初めてSSを書かせていただきます。
ギャグ物にしようと思ってまして、そのせいで世界観を無視した発言や行動が多くなると思います。
あと、最終的にはスレタイ詐欺のような展開になるかもしれません。今のところ、そのように予定しています。
以上のような感じで書き進めていこうと思ってます。
問題ないという方は、よければ最後までお付き合いください。
よろしくおねがいします。
※長いため、携帯から読むと途中から読めなくなる可能性があります。読めなくなった場合、こちらから読んでみてください→>>887-891
790: 1:2011/11/23(水) 02:36:52 ID:UOzzvGRKcw
それから数日、側近はハーピーと共に過ごした。
ある程度回復したら城へと戻るつもりだったが、
「怪我人を放ってはいれません!」
という、ハーピーの優しさに押し負けて、結局完治までお世話になることになった。
その間に側近は自分の名を伝え、性格を伝え、何が好きで何が嫌いかを伝えた。
代わりに側近はハーピーの名前を知り、性格を知り、好き嫌いなども知った。
日が進むにつれ、お互いの理解度は目に見えて上がっていったのだった。
側近「じゃあここはハーピーの自宅ってわけだな」
ハーピー「そうなんです!若くして家を持ってるんですよ!立派でしょう?」
側近「クソ狭い家だけどな」
ハーピー「そ、そりゃ魔王城と比べたら狭いですけど……庶民の目線で語ってくださいよ!」
側近「知るかよ。俺はエリートなんだよ」
791: 1:2011/11/23(水) 02:37:45 ID:UOzzvGRKcw
ハーピー「もう……側近さんのいじわるに慣れてきた自分が怖いですよ」
側近「ハーピーはからかいがいがあるからな。……なあ」
ハーピー「はい?」
側近「最近ちょっと思ってたんだけどよ」
ハーピー「はい」
側近「ハーピー族ってさ、けっこう他種族との交流を嫌う種族じゃん」
ハーピー「……そうですね」
側近「ハーピーもハーピー族と共に生きてんだろ?俺なんか看病して家に置いてて大丈夫なのかよ?」
ハーピー「……皆、そんなに非情じゃないですよ。誰かが困ってる時は助ける、それくらいは許容されますよ」
側近「そんなもんなのか……」
ハーピー「そうですよ。側近さんは気にしすぎです」
ハーピー「……じゃあ私、野菜を貰いに行きますね」
側近「たまには野菜や魚じゃなくて肉が食いてえなあ」
ハーピー「ハーピー族は魔界で狩りができるほど強い種族じゃありません!」
側近「じゃあよそで買えばいいじゃん」
ハーピー「基本は他文化交流禁止の種族です!……じゃあ行ってきます」
792: 1:2011/11/23(水) 02:39:16 ID:UOzzvGRKcw
ハーピー「〜〜♪」テクテク
「あの子、例の子じゃない?」
「声、大きいよ。聞こえちゃうよ」
ハーピー「っ!」ピタッ
「死にかけてた人型の魔物捕まえて看病してるって」
「人型って、強さにばらつきがある種族よね」
「強い奴で、何かの策略だったらどうするのって話よねー」
「私達ハーピー族は強い種族じゃないからこそ、他種族を拒絶して生きてるのに」
「なんかかっこいい雄みたいだからさ、いやらしいことでも考えたんじゃないの?」
「最悪だね……自分の欲求で皆を危険に晒すなって言ってやりたい」
「これが聞こえてたらいいのにねー」クスクス
「ねー」クスクス
ハーピー「……」
793: 1:2011/11/23(水) 02:39:57 ID:UOzzvGRKcw
その頃、薬草の森では
ハー子「よいしょ……よいしょ……」
ハー美「ふう……薬草いっぱい採れたね」
ハー子「じゃあそろそろ帰って……きゃあ!」ドンッ
獣人「いってえ!女ぁ、どこ見て歩いてやがる!」
ハー子「す、すみません!」
獣人「……んん?」ギロッ
ハー子「……」オドオド
ハー美「……」ビクビク
獣人「……へぇ」ニヤニヤ
獣人「ぶつかりはするし、俺達の縄張りは荒すし……これはただで許すわけにはいかねえなあ」
ハー子「そ、そんな!この森は誰の物でもないはず……」
獣人「うるせえ!いいのか?俺達獣人族がその気になれば、ハーピー族なんか一捻りだぜ?」
ハー子「っ!」
獣人「それでいいなら、俺は別に構わんがなあ」
794: 1:2011/11/23(水) 02:40:47 ID:UOzzvGRKcw
ハー美「ど、どうすれば許してもらえますか?」
獣人「へっへっへ……お前ら一族で一番美しい娘を寄越せ。そうすれば許してやるよ」
ハー子「そ、そんなの無理です!」
獣人「てめえらの都合なんか知るかよ!……明日の今頃に、この森に来させろ。たっぷり可愛がってやるからよ」
ハー美「そんな……」
獣人「そういうことだ。楽しみにしてるぜ」
ハー子「ど、どうしよう……どうしよう……!」
ハー美「と、とりあえず戻って長老に相談しよう!」
ハー子「う、うん!」
795: 1:2011/11/23(水) 02:41:37 ID:UOzzvGRKcw
ハー子「……というわけなんです」
長老「ふむ……我らが獣人族と争ったところで勝ち目はない。言うとおりにした方が良いじゃろう」
ハー美「では、誰を獣人族に差し出すというのですか?」
長老「……ハーピーがいいじゃろう」
ハー子「!」
長老「あれは一族でも一番の座を争うほどの美貌を持っておる」
長老「くわえて、ろくに戦闘もできぬハーピー族でありながら、他種族との交流を望む危険分子じゃ」
長老「この機会に処分するのが一族のためじゃろう。あれに犠牲となってもらおう」
ハー子「わ……わかりました」
長老「待ち合わせは薬草の森じゃったな。では薬草採取の手伝いとでも言って、明日森に行かせればいいの」
ハー美「……は、はい……」
796: 1:2011/11/23(水) 02:42:37 ID:UOzzvGRKcw
ハーピー「……だから私は言ってやったんです!ニラレバでしょ!って」
側近「いや、そこはレバニラじゃないのか?」
ハー子「あ、あのう……」
ハーピー「あれ?ハー子さんにハー美さん。いらっしゃい」
ハー美「遅くにお邪魔してごめん。……今の、何の話?」
ハーピー「あ……き、気にしないでください///」
側近「……どうも」
ハー子「あ……はい。どうも」
ハーピー「急に来て……何かあったんですか?」
ハー子「あ……えっと、やく……薬草の数が不足してて」
ハー美「明日も薬草の採取が必要になって……よ、よかったら手伝ってくれないかなって」
ハーピー「そういうことでしたか。わかりました、お手伝いしましょう。いつ頃の予定ですか?」
ハー子「ご……午後の……5時頃に……」
ハーピー「ずいぶん遅くから始めるんですね?」
ハー美「あ……わた、私達、ちょっと用事があるから……」
ハーピー「そうですか。私だけでも早めに行って採取しておきましょうか?」
ハー子「い、いや……それは悪いから、5時から一緒にしよう」
ハーピー「わかりました。明日の午後5時に薬草の森に向かえばいいんですね」
797: 1:2011/11/23(水) 02:43:34 ID:UOzzvGRKcw
ハー子「そ、そういうことだから……お願いね」
ハー美「それじゃ……お邪魔しました」
ハーピー「いえいえ、また明日会いましょう」
ハーピー「……そういうことですので、明日はお留守番頼みますね」
側近「……ああ」
で、深夜
側近(ハーピーは……)
ハーピー「すー……すー……側近さん……」
側近(……寝てるな。よし)
ハー子「どうしよう……どうしよう……」
ハー美「し、仕方ないじゃない!こうでもしないと大変なことになるんだから!」
側近「……何がどう大変なのか、よかったら説明してくれねえか?」
ハー子「ひっ!?」
側近「薬草採取に誘うだけにしちゃあ……心拍音、瞳孔の開き……著しい緊張が感じられたからな」
側近「さあ、どういうことか言ってもらおうか!」
798: 1:2011/11/23(水) 02:44:39 ID:UOzzvGRKcw
側近「……なるほどな。いわゆる生贄ってやつか」
側近「仲間を騙して犠牲にして、なかなか素敵な種族だな。ハーピー族ってのは」
ハー子「……何よ、いやみったらしい言い方して」
ハー子「は、ハーピー族は強くないのよ!魔界の力におびえて、うまく立ち回って生きるしかないの!」
ハー子「一族が滅びるより一人が犠牲になった方がいいでしょ!」
ハー子「弱い者は強い者に奪われて、それでも生きていかなきゃならないのよ!」
側近「……それは俺だって知ってるさ」
ハー子「だったら口出ししないでよ!よそ者のくせに!」
ハー子「犠牲だって仕方ないじゃない!それが魔界なんだから!仕方ないじゃない!!」
側近「……そうだな、仕方ない」
799: 1:2011/11/23(水) 02:45:29 ID:UOzzvGRKcw
側近「ただいまーっと」
ハーピー「すー……すー……」
側近「……」
側近(魔界は弱肉強食。弱い者は奪われ、強い者は全てを手に入れる)
側近(そしてハーピー族は弱いんだ。強い者に何を強要されたって、それは仕方ないことなんだ)
側近(だからハーピーが明日犯され、最悪死に至っても、それは仕方のないこと……)
側近(仕方ない、で片づけていいのか?)
側近(もし明日ハーピーが死んだら、今日までの生活は終わりだ……)
側近(それは……)
側近(なんていうか、嫌だな……)
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