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魔王「何で女の子が一人もいないんだよ!」
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1:🎏 :2011/9/14(水) 23:03:02 ID:8OHTIHnybw
初めてSSを書かせていただきます。
ギャグ物にしようと思ってまして、そのせいで世界観を無視した発言や行動が多くなると思います。
あと、最終的にはスレタイ詐欺のような展開になるかもしれません。今のところ、そのように予定しています。
以上のような感じで書き進めていこうと思ってます。
問題ないという方は、よければ最後までお付き合いください。
よろしくおねがいします。

※長いため、携帯から読むと途中から読めなくなる可能性があります。読めなくなった場合、こちらから読んでみてください→>>887-891


484:🎏 あげちゃった:2011/10/25(火) 22:20:48 ID:bEpZo/Xb/k
私は何事かと思い、幼い女の子をただただ見ていた。魔王達もおそらくは同じ気持ちで彼女を見つめている。
彼女は魔王達の前で立ち止まると、満面の笑みを見せてこう言った。

「おにいちゃん、わたしたちをまもってくれて、ありがと!」

びっくりした。有り体な言葉だが、本当にびっくりした。諦めてた言葉が、展開が、今目の前で繰り広げられたのだから。
間もなく男女の二人組が女の子のもとへと駆けてきた。おそらくは彼女の両親だろう。
母親とみられる女性は、女の子を魔王達から守るように抱きかかえると、すごい剣幕で次のように叫んだ。

「何をしてるの!?この男の人はね、さっきの悪い人の仲間の人なのよ!?」

「そうなの?でも、このおにいちゃんはわたしたちのこと、まもってくれたよ?」

女の子の発言で、母親の表情は複雑な物になる。全員を確認したわけではないが、この場の大人達のほとんどがそうなったのではないだろうか。
485:🎏 :2011/10/25(火) 22:21:13 ID:bEpZo/Xb/k
「わたしね、まものとかにんげんとかってはなし、よくわからないけど」

「おにいちゃんがいいひとだってことは、なんとなくわかるよ」

「あのへんなおにいちゃんがいじわるしてこわかったけど」

「おにいちゃんがたすけてくれて、ほんとにうれしかったよ!」

「わたしもママもパパも、たいへんなことにならなくてすんだもん!」

「あのいじわるなおにいちゃんのともだちだっていうけど」

「わたしのともだちにも、やさしいともだちや、いじわるなともだちっているもん」

「だからおにいちゃんもやさしいひとなんだよね!いっぱいおれいをいいたいな!」

「ママ、それでもこのおにいちゃんにおれいしちゃだめなの?」
486:🎏 :2011/10/25(火) 22:21:33 ID:bEpZo/Xb/k
純粋無垢な女の子の言葉は、街の人達には大いに響いたのではないだろうか。なんとなく、大人達の表情からそう思う。
その感情は、間もなく言葉になって、緩やかにその場を支配していった。

「そうだよ……確かにあいつは魔物で、しかも魔王だけど、俺達を守ってくれたよ……」
「意図がどうとか、信頼できるできないじゃない、その事実に対して感謝もしないなんてどうなんだよ?」
「……私達、自分の身を案ずることだけ考えて、何かを見落としてるんじゃないかしら」
「あの半人半龍のやつの言った通りだな。俺達は、自分のことしか考えてなかった……」
「街を、人を、何かを守るのを他人に任せて、それが当然かのような振る舞いをしてきた……」
「そういう態度が、目を、心を濁らせたのかもしれない……」
「人か魔物か、それだけを気にするようになった。良い魔物、悪い魔物、全てを突っぱねるようになった……」

しばらくざわついていたが、ある人物が一歩前へ踏み出したのをきっかけに、発せられてた言葉はぴたりと止んだ。
その一歩踏み出したのは、街の代表を務める老人だった。
487:🎏 :2011/10/25(火) 22:21:54 ID:bEpZo/Xb/k
代表「助けてもらった身でこんなことを問うのも情けないが……わしらは御主らを信じてよいのか?」

魔王「……信じて大丈夫だよ。俺が魔王を勤める限り、魔界は和平の方向で頑張るから!」

代表「しかし……わしらもそうじゃが、相手の得体が知れんのはそちらも同じじゃろう?お互い、そんなに簡単に信じていいのか?」

魔王「……誰かを信じるのって怖いことだと思うよ。誰かのことを他人が100%理解するってできないと思うし……信じるってことは簡単じゃないよ」

代表「だったら何故……?」

魔王「……俺の場合は、その先にある未来を皆で分かち合いたいから、かな」

代表「先にある未来?」

魔王「俺には側近がいる。ドラゴンがいて、スライムがいて、ゾンビもいる。城の仲間達がいる」

魔王「その仲間達と仲良く過ごすのって、すっごく楽しいんだ。毎日が宝物だよ」

魔王「その楽しみをさ、もっとたくさんの魔物や人で分かち合えたら、もうやばいことになると思うんだ」

魔王「それは、絶対にいがみ合う日々より素晴らしいものだと思うよ。だから、大変で辛くて怖いことってわかってても、一歩踏み出せるのかな」

代表「で、でも……それだけ信用して、そういった世界を目指して頑張れば頑張るほど、悪意に邪魔された時の挫折も大きくなるじゃろう」

代表「それは絶対に避けられぬことと言っても過言ではないじゃろう。そんな報われる保証もない努力を続けることができるのか?」

女勇者「……」
488:🎏 :2011/10/25(火) 22:22:15 ID:bEpZo/Xb/k
魔王「……できるよ」

代表「……何じゃと?」

魔王「だって、俺がそうしたいからするだけだもん」

魔王「ただ、中には俺の考えが嫌で、反発する奴も出てくるのもちゃんとわかってる。……実際、そこのドラゴン人間がそうしたんだし」

魔王「それに、途中で裏切りにあうかもしんない。そんときは俺、泣いちゃうかもしれないよ」

魔王「でも、それでいいんだよ。だって、俺の考えを皆に強要するつもりはないもん」

魔王「それはここの皆も一緒だよ。助けてもらった感謝と、魔物を信じていいのかわかんない怖さが入り混じって、正直どうしていいのかわかんない状態なんだと思うけど」

魔王「俺は気にしないから大丈夫!いや、気にはなるけど……けど、俺を突っぱねたっていいんだよ」

魔王「だからって、俺が魔物と人間の共存の足掛かりを掴んだ時に仲間外れにしたりもしないから安心して!」

魔王「今ここで俺を信じないからって、人間との明るい未来を切り捨てたりしないから……俺を気にせず自分の正直な気持ちに従ってよ!」

代表「……なんで、なんでそこまで自分を犠牲にしながら、相手に優しくできるんじゃ?」

魔王「ん?簡単だよ。悲しい表情や怒った表情を見るより、明るい笑顔を見た方が俺も嬉しいもん!」ニコニコ
489:🎏 :2011/10/25(火) 22:22:36 ID:bEpZo/Xb/k
女勇者「……」

側近「すげーだろ?うちの魔王様はあんなことを本気で言える御方なんだぜ」

代表「……」

魔王「皆がどんな選択をしようと、俺は信念を変えないで人間に歩み寄る努力は続けるよ。だから皆は嘘偽りのない選択をして!」

代表「……」

幼女「おにいちゃんのはなし、よくわかんなかったけど、わたしはおにいちゃんをしんじるよー!」

魔王「ありがとー!大人になったらお兄ちゃんと結婚しようね!」

側近「台無しですよ……」

代表「……長らく続いた人と魔物の争い」

代表「お互いが自分のことしか考えず、相手を理解しようともしなかった」

代表「そのような時代で、御主のような志を持つ者が現れたこと」

代表「それは時代が変わる時が訪れたという報せなのかもしれないな」

代表「……信じよう。きっと王様もわかってくださると思うよ」
490:🎏 :2011/10/25(火) 22:23:01 ID:bEpZo/Xb/k
諦めかけてたそれが目の前で展開された。満面の笑みである魔王と、やれやれというような微笑みの代表が固い握手を交わしたのだ。
驚く私の隣で、側近はこんなことを言い出した。

「……魔物と人の遺恨は簡単には消えないと思ってたんだがな」

「魔王様、やってくれたな……」

「まあでも真のMVPはあの子だろうし、完全な和平なんてまだまだこれからだろうけどな……」

側近には悪いけど、返事をすることもせずに私は魔王とあの子のとこに駆け出した。
そして体当たり同然に魔王へと抱きつく。

「うえぇい!?お、おおお女勇者ちゃん!?///」

困惑してる様子が見て取れた。魔王に悪いかなって少し思ったけど、ごめんね。なんだか我慢できなくって。
ずっとずっと夢でしかなかった、人間と魔物の共存。その第一歩が踏み出せたことが、嬉しくって体が勝手に動いてた。
491:🎏 :2011/10/25(火) 22:23:25 ID:bEpZo/Xb/k
「ありがとぉ……本当にありがとぉ……!!」

それは自然に発した言葉だった。別に魔王もあの子も私に感謝されたくてした行動ではないだろうけど、それでも言葉は出てしまう。

普通では解り合えるはずのなかった両者の気持ち。少なくとも、私には無理だった。
でも、魔王とこの子が。
次世代の可能性が人々の概念を根本から変えさせて。
優しい心が全てを受け入れ共に在る未来を示したことで、この瞬間は生まれた。
私の夢が、誰もが望んだはずの完全なる平和の道を切り開いてくれたことが嬉しくって、感謝の言葉が自然と生まれた。

あるがとう……本当にありがとう……!!



……この瞬間、人間と魔物の長い戦いに終止符が打たれたのだった。
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