Part20
338 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/05/13(土) 00:15:25.96 ID:
vMxy84eyO
男「クス。君も随分と俺のこと、知ってるね。本当に」
女「あっ、あったりまえよ! ライバルよライバル! 腹立つコトぐらい分かってて当然よ!」
男「…うん、確かに。俺はなんとも楽観的だと思う」
女「そうよ……こ、こんな所に平然と住めてる時点で頭イッてるわよ……」
男「だね。実にそう思う」スッ
男「───文句か、考えたこともなかったな」
女「……」チラ
男「俺としては、親の言うことに従うのは普通のことだったからなぁ。凄く新鮮だ、うん」
女「…だから友達できないのよ」ぼそり
男「………………待ってくれ、なんだって?」
女「んでもない」ぷいっ
男「いや、なんでもなくない。なんだって?」ずいっ
女「ひゃい!? なっ、なによ急に顔を近づけて!?」
男「君は凄く聞き逃せないことをさらりと言ってのけた。なんだって? もう一度、頼む」
女「だっ、だから、えっ!? 今のもっかい、言うの…? その、友達が出来ないというか…」
男「………」
女「前から普通に喋ってるの、クラスであたしだけって思う、から…」
男「───………」ガク …ストン
女(膝から崩れ落ちた………)
339 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/05/13(土) 00:16:34.92 ID:
vMxy84eyO
男「なんたる…」
女「え、え、えっ? なに、あたし変なこといった…!?」
男「わかったよ。ああ、随分と深い衝撃を持ってして理解したよ…」スッ
男「俺は友達がいない!!!」カッ
女「し、知ってるけど」
男「…………」ヒョロロロ…
女「ちょっと! 気をしっかりもって!」ガシ
男「なんたる…」
女「もうそれいいから! なによ、一体急にどうしちゃったのよ…!?」
男「…不安になった、外国に行くことに」
女「今更!?」
男「今更だよ、凄く今更だ…! なにせ女さんが余計なこと言ってくれたお陰でね…!」クッ
女「わっ、悪かったわよ! でもわざとだと思ってたの! こっちは!」
男「わざと…!? どうして意識的に友達を作らないなどと思うんだ…!?」
女「……だってラブホテル住んでるし……」プイ
男「じゃあ外国だったら友達作れるかな!?」パァアア
女「え? いや、それは……」
男「え……なにその顔……」
女「ごめん! あたし咄嗟に嘘つけなくてごめん!」
340 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/05/13(土) 00:17:15.41 ID:
vMxy84eyO
男「なんて酷い事実を突きつけるんだ女さんは……」シクシク
女「とっくの昔から突きつけてるつもりだったけど!?」
男「友達…友達できるかな…俺…」
女「な、なによ…そんなことで自信なくしちゃうわけ…?」
男「失くすよ…知ってる通り、俺は友達が居ないんだ…一人も居ない…これから先も一人も居ない…」
女「…あたしは?」
男「ライバルだろ…?」
女「ぐっっ…! た、確かに! あたしが言ってたわ…!」
男「ライバルか…そうか、ライバル…あっちで沢山のライバルを作ることは可能性として…」ハッ
女「待って。あっちじゃ、ライバルのランク桁違いだとあたしは思う。命、危ないと思う」
男「命かけて出来るならやってみせようじゃないか…!」
女「トモダチでしょ!? 貴方が作りたいのはッ!」
男「……女さん、文通しよ?」
女「逃げるな逃げるな、こっちに」
男「話題作り大変なら…電話でもいいし…」
女「えぇいっ! なよなよすなっ!」ブゥーン!
男「うぐっ」ドタリ
女「みっともない! みみっちい! ダチの一人ぐらい己一人努力でつくれ!」
男「……無理だよッッ!!」
341 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/05/13(土) 00:17:56.18 ID:
vMxy84eyO
女「な、情けないことを堂々と…!」
男「俺には無理だ…きっと…無理なんだ…」
女(急にどうしちゃったってのよ…?)
プルルルルル
女「で、電話? ほら、貴方の携帯鳴ってるわよ…?」
男「……………」
女「今の時間帯にでないと、心配されるんじゃ…」
男「……出てくれ、すぐに出られる状態に戻すから」
女「あたしが!? あんたほんっとに突然にウザったくなったわね!?」
ピッ
女「もしもしっ?」
『──Why!? なにゆえボスがオトコの電話でる?』
女「この声……け、ケルケルさん?」
『イエスマム! ケルケルだよ〜! …あ! しっぽり中?』
女「違うわよアホ!!」
『ケラケラ! うんうん、ジョーダンだヨ! 近くオトコいる?』
女「い、居るけど…その…」
『ウン?』
男「…………」ズーン
342 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/05/13(土) 00:18:36.23 ID:
vMxy84eyO
女「出られる状態じゃない、っていうか…」
『ジョータイ? 変なの、でも残念、お別れ会の予定言おう思ったのに』
女「お別れ会? 男のやつの?」
『イエス! 今度にownerとfoxeyとケルケルで、パーティするから!』
女「……それ、あたしも行っていい?」
『ボスも? 全然オッケー! きてきて! カモーンだよ!』ケラケラ
女「ありがと」
『いいのいいの。オトコは三人で良いって言うけど、沢山いたほうが楽しいよね!』
女「…うん」
女(誘ってくれてもいいのに、本当に冷たい奴。…じゃないのかな、それが普通だって思わなかっただけ?)チラ
女(変な奴。堂々とあたし話しかけるくせに、こんなトコロ住んでくる癖に、まるで…)
女(人から優しくされるのに慣れてない、みたいな……)
『ボスー? どしたのー?』
女「あ…なんでも…!」
男「…変わって、調子戻ったから」
女「あっ! うん、はい…!」バッ
男「もしもし? ケル君? はぁ…ぐすっ…はぁ…はぁ…」
『オトコ?』
男「うっ…うん、大丈夫、さっきまで調子が良くなくて…うん…ふぅ…」ズビビ
343 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/05/13(土) 00:19:30.04 ID:
vMxy84eyO
『ウ、ウン、オトコ無理しなくても別に…』
男「無理? 無理なんてしてないよ、全然!」
女「あっ! ちょっと(鼻水)垂れてきてるわよ…!」
『垂れて?』
男「い、いや別に!? 大丈夫大丈夫! なんにもないから」ゴシゴシ
女「ぎゃー! えんがちょね! ちゃんとテイッシュ使いなさいよもう!」シュッシュッ
『ソ、ソウネ…そういうのはちゃんと…』
男「平気だって! …なにやってるんだ、あっちに聞こえちゃうだろ…!」
女「貴方がばっちいことするからでしょ! 電話してて、やってあげるから…!」スッ
『…アノー…?』
男「や、やめっ…! ぐぁーーー!?」ズボァッ
女「あ! ご、ごめ…! (鼻に指)入っちゃった…! しかも(ティッシュ)無しで…!」
『えっ!!?』
男「うぐっ、ちょっと、早く抜いてくれ…! 痛い! キツイ!!」
女「ばっ、だったら動かないでよ! こっちだってそんな、んっ! あぁあっ…!?」
『…オ、オトコ……ボス……?』
男「どうしてガサツなのに無茶をするんだ…!? 無理に抜こうとすると、うっ!? あっ!?」
女「ガサツ!? よく言ったわねこの泣き虫! さっき情けなく崩れ落ちたの忘れてないんだから!」
『……technician…』
344 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/05/13(土) 00:20:12.54 ID:
vMxy84eyO
男「はががっ!? ぐぅううう!」
女「こうなったら(鼻の)形が変わるまでグリグリしちゃる! ……きゃっ!」
『………ちょ、ちょとボク、用事思い出したノデ、ソロソロ……』
男「あぐっ! おわぁっ!? へっ、へぁ…くっしょん!」
女「……よ、よくも顔にぶっかけてくれたわね……!」
『…bukkake…』
男「ずびび、いやいやいや! だって、ぐりぐりするほうが悪いだろう!?」
女「うるさいうるさい! ほら、責任持って拭きなさいよ! ほらほら!」
男「うぅ…なんでこんな目に…」
女「こっちのセリフよ…!」
『あ、アハハ、うん、ケルケル知ってるよ! これもきっとカンチガイってやつで…』
───ドンドンドンドン!!
『……ウン?』
男「…あ、また叩かれてしまった…」
女「うひっ! なんでここ壁が薄いのよ…! ラブホなんでしょう…!?」
男「いや、改装工事したらしいんだけど、44号室だけはやってないらしくて…」
『…アワワワ…』
345 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/05/13(土) 00:20:58.10 ID:
vMxy84eyO
女「そ、そうなの? じゃあはじめに言ってよ…」
『ふ、フツーなら怒られないケド…一体どんなプレイしてたの…?』
男「普段、俺は大きな声なんて出さないしね……さっきの女さんみたいに」
『そこ見栄はっちゃうオトコ!?』
女「あぁん!? 貴方の声も相当大きかったわよあんぽんたん!?」
『そ、そういうピロー……トーク、は後々に…』
男「そりゃそうだろう! 女さん、なんだか普段とは全然違う感じだったし!」
『どっちも良かったんだね! 盛り上がったんだね!』
女「それは!! だ、だって…心配だったし…」
『え、ボスはハジメテ…だったの? だったらオトコちゃんとリードしてあげた…?』
男「……俺はそんなの気にしない」
『キチク! オニ! オトコ見損なった!』
女「でも本当は、ちゃんと出来るか心配してたじゃない!!」
『……だよねッ!! オトコほんと紳士だもん! 知ってるケルケル知ってる! 素直じゃないだけ!』
男「だって…初めて、なんだよ…」
『…え…?』
男「俺は今まで誰一人とも、出来たことがないんだ…」
『オトコ……そっか、初めてで浮かれてた…わかるよ、ケルケルそのキモチ…』
男「──友達をどう作れるかって!!」
『セッ……セフ、セッ…クス…フレンド!?』
346 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/05/13(土) 00:21:59.52 ID:
vMxy84eyO
女「なによ…それ…」
『アワワワ…! お、怒るよゼッタイ! なんてこと言うの…!?』
女「──だったらあたしがなってやるわよ、友達に!」
『エェェエエエ!!?!!?』
男「えっ!? なんで、だって女さんは友達だなんて…」
『チョ、マッテ、リカイ、ケルケル追いついて…ッ』
男「き、キスもしてくれなかったのに…」
『ンンーーーーー!?』
女「そりゃもう忘れろ! いつまで引きずってんのよ!」
『オッホホホォーーーウ!?!!?』
男「う、うん…」
女「いい? 友達なんてぱっぱと作れる、心配するだけ意味がなし!」
男「…そうなの?」
女「そうなの! 万国共通よ!」
『』サラサラサラ…
男「………」コクリ
女「良いわ。そんなに心配なら、文通だって電話だってしてあげる」
女「──その代わり、ぜっっったいにあっちで友達つくりなさい。死ぬ気で、頑張りなさい」
女「友達の、このあたしが! 応援してあげるから!」
347 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/05/13(土) 00:28:20.52 ID:
vMxy84eyO
後日 朝方 女家
女「……」ズゥウウーン
女姉「朝からなんなの? その顔は」
女「余計なこと……言っちゃったなって、あたし……」ハハ…
女姉「余計なこと?」コトリ
女「…………、引き止めるつもりが応援しちゃった……」
女姉「…」ぽかーん
女姉「引き、止めたの? 貴女が?」
女「…うん…頑張ってあっちで友達作れ馬鹿って、言っちゃった…」
女姉「ま、まあ、今更止められても、彼の方も困るだろうし、良いと思うけれど」
女「…………」
女姉「…まだなにかあるの?」ズズッ
女「その場の勢い、っていうか。ノリで言っちゃった、というか」
女姉「うんうん」コクコク
女「………あたしが、一番最初の友だちになっちゃる、いっちゃった」
女姉「ぶふっ! ……あっ、ごめっ、今の笑ったわけじゃなく、」
女「………」ズーン
女姉「ちょっと聞いてる!? ねえ!?」
348 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/05/13(土) 00:39:19.62 ID:
vMxy84eyO
ラブホテル 今朝 スタッフルーム前
男(友達……応援までされたんだ、ちゃんと、頑張ろうじゃないか)
清掃「…ぁ…」ビクッ
男「あ。おはよう、ケル君。……昨日はごめんね、勝手に電話切れちゃって」
清掃「ウン…ベツ…イイケド…」フィ
男「それで昨日の電話ってなんだったの?」
清掃「………」じぃー
男「?」
清掃「…フォクシィーに訊いて、ケルケル、わかんないから」スタスタ
男「あ、うん……」
男(調子悪いのかな? …待てよ、そうだ、まずはケル君と…)
男「ケル君」
清掃「…ナニ?」じとー
男「その、あのさ…」テレテレ
清掃「………」
男「…俺たち、友達だよね?」
清掃「………………」ズキン
男「……………?」
清掃「トモダチなれば…オトコと今まで通り喋れるかな…?」ボロボロボロ
男「えぇっ!? なんで泣いちゃうの!? えっ!?」
【すごい追い詰めてたことを、改めて知って、心底謝りました】
349 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/05/13(土) 00:39:51.99 ID:
vMxy84eyO
第十話 終
今日中に現れますノシ
350 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/05/13(土) 22:48:08.55 ID:
DNFeLLI1O
44号室
受付「ねーねー男くーん」パラリ
男「なんですかー?」ジュージュー
受付「前から気になってたんだけどさーこの際だから訊いちゃうけど〜」ペラリ
男「なんです?」チラ
受付「オーナーのこと、性的な目で見過ぎじゃない?」
男「…………」ガチン
ジュゥウウウ
男「…何故、そう思うのか根拠を述べて欲しいのですが…」
受付「ん? だってホラ、あの人って年がら年中タンクトップでしょ」
受付「だからココがね、ぼんって、服越しにどぉぼおんっ! って見えるじゃない?」
男「ま、まあ…確かにそうですけど…」
受付「見てるよね、それ。めちゃエロい目で」
男「見てません」
受付「見てるよ?」
男「断言しない! その根拠を言って!」
受付「オーナーから相談されたから」
男「…ぉぉぉぅ…!」