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白兎「アリス! 私達のアリス!」
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1: 名無しさん:2011/6/9(木) 19:08:39 ID:Sk5yLArqZw
少女は走る 走る

その白い足は止まる事を知らない

その赤い目は風にぶつかり開け続けていられない

その長い耳は、たった一人の少女の声を捉えようとせわしく揺れる

腰にぶら下げた目覚まし時計の音は、その邪魔をする

辿り着いたのは、とある井戸

その向こうは、彼女の世界


680: 名無しさん@読者の声:2011/8/9(火) 07:43:16 ID:c3ZJLwW.N2
wktk支援
681: 名無しさん@読者の声:2011/8/9(火) 10:27:17 ID:YhtXNBoNxw
…分かりかねません??

分かりかねます
682: 681:2011/8/9(火) 10:28:43 ID:YhtXNBoNxw
>>681無視してオーケー

しえん
683: 名無しさん@読者の声:2011/8/9(火) 11:48:18 ID:uv/VVvGb2Y
こんな良いSS久しぶりだ

頑張って1さん!支援支援!!
684: 名無しさん@不思議の国:2011/8/9(火) 14:59:27 ID:FAT/SEDfLU
全速力で城の螺旋階段を駆け上がります

息も絶え絶えに、二段飛ばしで最上階を目指します

見出した光明。最後の賭け。

ガラス戸を思い切り開け、彼女の名を呼ぶ

男「チェシャ猫!!」

チェシャ「はいはい、お呼びかな?」

猫はその緊迫した心持ちをお釈迦にするように

道化のように天井から逆さにぶら下がりながら、少年の声に応じました
685: 名無しさん@不思議の国:2011/8/9(火) 22:11:10 ID:K4ESg4cJk.
チェシャ「なる程ね、それでボクに白羽の矢が立ったってことかい」

男「…あぁ」

チェシャ「言ったよねボクは
人間界に存在できるのは長くても5分程度」

チェシャ「それを超えたらボクは完全に死んじまう、消えちまうんだぜ」

男「…でも、もうお前しか」

チェシャ「白兎ちゃんが助かれば、ボクのことなんてどうでもいいんだ?」

男「……そうは言ってない」

チェシャ「そう受け取らざるを得ないんだよ、ボクの立場からしたらさ」
686: 名無しさん@不思議の国:2011/8/9(火) 22:44:11 ID:iNLuW6B7Vg
男「勿論チェシャ猫の体を優先して、その上でだ」

チェシャ「そんな甘ったるい事言うなよ」

チェシャ「白兎ちゃんはきっと覚悟の上の行動だ
ボクが説得した所で今更改心するとは到底思えない」

チェシャ「説得に失敗したら二人ともおじゃんだぜ
それでもボクを行かせるのか?」

男「…それでも、俺はチェシャ猫を信じてる」

チェシャ「……君は狡いねぇ」
687: 名無しさん@不思議の国:2011/8/10(水) 07:15:27 ID:uz77L901sc
山鼠「は、はえぇよ馬鹿野郎!」バンッ

男「山鼠…」

山鼠「ハァ…ハァ…走らせ、やが…」ゼェハァ

山鼠「……あ!」

チェシャ「……」

鼠の少女は猫を見て、だいたいの状況を掴めたようです

山鼠「その…俺からも、頼む…!」

チェシャ「……」

山鼠「お前しかいねえんだよ…
シロがあっちに行く時、俺何も言えてねぇんだよ…」

山鼠「…あんな馬鹿でも大事な友達なんだよ!」

チェシャ「……」
688: 名無しさん@不思議の国:2011/8/10(水) 07:23:29 ID:YROlhhOGxU
山鼠「…頼むよ…頼むから…」

チェシャ「顔を上げろよ山鼠ちゃん」

チェシャ「…そこまで言われちゃあ助けに行かなきゃね」フリフリ

男「!」

山鼠「ホントか!?」

チェシャ「嘘はつかないさ
でもいざという時は自分を優先させてもらうよ、それでいいんなら」

山鼠「あ、ありがとう!」

チェシャ「いい笑顔だね、こっちも嬉しくなってくるよ」ニンマリ
689: 名無しさん@不思議の国:2011/8/10(水) 07:33:49 ID:YROlhhOGxU
男「い、いのか?」

チェシャ「いいも何もそれを聞いた初めから、助けにいくつもりさ
大事な不思議の国の友達だからね」フリフリ

男「…ごめん」

チェシャ「…君は卑怯だよ。自己中心的で他力本願だ」

男「……」

チェシャ「でもね、ボクは誰かに必要として貰える事が凄く嬉しい」

チェシャ「利害の一致って奴さ
さぁ時間もギリギリになって来たようだからね」

チェシャ「ちょっくら行ってくるよ」フリフリ

男「…ありがとう」

チェシャ「なぁに、すぐに帰ってくるから安心して待ってな」フッ
690: 名無しさん@不思議の国:2011/8/10(水) 07:39:46 ID:Guo50azY9o


猫は不思議の国において、いわば道化です

道化は誰かを笑わせる為に

どれほど苦しくても悲しくとも常に笑顔を絶やさずに


チェシャ「……嘘だろ」

チェシャ「…ひひ…こんなに体力削られるかね…」

チェシャ「…ハァ…ハァ…三分も保たないぞこれは…」

目の前には力尽き、走るのを止めた兎の少女
691: 名無しさん@不思議の国:2011/8/10(水) 08:12:23 ID:0JTMROl5ps
チェシャ「…やぁ白兎ちゃん…約束の時間くらい、キッチリ守らなきゃダメだろ?」

白兎「……」ピクッ

白兎「…その声は、チェシャ猫でしょうか」

チェシャ「…その声はって事は、やっぱり目は…ほとんど見えてないのかな?」

白兎「…ぼんやりと見えてます、アリスの声さえ聞ければ捜索は可能ですから」

チェシャ「まだ…アリスの捜索続ける気かよ…」

白兎「…当然です」

チェシャ「…面倒臭いね、ホント」ニンマリ
692: 名無しさん@不思議の国:2011/8/10(水) 08:28:28 ID:eDhl4PA.B6
白兎「…どういったご用件で、次元を超えてまでいらっしゃったのですか?」

チェシャ「…とりあえずそんな皮肉を聞きにきたんじゃないぜ…」

白兎「…私を連れ戻しに来た、と?」

チェシャ「あぁそうだよ…もう女王の魔法もきれるからね…」

白兎「……」

チェシャ「…ビルの奴は、君が女王を看取れるよう、時間を決めてくれたのにね…」

チェシャ「それをみすみすフイにして…
女王の事、大事なんじゃ無かったのかい…?」

白兎「…分かりきった事言わないでください」ジリッ
693: 名無しさん@不思議の国:2011/8/10(水) 08:37:21 ID:FAT/SEDfLU
チェシャ「…なら、これが最後のチャンスだ、今なら間に合うかもしれない…
…不思議の国に、帰るよ」

白兎「…余計なお世話ですよ」

チェシャ「……」

白兎「…大事な人に決まっているじゃないですか!」

白兎「女王様は大事なお方ですよ!
でも…でも、それよりも不思議の国にはアリスが大事、それこそ私が命を擲っても足りないくらい…!」

チェシャ「……」

白兎「…男さんと山鼠ちゃんに『付き合わせてすみませんでした』って、伝えておいて下さい……」

白兎「私はもう、帰りません…」
694: 名無しさん@不思議の国:2011/8/10(水) 08:53:58 ID:R0seOgtGOQ
チェシャ「……しょうがないね、そこまで言うなら…」

白兎「……」

この時初めて、道化の顔から笑みが消えました

チェシャ「……ボクは力ずくで連れて帰らなきゃいけない」

白兎「…出来るものなら」

白兎「何でか知りませんけど、今にもあなたが倒れそうじゃないですか」

チェシャ「……嘗めんな」フッ

猫の姿が消えた。

そう認識できたすぐ、兎の少女の意識は完全に途切れてしまいました
695: 名無しさん@不思議の国:2011/8/10(水) 08:58:08 ID:FAT/SEDfLU
チェシャ「…あーあ、どうしてこうなっちゃうかな」

チェシャ「…また、嫌われちゃうかな」

人間界はもう夜
行き交う人々、街頭に集る虫共、夜空を駆ける鳥達

誰も猫と兎に気づかない

そして猫は兎を連れて、笑みだけを残してそこから消え失せた
696: 名無しさん@不思議の国:2011/8/10(水) 09:11:19 ID:kKLv8s9J86
女王「……」

ビル「…もう、時間ですか」

女王「…ごめんなさい、ごめんなさいね…」

ビル「…最後のお茶ですよ、どうぞ」

女王「…ありがとう」

女王「……ちゃんと、女王としての使命、果たせていたかしら
…不思議の国のみんなに、何かを残すことが出来たのかしらね」

ビル「…えぇ、きっと」

女王「…なら、良かったわ
ビル、もっとそばに」

ビル「…もう、逝かれますか」スッ

女王「…あなたって、本当に、暖かいのね」

ビル「……私には体温などありませんよ」

女王「ふふ、心が暖かいのよ、そういう事に、しておきなさい…」
697: 名無しさん@読者の声:2011/8/10(水) 13:20:07 ID:e/Z68U8bwI
aaaaaaaaaaaaaaa
辛い辛い白兎ちゃんこれ間に合うのか

てかチェシャはもうおれの嫁な
これもう確定事項だから
sien
698: 名無しさん@読者の声:2011/8/10(水) 14:24:53 ID:PJNU6MCRko
なら山鼠は私にくださいな

続きが気になるよ〜(o゚∇゚)
支援!
699: 名無しさん@読者の声:2011/8/10(水) 15:07:53 ID:xHF2NwVH4U
なら、妾は男を
C
Щ(゚∀゚)<欲しい?
273.62 KBytes

名前:
sage:


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