Part24
391 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/05/22(月) 06:23:33.95 ID:
Wv+sfgKlO
女「もう分かってんの、貴方のこと。どうせ先延ばしにして外国いくつもりだった、違う?」ギロ
男「………………」
女「無言は肯定とみなす。以下、貴方に弁解の余地はなし!!」
男「ま、待て! 男として! 一人の男として語らせろ!」
女「却下」
男「圧政過ぎるだろ!」
叔母「…クックック…」
女姉「笑わない!」バシッ
男「なんなんだよ…全くなんなんだ! 俺は一体なにを求められてるんだ!?」
女「フッ、それはねアホタレ」
女「──一つでも貴方の心に、禍根を残すためよ。その為だけに告白させてもらったわ」
男「…は?」
女「さっきの清掃さんの告白。あれ、心に響いたの。行ってほしくないってキモチ、凄く伝わった」
女「それはきっと貴方も同じはずよ」
男「……」
女「だから増やす。もっと乗せる。歩き出せないぐらい、もっと負荷をかけてやる。グシャグシャにしてやる」
男「な、なんたる……」
女「もうそれやめろ! 逃げるな! いや逃げさせない! 私も逃げない! だから、重しになってやるわ!」ガーッ
392 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/05/22(月) 06:24:08.13 ID:
Wv+sfgKlO
女「心のなかに愚痴ってもんが湧いて出るぐらい、沢山の想いで繋いでやる!」
男「…繋いでやる?」
女「一瞬でも、歩くのが億劫になるぐらい、相当やばめの奴をね」ニヤリ
男「…女さん、俺は普通に返事をするよ?」
女「いいわよ。どっちにしろ、トモダチはオシマイね」
男「あ…!」
女「重大さに気づいたようね、間抜け。…私は不器用よ、なにをしても失敗だらけ」
女「でも、そんな私だから無茶ができる」
男「…女さん…」
女「せいぜいこの告白に悩み疲れ果てなさい、このモ、モテモテ!!」
男「…モテモテ…」
女「私は何時だって一発勝負なのよ。…けど、コロコロ意見変えて、ごめんね」フィ
スタスタ
男「どこいくんだ…?」
女「やることやったもの。私、帰るわ」
女姉「え、ちょっと、ケーキはどうするの…?」
女「……食べれるかバカ!」バァン!
シーン
叔母「もっと他に引き止めるものがあったんじゃないか…?」
女姉「すみません…大人として無いと思ってます、テンパりすぎました…」ズーン
393 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/05/22(月) 07:39:38.73 ID:QJ5ancX50
女を追いかけろ
394 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/05/24(水) 19:21:10.88 ID:v5g55OqhO
こっから男がどう動くかだ
395 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/05/27(土) 05:50:33.33 ID:
GLOZ94psO
叔母「まあ。人生いろいろだ、男くん」
男「この一瞬で起こりすぎてませんか…」
女姉「外国に転校、同性から告白、同級生からも告白…波乱万丈ね、貴方」
男「ケルくんのは違ってたでしょう!?」
女姉「妹もよ。あんな宣言なんて、合ってないに等しいものじゃない」
男「うぐっ」
女姉「貴方が責められるのは違う、けれど、周りから『何かしてほしいと』願われる」
女姉「誰も、正解なんてわかってないのよ。きっと……」コク…
男「先生…」
女姉「ヒック。あ、やばっ、お酒飲んじゃったコレ?」
男「先生ッ!?」
女姉「うぁー」バタリ
男「先ッ、叔母さん…! 早く介抱して上げて下さい!」
叔母「やっと酒が回ったか……」フッ
男「叔母さァーん!? なにしでかしちゃったの!?」
叔母「そろそろ、お開きだろうと思ってな」
男「え…? お開きって、終わりってことですか?」
叔母「ん。時間的にも、雰囲気的にも、このまま終わらせたほうがいい」
男「あ……そ、そうですよね! みんな居なくなっちゃったし、だから……」
叔母「うん」
396 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/05/27(土) 05:51:08.21 ID:
GLOZ94psO
男(何がいいたいんだろう、俺)
叔母「コイツをスタッフルームに運んでくるよ。片付け、やっといて貰えるかな」
男「は、はい!」
叔母「じゃ、後はよろしく。置いてきたら戻ってくる」
男「…はい…」
パタン
男「………」ポツーン
男「あ…片付け、片付けっと…」ガサゴソ
カチャカチャ ゴソゴソ
男「………」
男(にゃお…)
男「にゃ、にゃっ、にゃにゃにゃにゃおーーーーー!!!」ドタン! ゴロロー!
男「なんなんだよォー! もおー! 告白とか、行かないでとか欲しいとかもうもうもう!!」ごろろろろー!
男「……っ…」ムクリ
男「……」ギュッ
男(期待とかやめろ、そんな無責任なことよくもまあ言えるだけ楽だよな! 俺がやることなのに!)
男「……やることなの、に……」ハッ
男「………………」
397 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/05/27(土) 05:51:35.95 ID:
GLOZ94psO
〜〜
叔母「ただいま、…あれ?」
叔母(男君が居ない、というか片付けが完璧になされてる…流石だな…)キョロキョロ
叔母「外のトイレかな、気にせず部屋の奴使っていいのに」クス
叔母「明日から居なくなるからって……」
シーン
叔母「………」スッ
叔母「IHヒーターがあった周り…凄いな、油汚れが綺麗にされてる…」キュキュッ
叔母「大変だったろうに。まるで新品の壁紙同様だ」
叔母(あ。ホワイトボードを止めてた画鋲の穴、なにかで塞がれてる)スッ
叔母「本当に気が利くな、あの子は」スリスリ
チッチッチッチッ…
叔母「……」クル
叔母「…まるで何もない」シュボッ
フゥー
叔母「まるで、彼なんて最初から居なかったみたいだ」スゥー
叔母「ハァー…遅いな、彼」
叔母「………………」ピク
398 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/05/27(土) 05:52:07.38 ID:
GLOZ94psO
叔母(──匂いが、しない、ちょっと待て)
叔母(やけに小奇麗だと思ったら、彼の手荷物すらなにも、残ってない?)キョロ
叔母「はは」ポロリ
叔母「もう、行ったのか? ……熱っつ!」ジュッ
コロロ… ヒョイ…
叔母「…火傷した…」ヂンヂン
叔母「…彼に限ってそんなこと…でも追い詰められると思ってもない行動を…」
『キミが、いつでも切り捨てられる部屋を与えたかったと』
叔母「……」
『何時でも何処にでも飛び出せる、そんな環境を作りたかった』
叔母「…ああ、そういや私が言ってたんだっけ」
叔母(なら彼らしい行動だ。私は保護者として彼の立場を肯定しなければね)
『誰に見せるんですか、それ』
『誰に、大人ぶりを見せて満足できてるんですか?』
叔母「……」スッ
ジュゥウウ… グリグリ…
399 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/05/27(土) 05:52:36.26 ID:
GLOZ94psO
ストン
叔母「…誰でもないよ、受付」
叔母「私は、きっといい子でありたかっただけなんだ…」
叔母(彼の前でしっかりとした大人に、そんな自分に酔いたかっただけなんだ)スッ
【男の財布】ソッ…
叔母「…………………」
受付「うっすー、飲みなおしに着ましたっと。ってあれェ!? もう片付けてる!?」
叔母「あ………」
受付「オーナー!? そりゃないでしょおー!? 一言言ってくれても良かったんじゃ…」
受付「どうしたんスか、黙りこくって」
叔母「か、可能性として…彼が我々に黙って、空港に向かったとしよう…!」
受付「は、はあ…それで…?」
叔母「移動費はカードで支払うよう、彼は計画を立てていたよな?」
受付「ええ、まあ、財布に入れたらスられるかもって首から下げてましたね?」
叔母「……じゃ、あれはなんだろう……?」スッ
受付「財布っすね」
叔母「………」
受付「は? え、そういや荷物がないッスね、えっ? 行っちゃった、の? 既に? もうっ!?」
叔母「どうしよう……」
400 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/05/27(土) 05:53:06.99 ID:
GLOZ94psO
受付「ハァアアアア!? あんにゃろ、勝手に暴走して突っ走りやがってー!」
受付「……ま、そんなお別れもありっちゃアリか」ポリポリ
叔母「は?」
受付「人生イロイロ。やって後悔もまた経験、最後に彼が見せた子供じみた意地っ張りデショ?」
受付「んなら大人として見送りましょーよ。叱るでも電話でも手紙でも出来るし」
叔母「お前…じゃあ財布はどうするんだ…?」
受付「送りゃいいでしょ。どうせあのプラチナ、上限もハンパないでしょうし」
叔母「…………」ボーゼン
受付「何ショック受けてるんスか。望んだの、アンタなのに」
叔母「あ、ああ…そう、だよな…」
受付「その通り。こうなる可能性を知ってやってたのは、オーナーっすよ」スタスタ
カシュッ
受付「ぷはぁー! あぁ、不味い、やっぱこの酒は」
叔母「…………」
受付「で? どーするんスか、オーナー」
叔母「えっ?」
受付「理由。できちゃいましたね、彼を今から追いかける」ジッ
受付「───その財布、お金よりきっと大切にしたいモノ、入ってますからソレ」
401 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/05/27(土) 05:53:34.64 ID:
GLOZ94psO
〜〜〜〜
叔母「はっ……はっ…!」タッタッタッ
ズサッ
叔母(何処に、行った? 既にタクシーを拾われてたら、到底追いつけない)スッ
叔母(酒飲んでるから一気に具合が…うぐっ…久しぶりに気持ち悪くなってきた…)
カァーカァー
叔母「……そもそも飛行場近くのホテルを取ってる可能性も?」
叔母「なら、別に無理して追いかけなくても…」
「よぉ、スィートホテルの嬢ちゃんじゃねえか」
叔母「あ…商店街の…」
「あん? 顔が真っ青じゃねーか、ちゃんとdhc取ってんのか? おっ?」
叔母「そりゃ頭良くなる役割りだろ…」ハァハァ
「減らねえ口だまったく、んで、どした? 探しモンか?」
叔母「…まあね」フィ
「んだらよォ、あの坊主にも伝えておいてやるよ。で、何探してんだよ」
叔母「彼を知ってるのかおっさん!?」ガシッ
「ぐぁああッ!? お前煙草クサッ!? てめー魚屋に変な匂い擦り付けんなやッ!!」
402 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/05/27(土) 05:54:15.76 ID:
GLOZ94psO
叔母「い、良いから教えろ! 何処で見たんだ!?」ブンブン
「おぉうおうっ!? そ、そりゃ商店街にきまってらァ…!?」
叔母「商店街…!」バッ
ダダダダダッ
「…なんだい、探しモンは坊主かよ。あんな必死な顔で、くっく」
〜商店街〜
叔母「ハァ…ハァッ…!?」バッバッ
「あら。嬢ちゃん、どうしたの汗だくで…」
「今日もデケェなオイ! つか、寒くないかそのカッコ…?」
叔母「な、なあ、その彼は…男君は見なかったか…?」
「坊主か? そりゃ商店街の先の方で…」
叔母「ありがと!」ダダッ
「…途中で行っちまいやがった」
「恋よ、恋」
「恋ってなぁ…相手が小僧だぞ、犯罪じゃねえか…」
〜〜〜
403 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/05/27(土) 05:54:44.80 ID:
GLOZ94psO
何がここまで私を焚き付けるのか。
たかが財布の一つ、受付の言うとおり送ってしまえばいい話。
叔母「はぁっ…はぁっ…!」
頭では分かってる、でも心が理解しない。
叔母「…男くん…っ」
何もしない自分も、走り出した自分も、どっちも納得できない。
叔母「───男くん!!」
私は、なんてわがままな人間なのだろう。
男「わっ!」
叔母「…見つけた…っ」
男「お、叔母さん? どうしてここに…」
叔母「どうして、ここに、じゃないっ!」ダダッ
ぎゅうううう
男「うぉぷっ!」ムギュ
叔母「探したんだぞ…! どうして居なくなったんだ。私はとっても心配していたんだ…!」
叔母「なぜ誰にも言わないで居なくなったりしたんだ…!!」
404 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/05/27(土) 05:55:23.28 ID:
GLOZ94psO
男「え、えと、何を言ってるんでしょうか?」
叔母「勝手に一人で外国に行こうとしていただろう!」
男「叔母さんの中の俺、薄情すぎません!?」
叔母「バカ言わないでくれ…君ならしかねない…はぁ、ふぅ…」
男「それでわざわざ走って探しに…なんかすみません…」
叔母「そして財布も…」
男「財布…あぁ、なるほどそれで追いかけてきてくれたんですか…」
叔母「………」
素直に頷けなかった。そりゃ当たり前だ。
そんな建前なんてすでに消えてしまっている。
叔母「…私は君を応援していたよね」
男「へ? あ、ハイ」
叔母「その気持は今も変わってない。是非とも、君の未来を見届けたい…と思ってる」
男「………」
叔母「一度聞いてみたかったんだ。そんな私を、君は嫌いになったかい?」
男「いいえ」
男「叔母さんは立派な人です。俺にとって、尊敬できる一人の大人ですよ」
叔母「………」
ちくり、と胸が傷んだ。
405 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/05/27(土) 05:57:00.22 ID:
GLOZ94psO
叔母「…私はね、君に謝らなければならない」
男「え? な、なぜ?」
叔母「今までもそうだったけれど、これからのことを考えると……謝罪しないとダメなんだ」
男「……?」
元からダメな私は、立派な大人とは程遠い人間だ。
煙草は吸う。部屋は片付けられない。人間関係も上手く築けない。
けれど、私を見てくれる偉い子が居た。
私は、彼の前だけは偉い子でいようと思った。
そのためになんだってしてあげようと、思っていた、のに。
叔母「…私は、きみに…」
私の正解はどこだ。
私の立場としての、在り方はどれだ。
叔母「……」
男「叔母さん……?」
ああ、そんなモノは結局。
ーーー元より、彼に求めていたんだっけ。
叔母「……行ってほしくない……」ボソ
叔母「ーーごめん! 行ってほしくないんだ! 私は! そう君に言いたい!」バッ