついやってしまった…」


668: ◆UTA.....5w:2012/5/4(金) 17:27:17 ID:vGpekRe9Xc

鳴海「むにゃむにゃ」ゴロン

篠原「…っ…うーん……」←鳴海の手が顔に乗っている

桃山「Zzz...」スヤスヤ


橘「……」

橘「本当、馬鹿な奴らだな」フッ


\ ガチャガチャ バタン! /


橘「む。もうそんな時間か」

橘「そういえば、いつの間にか外も暗いな」


669: ◆UTA.....5w:2012/5/4(金) 17:51:30 ID:iVVTlb76UY

ドタ ドタ ドタ…バタン!


橘父「ごめん!会議が長引いて遅くなった!」

橘父「お兄ちゃんは大丈夫──…」

橘「……」シー

橘父「???」

橘「お帰り、父さん」

橘父「ただいまー……って、お兄ちゃん!寝てなきゃ駄目だろう!」

橘「静かにって言ってるだろう」

橘父「ごめん、つい…」ショボン


670: ◆UTA.....5w:2012/5/4(金) 18:16:09 ID:vGpekRe9Xc

橘父「起きてて平気なのか?熱は?ご飯は食べたか?妹と弟は──…」

橘「いっぺんに訊かれて答えられるとでも思っているのか」

橘父「ごめん、つい…」ショボン

橘「二人は俺の部屋で寝てる。昼は済んだが、夜はまだだと思う。多分」

橘父「多分?」

橘「さっきまで寝てしまってたらしい。妹と弟と……こいつらのお陰で大分楽になった」

橘父「こいつら?」クルッ

橘父「えっ誰この子達!床で雑魚寝してるじゃん!!」

橘「静かにしろ」

橘父「ごめん、つい…」ショボン


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