入院手続きですか?
そうですか。わかりました。
それでは此方に氏名だけの記入をお願いします。
え?他に書くことはないのかって?
いいえ。何もありませんよ。
アナタは何故この病棟にいるかご存じですか?
そうですか。存じ上げないんですね。それならいいんです。
では、病室にご案内させて頂きますね。
…おっと忘れるところでした。
此方に目を通しておいて下さい。この病棟の規則です。
――では、ご案内致します。
54: 名無しさん@読者の声:2011/11/24(木) 20:49:17 ID:9IAOdG2/VE
110号室患者結果
名前:神谷 夏実
入院から2年と3日経過。
現在も生存中
薬の効果
発狂・自傷行為・精神崩壊
会話不可。
55: 名無しさん@読者の声:2011/11/24(木) 20:55:47 ID:svXBI68Hng
――――
「センセ。今回はどうだった?」
「少し厄介かも知れないな。ところで記事は持ってきたか?」
「うん!はい、これ!」
ふわりと柔らかく笑みを浮かべ、記事を渡すとモニターに視線を移す。
「…………確かに厄介だね」
さっきまでの笑みは消え無表情で呟き、呆れた様子でモニターから目を逸らした。
「110号室の患者の記事は非常に恐ろしいよ。流石に自分でも無理だ」
「センセってチキンなの?」
「俺は鳥じゃないが」
「そっちのチキンじゃないんだけど」
「そうか」
56: 名無しさん@読者の声:2011/11/24(木) 20:58:29 ID:9IAOdG2/VE
>>52
何も無いですよ、ただ患者と結果にネタが無いだけです(´・ω・`)
1日は無理でしたが一週間に1回のペースで出来たらな!って思ってます
支援感謝\(^^)/
57: 名無しさん@読者の声:2011/11/24(木) 21:11:31 ID:svXBI68Hng
「110号室患者記事だが"家族撲殺したあとに死体をバラバラに"
少女には弟(当時4才)妹(当時2才)母と父の5人家族であった。周りから見ていた人々か口を揃え「憧れ」や「仲良し夫婦」とコメント。
しかし、そのコメントとは裏腹に夫婦では喧嘩が絶えなかったらしい。
家族を殺害した少女は「うるさかった」との理由で殺害に及んだ」
「結婚って大変だね。僕気を付ける」
「話の腰を折るなよ」
「はーい」
「えっと……。
再び少女から話を聞こうとしたところ、言葉が出なくなってしまい今までの記憶を失っていた」
「ショックがあったのかな?」
「難しいところだ」
58: 名無しさん@読者の声:2011/11/24(木) 21:17:10 ID:9IAOdG2/VE
「心に闇を抱えてるんだろうね、ここの患者さんは」
どこか懐かしそうにセンセに話し掛け、同意を求める様に少年は首を傾げて見せた。
「お前もあったんだろ?」
「そうだね。センセが助けてくれなかったら、きっと僕も別の形で会ってたのかな」
「殺人だけは止めろよ。絶対に…何があっても」
「優しいね」
「患者を見てればわかる」
「そうかな」
今度は同時にモニターを見つめた。
「患者は道を間違えた。そして"殺人"を、ね…」
59: 名無しさん@読者の声:2011/11/24(木) 21:25:44 ID:9IAOdG2/VE
「助けられるのはセンセだけだよ」
「プレッシャーに潰されそうだ」
「やっぱチキンだ」
「だから鳥じゃないって」
「もう良いよ、そのボケ」
「すまん」
記事をペラペラと捲り、センセは「ほう」と声を漏らすほど興味をそそるものを発見した。
そして大きく
「無差別殺人!"死ぬのは怖いか?"と質問」の文字。
「……これ知ってる」
「109号室の患者だな」
「聞いてる?」
「聞いてるが、流れていったよ。右から左へ」
「どっちか鼓膜破ろうか?」
「勘弁してくれ」
「わかってるよ。センセ」
ふふっと楽しそうに少年は笑って、センセの頬に手を添えた。
60: 名無しさん@読者の声:2011/11/24(木) 21:26:53 ID:9IAOdG2/VE
今日の更新終わりにします!
次はもっと見やすく書けるようにしますね
61: 名無しさん@読者の声:2011/11/26(土) 23:02:35 ID:fVVLBZ49.o
「代わりにビンタして良い?」
頬に添えられたままの手は次第にビンタの構えに変わっていく。
「気にくわなかったのか、ごめんね。取り合えず記事を読ませてくれ」
「うん」
にっこりと天使の微笑みを向けたあと、手は素直に下げセンセの言葉に耳を傾けた。
「通行人を次々と切りつけるという無差別殺人が起きた。被害者に状況を尋ねると決まって"死ぬのは怖いか?"と質問されたと証言。遺体には切り傷だけでなく、多くの刺し傷もあった」
「朗読上手いね。センセはそっちの職業の方が向いてるよ」
「俺の話聞いてた?」
ポリポリと頬を掻き、記事を折り畳むと投げるようにして机に置く。
62: 名無しさん@読者の声:2011/11/26(土) 23:24:21 ID:9T.4e7jXrM
「聞いてたよ。うるさいな」
「え、反抗期?反抗期なの?」
「次の患者さんでも見ようよ。センセとの会話飽きた」
「いきなり反抗期ってどうなの。聞いてる?」
センセの問い掛けには見向きもせずに少年はホワイトボードに近付き、患者の写真を貼り付ける。
印を書き込むと、眉を下げ悲しげにこう言った。
「………何人残れるのかな」
モニターに目を移し、今までの患者を見ていく。
センセは咳払いをして真面目な顔で答えた。
「努力次第だ」と。
63: 名無しさん@読者の声:2011/11/26(土) 23:32:30 ID:8oB7ij1vu.
と、まぁ投下終了するつもりです!
次から患者さんのターン(`・ω・´)
番外編か途中にセンセと少年の出会いでも書こうと思いますが、全ておわってからか途中かどっちがいいですかね(´ーωー`)
64: 名無しさん@読者の声:2011/11/27(日) 23:15:34 ID:KQAgxdxGac
〜111号室〜
電気も点いていない真っ暗な空間に彼女は退屈そうに、汚れの無い真っ白なベッドに寝転び足をバタつかせ仰いでいた。
2つに結ばれた長く美しい髪は暗闇でも目立つほどである。肌も白く、まるで雪のようだ。
片方の目には包帯がグルグル巻きにされていた。
血が滲んでおり、まだ新しいものだと判断できる。
「こっちの目も取っちゃおうかな」
「そしたらもう汚い世界を見なくてすむよね」
そう言う彼女は不気味なほどに嬉しそうだった。
「でも痛いの嫌だな」
うーんと悩みに悩んだ彼女の答えは簡単なモノであった。
「死のう」
その言葉に似合わない満面の笑み。バタつかせてた足はいつしか止まり、彼女は立ち上がった。
「どんなのが良いかな〜」
楽しそうに行動する姿は、デートに向かう可愛らしい様子。思い付いたように彼女はある物を手に取る。
―――"ナイフ"だ
規則違反。
しかし、彼女は気にしてない様子で胸に翳すと一気に奥深くまで貫く。
ひゅーひゅーと苦しそうな彼女は暫くシーツを握り痛みに耐えていた。
…そしてゆっくり身体は崩れ床に倒れ、そのまま覚める事のない眠りについた。
65: 名無しさん@読者の声:2011/11/27(日) 23:22:02 ID:ukpSrCgcpI
111号室患者結果
名前:松崎 美羽
入院から4日経過。
死因は大量出血及び、刺殺
薬の効果
自傷行為
会話に異常無し。
66: 名無しさん@読者の声:2011/11/27(日) 23:23:35 ID:ukpSrCgcpI
どうしましょ、患者さんが同じようなパターンだ( ̄▽ ̄;)
投下終了します
67: 名無しさん@読者の声:2011/11/29(火) 21:28:16 ID:gkmvJaScFM
>>63
私的には 一通り患者さんの情報が出てから 出会いの話が読みたいかな
まあ、早いうちに出しても問題はないかなと思いますが(なんか日本語おかしいですね。すみません)
つC
68: 名無しさん@読者の声:2011/12/3(土) 23:07:54 ID:wjrKSK2k82
〜112号室患者〜
何かに怯えている瞳。
カタカタと歯がぶつかる音が病室に響き渡っている。
小柄な少年は肩を抱き、ただ怯えた様子で一点を見つめているだけであった。
「……っごめ…なさ」
頬を伝う涙。
それを拭う手は細く、頼りなさそうで今にも折れてしまいそうだった。
「ごめんなさ…ごめんなさい………」
ポタポタと床に涙が落ちる。そして止まる事を知らぬ涙は次から次へと溢れ頬を濡らす。
「…ひっ…ひくっ…ごめなさっ…」
何度も何度も繰り返される単語。呼吸も荒くなり喋ることも難しくなっていく。
しかし一点を見つめる姿勢は崩さなかった。
「……………もう…いいよね?頑張ったよね?」
両手を見つめてた先に向け、涙を流しながら悲しそうに微笑む。
怯えた少年は消えていた。
今いるのは覚悟を決めた揺らぐことの無い瞳を持つ少年。
自らの首に手を翳す、そして絞めると徐々に力を込めていく。強い力で。
「ご…め、……な…、さい」
途切れ途切れに呟くか細い声。
自分の命が途絶えるまで、何度も繰り返していた。
69: 名無しさん@読者の声:2011/12/3(土) 23:11:54 ID:FFkWuh2UB2
112号室患者結果
名前:緑川 学
入院から3週間計画。
死因は絞殺
薬の効果
幻覚・精神崩壊
会話はある程度可能
70: 名無しさん@読者の声:2011/12/3(土) 23:19:34 ID:apUuk9iOiY
>>67
いえいえ、意見ありがとうございます!
そして支援感謝\(^^)/
71: 名無しさん@読者の声:2011/12/3(土) 23:44:30 ID:56vhmFPfX6
最後はどうなるのかすごく楽しみですw
更新頑張ってください!
つC
72: 名無しさん@読者の声:2011/12/4(日) 01:39:17 ID:4xmdquRWxQ
〜113号室患者〜
壁に沢山の裂いたアト。
掌には鋭いモノを握った直線を描いたアト。
ぼさぼさな髪。
お世辞でも美しいとは言えない。
そして暇さえあれば、髪を乱暴に掻き奇声を上げる。
「外ってすごいのよ」
くるりと回るとスカートの裾がひらりと舞う。
「とても綺麗なの」
乾いた唇から漏れる女性の笑み。何故か言葉に重みを感じられた。
「鳥って素晴らしいわ。アナタも思うでしょう?」
誰に話しかけているのか、理解は出来ない。そして両手を拡げると鳥を真似る。
「空を飛ぶ夢を見たの。嘘じゃないわ」
瞳を輝かせる姿はまるで子供であった。
しかし何かを期待している瞳でもある。
「手伝ってくれる?」
「背中を押すだけで良いの。簡単でしょう?」
扉に手を掛け開けて見せる。風が吹き髪を揺らす。
「外ってやっぱり気持ちいわ」
背後には誰も立たない。誰も居ない。女性は話続けた。
「見ていてね」
押される事の無い背中。
前に踏み出す女性。風が包み込みそのまま飛ぶことはなく堕ちてしまった。
73: 名無しさん@読者の声:2011/12/4(日) 01:42:01 ID:4xmdquRWxQ
113号室患者結果
名前:山木 新菜
入院から4ヶ月と3日経過。
死因は飛び降り
薬の効果
幻覚・精神崩壊
会話は可能であるが時折発狂し奇声を上げる。
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