姫「いいですよねお父様」
王「姫ちゃん怖いよ」
姫「殴りたくもなりますよ。
――何ですかこの財政は!」
305: 1 ◆xXC7.dNnEA:2011/12/16(金) 22:22:51 ID:IZAkWz/mtQ
王「あれ、もう話していいの?うわー恥ずかしい。じゃあいくよ」
王「えーと、お集まりの皆さん!本日は王子くんの帰還記念のパーティーに来てくれてありがとう!」
王妃「久々の催し事ですし、皆さん思い切りお楽しみくださいね」
王「まあ長々とした話も退屈だろうし、始めちゃっていいかな?」
王妃「まあ、構わないんじゃないかしら」
王「ではパーティーの、始まり始まりー!」
306: 1 ◆xXC7.dNnEA:2011/12/16(金) 22:23:18 ID:IZAkWz/mtQ
娘1「あーっ、王子様!」
娘2「ねえどうしましょう、こちらにいらっしゃるわ……!」
王子「皆さんこんにちは。今日は来てくださってありがとうございます」ニコリ
娘1「いえ!ていうか直接お話できるなんて感激です!」キャッキャ
娘2「わ、私もです……!」カアァッ
307: 1 ◆xXC7.dNnEA:2011/12/16(金) 22:23:50 ID:IZAkWz/mtQ
王「やほー、みんな元気だった?」ヒョコッ
酒屋「おっ王様じゃん、最近来てくんねえけどどうしたんだ?」
王「勘弁してよお、本当に抜け出すの難しいんだから」
村人「そりゃあ参ったな!」
町人「まあ王様だもんな、仕方ねえ」
宰相(……何このフレンドリーさ)ニコニコ
308: 1 ◆xXC7.dNnEA:2011/12/16(金) 22:24:17 ID:IZAkWz/mtQ
貴族「姫様。ご機嫌麗しゅうございます」
姫「こんにちは、楽しんで貰えてるかしら」
貴族「ええ、とても。屋外での開催は久しぶりですから」
貴族「それにしても、何故急に庭園で?」
姫「あ、あはははは……」ギクッ
309: 1 ◆xXC7.dNnEA:2011/12/16(金) 22:24:46 ID:IZAkWz/mtQ
姫「……予想以上に疲れるわ」ゲッソリ
従者「頬が引きつってますよ」
姫「こんなに愛想笑いフル活用したの初めてよ」
従者「ああいつも怒鳴ってばかりですもんね」
姫「誰のせいだと」
310: 1 ◆xXC7.dNnEA:2011/12/17(土) 23:16:10 ID:/5FRZFy.DE
勇者「姫ー、ご機嫌麗しゅー」
姫「はいはい麗しゅーございますよお陰様で」
勇者「あれ?もう営業スマイルは終わりなんだ?」
従者「休憩中だそうで」
姫「勇者に営業しても仕方ないわよ」
311: 1 ◆xXC7.dNnEA:2011/12/17(土) 23:16:45 ID:/5FRZFy.DE
勇者「じゃあさ、休憩中なら芸術家さんの作品見に行かない?姫見てないだろ」
姫「あー、そんなのあったわねえ」
従者「忘れてたんですか」
姫「だってあれは解決済みだもの……ていうか腰が痛いわ」
勇者「お婆ちゃんみたいなこと言うなって……なあ良いだろ従者さん」
従者「少しでしたら」
姫「えー……」
312: 1 ◆xXC7.dNnEA:2011/12/17(土) 23:17:32 ID:/5FRZFy.DE
勇者「よし決まり!行くよ姫!」ズルズル
姫「きゃー助けて拉致られるー」ズルズル
従者「そんなやる気ない声で叫んでも微笑ましいだけですよ」
姫「どこが微笑ましいと」
勇者「西棟前の丘にあったよ!」
従者「行ってらっしゃいませ」
313: 1 ◆xXC7.dNnEA:2011/12/18(日) 23:50:39 ID:A1avxOZkx2
勇者「……なあ、姫。西棟のあの木を覚えてる?」
姫「え?小さい頃よく登った、あの大きな木かしら」
勇者「そうそう、少し前に病気で枯れちゃったやつ」
姫「切り倒されちゃったのよね。で、それが?」
勇者「寂しい?」
姫「まあ、それは」
勇者「だから連れてきたんだよ」
314: 1 ◆xXC7.dNnEA:2011/12/18(日) 23:51:23 ID:A1avxOZkx2
勇者「絶対見てみるべきだって」
勇者「西棟前の丘の、あの木があった場所にさ」
勇者「あるんだよ、同じ色に染まった、夕暮れ空に溶け込んで」
勇者「ほら、もうすぐ見えてくるよ」
勇者「あかあかと燃えるあの大きな木が」
315: 1 ◆xXC7.dNnEA:2011/12/18(日) 23:51:50 ID:A1avxOZkx2
姫「赤い木……?これ、あの木なの?」
勇者「うん、そう」
勇者「芸術家さんがね、切り倒した木を貰って行ったらしいんだ」
勇者「使わせて貰えないか、って」
姫「綺麗……」
316: 1 ◆xXC7.dNnEA:2011/12/18(日) 23:52:15 ID:A1avxOZkx2
芸術家「……気に入って頂けたようで、ありがとうございます」ニコニコ
姫「芸術家さん。来ていたの」
芸術家「あはは、やはり皆さんの感想は、僕も気になりますから」
勇者「そっかあ」
芸術家「……結局、部屋にあるものだけではできませんでしたが」
姫「費用無しでしょう、上出来よ」
317: 1 ◆xXC7.dNnEA:2011/12/19(月) 23:15:47 ID:4SVeeV6rxk
姫「正直に言うと意外だったわ。いつもはもっと、豪華で派手なものを、こう、どばーんと置いてあったんだもの」
姫「でもこの木は目立たないし、圧倒するような迫力もない。代わりに素朴で優しくて、すごく温かい感じがする」
姫「もしかしたら、お父様の好みには合わないかもしれないわね。でも」
姫「私はすごく、好きだと思うわ」
318: 1 ◆xXC7.dNnEA:2011/12/19(月) 23:16:39 ID:4SVeeV6rxk
芸術家「……最高の誉め言葉を、ありがとうございます」
勇者「お、芸術家さん照れてる?」
芸術家「いや、そんなことは!」
姫「あらそんなに嬉しかった?もっと言おうかしら」
芸術家「ひ、姫様ぁ」タジッ
319: 1 ◆xXC7.dNnEA:2011/12/19(月) 23:19:24 ID:7l16fIcLfY
芸術家「あ、そうだそうだ。これを見て頂けませんか」
勇者「何これ、この木の葉っぱ?」
姫「何か書いてあるわよ」
芸術家「これはね、紙を加工してできてるんですよ。少しずつ色や形を変えて、針金を仕込んで」
勇者「へえ、本物みたいに作るなあ」
芸術家「あはは、これでも僕、芸術家ですから」
320: 1 ◆xXC7.dNnEA:2011/12/19(月) 23:20:08 ID:7l16fIcLfY
芸術家「で、紙ですから、文字が書けますよね」
姫「まあ、書けるわね」
芸術家「ということで、実はね、見に来てくださった皆さんに、願い事を書いて貰ってるんですよ」
勇者「……願い事?」
321: 1 ◆xXC7.dNnEA:2011/12/19(月) 23:20:41 ID:7l16fIcLfY
芸術家「東洋にはね、七夕という風習があるらしいんですよ」
芸術家「一年に一度、笹の枝に、紙で作った飾りと、願い事を書いた紙を吊るすと、願いが叶うんです」
姫「面白いわね、それが今日?」
芸術家「いえ」キパッ
姫「えっ」
芸術家「いや、素敵な風習なんでパクってきちゃいました。あはは」
322: 1 ◆xXC7.dNnEA:2011/12/19(月) 23:21:11 ID:7l16fIcLfY
姫「そんな適当でいいのね……」
勇者「まあまあ、楽しそうだしいいじゃん」
芸術家「あはは、まあそういう訳で、おふたりもいかがですか」
勇者「やる!」
姫「まあ、折角だし」
芸術家「はい、ではどうぞ」
323: 1 ◆xXC7.dNnEA:2011/12/20(火) 23:04:41 ID:XaSSnJluPk
勇者「魔王討伐に行きたい……っと」カキカキ
姫「あんた根にもつわねえ」
勇者「だって行きたいし。行かせてくれないの、割と残念だし」
勇者「あーあ、早く節約生活終わんないかなあ」
姫「……ふぅん。」
324: 1 ◆xXC7.dNnEA:2011/12/20(火) 23:05:09 ID:XaSSnJluPk
勇者「姫は?」
姫「無事に財政を立て直せますように」
勇者「うわ、普通」
姫「今はこれ以外にないわよ、切実に」
姫「念を込めたら叶いやすくなるかしら……」ズモモモモ
勇者「姫ー、顔怖いよ顔」
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