初めてSSを書かせていただきます。
ギャグ物にしようと思ってまして、そのせいで世界観を無視した発言や行動が多くなると思います。
あと、最終的にはスレタイ詐欺のような展開になるかもしれません。今のところ、そのように予定しています。
以上のような感じで書き進めていこうと思ってます。
問題ないという方は、よければ最後までお付き合いください。
よろしくおねがいします。
※長いため、携帯から読むと途中から読めなくなる可能性があります。読めなくなった場合、こちらから読んでみてください→>>887-891
787: 1:2011/11/23(水) 02:34:08 ID:UOzzvGRKcw
ハーピー「……日も暮れてきましたね。そろそろ食事にしましょうか」
側近「お、ご馳走になっていいのか?」
ハーピー「何言ってるんですか。その怪我が治るまではゆっくり休んでもらいますよ!」
側近「ずいぶん甘い奴なんだな、お前は」
ハーピー「いちいち言い方が酷いですよ。素直に喜んでくれたっていいじゃないですか……」
側近「……ありがとな」
ハーピー「っ!……ど、どういたしてまして///」
ハーピー「ふ、普通にお礼言えるじゃないですか!もう!///」
側近「ふっ、からかいがいのある女だな」
ハーピー「もう、酷いです!……とにかく食事にしましょう!今運びますから……」
788: 1:2011/11/23(水) 02:34:58 ID:UOzzvGRKcw
側近「俺が運ぶよ。世話になってんだ、家事の手伝いくらいさせてくれ」
ハーピー「え?いや、でもその酷い怪我でそんな……」
側近「いいんだよ、大丈夫だから。男なんてこういう時ぐらいでしか家庭で役立てねえんだから、こき使えばいいんだよ」
ハーピー「……」
側近「……なんだよ?」
ハーピー「優しい方なんですね」
側近「はあ?」
ハーピー「魔界の在り方などを話してる時は冷たい方なのかと思いましたが」
ハーピー「優しさと思いやりに満ちてる、素敵な方なんですね」
側近「……まあ俺にだって感情はある。非情になるのは勤務中や戦いの時だけでいいさ」
側近「……関係ないけど、むやみに男性に素敵とか言わない方がいいんじゃないか?」
側近「そんな綺麗な顔で勘違いとかさせたら、勘違いした男は軽く死ねるぞ?」
ハーピー「きっ!?//////」
ハーピー「あ、ああああなたこそ、そんなかっこいいのに、むやみに綺麗とか言わないでください!!///」
側近「かっこいいって……これぐらいの男はいくらでもいるだろ?」
ハーピー「いませんよ!!///」
789: 1:2011/11/23(水) 02:35:39 ID:UOzzvGRKcw
ハーピー「……とにかく食事ですよ、食事!」
側近「よし、じゃあさっさと運ぼうか」
ハーピー「いただきまーす!」
側近「いただきます。……」モグモグ
ハーピー「ど、どうですか?」ドキドキ
側近「……うん、普通にうまいわ」
ハーピー「本当ですか!?よかったです!」
側近「……なんかさ」
ハーピー「はい?なんでしょうか?」
側近「……いや、なんでもない」
ハーピー「……?」
側近(なんか……こういう平凡な幸せってのも悪くはねえなあ)モグモグ
側近(弱者とか強者とか関係なく、手を取り合える世界か……)モグモグ
側近(まあ、出来っこねえよな)モグモグ
側近(だったら……俺は奪う側になるまでだ)モグモグ
側近「……ご馳走様」
ハーピー「……え!?もう食べたんですか!?速いですね!?」
側近「お前が遅いんだろ……」
790: 1:2011/11/23(水) 02:36:52 ID:UOzzvGRKcw
それから数日、側近はハーピーと共に過ごした。
ある程度回復したら城へと戻るつもりだったが、
「怪我人を放ってはいれません!」
という、ハーピーの優しさに押し負けて、結局完治までお世話になることになった。
その間に側近は自分の名を伝え、性格を伝え、何が好きで何が嫌いかを伝えた。
代わりに側近はハーピーの名前を知り、性格を知り、好き嫌いなども知った。
日が進むにつれ、お互いの理解度は目に見えて上がっていったのだった。
側近「じゃあここはハーピーの自宅ってわけだな」
ハーピー「そうなんです!若くして家を持ってるんですよ!立派でしょう?」
側近「クソ狭い家だけどな」
ハーピー「そ、そりゃ魔王城と比べたら狭いですけど……庶民の目線で語ってくださいよ!」
側近「知るかよ。俺はエリートなんだよ」
791: 1:2011/11/23(水) 02:37:45 ID:UOzzvGRKcw
ハーピー「もう……側近さんのいじわるに慣れてきた自分が怖いですよ」
側近「ハーピーはからかいがいがあるからな。……なあ」
ハーピー「はい?」
側近「最近ちょっと思ってたんだけどよ」
ハーピー「はい」
側近「ハーピー族ってさ、けっこう他種族との交流を嫌う種族じゃん」
ハーピー「……そうですね」
側近「ハーピーもハーピー族と共に生きてんだろ?俺なんか看病して家に置いてて大丈夫なのかよ?」
ハーピー「……皆、そんなに非情じゃないですよ。誰かが困ってる時は助ける、それくらいは許容されますよ」
側近「そんなもんなのか……」
ハーピー「そうですよ。側近さんは気にしすぎです」
ハーピー「……じゃあ私、野菜を貰いに行きますね」
側近「たまには野菜や魚じゃなくて肉が食いてえなあ」
ハーピー「ハーピー族は魔界で狩りができるほど強い種族じゃありません!」
側近「じゃあよそで買えばいいじゃん」
ハーピー「基本は他文化交流禁止の種族です!……じゃあ行ってきます」
792: 1:2011/11/23(水) 02:39:16 ID:UOzzvGRKcw
ハーピー「〜〜♪」テクテク
「あの子、例の子じゃない?」
「声、大きいよ。聞こえちゃうよ」
ハーピー「っ!」ピタッ
「死にかけてた人型の魔物捕まえて看病してるって」
「人型って、強さにばらつきがある種族よね」
「強い奴で、何かの策略だったらどうするのって話よねー」
「私達ハーピー族は強い種族じゃないからこそ、他種族を拒絶して生きてるのに」
「なんかかっこいい雄みたいだからさ、いやらしいことでも考えたんじゃないの?」
「最悪だね……自分の欲求で皆を危険に晒すなって言ってやりたい」
「これが聞こえてたらいいのにねー」クスクス
「ねー」クスクス
ハーピー「……」
793: 1:2011/11/23(水) 02:39:57 ID:UOzzvGRKcw
その頃、薬草の森では
ハー子「よいしょ……よいしょ……」
ハー美「ふう……薬草いっぱい採れたね」
ハー子「じゃあそろそろ帰って……きゃあ!」ドンッ
獣人「いってえ!女ぁ、どこ見て歩いてやがる!」
ハー子「す、すみません!」
獣人「……んん?」ギロッ
ハー子「……」オドオド
ハー美「……」ビクビク
獣人「……へぇ」ニヤニヤ
獣人「ぶつかりはするし、俺達の縄張りは荒すし……これはただで許すわけにはいかねえなあ」
ハー子「そ、そんな!この森は誰の物でもないはず……」
獣人「うるせえ!いいのか?俺達獣人族がその気になれば、ハーピー族なんか一捻りだぜ?」
ハー子「っ!」
獣人「それでいいなら、俺は別に構わんがなあ」
794: 1:2011/11/23(水) 02:40:47 ID:UOzzvGRKcw
ハー美「ど、どうすれば許してもらえますか?」
獣人「へっへっへ……お前ら一族で一番美しい娘を寄越せ。そうすれば許してやるよ」
ハー子「そ、そんなの無理です!」
獣人「てめえらの都合なんか知るかよ!……明日の今頃に、この森に来させろ。たっぷり可愛がってやるからよ」
ハー美「そんな……」
獣人「そういうことだ。楽しみにしてるぜ」
ハー子「ど、どうしよう……どうしよう……!」
ハー美「と、とりあえず戻って長老に相談しよう!」
ハー子「う、うん!」
795: 1:2011/11/23(水) 02:41:37 ID:UOzzvGRKcw
ハー子「……というわけなんです」
長老「ふむ……我らが獣人族と争ったところで勝ち目はない。言うとおりにした方が良いじゃろう」
ハー美「では、誰を獣人族に差し出すというのですか?」
長老「……ハーピーがいいじゃろう」
ハー子「!」
長老「あれは一族でも一番の座を争うほどの美貌を持っておる」
長老「くわえて、ろくに戦闘もできぬハーピー族でありながら、他種族との交流を望む危険分子じゃ」
長老「この機会に処分するのが一族のためじゃろう。あれに犠牲となってもらおう」
ハー子「わ……わかりました」
長老「待ち合わせは薬草の森じゃったな。では薬草採取の手伝いとでも言って、明日森に行かせればいいの」
ハー美「……は、はい……」
796: 1:2011/11/23(水) 02:42:37 ID:UOzzvGRKcw
ハーピー「……だから私は言ってやったんです!ニラレバでしょ!って」
側近「いや、そこはレバニラじゃないのか?」
ハー子「あ、あのう……」
ハーピー「あれ?ハー子さんにハー美さん。いらっしゃい」
ハー美「遅くにお邪魔してごめん。……今の、何の話?」
ハーピー「あ……き、気にしないでください///」
側近「……どうも」
ハー子「あ……はい。どうも」
ハーピー「急に来て……何かあったんですか?」
ハー子「あ……えっと、やく……薬草の数が不足してて」
ハー美「明日も薬草の採取が必要になって……よ、よかったら手伝ってくれないかなって」
ハーピー「そういうことでしたか。わかりました、お手伝いしましょう。いつ頃の予定ですか?」
ハー子「ご……午後の……5時頃に……」
ハーピー「ずいぶん遅くから始めるんですね?」
ハー美「あ……わた、私達、ちょっと用事があるから……」
ハーピー「そうですか。私だけでも早めに行って採取しておきましょうか?」
ハー子「い、いや……それは悪いから、5時から一緒にしよう」
ハーピー「わかりました。明日の午後5時に薬草の森に向かえばいいんですね」
797: 1:2011/11/23(水) 02:43:34 ID:UOzzvGRKcw
ハー子「そ、そういうことだから……お願いね」
ハー美「それじゃ……お邪魔しました」
ハーピー「いえいえ、また明日会いましょう」
ハーピー「……そういうことですので、明日はお留守番頼みますね」
側近「……ああ」
で、深夜
側近(ハーピーは……)
ハーピー「すー……すー……側近さん……」
側近(……寝てるな。よし)
ハー子「どうしよう……どうしよう……」
ハー美「し、仕方ないじゃない!こうでもしないと大変なことになるんだから!」
側近「……何がどう大変なのか、よかったら説明してくれねえか?」
ハー子「ひっ!?」
側近「薬草採取に誘うだけにしちゃあ……心拍音、瞳孔の開き……著しい緊張が感じられたからな」
側近「さあ、どういうことか言ってもらおうか!」
798: 1:2011/11/23(水) 02:44:39 ID:UOzzvGRKcw
側近「……なるほどな。いわゆる生贄ってやつか」
側近「仲間を騙して犠牲にして、なかなか素敵な種族だな。ハーピー族ってのは」
ハー子「……何よ、いやみったらしい言い方して」
ハー子「は、ハーピー族は強くないのよ!魔界の力におびえて、うまく立ち回って生きるしかないの!」
ハー子「一族が滅びるより一人が犠牲になった方がいいでしょ!」
ハー子「弱い者は強い者に奪われて、それでも生きていかなきゃならないのよ!」
側近「……それは俺だって知ってるさ」
ハー子「だったら口出ししないでよ!よそ者のくせに!」
ハー子「犠牲だって仕方ないじゃない!それが魔界なんだから!仕方ないじゃない!!」
側近「……そうだな、仕方ない」
799: 1:2011/11/23(水) 02:45:29 ID:UOzzvGRKcw
側近「ただいまーっと」
ハーピー「すー……すー……」
側近「……」
側近(魔界は弱肉強食。弱い者は奪われ、強い者は全てを手に入れる)
側近(そしてハーピー族は弱いんだ。強い者に何を強要されたって、それは仕方ないことなんだ)
側近(だからハーピーが明日犯され、最悪死に至っても、それは仕方のないこと……)
側近(仕方ない、で片づけていいのか?)
側近(もし明日ハーピーが死んだら、今日までの生活は終わりだ……)
側近(それは……)
側近(なんていうか、嫌だな……)
800: 1:2011/11/23(水) 02:46:13 ID:UOzzvGRKcw
次の日
ハーピー「……じゃあ私は行ってきますね」
側近「ああ」
ハーピー「畑の方の手伝いをして……あ、5時には薬草採取も手伝いますから、遅くなります」
側近「わかってる」
ハーピー「そういうことですので、お留守番は任せますよ!それでは行ってきます!」
側近「……行ったな」
側近「さてと……」
801: 1:2011/11/23(水) 02:47:06 ID:UOzzvGRKcw
獣人A「あとちょっとでハーピー族の女を犯せるわけかwwwたまらんなあ、おいwww」
獣人B「ハーピー族は美人揃いだからなあwwwその上、基本誰かと交わることはないっていうwww」
獣人C「初物をおいしくいただくわけだなwww」
獣人「最初の一口は俺にくれよ?俺の手柄なんだからよwwww」
獣人A「わかってるってーwww」
側近「……クソみたいな会話してんな。今すぐ黙ってもらいたいな」
獣人「ああ?誰だよ、てめえは?」
側近「俺か?俺は……弱者の味方だよ」
802: 戦闘はカットで:2011/11/23(水) 02:47:54 ID:UOzzvGRKcw
獣人「う……ぐぅ……」
側近「いってぇ……怪我も完治しないまま戦うもんじゃねえな……」
側近「うわ、また血出てきたし……」
側近「回復魔法って覚えた方がいいのかな……」
側近(こいつら……全員生きてるな)
側近(敵を生かしても意味はない……普通ならとどめを刺すべきだ)
側近(でも……)
側近(そんなことしたらハーピーが悲しむかな……)
側近(こいつらが生き残って報復を考えても)
側近(その都度叩き潰してやればいいか)
側近(ハーピーへの説明はどうするかな……あの女共の計画を言っていいものか……)
803: 1:2011/11/23(水) 02:49:02 ID:UOzzvGRKcw
ハーピー「ハー子さん達、来てるかな?」テクテク
ハーピー「あれ?あれって……側近さん?」
ハーピー「それに……大勢の方が倒れてる……あっ!」
獣人「くそが……一矢報いてやる……」
獣人「傷口に攻撃魔法当てればあるいは……くらえ!」バシューッ
ハーピー「危ない!!」
側近「えっ」
声に反応し、振り返った側近が見た光景。
それは、獣人の中級攻撃魔法を、身を盾にして受け止めるハーピーの姿だった。
爆風で、その白く美しい羽根が無数に舞った。ハーピー自身は、自らの血で口から下を赤く染めた。
間もなくハーピーは後ろに倒れた。その前面は酷い火傷がほとんどを占めていた。
調べなくてもわかる。致命傷だった。
804: 1:2011/11/23(水) 02:49:47 ID:UOzzvGRKcw
「ハーピー!!」
側近はハーピーの身を案じつつ、獣人の方へ目をやった。次の攻撃に備えてである。
しかし、先の一撃は最後の力を振り絞ったものだったらしく、獣人は既に気絶していた。
それを確認して、側近はハーピーに力強く語りかけた。
側近「ハーピー!!しっかりしろ!!」
ハーピー「だ……大丈夫……でしたか?」
側近「ああ、俺は大丈夫だ!」
ハーピー「そう……よかったです……」
側近「ハーピー!俺には薬草の知識がない!どれをどのように使えばいい!?」
ハーピー「無理……ですよ。薬草じゃ……到底……な、治せない怪我……です……」
805: 1:2011/11/23(水) 02:50:53 ID:UOzzvGRKcw
ハーピー「わ、私……弱いなりに……お手伝い、できましたよ」
側近「あ?何を言ってるんだ!?」
ハーピー「平和な世界へのお手伝い……命がけですけど……」
側近「平和な世界?何のことだ!?」
ハーピー「魔王様の優しさに……側近さんの強さが重なれば……きっと魔界は変わります」
ハーピー「側近さんは……ここで死ぬべきじゃない……平和な世界のためにも……」
ハーピー「平和な世界を……作り、そこで過ごすべき方です……」
側近「馬鹿!!お前だって、その平和な世界で生きるべき存在だろ!!」
側近「平和な世界には、お前のような優しい奴だって必要なんだよ!!」
側近「それに……俺という個人だって、お前を欲してる!!」
側近「お前が看病してくれた数日間、本当に楽しかったんだ!!」
側近「た、たぶん……俺はお前が好きなんだよ!!」
側近「世界も俺も、お前が消えるのを望んでねえんだよ!!」
側近「だから生きろ!!」
806: 1:2011/11/23(水) 02:51:34 ID:UOzzvGRKcw
ハーピー「ありがとう……嬉しい言葉です……」
ハーピー「……側近さんは……頼りになって優しくて……」
ハーピー「私も……側近が……好き……好き、だよ……」
ハーピー「……」
側近「……おい?おい!?」
側近「くそ、冗談ではない!!死なせてたまるか!!」
側近「しかし……薬草ではどうしようもない!何か……何か方法は……」
側近「……」
側近「回復魔法か……」
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