少女は走る 走る
その白い足は止まる事を知らない
その赤い目は風にぶつかり開け続けていられない
その長い耳は、たった一人の少女の声を捉えようとせわしく揺れる
腰にぶら下げた目覚まし時計の音は、その邪魔をする
辿り着いたのは、とある井戸
その向こうは、彼女の世界
571: 名無しさん:2011/7/29(金) 23:41:07 ID:WeYS042/lU
男「なんか凄いな…」
山鼠「五月蝿いだけだろこんなの
頭ガンガンする…」
白兎「ふっふー♪」
男「嬉しそうにしちゃって」
白兎「いやぁやっと帰って来ましたよ!長い旅でした!」ピコピコ
男「そっすね」
山鼠「あー…だる…」
トランプ兵のオーケストラは、城の大扉まで続いていました
572: 名無しさん:2011/7/30(土) 00:23:01 ID:WeYS042/lU
ギシギシと音を立て、ハート模様の大きな大きな扉が開いていきます
中央に、二階へ上がるこれもまた大きな階段が
白兎「女王様は?」
トランプ「」フルフル
白兎「…面会は、出来ますかね?」
トランプ「」コクコク
白兎「了解しました
ビルはどちらに…」
?「お呼びですか?」
男「ぅおっ!」ビクッ
山鼠「ひっ!」ビクッ
573: 名無しさん:2011/7/30(土) 00:31:31 ID:zY8aT7nkmQ
白兎「驚き過ぎですよ二人共」
男「気配無かったけど」
白兎「蜥蜴ですから」
男「どんな理由だよ…蜥蜴?」
ビルと呼ばれた、暗い緑の執事服を着た男性は
それはそれは落ち着いた声で話しかけて来ました
ビル「驚かせたようで申し訳ありません」
ビル「私は蜥蜴のビル
女王陛下直轄、執事担当。以後お見知りおきを」
574: 名無しさん:2011/7/30(土) 00:49:53 ID:bskeXDFV8Q
ビル「それで、何か御用でしたか?」
白兎「ビル、女王様にお会いしたいのですが」
ビル「……」
ビル「…白兎、あなただけなら可能ですが
こちらの方々も一緒となると…」
白兎「…何故です?」
山鼠「おぉ、シロが真面目に仕事してるっぽい」
男「なんか微笑ましいな」
白兎「ち、茶化すの止めてくださいよっ!」
575: 名無しさん:2011/7/30(土) 00:56:03 ID:B4pYf22bqU
ビル「とりあえずそちらの二人は私が」
ビル「あなたは一度女王陛下に会ってから、事の次第を決めて下さい…」
白兎「……分かりました」
白兎「という訳です二人共!」
山鼠「へぇ城の中はこんなになってんだ」
男「シャンデリアや!セレブリティや!」
白兎「って聞いてない!」ズコー
山鼠「何だよこのベッタベタな茶番」
男「お前も参加してたろうが」
白兎「私が一番滑った気がしますが…」
576: 名無しさん:2011/7/30(土) 08:50:10 ID:WeYS042/lU
ビル「では、二階をお上がり下さい
長旅でお疲れでしょう…」
ビル「お食事の方、準備しておりますので」
男「あ、はぁ…」
山鼠「…女王の所行かなくていいのか?
そのために俺を連れ出したんじゃねぇの」
ビル「……まず、白兎と陛下を会わせてからです」
白兎「山鼠ちゃんも男さんも、自分の家だと思ってゆっくりしてて下さい」
白兎「すぐ、戻って来ますんで」タッ
山鼠「……」
ビル「では、こちらへ」
577: 名無しさん:2011/7/30(土) 09:21:11 ID:SBxlnoh5O6
白兎「……」スタスタ
メイド「あ、白兎様!」
白兎「…女王様に挨拶したいのですが」
メイド「あ…今なら、大丈夫だと思いますよ」
白兎「ありがとうございます」タッタッ
女王「……」
女王「…慌ただしい足音ね」
メイド「あ、す、すみませんすぐに静かに…」
女王「いいわ、多分白兎ちゃんだもの」
女王「…こんな姿を見て、泣き出したりしないかしら?」
メイド「…そ、れは…」
女王「…きっと平気ね。あの子は強い子ですもの」グジュ
578: 名無しさん:2011/7/30(土) 09:30:31 ID:JZ308n9LZ6
山鼠「…ん、旨い」
ビル「それはそれは」
男「でも、なんか冷えてない?」
ビル「あぁそれは、元々あなた方が城に来る予定だった日に、作られたものでしたから」
男「え゙…」
ビル「いかがなさいました?」
山鼠「どういうことだよ」
ビル「いかんせん、帰還が少し遅かったのですよ。あなた方は…」
男「いや作り直そうよ」
山鼠「多分つっこむ所はそこじゃねぇ」
579: 名無しさん:2011/7/30(土) 09:41:02 ID:IvjfUba.8M
白兎「女王様!」バンッ
メイド「し、白兎様、お静かに…」
白兎「あ、す、すみません!」
女王「いいのよ気にしないで
子供は元気な方がいいわ」
メイド「女王様も安静にお願いしますよ…?」
女王「えぇ分かってます
ベッドカーテンを開けて頂戴?」
メイド「……」スッ
白兎「! 女王、さ…ま……」
兎の少女は、久しぶりの再会だと言うのに
ただただ、絶句してしまいました
580: 名無しさん:2011/7/30(土) 09:58:36 ID:jox2lqGdgw
男「…遅かった?」
ビル「えぇ。別にあなた方を責めている訳では御座いませんが」
山鼠「遅かったから、どうなるんだよ」
ビル「…あなた方が白兎に付いて来た意味が無くなりましたね」
男「?」
女王「あぁもぅ…結局泣いちゃったわね…」ナデナデ
白兎「ヴグ…グスッ…」
女王「ほら泣かないで
あなたは笑った方が可愛いのですから」
白兎「…って…グスッ…だってぇ…」
581: 名無しさん:2011/7/30(土) 10:04:27 ID:ubF3nJvw/6
白兎と女王の感動的な再会…
と思ったら何だか雲行きがwww
壁|ω・)/C
582: 名無しさん:2011/7/30(土) 22:16:54 ID:zY8aT7nkmQ
男「…トイレ行ってくる」
ビル「…案内致しましょう」
男「や、良いよ。すぐ戻ってくる」タッ
ビル「……」
山鼠「……」
ビル「……女王様の元に行く気ですね」
山鼠「バレバレじゃねぇか」
583: 名無しさん:2011/7/30(土) 22:24:50 ID:IvjfUba.8M
女王「ね?何もあなたが全て悪い訳ではないわ」
白兎「……」グズッ
女王「誰も恨んでなんかいない
寧ろ私の誇りよ」
女王「私の献上がアリスの為になっているのならば、それはそれは嬉しい事
そうでしょう?」
白兎「…は…い」ズビッ
女王「ならもう泣かないの
そんな顔でアリスに会うつもりなのかしら…?」
白兎「…ぅ…う」ゴシゴシ
584: 名無しさん:2011/7/30(土) 22:34:47 ID:B4pYf22bqU
男「……」
少年は扉に隠れて二人を眺めていました
正確には、人と数えられるものは一人。兎の少女しかいませんでした
彼女が寄り添う『それ』は恐らく皆が女王と慕っているものなのでしょうが
少年の目には、『それ』が人間の姿に映りませんでした
それは醜くて、汚らしくて、気味の悪い汚物のような
そんな風に映っていました
585: 名無しさん:2011/7/30(土) 22:45:58 ID:IvjfUba.8M
男「……」
ビル「…やはりここでしたか」ヒタッ
男「…ヒヴッ!!冷たッ!!」ビクッ
ビル「おっと失礼
私、『体温』を献上しているものですから…」
男「いいいいつからそこに!?」
ビル「先程からずっと…」
山鼠「俺をほったらかしたぁ良い度胸してるな」ギュム
男「山鼠さんはどっちの味方なんすか」
山鼠「裏切った方の敵だ」ギュムムー
586: 名無しさん:2011/7/30(土) 22:56:17 ID:WeYS042/lU
女王「あらあら外が騒がしいわね…」
白兎「…私の…グスッ…連れの方々です…」
女王「まぁ!あなたに付いて来てくれた方々?
お礼を言わなくてはね…」
女王「ビル、いるのでしょ?
白兎ちゃんのお連れ様方、通してあげて頂戴?」
ビル「……畏まりました」スッ
男「えっと…その、はじめまして」
山鼠「あ、は、はじめまし……え?」ピクッ
女王「あら、やっぱり驚くわよね
初めて私を見た方は」
587: 名無しさん:2011/7/30(土) 23:31:54 ID:1b/AplOPAI
女王「こんな醜い姿を晒して、ごめんなさいね?」
女王「私がハートの女王です
白兎ちゃんの旅のお手伝いをしていただいたんですってね」
男「や…お手伝いって程でも…」
女王「謙遜なさらないで
本当にありがとうございます」
醜い汚物の上の部分が、お辞儀をしたように揺れました
男「女王様は…」
ビル「体です」
男「……え?」
ビル「人間としての体を献上なさっているのです」
588: 名無しさん:2011/7/30(土) 23:36:01 ID:ysb6.g3LQE
ビルが歪アリのビルに脳内変換されてしまうorz
しえんー
589: 名無しさん:2011/7/31(日) 00:05:50 ID:aGxAC4ldgA
重い…C
590: 名無しさん:2011/7/31(日) 10:14:07 ID:IQmVNaxnrM
>>558
ナカーマ
>>1ってもしかしてPeople好きだったり?
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