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魔王「何この子超弱い!」
[8] -25 -50 

1: ◆Gw31v9ceXw:2012/1/3(火) 00:25:15 ID:GoOVcwF126
勇者「あ、あああああなたが魔王ね!!」
魔王「・・・1人でのこのこと殺されに来るとは殊勝な事だ。
ふむ、まさか勇者がこんな歳若い娘とはな・・・ククク」
勇者「う、うるさい!ここで会ったが百年目!世界に平和を取り戻すために
あなたを倒してみせる!」
魔王「いいだろう。倒せるものならしてみるがいい。・・・さぁかかってくるがよい!」
勇者「言われなくとも!てやー!!!」

ズルッ
ドテッ

勇者「ふぎゃっ」
魔王「えっ」



524: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/24(金) 22:23:44 ID:g.AV2R2.bU

ドサッ…

シュゥー…

魔物A「ぐ…あ…・・・」

魔王「…おい、そっちの片割れ。コイツは死んだぞ。命乞いをするなら今の内だ」

魔王「と、言っても。出血多量で死ぬくらいの傷は負わすが」

側近「それ、ほぼ死んでます」

魔物B「そいつを殺るとは腐っていてもお前は魔王だったという事ね。見誤っていたようだ」

魔王「当然だろ。どうあれ俺は王だ」

魔物B「情に流されない王なら私も従ったのだが」グイッ

勇者「きゃっ…!?」


525: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/24(金) 22:23:59 ID:g.AV2R2.bU

魔物B「今此処でこの勇者を殺す事は私にとって1秒の猶予も要らない」

勇者「くっ…卑怯者…!」

賢者「ゆ、勇者!」

側近「人質ですか?みっともなくて格好悪いですね」

魔王「…同感だ。命乞いよりダサい」

魔物B「余裕ね。それくらいの力が備わっている事ね。…或いは」チラッ

魔物B「この小娘の命が惜しくないという事か…」

魔物B「死んでも良いと思えるくらいどうでもいい存在なのかもね」 

勇者「!」


526: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/24(金) 22:24:14 ID:g.AV2R2.bU

勇者「…え?」

魔王「はぁ…馬鹿も休み休み言え。惜しくないわけ無いだろが」

勇者「…ほ、本当ですか?」

魔王「…何そいつの言う事本気にしてるんだよ。お前はどっちの言葉を信じるんだ」

勇者「ま、魔王さん…。魔王さんの言葉を信じたいです。私、魔王さんを信じます」

魔王「…あぁ。それで良いんだ」



賢者「…」ギリッ

側近「お兄さん、空気読んで下さいよ?」


527: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/24(金) 22:24:31 ID:g.AV2R2.bU

魔物B「この小娘を盾にしても無駄のようね。まぁ分かっていた事だけれど…」

魔物B「なら…もうこの勇者に用は無い」スッ

勇者「!!」

側近「あ…!」

魔物がその大きくて鋭い牙を剥き出すように口を大きく開きながら、勇者さんを睨む。
コイツは勇者さんを喰うつもりだ。一瞬にして分かった。
さっき僕が対峙した魔物の末路を思い出した。
アイツの最期はこの魔物達に喰われて終わった。
あの胸くそ悪い最期を勇者さんにするつもりか。
危ない、と自分でも驚くくらいの大声を張り上げて駆け出そうとした。
だが、僕が駆けるよりも早く、魔王様がその身を呈して勇者さんを庇った。


528: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/24(金) 22:25:01 ID:g.AV2R2.bU

勇者「…ま、魔王さん…!!腕…腕が…!」

魔王「…こんな低級クラスの魔物に咬みちぎられる程、俺の腕は脆くない。どうだ?丈夫だろう?ちょっとやそっとじゃ、千切れねえよ?」

魔物B「グゥッ…!!グルッ…!」モゴモゴ

勇者「な、何余裕ぶっこいてるんですか!!腕そんな咬まれて…!!」

魔王「…余裕も何も、全然痛くないし。魔王になって良かったって思ってるのは、この身体の丈夫さかね」

勇者「…!!」

魔王「…さて、悪いけれど、もうお遊びに付き合ってられないわ」スッ…

魔王「どう足掻いても、お前は俺にとっちゃただの三下だ。スライム共よりもな」

魔王「残念だな」


529: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/24(金) 22:25:18 ID:g.AV2R2.bU

右手を。咬まれていない片方の腕を魔物に向かって右手を伸ばす。
左腕は尚も咬まれているまま。痛くないと言えば嘘になるが、こんな痛み側近の蹴りに比べれば雀の涙。矮小だ。虚空を咬むな。
怨嗟の声が僅かに耳に入る。ああ、格好悪い野郎だ。
往生際の悪い魔物だ。ここに来て迫ってくる死に恐怖を覚え、噛み続けるというのか。

「さっきまでの威勢はどうした」

右手に魔力を注ぎ、魔物に向かって解き放つ。轟音と共に魔物の身体が塵と化していく。
融かした。消し飛ばした。存在を無かった事にした。−死んだ。
呆気無い最期だな。
悪い、どうやら俺は空気の読めない男のようだ。


530: 名無しさん@読者の声:2012/2/24(金) 23:17:57 ID:qhe8TO4DYw
>キャーマオウサーン
531: 名無しさん@読者の声:2012/2/24(金) 23:41:25 ID:0CerDYz4Z2
>キャーマオーサマカコイー
532: 名無しさん@読者の声:2012/2/25(土) 00:26:24 ID:WO9QRt5V6.
最後の最後でやりおった…今までのニートっぷりが嘘みたいだ
533: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/25(土) 03:33:34 ID:g.AV2R2.bU


その出来事は一瞬だった。まるで夢を見ているかのよう。
魔王さんの右手から魔法が放たれて、あの獰猛で巨大な体躯を持った魔物は、元から存在していなかったんじゃないかと思う程、綺麗に消えて無くなっていた。
魔王さんがあの魔物を倒す時の眼は、"魔王"とも"勇者"ともつかない怒りに満ちた眼をしていた。
上手くは言えないけれど、あの眼に畏怖さえ感じたと思う。
あの後は色々とてんてこ舞いで、村人さん達や村長さん達に謝罪混じりのお礼を頂いたけれど、魔王さん達を分かってくれる人が増えたと言えばそうでもなくて。…そこは、やっぱり難しい問題だから仕方のない事なんだけど。
ちなみに、怪我をした人達は村の診療所で治療中。
魔王さんが回復してくれたお陰で大事には至っていないからそんなに心配する事でも無いみたいだ。
戦士くんや魔法使いちゃんも、今は泥のように眠っていて、明日にでも目を覚ますだろうと言われた。


ややあって、今こうして魔王さんと側近さんを、家に招いている。
今度こそ、あの時出来なかったお話をしようと思ったけど



534: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/25(土) 03:33:53 ID:g.AV2R2.bU

勇者「もう…帰られ…るんですか…?」

側近「ええ。遊びに来た訳ではありませんし。そろそろお暇しないと」

魔王「…元々、俺は此処に来る予定なんて無かったんだよ。偶々、こうなっただけで。コレ以上居座る必要なんて無い」

勇者「そ、そう、ですか…。そうですよね…」

魔王「それに、あんまりこの村に長居してもお前らが白い眼で見られるだけだぞ」

賢者「その件に関しては心配するな。もう白い眼で見られている」

勇者「胸を張って言う事じゃないと思うの…お兄ちゃん」


535: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/25(土) 03:34:14 ID:g.AV2R2.bU

側近「…」

側近「勇者さん。勇者さん」コイコイ

勇者「なんですか、側近さ…わぁ!」グイッ

魔王「?」

側近「付いてきて下さい」ボソッ

勇者「え?」

側近「何だかこの家、熱気が凄いので少し外で涼んできます。心細いので勇者さんにも付いてきて貰いますわ」グイグイ

勇者「わ、わ!」グイグイ

バタンッ

賢者「…」

魔王「殺気やめて」


536: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/25(土) 03:34:40 ID:g.AV2R2.bU

−−−

勇者「いたいっ!痛いですっ側近さん!もうっ、どうしたんですか!いきなり!」

側近「…良いですか。耳も目もかっぽじって良く聞いて下さい。見て下さい」

勇者「ん…?」

側近「前に一度、魔王様は先代の魔王に呪いをかけられて今の姿になったと…そう説明した事覚えていますか?」

勇者「!…う、あ、はい」

勇者「…魔王さんは、元人間で…私と同じ、勇者、だった…」

側近「はい、そうです。もう、何百年前のお話ですけどね」


537: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/25(土) 03:34:56 ID:g.AV2R2.bU

勇者「それが…どうかしたんですか?まさか、魔王さんの身に何か…」

側近「そういう不吉なお話をしに此処に連れ込んだのではありません。見て貰ったら早いでしょうが、コレを」スッ

勇者「?…これは…本?魔導書?」

側近「はい。さすがの阿呆の勇者さんでも、コレが何なのか分かっていただけで良かったです」

勇者「うぐ…」

勇者「ば、馬鹿にしてますね…」

側近「はい」

勇者「むぅ〜…!」


538: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/25(土) 03:35:11 ID:g.AV2R2.bU

側近「そんな事はさて置き、此の魔導書。どうやら、魔王様の呪いと解く方法が記されているみたいなんですね」

勇者「!!ほっ、本当ですか!?」

側近「えぇ。ただ、この解呪出来る人物はそう」チラッ

勇者「?」

側近「勇者さん、貴女だけなんですよ」

勇者「えっ。…ええええ!?」

側近「喧しい」


539: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/25(土) 03:35:26 ID:g.AV2R2.bU

勇者「な、何で…私が…!」

側近「さぁ?ただ、魔王を倒せれるのも勇者だけだし。当然の法則なんじゃないんですか?それは分かりません。作った人に聞いて下さい」

勇者「そ、んな無茶苦茶な…」

側近「無茶苦茶で結構。どうして僕が此処まで必死になって、貴女を庇って、貴女の村を脅かそうとした魔物と対峙したと思ってるんです?まさか、自分の為だなんて思っていないでしょうね?」

勇者「…魔王さん、の為ですよね?」

側近「えぇ、そうです。僕はあの方に命救われたようなモノですし。借りがあるんですよね…大きな大きなね。恩を仇で返す気なんて毛頭無いですし。僕に出来る事と言ったらこれくらいですから」

勇者「…」

側近「嫌、と言っても無理矢理にでも解呪させますから」

勇者「脅し、ですよ…それ」



540: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/25(土) 03:35:45 ID:g.AV2R2.bU

私は少し、逡巡した。
逡巡する必要なんて無い筈なのに、してしまった。
魔王さんの呪いが解ければ、恐らく、きっと、魔王さんは元の人間の姿に戻れる。
それはとっても喜ばしい事。
でも、魔王さんが人間に戻ったら、魔王城に住んでいる魔物さんや、今目の前に居る側近さん達の存在はどうなるのだろう。…消えて、しまうの?
魔王を倒したら魔物が居なくなるのと同じ原理、消えてしまうんだろうか?
それは、とても、嫌だ。

勇者「私、は…」

側近「…僕らの事なら、心配は要らないよ」

勇者「え…」

それは酷く優しい声だった。


541: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/25(土) 03:36:00 ID:g.AV2R2.bU

側近「君の事だろうから、僕ら魔物の存在を心配してくれたのだけれど」

側近「大丈夫。もうみんな覚悟は出来ている。ありがとう」

―突然人が変わったような優しい声。何時も通りの冷たい視線も無い。穏やかな眼をしていた。
―穏やかな眼差しだけじゃない。その眼には強い意志も込められている。
―人が、中身が見えてしまう程、一生懸命なんだ。

側近「酷な願いを頼んでいる事は重々承知だよ。これは僕らの我儘だ」

側近「魔王様の魔力が噴き出す恐れも否めない。魔王様が苦しむ姿は見たくないから。みんなね」

側近「死は恐れない。無も恐れない。本当に怖いのは、大切な人が傷付く時だ」

側近「だから、勇者。受け入れてくれないか。僕達のお願いを」

側近「我儘で、すまない」


542: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/25(土) 03:36:17 ID:g.AV2R2.bU

−−−

賢者「…あの2人、何をしに行ったんだろうな」

魔王「…す、涼みに行ったんだろう?」

賢者「に、しては少し遅いと思わないかい?」

魔王「そうか?逆上せてから冷えるまでにはこれくらいの時間が有するんじゃないのか?」

賢者「ってか、そもそもこの家そんなに蒸し暑くなんざねーよ!!!寧ろ涼しいわ!!隙間風が吹いてきて逆に寒いわ!!!」ダンッ

魔王「うっ、うおあ!!!」ビクッ



543: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/25(土) 03:36:35 ID:g.AV2R2.bU

賢者「あぁもう、我慢ならん。連れ戻しに行く」スタスタ

魔王「いやいや待て待て。確かにアイツらの様子は不自然だったし、涼みに行くにはあまりにも展開が急だ」

賢者「だろう?だから無理矢理にでも連れ戻す。こんな夜に男女2人きりなんて危ない。妊娠する」

魔王「発想が突飛すぎるぞ!どんだけシスコンなんだよ!…待て、落ち着け、な?茶飲めよ、茶」

賢者「そんな不味い茶は要らん!!」

魔王「アンタの妹が淹れたヤツだぞ!?」


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