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白兎「アリス! 私達のアリス!」
[8] -25 -50 

1:🎏 名無しさん:2011/6/9(木) 19:08:39 ID:Sk5yLArqZw
少女は走る 走る

その白い足は止まる事を知らない

その赤い目は風にぶつかり開け続けていられない

その長い耳は、たった一人の少女の声を捉えようとせわしく揺れる

腰にぶら下げた目覚まし時計の音は、その邪魔をする

辿り着いたのは、とある井戸

その向こうは、彼女の世界


704:🎏 名無しさん@不思議の国:2011/8/11(木) 07:29:39 ID:iNLuW6B7Vg
兎の少女は重い足取りで螺旋階段へ

ガラス戸を開くと、蜥蜴の男

白兎「……あ」

ビル「…白兎、無事だったんですか」

白兎「…あの、女王様は…」

ビル「…つい先程、息をひきとりました」

白兎「…あ…?」ヨロッ

山鼠「シロ!」

兎の少女はまた、その場にへたり込んでしまいました

ビル「…主を失ったこの城に、労働力はもはや必要ありません」

ビル「城の従者は全員ここを離れ、好きに暮らすように。勿論あなたも」

兎の耳にはもう蜥蜴の声など入っていません

小さくうずくまり、嗚咽をこらえているのか、体が震えています
705:🎏 名無しさん@不思議の国:2011/8/11(木) 19:47:45 ID:kKLv8s9J86
男「……」

山鼠「……」

二人には、かける言葉がありません

白兎「……なんで…なん、で…!」

白兎「…なんで、放っておいてくれなかったん、ですかぁ…!」

山鼠「…だってそりゃ!」

白兎「女王様が亡くなられたのに…私はここでどうしたらいいんですか……」

白兎「…アリスも見つけられない…女王様にも会えない」

白兎「私はこれから…何の為に…」
706:🎏 名無しさん@不思議の国:2011/8/11(木) 20:14:34 ID:FAT/SEDfLU
男「…その、あの」

男「…お前はアリスに、女王に固執しすぎだと、思うんだよ」

白兎「……」

男「…もうお前は自由なんだって」

男「これからは、俺や山鼠や、お前自身の為に生きれば……あ」

ふと少年の耳に届いた不協和音

ギリ…ギリ…と何かの軋むような

白兎「…きッ…いッ………ひィ…」ギリギリ

あぁ、これは兎の少女の歯軋りだったのか

まずい。今のこの子は、『まとも』じゃない。
707:🎏 名無しさん@不思議の国:2011/8/11(木) 21:00:31 ID:R0seOgtGOQ
山鼠「お…おい…!」

白兎「私の…私の大事な人が…生きる意味が全部無くなったのに…!」

男「……」

白兎「…今さら…それを全部捨てろと…!?
じゃあ私の今までは何だったんですか…!」

男「白兎…!」

白兎「…ふ、ざけないで…」

白兎「ふざけないでくださ………い?」バッ

勢い良く顔を上げた兎の少女

泣きはらして真っ赤っか

白兎「……あれ」
708:🎏 名無しさん@不思議の国:2011/8/11(木) 21:01:35 ID:FAT/SEDfLU
白兎「……あれ?」ゴシゴシ

白兎「……あれ……あれ?」

山鼠「…シロ?」

白兎「……や、山鼠…ちゃん…? 何処…?」カタカタ

山鼠「おい…お前…」


白兎「……目が…見えません…何も…」




アリスへの『視力』の献上が、たった今、終了しました。
709:🎏 名無しさん@読者の声:2011/8/11(木) 21:41:54 ID:IKjjjix3W.
白うさちゃん…

しえん
710:🎏 ◆AlicexxO96:2011/8/11(木) 23:44:19 ID:HpksKtXyz2
鯖落ちの影響で不定期更新だからなかなかレス返できませぬ
申し訳ない…

>>680
支援おおきにですわぁ

>>681>>682
正直日本語曖昧かもですw
広い心で受け入れてくださればw

>>683
最高の誉め言葉ktkr
ありがとうございます!

>>697
aがいっぱいでビックリしましたwww
確定事項ですか、ふむ…

>>698
山鼠ちゃん人気衰えないですね
ありがとうございますね!

>>699
はやくこっちに寄越すんだ!

>>700
キリ番レスおめでとうございます
次は777目指して…そこまでいくかしら…?

>>709
しえんありがたう!
711:🎏
◆AlicexxO96:2011/8/11(木) 23:49:17 ID:K4ESg4cJk.
さて、本日の更新はここまでです

えぇ、まだまだシリアスが続きます

ですがもうクライマックスなんでね!
最後まで見ていって下されば!

という事で

支援して下さってる方々、本当に力になっております
終わりも近いので改めてお礼を
ありがとうございます!

それではこの辺で
また明日の夜お会いしましょう
おやすみなさいませ
712:🎏 名無しさん@読者の声:2011/8/12(金) 00:11:17 ID:EI9.gqRaNU
そういう礼は、終わった時に言わないといけないぜ
(`・ω・)ゝC
713:🎏 名無しさん@読者の声:2011/8/12(金) 01:33:32 ID:iMSC8HMKaM
支援を申し込む!

   /⌒ヽ
`⊂[( ^ω^)
  / (⌒マ
 (⌒\ヘ」つ
  > _)、
  じ \_)\\\
      CCC
     CCCC (
         (⌒
      ⌒Y⌒


714:🎏 名無しさん@読者の声:2011/8/12(金) 14:29:43 ID:e/Z68U8bwI
えげつねぇお・・・
白兎ちゃん派の俺涙目
C
715:🎏 名無しさん@読者の声:2011/8/12(金) 21:08:26 ID:jS78wtrYmY
終わるのか…
いと寂し(´・ω・`)
716:🎏 名無しさん@不思議の国:2011/8/12(金) 21:44:50 ID:uz77L901sc
もう兎の目に、愛する人達は映りません

『精神的に衰弱したら献上の進行はどんどん早まるみたいでね』

もう兎の目に、光は届きません

『おちおち怯えてられないんだよ、ボク達は』

猫の言葉が少年の頭をぐるぐると回ります

白兎「…嫌だ…」

ぽつりと呟く

赤い目は虚ろに、誰も居ない方に向いています

山鼠「シロ…シロ!
大丈夫だからな!
ちゃんと俺も男も、お前の傍に居るから!」

白兎「…嘘…居ないじゃないですか…どこにも…」
717:🎏 名無しさん@不思議の国:2011/8/12(金) 22:03:49 ID:iNLuW6B7Vg
山鼠「…おい、お前も何か言ってやれ!」

男「……」

本当にかける言葉がない

だって、ここまでどうしようも無くなった人を、少年はまだ見た事が無かったから

そして、自分がかけた言葉が
兎をそこまで堕としてしまったように思えたから

これは夢だと、そう願うことしか少年にはできない

ですがここは、夢のような現実の世界

夢が現実になることがあっても
けしてその逆は無いのです
718:🎏 名無しさん@不思議の国:2011/8/12(金) 23:01:17 ID:HpksKtXyz2
山鼠「…どうだ、落ち着いて来たか?」

白兎「…少しは…はい」

きっと嘘だろう。でも、ずっとここにいる訳にもいかない

男「…とりあえず、下に降りようか」

白兎「…は、い」


転ばないように、鼠の少女が手を引いて進む

螺旋階段は少年がおぶって降りる

この住み慣れた城の中ですら
誰かの力を借りなければ歩くことも叶わない

白兎「…ご…めん…なさい…」ボソボソ

男「……ん」

山鼠「…気にすんなって」
719:🎏 名無しさん@不思議の国:2011/8/13(土) 07:29:36 ID:HpksKtXyz2
男「…これから、どうしようか」

山鼠「……あ?」

男「今日はこの城で泊まるとしてだ。
明日から白兎連れてとうするか…」

白兎「……」

山鼠「…んなもん明日決めればいいだろ」

男「そうかね。白兎大丈夫か、怖くないか?」

白兎「…えぇ…」

この城には、さっきまで沢山の人達が居たはずなのに

今では全く人の気配がしませんでした

門を守るトランプ兵も、城を掃除するメイドも、ビルも女王も
720:🎏 名無しさん@不思議の国:2011/8/13(土) 09:14:21 ID:0JTMROl5ps
男「……ここでいいか」

山鼠「お、ベッドが2つ」

男「…誰も居ないみたいだし、いいんじゃない」

山鼠「まだ夜まで時間あるぜ」

男「あぁうん、飯漁ってくるから
待っててくれよ」

男「白兎もここ最近何も食ってないんだろどうせ」

白兎「……え、あ、はい…」

男「……」

男「…じゃ」
721:🎏 名無しさん@読者の声:2011/8/13(土) 11:21:14 ID:l1GoSPKBsY
私怨
722:🎏 名無しさん@不思議の国:2011/8/13(土) 15:43:28 ID:R0seOgtGOQ
男「…飯…厨房かな…どこだっけか」

男「……本当に…!」

本当に誰も居ないな、と言おうとしたその時、目の前に人影が

壁にもたれかかった見覚えのある姿

男「…ビルさん?」

ビル「……おや」

男「…大丈夫ですか?」

ビル「…えぇ」

男「この城には人は必要ないと言うもんだから、どっかに行ったのかと…」

ビル「そう簡単に離れられる所ではございませんから、この城は」

ビル「…ここ以外に私の居場所なんて、ありませんし」

男「……」
723:🎏 名無しさん@不思議の国:2011/8/13(土) 16:11:21 ID:R0seOgtGOQ
ビル「どうかしましたか…?」

男「あ、城の食料をくすねに厨房を探してて」

ビル「……あの、私一応城の人間なんですが」

男「あ」

ビル「もの凄い自白ですね」

男「あ、わわ」

ビル「…まぁ別にもうこの城に主も盗みを咎める人もいませんし」

ビル「このまま真っ直ぐ、突き当たりで左ですよ」

男「…!」

ビル「どうぞ、いくらでも」

男「どうも!」
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