Part3
35 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/31(火) 13:43:10.47 ID:
AXvPn1yvO
叔母「多分、あのあたりかもしれん。駄菓子の当たりぐらいの確率で…多分…」
男「例えが分かりにくんですけど…」
受付「んー? なになに───一昨年のスィートホテルの決済報告書じゃないッスか…?」
叔母「そうともいう」
受付「弁護士ー! 警察でもいいから脱税疑惑でお縄にかけてー!」
男(聞かなかったことにしよう。住む家がなくなる、えっとこの辺はっと)
男「うッ」びくん
男(こ、これは…何気なく掴んでしまったものは疑う余地もなく紛れも無い…ッ!)
受付「使用済みの下着ダヨ☆」
男「余計な情報が付け加えられた! って、ち、ちがっ…!」ブンブン
受付「んまぁー」ニヤニヤ
受付「仕方ないよね、やっぱりワンチャン狙ってたよね、今! 気づかれてない今なら盗めるヨ!」
男「思ってない! 全然思ってないッ!」カァァ
受付「新品の方が好み…?」
男「唐突になに言ってんの!?」
36 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/31(火) 13:43:46.40 ID:
AXvPn1yvO
叔母「遊んでないで探そう、見つからないと一番困るのは君なんだから」パッ
男(あ…)
受付「今絶対に『あ…残念…』って思ったよね?」
男「う、うるさいわ!」バッ
ずりっ
男「えっ? わっ!」
ドッシャーン
男「痛たた…派手に転んじまった…」チラ
男(ん? コレは写真か、一枚だけ放り出してあるとは、どうなってるんだ)
男「ん、これ…」ピク
「──大丈夫?」
男「! えっ、ハイ!! 大丈夫っす!!」ササッ
叔母「ココで転んだら危険だよ。絶対に怪我するから」
男「本当にとんでもねぇ部屋ですね…」
37 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/31(火) 13:44:38.31 ID:
AXvPn1yvO
叔母「受付。そっちはなんかありそう?」
受付「まったく。オーナー、一張羅のタンクトップばっかり」
叔母「そうか」
叔母「男くん。明日に持ち越そうか、このままじゃ埒があかないし」
男「え? 明日なら大丈夫なんですか?」
叔母「ああ、ラブホテルの従業員の一人が地元から帰ってくるから」
受付「やっとケルケルくん帰ってくるんスか?」
叔母「お土産楽しみにしてクダサーイ、と電話で言ってた」コクコク
男「なんだか自分のことで色々と迷惑を…」
叔母「いや、私が原因だもの。頑張らせてもらうよ、いっぱい」ムフー
男「自信満々に言われても…」
受付「よく考えりゃいい時間ッスね。もうこのままオーナーの家で泊まっちゃいます?」
男「何を言ってるんですか、迷惑ですって」チラ
叔母「………」わくわく
男(──アレッ!?)バッ
38 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/31(火) 13:45:05.73 ID:
AXvPn1yvO
受付「まあ三人も寝る場所ないし、やっぱ無理かー」
叔母「そっか…」
男(やりたかったのなら掃除しましょうよ…)
受付「キミがお酒飲めりゃお姉さん、一緒これから飲み行くのにな〜」
男「高校生、高校生ですからね、俺」
受付「お姉さん中学の頃から飲んでたヨ?」
男「ダメな大人だぁ〜…」
叔母「私は煙草もやってた」
男「なんてダメな大人たち!」
受付「今じゃ不良ぶりでかっこつけられないんですね、カルチャーショック」
叔母「だな…」シュボッ
祖母「…む…」ピタリ
グリグリ
男「? どうしたんですか、点けたのに直ぐに消して。別に俺はちょっとぐらい構わないですけど」
叔母「………」
受付「ムフフ。んじゃオーナーまた明日!」スタスタ
39 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/31(火) 13:45:50.19 ID:
AXvPn1yvO
男「あ、じゃ、じゃあ俺もこれで」
叔母「ん」フリフリ
男(なんだろう、急にどうしたのだろうか)
数日後 44号室
叔母「……………」ソワソワソワソワ
叔母「煙草吸ってくる」ガタリ
男「あ、はい? どうぞ行ってらっしゃい」
バタン
男「なんか様子が変だな叔母さん…」
受付「そりゃ煙草吸えてないからデショ」モグモグ
男「…さらっと居ますよね、俺の部屋に」
受付「従業員足りなから部屋の点検中。ケルケルくん飛行機延期で戻ってこないし」
男「そうなんですか。大変ですね、あと俺の晩飯ですよソレ」
受付「キミのご飯の匂い凄いんだもん…お姉ちゃん一本釣りよほんとぉ…」
男「お金貰ってるから別に良いですけどね…」
受付「それよかオーナー、あのそわそわっぷりは家で煙草吸ってないと見た」
40 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/31(火) 13:46:27.26 ID:
AXvPn1yvO
男「え、なんで?」
受付「みんなでやる制服家宅捜査が延期になったからじゃん? ケルケルくん帰ってきてないから」
男「えっと、それがどのように関係が?」
受付「ズバリ、匂いデショ! キミの制服がある部屋で煙草吸ったら匂い染み付いちゃうかもって!」
男「……………」
男(え? いまさらすぎ無い……? 予想では既に半月はゆうに過ぎてるのに……?)
受付「なんて不器用な人なんだろーね」ニヒヒ
男「ま、まあ、気にしてもらってるのは嬉しいですけども」
受付「うん、これじゃ入学式間に合わないよねこりゃ」
男「ですよね…うん…」
受付「ま、いざとなったらお姉ちゃんの貸してあげるからヘーキヘーキ」
男「平気じゃない、全然平気じゃない」
受付「まだちゃんと着れるよ?」
男「性別の問題ですけど! …え、なんで試着具合を未だに知って…?」
受付「そりゃあ」
男(ハッ!? まさか俺は下ネタの前ふりをしてしまったんじゃ!)ビクッ
受付「ディズニーを学生料金で入るためだよ?」
男「ものっそしょうもねぇ!」
41 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/31(火) 13:46:57.28 ID:
AXvPn1yvO
受付「………下ネタだと思ってたデショ?」ムフフ
男「おっ!? お、思ってないですぅー!」
叔母「ただいま」スッキリ
男「あ、おかえりなさい…」
叔母「うん。あと受付、働け」
受付「ついでとばかりに! へへーい、ただいま働きますよーッス」サササ
パタン
男「あの、大丈夫ですか、叔母さん」
叔母「? なにが?」
男「え〜と、まあ色々とあるかなと思いまして」
叔母「私のことより、自分のことを心配した方がいいと思うけど」
男(確かにそうだ…)ダラダラ
叔母「ケルくんが明日も帰ってこれなそうなら、もう家中ひっくり返して探すから」
男「それこそ本当に大丈夫なんですか…っ?」
叔母「死なないと思う」
男「生死を伴なうの!?」
叔母「大丈夫。君は来週の入学式だけ考えればいい、そもそも私が原因なんだから」
叔母「じゃ、もう帰るよ。またね」フリ ぱたん
42 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/31(火) 13:47:39.15 ID:
AXvPn1yvO
男「ええ、また…」
男(マジで大丈夫かな…見つからない不安より、あの部屋で怪我しそうな方が怖すぎる…)
男「………」チラリ
〜〜〜
叔母「………」ガサゴソガサゴ
叔母(見つかる気がまったくしない)フゥー
叔母(改めて思うけど、なんだこの部屋。魔界にでも繋がってるのか)
叔母(そもそも物が多すぎるせいだろうな。小金持ちって怖い、ドンキばっか行くもんなぁ)
叔母「……!」ポクポクチーン
叔母「もう少し大きな部屋に住めば全体的に良くなる…?」
男「根本的解決になってないッ!」スパーン!
叔母「わっ!」ビクゥ
男「黙って聞いてれば末恐ろしいこと思いつきましたねっ」
叔母「男くん、どうしてここに?」
男「それは…」ビクッ
叔母「鍵はどうやって?」
男「まったくその通りですよッ!? なんで一人暮らしで夜中に鍵閉めてないんですか!? ビビりましたよッ!」
43 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/31(火) 13:48:08.90 ID:
AXvPn1yvO
叔母「しー、静かに。夜中だよ」
男「じゃあ鍵閉めてくださいよ…っ! 不用心過ぎますって…!」
叔母「わかった。善処する」コクコク
男「本当にですか…? もう、心配になりますよ…」ハァ
叔母「それで、なにしに来たの? コッチに住むの?」
男「い、いえ、そうじゃなくて、その」
男「一緒に探そうと思って来たんです。なんだか、とても不安になりまして」
叔母「あ…本当に、ごめんというか…」
男「──一人で探してる姿想像したら、入院コースまで浮かび上がりました」
叔母(この子の中の私って一体)
男「とにかく俺も一緒に探します! 残りの日数も少ないですし、二人でやれば見つかりますよ!」
叔母「でも汚いよココ?」
男「いけしゃあしゃあと言えましたね! 知ってますよもう!」
叔母「ん、ありがと。君が一緒なら私も嬉しい」
男「え…あ、はい…」ドキ
ゴッチャアアア…
叔母「もうここまで来たら寝る場所もないから…手伝ってくれないと立って寝ることになる…」
男「…………………」
44 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/31(火) 13:48:41.36 ID:
AXvPn1yvO
〜〜〜
男「ふう、あらかた片付いたかな、一応は」
叔母「ん、ありがと」コクコク
男(寝る場所確保しただけで、未だ制服は見つかってないけどさ…)
叔母「おや? これは…」ヒョイ
男「なんですか? あ…」
叔母「随分と懐かしい写真だ、私が高校生の頃かな」
男(やっぱり、この前来た時に見た写真だ)
叔母「…………」
男「なんだか当時から変わってないですね、叔母さんって」
叔母「胸のこと?」
男「褒めてたのに! 褒めてたのにぃ…!」
叔母「まあどうしてか当時から見た目が変わらなくてね」
男「へぇ、凄いですね。そういうのって女性的に嬉しい事でしょう?」
叔母「いや、今でも煙草と酒買うと店員に止められるから。面倒い」ブンブン
男「まったく褒め損ですよ貴女って人は!」
45 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/31(火) 13:49:14.52 ID:
AXvPn1yvO
男「っていうか、よく見るとこの制服って」
叔母「うん。その通り、君が今度から通う学校と一緒」
男「OGだったんですか。じゃあ当時から知ってる教師も居たりします?」
叔母「というか同級生が教鞭をとってるよ」
男「おぉっ」
叔母「もう既に甥っ子が通うからヨロシク、と伝えておいたから」
男「な、なんだか逆に緊張しますね、それ。予め相手に顔が知られてるって」
叔母「んー…っと…胸が、小さいかな…?」
男「うん。親切心で相手のこと教えてくれたんでしょうけど、そういうの要らないです」
叔母「大きいほうが好きだもんね」ニコ
男「アンタそういうの相手に伝えてないでしょうね!?」
〜〜〜
男(駄目だ、見つかる兆しすら無い。何故に衣服系と乾燥麺が同じ箱に入ってるんだ)
叔母「…………」ガサゴソ
男「今日はこの辺にして、また明日にしませんか? 十二時回りましたし」
46 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/31(火) 13:49:42.29 ID:
AXvPn1yvO
叔母「ん? ああ、布団敷こうか?」
男「いや、今度は布団探しの旅になりそうなんで大丈夫です」ブンブン
叔母「そっか…」
男「寝るなら部屋に戻りますよ。あと、俺から一つ言いたいことがあって」
叔母「なに?」
男「………」じぃー
叔母「?」
男「煙草、吸ってもいいですから、大丈夫ですよ、俺」テレ
叔母「……」ピク
男「気にしてくれてるようなんで言っておこうかなと、確かに匂いとか煙はダメですけど」
男「──叔母さんのなら、別にいっかなって、思ってたりして…」ポリポリ
叔母「それは…」
男「えっとぉー!? 変に深い意味は無いッスよ!? ただ俺的に気にしないって話で!」
男「例え制服に染み付いちゃっててもファブればイケるって思いますしねっ!」
叔母「男くん」スッ
男「はいぃッ!?」ビックゥウン
叔母「──有難う御座います、心の底から感謝します」キリリ
男「…ハイ…」
47 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/31(火) 13:50:14.29 ID:
AXvPn1yvO
シュボッ スッパァー
叔母「送って行こうか?」
男「大丈夫ですって、もし絡まれたらお金払いますから」
叔母「君、覚悟の方向性がたまにおかしいよね」
男「よく言われます。それじゃ、また明日」
叔母「ん…」フリフリ
パタン
叔母「………」スゥ
叔母「はぁー…ダメだな、我慢できないなんて」
叔母(このままじゃ彼と一緒に住めないな)スタスタ
ガラガラ ヒュウウ〜…
叔母(本当に私みたいな大人は悪影響だよ。煙草もしかり、人間性もしかり)
叔母「おっぱいもしかり…」フゥー
叔母「…この写真と同じ歳か、最近の子は凄いしっかりしてるなあ」クル
『○月?日 クリーニング回収日 忘れるなよ、私』
叔母「──………」
叔母「あ〜……なる、ほど〜……」
48 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/31(火) 13:50:58.07 ID:
AXvPn1yvO
次の日 叔母宅
男「──クリーニング屋に出しっ放し、ってオチでしたか」
叔母「本当に申し訳ない」ペコリ
男「い、いや見つかったなら別に…」
叔母「じゃあ部屋を綺麗にしてもらったお礼を」
男「ええ、その点に関してだけは受け取っておきます…今を常に維持してくださいね、本当に」
叔母「善処する」コクコク
男「本当に感謝してます?」
叔母「もちろん」キッパリ
男「まあ、無事に見つかって何よりですよ。一時はどうなるかと思いましたけど」
叔母「面目ない…まさか写真の裏でメモ代わりにしてたとは…」
男「俺もびっくりです。思い出のへったくれもないですよね、その扱い方」
叔母「多分、高校生、制服、という要点を抑えとけば大丈夫だろうという感じだと思う」
男(物の下敷きになってた時点で要点もなにも…)
男「じゃあ、受け取りに行ってきますね。叔母さんはこれから仕事でしょうし」
叔母「何から何まで…」
男「良いですって。むしろクリーニングに出して頂いて有難いです、あと、住所の方を…」