少女は走る 走る
その白い足は止まる事を知らない
その赤い目は風にぶつかり開け続けていられない
その長い耳は、たった一人の少女の声を捉えようとせわしく揺れる
腰にぶら下げた目覚まし時計の音は、その邪魔をする
辿り着いたのは、とある井戸
その向こうは、彼女の世界
585: 名無しさん:2011/7/30(土) 22:45:58 ID:IvjfUba.8M
男「……」
ビル「…やはりここでしたか」ヒタッ
男「…ヒヴッ!!冷たッ!!」ビクッ
ビル「おっと失礼
私、『体温』を献上しているものですから…」
男「いいいいつからそこに!?」
ビル「先程からずっと…」
山鼠「俺をほったらかしたぁ良い度胸してるな」ギュム
男「山鼠さんはどっちの味方なんすか」
山鼠「裏切った方の敵だ」ギュムムー
586: 名無しさん:2011/7/30(土) 22:56:17 ID:WeYS042/lU
女王「あらあら外が騒がしいわね…」
白兎「…私の…グスッ…連れの方々です…」
女王「まぁ!あなたに付いて来てくれた方々?
お礼を言わなくてはね…」
女王「ビル、いるのでしょ?
白兎ちゃんのお連れ様方、通してあげて頂戴?」
ビル「……畏まりました」スッ
男「えっと…その、はじめまして」
山鼠「あ、は、はじめまし……え?」ピクッ
女王「あら、やっぱり驚くわよね
初めて私を見た方は」
587: 名無しさん:2011/7/30(土) 23:31:54 ID:1b/AplOPAI
女王「こんな醜い姿を晒して、ごめんなさいね?」
女王「私がハートの女王です
白兎ちゃんの旅のお手伝いをしていただいたんですってね」
男「や…お手伝いって程でも…」
女王「謙遜なさらないで
本当にありがとうございます」
醜い汚物の上の部分が、お辞儀をしたように揺れました
男「女王様は…」
ビル「体です」
男「……え?」
ビル「人間としての体を献上なさっているのです」
588: 名無しさん:2011/7/30(土) 23:36:01 ID:ysb6.g3LQE
ビルが歪アリのビルに脳内変換されてしまうorz
しえんー
589: 名無しさん:2011/7/31(日) 00:05:50 ID:aGxAC4ldgA
重い…C
590: 名無しさん:2011/7/31(日) 10:14:07 ID:IQmVNaxnrM
>>558
ナカーマ
>>1ってもしかしてPeople好きだったり?
591: ◆AlicexxO96:2011/7/31(日) 21:26:07 ID:WeYS042/lU
>>570
おぉう…チェシャ人気凄い…
期待に応えられるよう頑張ります!
>>581
現実はそう甘くは無いのです…
Cありがとうです!
>>588
えへ…結構影響受けてるかもですわぁw
>>589
そですね
やっぱり少し重い流れが続いていきます
>>590
バレたwww
その通りですこのSSもあのバンドから影響受けて書き始めましたからw
オッシャー今日も更新イキマスヨー!
592: 名無しさん:2011/7/31(日) 21:34:05 ID:IjDuDJDKyo
男「人間としての体……?」
女王「あなたには、私の姿がどう映ってるのかしら」
女王「やっぱり醜い?
汚らしくて触れたくも、近寄りたくもない?」グジュ
癒やされるような落ち着いた声で、女王は尋ねます
ただ、返答次第では許さないと言わんばかりの目線を兎と蜥蜴から感じ、
男「……」
少年は言葉が出てきませんでした
593: 名無しさん:2011/7/31(日) 21:49:53 ID:JZ308n9LZ6
女王「そうよね…初対面の相手に面と向かって言える訳も無いわよね」
女王「優しいのね、あなたは」
男「……」
女王「あなたは?」
山鼠「…!」ピクッ
女王「思った事を率直に教えて?」
山鼠「……あ」
先程まで自分に突き刺さっていた目線が隣の少女に移ったのが分かりました
山鼠「…え、あ」
594: 名無しさん:2011/7/31(日) 21:56:10 ID:t57GnFDOYg
山鼠「…ご」
山鼠「ごめんなさい…!
その、怖かった…です…」
ビル「……」ピクッ
山鼠「怖かったし、元々人間だったなんて嘘だと思った…」
白兎「……山鼠ちゃん?」
怒気を孕んだ兎の少女の声
女王「……白兎ちゃん、待って?」
白兎「!……」
山鼠「でも、それがアリスの為になってるん、ですよ、ね?」
女王「……えぇ」
山鼠「だったらそれは、凄い…その、凄いと思う…」
595: 名無しさん:2011/7/31(日) 22:04:16 ID:1b/AplOPAI
山鼠「俺は、尊敬するな…女王様を…」
女王「…フフッ」
女王はおぞましい姿に似つかない程、可愛く笑いました
正しくは、笑ったように見えました
女王「あなたは正直者ね」
山鼠「あ、ご、めんなさい…」
女王「責めてなどいないわ
それは誇るべき事よ?」
女王「二人共、本当にありがとうね
あなた達が居なければ、白兎ちゃんはこんなに早く帰って来れなかったでしょう」
596: 名無しさん:2011/7/31(日) 22:10:22 ID:1b/AplOPAI
男「……?」
女王「どうかしました…?」
男「さっき、帰還が遅かったと聞いたんですが」
女王「……そうね、それも含めてあなた達に伝えないといけないことがあります」
山鼠「……」
女王「私はただの人間ではありません
魔法使い…魔女の類いなんですよ」
男「……」
597: 名無しさん:2011/7/31(日) 22:25:11 ID:B4pYf22bqU
女王「私は魔法で不思議の国と人間界を繋ぐことが出来ます」
女王「アリスの捜索の為、使いの者を送り込みました」
女王「御存知の通り、白兎ちゃんもその一人」
白兎「……」
女王「ただ、私もこの体になるにつれ、魔力が減って来ているんです」
女王「もちろんあなた達は出来る限りの早さでこの城に戻って来てくれた」
女王「でもね、今私に残された魔力は殆ど無いの
人間界に送り込めるとしたら、一人まで…」
598: 名無しさん:2011/7/31(日) 22:38:37 ID:IvjfUba.8M
白兎「男さん…」
男「はい」
白兎「私に、任せてくれませんか…?」
男「どうぞ?」
白兎「ですよね…流石にそう簡単に許して貰えるとは……は?」
男「何?」
白兎「いや、よく考えて下さいよ?もしかしたらこれが人間界に帰る最後の機会で…」
男「だってどっちにしろ『死』を献上しっぱなしなんだろ…?」
白兎「そ、れはそうですが…」
599: 名無しさん:2011/7/31(日) 22:44:22 ID:1e0RqNmnOw
男「今更気にして無いよ、山鼠も俺も」
男「アリスを見つけて来いよ、俺達は待ってるから」
白兎「いいんですか…?」
男「いいも何も、行くのが面倒なだけだから
勘違いすんなよ」
山鼠「ツンデレか」
男「違わい」
白兎「…分かりました」
白兎「女王様。また私を、お願いします」
女王「……本当に、いい友人を持ったわねぇ」
白兎「はい!」
600: 名無しさん:2011/8/1(月) 01:55:38 ID:AL.F8lOUVY
3位おめでとうございます!!
いつも読んでます!!
これからも頑張ってください!
601: ◆AlicexxO96:2011/8/1(月) 12:04:58 ID:FAT/SEDfLU
えー、えっとおはようございます
何というか、何でしょう……何これ??と言う状態です
>>600さんのレス見て驚き、掲示板の上見て驚き、人気投票本スレで驚いておりましたwww
ポルナレフもびっくりです
うわー!!嬉しいです!!うへー!!
投票本スレでもありがたい言葉を貰っているのですが
なんというか本スレに顔出すのは恥ずかしいので、ここで言わせていただきます
本当にありがとうございますっ!!
>>600さんもありがとう!あとキリ番レスおめでとうです!
次は一位!……は無理かなーw
順位とか関係なく、皆さんに楽しんでいただけるよう頑張りますの!
602: 名無しさん:2011/8/1(月) 12:11:29 ID:R0seOgtGOQ
ビル「まだスープが残っておりますが…」
男「…いや、うん」
女王を見た途端、食欲など失せた、とは言えずにお茶を濁します
ビル「…分かりました
下げておきます」スッ
男「…山鼠」
山鼠「なに?」
男「ごめんな」
山鼠「何が」
男「よくよく考えたら、お前を無理矢理連れ出したの俺だったから」
山鼠「んなこと気にしてねぇよ
そう言ったのもお前だろうが」
山鼠「…ついて来て良かったって、思ってるよ色々と」
男「……」
603: 名無しさん:2011/8/1(月) 12:19:36 ID:uz77L901sc
メイド「あ、の…」コソ
男「あ、え?」
メイド「すいません、その…今からこの部屋を掃除…」コソコソ
男「あ、はいはい」スッ
男「山鼠、どくよ」
山鼠「へいへい」スッ
メイド「す、すみません…」
男「さ、追い出された訳だけど」
山鼠「シロの姿が見えねーが」
男「あいつは人間界に行く準備中らしい」
山鼠「今日から行くのか?」
白兎「えぇもちろん!一分一秒も無駄には出来ませんから!」
男「どっから湧いた」
604: 名無しさん:2011/8/1(月) 12:25:07 ID:R0seOgtGOQ
山鼠「結構な荷物だな」
男「もう準備は終わったの?」
白兎「万端です!女王様のお部屋、行きますよ!」
山鼠「あんまり急ぐとこけるぞ」
白兎「へぶっ!」ベチャ
山鼠「ほら見ろ」
男「婆ちゃん家に向かってた山鼠みたい」
山鼠「俺はあんなにまぬけじゃない」
ビル「……陛下」
女王「…大丈夫よ、大丈夫」
ビル「…もって、どの位ですか」
女王「……3日ね」グジュグジュ
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