高校生の馬鹿馬鹿しくて、
ちょっぴりセンチメンタルな
青春グラフィティ───開幕。
※登場人物が増える予定の為、名前を付けています。
583: ◆UTA.....5w:2012/4/12(木) 22:05:04 ID:vLRtOwdEtE
橘妹「わ、わたし…わたしね、」
篠原「うん。何?」ニコニコ
橘妹「お兄ちゃんに、おかゆさん作ってあげたい!」
桃山「なるほど、お粥ね。流石は女の子、良いお嫁さんになれるわよ」
桃山「じゃあ、妹ちゃんはアタシが手伝ってあげるっ」
橘妹「よろしくおねがいします」ペコリ
桃山「ふふっ。はい、此方こそ宜しくお願いします」ペコリ
584: ◆UTA.....5w:2012/4/12(木) 22:14:28 ID:U3c/2fGU32
篠原「よーし、じゃあまずは片付けからだね」
鳴海「うっしゃー、やりますか」
橘弟「やりますかー!」
桃山「先に割れたお皿片付けなくちゃね。ちびっこが怪我したら大変だわ」
篠原「…と、俺はその前に橘の様子見てくるね。タオルも替えてあげなきゃ」
橘妹「わたしも一緒に行く」
鳴海「引き出しは開けちゃ駄目だぞー?」ニヤニヤ
橘妹「??」
585: ◆UTA.....5w:2012/4/12(木) 22:29:27 ID:U3c/2fGU32
──橘の部屋
橘「…うー……はぁはぁ…」
篠原「ありゃりゃ、しんどそうだねぇ」
橘妹「お兄ちゃん、可哀想…」
篠原「大丈夫、きっとすぐによくなるよ」
橘妹「……」コクリ
篠原「よいしょ」ギュウ
篠原「はい、これ。お兄ちゃんのおでこに乗せてあげて」
586: ◆UTA.....5w:2012/4/12(木) 22:36:35 ID:U3c/2fGU32
橘妹「タオル……わたしがお熱の時、お兄ちゃんもしてくれた」
篠原「こうしてあげると、ひんやり気持ち良いんだよねー」
橘妹「うん」ソッ
橘妹「お兄ちゃん、早くよくなってね」ヨシヨシ
篠原「あはは、妹ちゃんお母さんみたいだ」
橘妹「わたし、またタオル乗せに来る!」
篠原「妹隊長、任せましたぞ!」
橘妹「ラジャー!」ピシッ
587: ◆UTA.....5w:2012/4/12(木) 22:44:50 ID:U3c/2fGU32
橘妹「そういえば、ちっちゃいお兄ちゃんが引き出しって言ってた」
篠原「えっ」
橘妹「お兄ちゃんは開けちゃ駄目って言ってたけど、何が入ってるのかなあ?」
篠原「だ、だ、駄目ー!!」
***
桃山「…あの子達、病人の部屋で何騒いでるのかしら」
鳴海「さあ?」
588: ◆UTA.....5w:2012/4/12(木) 22:48:43 ID:U3c/2fGU32
これにて投下終了します。
今更ですが>>567は安価ミスで、正しくは>>566の三つの台詞です。担任教師がメガネを呼び捨てにしたりとミスが目立ちますが、スルーして下さいw
読んで下さった皆さんに感謝です!
589: CCCCC:2012/4/13(金) 00:24:07 ID:mrLbpDViIc
今日も安定の面白さでした
漫画読んでる気分になるなー
続き楽しみに待ってます(*´ω`)
590: 名無しさん@読者の声:2012/4/13(金) 08:25:07 ID:5JtPj.ARgg
オカマがクリス松村で再生される
591: 名無しさん@読者の声:2012/4/13(金) 18:25:25 ID:Ls61b1NVC.
>>590
やめろwクリスで脳内再生しちゃったじゃないかw
桃ちゃん好きです支援
592: 名無しさん@読者の声:2012/4/14(土) 00:12:31 ID:YncsjmvGow
>>1が…>>1が好きだ
tk 4馬鹿好きだ
むしろ全部が好きだああああああああ
593: 名無しさん@読者の声:2012/4/14(土) 17:32:21 ID:Grzfumkfeo
確かにこの>>1さんはいい>>1さんだ
>>590のおかげでちょっと笑っちまたw
っCCC
594: 名無しさん@読者の声:2012/4/15(日) 15:03:46 ID:l9WMTeAdvo
支援支援支援!
大好きだー!
595: ◆UTA.....5w:2012/4/15(日) 20:43:00 ID:0Mp7ukSNHM
>>589
頭の中で彼らを動かしつつ会話をさせているので、そう言って頂けるととても嬉しいです!
589さんの中でも4馬鹿が元気に馬鹿やってくれているといいな、と思います。
>>590
私の脳内では某双子のオカマで再生される事がよくあるのですが、なるほど。クリスで再生余裕でしたw
>>591
仲間発見!クリスで再生すると桃山氏の胸板が少し膨らみますよw
意外と好いて下さる方が多くて嬉しいです。ありがとうございます!
>>592
わーい、ありがとうございます!
なんて軽く返しつつ、激しく照れ臭いですw
好きと言って頂けて幸せです。私も592さん大好きです…!
>>593
本当はそこら辺に居る、目付きの悪い野良猫のような奴なのです。
真面目に思われがちですが、そういう訳でもなく…恐縮ですw
>>594
ありがとうございます、ありがとうございます!
私も皆さんが大好きです!
支援感謝です。投下します。
596: ◆UTA.....5w:2012/4/15(日) 20:44:11 ID:0Mp7ukSNHM
──誰かが泣いている。
膝を抱えて、背中を向けて。
いじけた様子の、男の子。
あれは誰だ?
あれは──ガキだった頃の俺だ。
【橘少年の憂鬱】
597: ◆UTA.....5w:2012/4/15(日) 21:00:51 ID:ntc3BUzzNk
橘少年、小学五年生。ずれる眼鏡を直しながら、俺は家路を急いでいた。
早く帰らなければいけない理由など特にはなく、走る必要など全くない。それでも俺は、早く家に帰りたかった。
帰って、母さんに見せたいものがあったのだ。
「見て見てお母さん!また満点取った!」
テスト用紙を自慢気に広げる俺を、母さんは優しい笑みを浮かべて迎えてくれた。その腕には、まだ日本語も覚束ない二歳の妹が抱かれている。
598: ◆UTA.....5w:2012/4/15(日) 21:22:06 ID:ntc3BUzzNk
「妹ちゃん、お兄ちゃんまた百点満点だって!凄いね、お兄ちゃん格好良いね!」
「にーたん!凄いねー!」
「ふふ。妹ちゃんも凄いって褒めてるよ」
母さんが妹の手を操り、ひらひらと動かす。楽しそうにはしゃぐ妹と、その高い笑い声に思わず顔が歪んだ。
──まだ幼かった俺は、妹の事が好きになれなかった。
599: ◆UTA.....5w:2012/4/15(日) 21:22:40 ID:0Mp7ukSNHM
小学三年生まで一人っ子として育った俺は、初孫という事もあってそれは大層可愛がられた。祖父母に至っては、会う度に俺にお小遣いやお菓子を与えてくれた。
しかし、だからといって両親は決して甘やかせるだけではなかった。所謂、飴と鞭というやつだ。
祖父母の家の障子を破いた時は噎び泣く程に叱られたし、家事を手伝った時は照れ臭くなる程褒めてくれた。
そうして素直な良い子に育った俺が九歳の頃、父さんの口から衝撃の一言を聞かされる事となる。
「もうすぐ、お兄ちゃんになるんだぞ!」
600: ◆UTA.....5w:2012/4/15(日) 21:36:20 ID:0Mp7ukSNHM
──妹。
母さんの腹の中ですくすくと成長していくそれに、期待を膨らませていたのはいつの事だったろう。
妹という存在は、俺にとって余りにも重いものだった。
「お兄ちゃんなんだから」
両親が発するその言葉が、決して悪意のあるものではないのだと、子供ながらに理解していたのに。それなのに、無邪気な笑顔で俺に懐く妹が憎らしくて堪らなかった。
俺と話している最中でも、妹が泣けば母さんは其方に。
俺が縄跳びで二重飛びが出来た事よりも、妹が寝返りを打った事の方が父さんは嬉しそうだった。
601: 祝600突破! ◆UTA.....5w:2012/4/15(日) 21:57:46 ID:0Mp7ukSNHM
最初の子供は可愛がられる、とよく言うが、二番目が女ともなれば話は別らしい。
祖父母や親戚も、妹と会う度に可愛い可愛いと囃し立て、やれスカートだ髪飾りだと買い与えた。物の価値も理解していない妹は、それを受け取って屈託のない笑顔を向けるだけで許される。
俺が妹に手を上げる事は決して許されず、教科書に落書きをされても許すしかない。勿論両親は妹を叱るが、両親のそれは俺の怒りとは比例しない訳で。
理不尽さを感じながら、ただ堪えるだけの毎日。出来る事なら傍に寄って来ないで欲しいと、そう思っていた。
これが、俺が妹を好きになれない最大の理由である。
602: ◆UTA.....5w:2012/4/15(日) 22:15:00 ID:0Mp7ukSNHM
ところがどうだ。目の前の母親であるこの人は、妹を抱えたその向こう側──腹の中にもう一つの命を宿していると言うではないか。
「妹ちゃんも、もう少しでお姉ちゃんね」
かつて俺に言ったように、母さんは笑顔でそう言った。まだ二歳の妹は、理解出来ていない様子で首を傾げる。
「おえーちゃ?」
「そうよ、お姉ちゃん。沢山遊んで、優しくしてあげてね」
「あい!」
俺は妹の明るい返事に弾かれるようにして、踵を返して自室に引っ込んだ。
閉じたドアの向こう側から、うがいと手洗いを促す母親の声。何故だか酷く、腹立たしかった。
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