姫「いいですよねお父様」
王「姫ちゃん怖いよ」
姫「殴りたくもなりますよ。
――何ですかこの財政は!」
594: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/15(金) 22:21:44 ID:PjcZj3CCeQ
皇子「……平和ですね。俺の国では考えられないくらい」
王「平和は嫌いかい?」
皇子「いいえ。とても尊いことだと思います」
皇子「ただ……それが束の間のものだと思うと」
王「まあねえ」
595: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/15(金) 22:22:18 ID:PjcZj3CCeQ
皇子「冷害による小麦の不作……それは我ら帝国でも同じことです」
皇子「父上は焦っている」
皇子「財政を立て直すべきは、貴方の王国だけじゃありません」
王「……分かっているよ」
王「君のところも、他国にお金を貸してる場合じゃないだろうに」
596: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/15(金) 22:22:40 ID:PjcZj3CCeQ
王「それにしても、よく遊びに来るね」
王「こっちは嬉しいけど、そんなに抜け出して良いものなのかい?」
皇子「暇ですから。……国のことなんて、何もやらせて貰えない」
王「勉強は?」
皇子「父上は、自分を学者にしたいのでしょうか」
王「そう言われてもねえ」
597: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/15(金) 22:23:06 ID:PjcZj3CCeQ
王「言ってみればいいじゃない」
王「国政をやりたいです、って」
皇子「……許されることでしょうか」
王「君のお父さんは厳しいからね……でも、言ってみる価値はあるんじゃない」
皇子「鼻で笑われますよ」
皇子「父上はまだ、これっぽっちも政権を手放す気なんてない」
598: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/15(金) 22:23:30 ID:PjcZj3CCeQ
王「……まあ、また嫌になったらおいでよ。話くらいは聞いてあげるからさ」
皇子「恐れ入ります」ペコリ
王「まあ、聞いてあげられるのもあと少しの間だけどね」クスクス
皇子「…………」
599: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/15(金) 22:24:25 ID:PjcZj3CCeQ
皇子「……自分には、何もできません」
皇子「申し訳ない……!」
王「いいんだよ。ごめんね、気にしないでくれるかい」
王「元はといえば、全部自分が悪かっただけなんだ」
皇子「…………」
皇子「また、伺います」
王「うん。……またね」
600: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/15(金) 22:25:33 ID:PKjewJBY12
従者「あ り え ま せ ん !」バーン
姫「何がよー、あー肩こった」トントン
従者「何がじゃないですよ何ですか自由時間って!」
姫「自由時間のないツアーなんて企画者の自己満よ自己満」
従者「だからって部外者野放しにするとか論外です論外」
601: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/15(金) 22:26:29 ID:PKjewJBY12
姫「でも、皆喜んでたでしょ?」
姫「なら十分じゃない」
従者「それは……、まあ、」ハッ
従者「流されませんよそれとこれとは話が違います」
姫「ケツの穴小さい男……」フゥ
従者「一国の姫君がそんな言葉使っちゃいけません!」
602: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/15(金) 22:26:58 ID:PKjewJBY12
姫「ともかく、見学ツアーが上手くいったから次も色々やるわよ」
姫「乗馬場と多目的ホールを有料で一般解放、衣装部屋も解放したら需要あるかしら?」
姫「図書館も一部の学者さんには使用料とって使わせていいかもしれないわね」
従者「それ全部王城開放系じゃないですか」
姫「だっていちばん儲かりそうなんだもの!」
従者「学習して下さい!」
603: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/15(金) 22:27:32 ID:PKjewJBY12
王妃「姫ちゃん、色々やってるわね」
王「そうだね。でも……」
王「もう、駄目なんだろう?」
宰相「……ええ」
604: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/15(金) 22:28:00 ID:PKjewJBY12
宰相「リストラも大規模な増税もなしに収入を増やすなんて不可能です」
宰相「……間に合いません」
王「せめて、期限いっぱいまでは何も言わないでくれないかな」
宰相「はい。仰せの通りに」
宰相「あんなに、頑張ってらっしゃいましたもんね……」
605: 名無しさん@読者の声:2012/6/16(土) 11:41:00 ID:R8xU.AEHJM
再開まってたよぉ〜( ̄∀ ̄)
CCCC
606: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/16(土) 21:48:57 ID:lcHbkP.jag
>>605
たいへんお待たせしちゃいました……(ノ∀`)
支援ありがとうございます!
では今日もさくさく参りますよ\(`・ω・´)/
607: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/16(土) 21:50:16 ID:Ton..bW6Ps
勇者『もうすぐ期限が迫る頃ですね』
勇者『姫の節約が上手くいっていることを祈っています』
勇者『俺の方は至って順調で、もうすぐ目的地につきます』
勇者『無事に帰って来られたら、真っ先に会いに行くからよろしく』
608: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/16(土) 21:50:41 ID:Ton..bW6Ps
従者「……お熱いことで」
姫「何勝手に見てるのよ、人の手紙を」
従者「驚きました。ここまで文通が続くとは思ってませんでしたよ」
姫「勇者もマメよねえ……ラスボス寸前だって言うのに」
従者「人のこと言えませんよ」
609: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/16(土) 21:51:06 ID:Ton..bW6Ps
従者「王様がお呼びです」
姫「ついに来たわね」フゥ
従者「気が、進みませんか」
姫「いいえ。全力を尽くしたもの」
姫「……行きましょう」
従者「御意」
610: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/16(土) 21:51:32 ID:Ton..bW6Ps
王「ふたり共、よく来たね」
王子「何を改まってるんですか、父上」
姫「そうよ、早く言ってもらって構いませんから」
姫「覚悟はできているもの」
王妃「……ですって。あなた」クスリ
王「そっかあ」ヘラッ
611: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/16(土) 21:51:54 ID:Ton..bW6Ps
王「結論から言うと無理でした」
王「詳細は後で宰相くんから聞いてね」
王「そういう訳で、帝国にそのことを報告に行って貰いたいんだ」
姫「報告……?」
612: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/16(土) 21:52:16 ID:Ton..bW6Ps
王「報告自体は使者でも送っちゃえば大丈夫なんだけど、誠意見せとかないと後々大変だし」
王「父さんが行く訳にはいかないからさ……」チェッ
王妃「当然ですよ」
王妃「猶予貰って無理でしたなんて言いにくいだろうけれど、ごめんなさいね」
王妃「王子くんにお願いしたいのだけれど、大丈夫かしら?」
王子「――はい」
613: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/16(土) 21:52:36 ID:Ton..bW6Ps
王子「父上、母上」
王子「その役目、謹んでお受けします」
王「うん。頼んだよ」
王子「はい」
姫「――……、」
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