Part2
44 :
名も無き被検体774号+:2012/11/10(土) 12:35:16.53 ID:
XmD99py70
国王ゆうとのもとで食料仕入れ係としてこき使われ
おとな帝国に亡命した元ももぐみ王国民達数名が
焼肉をさんざん食って腹いっぱいになりももぐみ王国へと戻ってきたのだ
これにゆうとはもちろんキレた
裏切ったくせに、今更戻ってくんじゃねぇ!と元仕入れ係達を怒鳴りつけ
反発した仕入れ係達はももぐみ王国にあるブロックを持ち逃げし
ろくに焼肉を分けてもらえなかったおとな帝国前の門番と共謀して
新勢力ろうかの民となる
これでももぐみ王国民が激減し、実にゆうと、ゆうとの妹、その友達のわずか三名となる
こうなるとこちらが有利になると思われたが、未だブロック備蓄数はももぐみ王国がトップ
そのうえおゆうぎしつ共和国民とさくらぐみ国民にとっても対岸の火事では済まされない状況に陥る
45 :
名も無き被検体774号+:2012/11/10(土) 12:48:48.21 ID:
XmD99py70
おゆうぎしつ共和国より上手だったももぐみ国王ゆうと、さらにその上手を行く
ろうかの民たちは、なんと持ち逃げしたブロックで幼稚園唯一のトイレの前に門を作り
「トイレ使用料」を取り始めたのだ
当分トイレに行っていない上にジュースを飲んでしまった子供達は
これを聞いて顔面蒼白になった
煽るかのように「トイレは今つかえませーん、どうしても使いたいなら一人ブロック二個!」と
叫んでくるろうかの民のせいで尿意は増す一方
しかしここで行けば負けだ、せめてもう少し値下げするまで粘ろうと三国民間に連帯感が生まれ始めるも
すでに低学年生たちはきつそうだ
こんな状況なのにおとな帝国民達が酔っ払ってトイレに来るとニコニコしながら門を通すろうかの民たち
皆指をくわえてみていたが、ここまでくると大人に助けを求めるのは野暮である
46 :
名も無き被検体774号+:2012/11/10(土) 13:12:33.08 ID:
XmD99py70
なぜか悪運の強い国王ゆうと
ももぐみ王国は人数が減ったおかげでトイレに行きたがる国民が0らしい
ブロックを持ち逃げされたものの、王国民数人をトイレに行かせるよりは安くついたようだ
一方国民数が最も多いおゆうぎしつ共和国民の状況は悲惨
さくらぐみ国でさえ1年と2年生の二人を行かせることになってしまったのだから
低学年生率がさらに高いおゆうぎしつ共和国の出費がかさみまくる
こうして独立したことにより以前より格段に待遇がよくなり
楽にブロックも稼げて左団扇のろうかの民たち
これを何とかしなければ…と1は自国にこもり策を考える
47 :
名も無き被検体774号+:2012/11/10(土) 13:30:54.04 ID:
XmD99py70
ここでのおおまかなブロック所持数は
ももぐみ王国>ろうかの民=おゆうぎしつ共和国>>さくらぐみ国
どの国もこれ以上ブロックを減らすものかと倹約を始め、経済が停滞してきた
何か新しいものづくりをと考えたが、今手元に残っているのは衣装類とはさみとのりと赤のマジックだけ
おゆうぎしつ共和国民達の財布の紐がゆるいときにこの衣装類を高く売りつければよかったと
後悔したが時すでに遅し
改めて状況を考え直すと、国王ゆうとの元から逃げ出したのは元食料仕入れ係と
おとな帝国前の門番
そして一気に形勢を逆転できるような秘策を思いついた
48 :
名も無き被検体774号+:2012/11/10(土) 13:38:55.31 ID:
XmD99py70
低学年二人を残し、お付きを一人連れておとな帝国のあるひまわりぐみへと向かった
角を曲がったところで一度ろうかの民に呼び止められるも
トイレじゃなくひまわりぐみへ行くのだと話すとあっさり解放される
ももぐみのゆうとの目をかいくぐり、ひまわりぐみの扉を開けると
大人たちの半数がべろんべろんに酔っ払い、腹を出して歌いまくっている者もいた
おお来たのか!焼肉食べてけ!という声に一瞬ひきこまれそうになるも
とにかくさっさとあるものを回収して自国に帰らなければいけない
教室の隅に目をやると、想像していたとおり鬼の勢いで空けられたビール瓶がたくさん並んでいた
49 :
名も無き被検体774号+:2012/11/10(土) 13:43:50.54 ID:
XmD99py70
当時小5の1が考え抜いた末思いついたのは、通貨がないなら作ればいいじゃないということだ
ブロックを主とした物々交換はもう古い
持ち運ぶのは大変だし、皆家の材料となるブロックを進んで使いたがらない
ここで新しい通貨を流せば、一気にさくらぐみ国がトップへ躍り出ることが出来るはずだ
大人たちの許可を得てビール瓶のふたをありったけ袋につめ
他国民に怪しまれないよう腹や背中に隠しながら、走って自国へと戻った
待っていた低学年二人にふたのとがった部分を叩いて内側へ丸めさせ
通貨に使えるよう全員で加工を始めた
50 :
名も無き被検体774号+:2012/11/10(土) 13:47:04.42 ID:7aVe1oez0
通貨いいな!
51 :
名も無き被検体774号+:2012/11/10(土) 13:56:07.21 ID:
XmD99py70
完成した通貨サンプルを持ち、おゆうぎしつ共和国へと向かった
トイレ占領事件によりブロック数が激減、サービス産業も停滞してきたおゆうぎしつ共和国は
手を組んで新しい通貨を流通させるにはもってこいの国だ
門番もいなくなったおゆうぎしつの扉を開けると、それぞれ低学年の女の子達はおままごとに集中し
男の子は惰性でドッジボールを続けていた
近くにいた子にちょっといい?と声をかけると、ここちゃんに聞くから待ってとの返事
どこかに走っていったその子の帰りを待っていると、奥の用具室から
新指導者ここちゃん(小3)が現れた
52 :
名も無き被検体774号+:2012/11/10(土) 14:00:25.64 ID:
XmD99py70
ちっちゃい子だな…大丈夫か…?と不安になったものの
とりあえずここちゃんとその取り巻きの子達相手に交渉開始
ブロックの変わりにこれを使わない?もちろん協力してくれるなら
ここちゃんたちにはゆうとくんのところよりもいっぱいフタをあげるからと説得にかかる
取り巻きの子達はここちゃんこれいいよ!これもらおうよと飛び跳ね始めるが
冷静に考え込んでいるらしいここちゃん
「フタを使うのはいいけど、ゆうとくん達が新しいフタを大人からとってきちゃったらどうするの?」と
的確に突いてきた
ここちゃん…小3の癖に出来る…
53 :
名も無き被検体774号+:2012/11/10(土) 14:07:36.61 ID:
XmD99py70
そんなこともあろうかと、僅かなさくらぐみの備品を使って対策を施しておいたのだ
ビール瓶のフタをひっくり返したところに、赤いマジックでしるしをつけてある
マジック自体はゆうとのところへ持って行ったものがいくつかあるものの
赤いマジックを持っているのはさくらぐみのみ
つまり使える通貨を流通する権限はさくらぐみ国だけが持っているのだ
これだったら偽物を使えないから安心だよ、とここちゃんに力説すると
それじゃあいいよと快諾してくれた
これから加工できるであろうすべてのフタのうち、三割をおゆうぎしつ共和国へと渡し
意気揚々とひとまずさくらぐみ国へ引き返した
54 :
名も無き被検体774号+:2012/11/10(土) 14:22:10.89 ID:
XmD99py70
お留守番兼加工係の低学年二人組にOKだって!と伝えると
やったーと抱き合って喜んでいた
あとはこの中の1,5割をももぐみに、0,5割をろうかの民たちにお情けで分けてやるだけだ
引き続き低学年たちに留守と加工を任せ、ももぐみへと向かった
するとここちゃんに内緒で頼んでいたとおり、おゆうぎしつ共和国民はまだ買い物に来ていない
すかさず国王ゆうとに「新しい通貨を流通させたいんだけど…」とここちゃんのときと同じことを話し
1,5割をもったいづけて渡した
ろうかの民には「もうブロックは使えなくなったから、今はみんなこれを使ってるよ」と
0,5割を渡し、再びさくらぐみへと戻った
55 :
名も無き被検体774号+:2012/11/10(土) 14:29:52.26 ID:
XmD99py70
そこから経済はもとの賑やかさを取り戻した
皆進んで新通貨フタを使い出し、小腹が空いたものはももぐみ王国へ
遊びたいものはおゆうぎしつ共和国へと向かった
さくらぐみ国もおゆうぎ会の衣装を持ってセールスに向かい
一番可愛いドレスはフタ5つで売れるなど大もうけだった
また、唯一貨幣製造の権利を持つさくらぐみは銀行として機能し始め
これを交換してほしいんだけど…と持ってきたものをフタ通貨と交換してやり
買い取ったものをさらに高値で他国民に売るという商売も始めた
このときの勢力で言えば
さくらぐみ国>>おゆうぎしつ共和国>>ももぐみ王国>ろうかの民
さくらぐみ国の時代が来ていた
62 :
名も無き被検体774号+:2012/11/10(土) 15:39:27.23 ID:
XmD99py70
さくらぐみ国が経済の全てを握っているといっても過言ではない
どれくらいのお金を世に出すかも、自分達が好きに調節できるのだ
おゆうぎしつ共和国の一角をかり、衣装やアクセサリーを並べて
さくらぐみ国の低学年の女の子二人に店を始めさせた
さすがおままごとで慣れてるだけあって、呼び込みもセールストークも上手い
儲けが増えてきたがやはり在庫は減る一方
大人たちが肉を焼く限り商売を続けられるももぐみ王国
サービス業で成り立つおゆうぎしつ共和国
トイレ使用料で一定の稼ぎはあるろうかの民たちに比べると、やはりこのシステムは脆い
勢いに乗ってなにか新しい、そして客の集まる商売を考えなければ…
63 :
名も無き被検体774号+:2012/11/10(土) 15:46:48.91 ID:
XmD99py70
そんな時再び事件が起きた
偽通貨が出回り始めたのだ
怪我をしないよう内側に丸める加工がされていないフタ通貨を見て怪しんだここちゃんが
裏側を確かめると、案の定赤いしるしがつけられていなかっというわけだ
おゆうぎしつ共和国指導者ここちゃんが直々にさくらぐみ国まで報告しに出向いてくれた
どこの国がやったのだろうと考えてみる
おゆうぎしつ共和国はまずないとして、ももぐみ王国にもカラクリは説明してあるので
ゆうともさすがにわざわざ偽通貨を使わないだろう
となると必然的に考えられるのが、ろうかの民だ
64 :
名も無き被検体774号+:2012/11/10(土) 15:55:57.68 ID:
XmD99py70
こんなことがあってはならないと1、ゆうと、ここちゃんの三国の代表が集い
トイレ前を占領するろうかの民を問い詰めるとあっさり白状した
しかし向こうも言い分があるようで、「自分達も好きでこんなことしているわけではない
ゆうとの扱いが酷いので逃げ出し、なんとか稼ごうと思ってトイレを占領したが
お金はあまり増えないので仕方なくおとな帝国から盗んできた」とのこと
確かにそれは気の毒だ
それにこちらとしても、これ以上トイレを占領されては困る
ここちゃんと話し合い、ろうかの民という組織の解体が決定した
ろうかの民4人中2人はここちゃんの元でサービス業の手伝い
残りの2人はさくらぐみ国で新事業を手伝ってもらおうということになった
65 :
名も無き被検体774号+:2012/11/10(土) 16:20:50.00 ID:
XmD99py70
1が考え付いた新事業とは、当時はそんな概念知らなかったが
今思えばギャンブルのようなもの
まず裏側にハートを書いたフタをさくらぐみ国内にいくつか隠し
一番多く見つけたものが優勝、二番目に多く見つけたものが準優勝となり
フタ通貨を得られる
参加者は参加料として一人あたりフタ2枚を徴収され
その中の8割は賞金に、2割は手数料としてさくらぐみ国のものとなる仕組みだ
参加者全員の同意が得られれば一度にフタ5枚などレートをあげることもでき
この事業は大成功した
66 :
名も無き被検体774号+:2012/11/10(土) 16:52:54.26 ID:
XmD99py70
だいたい毎回4〜5人は参加していたと思う
ろうかの民から拾ってきた二人に準備中隠し場所をのぞく参加者が出ないよう見張りを頼み
壁にずらっとならんだ扉付きのロッカーなどいろいろな場所に隠しまくった
このとき大体夜の八時、昼から続く神経はりっぱなしの国同士の争いで
みんなの謎テンションがピークとなり金の使い方も荒くなる
一人フタ5枚をかけていたときなど、一番に見つけた参加者の下へ他の参加者が突進していったこともあった
だいたい10分に一度の開催、毎回大盛り上がりで手数料も儲かり
まさにさくらぐみ国の時代となっているとき、三国が崩壊する最後の大事件が起きる
67 :
名も無き被検体774号+:2012/11/10(土) 17:10:39.02 ID:
XmD99py70
このゲームに初めのほうは女子も参加していたのだが
男子の異常なヒートアップっぷりにどん引き次第に女子の参加率が減ってくる
そんな子達がどこで遊んでいたのかといえばおゆうぎしつ共和国
なわとびをしたり跳び箱をしたり、ボールを投げて遊んだりと向こうは向こうで楽しくやっているはずだったのだ
事件が起こったのは何度目かのゲームが開催され次の隠し場所に悩んでいた頃
見張り役をしていたろうかの民出身の男子が「おゆうぎしつで何かあったって!」と慌てて知らせに来た
作業を中断し向かうとおゆうぎしつの前に集まる大人たち
ひまわりぐみで酔っ払いまくっていたはずなのに、ただ事じゃない何かを感じた
68 :
名も無き被検体774号+:2012/11/10(土) 17:15:16.53 ID:
XmD99py70
外でおろおろしていたここちゃんに話を聞くと
遊んでいた女の子(ゆうとの妹の友達)が跳び箱を飛ぼうとして顔面から落ちたらしい
それを聞いた大人たちが駆けつけ、危ない遊びはやめろ!もう帰るぞ!と言い出したと
しかも跳び箱の係だったはずの元ろうかの民の男子は
勝手に抜け出しさくらぐみのゲームのほうに参加しまくっていたらしく
止める役が不在のまま跳べない高さの跳び箱を無理に飛ぼうとして堕ちたとか
ゆうとの妹の友達もたいがいだが、男子のほうも
ここちゃんに拾ってもらった恩を忘れて勝手な奴である
69 :
名も無き被検体774号+:2012/11/10(土) 17:23:57.52 ID:
XmD99py70
子供達の「お願いだからもうちょっとだけ」の声も無視され
片付けなさい!との命令が下った
親としてはそりゃけが人が出た以上続けさせるわけにもいかない
皆不満げなままようぐしつに跳び箱や平均台を戻し、きれいに積まれ
家がわりとなっていたブロックも回収された
20分ほどで全ての片づけが終わり、親達の宴会ももう少しで終わるからひまわりぐみにいなさいと言われたとき
振り返って見た明かりの消えたおゆうぎしつやろうかがものすごく寂しかった
その後ひまわりぐみに集まった子供たちはそれぞれ親の元で残りの肉を食べた
元おゆうぎしつ共和国指導者ここちゃんはお母さんのところでなっちゃんを飲み
元ももぐみ王国国王ゆうとは隅でDSをしていた
70 :
名も無き被検体774号+:2012/11/10(土) 17:31:50.38 ID:
XmD99py70
九時を回って廃園パーティーは完全にお開き
夜道を親と帰っている途中、何をしていたのと聞かれて国を作ってた話をすると
それは楽しかったねと言ってくれた
幼稚園はその後働きかけもあってか廃園は免れたようで
いまは公民館だか資料館だかとしてお年寄りに細々と利用されている
この日は本当に最高の日で、今でもたまに思い出すが
歳をとってしまった今また幼稚園に国を築こうとしてもあの楽しさは感じられないと思う
そう思うと寂しくなるが、あの日のことを誰かに知ってもらいたくてスレを立てました
予定より書き終わるまでに時間がかかってしまったけど、見てくれた人たちありがとう
おわり
71 :
名も無き被検体774号+:2012/11/10(土) 17:37:51.84 ID:NZzaVNcvO
面白かった!
子供の頃の遊びを思い出して、懐かしい気持ちになったよ
乙でした!
73 :
名も無き被検体774号+:2012/11/10(土) 18:50:04.84 ID:DjwKx7tN0
こういう思いではとしを取るとすごく輝いて見えるよね
子供の頃はすべてが新鮮で面白かった(^-^)
74 :
名も無き被検体774号+:2012/11/10(土) 20:24:50.10 ID:cxA5af44O
子供なのにすごい知的な攻防で面白かった!!
ありがとう
75 :
名も無き被検体774号+:2012/11/10(土) 20:56:18.90 ID:3tr2ozu50
久しぶりにこんなに面白いスレをみた
>>1おつ