Part1
('A`)が深海棲艦と戦うようです
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1489759020/
1 :
◆vVnRDWXUNzh3 :2017/03/17(金) 22:57:01.04 ID:+hc7lDaB0
10歳の時に両親が事故でまとめて死んでから、俺は無神論者として生きることに決めた。
両親は日曜のミサには毎週必ず出席していたし、三度の食事と起床就寝時のお祈りも一度もサボらず続けていた。それだけ信仰心に溢れる二人の最後が、「不幸にも」運転手が居眠りをしていたトラックの追突で車ごとぺしゃんこだ。
こんな理不尽、神様がいないとしか結論の仕様が無い。
もし仮に両親の不幸が信仰心の不足だというのなら、あれ以上の信仰を捧げなければ助けてくれない業突く張りの神様などこちらから願い下げである。
以来15年、俺の人生は多少の挫折も経験しつつ特に不自由なく過ごしている。
やはり神様はいないか、既に死んだか、或いはいたとしても大して必要な存在じゃないのだろう。
2 :
◆vVnRDWXUNzh3 :2017/03/17(金) 22:58:30.90 ID:+hc7lDaB0
まぁ、そんな俺────ドイツ連邦陸軍少尉、ドク=マントイフェルでも。
《HQより前線各位に通達、カシュカイシュにおいても敵の大規模な揚陸が発生。注意されたし、オーバー》
《Mayday Mayday Mayday, ル級の砲撃だ!被弾した、墜落する!!》
《ビスマルクを旗艦とする防衛艦隊は現在深海棲艦の挟撃を受けている、支援は不可能だ。沿岸防衛部隊各位、海上優性確保まで持ちこたえろ》
「上空【Helm】より爆弾投下!!」
(#;'A`)「走れぇえええええええええええええ!!!」
こうも悲惨な状況に置かれると、お祈り先を手放したことをほんの少しだけ後悔する。
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/17(金) 23:00:53.21 ID:1+wGqQuk0
あふれでる幼女戦記感である
4 :
◆vVnRDWXUNzh3 :2017/03/17(金) 23:01:43.33 ID:+hc7lDaB0
〜('A`)は深海棲艦と戦うようです〜
5 :
◆vVnRDWXUNzh3 :2017/03/17(金) 23:03:03.52 ID:+hc7lDaB0
腹の底に響くような轟音、呼吸を止める背面からの衝撃、吐き気を誘う不快な浮翌遊感。
二度と味わいたくないそれらを全身で体感しつつ、俺の身体は爆風によって駅の構内に押し込まれる。
(;'A`)「ガハッ、ゴォエッ……ッ!」
一瞬の苦悶の後肺が酸素を取り戻せば、今度は激痛と爆炎の熱、服に入り込んだコンクリート片が不快感を上乗せしてくる。……まぁ、これについては自分がまだ生きていることの証左なので甘受しよう。
('A`)「ティーマス、欠員は!?」
( <●><●>)「分隊全員無事なのは解ってます」
('A`)「上出来だ。ジョルジュ、ジョルジュはいるか?」
_
( ゚∀゚)「ここだ」
アルカンタラマール駅の構内には、おおよそ80人程度の兵士がたむろしていた。
その人混みをかき分けて、下士官時代からの腐れ縁であるジョルジュ=オッペルが暗がりからこちらを出迎える。
無駄に自己主張の激しい眉毛がいつもは鬱陶しくて仕方ないが、今は見ただけで安心感さえ覚える。
_
( ゚∀゚)「状況は?」
('A`)「ベレーンの防衛線は崩壊した、歩兵で生き残ったのはおそらく俺の分隊だけだ。
河口を封鎖していたポルトガル海軍の護衛艦2隻は轟沈済。駅周辺と沿岸部を守っていた俺たちはその後雲霞の如く押し寄せてきた【Helm】のクソ共から逃げ出すのが精一杯だったよ」
_
( ゚∀゚)「ポルトガル陸軍の戦車隊はどうした?確かあの辺りにゃ一個中隊規模が展開してたろ」
('A`)「俺たちを逃がすために少しだけ粘ってたが深海棲艦の砲撃食らって隊長車が吹っ飛んで後退していた。プラゼーレス墓地で後続部隊と合流するそうだ」
_
( ゚∀゚)「文字通りの墓場にならなきゃいいがな。
上陸したのは?」
('A`)「直接上陸した瞬間を確認は出来なかったが、川から向かってきていたのはイ級が2隻とホ級1隻。どちらも通常種だ」
_
( ゚∀゚)「eliteやflagshipじゃないだけマシだな」
一通り情報を聞いたジョルジュが深々とため息をつく。それから「まあ生きてて良かったな」ととってつけたように労ってくる。
やはりこいつのことはあまり好きじゃない。眉毛以外イケメンだし。
6 :
◆vVnRDWXUNzh3 :2017/03/17(金) 23:07:05.51 ID:+hc7lDaB0
('A`)「それと、4月25日橋が深海棲艦の砲撃で崩落した」
_
( ゚∀゚)「そっちは寧ろ朗報だ。おかげでアルマダに増援にいけなんて無茶苦茶な命令は出なくなる」
酷い言い草だが、正直同感だ。
アルマダは既に海岸線4カ所に深海棲艦が上陸しており、内2カ所でflagshipが確認されている。
おまけにこのflagshipの中の1体が重巡リ級と来た。俺なら今アルマダに行けと言われたら軍法会議覚悟で戦場から逃げる。
( ><)「HQより通達!沖合に展開中の敵主力艦隊の概要が確認できたみたいなんです!」
_
( ゚∀゚)「ようやくか、報告しろ!」
(;><)「敵艦隊概要、タ級2、チ級flagship1、ホ級elite1、ヲ級1………そ、装甲空母姫1体!!」
( <○><○>)
_
( ゚∀゚)「……マジか」
('A`)「……マンドクセ」
やはり、この世に神は居ない。
7 :
◆vVnRDWXUNzh3 :2017/03/17(金) 23:10:29.64 ID:+hc7lDaB0
[
写真を見る]
アルマダ市の現状
オレンジライン:連合軍の防衛ライン
赤丸:深海棲艦側の突破地点
赤矢印:深海棲艦側の攻勢ルート
8 :
◆vVnRDWXUNzh3 :2017/03/17(金) 23:14:13.66 ID:+hc7lDaB0
発端はニ日前、海上航行する学園艦の護衛にあたっていたスペイン海軍のイージス艦からもたらされた報告。曰く、【艦隊規模のワ級が北上している姿を確認した】というもの。
情報はすぐさま“艦娘”を保有するドイツのヴェルヘルム・スハーフェン基地へと届けられる。その日の内にビスマルク、プリンツ・オイゲン、イギリスのウォースパイト、フランスのコマンダン・テストら稼働可能な艦娘と、各国から抽出された連合艦隊・連合空軍が大西洋に広域防衛網を敷く。
更に、ドイツ、イタリア、ポルトガル、スペイン、フランス、オランダ、イギリスは急遽陸軍を総動員。特に沿岸部防衛に重点を置き、陸海空軍それぞれが万全の状態で深海棲艦の襲撃を待ち受けた。
そして、今日の未明。
《HQより各部隊に通達、パレーデの海岸線防衛ラインが突破された、敵が上陸・浸透中。上陸戦力はイ級flagship2隻、ホ級elite1隻。
付近部隊は警戒せよ、オーバー》
《カシュカイシュ方面にて新たに深海棲艦4隻が上陸!上陸戦力はハ級1、ホ級1、ワ級elite1》
《対応しきれるワケがない!!艦娘は、海軍の増援はまだか!?》
百数十隻の深海棲艦による総攻撃が、海上防衛網の“内外”から同時に行われた。
《こちらオエイラス防衛ライン、連携していたイギリスの戦車隊が全滅した!後退許可を求む!!》
《タホ川に新たに6隻のワ級が侵入してきている!撃沈できないのか、アルマダ市に橋頭堡を築かれるぞ!》
('A`)「………」
立てこもる駅の構内で飛び交う通信は、どれもこれも絶望的な内容ばかり。これがテレビやラジオなら消して不貞寝してやるところだが、残念ながら叶わぬ夢だ。
気を紛らわせるためにとたばこを探すが、見つからない。退却途中で落としたのだろうか。
クソッタレめ。
9 :
◆vVnRDWXUNzh3 :2017/03/17(金) 23:19:27.64 ID:+hc7lDaB0
[
写真を見る]
深海棲艦によるポルトガルでの攻勢
・赤い■:装甲空母姫並びに敵中核艦隊の展開地点
・赤い矢印:深海棲艦の攻勢ルート
・赤丸で囲まれた地名:特に激しい攻撃を受けているポイント
10 :
◆vVnRDWXUNzh3 :2017/03/17(金) 23:21:03.67 ID:+hc7lDaB0
( ゚д゚ )「状況はどうなっている?」
('A`)「こっちみんな」
(;゚д゚ )「!?」
('A`)ゝ「芳しくありません、中尉!!」
(;゚д゚ )「そ、そうか……ところで、今何か強烈な拒絶をくらっ」
('A`)ゝ「気のせいであります!!中尉!!」
( ゚д゚ )「えぇ…」
……今声をかけてきたミルナ=コンツィ中尉は、決して悪い上官ではない。頭が切れて部下思い、深海棲艦との戦闘経験も豊富と、寧ろドイツ陸軍の尉官の中ではトップクラスの優良上官だ。
_
( ゚∀゚)「中尉、HQから新たな司令です」
( ゚д゚ )彡「読み上げてくれ」
_
( ゚∀゚)「こっちみんな」
(;゚д゚ )「!?」
ただ、うん、なんというか。
目力が凄すぎて言わずにいられないのだ。“こっちみんな”、と。
(;゚д゚ )「(部下に嫌われるようなことしたかな、俺……)そ、それで司令部はなんと?」
_
(;゚∀゚)「(またやっちまった……)はっ、やはりアルカンタラマール駅の放棄は認められないとのことです」
( ゚д゚ )「……そうか」
報告を受けた中尉は、元からキツい目つきを更に厳しくして手元の地図に視線を落とす。
_
( ゚∀゚)「……戦闘開始から5時間経ってますが、一向に朗報が転がり込んできませんね」
( <●><●>)「ワ級が“北上”する姿を見かけたという報告を聞いたとき、敵が“外洋から欧州西海岸に攻め寄せてくる”と安易に予想したのが原因だと解ってます」
('A`)「同感だが、今言っても何の意味もねえさ」
11 :
◆vVnRDWXUNzh3 :2017/03/17(金) 23:23:58.17 ID:+hc7lDaB0
にしても、見事な作戦だと他人事のように感心してしまう。ロシア辺りの学者が最近深海棲艦側も頭脳的に動くようになったなどと言っていたが、この状況を見るとあながち間違いではなさそうだ。
( ゚д゚ )「まぁ、ここ以東に無抵抗で敵を進ませればリスボンの陥落が現実味を帯びるからな。本部としても捨てるわけにはいかないか」
('A`)「……そうですね」
中尉の指摘に、気乗りしないながらも同意する。
六年前、深海棲艦出現以降───日本で【艦娘】が実装されて有効な対抗手段が生まれる前ですら、人類は絶望的な戦いを強いられつつも一部の小諸島国家を除いて首都まで深海棲艦の進撃を許していない。
にもかかわらず先進国家の集合体たるEUで、しかもまんまと深海棲艦側の策略にかかりそれなりに国力のある国が首都を蹂躙される……学のない俺でも、EU、特にドイツやイギリスといった主要国の威信が地に落ちることは想像に難くない。
……だが、国家の威信とやらを守る代償に自分の命が使われることに納得できない俺は、やはり非国民なのだろうか。
( ゚д゚ )「で、HQからの死守命令についてだが……流石に増援は派遣されるのだろう?」
( ><)「プラゼーレス墓地でポルトガル機甲部隊の再編が完了、砲兵としてこちらを援護する体勢のようなんです!」
( <●><●>)「他に、損害が比較的小さいフランス軍が戦車小隊を一個こちらに投入してきました。同国の歩兵中隊も随伴する模様です」
('A`)「深海棲艦側で先行しているのは、先ほど我々が視認したホ級1、イ級2から変動ありません。あと20分ほどでここに到達するかと」
( -д- )「………」
( ゚д゚ )「………!!」
中尉はしばし下を向いて思考を巡らせると、おもむろに顔を上げ目を見開いた。
俺たちは一斉に背筋を伸ばし、同時に思う。
_
('A`)( ゚∀゚)( <●><●>)( ><)
(こっちみんな)
と。
12 :
◆vVnRDWXUNzh3 :2017/03/17(金) 23:25:51.81 ID:+hc7lDaB0
( ゚д゚ )「……よし!これよりアルカンタラマール防衛作戦を行う!!」
「「「Jawohl!!」」」
(#゚д゚ )「故郷の地を、必ず生きて踏もう!大丈夫だ!俺たちには神の加護がついている!!」
「「「Jawohl!!」」」
('A`)「……Jawohl」
中尉の飛ばす檄に、握り拳を力強く応じる80余名のドイツ兵。
俺も応えはしたが、さぞや力の無い声だっただろう。
別段、ミルナ中尉の檄に応えたくないわけじゃない。
が、神様が実在しないかとてつもないクソ野郎のどちらかだと知っている俺は、神“ごとき”に祈ったところでこの状況から生き延びられるとは思えなかったのだ。
13 :
◆vVnRDWXUNzh3 :2017/03/17(金) 23:33:44.17 ID:+hc7lDaB0
インド通りに築かれた、土嚢と瓦礫と駅の構内のいすやら何やらを積み上げて作られた簡易なバリケード。
その後ろに、併せて200人近いドイツ兵とフランス兵がひしめき合いながら息を潜めている。
砲塔で前方をにらみ据えるのは、これまたフランス陸軍のルクレール戦車四台。
そしてここは、ポルトガル共和国首都リスボン市、アルカンタラマール駅前。
('A`)「……クフッ」
これもグローバル化の賜物なのだろうかと、妙な笑いがこみ上げてくる。隣でティーマスの奴が怪訝な目つきで(こいつの表情の変化が解るのは俺とビロードぐらいだ)見てきたので、慌てて引っ込める。
……いやいや、しかし笑うなという方が無理だろう。
別に状況自体は特に何かおかしなワケではないが、文字に起こして情景を俯瞰してみると、何故かどことなく喜劇的に感じられた。
試しに劇場をイメージし、舞台の上に俺たちを置きそれを横から眺めてみる。
……うん、やはり滑稽極まりない。この光景を作り出している奴らが一国の存亡に関わっていると考えると、いよいよ以てわき上がる笑いを堪えるのが難しくなっていく。
……まぁ、きっと今の俺はおかしくなっているのだと思う。おかしくなるより他に無かったともいえる。
「─────敵影、確認!!!」
今から戦う“敵”について真面目に考えてしまえば、憂鬱のあまり死にたくなるのだから仕方ない。
14 :
◆vVnRDWXUNzh3 :2017/03/17(金) 23:50:43.60 ID:+hc7lDaB0
ズンッ、ズンッ、と、足下から這い上がってくる微細な震動。いくらか遠くの方で、何か巨大なものが地面を踏みしめながら進んできているのだとわかる。
('A`)「……」
急拵えのバリケードは、隙間だらけの穴だらけだ。俺は最前列であるのをいいことに、隙間から音源をのぞき見る。
『…………』
('A`)「……ア、ドーモデス」
やはり見なきゃ良かったと、すぐに心底から後悔した。絶対にそんなことはないと解ってはいるが、どうにもホ級の方と目が合ってしまった気がする。
(;'A`)(何度見ても気持ち悪いわ、やっぱ)
何か巨大な生物の口の中から這い出してこようとする人間を思わせる、軽巡ホ級。
深海魚に無理やり足をひっつけたような歪な形の、駆逐艦イ級。
どちらも一度見たら向こう一年は悪夢三昧確定の、おぞましい姿だ。
無論、軽巡や駆逐艦とランク付けされているだけあり、戦闘能力は“比較的”低い。知能もル級やヲ級に代表される所謂“ヒト型”と比べると相当劣るようで、欺瞞や誘導にあっさりかかることも珍しくない。
その代わり、というのも変だが、奴らはデカい。今目の前に居るこいつらのような通常種でも5、6メートルは固く、eliteだと10メートルにも達する。
flagship級ともなると、最大20メートルというとんでもない個体まで観測されている。
いい的だと言ってしまえばそれまでなのだが、やはり目の前にすると単純に怖い。
15 :
◆vVnRDWXUNzh3 :2017/03/18(土) 00:10:55.43 ID:3Rgr7MqQ0
────深海棲艦が出現して以降は、民間で奴らにまつわる風評や噂話が爆発的に増大した。
そのほとんどは奴らに対する恐怖が生み出した根も葉もない虚言に過ぎないのだが、中でも深く信じられているのが“深海棲艦に通常兵器は効かない”というものだ。
( ゚д゚ )(…総員、射撃翌用意!!)
( ><)(射撃翌用意なんです!)
確かに、奴らは通常兵器で“倒しにくい”相手ではある。特に海上においては、奴らは(非ヒト型でさえ)通常の船舶より遙かに小さく、そのくせ航行速度が通常の船舶と大して変わらない。
ミサイルでロックオンすることが難しい(ル級らヒト型に至ってはロックオンが完全に不可能だ)上、足が速く小ささをイカして小回りも利かせてくるため海空からのありとあらゆる攻撃は避けられた。
_
( ゚∀゚)(射撃翌用意!!)
かろうじてイージス艦の速射砲が的に当てることを可能としたが、装甲───ヒト型の場合自身の周囲に張り巡らしている不可視の障壁の硬さに関しては“第二次世界大戦頃の戦艦と同程度”というチートスペックだ。
( <●><●>)(射撃翌用意)
だが、“通常兵器だと相性が悪い”だけであって、繰り返すが“通常兵器で撃破できない”わけではない。現に艦娘が開発される前から、深海棲艦の破壊・撃破事例は少なからずある。
('A`)(……射撃翌用意、ヨシ)
さて、ここで問題だ。艦娘が戦争に投入される前、人類の叡智が編み出した深海棲艦に対する画期的な対策とは何か?
(#゚д゚ )「───────Feuer!!!」
正解はシンプル。
「陸に上げて物量で殴る」
これにつきる。
16 :
◆vVnRDWXUNzh3 :2017/03/18(土) 00:11:40.24 ID:3Rgr7MqQ0
一度寝ます。
本日中に完結予定
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/18(土) 01:31:37.69 ID:43KbEriA0
何でこんなにかっこいいんだww
乙です!
18 :
◆vVnRDWXUNzh3 :2017/03/18(土) 12:28:25.25 ID:KLK+D78IO
『『『ゥオオオオオオオオオオオンッ』』』
こちらを認識した三体が咆哮した。
バリケードの裏で立ち上がった俺たちは、素早く隊列を広げつつ即座に攻撃を開始する。
15門のパンツァーファウスト3が、4門のエクレール戦車の主砲が、そして百数十丁の自動小銃が一斉に火を噴いた。エクレールとパンツァーファウスト3の砲弾は、吸い込まれるようにしてホ級の三段重ねされた砲塔部分へと吸い込まれる。
耳がおかしくなりそうな不愉快な轟音のオーケストラの中で、確かに響く鈍い弾着音。
一拍おいて、爆発音。
『───────ァアアアアアアアアアアアッ!!!!!』
そして、深海棲艦全体に共通する、金属をすりあわせているような独特の断末魔。
( ><)「エクレール戦車の全砲撃が着弾!軽巡ホ級、主砲塔機能停止!ダメージあり!!」
ビロードが興奮気味に叫んでいるが、彼我の距離をたったの150Mまで引きつけての攻撃。戦車隊が陣の最後方に位置することを加味しても400Mと離れていない。超絶至近距離、こめかみにピストルの銃口を押し当てているのとなんら変わらない。
もしも外していたら、ルクレール戦車が鉄屑かフランス戦車道の教育課程に致命的な欠陥があるかの二択だ。
('A`)「手を止めるな!撃て撃て撃て!!!」
( ゚д゚ )「パンツァーファウスト第ニ射用意!態勢を立て直させるな!!」
俺は寧ろ、目の前の下級深海棲艦2匹の知能の低さに感心する。欺瞞は確かに施していたが、ルクレール戦車への“欺瞞”は迷彩柄の断熱シートを真上に被せただけという非常に雑なものだ。
並ぶ四つの不自然なシート、その目前にはこれ見よがしにバリケードが築かれている。これがリ級以上のクラスだったら俺たちは吹き飛ばされて終わりだったろうが、奴らは無警戒で進んできた。
放棄された陣地だと高をくくってでもいたのか、奴らの五感の問題か、或いは本当に何も思わなかったのかは定かではない。いずれにせよ、こちらからすればありがたいので諸々の考察については頭がいい御偉方と研究者諸兄に任せるとしよう。