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白兎「アリス! 私達のアリス!」
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1: 名無しさん:2011/6/9(木) 19:08:39 ID:Sk5yLArqZw
少女は走る 走る

その白い足は止まる事を知らない

その赤い目は風にぶつかり開け続けていられない

その長い耳は、たった一人の少女の声を捉えようとせわしく揺れる

腰にぶら下げた目覚まし時計の音は、その邪魔をする

辿り着いたのは、とある井戸

その向こうは、彼女の世界


330: 名無しさん:2011/7/3(日) 00:39:54 ID:t57GnFDOYg
男「こないだの川は『清らかさ』を献上してんだっけ?」

白兎「はい、そうでした」

男「湖も?」

白兎「湖は川の真逆です
『汚れ』を献上しているので、水はとても綺麗ですよ!」

男「…アリスに『汚れ』なんて必要なのか?」

白兎「まぁ、多分…」
331: 名無しさん:2011/7/3(日) 00:54:05 ID:SBxlnoh5O6
男「森に囲まれてるんだな」ガサガサ

白兎「えぇ、でももうすぐで抜けますよ」ガサガサ

山鼠「…お」ガサッ

男「おぉ」

白兎「これが湖ですね!」

男「綺麗だな」

白兎「でしょう?」
332: 名無しさん:2011/7/3(日) 00:55:02 ID:jox2lqGdgw
白兎「ちなみにあの洞穴の中がドラゴンさんの住処です」スタスタ

男「早速行くの…?」

白兎「一応湖の主ですからね、許可をとらないと」

男「……そうなの」

山鼠「んなビビんなくても、喰われやしねぇよ」

男「本当かよ…」

白兎「ほら、こっちですよー!」
333: 名無しさん:2011/7/3(日) 00:56:54 ID:jox2lqGdgw
男「……」

ドラ「わ!何!?お客さん!?いらっしゃーい!!」

白兎「ドラゴンさん、私ですよ!」

ドラ「なんだ白兎ちゃん達じゃない!
どうしたの!?遊びに来てくれたの!?」

山鼠「や、湖の水を使わせて貰いに来たんだが…」

ドラ「そっかそっか!うん!
好きなだけ使ってよ!!」

男「思ってたのと違う!!」
334: 名無しさん:2011/7/3(日) 00:58:38 ID:bskeXDFV8Q
白兎「どうしました男さん?」

男「思ってたドラゴンと違う!!」

山鼠「何言ってんだよ
翼も尻尾もあって蜥蜴みたいで…
どう見てもドラゴンだろ」

ドラ「火も吹けるよ!!」ボッ

男「カリスマが足りない!!」
335: 名無しさん:2011/7/3(日) 01:02:17 ID:B4pYf22bqU
男「なんかこう…大空に君臨する王者たるカリスマ性がこいつからは全く感じられない!」

ドラ「…??」

男「…白兎」

白兎「あ、はい?」

男「…こいつはアリスに、何をあげたんだよ」

白兎「『孤独』です」

男「…こどく?」

336: 名無しさん:2011/7/3(日) 01:03:46 ID:jox2lqGdgw
白兎「ドラゴンさんは元より、こんな風に明るい性格ですよ?」

白兎「ただ、その容姿のせいで、みんなドラゴンさんから逃げちゃうんで…」

ドラ「泣きながらどっかに行っちゃうの!」

白兎「ドラゴンさんは寂しがり屋ですから」

男「で、孤独を捨てたら、みんなと仲良くなれましたと?」

山鼠「なってねぇよ?」

男「…なんで?」
337: 名無しさん:2011/7/3(日) 01:06:45 ID:WeYS042/lU
山鼠「何でも何も、孤独を感じなくなっただけで」

山鼠「他の奴は、こいつを怖がってるままだからな」

男「……」

白兎「ま、私達は別なんですけどね
幼い頃から遊んでましたし」

ドラ「そ!三人は仲良しなの!!」

白兎「献上のお蔭で幸せになった、稀な例です」

男「…幸せなのか?」

ドラ「幸せだよ!?」
338: 名無しさん:2011/7/3(日) 01:09:17 ID:B4pYf22bqU
男「…結果的に、なんにも変わってないんだぜ?」

ドラ「幸せだよ!
今日も君っていう、新しい友達ができた!」

ドラ「幸せすぎて死んでしまいそうな程なんだよ!?」

男「……なぁ」

白兎「自分が幸せかどうかは、自分が決めるんです」

白兎「ドラゴンさんが幸せというなら、それでいいんですよ」

男「……」
339: 名無しさん:2011/7/3(日) 01:11:13 ID:1b/AplOPAI
白兎「じゃ、湖の水は使わせて貰いますね!」

ドラ「うん!好きなだけどうぞ!」

山鼠「またな」

ドラ「またね!」

男「…また来てやるよ」

ドラ「うん!待ってる!」

男「……」
340: 名無しさん:2011/7/3(日) 11:56:14 ID:IQmVNaxnrM
更新乙、なのかな?
ドラゴンさん不憫で健気な・・・
341: 名無しさん:2011/7/3(日) 18:05:50 ID:dJNSi9KCi6
暖かくてダークな雰囲気が大好きです!
つCC


342: ◆AlicexxO96:2011/7/3(日) 22:09:35 ID:t57GnFDOYg
>>340
ドラゴンさんは不憫な子なのです

>>341
そういう雰囲気を出せるように頑張ってますので嬉しいです!
今日は少ないかもです
343: 名無しさん:2011/7/3(日) 22:25:20 ID:WeYS042/lU
男「っと」

山鼠「大丈夫か?」

男「山鼠に心配されちゃ世話無いが
結構広いなこの洞窟」

山鼠「そりゃあいつが住んでるからな」

男「体の大きさだけは立派だったなドラゴンは」

白兎「……げ」ピョコン

山鼠「シロ?」

白兎「…鷹の奴です…」

山鼠「…面倒くせぇ」

男「お」

バサッ
344: 名無しさん:2011/7/3(日) 22:42:35 ID:WeYS042/lU
鷹「なんだ、白兎じゃん」

鷹「アリスを捜しに行ったんじゃなかったのかよ?」

白兎「…帰ってきたんですよ」

白兎「鬱陶しいからどっかいって下さい…」

鷹「っ…なんだよ、冷てぇなぁ…」

颯爽と空から舞い降りて来たのは『鷹』と呼ばれた、ゴーグルをつけた短髪の少年

普通と違うのは、その背中に生えた大きな翼くらい
345: 名無しさん:2011/7/3(日) 22:46:23 ID:IvjfUba.8M
鷹「何やってんだよ、こんな所でさ?」

山鼠「何やってようが関係ねぇだろお前には」

鷹「あぁ?お前にゃ聞いてねーよ
弟達の餌にすんぞ山鼠」

山鼠「毎度毎度良い度胸じゃねぇか。
ちょうどいいぜ、羽毛布団が欲しかったんだよ」

白兎「山鼠ちゃんも相手しないでいいですから」

白兎「早くどっかいって下さいよ」
346: 名無しさん:2011/7/3(日) 22:52:13 ID:SBxlnoh5O6
鷹「そ、そんな邪険にしなくたっていいじゃん!」

白兎「あなたには関係ないでしょ」

白兎「ただ洗濯しに来ただけですから」フイッ

鷹「そ…じゃ、じゃあ俺も手伝ってやろうか!?」

山鼠「しね」

白兎「本気で拒否します」

男「……」
347: 名無しさん:2011/7/3(日) 22:56:08 ID:zY8aT7nkmQ
鷹「うぐ…」

白兎「じゃ、私達は向こうで」スタスタ

山鼠「絶対に、覗きに来るんじゃねぇぞ」スタスタ

男「そうだぞ、覗きなんて最低で卑怯な行いだからな」スタスタ

山鼠「おめぇも向こうだろうが」ゲシッ

男「ンギモッヂィィ!」

白兎「男さん、終わりましたら先程の洞穴に集合で」

男「了解了解、後でな」

鷹「……」

348: 名無しさん:2011/7/4(月) 21:46:34 ID:1e0RqNmnOw
男「…さて」

鷹「……」

男「さっきからガン飛ばしてきてるけど何?」

鷹「……お前何だよ」

男「人間」

鷹「…ただの人間が何で白兎とかと一緒にいんだよ」

男「いちゃ駄目かよ」

鷹「……駄、目だ」

男「なんで」

鷹「お、俺が駄目っつったら駄目なの!!」

男「……うっわ」

男「……面倒なのと絡んでる気がする」
349: 名無しさん:2011/7/4(月) 22:19:28 ID:1e0RqNmnOw
鷹「どういう…」

鷹「どういう関係なんだよ」

男「あぁ?」

鷹「ほら!さっきの山鼠とか!」

鷹「…あと、白兎とか…」ボソ

男「聞こえねぇよ
おら、俺の裸が見たくなけりゃ余所行け」ヌギヌギ

鷹「うぉ!いきなり脱ぎ出すな変態かよ!」

男「変態という名の紳士だよ」ヌギヌギ
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