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特別病院〜○○科〜
[8] -25 -50 

1: 名無しさん@読者の声:2011/11/12(土) 14:48:42 ID:3qfVj3OfXY

入院手続きですか?
そうですか。わかりました。

それでは此方に氏名だけの記入をお願いします。
え?他に書くことはないのかって?

いいえ。何もありませんよ。
アナタは何故この病棟にいるかご存じですか?
そうですか。存じ上げないんですね。それならいいんです。

では、病室にご案内させて頂きますね。
…おっと忘れるところでした。

此方に目を通しておいて下さい。この病棟の規則です。


――では、ご案内致します。




2: 名無しさん@読者の声:2011/11/12(土) 14:53:06 ID:bTX/yIH.Mo

    規則

 ※他の死は見ぬ振り

 ※患者同士の会話禁止

 ※刃物等の持ち込み禁止

 ※帰宅禁止

この病院には101号室から121号室の20部屋しかありません。
親族、また友人との面会は許可されておりません。
入院されてから1週間薬を飲んで頂きます。


3: 名無しさん@読者の声:2011/11/12(土) 14:57:39 ID:MD.Og/oBiw

  〜101号室患者〜

「かあいそかあいそかあいそかあいそかあいそかあいそ」

幼い女の子は何も無い空間を指差しケタケタと笑い乍ただ言葉を発する。

「かあいそかあいそ」

笑い声は次第に大きくなり、最後には



「…ひとりぼっちかあいそ」


と、笑い声が止んだと同時に小さく呟いた。

幼女はぐるりと振り返り元気にパタパタと廊下を駆け始める。

長い長い廊下。
出口も入り口も無い。人すらも通らない廊下をただ走り続けていた。

「まってまってまって」

見えない相手を追い掛けている様で、楽しそうな表情を浮かべており、それが不気味にも感じられた。

そして扉に辿り着けば幼女はガチャガチャとドアノブを回す。

「おそとおそとおそとおそと」

ガチャガチャガチャ。
幼女の力とは思えないほど、乱暴に回されるドアノブ。

――ガチャリ。

扉が開くと同時に足場のない外に出て行く。

「ひとりじゃないかあいそじゃない」

どこか優しく微笑み呟く幼女は何かに解放されたようだった。


そして、そのまま固い地面に叩きつけられた。


4: 名無しさん@読者の声:2011/11/12(土) 15:06:25 ID:qf2Xyjydl2

101号室患者結果
名前:綾瀬 鈴花
入院から3ヶ月経過。
死因は飛び降り。

薬の効果
幻覚・幻聴・精神崩壊
言葉は単語でしか話せなくなり、会話は不可能。


5: 名無しさん@読者の声:2011/11/12(土) 15:11:23 ID:RVOhnVQ0xw
カアイソウ思い出した
6: 名無しさん@読者の声:2011/11/12(土) 18:13:05 ID:7qWZnYTPBM
こんな雰囲気好きだー

つCC
7: 名無しさん@読者の声:2011/11/12(土) 18:18:37 ID:XLNG6aGxg6
CCCCCCCCCCCCCCCOCCCCCCCCCCCCCCCCCCCCC
8: 名無しさん@読者の声:2011/11/12(土) 18:46:36 ID:AAS5HN/OAk

>>5
未解決…事件でしたよね……

>>6
そうですかね?嬉しいです!
支援ありがとうございます(・∀・)

>>7
何かOが混じってるw
支援ありがとうございます(・∀・)
9: 名無しさん@読者の声:2011/11/12(土) 21:55:54 ID:CFz6aP7Usc

  〜102号室患者〜

「今日の君も可愛いよ」

車椅子を押す男性はまるで恋人とでも会話しているように優しく語りかける。

「やっぱり喋ってはくれないのかい?」

前屈みになり相手の様子を見るが、明らかに普通ではない。

正しく言えば"生きた人間"ではないのだ。

「照れちゃって可愛いなぁ」

そして再び車椅子を押し始める。

「君は僕が好きかい?…ふふ。やっぱり恥ずかしいんだね」

「僕が死んだら君も一緒に死んでくれる?」

歩くテンポが速くなる。

「僕に死ぬのは無理って思ってるの?出来るよ、君の為なら」

言葉とは合わない笑顔を向けて病室に戻った。

「そこで見ててね」

ベッドのシーツを剥ぎ取ると、彼は輪を作り自分の体重を支えられるのを探す。

見付けると其所に引っ掛けて軽く引っ張り確かめた。そして、輪に顔を通す。

「――アイシテルヨ」

その一言を残して彼は愛する者の前で逝った。


10: 名無しさん@読者の声:2011/11/12(土) 22:25:06 ID:wUf5zKLk5A

102患者結果
名前:高田 優人
入院から2週間経過。
死因は首吊り。

薬の効果
幻覚・精神崩壊
会話は可能だか精神に異常有り。


11: 名無しさん@読者の声:2011/11/13(日) 08:36:24 ID:qf2Xyjydl2

  〜103号室患者〜

「毎日誰かに見られてるんです。怖いんです」

「毎日誰かに笑われてるんです。怖いんです」

「私怖いです」

目を隠し、耳を塞ぐ彼女は何度も何度も訴えた。

「目を隠してても分かります。耳を塞いでても分かります」

膝を立て、まだ親の腹にいる赤子の様に丸まる。

「やだやだやだやだやだやだやだやだやだやだ」

そして、壊れたラジカセの様に同じ言葉が繰り返される。

頭を抱えて激しく振り乱す。


「あぁあ…あぁぁぁ!」

そしていきなり叫び出したかと思えば手当たり次第に物を壁にぶつける。

「出てけ!来るな!やめてぇぇぇぇ!!」

様々な物が壁に当たり破壊されては、床に散らばる。

「……も、やめて…下さい…」

彼女は何度も謝罪を繰り返し「やめて」と懇願した。


しかし聞こえるという声は、見られているという目は、彼女しか知らない。

それが事実であるのだ。


12: 名無しさん@読者の声:2011/11/13(日) 08:37:36 ID:l5Pa902z2Y

103号室患者結果
名前:原 美佳
入院から6ヶ月と2日経過。
現在も生存中

薬の効果
幻覚・幻聴・発狂(精神崩壊も多少)
発狂し始めると手がつけられなくなる。要注意。
会話は可能。


13: 名無しさん@読者の声:2011/11/14(月) 00:10:43 ID:gkmvJaScFM

|ω・`){もう少し病室の番号が進んだら 患者さん達を描いてもいいですか?]


14: 名無しさん@読者の声:2011/11/14(月) 10:47:23 ID:TjuDwVsXHM

>>13
魅力的なキャラが出るかわかりませんが、どうぞ!(^ω^)


15: 名無しさん@読者の声:2011/11/14(月) 13:09:54 ID:OHenw44lQM

  〜104号室患者〜

「僕はどうしたらいいのかな〜?」

「わからないな」

「えー。いっつもそれじゃんか!」

「そうか?」

楽しそうな会話が聞こえてくる。声だけ聞けば、少年が友人と楽しそうに会話をしている患者なのだが。

「今日の空は何色かな」

「灰色」

「そうなんだ」

ベッドに仰向けになり、独りブツブツと話す。
周りから見れば独り言に取られるだろう。

「ボクって弱いね」

「オレはお前を守るよ」

そう呟く本人か本人か分からない知らない低い声が返答する。

「ありがと」

そして見た目に合った少年の声が返答し微笑を溢す。それが繰り返された。

「つまんないね」

「そうだな」

「寝る」

「さっきも寝なかったか?」

「良いの!おやすみ」

「おやすみ」

少年は静かに瞳を閉じる。そしてそのまま眠りについた。
眠りながら優しく笑みを浮かべる少年の身体に残る痣を"もう一人の少年"は、ただ悲しそうに見つめるだけだった。


16: 名無しさん@読者の声:2011/11/14(月) 13:15:21 ID:OHenw44lQM

104号室患者結果
名前:松下 啓太
入院から2ヶ月経過。
現在も生存中

薬の効果
今のところ特に無し
解離性同一性障害(また二重人格)は入院前からであることが判明。
会話は可能。


17: 名無しさん@読者の声:2011/11/15(火) 13:22:37 ID:/FPw2cAcBE

  〜105号室患者〜

「生きるのに意味何て無いんだよね」

「でも死ぬのは怖いね」

髪が肩まで伸びきった少年は言葉を続けた。

「痛いのは苦しいね。苦しいのは辛いね」

手首には鋭い刃を持った何かで傷付けた痕。
首には自ら締め付けたと見られる痕。

「――死んだら楽になるのかな」

無表情で物騒な言葉を吐く少年は様々な傷を優しく撫で始める。

「どうしようかな」

「……まだ試してない方法」

そして辺りを見渡し始めると少年は、「あ」っと声を上げた。

少年の瞳に映ったのは浴場。

「苦しいけど大丈夫。我慢すれば大丈夫」

そして頭に思い付いた"新しい方法"を少年は実行した。

「―――――このままお魚さんになれるかな」

それが最期の言葉となってしまった。


18: 名無しさん@読者の声:2011/11/16(水) 12:57:36 ID:/Wp6oG/dVo

105患者結果
名前:黒井 瑞希
入院から1年と2ヶ月経過。
死因は溺死

薬の効果
鬱病?詳細不明
自傷行為は入院前から現在にかけて行っていた。
会話可能。


19: 名無しさん@読者の声:2011/11/16(水) 23:01:56 ID:oaV8sFVAmA

 ―――――…

「センセ。新聞記事持ってきたよ」

見惚れる程の綺麗な銀髪の癖毛を持つ少年は髪を靡かせ、大量の新聞記事を持ち微笑む。

「有り難う。助かった」

それを受け取るのは"センセ"と呼ばれる白衣を身に纏う、眼鏡を掛けた背の高い黒髪の男性。

「まずはこれかな。
102号室、高田優人の記事。
"嫉妬が生んだ悲劇"
高田優人は自室にて恋人が殺害したと、凶器を持ち全身に血を浴びた状態で自首。しかし死体は未だ発見出来ず。高田優人は『彼女が裏切った』と不気味に笑みを浮かべ語ったと警察側は発言していた」

「彼に薬は向かなかったのか。それとも………」

「ね、センセ?僕はねあれで良かったと思うんだ」

言葉を遮る様に銀髪の少年は自分の思いをぶつける。
そして、癖毛の髪を揺らし続けた。

「独りで生きてても辛いだけじゃない。僕もセンセに出会うまで、そう思った」

「俺を殺すなよ?」

「うん」


20: 名無しさん@読者の声:2011/11/16(水) 23:13:49 ID:OXmxEE5H02

「…興味深いのはこれだな。104号室患者の記事だ。
"日々暴行された少年の復讐?"
隣人からの苦情で少年が日々虐待を受けていたのが発覚した。そして、それから数週間後には少年が趣味で使用していたバットで、母親と父親を殴り殺害した。
少年曰く『アイツらが悪い。死んで当然だ』と供述した」

記事を読み終わると、ふぅと息を吐き「当然、…ね」何て
21: 名無しさん@読者の声:2011/11/16(水) 23:16:38 ID:OXmxEE5H02

>>20しくじったですorz
明日再び書き込みます
なので今日の投下はこれだけです!

文章読みずらくないか心配(´・ω・`)マズヒトミテルカワカラナイケド←


22: 名無しさん@読者の声:2011/11/16(水) 23:17:59 ID:RXwsYJSRA.
割とすごい勢いでwktkしてる
っCCC
23: 名無しさん@読者の声:2011/11/16(水) 23:30:31 ID:GlzETAUq3E
センセと少年がドツボ…二人はわたしが貰った
24: 名無しさん@読者の声:2011/11/16(水) 23:31:54 ID:AKEZMREro2
毎日全裸待機してる

CCC
25: 名無しさん@読者の声:2011/11/16(水) 23:37:59 ID:etb2FfO1cY

>>22
嬉しいです(`・ω・´)
文章読みにくくないですか?平気ですk((

>>23
全然喋らせていない気が……、はっ!容姿か!
「僕はセンセが居るとこなら何処でも良いよ」

「お前変な気だけは起こすなよ」

「うん」


26: 名無しさん@読者の声:2011/11/16(水) 23:41:25 ID:sv4nAwFHwA

>>24
(゚Д゚)
靴下とネクタイは絶対ですよ!
ありがとうございます(`ω´)


27: 名無しさん@読者の声:2011/11/17(木) 08:46:51 ID:iJXw5bvN36
>>20続き


「…興味深いのはこれだな。104号室患者の記事だ。
"日々暴行された少年の復讐?"
隣人からの苦情で少年が日々虐待を受けていたのが発覚した。そして、それから数週間後には少年が趣味で使用していたバットで、母親と父親を殴り殺害した。
少年曰く『アイツらが悪い。死んで当然だ』と供述した」

記事を読み終わると、ふぅと息を吐き「当然、…ね」何て困った様に頭を掻く。

「そう言えば、光希(こうき)って…いや何でもない」

「変なセンセ」

銀髪の少年は光希と呼ばれておるらしく、その光希はセンセを笑った。


28: 名無しさん@読者の声:2011/11/17(木) 12:14:40 ID:HUyNmpQ.3E

「えっと…今は101号室、102号室、105号室の患者は亡くなってる。残りの患者さんはどうなるんだろ」

「どうかな。生きる意志が弱い者はきっとすぐに死んでしまうだろう」

患者の写真を眺めながら男性は眉を下げ、悲しげに言葉を返した。

そしてホワイトボードに写真を貼り付け、その下に×印を書き込む。

「助けられると良いね」

「そうだな。成功したい」

「センセなら出来るよ。じゃあ、僕は情報また持ってくる」

光希は顔を覗かせ笑顔で励ますと、美しい癖毛を靡かせ記事を探しに走り去った。
その後ろ姿は翼を持たない天使に見える。


「さて。――次の患者でも見ようかな」


男性は、ぎしりと音をたて軋む椅子に座り、モニターに視線を移した。


29: 名無しさん@読者の声:2011/11/18(金) 21:26:49 ID:X/e8SDb5uw

  〜106号室患者〜

ただ涙を流すだけだった。
声も出さずに、小さな身体を震わせ泣いている少女。

時折耳に入るのは「ごほごほ」と苦しそうに咳き込む声。

「いけないのは…ウチじゃないもん………悪くない…もん…」

「そ…うだよ…あはは…何だ、あはははは!ははははっ!」

ようやく口を開いたかと思えば、吹っ切れた様に我を忘れて笑う少女の表情から、感情は読み取れない。

「…………ウチが正しいんだよ…」

一気に力が抜けたように壁に凭れながら床に座り込むむ。
何度も「正しい」と繰り返し気を落ち着かせているようで、それが呪文の様に聞こえる。

今度は身体をビクッと跳ねさせ、顔色を変え、怯えた様子で廊下を見つめた。

「や……やぁああぁあ!」

立ち上がり、そのまま廊下へ駆けて走る。
転んでもすぐに立ち上がり、よたよたと危なっかしい足どりで何かから逃げ続けた。


「―――――…あっ」

階段で足を踏み外し、身体が浮くと頭から落ち、骨が砕けた音が聞こえる。

ぱくぱくと金魚の様に口を動かして、しばらくすれば涙を流し呼吸をしなくなってしまった。


30: 名無しさん@読者の声:2011/11/18(金) 21:36:34 ID:X/e8SDb5uw

106号室患者結果
名前:村山 まどか
入院から3ヶ月と4日経過。
死因は転落

薬の効果
幻覚・精神崩壊(発狂)
異常な程に泣いては叫ぶを繰り返す。
会話は不可能に近い。


31: 名無しさん@読者の声:2011/11/18(金) 21:48:40 ID:CT7VV0836g

全然投下出来ないやorz
気長に待ってくださると嬉しいです( ノД`゚)
32: 名無しさん@読者の声:2011/11/18(金) 22:19:08 ID:WpetK/kVaI

>>31
逆に、少しずつでも毎日投下し続けてる>>1は すごいと思うな


毎日更新楽しみにしてるよ(b^-゜)

33: 僕様ちゃん ◆s1GX07Jqyg:2011/11/19(土) 04:13:10 ID:isL3WzAjWw
楽しみー。

34: 名無しさん@読者の声:2011/11/19(土) 08:10:14 ID:OtBmIZHLOI
クソコテが沸いたな
ほんとキモい
35: 名無しさん@読者の声:2011/11/19(土) 08:50:56 ID:TjuDwVsXHM
>>33
こいつ色んなSSに居るよな

何故コテを外さないのか

スレチ消えるわ

つC
36: 名無しさん@読者の声:2011/11/19(土) 14:12:48 ID:.Km5JWzyXY

  〜107号室患者〜

真っ白い部屋に散りばめられた大量のクレヨン。
そして、画用紙に描かれる絵はとても個性的で美しい。

普段自分達が見ている空や花。そして、雨や虹に動物。
良く知っている沢山のモノ。

しかし画用紙に描かれているのは、自分達が知っている色とは違う色の世界。

「じょうずにかけたよ、みてみて!」

ベッドに置かれた可愛らしいぬいぐるみに絵を向け、口を動かす、一見少女に間違えそうな少年。

「えへへ。ここからかえれたら、ママとパパに、いっぱいほめてもらう。ひとりでがんばれたって」

ニコニコと笑顔で話し掛け続ける。

「そしたらきっとママとパパもほめてくれるよね。おこったり"いらないこ"なんて、いわれないよね」


そんな少年が描いたのは、家族で手を繋ぎ楽しそうに笑っている絵だった。


37: 名無しさん@読者の声:2011/11/19(土) 14:22:43 ID:.Km5JWzyXY

107号室患者結果
名前:城里 零
入院から2日経過。
現在も生存中

薬の効果
特になしだが、精神が少々不安定気味。
色覚異常は入院前から発覚。


38: 名無しさん@読者の声:2011/11/19(土) 14:32:53 ID:YvGSKaKD7o

>>32
挫けそうですorz
日本語とか文章がメチャクチャですけど、勘弁してくだせぇヽ(゜▽、゜)ノアヒャヒャヒャ

ありがとうございます!
励みになります(`;ω;´)

>33
\ありがとうさぎ/
  ∩ ∩
  ( ・×・)
 / ∪∪
C( )っ /っ

>>35
支援ありがとうございます!
39: 名無しさん@読者の声:2011/11/19(土) 21:51:29 ID:JfGY8W0o7c

  〜108号室患者〜

「貴女は誰?」

鏡に映った自分に問いかける。
しかしそれが、自身とは気付いていないようで会話を続けた。

「どうして出てきてくれないの?」

そっと手を添えて、寂しそうに呟く。
だが、長い髪を見ると少女は笑った。

「私も髪が長いの。お揃いね」

指に髪を絡ませくるくると弧を描く。

「ふふ。貴女も私の真似をしているの?」

目を合わせれば再び微笑む。
その笑みが不気味にも思えた。

「私達はずっと一緒よ…。ずっとずっと、ね」

鏡に寄り添い、ぶつぶつと乾いた唇で囁く。
鏡に映るその少女が一瞬、口角を吊り上げて小さいながらも、はっきりと呟いた。

「…死ぬ時も、ね」


翌日の早朝に、割った鏡で首を裂いていたのだ。
自慢していた長い髪は、紅い血で染められていた。

――『お揃いね』

そんな言葉が聞こえる様な気がした。


40: 名無しさん@読者の声:2011/11/19(土) 21:58:04 ID:JfGY8W0o7c

108号室患者結果
名前:清水 華
入院から6ヶ月経過。
死因は自殺(首を深く切りつけていた)

薬の効果
精神崩壊
会話には異常は見られなかった。


41: 名無しさん@読者の声:2011/11/19(土) 22:22:35 ID:Ob7w30XrzA

よし、今日はこれで更新終了です(`・ω・´)
何か…うん、駄目だorz
42: 市真:2011/11/19(土) 22:35:20 ID:Tv3n0.0txo
|д`;)))oO(>>1さん… また描いていい…?)ガタガタガタガタ
43: 名無しさん@読者の声:2011/11/19(土) 22:38:31 ID:dM0NqCm5NY

>>42
また描いてくれるんですか?!(`Д´*)
もうどんどん描いちゃって下さいな(*`ω´*ゞ)
44: 名無しさん@読者の声:2011/11/20(日) 00:48:48 ID:qhe8TO4DYw
これどういう話しかわかんない
45: 名無しさん@読者の声:2011/11/20(日) 00:54:52 ID:2twRS1Q.AA
なんか脱出ゲームのLieシリーズっぽくて好き
しえん
46: 名無しさん@読者の声:2011/11/20(日) 01:00:35 ID:KQAgxdxGac

>>44
最後まで見ればわかる!ってやつにするつもりです

>>45
脱出ゲーム好きですよ(*´∀`)
支援ありがとうございます!
47: 44:2011/11/20(日) 01:39:59 ID:GJ/4yeN67E
楽しみ
48: 名無しさん@読者の声:2011/11/20(日) 09:44:05 ID:O9oYtu06ZI

>>47
出来なかったらすいません( ̄▽ ̄;)
49: 名無しさん@読者の声:2011/11/20(日) 19:49:10 ID:q2dqERqijw

  〜109号室患者〜

「あーあ。また死んじゃった」

水槽を覗き込み、ぷかぷかと浮かぶ魚を眺めながら、少年は無表情で呟いた。

「脆いなぁ」

手を入れ魚を掬うと、ぐちゃりと握り潰す。
そして、気味悪く笑う。

「うへ……汚い」

手を開き残骸を見ては、ケタケタと笑い声を上げる。

「鳥の餌にでもしようかな。きっとまた死んじゃうよね、脆いから」

蔑む様に掌を見つめ、やれやれと言った感じに首を振った。

バサバサと籠で暴れる鳥に目を向ける。

「うるさいよ」

掬い取り、目の前に突き出せば何も知らない鳥は餌と思い食べ尽くす。

「…………もういいかな」


鳥は苦しそうに鳴き、落ちる。
グエグエと醜い声で悶え苦しむのを、まるでおもちゃで遊ぶ子供の様に見ていた。


50: 名無しさん@読者の声:2011/11/20(日) 19:54:06 ID:q2dqERqijw

109号室患者結果
名前:新井 直
入院から1ヶ月経過。
現在も生存中

薬の効果
鬱病気味と判断
会話に異常無し。


51: 名無しさん@読者の声:2011/11/20(日) 19:57:08 ID:3MT/HFyZ1E

はい、今日の投下は終わりまーす(´・ω・)
1日に患者1人と結果書けるといいな
52: 名無しさん@読者の声:2011/11/24(木) 19:59:02 ID:PWh0ZmXisc
>>1に何かあったのかね…?


つC
53: 名無しさん@読者の声:2011/11/24(木) 20:42:34 ID:9IAOdG2/VE

  〜110号室患者〜

「あ……ぅ……ぅう…」

咽を抑え苦しそうに唸り、必死に言葉を出そうとしていた。

「うぅ…うー…あーあーあー!!」

叫んでも、泣いても、怒っても、ただ辛いだけなのを少女は知っている。

「あーあー!!!」

涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、必死に訴えるが誰も分かりはしない。

「あー…あ゛ぁ゛あぁああ!!!」

声を枯らすほどに叫んだ。そしたら誰か助けてくれるのではないのかと、辛くても苦しくても叫ぶ。

壁を強く殴り、肌を切っても、ただ訴えた。白い壁はみるみる赤い雫で染められていく。



「――あぁあぁああぁ゛ぁあ゛ぁあぁぁ゛!!」

殴る手は止まらず、壁を殴り続けた。
少女の叫びは病室に悲しく響くだけだった。


54: 名無しさん@読者の声:2011/11/24(木) 20:49:17 ID:9IAOdG2/VE

110号室患者結果
名前:神谷 夏実
入院から2年と3日経過。
現在も生存中

薬の効果
発狂・自傷行為・精神崩壊
会話不可。


55: 名無しさん@読者の声:2011/11/24(木) 20:55:47 ID:svXBI68Hng

――――

「センセ。今回はどうだった?」

「少し厄介かも知れないな。ところで記事は持ってきたか?」

「うん!はい、これ!」

ふわりと柔らかく笑みを浮かべ、記事を渡すとモニターに視線を移す。

「…………確かに厄介だね」

さっきまでの笑みは消え無表情で呟き、呆れた様子でモニターから目を逸らした。

「110号室の患者の記事は非常に恐ろしいよ。流石に自分でも無理だ」

「センセってチキンなの?」

「俺は鳥じゃないが」

「そっちのチキンじゃないんだけど」

「そうか」


56: 名無しさん@読者の声:2011/11/24(木) 20:58:29 ID:9IAOdG2/VE

>>52
何も無いですよ、ただ患者と結果にネタが無いだけです(´・ω・`)

1日は無理でしたが一週間に1回のペースで出来たらな!って思ってます
支援感謝\(^^)/
57: 名無しさん@読者の声:2011/11/24(木) 21:11:31 ID:svXBI68Hng

「110号室患者記事だが"家族撲殺したあとに死体をバラバラに"
少女には弟(当時4才)妹(当時2才)母と父の5人家族であった。周りから見ていた人々か口を揃え「憧れ」や「仲良し夫婦」とコメント。
しかし、そのコメントとは裏腹に夫婦では喧嘩が絶えなかったらしい。
家族を殺害した少女は「うるさかった」との理由で殺害に及んだ」

「結婚って大変だね。僕気を付ける」

「話の腰を折るなよ」

「はーい」

「えっと……。
再び少女から話を聞こうとしたところ、言葉が出なくなってしまい今までの記憶を失っていた」

「ショックがあったのかな?」

「難しいところだ」


58: 名無しさん@読者の声:2011/11/24(木) 21:17:10 ID:9IAOdG2/VE

「心に闇を抱えてるんだろうね、ここの患者さんは」

どこか懐かしそうにセンセに話し掛け、同意を求める様に少年は首を傾げて見せた。

「お前もあったんだろ?」

「そうだね。センセが助けてくれなかったら、きっと僕も別の形で会ってたのかな」

「殺人だけは止めろよ。絶対に…何があっても」

「優しいね」

「患者を見てればわかる」

「そうかな」

今度は同時にモニターを見つめた。

「患者は道を間違えた。そして"殺人"を、ね…」


59: 名無しさん@読者の声:2011/11/24(木) 21:25:44 ID:9IAOdG2/VE

「助けられるのはセンセだけだよ」

「プレッシャーに潰されそうだ」

「やっぱチキンだ」

「だから鳥じゃないって」

「もう良いよ、そのボケ」

「すまん」

記事をペラペラと捲り、センセは「ほう」と声を漏らすほど興味をそそるものを発見した。

そして大きく
「無差別殺人!"死ぬのは怖いか?"と質問」の文字。

「……これ知ってる」

「109号室の患者だな」

「聞いてる?」

「聞いてるが、流れていったよ。右から左へ」

「どっちか鼓膜破ろうか?」

「勘弁してくれ」

「わかってるよ。センセ」

ふふっと楽しそうに少年は笑って、センセの頬に手を添えた。


60: 名無しさん@読者の声:2011/11/24(木) 21:26:53 ID:9IAOdG2/VE

今日の更新終わりにします!
次はもっと見やすく書けるようにしますね
61: 名無しさん@読者の声:2011/11/26(土) 23:02:35 ID:fVVLBZ49.o

「代わりにビンタして良い?」

頬に添えられたままの手は次第にビンタの構えに変わっていく。

「気にくわなかったのか、ごめんね。取り合えず記事を読ませてくれ」

「うん」

にっこりと天使の微笑みを向けたあと、手は素直に下げセンセの言葉に耳を傾けた。

「通行人を次々と切りつけるという無差別殺人が起きた。被害者に状況を尋ねると決まって"死ぬのは怖いか?"と質問されたと証言。遺体には切り傷だけでなく、多くの刺し傷もあった」

「朗読上手いね。センセはそっちの職業の方が向いてるよ」

「俺の話聞いてた?」

ポリポリと頬を掻き、記事を折り畳むと投げるようにして机に置く。


62: 名無しさん@読者の声:2011/11/26(土) 23:24:21 ID:9T.4e7jXrM

「聞いてたよ。うるさいな」

「え、反抗期?反抗期なの?」

「次の患者さんでも見ようよ。センセとの会話飽きた」

「いきなり反抗期ってどうなの。聞いてる?」

センセの問い掛けには見向きもせずに少年はホワイトボードに近付き、患者の写真を貼り付ける。
印を書き込むと、眉を下げ悲しげにこう言った。

「………何人残れるのかな」

モニターに目を移し、今までの患者を見ていく。
センセは咳払いをして真面目な顔で答えた。

「努力次第だ」と。


63: 名無しさん@読者の声:2011/11/26(土) 23:32:30 ID:8oB7ij1vu.

と、まぁ投下終了するつもりです!
次から患者さんのターン(`・ω・´)
番外編か途中にセンセと少年の出会いでも書こうと思いますが、全ておわってからか途中かどっちがいいですかね(´ーωー`)
64: 名無しさん@読者の声:2011/11/27(日) 23:15:34 ID:KQAgxdxGac

  〜111号室〜

電気も点いていない真っ暗な空間に彼女は退屈そうに、汚れの無い真っ白なベッドに寝転び足をバタつかせ仰いでいた。

2つに結ばれた長く美しい髪は暗闇でも目立つほどである。肌も白く、まるで雪のようだ。
片方の目には包帯がグルグル巻きにされていた。
血が滲んでおり、まだ新しいものだと判断できる。

「こっちの目も取っちゃおうかな」

「そしたらもう汚い世界を見なくてすむよね」

そう言う彼女は不気味なほどに嬉しそうだった。

「でも痛いの嫌だな」

うーんと悩みに悩んだ彼女の答えは簡単なモノであった。

「死のう」

その言葉に似合わない満面の笑み。バタつかせてた足はいつしか止まり、彼女は立ち上がった。

「どんなのが良いかな〜」

楽しそうに行動する姿は、デートに向かう可愛らしい様子。思い付いたように彼女はある物を手に取る。

―――"ナイフ"だ

規則違反。
しかし、彼女は気にしてない様子で胸に翳すと一気に奥深くまで貫く。

ひゅーひゅーと苦しそうな彼女は暫くシーツを握り痛みに耐えていた。
…そしてゆっくり身体は崩れ床に倒れ、そのまま覚める事のない眠りについた。


65: 名無しさん@読者の声:2011/11/27(日) 23:22:02 ID:ukpSrCgcpI

111号室患者結果
名前:松崎 美羽
入院から4日経過。
死因は大量出血及び、刺殺

薬の効果
自傷行為
会話に異常無し。


66: 名無しさん@読者の声:2011/11/27(日) 23:23:35 ID:ukpSrCgcpI

どうしましょ、患者さんが同じようなパターンだ( ̄▽ ̄;)
投下終了します
67: 名無しさん@読者の声:2011/11/29(火) 21:28:16 ID:gkmvJaScFM
>>63

私的には 一通り患者さんの情報が出てから 出会いの話が読みたいかな
まあ、早いうちに出しても問題はないかなと思いますが(なんか日本語おかしいですね。すみません)


つC
68: 名無しさん@読者の声:2011/12/3(土) 23:07:54 ID:wjrKSK2k82

  〜112号室患者〜

何かに怯えている瞳。
カタカタと歯がぶつかる音が病室に響き渡っている。
小柄な少年は肩を抱き、ただ怯えた様子で一点を見つめているだけであった。

「……っごめ…なさ」

頬を伝う涙。
それを拭う手は細く、頼りなさそうで今にも折れてしまいそうだった。

「ごめんなさ…ごめんなさい………」

ポタポタと床に涙が落ちる。そして止まる事を知らぬ涙は次から次へと溢れ頬を濡らす。

「…ひっ…ひくっ…ごめなさっ…」

何度も何度も繰り返される単語。呼吸も荒くなり喋ることも難しくなっていく。

しかし一点を見つめる姿勢は崩さなかった。

「……………もう…いいよね?頑張ったよね?」


両手を見つめてた先に向け、涙を流しながら悲しそうに微笑む。
怯えた少年は消えていた。
今いるのは覚悟を決めた揺らぐことの無い瞳を持つ少年。

自らの首に手を翳す、そして絞めると徐々に力を込めていく。強い力で。

「ご…め、……な…、さい」

途切れ途切れに呟くか細い声。
自分の命が途絶えるまで、何度も繰り返していた。


69: 名無しさん@読者の声:2011/12/3(土) 23:11:54 ID:FFkWuh2UB2

112号室患者結果
名前:緑川 学
入院から3週間計画。
死因は絞殺

薬の効果
幻覚・精神崩壊
会話はある程度可能


70: 名無しさん@読者の声:2011/12/3(土) 23:19:34 ID:apUuk9iOiY

>>67
いえいえ、意見ありがとうございます!
そして支援感謝\(^^)/
71: 名無しさん@読者の声:2011/12/3(土) 23:44:30 ID:56vhmFPfX6
最後はどうなるのかすごく楽しみですw
更新頑張ってください!
つC
72: 名無しさん@読者の声:2011/12/4(日) 01:39:17 ID:4xmdquRWxQ

  〜113号室患者〜

壁に沢山の裂いたアト。
掌には鋭いモノを握った直線を描いたアト。
ぼさぼさな髪。
お世辞でも美しいとは言えない。

そして暇さえあれば、髪を乱暴に掻き奇声を上げる。

「外ってすごいのよ」

くるりと回るとスカートの裾がひらりと舞う。

「とても綺麗なの」

乾いた唇から漏れる女性の笑み。何故か言葉に重みを感じられた。

「鳥って素晴らしいわ。アナタも思うでしょう?」

誰に話しかけているのか、理解は出来ない。そして両手を拡げると鳥を真似る。

「空を飛ぶ夢を見たの。嘘じゃないわ」

瞳を輝かせる姿はまるで子供であった。
しかし何かを期待している瞳でもある。

「手伝ってくれる?」

「背中を押すだけで良いの。簡単でしょう?」

扉に手を掛け開けて見せる。風が吹き髪を揺らす。

「外ってやっぱり気持ちいわ」

背後には誰も立たない。誰も居ない。女性は話続けた。

「見ていてね」

押される事の無い背中。
前に踏み出す女性。風が包み込みそのまま飛ぶことはなく堕ちてしまった。


73: 名無しさん@読者の声:2011/12/4(日) 01:42:01 ID:4xmdquRWxQ

113号室患者結果
名前:山木 新菜
入院から4ヶ月と3日経過。
死因は飛び降り

薬の効果
幻覚・精神崩壊
会話は可能であるが時折発狂し奇声を上げる。


74: 名無しさん@読者の声:2011/12/4(日) 01:47:53 ID:df/De3TGVs

>>71
最後はあっさりなので、あまり期待しない方が身のためですw
支援感謝!


そして投下終了します(-A-;)
また更新までしばらく時間かかるかと思いますが優しく見守ってください!
75: 名無しさん@読者の声:2011/12/4(日) 04:37:50 ID:rbt6JJ7wE2
つC
おもしろい
76: 名無しさん@読者の声:2011/12/4(日) 17:16:50 ID:WToUNws/Fw

>>75
面白いですかね?
自己満でしかない…おっと誰か来たようだ
支援ありがとうございます!
77: 名無しさん@読者の声:2011/12/5(月) 08:48:52 ID:XTxAXRquCI

  〜114号室患者〜

「11411888」

意味不明な並びの数字が口から発せられている。

「3355411888」

そしてまた数字が口から発せられた。やはり内容が解らない。
壁一面に刻まれた数字は"770005335555"

「………痒い」

やっと我々が口にする語をぽつりと呟きながら、首や腕を掻く。
その様子が尋常ではなかった。瞳孔は開き、気味悪く笑っている。

皮膚が赤くなってきていたが止める素振りは見せず、いっそう掻き続けていた。

体を見てみると肌のあちこちに掻いたのが分かる爪で出来た傷。

そしてその傷の中にも"770005335555"と数字が潜んでいた。


78: 名無しさん@読者の声:2011/12/5(月) 08:51:24 ID:dtRLngF2ho

114号室患者結果
名前:三浦 和人
入院から1年と3日経過。
現在も生存中
79: 名無しさん@読者の声:2011/12/5(月) 08:52:24 ID:dtRLngF2ho

114号室患者結果
名前:三浦 和人
入院から1年と3日経過。
現在も生存中

薬の効果
精神崩壊
会話に異常あり。


80: 名無しさん@読者の声:2011/12/5(月) 08:53:17 ID:dtRLngF2ho
>>78は誤爆ですorz
投下終了!
81: 名無しさん@読者の声:2011/12/5(月) 09:30:35 ID:ZfWPauMvYQ
更新乙です
wktkwktk(0・∀・)+゚
82: 名無しさん@読者の声:2011/12/5(月) 10:00:38 ID:efiPWNFSg2
>>77の暗号解読できた!

83: 名無しさん@読者の声:2011/12/5(月) 10:46:29 ID:2k.durce8E

>>81
もしかしたら夜、また投下するかもしれませんww

>>82
おめ!
センセとの会話でやるつもりだったのに…ww

ちょっと吊ってくる
84: 名無しさん@読者の声:2011/12/5(月) 13:57:27 ID:.LCkJ2U.hQ

  〜115号室患者〜

今までに居なかった独特の空気を醸し出す男性。
真っ黒い服装、それがまるで烏にも見えてしまう。
鋭い瞳は獲物を狙う獣を思わせる。

鏡の破片を使い壁に時と思いを書き記す。
力一杯握っているようで掌からは血が滴っていた。
腕を伝い、そして床に落ちる。

ガリガリ。ガリガリ。ガリガリ。ガリガリ。

ドクン。ドクン。ドクン。ドクン。

壁に描く音、心臓の鼓動、微かに聞こえる男性の息遣い。

『16月4日
まだ わす れられない
ユメ が 僕を』

『6月15日
ゆ るさな い
なんで いな イ?』

『20月52日
イタイ イタイよ
片足 ない 歩けない』

『 もう おわ リ』

手が止まると同時に、その男性の鼓動も聞こえなくなった。


85: 名無しさん@読者の声:2011/12/5(月) 14:02:09 ID:WPeeSjeV3U

115号室患者結果
名前:安藤 祐希
入院から7年と1ヶ月経過。
死因は刺殺

薬の効果
精神崩壊
会話は不可能。


86: 名無しさん@読者の声:2011/12/5(月) 14:10:31 ID:WPeeSjeV3U

――――

「114号室の患者はどうも理解出来ない。脳内を見てみたいよ」

背中を反らし椅子の背凭れに身を委ねたセンセを見下ろしながら溜め息を吐く。

「逆に先生の脳内を見てみたいよ」

「見ても面白くないぞ」

「……見たくないけど」

「どっちなんだ」

すくりと立ち上がり、記事をよこせと言わんばかりの態度。

眉間に皺を寄せ不満そうに口を尖らせているも、素直に束になっている記事を差し出した。


87: 名無しさん@読者の声:2011/12/5(月) 14:18:03 ID:WPeeSjeV3U

「コーヒー置いとくね。いくつ?」

「いくつに見える?」

記事から目を逸らさないセンセはギャクか本気かわからない質問で返すと少年は軽い舌打ち。

「3つでしたよね」

角砂糖がコーヒーの中に姿を消し、溶けて行く。

「……おう」

少し記事に顔を近付け横からも見えないようにと隠す姿は、まるで天敵から逃げる小動物と想像した少年はクスリと笑った。

「で、良いの見つかった?」

コーヒーの湯気が消えるのを少年は見届けながら
本題である質問を口にしたのだった。


88: 名無しさん@読者の声:2011/12/5(月) 15:59:53 ID:0wEUMZPqbc
え、ギャグじゃないのか?

つC
89: 名無しさん@読者の声:2011/12/5(月) 16:50:56 ID:LG1gFhOOtk

>>88
センセ「あ、当たり前だ!ギャグだ!ハハハ」

少年「…………」

センセ「な、何だよその目」

少年「なんでもないです」
支援ありがとう!
90: 名無しさん@読者の声:2011/12/5(月) 20:04:45 ID:Y26KlcU0dY

「やっぱり114号室患者かな。"ネットゲームで協力者募集"
6月上旬に救世主と名乗る者から書き込みがあった。内容は『私と一緒に世界を正さないか』と言うものである。そして6人のグループ"撲滅組"を結成し、殺人を行った。
そして、"撲滅組日記"というサイトを立ち上げ死体の画像や殺害する様子をアップした」

置かれたコーヒーを一口含み口内を潤す。
そして続けた。

「そういえば数字を言っていたな、解るか?」

「うん。携帯貸してくれる?」

ポケットから青い携帯を取り出すと手渡し、まじまじと見つめて様子を窺う。

少年は気にする素振りも見せず携帯を開き操作を始めた。


91: 名無しさん@読者の声:2011/12/5(月) 20:12:49 ID:j7UOLnkwP.

「体に刻まれていたのは770005335555って数字だったよね」

画面から視線は逸らさずに操作しながら問いかければ、センセは「あぁ」と相槌を打ち小さく頷く。

「簡単だよ。数字の分だけ押せば良いんだ」

「77はま行を2回押す。そしたら"み"になる…わかるかな?」

画面を目の前に突き出して、見せ付け首を傾げて確認をする。

「………"みんなしね"って事か」

画面とボタンを交互に見ると納得したように手を叩いた。

「うん。そういうこと」


92: 名無しさん@読者の声:2011/12/5(月) 20:17:46 ID:j7UOLnkwP.

今日の投下は以上です!記事をもう少しリアルに書けたらなぁ、と思います(´・ω・)
次の更新までゆっくり待ってくれると嬉しいですw
ではでは
93: 名無しさん@読者の声:2011/12/6(火) 02:12:54 ID:rJcQ8ahNgc
つCCCC
94: 名無しさん@読者の声:2011/12/6(火) 10:53:04 ID:WPeeSjeV3U

>>93
ありがとう(っω;*)
95: 名無しさん@読者の声:2011/12/7(水) 00:36:01 ID:YLFGbCmEZ2
そういやこのスレSS板で唯一見てるSSだww
こういう雰囲気好きです支援(`・ω・´)
96: 名無しさん@読者の声:2011/12/7(水) 10:39:17 ID:XIAVTAtKm2

「てか、センセ馬鹿なの?」

片手で携帯を閉じると放り投げセンセに渡すと同時に暴言にも思える発言をさらりと言ってみせる。

「え。いやいやだって使わないじゃん」

「好きな人に告白する時とかどう?」

「どうじゃねーし。使わないし」

「残念だな」

しゅんと身を縮めて眉を下げ、一瞬長身のセンセを見上げて項垂れて見せた。


97: 名無しさん@読者の声:2011/12/7(水) 10:48:02 ID:qIymICtQKA

視線だけを動かし少年を見ると直ぐに記事に目を移す。
湯気が出ていたコーヒーは冷め始めていた。センセはそれを一口飲む。

「115号室の患者って…」

センセの一言にさっきまで項垂れていた少年は、顔を上げ背後から記事を覗き混み、首を左右に傾け頭上にはクエスチョンマークを浮かばせる。

「10年も前の被害者だったのか。見てみろ、小学校で起こった事件だ」


―"小学校にナイフを持った男乗り込み生徒殺害"―


98: 名無しさん@読者の声:2011/12/7(水) 11:08:17 ID:XIAVTAtKm2

「その中で足を切断する事になった男子生徒がいたんだ。……それが115号室患者、そして殺されたのは…」

「犯人ってわけ」

少年は無言だった。無表情であった。そして記事を再び見ると「へぇ」と笑った。

「僕、復讐とか嫌いじゃないよ」

患者の写真を手に取るとビリッと爽快な音を立て裂かれる。

破られた写真を見つめる少年の表情は今にも泣きそうで、そのまま壊れてしまうんじゃないかと思うほど痛々しくセンセの瞳には映った。

「大丈夫だから」

少年を撫でるセンセの背後でモニターは次の患者を映していた。


99: 名無しさん@読者の声:2011/12/7(水) 11:11:28 ID:XIAVTAtKm2

>>95
それは後悔することになりますww
センセと少年の会話で軽く雰囲気をぶち壊してるかもしれませんが、支援ありがとうございます!


そして今日の投下は以上です、次から再び患者のターン!あと少しで終わる気がします。多分
100: 名無しさん@読者の声:2011/12/8(木) 02:46:31 ID:vWFRRZFXl2
支援age(´∀`∩)↑↑
54.39 KBytes

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sage:


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