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白兎「アリス! 私達のアリス!」
[8] -25 -50 

1: 名無しさん:2011/6/9(木) 19:08:39 ID:Sk5yLArqZw
少女は走る 走る

その白い足は止まる事を知らない

その赤い目は風にぶつかり開け続けていられない

その長い耳は、たった一人の少女の声を捉えようとせわしく揺れる

腰にぶら下げた目覚まし時計の音は、その邪魔をする

辿り着いたのは、とある井戸

その向こうは、彼女の世界


724: 名無しさん@不思議の国:2011/8/13(土) 17:04:29 ID:uz77L901sc


男「大漁だ大漁、どっこいせ」ドサッ

山鼠「すげー量だな」

男「腹が減っては戦はできんよ」

山鼠「誰と戦うんだよ」

男「ほら白兎、お前の好きなにんじんだ」

白兎「……」

山鼠「…シロ?」

白兎「…いらない、です…」

男「……」

白兎「食欲…ありませんし…」

男「食え」ズイ

白兎「……」

男「飯食わなきゃ明日から保たないぞ」

白兎「……明日から?」

男「あぁ、明日からな」

白兎「……」シャク
725: 名無しさん@不思議の国:2011/8/13(土) 20:42:38 ID:0JTMROl5ps
男「…美味いだろ?」

白兎「……」シャクシャク

男「……」

白兎「……」ポロポロ

山鼠「…おい」

白兎「…う…ぅあ…ああぁ…」ポロポロ

男「……」

山鼠「お、男!」

男「…辛いなら、好きに泣けばいいよ」

男「俺はもう寝るから、うん」ゴロン

山鼠「…シロ、俺達は気にしないから
甘えたい時は言ってくれよ?」ゴロン

男「2つベッドあんだから、こっち使わないで向こう行けよ」

山鼠「俺が何処で寝ようが勝手だろ」
726: 名無しさん@不思議の国:2011/8/13(土) 20:50:03 ID:YROlhhOGxU
白兎「…あの…」

男「ちょっと視線がずれてるけどどうした」

山鼠「早速甘えたくなったか、へへ」

白兎「…うん、甘えると…言いますか…」

白兎「…私が、男さんと一緒に寝たいです……」

山鼠「」

男「あーん?」

白兎「…駄目…ですかね…?」

男「だってよ」

山鼠「ぅえ!? あ、や…えっ!?」キョドキョド

男「何キョドってんの」

白兎「…今夜だけ…今夜だけでいいですから…」

山鼠「あ…うー」
727: 名無しさん@不思議の国:2011/8/13(土) 20:58:45 ID:uz77L901sc
山鼠「む、むー…お、男が決めればいいだろ!」

男「出たよ無茶振り」

白兎「男さん…」

男「今夜だけならいいんじゃねぇの、白兎」

山鼠「……」

山鼠「あぁそぉ! いいよ俺があっちで寂しく一人で寝りゃいんだろ!
いやまぁ寝れねーけどよ!」ケリッ

男「拗ねんな拗ねんな」

白兎「…ありがとう、ございます…」

男「どうせ向こうでも寝てないんだろ?」

白兎「……」コクッ

男「ならさっさと寝るぞ」

山鼠「ふんっ!」
728: 名無しさん@不思議の国:2011/8/13(土) 21:21:37 ID:FAT/SEDfLU
男「…じゃあ山鼠、おやすみ」

山鼠「……」ツーン

男「……白兎も」

白兎「……はい、ありがとう、ございました」

男「……気にするな」


夜はゆっくりと更けて行きます

少年の静かな寝息が聞こえる

顔は見えないけれど、もう寝ているのでしょう

手探りで少年の頬に触れる

それはそれは良く眠っているようで

兎は消え入るように言葉をもらしました

白兎「……ごめんなさい」
729: 名無しさん@不思議の国:2011/8/13(土) 21:30:43 ID:YROlhhOGxU
この国に連れて来てしまってごめんなさい

死を奪ってごめんなさい

迷惑をかけてごめんなさい

アリスを見つけれなくてごめんなさい

約束を守れなくてごめんなさい


頬から体をなぞり、少年の腰に手を下ろす

少年のズボンのポケット
そこに強引に突っ込んだ拳銃があることを
兎の少女は知っていました

起こさないように引き抜くのです、ゆっくりと
730: 名無しさん@不思議の国:2011/8/13(土) 21:48:51 ID:0JTMROl5ps
鼠のお婆さんの家の出来事、握った感触、撃つ時の衝撃

どれ一つとして忘れてなんかない

でも、もうお終い


白兎「…無理ですよ…」

白兎「…アリスも…女王様も…視力すら失って…」ポロポロ

白兎「…それでもまだ生きていける程…強くないですよ…」ポロポロ

少年は都合良く、まだぐっすりと眠っているようでした

白兎「……」カチャ

鼠の少女が気づいたのでしょうか

声を荒げて自分に呼びかけているような

白兎「山鼠ちゃんも…ごめんね…?」

山鼠「シロ!!」


兎の少女と、彼女が抱いた拳銃は
同時に声をあげて哭きました
731: 名無しさん@読者の声:2011/8/13(土) 23:26:21 ID:oHNyuPfZpg
あ、なっなにっ!?

ヤバい…白うさちゃんが…
紫煙支援
732: 名無しさん@読者の声:2011/8/14(日) 10:41:14 ID:vnsiBmoeJ6
う、うわあああああシロォォォォ!!!!(´;ω;`)
733: 名無しさん@読者の声:2011/8/14(日) 16:46:20 ID:e/Z68U8bwI
ああぁぁ・・・
一位おめでとうって言えない雰囲気・・・
シロちゃあああああああん!!!
山鼠ちゃんの最後の声が辛すぎる
734: 名無しさん@不思議の国:2011/8/14(日) 20:30:45 ID:iNLuW6B7Vg



鼠の少女と人間の少年は
城を出て、また歩き始めました

次は目的地なんて無い自由な旅

そして一人少なくなった静かな旅

薔薇園を抜けて丘を下り、気の向くままにフラフラと

山鼠「…そうだ」

男「…?」

山鼠「婆ちゃん家、行ってみねぇか?
ここから近いはずだし」

男「…まぁ、良いんじゃないかね
場所覚えてる?」

山鼠「んと…確かね、向こうだった
あの山の方」
735: 名無しさん@不思議の国:2011/8/14(日) 20:39:26 ID:0JTMROl5ps
山鼠「……」ガチャガチャ

男「……」

山鼠「……いねぇや」

男「…そぉかい」

山鼠「…まぁた引っ越したのか婆ちゃん」

男「しょうがないな…ほら、行くぞ」

山鼠「あぁう……ぅ?」ヘタッ

男「山鼠?何へたり込んでんだ」

山鼠「……」プルプル

山鼠「あー、駄目だ。足動かねえ」

男「あー?また我が儘モードかい」

山鼠「……また頼むわ、おぶってくれ」
736: 名無しさん@不思議の国:2011/8/14(日) 20:56:24 ID:kKLv8s9J86
男「しゃーねぇなぁ」

鼠のお婆ちゃんの家も駄目

さぁ、いよいよ何処に行こうかな

湖なんていいかも知れない

洗濯中雨に降られたり、頭を撃ち抜かれたりと、良い思い出はあまりないけれど

あそこに住む友人にも会いたいし、何より

少年の服に染み込んだ、白兎の赤色をどうにかしたかった

そんな事を考えながら、鼠の少女の手を取る
737: 名無しさん@不思議の国:2011/8/14(日) 21:04:17 ID:iNLuW6B7Vg
男「……」ヒョイ

男「軽!」

山鼠「毎回同じこと言うなお前」

男「…いや、あれ?お前ここまで軽かったか?」

山鼠「…知らねえよ。自分の体重なんか自分じゃ分かんねえんだから」

男「……」

山鼠「……んだよ」

男「…お前、もう、限界だろ」

山鼠「……」

山鼠「……」チッ
738: 名無しさん@不思議の国:2011/8/14(日) 21:11:44 ID:eDhl4PA.B6
山鼠「何下らねえ事言ってんだお前は」

男「…」ドサッ

山鼠「あだっ! おい、何で下ろすんだよ!」

男「…立ってみろよ」

山鼠「…は?」

男「自力で立ってみろ」

山鼠「…面倒くせぇ、そんな事よか」

男「山鼠」

山鼠「……」
739: 名無しさん@不思議の国:2011/8/14(日) 21:24:17 ID:R0seOgtGOQ
山鼠「分かったよちゃんと見とけアホ!
んっ…!」ピクッ

山鼠「…ふ…う…っ!」プルプル

山鼠「ん…う…うぅぅ…!!」ガクガク

山鼠「…んあっ…!」ベチャ

男「……」

山鼠「…ふ…ふぅう…!」プルプル

山鼠「…く…そ…がぁ…!」ガクガク

山鼠「…ああ…ぁ…」ドサッ

男「……山鼠」

山鼠「…嫌だ…嫌だよ…」
740: 名無しさん@読者の声:2011/8/14(日) 21:33:16 ID:62rEgRZIdU
白ウサギちゃんが…
うわあああああああ!!

山鼠も…


そして1さん、一位おめでとう
741: 名無しさん@不思議の国:2011/8/14(日) 21:38:46 ID:R0seOgtGOQ
山鼠「馬鹿は俺の方だ…
なんで…なんで睡眠なんか…!」

山鼠「誰だよアリスって…!
何で見ず知らずの奴のにくれてやらなきゃならねえんだ…!」

山鼠「なんで今更になって後悔してんだよぉ…」

男「…山鼠」

こんなに自分達は苦しんでるのに
鼠の祖母も猫も、誰も彼も一向に姿を見せない。頼らせてくれない

なんて薄情なんだろう

山鼠「…死にたくない…死にたくねぇよぉ…」ポロポロ
742: 名無しさん@不思議の国:2011/8/15(月) 07:57:50 ID:FAT/SEDfLU
男「泣き止んだ?」

山鼠「…あぁ」

男「そう」

山鼠「……男」

男「あんまり喋るなよ?体力減るぞ」

山鼠「いいや、言う。これだけは言う」

男「なんだよ」

山鼠「お前が、好きだよ、俺」



?「…何でなのよ…」

?「…何なのよここ…」

?「…眠ってるのなら…夢なら覚めてよ…!」
743: 名無しさん@不思議の国:2011/8/15(月) 08:06:52 ID:0JTMROl5ps
男「……」

山鼠「本当馬鹿だよ。
なんで今更言ってんだか、辛いだけなのにな」

男「はー…」

山鼠「お前そのリアクションはねぇだろ」

男「んー、俺も好きだーとかでいいのか」

山鼠「それが本心ならそれでいいよ」

鼠の少女は重そうに体を引きずって、少年に覆い被さります

やはり少女はとっても軽かったけど

とりあえず少年は体を委ねてみました
744: 名無しさん@不思議の国:2011/8/15(月) 08:20:52 ID:uz77L901sc
男「で、何がしたいんだい」

山鼠「……そうだな」

山鼠「…俺を、抱け」

男「……」

山鼠「…頼むよ、どうせ最後だからさ」

男「……」

男「…もうちょっと大人になったらな」

男「そしたら抱いてやるよ」

山鼠「…はっ、大人になるまで生きれるなら、こんな事言ってねぇよ」

山鼠「……分かった、大人になるまでお預けでいいよ」

男「うん」
745: 名無しさん@不思議の国:2011/8/15(月) 08:22:57 ID:FAT/SEDfLU
山鼠「どうせ俺はまだガキだ
ちゅーで許してやるよ」

男「許してやるは、こっちの台詞だ」

山鼠「へへ…」


途端、

少年に乗っかった少女の体が、まるで糸が切れたように

崩れ落ちました
746: 名無しさん@読者の声:2011/8/15(月) 08:29:38 ID:w8R0gO0uvE
(´;ω;`)
747: 名無しさん@不思議の国:2011/8/15(月) 08:45:06 ID:eDhl4PA.B6
男「…山鼠?」

男「おい」

男「山鼠!」

ピクリとも反応しません

力が抜けて、腕がゆらゆら泳いで

少女の安らかな顔とは対照的に青ざめていく少年の顔

こんなのってあるか


『二人が居なくなったらどうすればーって?』

『その時はボクが君といてやるよ、一人は寂しいだろうからね』

チェシャ「やぁ男君、どうしたんだい?
そんな悲しい顔をして」
748: 名無しさん@不思議の国:2011/8/15(月) 08:56:02 ID:YROlhhOGxU
男「チェシャ…?」

チェシャ「…」

鼠を一瞥し、すぐ少年に視線を戻します

チェシャ「そっか、山鼠ちゃんは」

男「チェシャ猫!」ガシッ

チェシャ「おわぁ!」ビクッ

男「チェシャ猫!チェシャ猫ぉ!」

チェシャ「お、おいおい落ち着けよ…
珍しいな君が取り乱すのは」

男「何だよこれ!もう…もうたくさんだ!
お前もいなくなるのかよ!?」

チェシャ「…大丈夫、もう大丈夫だから」

男「大丈夫!?何が!」

チェシャ「この不思議の国に、アリスが帰って来たんだよ」
749: 名無しさん@読者の声:2011/8/15(月) 11:25:05 ID:VfUmzVwkZw
山鼠ちゃん…(´;ω;`)

アリス…遅いよ…
もっと早く来てくれれば…

最後まで私はCする!!
750: 名無しさん@読者の声:2011/8/15(月) 16:34:50 ID:vx0mhxLKXo
はっ山鼠はただ眠っただけなんじゃ…!

まだ死んでない!
希望はすつない!
山鼠ふぉーえばーらぶ!
751: ◆AlicexxO96:2011/8/15(月) 19:21:05 ID:iNLuW6B7Vg
今日終わらせても良かったのですが、明日しっかり最後まで書き溜めしてからにします

とりあえず、ランキング1位!
こんなダラダラ続くSSに投票してくださった皆様、本当にありがとうございました!

本当はもう少し早く言いたかったのですが、その日の更新内容的に喜ぶのは凄い場違いを感じて控えておりました

いやはや非常に光栄な事です
が、もう終わるようなSSが一番でいいんですかね?w

とりあえず明日完結

これからレス返は、申し訳ないですが控えさせていただきます
ただ、皆様の支援はしっかり1のやる気に変わっているので
欲を言えば最後まで付き合っていただければw

ということで、また明日
おやすみなさい
752: 名無しさん@読者の声:2011/8/15(月) 20:01:31 ID:qXgLReNbqY


完結…嬉しいけど、寂しいなあ
っC



753: 名無しさん@読者の声:2011/8/15(月) 20:52:05 ID:7k4/Uy1aUI
もうすぐ終わりかあ…(´・ω・)っC
754: 名無しさん@読者の声:2011/8/15(月) 22:12:40 ID:6hvqYB35YI
おめでとうございます
最後まで見守ります!

つC
755: 名無しさん@読者の声:2011/8/15(月) 22:24:07 ID:ZuGg7xw/zk
最初から見てきて‥

感動する〜C
756: 名無しさん@読者の声:2011/8/16(火) 18:23:46 ID:Tamr7z3M32
今最初から読んできた
感動するわ。
超C
757: 名無しさん@不思議の国:2011/8/16(火) 19:06:41 ID:eDhl4PA.B6
男「…ありす?」

チェシャ「あぁ。いやはやめでたいね、遂にこの国の主の帰還さ」フリフリ

男「…ふざけんなよ…今更過ぎるだろ」

チェシャ「…まぁ白兎ちゃんの事は、残念だったが」

男「…白兎だけじゃねぇよ」

チェシャ「……」

チェシャ「連れてってあげる、アリスの所まで
山鼠ちゃんも一緒にね」

男「……」
758: 名無しさん@不思議の国:2011/8/16(火) 19:28:57 ID:R0seOgtGOQ


アリス「……」

蟻「アリス!僕達のアリス!」

蟻「お帰りなさい!アリス!」

アリス「……うるさい」

蟻「どうしたんだいアリス!?具合が悪いのかい!?」

アリス「……」プチッ

アリス「……何なのよぉ」

アリス「…おかしいんじゃないの…ここ」

チェシャ「お帰りなさい、アリス」フッ

アリス「ひっ!?」

チェシャ「ここは、君の国
…不思議の国」

男「……」
759: 名無しさん@不思議の国:2011/8/16(火) 19:36:21 ID:0JTMROl5ps
目の前の少女が、アリス

金髪で青い目

青いワンピース、白いエプロン

兎の少女が探し続けた
この国の住人達が待ち続けた少女

アリス「……誰?」

チェシャ「ボクはチェシャ猫だ
ずっと昔の、君の友達」

アリス「……友達?」

チェシャ「たった一度来ただけだ、覚えていないだろうけどね」

アリス「…えぇ、覚えていないわ
こんな気味の悪い所も、あなた達も」

男「……」
760: 名無しさん@不思議の国:2011/8/16(火) 19:49:17 ID:kKLv8s9J86
チェシャ「酷い言われようだね」

アリス「本当の事だから」

チェシャ「ここの住人達は、君に命を分け与えてるんだぜ?
その言い草は無いだろ」

アリス「…そんな馬鹿げた話が」

チェシャ「あったとしたら?」

アリス「…良い迷惑よ」

チェシャ「……」

アリス「…本当に…良い、迷惑…!」
761: 名無しさん@不思議の国:2011/8/16(火) 19:56:21 ID:YROlhhOGxU
アリス「誰がそんな事望んだの?
私の体は異常だったのよ?」

アリス「眠れないし目もろくに見えない、声も出せない」

アリス「治ってきてもまだまだ不完全で
そのうち見えて来た全てが怖かった」

アリス「捨てられた、拒まれた、目を背けられた!」

アリス「死んでやろうって、何度考えた事かしら!
何度自分を傷つけたかしら!」

アリス「死なないのよ!何回何十回何百回何千回首を吊っても!」

もの凄い剣幕で言葉を紡ぎます
762: 名無しさん@不思議の国:2011/8/16(火) 20:13:55 ID:YROlhhOGxU
アリス「やっと!やっと死んだらここにいるのよ!?」

アリス「何が不思議の国よ!ふざけないで!」

チェシャ「……そうかい」

アリス「何も考えたくない…
何も感じたくない…」

男「……おい」

アリス「要らない…こんな体要らない…!
もう何も見たくない聞きたくない!」

男「おい!!」ガシッ
763: 名無しさん@読者の声:2011/8/16(火) 20:26:30 ID:FAT/SEDfLU
アリス「何よ…何なのよここ!
空も地面も汚い…
消えちゃえばいいのよこんな世界の色なんて!」

言った途端、空に広がる透き通るような水色

大地に広がる優しい緑色

チェシャ「……!」

まず最初に感づいたのは猫

アリス「歩きたくない…何も知りたくない…」

男「黙れよ…!ぶん殴られたくないなら喋るな…!!」ギュゥ

アリス「…ッ…」

チェシャ「…男君、手を放せ
そのまま喋らせろ」

男「聞くに耐えねえんだよ…こいつの言ってる事は!」

チェシャ「言うことを聞け」

男「……」パッ

チェシャ「ん、それでいい」ニンマリ
764: 名無しさん@不思議の国:2011/8/16(火) 20:36:32 ID:Guo50azY9o
アリス「…要らない…みんな要らないの…」

男「…こんな奴を」

男「白兎はこんな奴を探し続けてたのかよ…!
山鼠はこんな奴の為に眠れなかったのかよ…!」

チェシャ「……」

男「チェシャ猫も何とか言えよ!」バッ

振り向いた少年の目の前に突きつけられた銃口

男「…あ?」

?「……どいてくれ」
ドンッと言う爆発音
撃ち出された鉛は、少年の額を貫きます
765: 名無しさん@読者の声:2011/8/16(火) 20:46:32 ID:eDhl4PA.B6
アリス「ひっ!?」

?「……邪魔だ」ドサッ

男「……」

チェシャ「…いきなりボクの友達を撃ち殺すなんて、穏やかじゃないね、狩人」

狩人「……死なないんだろ、そいつ」

チェシャ「まぁね」

男「……ふざけんな、くっそ痛いんだぞ」

チェシャ「男君は少し休んでな、熱くなりすぎだ」

男「…なんで、止めた」

チェシャ「アリスが喋るのを、かい?」

チェシャ「気付いたからさ、献上品の返却手段にね」

男「……?」

狩人「……」
766: 名無しさん@不思議の国:2011/8/16(火) 20:53:51 ID:K4ESg4cJk.
チェシャ「とっても簡単な話だ」フリフリ

チェシャ「僕達の献上が始まった時のように、アリスが要らないと願ったものが返却される」

男「…!」

チェシャ「色なんて消えろと願った途端、景色が元に戻ったろ?
そういう事さ」

アリス「…何言ってるの…?」

チェシャ「君にもっと残酷になれって言ってるんだよ」ニンマリ

アリス「……?」

狩人「……もう沢山だ」
767: 名無しさん@読者の声:2011/8/16(火) 21:01:09 ID:Znc3UNM8h6
わわわわくてかっ!!
支援ー
768: 名無しさん@不思議の国:2011/8/16(火) 21:08:54 ID:kKLv8s9J86
狩人「…こんなアリス…誰も求めてなんかいない…!」

狩人「…私が間違っていたのか?
お前の害になる献上はほぼ消した…
それなのに…!」

チェシャ「…おい」

狩人「…このアリスは、この国に居ても害にしかならない」ガチャ

アリス「…!?」

アリス「うっ…撃つの!?」

狩人「…何も要らないんだろう?
大丈夫だよアリス
私もすぐに後を追うから」

アリス「言ってる意味が…」

狩人「……ごめんねアリス」カチャン

アリス「や…やだっ!死にたくな」




チェシャ「……馬鹿が」
769: 名無しさん@不思議の国:2011/8/16(火) 21:14:55 ID:kG2XMrY8s6
チェシャ「……」

男「…お、おい」

チェシャ「どこまで馬鹿なんだろうね人間は
自分勝手を直向きと勘違いしてるよ」

男「……」

チェシャ「…君くらいだまともなのは」

男「……」

チェシャ「参ったね、本当に参った」

不思議の国はアリスの為の国

アリスがいなくなってしまえば、必要の無い国

猫が空を見上げる

つられて少年も

色を取り戻したばかりの空に、大きな黒い穴が出来ていました
770: 名無しさん@不思議の国:2011/8/16(火) 21:38:48 ID:R0seOgtGOQ
男「なんぞあれ…」

チェシャ「…不思議の国の眠りさ」

男「…眠り?」

チェシャ「アリスがいないなら必要が無いからね、眠るのさ」

男「……俺達はどうなるの?」

チェシャ「君はどうしたい?」

男「…どう、って」

チェシャ「君の『死』は最後の最後で返却された
山鼠ちゃんも『睡眠』を返却されて眠ってるだけ」

男「…!? 寝てるのか山鼠は!」

チェシャ「あぁ。ついでに、君達を人間界に送ってやる事も出来なくもない」

男「……!?」
771: 名無しさん@不思議の国:2011/8/16(火) 22:03:04 ID:FAT/SEDfLU
チェシャ「送ってそれっきりなら、それ以上体力を削る事もないし可能なんだよね」

男「……」

チェシャ「どこぞの偉い人によれば
『どっちへ行きたいかわからなければ、
どっちの道へ行ったって大した違いはない』らしいけど」

チェシャ「ねぇ自殺志願者君。
君は生きたいかい?
まだ死にたいかい?」

男「…大丈夫、もう決めてる」

チェシャ「……」フリフリ

男「生きるよ、生きる」

男「まだ眠るには早いんだから」

チェシャ「…そう言うと、信じてたよ」ニンマリ

黒い穴が、不思議の国を飲み込んでいきます
772: 名無しさん@不思議の国:2011/8/16(火) 22:17:46 ID:kKLv8s9J86
チェシャ「お別れのキス位、貰っても罰は当たらないかな?」フリフリ

男「当たらないんじゃない?」

チェシャ「冗談だよ
変わりに山鼠ちゃんを思いっ切り可愛がってあげな」

男「…そうする」

不思議の国が消えて行くのを見るのが怖くて、少年は目を閉じました

チェシャ「…次に目を開けたら元の世界だ」

男「…うん」

鼠の少女を抱えて



「「じゃあね」」

鼠の少女と人間の少年は不思議の国から消えました

猫は、不思議の国は、やっと眠りにつきます

チェシャ「おやすみ」
773: 名無しさん@不思議の国:2011/8/16(火) 22:28:37 ID:Guo50azY9o



長い間起きていて
長い間寝ているような気がする

目を開くのが億劫で
顔をふかふかの地べたにうずめるのが心地良い

静かで、涼しくて
自分の手だけが熱を帯びている

あったかくて目を開けたら
愛しい人が傍で手を握ってくれていた

男「おはよう」

山鼠「……おはよ」
774: 名無しさん@不思議の国:2011/8/16(火) 22:53:22 ID:0JTMROl5ps


妹娘「ねーお父さん?」

男「んー?」

妹娘「ピクニックってなにするの?」

男「暇なの?」

妹娘「うん!」

男「お姉ちゃんは?」

妹娘「難しい本読んでるの!」

男「そうかー」

山鼠「そこら辺を冒険しといで
色々見つかって楽しいぜ?」

妹娘「冒険?」

山鼠「そ。怪我しないようにな?」

妹娘「うんー!」タッタッ

男「放任主義っすな」

山鼠「過保護よかマシさ」ニッ
775: 名無しさん@不思議の国:2011/8/16(火) 23:01:38 ID:kKLv8s9J86
姉娘「…あんた何してるの?」

妹娘「冒険!」

姉娘「あんまり遠く行かないでよ?
迷子になったら面倒なんだから」

妹娘「はーい!」タッタッ

少女は走る 走る

草を踏みつけ 好奇心のままに

ジリリと目覚まし時計の音

音の鳴る方へ向かうと

妹娘「……白い、兎さん?」

白い耳を揺らして走る兎

追いかけて 追いかけて

辿り着いたのは、とある井戸

その向こうは、彼女の世界



白兎「アリス! 私達のアリス!」

〜fin〜
776: 名無しさん@読者の声:2011/8/16(火) 23:04:33 ID:kLQdZSsZjo
終わったぁ!寂しいけど、面白かったです!!個人的には芋虫だしてほしかったかな。

1乙!!!次回作に期待!!
777: 名無しさん@読者の声:2011/8/16(火) 23:18:33 ID:k5F7Lfj7MY
乙!(´;ω;`)

このマンガ欲しい!!すっごい楽しませてもらいました!ありがとうございました!
778: 名無しさん@読者の声:2011/8/16(火) 23:26:45 ID:TJWk.ac8Fw
乙!!

面白かった!!

誰かに漫画化してほしいなぁ〜

もちろん保管庫いきだよね?
次回作にも期待してるよ!
779: 名無しさん@読者の声:2011/8/16(火) 23:29:12 ID:TJWk.ac8Fw
乙です!
山鼠たんは美人になったんだろうなあ…
780: 名無しさん@読者の声:2011/8/16(火) 23:29:22 ID:PcspLrxv0I
(´;ω;`)

感動した(´;ω;`)

今まで書き込んだことはなかったけれど、一番最初からずっと読んでました!
アリスのお話はあちこちで使われているのに、
1さんは全く新しいアリスの世界を生み出していて…本当にすごいです(´;ω;`)
また機会があれば他のSSもかいてほしいです、素晴らしいお話をありがとうございました!

そして、妹娘ちゃんが前のアリスの悲劇を繰り返さないことを願っています…
781: 名無しさん@読者の声:2011/8/16(火) 23:40:31 ID:2LBqDxJEo.
乙です!

最後バットエンドかなとも思ったけど
1さんはやってくれた…!

白兎ちゃんは私のもの
782: 名無しさん@読者の声:2011/8/16(火) 23:53:00 ID:ysGf.uj/cw

いやお疲れさま!

ヤマネちゃんは幸せそうなので俺はチェシャを引き取っていきますね
783:
◆AlicexxO96:2011/8/16(火) 23:56:27 ID:Guo50azY9o
これにてこのSSはお仕舞いです

2ヶ月と少しの間でしたが

最後まで付き合って下さった皆様
投票して下さった皆様
こんな素晴らしい場所を提供してくれた龍さん

本当にありがとうございました

実はSSは四作目でしたが、今作は少し違いますね

終わってから、もっと書けば良かったと後悔しております

自画自賛という訳では無いですが
書けば書く程、このSSが好きになってました

今までに無い不思議な感情が胸を締め付けており、若干気分が悪いですw

保管庫希望というお声がありますので、恐縮ですが保管庫依頼させて戴きます
784: 名無しさん@読者の声:2011/8/17(水) 01:09:02 ID:FeyAwDqf.U
果てしなく>>1乙!!!
感動の超大作杉だろ
チェシャはもろた
785: 名無しさん@読者の声:2011/8/17(水) 01:20:05 ID:o0/AMDcaH6
乙です!
作り込まれた設定
それとキャラが大好きでした。
良い作品を読ませていただきありがとうございました


最後に…
チェシャ猫は俺のもんだ!!
786: 名無しさん@読者の声:2011/8/17(水) 02:17:51 ID:i08DbqKPog
乙!
このスレを見るためだけにこのサイトに通ったようなもんですw稀に見る良作!
あとチェシャは俺んだからね
787: 名無しさん@読者の声:2011/8/17(水) 07:24:54 ID:PzqXievgaE
チェシャ猫人気杉てワロタww
あえての帽子屋貰ってくわ
788: 名無しさん@読者の声:2011/8/17(水) 10:10:25 ID:e/Z68U8bwI
よかった 本当に良かった
山鼠ちゃん幸せそうだし白兎ちゃん?もいるし不思議の国もまだあるみたい
原作ループの終わり方で凄い好み
今までのSSで一番好きだわ

自分はグリフォンさん一択ですけどね
789: 名無しさん@読者の声:2011/8/17(水) 10:25:48 ID:H1N4eX8Ckg
1さんお疲れ様!
本当に良かった!!ずっと読んでてよかった

山鼠ちゃんは男にとられてしまったか…
仕方ない!幸せならなによりだもの!!

ちなみに前に何のSS書いてたのかイヤじゃなかったら教えてください!
790: 名無しさん@読者の声:2011/8/17(水) 11:20:30 ID:WkEST1tCNs
元々アリス関係作品は大好きだから
気になって見たら…
すっかり引き込まれましたよ、はい
凄く面白かった!!
お疲れさまです!

そして狩人さんは頂く
791: 名無しさん@読者の声:2011/8/17(水) 14:17:08 ID:mU2kqLTL3A
もしかして1ってポケモンの作者だったりしない?
勘違いだったらもうしわけないけど

そんなことより本当にお疲れ様!!
感動したけどもうおしまいなんだと思ったら悲しいな
792: 名無しさん@読者の声:2011/8/17(水) 21:16:56 ID:e5hDOpUb/g
おつかれさま!おつかれさま!!(´;ω;`)
ずっと追っかけてました…素敵なSSをありがとうございました!
http://imepic.jp/20110817/764290
793:
◆AlicexxO96:2011/8/17(水) 22:42:58 ID:YROlhhOGxU
チェシャ猫の人気に嫉妬
あ、過去作はちょっと自分の口から言うのは控えます。ごめんなさいですm(_ _)m

>>792
きゃわあああぁ!!
開いて即保存余裕でした!
こちらこそ、こんな素晴らしい絵を描いていただき、本当にありがとうございます

こんなに沢山の方々が見てくれていたのかと思うとヤバいですね。本気で泣きそうです
何度御礼を言っても足りない位です

遂にこの酉ともお別れです
また新しいSSで皆様に会える事を楽しみにしています

それではおやすみなさい
794: 名無しさん@読者の声:2011/8/18(木) 00:06:02 ID:VkM8JXuatY
>>1おやすみぃ。
マジでこのSS漫画なりアニメなりにならんかなと切実に思う。
795: 名無しさん@読者の声:2011/8/18(木) 10:56:49 ID:wsubY9feZA
お疲れ様でした!最後まで面白かったです。
山鼠が幸せになれて良かった!
次回作も期待してます!

ドラゴンは頂いていくぜ。
796: 名無しさん@読者の声:2011/8/18(木) 14:08:34 ID:dbxu9sKrlc
お疲れさまでした!
女王様やチェシャ猫とか一人一人のキャラが濃いのに、それをちゃんと生かしてお話が出来ていて凄いなと思いました。

妹娘がどうなるのか…、続きが読みたくなるような、余韻が残る終わり方が良かったです。
映画見終わった後のあのかんじ!ほわあーって感じになれました。
良い作品をありがとうございました!
なんか文章おかしいですね、気にしないでー

とりあえず最初から読み返してきます!
797: 名無しさん@読者の声:2011/8/20(土) 00:20:46 ID:cKL2CjKK7o
あんまりにも綺麗に終わったから、もう更新ないのかと思うと凄い辛い
それぐらい好きだったよ1もこのSSも

おやすみなさい
素晴らしい作品、ありがとう
798: 真・スレッドストッパー:停止
停止しますた。ニヤリ・・・( ̄ー ̄)
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