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白兎「アリス! 私達のアリス!」
[8] -25 -50 

1: 名無しさん:2011/6/9(木) 19:08:39 ID:Sk5yLArqZw
少女は走る 走る

その白い足は止まる事を知らない

その赤い目は風にぶつかり開け続けていられない

その長い耳は、たった一人の少女の声を捉えようとせわしく揺れる

腰にぶら下げた目覚まし時計の音は、その邪魔をする

辿り着いたのは、とある井戸

その向こうは、彼女の世界


700: 名無しさん@読者の声:2011/8/10(水) 18:46:46 ID:uTNFzdRYy2
700げとおおおおおおお!!
701: 名無しさん@不思議の国:2011/8/11(木) 06:32:49 ID:HpksKtXyz2
チェシャ「……ただいま」フッ

男「!!」

山鼠「シロは!?」

チェシャ「…ほら、受け取んな」ポイッ

山鼠「っとぉ!」ガシッ

男「…あ、ありがと!本当にありがとう!」

チェシャ「……」

チェシャ「…あぁ、君達の役に立てて嬉しいよ」ニンマリ

チェシャ「…流石に…もう疲れたや…」フッ
702: 名無しさん@不思議の国:2011/8/11(木) 06:42:19 ID:K4ESg4cJk.
山鼠「…消えた」

男「白兎は?」

山鼠「寝てる…」

男「叩き起こすぞ、女王の所まで急いで……」


ボーンボーンと鳩尾に響くような12回の重い重い音

城の頂上に取り付けられた巨大な時計が12時を示す音

何故かその時不思議の国はとても静かで

その音は国中に響き渡っているようでした

それと同時に、兎の少女は目を覚ましました
703: 名無しさん@不思議の国:2011/8/11(木) 06:52:00 ID:kG2XMrY8s6
白兎「…ぅ…あ」

山鼠「シロ!」

白兎「…山鼠ちゃん、ですか?」

男「……」

白兎「…そう、ですか
私は、不思議の国に…」

白兎「…なんで…なんでっ…!」

男「…女王に、会いに行かなくていいのか?」

白兎「……行きます」スッ

山鼠「お、おい…無理すんなよ…?」

白兎「あ、はは…大丈夫ですよ…」フラフラ
704: 名無しさん@不思議の国:2011/8/11(木) 07:29:39 ID:iNLuW6B7Vg
兎の少女は重い足取りで螺旋階段へ

ガラス戸を開くと、蜥蜴の男

白兎「……あ」

ビル「…白兎、無事だったんですか」

白兎「…あの、女王様は…」

ビル「…つい先程、息をひきとりました」

白兎「…あ…?」ヨロッ

山鼠「シロ!」

兎の少女はまた、その場にへたり込んでしまいました

ビル「…主を失ったこの城に、労働力はもはや必要ありません」

ビル「城の従者は全員ここを離れ、好きに暮らすように。勿論あなたも」

兎の耳にはもう蜥蜴の声など入っていません

小さくうずくまり、嗚咽をこらえているのか、体が震えています
705: 名無しさん@不思議の国:2011/8/11(木) 19:47:45 ID:kKLv8s9J86
男「……」

山鼠「……」

二人には、かける言葉がありません

白兎「……なんで…なん、で…!」

白兎「…なんで、放っておいてくれなかったん、ですかぁ…!」

山鼠「…だってそりゃ!」

白兎「女王様が亡くなられたのに…私はここでどうしたらいいんですか……」

白兎「…アリスも見つけられない…女王様にも会えない」

白兎「私はこれから…何の為に…」
706: 名無しさん@不思議の国:2011/8/11(木) 20:14:34 ID:FAT/SEDfLU
男「…その、あの」

男「…お前はアリスに、女王に固執しすぎだと、思うんだよ」

白兎「……」

男「…もうお前は自由なんだって」

男「これからは、俺や山鼠や、お前自身の為に生きれば……あ」

ふと少年の耳に届いた不協和音

ギリ…ギリ…と何かの軋むような

白兎「…きッ…いッ………ひィ…」ギリギリ

あぁ、これは兎の少女の歯軋りだったのか

まずい。今のこの子は、『まとも』じゃない。
707: 名無しさん@不思議の国:2011/8/11(木) 21:00:31 ID:R0seOgtGOQ
山鼠「お…おい…!」

白兎「私の…私の大事な人が…生きる意味が全部無くなったのに…!」

男「……」

白兎「…今さら…それを全部捨てろと…!?
じゃあ私の今までは何だったんですか…!」

男「白兎…!」

白兎「…ふ、ざけないで…」

白兎「ふざけないでくださ………い?」バッ

勢い良く顔を上げた兎の少女

泣きはらして真っ赤っか

白兎「……あれ」
708: 名無しさん@不思議の国:2011/8/11(木) 21:01:35 ID:FAT/SEDfLU
白兎「……あれ?」ゴシゴシ

白兎「……あれ……あれ?」

山鼠「…シロ?」

白兎「……や、山鼠…ちゃん…? 何処…?」カタカタ

山鼠「おい…お前…」


白兎「……目が…見えません…何も…」




アリスへの『視力』の献上が、たった今、終了しました。
709: 名無しさん@読者の声:2011/8/11(木) 21:41:54 ID:IKjjjix3W.
白うさちゃん…

しえん
710: ◆AlicexxO96:2011/8/11(木) 23:44:19 ID:HpksKtXyz2
鯖落ちの影響で不定期更新だからなかなかレス返できませぬ
申し訳ない…

>>680
支援おおきにですわぁ

>>681>>682
正直日本語曖昧かもですw
広い心で受け入れてくださればw

>>683
最高の誉め言葉ktkr
ありがとうございます!

>>697
aがいっぱいでビックリしましたwww
確定事項ですか、ふむ…

>>698
山鼠ちゃん人気衰えないですね
ありがとうございますね!

>>699
はやくこっちに寄越すんだ!

>>700
キリ番レスおめでとうございます
次は777目指して…そこまでいくかしら…?

>>709
しえんありがたう!
711:
◆AlicexxO96:2011/8/11(木) 23:49:17 ID:K4ESg4cJk.
さて、本日の更新はここまでです

えぇ、まだまだシリアスが続きます

ですがもうクライマックスなんでね!
最後まで見ていって下されば!

という事で

支援して下さってる方々、本当に力になっております
終わりも近いので改めてお礼を
ありがとうございます!

それではこの辺で
また明日の夜お会いしましょう
おやすみなさいませ
712: 名無しさん@読者の声:2011/8/12(金) 00:11:17 ID:EI9.gqRaNU
そういう礼は、終わった時に言わないといけないぜ
(`・ω・)ゝC
713: 名無しさん@読者の声:2011/8/12(金) 01:33:32 ID:iMSC8HMKaM
支援を申し込む!

   /⌒ヽ
`⊂[( ^ω^)
  / (⌒マ
 (⌒\ヘ」つ
  > _)、
  じ \_)\\\
      CCC
     CCCC (
         (⌒
      ⌒Y⌒


714: 名無しさん@読者の声:2011/8/12(金) 14:29:43 ID:e/Z68U8bwI
えげつねぇお・・・
白兎ちゃん派の俺涙目
C
715: 名無しさん@読者の声:2011/8/12(金) 21:08:26 ID:jS78wtrYmY
終わるのか…
いと寂し(´・ω・`)
716: 名無しさん@不思議の国:2011/8/12(金) 21:44:50 ID:uz77L901sc
もう兎の目に、愛する人達は映りません

『精神的に衰弱したら献上の進行はどんどん早まるみたいでね』

もう兎の目に、光は届きません

『おちおち怯えてられないんだよ、ボク達は』

猫の言葉が少年の頭をぐるぐると回ります

白兎「…嫌だ…」

ぽつりと呟く

赤い目は虚ろに、誰も居ない方に向いています

山鼠「シロ…シロ!
大丈夫だからな!
ちゃんと俺も男も、お前の傍に居るから!」

白兎「…嘘…居ないじゃないですか…どこにも…」
717: 名無しさん@不思議の国:2011/8/12(金) 22:03:49 ID:iNLuW6B7Vg
山鼠「…おい、お前も何か言ってやれ!」

男「……」

本当にかける言葉がない

だって、ここまでどうしようも無くなった人を、少年はまだ見た事が無かったから

そして、自分がかけた言葉が
兎をそこまで堕としてしまったように思えたから

これは夢だと、そう願うことしか少年にはできない

ですがここは、夢のような現実の世界

夢が現実になることがあっても
けしてその逆は無いのです
718: 名無しさん@不思議の国:2011/8/12(金) 23:01:17 ID:HpksKtXyz2
山鼠「…どうだ、落ち着いて来たか?」

白兎「…少しは…はい」

きっと嘘だろう。でも、ずっとここにいる訳にもいかない

男「…とりあえず、下に降りようか」

白兎「…は、い」


転ばないように、鼠の少女が手を引いて進む

螺旋階段は少年がおぶって降りる

この住み慣れた城の中ですら
誰かの力を借りなければ歩くことも叶わない

白兎「…ご…めん…なさい…」ボソボソ

男「……ん」

山鼠「…気にすんなって」
719: 名無しさん@不思議の国:2011/8/13(土) 07:29:36 ID:HpksKtXyz2
男「…これから、どうしようか」

山鼠「……あ?」

男「今日はこの城で泊まるとしてだ。
明日から白兎連れてとうするか…」

白兎「……」

山鼠「…んなもん明日決めればいいだろ」

男「そうかね。白兎大丈夫か、怖くないか?」

白兎「…えぇ…」

この城には、さっきまで沢山の人達が居たはずなのに

今では全く人の気配がしませんでした

門を守るトランプ兵も、城を掃除するメイドも、ビルも女王も
273.62 KBytes

名前:
sage:


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