Part8
278 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/24(木) 21:22:40 ID:
y3qGcxZ2
-アイゴ編-
友「男・・・俺、天国に行くことになったんだ」
男「お前・・・」
友「今までありがとうな・・・楽しかったよ」
男「そうか・・・それを言うためにわざわざ俺のところへ・・・」
友「・・・あぁ」
279 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/24(木) 21:23:20 ID:
y3qGcxZ2
男「・・・で、どこ行くの」
友「うふ、うふふふ」
男「また目が気持ち悪くなってるぞ。上向きにしたカシューナッツみたいだ」
友「聞いてくれ・・・こないだお前に言われてな、あの娘にアプローチかけたんだ」
男「のったか?」
友「のったのった!」
男「おぉー、よかったじゃん」
280 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/24(木) 21:24:23 ID:
y3qGcxZ2
友「それで、今度彼女が帰省するときに何なら一緒に沖縄まで遊びに来ないかって言われたんだ」
男「進展早えぇな」
友「まぁ・・・もともと通ってたのもあるし?魚の話題で盛り上がってたから、ぜひ地元の海を見てもらいたいんだと」
男「そりゃよかったなぁ・・・どれ、一つご祝儀でも出してやるか」
友「えっ」
281 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/24(木) 21:25:16 ID:
y3qGcxZ2
<イラッシャイマセ オトリヒキヲセンタクシテクダサイ
友「な、なぜにATM?まさか本当にご祝儀を・・・」
<オトリヒキキンガクヲイレテクダサイ
男「・・・」ピッピッ
友「え・・・ちょ、おま、一体いくら下ろして・・・」
<アリガトウゴザイマシタ カードヲオトリクダサイ
282 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/24(木) 21:25:53 ID:
y3qGcxZ2
男「・・・30万ある」
友「」
男「これはお前の新たなる門出と言っても過言ではない。・・・是非コイツを使わせてくれ」
友「男はん・・・アンタ・・・なんちゅうことを・・・」ホロリ
友(っていうか俺の見間違えじゃなければ、アイツの預金残高コンマ2つあったぞ・・・)ガクガク
283 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/24(木) 21:26:33 ID:
y3qGcxZ2
・・・
<トウキハマモナクリリクイタシマス
男「いやー、沖縄なんて初めてだなぁ!!」ワクワク
友「どうしてこうなった」
284 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/24(木) 21:27:34 ID:
y3qGcxZ2
男「まぁそういうなよ。片道分の交通費と2泊分のホテル代出してやってんだから」
友「いや男さんには頭が上がりませんよ?でもできれば彼女と二人っきりになりたい私めの意図も汲んでくれませんかねぇ」
男「なに、邪魔はしねぇよ。俺多分ずっと一人で釣りするか泳いでるし」
友「ま、まぁ昼間は彼女も家の手伝いとかあるらしいけど・・・」
男「それにほら、ツインルームとっておいた方がいろいろ捗るだろ?なんなら俺野宿するし」
友「そこまで気を使われるとかえって野暮なんですがそれは」
285 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/24(木) 21:32:10 ID:
y3qGcxZ2
男「ちなみにお前、彼女のことなんてよんでるの?」
友「え・・・桃原さん」
男「とうばる・・・略してとうちゃんだな」
友「お前多分それ彼女の前で言ったら殴られるぜ」
286 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/24(木) 21:32:46 ID:
y3qGcxZ2
・・・
友「おぉ、これが沖縄か・・・!」
男「すいませんちんすこうください」
友「今買うのかよ・・・」
男「うん、うまい。こういうのでいいんだよ、こういうので」サクサク
友「そして今食うのかよ」
287 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/24(木) 21:33:18 ID:
y3qGcxZ2
友「とりあえず、ホテルにチェックインしてしまおう」
男「せやな」
友「今桃原さんにメールしたが、やっぱり夜までは空いてないらしい」
男「あっ友ラフテー食おうラフテー」
友「お前ちょっと落ち着けよお前」
288 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/24(木) 21:33:52 ID:
y3qGcxZ2
・・・
友「無事チェックインも済んだことだし・・・」
男「泳ぐぞー!!」
友「いや、今日は飛行機乗って疲れてるから」
男「じゃあ釣りするぞー!!」
友「・・・少し休ませてくれませんかねぇ?」
289 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/24(木) 21:34:51 ID:
y3qGcxZ2
友「・・・で。結局酒盛りが始まるのか」
男「これが泡盛か・・・ふむふむ・・・これが泡盛か・・・これが」
友「沖縄まで来てやってることいつもと変わんないな・・・なんかつまみ頼むか」
男「イラブーいってみよ、イラブー」
友「なにそれ?」
男「ウミヘビ」
友「」
290 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/24(木) 21:35:30 ID:
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友「ちょ、ちょっとヘビはやめとかn」
男「すみませーん、イラブー汁くださーい」
友「」
男「どんな味なのかなー、マムシより美味いのかなー」ワクワク
友「おぉ、もう・・・」
291 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/24(木) 21:36:10 ID:
y3qGcxZ2
<オマチドーサマー
男「お、きた」
友「」
男「ふーん・・・結構食うとこ多そうじゃん」
友「こ・・・これ・・・まんまヘビやないかい・・・」ガクガク
男「うーん、どっちかっていうとつまみというよりはシメな感じだったか?まぁいいや」
292 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/24(木) 21:37:27 ID:
y3qGcxZ2
男「うーん・・・」モグモグ
友「ど・・・どう?」
男「骨が多くて食いづらい。あと、思ったより旨味がない。噛めば噛むほど汁の味しかしねぇ」
友「そ、そうか・・・」
男「触感的にはブリ大根とシーチキンの中間ってカンジ・・・?」
友「やめろよ・・・どっちも食えなくなる」オエ
男「ま・・・正直この値段なら普通にチャンプルとか豆腐ようおかわりしたほうがよかったかも」
293 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/24(木) 21:38:12 ID:
y3qGcxZ2
男「そうだ、せっかく沖縄に来たならスクガラス食っとかなきゃ」
男「スクガラス?何それ」
男「アイゴの稚魚の塩辛」
友「へぇー」
男「すみませーん、スクガラス豆腐くださーい」
294 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/24(木) 21:39:45 ID:
y3qGcxZ2
http://www.okinawagurume.com/syokuzai/image/sukugarasu.jpg
友「・・・うぉ、小魚丸々かよ」
男「うーん、これはプリチーである」
友「ところで・・・これ、アイゴだろ?こんな丸ごと食って、鰭の毒は大丈夫なのかよ」
男「大丈夫じゃなきゃみんな店に並ばんだろ。・・・おぉ、これは泡盛に合うな」
友「それもそうだが・・・んん、これ慣れないと食いづらいな」
295 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/24(木) 21:40:23 ID:
y3qGcxZ2
男「ちなみにアイゴの毒はタンパク毒だから60度以上の熱を加えれば変性するぞ。」
友「あぁ、刺されたときは熱い湯に手を浸すといいって、お前から貰った本にも書いてあったな」
男「まぁそんな熱い湯につけるほうが拷問なんですけどね」
友「でもあれ一晩くらいずっとジンジンするじゃん」
男「アイゴは死んでも毒残るからなぁ。迂闊に捨ててある魚に手だすと危ないぞ」
友「あぁ、俺も昔それで痛い目見たんだよ」
-アイゴ編 おわり-
296 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/24(木) 21:41:26 ID:
y3qGcxZ2
マジでアイゴやゴンズイやハオコゼなんかは危険だからその辺に放置するのはNGだぞ!!お兄さんとの約束だぞ!!
ちなケツに刺さった
298 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/24(木) 21:43:38 ID:
y3qGcxZ2
-アオブダイ編-
男「・・・」シャーッ
友「いや怖ぇよ、いきなりテグス出してんじゃねぇよ。必殺仕事人かお前は」ビクッ
男「今日こそ海へ行くぞ・・・」
友「お、おう・・・随分張り切ってるな」
男「当たり前だ。海が俺を呼んでいる。聞けわだつみの声を。ポセイドンとネプチューンがフルコーラスだ」
友「沖縄なのに西洋の神様来てんのかすげぇな」
299 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/24(木) 21:45:13 ID:
y3qGcxZ2
友「あ、そういえば桃原さん友達連れてくるって」
男「よかったではないか。両手に華だな」
友「えっ、お前は?」
男「友人のバカンスを邪魔するほど野暮ではないぜ」
友「いやここまで着いてきてる時点でもう野暮も何もないから」
300 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/24(木) 21:46:14 ID:
y3qGcxZ2
男「それにしてもお前、そんな格好で海に行くのか?」
友「え・・・普通に水着だぜ?」
男「海に入る時はハーフパンツにTシャツ手袋が基本だろう」
友「いやそこまでガチじゃねえし。密漁でもするつもりか」
男「ま、クラゲ、ヒョウモンダコ、スナギンチャク、イモガイ、ウミヘビ、ガンガゼ、オニヒトデあたりに気を付ければ大丈夫だろ」
友「気を付けるもん多いなぁ」
男「当たり前だ。海をなめるな」
301 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/24(木) 21:47:06 ID:
y3qGcxZ2
桃原「あ、友くんおーい」コッチコッチ
友「あ、いた・・・マジかよ、向こうもTシャツ着てやがる」
男「地元が海沿いの人間の常識である」
友「そ、そんなもんなのか・・・」
302 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/24(木) 21:48:03 ID:
y3qGcxZ2
桃原(以下桃)「どう?疲れてない?」
友「あぁ・・・アイツと一緒だったから、初日から浴びるほど飲んでたよ」
桃「それは結構だね」
女「・・・」
友「あ、この子が友達?」
桃「うん、むったんっていうの」
303 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/24(木) 21:50:02 ID:
y3qGcxZ2
友「むったん?」
桃「無口だから」
友「へぇ・・・(安直すぎィ!!)」
む「・・・よろしく」ボソ
友「あ・・・初めましてよろしく・・・ほら、男、挨拶し・・・っていねぇ」
桃「彼ならもうはるか沖合いにいるよ」
304 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/24(木) 21:51:05 ID:
y3qGcxZ2
<ウヒョー フエフキダイダー!! ウオォアオブダイモイルゾー!!スゲェアレタカサゴジャネエ!?
友「本当だ・・・あいつ最初からクライマックスだなぁ・・・」
桃「ほらほら私達も泳ごう!前に言ってた魚、すごいいっぱいいるから!!」
友「うん、じゃあひとつよろしく頼むよ」
む「・・・」
305 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/24(木) 21:55:08 ID:
y3qGcxZ2
・・・
友「すげぇ・・・水族館に来てるみたいだ」
桃「ね?すごいでしょ!?あ、ほら、あれがトゲチョウチョウウオ」
友「うぉー!よくTV売場のTVにサンプルとかで写ってるタイプのオシャレな魚だ!!すげぇいっぱいいる!!」
桃「あれ?むったんは?」
友「あ・・・なんか男のほう行ってるな」
306 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/24(木) 21:56:02 ID:
y3qGcxZ2
桃「あ・・・なんか話しかけてる」
友「んん・・・あれなんか競ってるっぽいな」
桃「むったん、ああ見えて海に強いからね。子供のころからザンって呼ばれてたし」
友「ザン?」
桃「人魚のことだよ」
友「へぇー」
307 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/24(木) 21:56:52 ID:
y3qGcxZ2
桃「・・・それにしても、二人ともなかなか出てこないね」
友「南の人魚VS北の海猿か・・・これは見物だな」
桃「男さんも泳ぎは得意なの?」
友「あぁ、あいつは離島出身だからな。今回ついてきたのも、南の島の魚が見たかったかららしい」
桃「本当、魚が好きなんだね」
友「もうLIKEじゃなくてLOVEのレベルで好きだと思うよ・・・」
308 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/24(木) 21:57:47 ID:
y3qGcxZ2
友「あ、出てきた」
男「おーい!友、みろ!!すげぇの釣れたぞ!!」
む「・・・・」ピチピチ
友「げ・・・なんだあの青いのは」
桃「イラブチャーだよ。一応食べられるかんね、あれ」
友「まじでか・・・青って食欲わかないなぁ・・・」
309 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/24(木) 21:58:29 ID:
y3qGcxZ2
男「いやー、やっぱり泳ぎながらだと寄せんのが大変だなぁ」
友「そらそうよ」
男「彼女のサポートが無かったら釣り上げるのは不可能だっただろう」
む「・・・」ピース
桃「すっかり意気投合して・・・」ホロリ
友(意気投合してるのかこれは・・・)
310 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/24(木) 21:59:24 ID:
y3qGcxZ2
男「さて・・・このサイズの鱗をコイツでいけるかな」
友「お前なんでカッター持ってるのお前」
男「昨日の夜買ったんだ。いつものビクトリノックスは機内持ち込みNGだからな」
友「そうでなくて」
男「あー大丈夫だな、いけるいける」ザクザク
友「あぁもう・・・卸しはじめちゃった」
311 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/24(木) 22:00:23 ID:
y3qGcxZ2
男「・・・ちなみにこのアオブダイ、さっきお前に注意するようにいったスナギンチャクを餌とするため体内にパリトキシンという毒を蓄積していることがある」
友「えっ」
桃「うん、たまに食中毒で死ぬひとがいるね」
友「えっえっ」
男「おまけにこのパリトキシン、加熱や塩蔵しても分解されることはない。つまり、当たりを引いたが最後、食ったら死ぬ」モグモグ
友「なんでそんなお前ためらいもなく・・・おぉ、もう」ガクガク
312 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/24(木) 22:01:23 ID:
y3qGcxZ2
男「大丈夫だ。万一のときのためにちゃんと保険証を持ってきている」モグモグ
友「いや・・・まぁお前がいいならいいけど」
男「【悲報】あまりうまくない」
友「そ、それは残念だったな・・・」
男「ベラ類特融の青臭さMAXというか・・・これはたたきにしたほうがいいかもしれんな・・・」
313 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/10/24(木) 22:01:59 ID:
y3qGcxZ2
友「お前どうすんだよそれ・・・」
男「いや普通にエサにするけど」
友「そうだったね。君はそういう男だったよ」
男「何なら、お前もどうだ?泳ぎ釣り、結構たのしいぞ。魚見ながら釣れるしな」
友「い、いやぁ・・・」
桃「あ、私やるやるー!」